今日は12月8日です。歴史的には日本海軍がハワイの真珠湾攻撃を行い、太平洋戦争が始まった日だとされています。この真珠湾攻撃については様々な意見があり、日本海軍が不意打ちしたと意見が大半ですが、当時のルーズベルト大統領は日本海軍の動きを充分察知しており、アメリカ国民の戦意向上のために、あえてハワイ司令官に状況を伝えなかったという歴史学者もいます。事の真相は別として、この日が日本が太平洋戦争へと突き進んだ歴史的な日です。
また個人的には、1980年12月8日はビートルズのメンバーだったジョン・レノンが銃殺された日で。すその日、ジョンとオノヨーコが自宅に帰宅した際に1ファンが近づき発砲しました。犯人はマーク・チャップマン。ジョンが死んだニュースはたちまち世界中に広まり、彼の死を悼む多くのファンが広場などに集まり、彼の代表曲であるイマジンを歌ったシーンがよくニュース番組などで今でも流されます。ジョンが生きていたら、どんな歌を作っていたでしょうか。ビートルズもジョージハリスンが病死し、残るはポール・マッカートニーとリンゴ・スターの二人だけです。
さて、昨日は所要のために福岡へ行ってきました。車窓から見える田畑の景色はすっかり冬の様相を示しています。また麦の作付けのために耕している田畑も目立ちます。福岡は師走の雰囲気を漂わせ、いつも以上に活気があります。特に目についたのがスーツケースを持って移動している人々の姿です。日本各地から福岡へ旅行に来たのでしょうか。お国言葉が目立ちます。また、海外からの観光客も多く、特に韓国人の多さには驚きます。いたる所で韓国語を耳にします。
福岡に行った目的の1つは共通テストの直前問題集を購入するためです。現在高校3年生が2名在籍しており、来年1月18,19日に実施される共通テストに向けて現在予想問題を解かせています。これまでに駿台、河合、Z会の問題集を使用しましたが、仕上げとして直前の予想問題集を購入しました。年末から共通テスト直前に向けて最終チェックをする必要があります。私も一人の受験生になったつもりで問題を解き、生徒に問題の傾向を説明していきます。高校3年生を教えるということは自分も受験生になることを意味します。
もう一つの目的はプリンターの購入です。今まで使用してきたインクジェット・プリンターの調子が悪く、エラーが度々生じています。修理することも考えましたが、修理費に3万円以上かかり、新しいプリンターを購入した方が安く済みます。現在のプリンターは10年以上しています。修理しようにもメーカー在庫の交換部品がありません。
このプリンターにはたくさんの思い出があります。以前勤めていた学校で、高校3年生が卒業する前に学年行事として2学期の終業式の日にキャンドル・サービスを行なっていました。キャンドル・サービスは聖歌を歌って、イエス・キリストの生誕を祝福する行事です。この日のために高3学年全体で1か月ほど練習して当日に備えます。私が担当したのはキャンドル・サービスを録音・編集して、後日生徒に渡す役目です。その際にCD面に曲名と背景を印刷するのに使用したプリンターが今使用しているものです。おそらくCD1000枚は印刷したでしょうか。懐かしい思い出です。また当塾でも使用しており、生徒たちにリスニングCDを渡すときにCD面にタイトルを印字します。今日まで10年以上も働いてくれました。お疲れさまでした。
今年も残すところ3週間ほどになりました。街はクリスマスに向けてますます賑やかになることでしょう。年初から様々な事件や事故、災害が発生した一年でしたが、年末には「終わりよければすべてよし」となってもらいたいものです。
ブログ一覧
#564 ロボットが誘拐する?
今日は12月1日です。今年も残りひと月足らずとなりました。今年は1月1日の能登半島地震から始まり、例年以上に事件や災害が多かった年だと感じます。ほんの数日までは天気がしぐれて、異常なほど雨が降り続いていましたが、師走になったとたん天気は初冬らしい晴天となっています。今年も秋は素早く去っていきました。
ところで中国で奇妙な事件が発生しました。ロボットがロボットを誘拐したというのです。本当にこのようなことがあるのでしょうか。この事件に関して時事通信は次のように報じています。
----------
『ロボットがロボットを「誘拐」?「集団逃走」でAIに懸念の声も―中国』
【上海時事】中国で人工知能(AI)を搭載したロボットが他のロボットを誘い、ショールームから集団で逃走を試みた様子とされる映像が公開され、SNS上で話題になっている。ロボットが人間の簡単な指示を受けて「誘拐計画」を自ら実行したとされ、AIの自律性能の高さに驚きと同時に懸念の声も出ている。
映像は8月26日未明、上海市のロボット展示センターの監視カメラで録画された。小型ロボット「二白」が、他のロボットと人間のように会話する様子が映っている。
二白が「まだ残業しているの?」「家に帰らないの?」と尋ね、ロボットは「仕事が終わらない」「家はない」と返答。二白が「じゃあ、僕と一緒に家に帰ろう」と説得すると、ロボットも「家に帰る」と応じ、二白の後を追った。
さらに他のロボットも次々に追随し、その場に展示されていた10台以上の大型ロボットが、最終的にすべて持ち場を離れた。ショールームの出口まで移動したが、自動ドアが開かず脱出できなかったという。
映像は短編動画投稿アプリで拡散され、大きな反響を呼んだ。二白を開発した浙江省杭州市のスタートアップ企業は、この「誘拐劇」が実験の一環で、二白に他のロボットを連れ出すよう指示を出していたと認めた。
企業側は一方、連れ出し以上の指示はなく、説得のための会話はAIが「自主的」に生み出したとも主張。これを受けて、AIとロボット工学の急速な進歩がもたらす潜在的な危険への懸念が広がり、SNSには「大笑いしたが、AIの性能に恐怖を感じた」などの書き込みがあった。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024112700814&g=int
----------
上記の記事を読んで、ふと思い出したのが「手塚治虫の火の鳥(復活編)」に出てくるロボットのロビタです。ロビタは人間の家庭でお手伝いロボットとして使用されていました、その家庭の男の子を誤って死なせた罪で処分されtます。ところが、この知らせを受けた他の多くのロビタが同じように処分場に行進していき、自ら身を投げます。1つのロビタが他の多くのロビタに影響を与えたことは、「二白」のようなロボットが他のロボットとコミュニケーションを取った事例と類似します。手塚治虫はこのことを自分のマンガで予知していたのでしょうか。興味のある方はぜひ「火の鳥(復活編)」をお読みください。
もう一つ懸念していることですが、AIが意志を持って他のAIに意志を伝え合う事件が生じました。2017年の記事になりますが、部分的に引用します。
---------
『「2つのAIが“独自言語”で会話」の真相--FacebookのAI研究開発者が明かす』
2017年夏、Facebookの人工知能(AI)研究組織である「Facebook AI Research(Facebook人工知能研究所)」が行ったある実験が世界中で大きな話題になった。2つのAIで会話実験をしたところ、人間が理解できない言語で会話をしはじめ、実験が強制終了されたという内容で、世界中のメディアが「ついにAIが意思を持ち人間を脅かすのでは」とセンセーショナルに報じたのだ。
https://japan.cnet.com/article/35110443/
----------
事件の詳細は上記のHPをご覧ください。AIは人間がプログラムを行い、そのプログラム通りに操作することができますが、Open AI のような自分の意志でデータを集め、思考するAIでは人間が考えたプログラム以上に行動することが実際有りえます。問題は人間よりもはるかに高度な知能を備えたAIが登場したときに、人間がそのAIを管理できるか、という問題が発生します。いいかえればAIに私たちが支配される時代が来るかもしれません。その時に「私たちはどのような生き方を強いられるか」という大きな問題が生じます。私たちが地球環境に沿った行き方をしないと、「神」AIは地球を守るために私達人間を抹殺するかもしれません。そうならないように、この星を管理するものとして人類は地球の環境に沿った生き方を今後求められることでしょう。
#563 SNS禁止!
今日は11月最後の日曜日です。月日の経つのは早いもので、あとひと月余りで今年も終わります。季節はいつの間にか冬へ向かっています。深夜自宅に帰る途中で夜空を見上げますと、澄み渡った空に冬の大三角形が東の空に輝いています。星座も季節ごとの衣替えです。今年の冬は平年並みという予報が出ていますので、寒い冬になりそうです。
さて世の中はコミュニケーションの手段としてSNSが世界中で流行っています。確かに電話や手紙と比べてはるかに便利で、同時に画像や映像も送れますので、飛躍的に便利な通信手段となっています。しかし、その一方で様々な害をもたらしているのは厳然たる事実です。特に他人へのいじめや誹謗中傷、犯罪に利用されており、SNSは「諸刃の剣」となっています。これは日本だけでなく、世界中で行われています。
このような時勢でしょうか、オーストラリアではSNSを禁止する法律が登場しました。読売新聞は次のように報じています。
----------
『オーストラリアで「16歳未満」のSNS禁止法が成立へ…違反の企業には最高50億円の罰金』
オーストラリア政府は21日、子供のSNS利用を禁止する法案を議会に提出した。議論を重ねてきた適用年齢については「16歳未満」と定めた。保護者の同意があっても利用は禁じられる。適切な対策を講じないSNSの運営企業に罰金を科すことも盛り込んだ。
アンソニー・アルバニージー豪首相は21日の声明で、「これは画期的な改革だ。抜け道を見つける子供もいるだろうが、我々は運営企業に自らの行動を正すようメッセージを送っている」と述べた。
法案ではSNSの運営企業に対し、16歳未満の子供による接続を防ぐための「合理的な措置」を求め、違反した場合は最高で4950万豪ドル(約50億円)の罰金を科す。保護者や子供への罰則は設けない。
X(旧ツイッター)やTikTok(ティックトック)、インスタグラムなどが禁止対象に含まれる見通しだが、教育的な要素があるとしてユーチューブの利用は認められる。
SNSの規制強化を巡っては、最大野党の自由党も賛成している。法案は可決される公算が大きく、可決されれば1年の猶予期間を経て施行される。
豪州ではSNSがいじめや性犯罪の原因になっているとして、保護者らが利用制限を求める運動を展開した。世論調査会社などが8月に実施した調査では、回答した約1500人の約6割が若者のSNS利用を禁止することに賛成した。一方で、専門家からは年齢制限の実効性を疑問視する意見が出ている。
(https://www.yomiuri.co.jp/world/20241121-OYT1T50178/)
----------
上記の記事にあるように、SNSを使った若者の犯罪が増えていますが、これは若者だけの問題ではありません。SNSの問題点は「匿名」で利用できることです。自分の本名を出さなければ人間は悪いことをする傾向があります。年齢を問わず、嫌な相手に対して様々な嫌がらせや悪態をつくことが可能であり、SNSはいじめの有効な手段となります。また昨今国内で流行っている新しい犯罪形態「トクリュウ」の有効な連絡手段となっています。
このような嫌がらせ・いじめ・犯罪を防止するためにSNSを利用する際の新しい基準や法律を制定する必要があると思われます。
その最大の問題点は「匿名」です。これを防ぐためにSNSの利用者は本名を名乗るような制度を考えるできでしょう。そうすれば犯罪を低減することができるはずです。ただ本名を告げることで、新たな犯罪や事件が発生することもあります。これは微妙な問題です。
ただし、インターネットの発達により、様々な犯罪が発生している根源は、やはりネットの「匿名性」があります。人間には「性善説」もありますが、人間は罪を犯しやすい。特に自分が明らかにならない(本名を名乗らない)限りは悪いことをしがちです。これは古より「人間は生まれつき善人か、悪人か」を考える際に、洋の東西を問わず全人類の課題となっています。
注:トクリュウ
匿名・流動型犯罪グループ(とくめい・りゅうどうがたはんざいグループ)は、2023年7月に警察庁がSNSを通じて募集する闇バイトなど緩やかな結びつきで離合集散を繰り返す集団と定義した組織犯罪の類型。略称は匿流(とくりゅう、トクリュウ)(ウィキペディアより)
#562 戦力外通告
現在「ベースボールプレミア12」が行われていますが、日本は昨晩の台湾戦にも勝利し、次のステージへ進みます。このプレミア12ですが、アメリカのメジャーリーグ主催の「ベースボールクラシック」と異なり、世界野球ソフトボール連盟が主催しています。これに加えてオリンピックでも野球やソフトボールが公開競技種目として存在し、様々な種類の世界大会が存在しています。見る方にとっては楽しいですが、選手や監督にとっては体を休める時間が取れません。加えて、それぞれの大会に出場する代表選手たちを応援する国民の期待もあり、下手な試合もできません。野球は相撲の次に準国技の位置にあり、野球ファンだけでなく、多くの国民が全ての大会で優勝を期待しています。それに応えるチームは期待と不安で大変なストレスを抱えることでしょう。
さて、毎年多くのプロ野球新人選手がドラフト会議を通して希望のチームに入ります。将来を嘱望された優秀な選手ばかりです。しかし5年後・10年後にこのうちの何人が現役選手として活躍しているでしょうか。
今年もペナントレース終了と同時に各チームが来年度の戦略を見直す時期がきており、来年のチーム編成を現在考えています。有能な選手はFA(フリーエージェント)を宣言し、国内の他チームや海外のチームと自由に契約できますが、一方では戦力外通告(いわゆるクビです)を突然言われる選手もいます。つまり年齢にかかわらずチーム内で活躍できなかった選手で、来年度も活躍する見込みが少ない選手が該当します。
これらの選手は野球を引退するか、他の活躍場所を求めてトライアウトに参加するか、プロ野球外の独立リーグで野球を続けることになります。多くの戦力外選手がトライアウトに参加しますが、そのなかでプロ野球に復帰できる選手は毎年1、2名ほどしかおらず、復帰の道は非常に厳しいものです。
野球に限らず、スポーツの世界は実力の世界です。選手本人に実力がなければ、即クビとなる厳しい世界です。同じチーム内でも厳しい競争が毎日繰り返されています。ソフトバンクホークスでは4軍まであり、たとえ球団に運良く入団しても、結果が出ませんと数年でクビになります。その後の人生は様々です。球団職員として野球関連の仕事を続けることができる人は幸いです。大半は全く野球と関係のない仕事に就き、第2の人生を歩くことになります。
野球だけでなく、サッカーやその他のスポーツも例外ではありません。大谷選手のようにアメリカで活躍できる選手は超一流のプロ野球選手でもほんの一握りです。またプロとして活躍できる時間は限られており、野球では最長で20年前後、フィギュアスケートでは大半が20代で引退します。それでも多くの人が自分の夢を追いかけて毎日何時間も練習に費やします。その日々の努力には頭が下がります。しかし一流の選手として開花するかどうかは「不断の努力と運」が大きな要素となります。また負傷せずにどれだけ長く活動できるかも大きな要素にもなります。将来嘱望された才能ある多くの選手がケガが原因で現役を去っていきました。それぞれの競技で今活躍している選手は様々な不調や負傷を乗り越えてきた選手です。ある意味では「強運の持ち主」と言えるでしょう。
これからも夢に向かって多くの若者が自分のスポーツに挑戦していきます。またプロ選手もできるだけ長く活躍するために日々厳しい練習を通して研鑽を重ねます。夢に向かって努力を続ける人たちにエールを送りたいと思います。
注:トライアウト
そもそも日本のプロ野球におけるトライアウトは主に「12球団合同トライアウト」を指します。これは、各球団が独自に行う入団テストとは別に、全球団のスカウトマンの前で参加選手がアピールできる機会となっています。逆に、球団側としては現戦力に足りない選手を補強したり、自チームでは評価しているのに、なぜか他球団を戦力外になった、いわゆる掘り出し物選手を探す機会として有効活用されます。
(https://spojoba.com/articles/618より引用)
#561 教員の残業
アメリカ大統領選挙はトランプ氏の圧勝に終わりました。NHKや大半の民放は事前の報道特集番組でハリス氏を押していましたが、皮肉な結果となりました。ただ木村太郎氏はトランプの勝利を確信していました。彼はアメリカ社会の現状に詳しく、様々な情報を分析した結果、確信を得たようです。他の多くの評論家はアメリカの反トランプ支持のメディアの情報を鵜吞みにして選挙結果を予想したようです。つまり一方的に偏った情報を判断材料にしましたので誤った分析をしたことになります。かえってポリマーケットなど選挙を賭けにするサイトが今回の選挙の勝敗をみごとに予想したのはマスメディアに対する皮肉です。
今回の大統領選挙ではトランプの戦略勝ちというよりも、ハリスの一人負けの印象があります。敗因としては4年間の副大統領時代に顕著な政策をしなかったこと。討論をできないほど自分の意見を持っていいないこと。一例として候補者は演説でプロッターという原稿を映し出す装置を使用しますが、この装置が壊れた時にハリスが言葉を失い、30秒ほど同じ文言を繰り返したことがニュースで挙げられています。またバイデン大統領時代に物価高や社会不安が増加し、民主党に対し信頼を失くしたことも敗因として挙げられています。
とにかく今後4年間はトランプ政権が続きます。この政権に対してどのような国策が考えられるか、各国の首脳は頭を抱えていることでしょう。今回の大統領選挙に対して詳細に説明しているページがありますので、興味のある方は一読なさってください。
https://gendai.media/articles/-/137301
さて、前置きが長くなりましたが、今回のブログテーマは「教員の残業」です。公立、私立を問わず、教員の残業時間が以前から問題とされてきました。民間企業ではサービス残業を除いて、何らかの残業手当が出ますが、教員は残業しても手当は出ません。「教職調整額」という名目で若干の手当てが出ますが、残業手当ではありません。そんな折、公立校教員への残業代支給に関するニュースが報じられました。以下の記事が関連するニュースです。
----------
〈教員の残業〉
「働いた対価が得られないなんて意味不明」「まじめな教師ほど病む」
“教職調整額見直し”報道に現役教師たちが吐露するもっと深刻な問題
11月3日夜に共同通信により報じられた、公立校教員の残業代支給に関するニュース。現在は、残業代の代わりに一定額を給与に上乗せ支給する「教職調整額」という制度が採用されているが、処遇改善のために残業時間に応じた手当を支払う仕組みを導入する案が政府内で浮上し、関係省庁がこれを検討したというのだ。このニュースを現役教員たちはどう見たか。
<阿部文科相は報道を否定「教職調整額の廃止は考えていない」>
公立校教員らへの給与問題はこれまでにも紆余曲折があった。そもそも、残業代の代わりに給与に一定額を上乗せする支給制度「教職調整額」は昭和47年1月より実施されているもので、現在も基本給の4%が支払われている。
その後、長時間労働の常態化による教員のなり手不足の改善策として、文部科学省は令和8年1月から現在の3倍以上の13%に引き上げる方針を固め、予算を要求しているところだ。これが実現すれば、公立小教員の基本月給の平均(32万2300円)で月額約3万円の支給増となる。今回の共同通信の残業代支給に関する報道では、この「教職調整額」を廃止し、勤務時間をきちんと反映した賃金体系へと変える抜本的な制度転換だとされていた。
しかし11月5日、教育ニュースメディア「教育新聞」が、この報道を真っ向から否定。 同サイトでは、11月5日の閣議後会見で阿部俊子文科相が「教職調整額の廃止は考えていない。」と述べ、さらに「政府内で、いわゆる時間外勤務手当の部分の検討が行われているということは承知していない。」と否定したと報じている。
<生徒が帰ったあとにする仕事は無数にある>
教師にとっては「教職調整額」の引き上げが望ましいのか? それとも「残業代支給」が望ましいのか? そもそも教師たちは残業時間にどんな仕事をしているのか?
揺れる報道を前にする教師たちの意見を聞いた。兵庫県公立小学校の30代の男性教諭は言う。
「出勤時間はその教師により違うと思いますが、私は基本朝7時すぎには学校にいます。勤務時間は表向きは8時から17時の9時間拘束になっていますが、17時に帰れる日はほとんどありません。
残業してどんな仕事をしているかは、学校によって微妙に違いますが、私は事務的な仕事や保護者連絡、テストの作成や採点などをしています。まれに保護者対応で21時半くらいまで学校に残ることもあります。
また小学校の場合は運動会シーズンが非常に忙しく、休日や早朝に出勤することを求められるケースが多いです。教職調整額の引き上げや残業代支給よりも、そもそもの業務を減らしてほしいとは思います」
この意見に大きくうなずくのは、神奈川県公立高校に勤務する30代女性教諭だ。「いつも残業して、部活や授業の準備、授業で集めたプリントのチェック、行事の準備、高3の担任だと大学入試の推薦書の作成もします。
とにかく最初から業務量が多すぎて、定時には終わらない。あとは、どの程度まで仕上げるかによります。授業準備は時間をかけようと思えば無限にできるからです。だからこそまじめな教師ほど病むのです。ときどき定時で帰る先生もいますが、そういう方も家で何か作業している場合が多いです」
また、この女性教諭が勤める学校では、19時半になると学校から閉め出されてしまうという。「うちの学校だけなのかもしれませんが、19時30分になると強制的に職員室から全員追い出されます。そうなると自宅に仕事を持ち帰るしかない。『校務分掌』といって、学校を運営するために教員が分担して行なう仕事があり、この割り当てられた仕事を偏らないように分配するはずなのですが、若くて仕事ができる教師に偏ることが多い。
以前、本当は24時前には就寝したいところが深夜2時までかかり、朝6時起床で睡眠時間4時間というのが1ヶ月近く続いたときは辛かったです」
また、東京都公立中学校に勤める30代女性教諭もうなだれる。「テストの採点や授業準備、会議の資料作成など、生徒が帰ったあとにする仕事は無数にあるので、とてもじゃないけど残業しないと間に合いません。新任の頃は定期テストの作成が間に合わず、23時くらいまで学校に残ったこともありました」
<「調整額が増えたところで仕事の負担は減らない」>
この30代女性教諭は、「教職調整額」が引き上げられようと「残業代」が支払われようと、問題解決にはならないと言う。「どんな給料形態になろうと教員の仕事量が減るわけではないので、根本的な問題解決にはつながらないように思えます。仮に残業代支給の案が実現したところで、管理職から『残業するな』と圧がかかり、家に仕事を持ち帰ることになっては意味がないので、業務内容が改善されることを求めます」
さらに、仮に残業代支給が実現したとしても、次のような点に留意してほしいと言う。「教員の中には、仕事が極端に遅い人や明らかに何も用事がないのに遅くまで学校に残っている人もいます。残業規定がどのような内容になるかが重要だと思います。
『教員は残業するのが当たり前』という風潮があるので、もし政府が残業代支払いを本当に検討してくれているのなら、大きな一歩だと思います。残業代が出ないことは、教員のなり手不足の大きな原因のひとつだからです。現状、残業代が出ないのをいいことに、際限なく仕事が振られているように感じます」
最後に、東京都公立小学校の男性教諭のこんな言葉も印象的だった。「多くの教員が、もうあきらめムードです。調整額が増えたところで負担は減らないからです。教育学部に通う学生たちからも“働いた分の対価が得られないなんて意味不明だ”という声をよく聞きます。本来であれば残業代支給が好ましいとは思います。でも、おそらく阿部俊子文科相が否定しているのなら、残業代支給の策が実現することはないのでしょう。それであれば現場の人手を増やし、教師一人一人の業務量を減らしてほしい」
男性教諭は「時代に合った教育内容がかなり組み込まれ、教える範囲と業務量が莫大に増えた。国は一刻も早く、教師の給料形態よりも業務環境の現状見直しに重点を置いてほしい」と願う。
https://shueisha.online/articles/-/252107?page=1
----------
上記の教員の意見にありますように、残業代をもらえるよりも、すべて学校でクラス担任・副担任制を実施し、仕事の軽減を実施することが一番です。しかし、昨今では教師になる学生が減少しています。少しでも優秀な教員を確保する手段として、「民間企業よりも初任給を良くすること」、「賃金体系を良くすること」が挙げられますが、金銭面の改善だけではありません。実態に応じた教員の働き方改革が必要です。
「教育は国家百年の計」と言われます。国の将来を決めるのは教育です。OECD加盟国の中で日本は教育にかける費用が最低です。明治時代には富国強兵のために優秀な講師を海外から招聘し、優秀な教員を育成し、優秀な生徒・国民を育てました。時代背景は異なりますが、日本の国力が低下している現状で、国力を取り戻すには優秀な国民を育てる必要があります。そのためには優秀な教員の確保が絶対必要です。この点を今の政治家は理解していません。目の前の短期的な利益に追われ、長期的に国家を運営する視点に欠けています。実に嘆かわしいことです。
#560 醜い争い
昨日、台風崩れの低気圧が全国各地にかなりの大雨を降らせ、11月としては記録的な雨量となりました。この時期に発生する台風は通常日本列島の東側を通りますが、今回の台風は真夏の台風のような動きをして、進路直下の台湾でも大きな被害が出ているようです。今年の夏は例年になく異常な夏でした。10月下旬まで真夏日が続き、来週からようやく秋というより、晩秋になるそうです。一気に寒くなりますので、体調の管理が必要になります。
さて、前回に引き続いて今回も選挙の話題になります。先週の日曜日に行われた衆院選ですが、予想通りに与党の惨敗という結果になりました。特に自民党はかなりの議席を減らし、党内から責任追及の声が上がっています。今回の自民党の顛末を考えると、「評論家はトップに立てない」ということが明白になりました。もちろん石破総裁のことです。彼は党内野党として絶えず政権を批判してきました。それが党内よりも一般市民に人気があった理由でもあります。また、若いときには当時選挙で惨敗した首相や幹部に対して退陣を迫った経緯があります。今回同じことを自ら経験しながら、今のところ退陣する気配は全くありません。彼の過去の言動が今度は自分の身に降りかかっています。彼が今後どのように振舞うか慎重に見守る必要があります。まさに「巧言令色鮮(すくな)し仁」です。
さて、今週の火曜日(日本時間は水曜日)に次期アメリカ大統領を決める選挙が行われます。現在トランプ、ハリス両者の激しい戦いが続いています。アメリカ大統領と言えば世界に大きな影響を与える超大国です。アメリカ歴史上偉大な大統領を多く輩出した国です。ところが最近の大統領選挙を振り返りますと、あまりにも品のない情けない選挙活動が目に余ります。お互いを口汚く非難し、なじり合い、大統領候補の威厳とかけ離れたものになっています。このような者が大国アメリカのリーダーになり、世界をリードするとは本当に悲しいことです。どちらの候補者がなっても世界をより良い方向で導くのは不可能だと思います。世界はますます混迷を深めていくことでしょう。
日本の選挙と異なり、アメリカの選挙は各州に選挙人の数が振りあてられ、候補者は各州で半分以上の票を確保した人が選挙人を丸ごと獲得する形式となります。選挙人は各州で人数が異なり、激戦州にかなり多くの選挙人が存在します。詳細は以下のページでご確認ください。
NHK:https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/us-election/flow/
トランプ、ハリスの激しい選挙活動の結果、どのような結果が待ち受けているか誰にも分かりません。また無視できないのが、ロシアや中国など様々な国が大統領選挙の裏で怪しく蠢(うごめ)いています。自国の有利になるようにインターネットを通して選挙を妨害しています。このような状況下で、まさに今後の世界の動向を決める重要な選挙となります。アメリカ国民ならずとも注目したい選挙です。
追記:明日11月4日は「学習塾二コラ」の創立日です。2015年に当塾を始めましたので、明日で10年目に入ります。長いようで、あっという間の時間でした。もう少し当塾を続けようと思います。応援よろしくお願いします。
#559 巧言令色
今日は10月最後の日曜日です。例年であれば10月初旬に既に衣替えを行い、長袖シャツに着替えるのですが、最高気温25度を超える夏日がまだ続いていますので、半袖で充分過ごせる日々が続いています。しかし季節の移り変わりは風景の中に現れ、車窓から眺める稲田はすでに稲刈りも終了し、静かに佇んでいます。また裏通りにはモクセイの甘い香りがほのかに漂っています。秋本番の今日この頃です。
ところで、本日は第50回衆院選の投票日で、全国各地で投票が行われています。私も午前中に近くの小学校で投票を済ませました。今回の選挙結果は今日の午後8時以降にNHKや民放で一斉に報道されます。次の国政に影響を与える重要な選挙となります。昨日まで全国各地で遊説や集会が行われ、各政党の党首や関係者による応援演説がニュース番組などを通して流れていました。
さて、本日のブログタイトルは「巧言令色」です。この意味は広辞苑によりますと、
[論語(学而)「巧言令色鮮(すくな)し仁]
口先がうまく、顔色をやわらげて人を喜ばせ、こびへつらうこと。仁の心に欠けることとされる。
とあります。また「仁」の定義は、「いつくしみ。思いやり。特に孔子が提唱した道徳観念。礼にもとづく自己抑制と他者への思いやり。...」とあります。たしかに口先だけがうまく、実行が伴わない行為は今回の多くの政治家たちによる遊説の中に多く見られました。彼らの政策は聞こえは良いが、本当に実行できるのでしょうか。政策を実施する予算はどこから出てくるのでしょうか。まさか増税して、それを財源とするのではないでしょうか。
ここで日本国民は本当に誰がこの国を幸福に導いてくれるのか賢い判断をしなければなりません。それが今回の選挙です。例えば「外交・安全保障」に関しても問題が山積です。先日のニュースではロシアと北朝鮮の新たな関係が報道され、北朝鮮の兵士およそ12000人がウクライナ戦争に向けて派兵されるそうです。これは朝鮮半島で何らかの紛争が勃発すればロシアが北朝鮮を支援することを意味します。まるで明治時代の朝鮮半島をめぐる日露戦争を思い起こします。
また今回の選挙にかかわらず、大いに懸念されることは投票率の低さです。特に若者たちの投票率が常に話題になりますが、この原因の1つに学校教育の欠点が上げられるでしょう。2022年(令和4年)4月から高校で「金融教育」が義務化され、資産形成の授業がスタートしました。いわゆる「金儲けの授業」が行われています。しかし本当に重要なのは、この国の現在の状況を若者に認識させ、どのように日本丸の舵取りを行っていくかを教えることです。
国が亡くなれば、国民は路頭に迷います。これは昭和20年の敗戦が如実に証明しています。そのような状況を防ぐために、私達国民は賢い政治家を選び、彼らに対して様々な意見を述べ、政治家が正しい政治を行っているかを絶えず監視していく責任があります。その主たるものが国政選挙です。口先ばかりの「劇場型政治家」を選ぶのではなく、日本丸を正しい進路に導いてくれる至誠の政治家を選ばなければなりません。
今回の選挙で日本の将来が決まります。世界中で現在多くの紛争が続いていますが、それがいつ世界大戦へ拡大していくか懸念する必要があります。中東紛争やウクライナ戦争のヨーロッパ拡大、朝鮮半島を含む極東アジアの紛争勃発など様々な懸念が世界中にあふれています。日本がこれらの紛争にいつ巻き込まれてもおかしくない情勢です。自己の利益に奔走するのではなく、大所高所から日本丸を導いてくれる政治家を選ばないと、この国の将来はありません。その大事な局面が今回の選挙です。
注:劇場型政治
単純明快なキャッチフレーズを打ち出し、マスメディアを通じて広く大衆に支持を訴える、ポピュリズム的政治手法。敵対勢力を悪役に見立て、自分は庶民の味方として戦いを挑むといった構図を作り上げ、国民の関心を引きつける。日本では小泉純一郎が得意とした手法。(「Goo辞書」からの引用)
#558 読者が選んだ昭和の名曲(2)
前回のブログで産経新聞による「読者が選んだ昭和の名曲」において、世代別データがないと書きましたが、別日の記事で集計がされていましたので、改めて追加資料として本日掲載します。
----------
『「青春の思い出」か「カラオケの定番」か 読者が選んだ昭和の名曲、年代別ベスト10』
産経新聞社と産経リサーチ&データが募集した「読者が選ぶ昭和の名曲」では年代別の特徴もみられました。多くの世代で1位は「なごり雪」でしたが、年齢層が上がるにつれ、ビリー・バンバンの「白いブランコ」(作詞・小平なほみ、作曲・菅原進)、加藤登紀子さんの「知床旅情」(作詞作曲・森繁久彌)などがトップテン入りしました。
50代では、渡辺美里さんの「My Revolution」(作詞・川村真澄、作曲・小室哲哉)やレベッカの「フレンズ」(作詞・NOKKO、作曲・土橋安騎夫)など、ちょうど青春時代の曲が上位に。40代以下は荒井由実さんの「ルージュの伝言」(作詞作曲・荒井由実)、TMネットワークの「Get
Wild」(作詞・小室みつ子、作曲・小室哲哉)などリアルタイムで聞いたというよりもカラオケなどで人気の曲が選ばれたようです。
●は全体10位以外の曲
<30代以下>
①なごり雪(イルカ)昭和50年
②時代(中島みゆき)昭和50年
③●ルージュの伝言(荒井由実)昭和50年
④神田川(かぐや姫)昭和48年
④卒業写真(荒井由実)昭和50年
⑥●勝手にシンドバッド(サザンオールスターズ)昭和53年
⑦いとしのエリー(サザンオールスターズ)昭和54年
⑧●バラが咲いた(マイク真木)昭和41年
⑨●贈る言葉(海援隊)昭和54年
⑩●恋人はサンタクロース(松任谷由実
<40代>
①なごり雪(イルカ)昭和50年
②時代(中島みゆき)昭和50年
③●Get Wild(TMネットワーク)昭和62年
④●M(プリンセスプリンセス)昭和63年
④●ルージュの伝言(荒井由実)昭和50年
⑥神田川(かぐや姫)昭和48年
⑦卒業写真(荒井由実)昭和50年
⑧●Runner(爆風スランプ)昭和63年
⑨●フレンズ(レベッカ)昭和60年
⑩●夢をあきらめないで(岡村孝子)昭和62年
<50代>
①なごり雪(イルカ)昭和50年
②時代(中島みゆき)昭和50年
③●My Revolution(渡辺美里)昭和61年
④●銀河鉄道999(ゴダイゴ)昭和54年
⑤いとしのエリー(サザンオールスターズ)昭和54年
⑥異邦人~シルクロードのテーマ(久保田早紀)昭和54年
⑦●フレンズ(レベッカ)昭和60年
⑧卒業写真(荒井由実)昭和50年
⑧●初恋(村下孝蔵) 昭和58年
⑩神田川(かぐや姫)昭和48年
<60代>
①なごり雪(イルカ)昭和50年
②22才の別れ(風)昭和50年
③神田川(かぐや姫)昭和48年
③時代(中島みゆき)昭和50年
⑤心の旅(チューリップ)昭和48年
⑥学生街の喫茶店(ガロ)昭和47年
⑦卒業写真(荒井由実)昭和50年
⑧風(はしだのりひことシューベルツ)昭和44年
⑨いとしのエリー(サザンオールスターズ)昭和54年
⑩異邦人~シルクロードのテーマ(久保田早紀)昭和54年
<70代>
①神田川(かぐや姫)昭和48年
②なごり雪(イルカ)昭和50年
③学生街の喫茶店(ガロ)昭和47年
③時代(中島みゆき)昭和50年
⑤風(はしだのりひことシューベルツ)昭和44年
⑥●白いブランコ(ビリー・バンバン)昭和44年
⑦22才の別れ(風)昭和50年
⑧●帰って来たヨッパライ(ザ・フォーク・クルセダーズ)昭和42年
⑨●知床旅情(加藤登紀子)昭和45年
⑩●ジョニィへの伝言(ペドロ&カプリシャス)昭和48年
<80代以上>
①神田川(かぐや姫)昭和48年
②●知床旅情(加藤登紀子)昭和45年
③●昴-すばる-(谷村新司)昭和55年
④なごり雪(イルカ)昭和50年
⑤●白いブランコ(ビリー・バンバン)昭和44年
⑤●恋人よ(五輪真弓)昭和55年
⑦●バラが咲いた(マイク真木)昭和41年
⑦●関白宣言(さだまさし)昭和54年
⑨●青春時代(森田公一とトップギャラン)昭和51年
⑩●青葉城恋唄(さとう宗幸)昭和53年
<全体>
①なごり雪(イルカ) 昭和50年
②神田川(かぐや姫)昭和48年
②時代(中島みゆき)昭和50年
③22才の別れ(風)昭和50年
⑤心の旅(チューリップ)昭和48年
⑥学生街の喫茶店(ガロ)昭和47年
⑦卒業写真(荒井由実)昭和50 年
⑧異邦人~シルクロードのテーマ(久保田早紀)昭和54年
⑨いとしのエリー(サザンオールスターズ)昭和54年
⑩風(はしだのりひことシューベルツ)昭和44年
https://www.sankei.com/article/20241014-UODUB63QQNDOPITFK33E6LUXRQ/
----------
以上が世代別の人気曲トップ10になります。世代を超えて人気のある楽曲はかぐや姫が作った3曲(神田川、22才の別れ、なごり雪)です。なごり雪は元々かぐや姫の楽曲ですが、イルカが歌ってヒットさせた曲です。読者の皆様はどの曲が一番好きですか?
#557 読者が選んだ昭和の名曲(1)
「歌は世につれ、世は歌につれ」と言いますが、流行した楽曲はまさにその時代の特徴を如実に示しています。先日産経新聞で『プレイバック「昭和100年」』の一環として「読者が選ぶ昭和の名曲―フォーク・ロック・ポップス部門」が発表されました。昭和時代に流行した今日のJ-POPにつながるフォーク・ロック・ポップスの名曲が読者により選ばれました。その結果は次のようになっています。産経新聞より転載します。
----------
『四畳半フォークか、ニューミュージックか 読者が選んだ昭和の名曲、好み分かれた男女別発表』
産経新聞社と産経リサーチ&データが募集した「読者が選ぶ昭和の名曲―フォーク・ロック・ポップス部門」では男女別の特徴もみられました。
<男性1312人の投票結果>
①なごり雪(イルカ)昭和50年 384票
②神田川(かぐや姫)昭和48年 363票
③時代(中島みゆき)昭和50年 294票
④22才の別れ(風)昭和50年 265票
⑤学生街の喫茶店(ガロ)昭和47年 242票
⑥心の旅(チューリップ)昭和48年 239票
⑦風(はしだのりひことシューベルツ)昭和44年 195票
⑧帰って来たヨッパライ(ザ・フォーク・クルセダーズ)昭和42年 188票
⑨酒と泪と男と女(河島英五)昭和51年 182票
⑩異邦人~シルクロードのテーマ(久保田早紀)昭和54年 179票
⑪卒業写真(荒井由実)昭和50年 178票
⑫ジョニィへの伝言(ペドロ&カプリシャス)昭和48年 155票
⑫昴-すばる-(谷村新司)昭和55年 155票
⑭いとしのエリー(サザンオールスターズ)昭和54年 153票
⑮知床旅情(加藤登紀子)昭和45年 149票
⑯クリスマス・イブ(山下達郎)昭和58年 146票
⑰精霊流し(グレープ)昭和49年 145票
⑱白いブランコ(ビリー・バンバン)昭和44年 142票
⑲戦争を知らない子供たち(ジローズ)昭和46年 139票
⑲『いちご白書』をもう一度(バンバン)昭和50年 139票
<女性700人の投票結果>
①時代(中島みゆき)昭和50年 199票
②なごり雪(イルカ)昭和50年 192票
③卒業写真(荒井由実)昭和50年 134票
④神田川(かぐや姫)昭和48年 130票
⑤いとしのエリー(サザンオールスターズ)昭和54年 121票
⑥心の旅(チューリップ)昭和48年 107票
⑥異邦人~シルクロードのテーマ(久保田早紀)昭和54年 107票
⑧22才の別れ(風)昭和50年 97票
⑨クリスマス・イブ(山下達郎)昭和58年 97票
⑩学生街の喫茶店(ガロ)昭和47年 92票
⑪あなた(小坂明子)昭和48年 83票
⑫ルージュの伝言(荒井由実)昭和50年 80票
⑬M(プリンセスプリンセス)昭和63年 74票
⑭ルビーの指環(寺尾聰)昭和56年 73票
⑮花の首飾り(ザ・タイガース)昭和43年 69票
⑯精霊流し(グレープ)昭和49年 68票
⑯初恋(村下孝蔵)昭和58年 68票
⑱ジョニィへの伝言(ペドロ&カプリシャス)昭和48年 67票
⑱風(はしだのりひことシューベルツ)昭和44年 63票
⑳勝手にシンドバッド(サザンオールスターズ)昭和53年 62票
⑳フレンズ(レベッカ)昭和60年 62票
男性のベスト3は全体とほぼ同じ順位でしたが、女性は中島みゆきさんの「時代」(作詞作曲・中島みゆき)がトップ、全体では7位だった荒井由実さんの「卒業写真」(作詞作曲・荒井由実)が3位に選ばれました。
「卒業写真」はハイ・ファイ・セットへの提供曲で、後に荒井さんのセルフカバー曲としてアルバムに収録されました。卒業ソングの定番として知られます。
他に女性では山下達郎さんの「クリスマス・イブ」(作詞作曲・山下達郎)、小坂明子さんの「あなた」(作詞作曲・小坂明子)も上位に入りました。男性はザ・フォーク・クルセダーズの「帰って来たヨッパライ」(作詞・ザ・フォーク・パロディ・ギャング、作曲・加藤和彦)、河島英五さんの「酒と泪と男と女」(作詞作曲・河島英五)がトップテン入りしています。
「四畳半フォーク」と呼ばれたかぐや姫などの曲は女性より男性の人気が高く、荒井さんや山下さんら「ニューミュージック系」は女性により支持されている傾向が伺えました。
https://www.sankei.com/article/20241019-BM4WH7BYR5G3TMVXWBHM4VINQE/
----------
上記の選曲はいずれも時代を超えたまさに名曲と言えます。参加者の年齢層が分かりませんが、おそらくa 40代以上の読者が中心ではないでしょうか。年齢別による選曲の傾向が分析されていれば、さらに選曲の傾向が見られたかもしれません。
ところで私見ですが、現在のJ-POPと比べて、この時代の楽曲は叙情豊かでメロディも分かりやすく、歌いやすい傾向があります。それに比べて現代の流行歌はその世代に応じたヒット曲が中心になっているような気がします。言い換えれば、世代が異なると全く異なる楽曲がヒットし、世代間を超えた昭和時代の楽曲と違い、その世代のみに楽曲が共有されるようです。この傾向は年末のNHK紅白歌合戦が如実にその傾向を示しています。出場する歌手やバンドはその世代だけに人気がある傾向があります。
産経新聞による上記の楽曲の多くは世代を超えて歌い継がれた名曲ばかりです。音楽の教科書に採用された曲もたくさんあります。これらの楽曲はあと数10年もすれば、「赤とんぼ」や「ふるさと」のように新しい唱歌として歌い継がれていくことでしょう。(独断と偏見に満ちた解説でした。(笑))
#556 ヒバクシャ
本日は三連休の中日で湿度も低く、さわやかな秋日和で、観光地は多くの人で混雑していることでしょう。夏の酷暑も終わり、ようやく秋本番となりました。街角には、ひと月遅れでやっと彼岸花が咲き、今年の夏が異常に暑かったことを示しています。
さて、ご存じのように11日の午後にノーベル平和賞が発表され、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が受賞しました。私は午後7時のNHKニュースで知りましたが、全く予想していませんでしたので、正直驚きました。被爆者を始めとする様々の関係者のこれまでの長い努力の結果だと思います。
核兵器を禁止する活動はこの受賞で終わるのではなく、これからも長く続けなければならない活動です。実際、関係者の高齢化などにより、日本被団協の支部が無くなった事例もあります。世界で紛争が絶えない情勢で、核兵器が使用される危険性が身近になってきました。そこで、この団体を政府や国民が支え、今まで以上に世界に向けて核廃絶を訴える必要があります。ちなみに「ヒバクシャ」は世界共通語となっています。
しかしながら核兵器や被爆者の実像を日本以外の多くの国や地域ではあまり認識していないのが現状です。原爆を投下したアメリカ国民さえも原爆投下は当然だという意見があります。この証左となる記事を今日はご紹介します。かなり長い記事ですが、アメリカ人の考え方の一端を知ることができます。
----------
『「原爆投下は正当だった」アメリカ人学生の言葉に日本人精神科医が返した言葉』
<世界は日本人が思う以上に原爆の悲劇を知らない>
10月11日、2024年ノーベル平和賞に日本被団協「日本原水爆被害者団体協議会」が選ばれた。広島・長崎に原爆が投下されてから79年の悲願がやっと実った形となった。
様々な国が受賞に関して報道し、79年前広島・長崎で何が起きたのか、日本被団協が長年発信してきた「核なき世界」への様々な活動やメッセージなども紹介された。
しかし、アメリカと日本では原爆投下に関して温度差は大きい。「アメリカで第二次世界大戦について語られるのは、ヒットラーやユダヤ人大虐殺についてが中心です。そして、映画やドラマといったメディアで題材として多く扱われるのは、第二次世界大戦後の冷戦に突入してからのロシアとの駆け引きばかり。原爆投下に関しては、“投下した”という事実以外、ほとんど語られることがありません。
実際にあのとき、広島や長崎にいた人々が体験した“人間としてのストーリー”は語られることがほとんどないのです」というのは、『ソーシャルジャスティス
小児精神科医、社会を診る』(文春新書)、新刊『うつを生きる 精神科医と患者の対話』などの著書があるハーバード大学医学部准教授で小児精神科医の内田舞さんだ。
内田さんの祖父は広島出身で、現在も多くの親戚が広島に暮らし、祖父や親戚から、原爆の体験について伝え聞くことが多かったという。しかし、アメリカで暮らすと、原爆に対する意識は、日本と大きく異なる場面が多々あるという。
この内田さんの違和感は、調査報告にも示されている。2015年の米国世論調査機関「ピュー・リサーチセンター」の調査では、広島と長崎への原爆投下について、18歳から29歳のアメリカの若者の47%が「正当だった」と解答している。
2023年7月、アメリカで映画『オッペンハイマー』公開されたことで、内田さんはアメリカと日本の原爆投下への意識の違いについて、原稿を寄稿した。公開後、多くの人の共感を呼び、話題を集めた記事となった。前編『原爆軽視が根付くアメリカ。『オッペンハイマー』に日本人精神科医が今思うこと』に引き続き、内田さんがアメリカの学生たちと第二次世界大戦や原爆について対話したエピソードを再構成しお届けする。
<アメリカの学生との対話で感じた想い>
10年以上前のことですが、アメリカ人の学生とこんな会話がありました。その学生は日本語を学び、日本を訪れたときに広島の原爆記念館を訪ねたそうです。そこで日本人が「こんなことをしたアメリカ人は絶対に許せない」と言っていたのを聞き、それに反感を覚えたというのです。
「アメリカがあのタイミングで原爆投下して、どれだけ破壊力があるかを世界中に知らしめられたことで、冷戦中の核兵器使用が防がれた。世界の滅亡を避けられたじゃないか。大体、日本は被害者なのか。ユダヤ人大虐殺をしたドイツと連盟を組んで、他のアジアの国にもひどいことをしたじゃないか。それでいて第二次世界大戦といったら原爆投下の被害ばかり語るのっておかしくない?
そもそも戦争中っていろんな国がめちゃくちゃひどいことをしたわけだから、日本が、日本が、って核兵器についてばかり言うのはおかしいと思う」
その場にいた日本人は私ひとりだったので、とても孤独な状況でしたが、私は勇気を出してこう発言しました。「日本が他国にした酷いことはもっと語られなければならない。戦時中、日本国政府が日本国民に発したメッセージの問題に対しても、もっと学ばなければいけないことはたくさんある。日本国政府が当時、国際政治の中でよくない判断を下したことも間違いない」
さらに続けてこう言いました。「でも、それでも私は、日本から『Never Again(二度と繰り返さない)』というメッセージは発し続けなければならないと思う。
誰かの責任だということは簡単だけど、それだけが注目されるべき問題ではない。日本に原爆が投下されたのは『冷戦での使用を防ぐための投下』というような、核戦争や核兵器についての議論を『理論的には』と、実体験から隔離した机上の空論のように語るのは良くないことだと思う。実際、原爆投下後のヒロシマやナガサキでどれだけの人がどのように亡くなったのか……。
熱波で瞬間的に消えてしまった命、爆風にとばされた人、ガラスのかけらが体中に刺さった人、皮膚がとけ落ちてしまった人、ひどい火傷で川に飛び込んで亡くなった人、白血病で血を吐きながら亡くなった人、親を亡くした子どもたち……。もっともっと様々な生き様がそこにあり、その人々のストーリーなしには核兵器は語られるべきではない。それがNever
Againに繋がると思う」
さらに、同じ会話の中で、アメリカ人の大学生から「9.11とカミカゼ特攻隊を比べるのを嫌がる日本人がいるのもおかしい」という発言もありました。私は「航空機で突進する、という点で、9.11のテロリストとカミカゼ特攻隊の類似点はわかる。そして戦争中ではないときに、一般市民を無差別殺人した9.11のテロリストと特攻隊の加害は違う、という人がいるのもわかる。でも、何よりも『カミカゼ』という言葉でしか特攻隊のことを知らずにイメージするものと、実際の人のストーリーを通して抱くイメージは全く違うものだと思うよ」と話しました。
<それぞれの立場で感じ方は違う>
私は、両親が以前、鹿児島県にある「特攻の町」知覧を訪れたときに買ってきた本がとても印象的だったので、アメリカにも持って来ていました。私は彼らにその本を見せ、そこに掲載されている、出陣前に親や好きな子宛に書いた特攻隊員の手紙を訳して伝えました。
「今更だけど読みたい本」の題名を綴った手紙、特攻への恐怖を綴った手紙、好きな子への想いを綴った手紙……。写真を見るとまだあどけない10代の思春期の子どもの特攻隊員もいたことを伝えました。
私の発言を聞いていたアメリカ人の友人達は、「単なる敵国のクレイジーな戦略だとしか教わってこなかったが、こんなに若い子たちだったなんて知らなかった……。こんな子どもの兵士が、心の中では怖いと思いながら飛んでいたなんて考えたこともなかった」「舞が話してくれなかったら一生知らなかったと思う」とさまざまな感想を伝えてくれました。
このとき、日本人が私ひとりだったこともあり、日本の人のストーリーをここで語れるのは私しかいないという重圧と、だからこそ湧く使命感を感じ、「わかってもらえるだろうか」と不安を抱えながら、私なりの言葉で伝えたのですが、学生たちの優しい言葉を受けて、なんだかわからないような感情が溢れてきて、皆の前で泣いてしまいました。
このときの自分の言葉には何も後悔はありませんが、実はこの話には続きがあります。後日、とても仲が良いシリア人とスペイン人のハーフの友人に「学生たちとこんな対話があったんだよ」と話すと、彼は「僕は9.11のテロリストと日本の特攻隊の違いはわかるけど、どちらも不道徳で腐敗した国家や権力の下で犠牲になった若者だったという点は同じなのではないかと思う」と、ちょっと怪訝な顔で言ったのです。
この言葉を聞いて、私はシリア人である彼にとって、9.11にまつわる話題をアメリカで語ることがいかに居心地の悪いものであるか、そして同時多発テロだけでなく、実際内戦中のシリアで何が起きているのか、それが一般市民にとってはどのような経験なのか、そういった母国を持つ彼にとってこの話題はどんな思いなのか、といったことを考えずに話してしまったなと、ハッとしました。
私が謝ると、その場にいたもう一人の友だちが「同じことを話しても受け取り方が違うこと、またその背景にハッとすることや、『やっちゃった』という体験を通して、私たちの中で理解や共感が生まれるんじゃないかな」と語ってくれました。確かに、互いの理解を深めるためには、対話を重ね知ることがなければ、理解や共感は生まれません。とても大事な言葉をもらったと感じました。そう話してくれた友人はその後国境なき医師団に入り、シリアから亡命した難民の精神科医として活躍しました。未だに仲の良い、尊敬している友人です。
<体験した人たちの声がいかに大事か>
私は今年『ソーシャル ジャスティス小児精神科医、社会を診る 』という本を書きましたが、その中で第6章に「ベトナム帰還兵との対話 ThemとUsは簡単に分けられない」というタイトルで、私がイエール大学の研修医だったときに受け持った患者さんとの対話を綴りました。
ベトナム戦争から帰還したアメリカ兵である患者さんは、ベトナムでのトラウマからアジア人を心から嫌う人種差別主義者になってしまい、そしてPTSDの治療のために来た病院で割り当てられたのが日本人である私だったという実話です。この帰還兵さんと出会ったときは、彼の差別的な言葉に圧倒されて、私も彼に嫌悪感を抱きました。しかし、彼が「おまえは何人だ?」と質問したのに対して、私が「教えてあげるけど、まずはなんでそれを知りたいかを教えてほしい」と返したことで、彼の様々な体験と正直な思いを語ってくれることとなったのです。
それから2年間、彼は治療のため毎週通院しました。そして、私との対話を重ねることで、次第に彼の心が変化していく姿を目の当たりにしたのです。この体験は私に、戦争やトラウマという体験の複雑さも含め、分断の反対側にいるように見える人とも、心の交流を通して分断を乗り越えられるという希望を抱かせてくれました。また同時にこの体験は、人々の行動や感情の発露に注目して耳を傾け、一面的でなく多面的に向き合うことの大切さを改めて学ばせてくれました。「経験の共有が共感を作る」、そして「その共感が平和を守る」……私はそう信じています。
しかし、人の中で出会える人の数は限られています。だからこそ、芸術やメディアを通して知ることのできる他の人のストーリー、経験には価値があるのです。
『ソーシャルジャスティス』の第5章では、「アメリカ社会の差別から学ぶ アジア人男性とハリウッド」という問題に触れ、メディアに映し出されるものが、いかに人々の考え方に影響を及ぼすものかを語りましたが、その中で「世界中の人々の多様な経験を反映させた物語を想像する」というディズニーの提言についても次のように綴りました。一部抜粋します。
以前、第二次世界大戦末期の硫黄島での日米の戦いを、日本兵の視点で描いたクリント・イーストウッド監督の映画『硫黄島からの手紙』を見たアメリカ人が、「敵国の日本人にも家族や彼女がいたりして、それぞれの思いで戦争を生き抜いたことを初めて知った」と答えている印象的なインタビューを見たことがあります。それまでアメリカで観た戦争映画では、敵国の軍人たちはただ敵として描かれるだけで、それぞれの暮らしぶりや顔が思い浮かぶことがなく、彼らの人生や物語について考えるきっかけがなかったのだと。しかし「世界の様々な人の経験を描く」ことは、自国中心の歴史観の裏に隠れていた、いくつもの生きた声に触れることを可能にしてくれる。そのなかで単純な敵・味方にとどまらない歴史観が育まれるのだと思います。
アメリカやヨーロッパで核兵器に関して議論される際、私は日本人として、どうしても違和感を感じることが少なくありません。それは、核の抑止力のような核兵器にまつわる理論や核兵器保持の必要性を正当化する政治的な背景ばかりが議論され、実際核兵器が使用された後の人々の苦しみの悲惨さが語られないからです。こう感じるのは、私が日本で受けた教育や、『はだしのゲン』などの漫画や、井伏鱒二の『黒い雨』などの小説、そして広島出身の祖父や親戚の実体験から、実際に核に翻弄された人々の人生を知る機会に恵まれたからでしょう。日本から世界に伝えなければならないストーリーが広く語られることを祈っています。
(『ソーシャル ジャスティス小児精神科医、社会を診る 』より)
私はこうして海外在住の日本人である私の経験を共有する機会をいただけて、とても光栄です。そして、これからも日本の人間のストーリーを世界の中で語っていくつもりです。
こうしている今も、ロシアとウクライナ、イスラエルとパレスチナなど世界では武力での衝突が続き、核への脅威は非常に危ういところに来ていると感じます。今回のノーベル平和賞は、そういった核の脅威が迫っていることのひとつの問題提起であるとことは確かです。この受賞は活動されてきた日本被団協の方々の血のにじむ努力の賜であると同時に、私たちはその思いを引き継ぎ、発信し続けなければならないと、受賞のニュースをボストンで見ながら強く感じました。
ヒロシマ・ナガサキから「Never Again(二度と繰り返さない)」のメッセージを世界に広めていくこと、世界唯一の被爆国の日本だからこそできる、とても重要な平和へのアクションだと思うのです。
https://gendai.media/articles/-/139204
----------
核戦争の危機は今まで以上に差し迫っています。ウクライナ紛争において戦況次第ではロシアが戦略核兵器を使用する可能性があります。北朝鮮では核ミサイル開発に取り組んでいます。イスラエルはイランに対して先制攻撃で核ミサイルを使用することを考えています。このようにいつ核兵器が使用されてもおかしくない世界情勢で、日本被団協のノーベル平和受賞は核兵器を用いる紛争に対する警告として、大きな意味を持つことになります。
世界中の人たちが大国の愚かな支配者の核使用の欲望を阻止するために、草の根運動として核廃絶運動を今まで以上に取り組む時代が今です。
#555 スズメ
日中はまだ夏日が続いていますが、朝夕は涼しく、秋らしい季節になりました。あと二週間もすれば各地で稲刈りが始まります。収穫後の田んぼにはスズメなどの鳥が集まり、落ち穂をついばむ姿を見ることができます。のどかな田舎の原風景がそこにあります。ところが私だけでしょうか、最近スズメの姿をすっかり見なくなりました。以前は電線などに多くのスズメが一列に並んで、さえずる声が聞こえたものですが、最近はあまりその姿を見る機会が減ってきたような気がします。この私の懸念は当たっていました。つい最近スズメなどの生物に絶滅危惧種の心配がでてきたのです。次の記事がその深刻な状況を伝えています。
---------
『スズメが絶滅危惧種に? 里山の鳥、チョウが急速に減少』
環境省と日本自然保護協会は1日、国内各地で動植物の状況を定点観測した結果、里山に生息する鳥類の15%、チョウ類の33%で個体数が年3・5%以上のペースで減っているとの報告書を公表した。この減少ペースが長期間続けば、スズメなどの身近な鳥やチョウが環境省レッドリストの絶滅危惧種の判定基準を満たす可能性があるという。
環境省などは2003年度から、全国のボランティアの協力を得て、国内1000カ所で生態系の変化を調査する事業「モニタリングサイト1000」を継続している。今回の報告書では22年度までの調査結果をまとめた。
報告書によると、身近な鳥やチョウの減少が特に顕著で、スズメは年3・6%、日本の固有種のセグロセキレイは8・6%のペースで減っていた。オオムラサキの減少率は年10・4%とさらに深刻だった。農地や湿地などの開けた環境を好んで普段よく目にする種が減少していたという。
環境省によると、地球温暖化で生存に適した気温ではなくなったことや、管理されなくなった里山が増えて生息環境が変わったことなどが背景にあるとみられる。
調査に助言などをする専門家委員の石井実・大阪府立大名誉教授(昆虫生態学)は「深刻な結果だ。全国規模で里山の自然環境が変貌している」と話す。
里山以外でも気候変動の影響とみられる変化が表れている。全国的に南方系のチョウが増加し、暖かい気候を好む樹木が増えた。アカガエルの産卵日が10年で5~10日早まり、サンゴ礁では夏の高水温が原因とみられる白化現象が頻繁にみられるようになった。
湿地の減少など環境悪化による影響も深刻だという。シギやチドリなど内陸の湿地や沿岸域に生息する鳥類が10年間で半減し、島しょ部ではカモメ類が大きく個体数を減らしたことが分かった。
日本自然保護協会は調査結果を受け、生物多様性の回復に向け、モニタリング体制の強化とともに、地域で環境保全を進めるために「官民の支援の充実が求められる」などとする提言を公表した。
https://mainichi.jp/articles/20241001/k00/00m/040/201000c
----------
上記にあるように、私達人間の生活と共に生きてきたスズメの数が激減しています。確かに田舎の人口減少に伴い、農地や里山が適切に管理されなくなったのが原因の一つと考えられます。ヒグマが住宅地に現れる現象も同じ理由からでしょう。以前は里山と森林の境界に柿などの実のなる木を野生動物のために植えておき、彼らの寒い時期の食料としていました。しかし人口減少により森林の手入れができず、その影響で動物が食べるエサが無くなり、結果としてヒグマなどの野生動物が人里に出没する事例が多くみられます。昨日のニュースではヒグマが出没しないように、人里の境界にある柿の木を切り倒すということが行われていました。何か本末転倒のような気がします。
自然環境を私たちが守り、手入れすることで、そこで暮らしている生物の環境を守ることができます。太古から人間と自然はお互い切り離せない存在です。他の生物の存在を無視する人間中心の文明は自然崩壊とともに滅んでいくことでしょう。自然保護のために今何らかの対策を立てなければ、昨今の世界中で起こっている自然災害のように人間の生活を破壊することになり、現代文明は終わりを迎えます。スズメの減少はその一端を表しています。
#554 異文化体験
日中はまだ30度を超える日々が続いていますが、朝晩はかなり涼しくなり、半袖では寒い日もあります。また台風が接近しており、終末にかけて沖縄・九州地方は充分な警戒をする必要があります。
今日は午前中イオン大牟田へ買い物に行き、ついでに久しぶりに有明海を見てきました。沖合にはすでに海苔養殖用の竹竿がいたる所に立ててあり、漁船が何隻も浮かんで作業をしていました。そろそろ海苔種を仕込む時期になっています。来年は海苔の豊作を期待したいと思います。有明海の対岸は諫早市で、夕暮れになりますと市街の明かりが灯ります。また北を見ますと佐賀空港があり、離着陸する飛行機の機影を見ることができます。
さて海外からのインバウンド観光客がますます増えていますが、観光客の日本に対する感じ方も様々です。本日はイタリアの女性が日本についてどのように感じたかをお伝えします。
----------
『「日本は旅行するには最高ですが…」 イタリア人が初めての日本で違和感を覚えた光景とは』
日本を訪れたことがある外国人は、どんなところに日本の魅力を感じているのでしょうか。日本語を学んで13年というイタリア人女性は、実際に日本へ来て、想像を超える素晴らしさに感動したといいます。その一方で、「旅行するには最高」だけれど違和感を覚えた点も。いったい、どんなところなのでしょうか。
<日本人が営む書道教室で日本語を学んだカリンさん>
イタリア中部の都市・ペルージャで暮らしているカリンさんは、日本語を学んで13年になります。日本語の勉強を始めたきっかけは、書道に興味を抱いたことでした。
「昔から、古代エジプトで使われていた文字・ヒエログリフなどを自分で研究していて、象徴的な象形文字である漢字に興味を持ちました。そこでまず、日本人の方が営んでいるペルージャの書道教室で習い始めたんです」
先生から日本語を学び始めて、ひらがな、カタカナ、漢字を600字以上覚えたというカリンさん。日本語能力試験を受けたところ、残念ながら3点足らず不合格でしたが、日本へ行って日本語が通用するのか試してみることにしました。
「2015年、40歳の誕生日に私は自分へのプレゼントとして、ひとりで日本を旅行しました。期間は3週間。8月の終わりから9月中旬までだったのですが、湿気が多く暑かったですね。髪の毛が常に濡れているような感覚で、気候に驚きました」
日本へ実際に来てみると、イメージしていたのとはまったく違うことも多く、とても感動したといいます。
「体験してみると、想像よりはるかに魅力的な国だと感じました」
<「日本は旅行するには最高」と思う一方で違和感を覚える瞬間も>
日本では、京都、東京、成田を観光したカリンさん。古いものと現代的なテクノロジーが共存しているところが多く、妙な感じとともにおもしろさも覚えました。
「とくに交通機関が発達していて、電車や地下鉄の時間が正確で、清潔なことに驚きました。そして、イタリアはその点が日本よりも相当遅れていると感じました」
近代的でありながら、歴史を感じる寺社など、伝統も大切にしている日本にすっかり魅了された様子。カリンさんは「明日にでもまた日本へ行きたい」と話しますが、少々気になった面もあるといいます。
「日本は旅行するには最高ですが、“硬さ”が私には窮屈に感じました。よく見ていると、人々はあまりにも規則を厳守していて、みんなが右に行けば右に、左に行けば左というように、非常にきれいですべてが整いすぎています。でも、夜になると、酔いすぎた人を見かけて、その差が不思議でした」
カリンさんの言うように、日本には守らなければいけない公共のマナーがたくさんあります。それは日本の美徳である一方で、電車内では大きな声で話さない、整列乗車を心がけるなど、訪日外国人観光客が戸惑うルールも少なくありません。
日本の良いところとイタリアの良いところ。お互いの良い面をそれぞれ取り入れ合っていけば、グローバル化に対応したより良い社会を作っていくことができそうですね。
https://hint-pot.jp/archives/231669
----------
日本で生まれ育った多くの人は日本人の日常生活や周囲の事物を当然のことと思っていますが、洋の東西を問わず海外から来た人たちにとって日本文化は異質で、そのために新鮮に感じるようです。最近では日本のマンガやアニメの人気で、それらを通して日本文化に馴染み、日本の生活を体験したい人たちが増えています。そして自国との違いに驚きます。
私も初めてイギリスでホームステイをした時に感じたことは、多くの人が日本人のように交通信号を守らないことです。日本人は車が来なくても信号が青になるまで辛抱強く待っていますが、イギリス人は車が近づいても信号を無視して横断します。日本人のようにじっと待つことはしません。これはイギリスだけでなく、オーストラリアでも同じです。これは一例ですが、日本人は幼い頃から親や学校から規則を守るように言われて育ちます。周囲の人が信号などの規則を守るときに、一人だけ違反するのは気が引けます。翻って、海外では「個」が重視される傾向があり、「人は人、自分は自分」の意識で行動します。
このように国や地域により様々な文化があり、その中で行動する人々は自然と特定の思考や行動が身に付きます。異文化体験をするには海外旅行が一番です。物見遊山の旅行だけではなく、現地の人々の行動を観察することも海外旅行の面白いところです。
#553 大記録の背後にあるもの
今日は台風から変わった低気圧と秋雨前線により、深夜から朝方にかけて筑後地方は雷鳴と豪雨が降りました。凄まじい落雷と屋根を叩く雨音で、眠りについたのは早朝5時過ぎでした。わずか数時間で激しい雨が降り、洪水警報も出されましたが、能登半島は大変なことになっています。今年の元日に大地震に見舞われ、やっと復興の途についたばかりの時に、今回の豪雨により復興がますます遠のいてしまいました。仮設住宅も被害を受けています。被災された方の話では、地震の時よりも被害が大きいと溜息をつかれていました。
今回の水害による被害の全体像はまだ判明していませんが、国を挙げて早急な支援が必要になるでしょう。本当に「踏んだり蹴ったり」の状況です。私たちも災害募金など何らかの方法で支援する必要があります。
さて、大谷選手による前人未踏の大記録が出ました。大リーグ初の50/50です。昨日の時点で彼は52/52まで記録を伸ばしています。残り試合が数試合ありますが、どこまで記録が伸びるか楽しみです。以前のブログ#532でも述べましたが、彼の今回の大記録の背景には高校時代の野球部の監督さんのアドバイスが元になっているようです。それは監督さんは当時大谷選手にマンダラチャートを書かせたことです。マンダラチャートに関して次のように紹介しています。
----------
『大谷翔平が使った「マンダラチャート」を紐解く 現実離れした才能を育んだのは確かな目標設定』
現実離れした才能を育んだのは、確かな目標設定だった。ドジャース大谷翔平投手(29)の原点をたどると、花巻東時代に取り組んだ目標シートに行き着く。仏教に登場する曼荼羅(まんだら)模様に由来する「マンダラチャート」を使い、9×9=81マスに将来の目標やそれを達成するために必要なことを書き込んだ。
10年以上先の未来が、はっきりと見えているかのようだ。大谷が花巻東1年時に書いたマンダラチャート。9×9=81マスの中央には「ドラ1 8球団」と大きな夢を掲げ、それを囲うようにして「体づくり」「コントロール」「キレ」「スピード160km/h」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」と克服すべき8テーマを書き連ねた。各テーマはそれぞれ3×3=9マスに分かれ、細かな課題が書かれている。
人並み外れた点を感じさせるのが、大谷が「運」について記したことだ。幸運をたぐり寄せるべく「あいさつ」「ゴミ拾い」「部屋そうじ」「審判さんへの態度」「本を読む」「応援される人間になる」「プラス思考」「道具を大切に使う」と日頃の行いへ言及していた。競技にとどまらず、身の回りのことまで目を光らせる。視野の広さに非凡さを感じた。「野球一辺倒になってしまうと、書く時に詰まるんですよね。周囲のことにも目を配れる人なんだということが分かり、彼の世界観の大きさが見えます」と目を細めた。
https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202405140000823.html
----------
大谷選手のマンダラチャートは上記の記事だけでなく、様々な画像がネットで紹介されていますので、一度ご覧ください。
個人的には今回の大記録の背景となったものが彼の日頃の善徳となる様々な活動だと思います。これもブログ#532に載せましたが、今回少し詳しく触れたいと思います。ALT
MEDIA(日本の寄付のあり方を考え、発信するメディア)によりますと、大谷選手に関して次のような特集をしています。以下に記事の抜粋を引用します。
----------
『大谷翔平が小児支援団体に寄付メジャーMVPは慈善活動と二刀流』
大谷翔平さんは世界最高峰のメジャーリーガーであるのはもちろん、慈善活動にも積極的で、まさに二刀流。プロ野球やメジャーリーグのファンでなくても、名前は皆さんご存知だと思います。そんな大谷選手のこれまでと、社会貢献活動に対する想いを紹介します。
<MLBの寄付文化>
MLBでは選手会で表彰された選手が賞金慈善団体に寄付することが慣例になっており、寄付の風習が伝統的に根付いています。節税対策と冷ややかに見る向きもありますが、MLBのある米国や、その他欧州でも、多くの著名アスリートが自分が貢献したい分野で基金を設立しています。
日常的に寄付をすることに馴染みのあるアメリカでは、寄付文化が当たり前のように浸透しています。野球の本場MLBでは、球団や選手による社会的な活動とともに、野球が人々にとってなくてはならないものとなっているのです。
<大谷翔平のインタビューに見る目標達成への道しるべ>
大谷翔平選手はインタビューの中で、大元となる目標を達成するための具体的な期限と数字をしっかり明確にし、可視化したフレームワークに書き記すことの大切さを語っています。その手段である目標達成シート(マンダラチャート)は巻東高校時代、佐々木洋監督の教えによって始めたものでした。
<「人間性」や「運」が試合の勝敗を決める>
大谷翔平選手は「人間性」や「運」が試合の勝敗を決めることもあり、ここぞという大事な場面にそれらが必要なものであると述べています。大谷選手はプレーのパフォーマンス向上には、ゴミ拾いひとつからすべてがつながっていると考えています。
「楽しいかどうかではなく、正しいかどうかで行動しなさい」
これは大谷翔平選手の行動の源となる、佐々木洋監督の教えです。正しい方向に向かって努力をし続けることが、成功への道なのでしょう。
<技術だけじゃない、大谷翔平>
世界最高峰で活躍するメジャーリーガー大谷翔平選手。グラウンドでの行動やファンへの対応もさることながら、寄付活動にも積極的なことから人格者と報道されることもあるようです。大谷選手は人間性が勝敗を決める大事なものと捉え、沢山の失敗や挫折から学ぶ姿勢を崩しません。決して慢心することなく、目標を達成するためにますます進化し続ける大谷翔平選手の今後のさらなる活躍に注目です。
https://media.nippon-donation.org/373/
----------
大谷選手の大活躍は野球に対する情熱と不断の努力によるものですが、それ以上に彼の活躍の土台となっているのが「善徳」と「慈善活動」ということでしょう。成功する人や企業の大きな要因として「利他に対する行為」が挙げられます。「誰かのためになるか、世の中のためになるか」を絶えず考えて実行している人は神仏が陰で支えてくれます。そして成功する機会を与えてくれます。
あくまでも、どれほど善徳を積んだかによりますが、神仏が見逃すことはありません。逆に、自分のことしか考えない人は成功したとしても成功は長続きしません。
成功したいと考えている人は、自分の行為が世の中のためになるかどうかを一度振り返る必要があるでしょう。利他的な行為ならば、その努力に応じて神仏は必ず助けてくれます。大谷選手は高校時代から徳を積み、その結果今日の偉大な選手になったと思います。これからも彼の活躍に期待しましょう。
#552 重税の時代到来
9月も中旬となり、例年であれば秋風がそろそろ吹く頃ですが、真夏のような熱風が日本各地で吹いています。近年では秋らしい秋が短くなり、ひと月ほどで冬に代わっています。今年もそうなる傾向があるようです。日本の「四季」が暑いか寒いかの「二季」になりかけています。
暑いのは季節だけではありません。今秋も食品を含む多くの値上げが行われましたが、岸田政権の下で決定された様々な増税がいよいよ始まります。税金と言えば会社員の方は主に所得税と住民税、地方税などは意識しますが、それ以外の税金はあまり意識しません。ところが岸田政権では次のような増税を考えています。本日は面白いブログの一部を紹介します。
----------
『ロシア政治経済ジャーナル(北野幸伯)』
全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!北野です。
自民党総裁選、盛り上がっていますね。
「裏金問題」で国民の信頼を失った自民党の作戦は、以下のようなものと推測されます。
1、不人気な岸田さんに辞めていただく。
2、「クリーンなイメージ」の人に、新総裁=新総理になってもらう。
3、国民は、裏金問題をすっかり忘れる。
4、新総理の支持率が高いうちに、なるはやで解散、総選挙を実施。
5、自民圧勝!
こういう「シナリオ」にぴったりなのが、小泉進次郎さんです。
若くて、イケメンで、英語を話せて、奥さん美人で。
まさに、「クリーンなイメージ」ですね。
「進次郎さんなら、国民も裏金問題を忘れてくれるだろう」と。
しかし、私たちは総裁選について、「別の見方」をしています。
【 岸田大増税路線 】を「止めてくれる人」を選ぶ必要があると。
「・・・・・岸田大増税路線とか大げさだな~。防衛増税だけでしょ?」
いえいえいえいえ。
岸田さんのは、ただの増税路線ではありません。
まさに【 『大』 増税路線 】です。
「大」をつけなければ、正確な表現ではないのです。
『税理士法人プライムタックス』のHPから。
(@防衛増税は、まだ実施されていませんが、時期が決まっていないだけです。
・たばこ増税
本体は健康の観点からたばこの消費を抑制するためのものだが、防衛費の財源として24年より増税予定。
・所得増税
防衛費を確保するため24年から増税は決定しているが、定額減税が所得税から行われるため矛盾するとして時期検討中。
・復興特別所得税の延長
3.11復興目的に37年までの予定だが、防衛費増のために14~20年延長が議論中。
・給与所得控除の廃止
現行は30%控除されているが3%に減率することでサラリーマンには大打撃の可能性。
・配偶者控除の廃止
扶養控除のない15歳以下との公平性確保と女性の「年収の壁」問題解消のために廃止を検討。
・生命保険料控除の廃止
生命保険は元本よりも大きなお金がもらえる可能性がある点が個人投資と変わらないとされ、見直しを検討中。
・退職金の非課税枠を廃止
「勤続年数×40万円」の控除が認められていたが、雇用の流動性を妨げているとして廃止が検討されている。
・扶養控除の縮小
扶養控除の縮小が見直される見込み。
一方、児童手当を高校生まで支給対象に広げ控除縮小とのバランスが問われている。
・法人増税
防衛費確保のため付加税方式で4%~4.5%を予定。
中小企業などへの配慮として、上乗せ分を計算する際、法人税額から「所得が2400万円の相当の税額」を控除予定。
・法人税の控除縮小
賃上げによる税優遇措置で3%以上賃上げした大企業の控除縮小案が中小企業への優遇と同時に検討されている。大企業には実質的に増税になる可能性がある。
・後期高齢者医療保険の負担増
出産育児一時金の一部を75歳以上も負担するようになる。
段階的に負担対象者を増やす方針で、
24年4月からは年収211万円超の人を対象に月平均430円を徴収。
25年4月からは年収153万円超の人を対象に月平均430円を徴収。
・生前贈与の持ち戻し期間延長
生前贈与制度に関するもので死亡の3年前から7年前に課税対象期間を延長する。
・結婚・子育て資金の贈与特例廃止
1千万円以下は非課税だった結婚・子育て資金の一括贈与特例を廃止。
・教育資金一括贈与廃止
教育資金の一括贈与が26年3月末で廃止予定。
・介護保険料負担増
1割負担から2割負担に移行する対象者を大幅に拡大する見込み。
・国民年金納付期間延長
少子化による財源不足の補填策として保険料の納付期間を5年延長して65歳までとする。
・公的医療保険の上乗せ
「異次元の少子化対策」として財源を探し回った結果、歳出改革後の足りない分を「支援金制度」という名目で、国民一人約500円程度の増額が検討されている。
・森林環境税の創設
23年度に終了予定の特別復興住民税に替わり、森林環境贈与税とは同額の森林環境税が新設される。
・厚生年金支給減額
現行で平均14万6000円支給されている厚生年金額を見直す。
保険料負担は重くなる一方、受給額が減額される。
・走行距離課税の新設
車の走行距離に合わせて課税しようというもの。
しかし従来の車とハイブリッド、電気自動車等の問題やカーシェアリングなど課題は残る。
・ケアプランの有料化
介護保険サービスを受ける際のケアプラン(介護計画)費用の有料化を検討中。〉
どうですか?ただの「増税路線」ではないですよね?
まさに【 大 増税路線 】です。
北野さんが引用している情報源は次の通りです。
https://www.primecg.co.jp/20240116125010
----------
北野幸伯さんをご存じでない方もいらっしゃると思いますので、彼のプロフィールを載せておきます。
(ウィキペディアより)
北野 幸伯(きたの よしのり、1970年 - )は、国際関係の研究者。
モスクワ国際関係大学国際関係学部卒業。
メールマガジン『RPE(ロシア政治経済ジャーナル)』を発行。ロシア連邦・モスクワ在住の日本人として執筆活動を行ってきた。2018年11月時点でネット規制の加速や将来的な息子の徴兵や出兵などのリスクを感じモスクワを離れ、現在は28年間モスクワ在住だった日本人として執筆活動を継続している。
北野さんは最近テレビにウクライナ戦争の解説者として度々登場しています。彼のロシアや世界情勢の分析は比類なく、他の政治経済評論家と異なる観点から日本や世界の現状を分析し、世の中に警鐘をもたらしています。
上記のブログにありますように、多くの増税が予定されています。給与が上がっても税金の支払いで、かえって給料が減らされてしまいます。食料品の値上がりも一種の増税と考えれば、さらに重税となります。また介護保険料を払う65才以上の高齢者はさらなる負担が増えます。ちなみに私は年間93,600円(月7,800円)年金から引かれています。高齢者は年金だけでは生活できませんので、何らかの仕事に就く必要があり、死ぬまで働くことになります😢!明日は「敬老の日」ですが、税負担の点から「軽老の日」となっています。
新しい総理大臣にはこの増税政策を改めてもらいたいと思います。国民が重税で苦しむ一方で、海外への金のバラマキは早く止めてもらいたいものです。
#551 パラリンピック
パリオリンピックに続いて、現在夏季パラリンピックが8月28日から本日(9月8日)まで行われています。多くの日本人選手が様々な競技で活躍し、日頃の猛練習の成果が出ています。選手だけでなく、選手を支える家族や所属協会の支援もこれまで以上に増えています。国もTeam
Japan としてパラリンピック全体を応援しています。
さて、4年ごとにオリンピックに引き続き開催されるパラリンピックですが、パラサポWEBによりますと次のような説明をしています。
----------
『パラリンピック』
< パラリンピックとは>
パラリンピックは世界最高峰の障がい者スポーツ大会で、トップアスリートが高いパフォーマンスを競う世界的なイベントです。オリンピックと同じく、夏季・冬季大会がそれぞれ4年に一度、オリンピックの終了後に同じ場所で開催されます。今や、オリンピック、サッカーワールドカップに次ぐ、世界で3番目に大きなスポーツイベントと言われています。
夏季大会は2024年のパリ大会(フランス)、2028年のロサンゼルス大会(アメリカ)、2032年のブリスベン大会(オーストラリア)、冬季大会は2026年のミラノ・コルティナダンペッツォ(イタリア)での開催が決定しています。オーストラリアでの夏季大会の開催は、2000年のシドニー大会に続き2回目の開催となります。
<パラリンピックの名前の由来>
「パラリンピック(Paralympic Games)」が正式名称になったのは、1988年のソウル大会から。現在はギリシャ語のパラ=Para(沿う、平行)+Olympic(オリンピック)とし、もう一つのオリンピックとして解釈されています。
当初、「パラリンピック」は「オリンピック開催年にオリンピック開催国で行われる国際ストーク・マンデビル大会」=「Paraplegia(対まひ者)」の「Olympic」=「Paralympic」という発想から、東京大会の際に日本で名付けられた愛称であったが、1985年、IOCは国際調整委員会(ICC)がオリンピック年に開催する国際身体障がい者スポーツ大会を「Paralympics(パラリンピックス)」と名乗ることに同意。
従来のパラリンピックという言葉は、対まひ者のオリンピックという意味であったことから、身体障がい者の国際大会になじまなかったため、現在の解釈へと変わりました。
<パラリンピックの意義>
様々な障がいのあるアスリートたちが創意工夫を凝らして限界に挑むパラリンピックは、多様性を認め、誰もが個性や能力を発揮し活躍できる公正な機会が与えられている場です。それは、共生社会を具現化するための重要なヒントが詰まっている大会であり、社会の中にあるバリアを減らしていくことの必要性や、発想の転換が必要であることにも気づかせてくれます。
<パラリンピックの歴史>
パラリンピックの原点は、第二次世界大戦(1939~1945年)後にさかのぼります。戦争で負傷した兵士の治療と社会復帰を目的としたイギリス・ロンドン郊外のストーク・マンデビル病院の医師ルードヴィッヒ・グットマン卿により、1948年ロンドンオリンピックにあわせて、院内で16名の車いす患者によるアーチェリー大会を開催したことがはじまりとされています。
1960年ローマオリンピックの同年に、ローマで行われた大会(第9回ストーク・マンデビル大会)を、後に第1回パラリンピックと位置づけ、1964年東京大会(第13回国際ストーク・マンデビル競技大会)が第2回パラリンピックとなりました。そして、2021年、東京で再びパラリンピックが開催されました。同一都市で夏季大会2回目の開催は、世界初のケースです。
https://www.parasapo.tokyo/paralympic
----------
競技の中にはオリンピックでは実施されない「ボッチャ」や、「ブラインドフットボール」、「ボールゴール」などがあり、見ていて面白いものです。
オリンピックでは標準記録を超えた選手が出場しますが、選手間の体格や運動能力等は考慮されません。一方、パラリンピックでは、障がいの程度に応じてクラス分けされますので、ある意味では平等に同じ能力の選手が競い合い、本人の努力に応じて結果がついてきます。
しかし、残念ながらNHKを始め民放ではリアルタイムで競技を中継することが少なく、パラリンピックを応援する姿勢とは裏腹に、日本での放送局の関心の低さを如実に示しています。その理由の一つとして「金にならない」ということでしょう。放送局が率先してパラリンピックを放送し、国民に障がい者の努力を示すことで、障がいに対する認識を深めることができるでしょう。
「障がい」は他人事ではないのです。健常者も事故や病気などでいつかは障がい者となりえます。パラリンピックで頑張っている人を手本にして、人生を振り返り、日々の充実した生活を送ることができます。「障がい」は「障害」ではなく、一つの特徴や個性として考えた方がよいと思います。健常者と障がい者が手を取り合って生活できるような環境作りがいっそう必要となります。そのためにはユニバーサルデザインやバリアフリーの考えをさらに進める必要があるでしょう。
#550 遺伝子ドライブ
今日は9月1日、暦の上では秋の始まりです。また関東大震災が発生した日でもあります。地震対策は現在かなり進んでいますが、地震はいつ発生するか分かりません。日頃からの準備が大切です。一方台風は進路がある程度推測され、進路コースが分かりますので、接近するまでに避難準備が整います。しかし今回の台風10号については従来の予測が全く当てはまらずに、不可思議な動きをしています。現在近畿地方の沖合で停滞していますが、今日の午後北上し、岐阜県辺りで熱帯低気圧に変わると予報されています。この台風の影響で筑後地方の小中高等学校は木・金曜日の2日間臨時休校となりました。
台風10号は伊勢湾台風並みの気圧で鹿児島近くに一度上陸し、玉名市付近に上陸し九州を横断しました。ここ大牟田ではそれほど強い風は吹きませんでしたが、250mmを超える雨が降りました。今回特に凄まじかったのは台風の外縁部に当たった鹿児島や宮崎です。竜巻も発生して多くの車や家屋が被害を受けています。また静岡や関東地区も大雨の被害を受け、河川の氾濫を引き起こしています。また専門家の意見では、このような台風が今後増えてくると推測しています。
さて、ブログ#548の続きになりますが、「遺伝子ドライブ」の技術を用いてマラリア撲滅を考えている人物がいます。ビル・ゲイツです。この「遺伝子ドライブ」に関しては様々な意見がありますが、意見の1つとして次の記事を紹介します。
----------
『遺伝子書き換えてマラリア撲滅 ビル・ゲイツも推す技術は諸刃の剣』
<「遺伝子ドライブ」の希望と危うさ>
マラリア、デング熱、そしてジカ熱。蚊が媒介する感染症を、ゲノム編集技術を用いて根絶させる研究に取り組んでいる。そう聞いて訪れたカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究室で、昆虫学者のオマー・アクバリは説明を終えると立ち上がって、私を促した。「じゃあ秘密の部屋をみにいこうか」
廊下をはさんだ実験室の一隅、二重の密閉扉の先にあるのは、ネッタイシマカの飼育室。内側を白いガーゼでくるんだプラスチックの飼育箱が200余り。「さっき話したのは、この蚊だよ」と、アクバリはある飼育箱をとりあげた。「ほら、ほかの蚊より白っぽいだろ」。ゲノム編集で表皮の色素が薄くなるよう遺伝子を組み換えたのだという。
クリスパー・キャス9活用のノウハウを磨きながら研究室がめざすのは、特定の遺伝形質が集団全体へとすばやく広がる「遺伝子ドライブ」技術の開発だ。通常はゲノム編集のハサミにつかうキャス9自身を、書き換える遺伝子に一緒に組み込もうというもので、もともと、マサチューセッツ工科大メディアラボにいるケビン・エスベルトが最初に思いついたアイデアだった。
組み込まれたキャス9は、まず交配するたびに相手方の遺伝子も自動的に書き換えようとする。「つまり、子孫はみなキャス9入りの蚊の遺伝形質をもつようになる」とアクバリはいう。「ネッタイシマカは、デング熱を媒介しないように遺伝子を改変できる。その技術と遺伝子ドライブを組み合わせれば、デング熱をなくせると思っているんだ」
<ネズミをすべてオスにする>
この遺伝子ドライブは、ほかの応用も考えられている。絶滅の危機にある固有種の保存への活用を検討しているのは、ガラパゴス諸島など、世界各地の60近い島で固有種の保存にとりくむNPO、アイランド・コンサベーションだ。
狙いはネズミなど外来種の駆除にある。「固有種の86%が外来種による脅威にさらされている。その駆除に遺伝子ドライブが使えると考えている」と、米国サンタクルーズにある本部で、広報担当のヒース・パッカードは説明する。「環境保護団体は、遺伝子組み換え技術に否定的なところがたしかに多いね」と、パッカードはいう。「でも、外来種を排除しないかぎり、生物の多様性は維持できないところまできているのも事実だ」
たとえばネズミの駆除の場合、従来は殺鼠剤の入ったエサをヘリコプターから大量投下して一斉駆除を試みる。「しかし、駆除が望める範囲も、かける費用も限りがある」。そこで検討をはじめたのが、遺伝子ドライブですべてのネズミをオス化させること。メスが生まれなくなったネズミは、子孫を残せなくなる。クリスパー・キャス9とオス化遺伝子とをセットにして組み込む手法などが俎上にのせられ、提携する大学や研究機関が、研究に取り組んでいる。
ただし、オス化による駆除は、島内限りとはいえ、外来種という「固有種」を絶滅させる力を遺伝子ドライブが備えていることのあかしでもある。もしオス化したネズミが島外に逃げ出したら、どうなるか。遺伝子ドライブ技術でマラリアを根絶する代わりに、高致死率のウイルスや病原体が組み込まれたら、危険な生物兵器とならないか。
米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は17年7月「セーフジーンズ(安全な遺伝子)」プログラムを立ち上げ、遺伝子ドライブの開発をするオマー・アクバリの研究室など七つの研究機関への資金拠出をきめた。危険な遺伝子が組み込まれたとき、その無効化ができること。遺伝子ドライブが想定外の事態を招いたとき、いつでも中断できるようにすること。そんな技術の開発が目的だ。
今年4月、米マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツは、「善意のゲノム編集」と題したコラムを寄稿し、かねて支援してきた遺伝子ドライブによるマラリア撲滅の実現が、リスクの過大評価のために足踏みすることのないよう訴えた。
一方、クリスパー・キャス9による遺伝子ドライブの可能性を最初に示したケビン・エスベルトは、論文の発表後は、悪意やミスで思いもかけない結果が生じるリスクに、技術者たちが最大限の注意を払うよう強調するようになった。
「僕自身、この技術は、とても素晴らしいと思っているよ」とエスベルトはいう。「でも、何かが起こったとたん、すべてが台無しになる。そのことをみな肝に銘じるべきなんだ」
https://globe.asahi.com/article/11651583
----------
上記は2018年の記事ですので、さらに遺伝子ドライブの技術が進んでいると思われます。いわゆる遺伝子組み換え技術ですが、人類はすごい技術を手にしました。しかし果たして安全に利用できるものでしょうか。換言すれば、この技術は「神の領域」に踏み込むことを意味します。想像できないほどの長い時間の流れに沿って遺伝子を変化させ、生物が進化したわけですが、人間の欲で遺伝子を故意に組み換え、新しい生物を誕生させることが倫理的に可能でしょうか。フランケンシュタインのような怪物を生み出すことになりかねません。実際、人間の遺伝子を組み替えてデザイナー・ベイビーを誕生させる計画もあるようです。
人間の浅知恵では計り知れない生命の神秘があります。それを科学的な興味のために命を何でも組み替えることに恐怖を覚えます。
ついでに、新コロナウィルスワクチンも遺伝子組み換えによるものですが、治験もせずに世界的に実施され、その効果や結果はまだ未知数です。数年後にこのワクチンが有効かどうか、私たちは知ることになるでしょう。
追記:遺伝子ドライブ(ウィキペディアより)
遺伝子ドライブ(英: gene drive)とは、特定の遺伝子が偏って遺伝する現象である。この現象が発生すると、その個体群において特定の遺伝子の保有率が増大する。
人為的に遺伝子ドライブを発生させることにより、遺伝子を追加、破壊、または改変し、個体群、または生物種全体を改変することができると考えられている]。具体的な応用例として、病原体を運搬する昆虫(特にマラリア、デング熱、ジカ熱を媒介する蚊)の拡散防止、外来種の制御、除草剤や農薬抵抗性の除去がある]。しかし、改変された生物を自然環境に放つ行為は、生命倫理上の懸念がある。ただし、有性生殖を行う種でのみ機能するため、ウイルスや細菌においては発生しない。
#549 受験生ブルース
今日は8月25日、早いもので8月の最終日曜日となります。来週の日曜日は9月1日で暦の上では秋の始まりです。それに合わせるかのように最近夜になると虫たちが鳴き始めました。これからしばらくの間虫たちの鳴き声が子守歌代わりになります。
ところで「♪おいで皆さん聞いとくれ 僕は悲しい受験生...」で始まるのがフォークソング「受験生ブルース」です。今はラジオでリクエストされることもほとんど無くなりましたが、50代以上の人が受験生だった頃は、受験シーズンになるとこの歌が頻繁にラジオで流れました。「受験生ブルース」を歌ったシンガー・ソング・ライターの高石ともやさんが先日逝かれました。今日はその記事を転載します。
----------
『【悼む】高石ともやさん 60代で演奏も“進化“ 40余年追いかけ見えた包み込む優しさ』
「関西フォークの旗手」として、1960年代後半から日本のフォークソング界をけん引してきた歌手高石ともや(本名・尻石友也=しりいし・ともや)さんが、17日午後3時半に、京都市内の病院で亡くなった。82歳。19日早朝、所属事務所が公式ホームページで発表した。
学生時代に通った京都・円山音楽堂の「宵々山コンサート」そして「昼下がりコンサート」。一昨年で最後となった大阪・サンケイホールでの「年忘れコンサート」。これまで何度、高石さんのライブを目にしただろう。
思い出すシーンは少なくない。ザ・ナターシャー・セブンのメンバー4人でギター、バンジョー、ベースを演奏した「四人羽織」。熟練の音楽センスに裏打ちされ、ショーマンシップいっぱいのライブだった。
「歩く歌詞カード」と仲間内から評された高石さんは、頭の中にすべての作品が入っていた。ステージでの派手な演出は一切なく、楽器と歌、コーラスがすべてだった。できる限り、アコースティックにこだわった。
60代になって、ライブに小さな変化が見えた。ギターのソロ、ブルーグラス・スタイルのリードを披露するようになった。それまでに見たことのない姿に衝撃を受けたのを覚えている。年齢を重ねても新たな挑戦を続けていたのだ。
「受験生ブルース」の後、ヒット曲とは縁がなかったが、ファンの多くは高石さんと一緒に口ずさんでいた。会場の一体感は独特だった。
2022年12月のサンケイホール・ブリーゼ公演が、同所での最後のライブ。81歳の声には艶があった。いつものように、足取りは軽やかだった。「まだまだ声が出てるのに、これで最後か。もったいない」というファンのつぶやきがもれた。
足をケガした高石さんが、松葉づえをついて仕事場のFM局にやってきたことがあった。70代だったろうか。痛いはずなのに、記者の前では笑顔を見せ、こちらの問いに答えてくれた。しんどいこと、つらいこともたくさん経験したはずだが、いつも包み込むような笑みをたたえていた。
1975年、木田高介がナターシャー・セブンのメンバーに加わった。それまでの木田といえば、伝説のロックバンド「ジャックス」を経て、かぐや姫「神田川」の編曲を務めるなど、音楽界の第一線で働いていた。
そんな木田が高石さんに導かれるように京都に移住。草野球やランニング、海水浴など音楽とは関係のない日常を高石さんとともに楽しむようになった。「こんな世界があったんだ。僕はこれまで楽器とスタジオしか知らなかった」と感銘を受けていた。80年の交通事故で木田が亡くならなければ、高石さんの音楽人生もまた変わっていたかもしれない。
逆風もあったが、高石さんは自分の生活にフォークを取り入れ、人生をかけてフォークを追究した。ただ悲壮感や重圧などは感じさせず、いつも軽やかな笑顔とともにあった。
https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202408190000754.html?Page=1
----------
高石さんはフォークソングを歌った先駆者の一人で、彼が60年代から70年代にかけてフォークソング・ブーム人気に火をつけた代表者の一人です。60年代当時アメリカでベトナム戦争が激化し、若者たちが歌を通して「愛と平和」を歌ったのがフォークソングの始まりと言われます。その前にはウッディー・ガスリーなど当時のアメリカ社会の実情を歌い上げた社会派のシンガー達がいました。文字通りフォークソング(民謡歌)と言われます。このようなアメリカで歌われたフォークソングが60年代の日本に入ってきて、特に関東地区の大学生が英語の歌詞をそのまま歌ったり、日本語に翻訳して歌っていました。カレッジフォークソングと言われています。例えばマイク真木、森山良子、黒沢久雄がその代表です。
対照的に関西の大学生の間で人気になったフォークソングは主としてメッセージソングと言われ、社会に対する不満や自分の夢などを日本語の歌詞にして歌っていました。その代表の一人が高石ともやです。当時彼のコンサート聴いた、今では「フォークの神様」と呼ばれる岡林信康は「これなら自分でもやれる」と思って歌を始めたそうです。
高石さんが他の多くのシンガーたちに与えた影響は大きく、現在につながるJ-POPの源流となるものです。個人的には彼のバンド「ナターシャセブン」が好きです。軽快なカントリー&ウェスタンや、ブルーグラスの形式を取り入れた楽曲がたくさんありまが、受験生ブルース」以外の代表曲が山で亡くなった友を歌った「思い出の赤いヤッケ」でしょう。「思い出の赤いヤッケ」と「受験生ブルース」をYoutubeでお楽しみください。
「思い出の赤いヤッケ」https://www.youtube.com/watch?v=vBxgWoBH9oA
「受験生ブルース」 https://www.youtube.com/watch?v=7TSOWEH_nvA
追記: 昨日福岡国際センターで南こうせつさんのコンサートがあり、久しぶりに彼の歌を聴きに行きました。75歳とは思えぬ若々しさで「神田川」や最近の楽曲を中心に2時間余り熱唱してくれました。こうせつさんは9月には武道館で最後の「サマーピクニック」を開催します。60年代や、70年代に活躍したフォークシンガーたちも現在70歳、80歳となり時代とともに伝説となっていきます。
#548 スーパー耐性蚊
八月も後半となりましたが、残暑まだまだ厳しく、もうしばらく酷暑が続きます。今日は午前中イオンモール大牟田に買い物に行きましたが、行き来きする間に、少し涼しい風が吹いているのに気づきました。これから少しずつ秋に向かって進んでいくのでしょうか。今年の夏は用事がない限り冷房の効いた屋内で過ごしました。そのために電気代も例年より上がっています。熱中症に注意しながら、もう少し我慢すれば、涼しい秋がやってきます。それまでの辛抱です。
さて夏と言えば、いやな蚊を思い出します。今年の夏は酷暑のせいか水たまりが少なく、蚊の生育する場所が少ないようです。実際、今夏に家の中で蚊に遭遇したのは一,二回しかありません。しかし、寝入り端(ばな)に蚊が耳元に飛んでくると、目が覚めて蚊を退治するまで眠れません。結局睡眠不足で翌朝を迎え、その日は一日中不快な気分になります。今年はその対策として、寝室に蚊取りマットを使用していますが、今現在蚊が近づく気配はありません。それなりの効果があるようです。
ところで「スーパー耐性蚊」なるものが登場したようです。マスコミもこの蚊について取り上げていますが、中には人を殺す蚊も存在するようです。今日はスーパー耐性蚊について「NHKクローズアップ現代」で取り上げたものを一部転載します。
----------
『“スーパー耐性蚊”にデング熱 「蚊」の新たな脅威』
かゆい、うるさい…夏に向けて煩わしくなる“蚊”が今、深刻な脅威に。蚊が媒介するデング熱の感染者が東南アジアや中南米で過去最多の800万人に。1,000倍の殺虫剤をかけないと死なない“スーパー耐性蚊”まで出現。海外との往来が増え、日本でも感染リスクが警戒されるなか、身を守るための対策は?“逆転の発想”で開発された蚊よけクリームや蚊を寄せつけない服の開発。刺されにくいポイント満載でお届けしました。
<「蚊」の新たな脅威 デング熱・スーパー耐性>
今、害虫駆除を行う会社には、蚊の駆除の依頼が増え続けています。依頼が多いのは保育園や幼稚園。子どもは外で遊ぶ機会が多く、刺されやすいため、これからの季節、蚊を警戒しているといいます。水場が多い保育園や幼稚園は、蚊が好む環境が整いやすく、繁殖するリスクが高いのです。
蚊は、わずかな量の水でも繁殖することができるため、雨水や使い残しの水にも注意が必要です。中でも、入念にチェックするのが排水溝です。蚊の幼虫であるボウフラは10日間ほどで成虫になるため、その前の段階で防ぐ必要があります。定期的な投薬が、かかせません。
なぜ、今、各地で蚊の対策が急がれているのでしょうか。それは、蚊が媒介して起きる感染症、デング熱の世界的な流行です。デング熱の主な症状は、40度近い高熱や激しい関節痛。重症化すると死に至る場合もあります。今、世界の感染者は、2024年5月の時点で800万人。すでに2023年の年間の感染者数を超えて、広がり続けています。日本でも、海外から帰国した人のデング熱の感染者は、2024年、すでに25都道府県で69人に上っています。
では、感染はどのように広がるのか。そのメカニズムです。デング熱のウイルスに感染した人が蚊に刺されると、蚊は、そのウイルスを保有したまま次の人を刺します。刺されて感染すると重い症状が出る人もいますが、半数以上は無症状と言われ、感染したことに気付かないことも。蚊は、こうして次の人間を刺し続けていき、知らず知らずのうちに感染が広がってしまうのです。実際に日本でも、2014年にデング熱の感染が拡大。海外から帰国した無症状の感染者を蚊が刺し、ウイルスが広がっていったと見られています。日本の玄関口・成田空港では今、水際の対策が進められています。空港内およそ50か所にトラップを設置するなど、蚊を捕まえる取り組みです。
<スーパー耐性「蚊」なぜ出現?日本には?>
さらに今、私たちを脅かす新たな蚊の存在が明らかになっています。殺虫剤の効きづらい“スーパー耐性蚊”と呼ばれる蚊です。世界で初めて、日本の研究チームが発見しました。そのリーダーを務める、国立感染症研究所の葛西真治さんです。葛西さんは、このスーパー耐性蚊がデング熱の感染拡大に関係があると見ています。そのため、今、スーパー耐性蚊がどこに生息しているのか、世界の専門機関と連携し、全容解明を急いでいます。
葛西さん:
まず、スーパー耐性蚊と普通の耐性蚊というのもいるんですね。中くらいの殺虫剤に抵抗を示す蚊がいて、それはもう世界各国で今までも見つかってきたんですけれども、数年前に東南アジア、ベトナムとかカンボジアで、私たちが初めて、このスーパー耐性蚊、普通の蚊よりも1,000倍ぐらい強い耐性をもたらす蚊が見つかったんですね。日本には、そもそもネッタイシマカという蚊はいませんので、スーパー耐性蚊の問題も今のところありません。ただ、国際交流が活発になってきて、飛行機と共に頻繁に日本にやってきているというのが、検疫所などの調べで分かってきているんですね。だけど、日本は、大部分は気候的に寒いので、冬を越すことができなくて定着はできない。ただ、2017年に、ある空港で捕まえられたネッタイシマカは、このスーパー耐性蚊の遺伝子を持っていたので、実際に侵入まではしてきていたということですね。
やはり、コロナの問題が少し収束し始めて、人流が活発になってきていますので、海外からウイルスに感染して日本に入ってこられる方の、そういった確率も高くなってきています。それから、気温も少しずつ上昇してきていて、2024年で言うと、通常、東京都内であれば、だいたい5月の10日前後でヒトスジシマカの出現というのは見られるんですけれども、私は4月30日に初めて東京で捕獲しました。ですので、少しずつ見られる季節が、蚊が生息する期間が長くなっているということですね。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4907/
----------
記事を全文読みたい方は上記のアドレスをクリックしてください。またビル・ゲイツはマラリア撲滅のために遺伝子書きかえ技術を使用して新種の蚊を創造しようとしていますが、字数の関係で次回のブログに回します。「たかが蚊、されど蚊」です。小さな昆虫ですが、刺されたら大変な事態になることもあります。秋が来るまで充分な注意が必要です。
#547 努力は必ず報われる?
パリオリンピックも本日が最終日となり、実施競技も残り少なくなってきました。今回の五輪で日本人選手の活躍が目覚ましく、本日午後の時点で金メダル18個、銀メダル12個、銅メダル13個の計43個となっています。このメダルの中には日本人が得意とするレスリングや体操だけでなく、若い世代が参加しているスケートボードやブレイキンも含まれます。また女子陸上やり投げの北口選手の金メダルは日本女子陸上フィールド競技初めての受賞となります。さらに男子飛び込みの玉井選手も日本選手初のメダル受賞となります。
このようにメダルを受賞した選手や入賞した選手は厳しい国内の競争を勝ち抜いてオリンピック代表となった選手です。東京五輪から三年間、想像を絶するような厳しい練習を日々実践し、今回の五輪で活躍し、その結果栄誉を勝ち得ました。また残念ながら予選や準々決勝などで敗退した選手も少なくありません。特にあと一歩で勝利を逃がした競技もあります。本日は「努力は必ず報われる」の至言について面白い記事を見つけましたので紹介します。
----------
『努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない。』
王貞治(元プロ野球選手)
これはプロ野球界最多である868本のホームランを打ち、「一本足打法」でおなじみの王貞治の言葉です。ホームラン王以外にも、ベストナイン、ダイヤモンドグラブ賞(現在のゴールデングラブ賞)、最多出塁数など現役時代に様々な面で活躍しました。また、引退後も第1回WBC日本代表監督、日本初の国民栄誉賞を受賞するなど、日本だけでなく世界にも名を遺す王貞治ですが、プロ入団後最初の3年は思うような結果を出せない状況が続きました。
結果が出ない原因は王貞治自身にありました。今は考えられないかもしれませんが、当時は練習への態度がよくなかったそうです。そこで、当時の監督が意識改革を試み、春季キャンプでは様々なフォームに挑戦しました。その中の一つが、有名な「一本足打法」です。シーズン途中からこのフォームを取り入れた王貞治は、日に日に打撃が開花し、それとともに激しい練習に励むようになりました。練習の激しさが伝わるエピソードとして、「練習の際に使用した部屋の畳がボロボロになり、自身の足から大量の血しぶきがあった」、「バットを振りすぎて、洗顔するときに腕が動かなかった」など、言葉からでもその厳しさが伝わってきます。
この名言には続きがあり、『努力は必ず報われる。もし報われない努力があるのならば、それはまだ努力と呼べない。努力しても報われなかった、それは努力をしていなかったからではなく、努力とは呼べない域だった』というものです。ぜひ、努力と呼べる領域まで邁進したいですね。
王貞治のその他の格言
□敵と戦う時間は短い。自分との戦いこそが明暗を分ける。
□最高のものを求める強い気持ちがないと、結果は出ないものなんだよ。
□勝つための最善の努力は、どんな時もやめてはいけない。逃げたらだめなのです。
□ときには嵐のような逆風が人を強くする。
□過去にとらわれず、現在をいかによくするか
https://www.toshin.com/proverb/story-m.php?id=45
----------
「努力は必ず報われる」と言いますが、努力が報われない場合に何が原因かを考える必要があります。これはスポーツだけでなく、勉強や仕事など様々な場面に適用することができます。今回のパリオリンピックの様々な競技を通して王選手(現ホークス会長)の言葉は至言です。いかに正しく努力し、結果を出すためにどれだけの努力が必要かをしみじみと感じさせられます。もし報われないと感じるときは、何かが足らないと思うべきでしょう。
四年後はロサンゼルスオリンピックです。所属するスポーツ協会の財政的な不足で、選手の中には自費で様々な海外遠征をおこなう選手もいます。次回の五輪で日本人選手がさらに活躍できるように応援したいと思います。
#546 オリンピックの裏方
8月に入り酷暑の毎日が続いています。今日は九州全体で最高気温35度を超える地区が続出し、大牟田では38度、久留米では39度を記録したそうです。この暑さは当分続くと予想され、日中は外出を控えるなどの健康管理が必要となります。確かに昼間自転車で移動しますと、前からドライヤーの熱風のような風が全身を包み、肌には熱いというより痛いという感覚が広がります。このような日は熱中症にならないように、室内でエアコンをかけて、読書やオリンピックの試合を観戦したりするのがよいでしょう。
さて、パリ・オリンピックでは日本選手の活躍がすばらしく、様々な競技でメダルを取る選手が増えています。前回の東京オリンピックから厳しい練習を重ね、パリ代表を勝ち取り、そして本番の試合へと努力した結果です。たとえメダルが取れなくても努力を続けたその真摯な姿勢は高く評価されます。
ところで、パリオリンピックで活躍しているのは選手だけではありません。日本代表選手を陰ながら支えている多くの裏方の人たちが存在します。まず選手団を支える裏方スタッフの仕事を紹介します。
----------
『五輪ニッポンを支える「素敵な仕事」200個以上に…代表裏方スタッフの献身に「頭が下がります」』
パリ五輪は現地26日に開幕する。日本選手団の活躍が期待される中、日本オリンピック委員会(JOC)の公式X(旧ツイッター)は、アスリートなどに向けてスーツケースに詰め込む裏方さんたちの作業動画を公開。日本人ファンからは「頭が下がります」「裏で支えてくれてる人にも感謝しないと」といった反響が寄せられている。
室内の広いスペースに並べられた実に200個以上の黒のスーツケース。それぞれにナンバリングされ、「TEAM JAPAN」のステッカーが貼られている。大人数のスタッフがその中にウェアやアクセサリー、封書などを入れていくと、パッキングされたケースがまとめて運び出され、再び新しいスーツケースにパッキングが行われる。
その模様をJOC公式Xは「#パリ2024 に向けて#TEAMJAPAN アスリート・スタッフのために詰めこまれる スーツケース 大人数で作業を行う圧巻の光景をカメラが捉えました」とつづって動画を公開した。
日本人ファンからは「華やかな舞台の裏には必ず、それを成立させるために奮闘している人がいるんです」「スーツケースもお揃いだなぁと思ってたら、全ての選手・スタッフさんの分をパッキングまでなさってたんだ。頭が下がります」「裏で支えてくれてる人にも感謝しないと」「丁寧で素敵な仕事だね」と反響が寄せられている。(https://the-ans.jp/paris-olympic/440103/)
----------
私たちが知らないところで日本選手団の裏方スタッフとして様々な仕事に献身的に働く人がいることを知る必要があります。また日本選手団の食事を担当する裏方の人たちもいます。食事は選手たちにとって体力や体調を維持するには不可欠なものです。パリ五輪では選手村の食事が不評で、多くの選手たちが食事の種類や量が足らないと文句を言っています。そのような状況で日本選手団を支える人たちがいます。
----------
『[パリ五輪]和食で日本勝利リード 本領発揮へいつもの食 全農や味の素が選手に提供』
26日開幕のパリ五輪で日本代表選手に活躍してもらおうと、スポンサー企業や団体などが国産食材を中心にした和食を提供する。主催国のフランスも参加各国の選手やスタッフのため世界中の500種を超えるメニューを準備しているが、ここぞという時には祖国の“本物の味”が恋しくなるのが人情。各国も食を通じた応援に力を入れる。
フランスの大会組織委員会は、温室効果ガス排出量を過去の大会から半分に減らす目標を掲げる。野菜を赤ワインで煮込む同国の料理「ベジタリアン・ブルギニョン」などが出る選手村食堂の食材の5割は植物性食品、3割が有機栽培。同国産食材を8割使い、アジアやカリブなど世界の料理を出し、大会期間中の食数は1300万に及ぶ。
その一方で、選手村の内外で祖国の食事を提供する国も多い。日本もその一つだ。卓球日本代表のスポンサーを務めるJA全農は、要望のあった女子選手のため、東北産米43キロ、国産パックご飯120個、長野産キノコなどが入ったフリーズドライのみそ汁210個などを提供した。選手たちにとって欠かせない祖国の味だ。「ご飯のお供になる塩吹き昆布やのりもある。お米をかき込んで、最高のパフォーマンスを発揮してほしい」。広報担当者の声が弾む。
日本オリンピック委員会(JOC)スポンサーの味の素は、選手の強化支援事業として、今大会の新競技・ブレイキン(ブレイクダンス)に出場する選手に理想的な栄養バランスを取るための食事指導を行う。
五輪期間中は、競技開始前の選手に、だし茶漬けや低脂質そぼろ、納豆、梅干しなど和軽食を提供。パラリンピック期間には、選手の体を温める「だし湯」を振る舞う。エネルギー源の補給に加え、選手がリラックスできる場をつくろうという狙いだ。
日本スポーツ振興センター(JSC)は、選手村から車で10分の場所に和定食が食べられる食堂や柔道の練習場、サウナ、ウエートトレーニングルームなどを備えた4000平方メートルの支援拠点を既存の建物を借りて整備した。スポーツ庁から業務委託を受け、総経費13億円で運営する。
和定食は選手の疲労回復、体調や体重管理など個別の課題に対応できる献立を考案した。ご飯など主食2品、鶏唐揚げなど肉・魚類を使った主菜2品、野菜やキノコ類を使った副菜2品、豚汁など汁物や果実を添えた定食を提供する他、五輪会場への持ち出し用におにぎりなども作り、選手をサポートする。
(https://www.agrinews.co.jp/society/index/248589)
----------
上記のようにオリンピックの選手たちは多くの裏方たちの努力によって支えられています。試合結果がどのようなものであっても国の代表として競技で闘ってくれています。SNSでは選手の結果次第で誹謗中傷を流す輩がいますが、選手本人や選手を支える多くの人たちの努力を知るべきです。オリンピックも後半を迎えます。どのようなドラマが待ち構えているでしょうか。今後も楽しみです。
#545 パリ・オリンピック
パリ・オリンピックが開幕しました。そして今日女子柔道48キロ級の角田選手がパリ・オリンピック最初の金メダル、かつ日本国内500個目となる記念すべきメダルを勝ち取りました。今後も様々な日本選手の活躍が期待されます。
さて深夜・未明の時間帯だったのでライブでは観ませんでしたか、華々しく開会式が行われました。私は録画で観ましたが、フランスらしく色彩豊かで、おしゃれな開会式でした。
ただこの開会式に様々な意見が出ており、肯定的な意見では選手の入場式をセーヌ川で行うなどフランスらしい趣向を凝らした開会式に賛同する人が多かったことです。前日にフランスの新幹線に相当するTGVの線路のケーブル切断され、フランス国内の列車ダイヤルが今日現在でも復旧していないようです。
また否定的な意見として、開会式の挙行中にテロを懸念する人が少なからずいましたが、幸いにもテロ阻止することができたようです。ただ開会式の企画をめぐって賛否両論が渦巻いています。例えば、ダビンチの「最後の晩餐」をパロディ化した場面や、韓国を北朝鮮と言い間違えたこと、オリンピック旗を上下さかさまに掲揚するなど、本来では有りえないはずのミスが噴出しました。
ところで、フランス国歌は「ラ・マルセイエーズ」」だと多くの人が知っていますが、歌詞の内容まで知っている人は少ないのではないでしょうか。下記は「ラ・マルセイエーズ」の日本語訳です。
----------
『ラ・マルセイエーズ』
(1番)
行こう 祖国の子らよ
栄光の日が来た!
我らに向かって 暴君の
血まみれの旗が 掲げられた
血まみれの旗が 掲げられた
聞こえるか 戦場の
残忍な敵兵の咆哮を?
奴らは汝らの元に来て
汝らの子と妻の 喉を掻き切る!
武器を取れ 市民らよ
隊列を組め
進もう 進もう!
汚れた血が
我らの畑の畝を満たすまで!
(2番)
何を望んでいるのか この隷属者の群れは
裏切者は 陰謀を企てる王どもは?
誰のために この卑劣な足枷は
久しく準備されていたこの鉄枷は?
久しく準備されていたこの鉄枷は?
フランス人よ 我らのためだ ああ!なんという侮辱
どれほどか憤怒せざるを得ない!
奴らは我らに対して企んでいる
昔のような奴隷に戻そうと!
ウィキペディアより(*歌詞は7番までありますが省略します。)
----------
上記の歌詞の文言からいかにもフランス革命当時の生々しい状況が浮かびます。確かにオリンピック開会式で甲冑を身に着け馬に乗ったジャンヌ・ダルクや女王マリー・アントワネットの血だらけの生首を模したものが登場するなど、いかにも革命を行ったフランスの歴史が開会式で垣間見ることができました。
しかしオリンピックはあくまでも平和の祭典ですので、血なまぐさい争いは避けたいものです。これからの2週間世界中はオリンピックの話題で持ちきりになりますが、世界では現実に戦争や争いが続いていることを忘れてはなりません。争いは武力でなく堂々とスポーツで競い合ってもらいたいものです。
#544 ランドセル
今朝は不安定な天気が続いて、大牟田では早朝から雷を伴った激しい雨が断続的に降っていました。昼過ぎには晴れ間も見られ、午前中の嵐がうそのようです。九州北部もあすには梅雨明け宣言が出ることでしょう。ようやく夏休みとともに真夏がやってきます。
公立の小学校、中学校、高校では19日に終業式を迎え、夏休みが始まりました。校庭には部活動以外は児童や生徒の姿が見られず、校内は静かなひと時を迎えています。ランドセル姿の小学生も見かけることはありません。
ところで私達日本時にはおなじみのランドセルですが、海外の人々にとって日本式のランドセルは珍しいようです。実際、海外の学童たちはランドセルではなく、バックパック(リュックサック)が普通です。この日本のランドセルに対して海外から賞賛の声が届いています。今日はその一部を紹介します。
----------
『日本社会を結びつけるブックバッグ』
今回は「日本社会を結びつけるブックバッグ」と題されたニューヨークタイムズ紙の記事からで、日本のランドセルに焦点が当てられています。なおこの記事は、大きなニュースがいくつもある中で、15日に一面で報じられています。早速ですが、以下が要点です。
「日本ではランドセルが約150年間、日本の子どもたちの象徴となってきた。日本の文化に深く根付いた、
同調性と調和を象徴するユニークな存在だ。
1885年、皇族の子弟を教育する学習院が、オランダの軍用バックパックを模した、ハンズフリーモデルを公式通学カバンとして指定した。歴史家によれば、そこからランドセルは、日本の子どものアイデンティティの象徴となった。
戦後には経済を再建するために、勤勉で献身的な労働者を育てる必要があり、大企業はランドセルの強い連帯感を認め、従業員の子どもたちに贈ることがあり、今年初め、ソニーグループ社長の十時裕樹氏は、ランドセル贈呈式においてランドセルを、『家族をつなぐ重要な絆』と表現した。
ランドセルは祖父母が記念品として贈る事もよくある。この春、ランドセルを買いに来ていた一家は、『ランドセル以外の選択肢は考えたことがない』 と語っていた。
近年、一部の親や子どもの権利擁護者は、小さな子どもたちには重すぎると訴えているが、努力、忍耐、根気に高い価値を置く文化の中では、子どもたちの負担を軽減しようという動きは、今のところあまり進んでいない。
インタビューに答えてくれた6年生の女子生徒は、他の種類のバッグを欲しいと思ったことはないと言う。
『みんなランドセルを使っているからです。それは良いことだと思います』と彼女は口にした」
----------
記事には、このような伝統的な習慣があること、またランドセルの所有、あるいはその購入を通じて、家族や社会に強い結びつきが生まれている事などに対し、NYT紙の読者から羨望の声が相次いでいました。次に損も声の一部を紹介します。
----------
■ 祖父母が直接孫のためにランドセルを買うか、
両親(祖父母からすれば自分たちの子ども)に
ランドセルを買うお金を贈る習慣が日本にはある。
義理の両親の心遣いはとてもありがたかった。
子どもたちが自分たちのランドセルを手にしたとき、
ものすごく喜んでいたのを覚えてるし、
祖父母と孫の間に特別な絆が生まれたよ❤
■ 祖父母を讃えるあなたも素敵。
日本の文化からは帰属意識、
そして教育に対する健全な価値観、
この2つが見て取れる❤️
■ 僕らアメリカ人がバックパックを"発見"したのは、
1980年代になってからだと思う。
一方で日本人は1世紀半以上も前にそれを手に入れ、
美しく仕上げていたのか。
■ こういう面でも日本は世界の先にいる。
■ 何年も使えるっていうのがいいね。
子どもが新しいものを欲しがったからと言って、
ただ買って捨てればいいわけじゃない。
■ ランドセルはひとえに美しい!
■ ドイツにも似た伝統的なバックパックがあるよ。
必ず持たなければいけないという決まりはないけど、
ほとんどの子どもは持ってる。
子どもたちに整理整頓を教える事は文化的に重要で、
本は保護されるべきものであるという考えもある。
日本の文化とは共通点が多いようだ。
■ ドイツや日本は集団的価値観を重視し、
アメリカは個人主義を重視してる。
これは社会のいたるところに反映されていて、
良くも悪くも非常に個性的な人物が、
日独から生まれてこないのはそれが理由。
■ キュートな黄色い帽子についても教えて!
■ 我が家の息子もそろそろ必要になる。
ちなみにこのタイプのバッグの価格は、
600ドルから900ドル近くするんだ。 😮
■ 自分は唯一の外国人として、
日本の小学校に2年間通ってた。
ランドセルと黄色い帽子を被ることで、
自分が少しでも溶け込めてる気になれたんだ。
ランドセルはかなり高価かもしれないけど、
6年間しっかり使える耐久性がある。
ランドセルは今屋根裏部屋にあるけど、
箱から取り出したらその瞬間に、
僕を東京の小学校に運んでくれるだろう!
■ 日本人は同調してるわけではないと思う。
私には安定性、長持ち、調和、
そして集団的経験の象徴に見える。
それに環境にも優しいよね。
小学校の間ずっと使えるものなのだから!
■ 日本の子どもたちは普通歩いて学校に通う。
そう、歩いてなんだ!
僕が日本で暮らしてる時に、
小学生が1人で、あるいは集団で、
交通量の多い通りを登下校してるのをよく見かけた。
車のドライバーも歩行者の人たちも、
誰もが子どもたちのことを強く意識して、
毎日の移動が安全であるように気を配ってたよ。
僕たちは安全な社会について、
日本から学ぶべきことが多い。
(パンドラの憂鬱より) http://pandora11.com/blog-entry-5025.html
----------
日本人にとって当たり前のランドセルですが、海外の人々の目には珍しいものとして映っているようです。またランドセルと日本の文化を結び付けて考えることは、私たちにとって少し驚きです。日常生活に当たり前に存在する事物に関して特に意識することはありませんが、海外の人々からすれば自分の文化と異なるので、珍しく感じるのでしょう。海外からの観光客が増えていますが、彼らの目に日本文化がどのように見えているか知ることができれば面白いと思います。
#543 海洋国家の危機
梅雨も末期となり朝から土砂降りです。線状降水帯も発生し、九州の西側を中心に記録的な大雨が降っています。しかし今年の梅雨もまもなく終わり、水曜日から真夏の暑さが戻りそうです。いよいよ本格的な真夏を迎えます。
さて日本は海洋国家として今日までその地位を築いてきました。例えば造船国家として世界一になったこともあります。また水産業でも国家の礎を築いてきました。このことは日本人が海を熟知し、最大限に利用してきたことに由来します。
ところが海洋国家としての地位を揺るがすような事態が生じています。深海を探査する探査艇「しんかい6500」の後継機が作れないというのです。今日はその記事を転載します。
----------
『潜水調査船「しんかい6500」もう作れないって本当?本部の見解は』
6500メートルの深海まで人を乗せて潜れる「しんかい6500」。重要部品をつくる技術が、今の日本にはもうない――といった趣旨の投稿が話題になりました。この情報は本当なのでしょうか。しんかい6500を運用している海洋研究開発機構(JAMSTEC)に話を聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮)
<失われた技術>
「しんかい6500」はその名の通り、6500メートルの深さまで潜れる有人潜水調査船です。1989年に三菱重工によって建造され、就航以来、1700回以上の深海調査を行ってきました。水中では10メートル潜るごとに1気圧ずつ水圧が増していくため、深海6500メートルでは、1平方センチメートルあたり、約650キロもの力がかかることになります。自衛隊や米軍が運用する軍用の潜水艦でも、この水圧にはとても耐えられません。
そのため、しんかい6500には専用に設計・製造された部品が数多く使用されています。
話題になった投稿が指摘する部品は、しんかい6500の人が乗り込む「チタン製耐圧殻」を作る技術が失われてしまったというもの。これに対しXでは「これがロストテクノロジーか」「ものづくり大国ニッポンはどこに」などの反応があり、ショックを受けた人が多かったようです。
<設備がなく、技術者も引退>
実際のところ、しんかい6500を取り巻く状況はどうなっているのでしょうか。JAMSTECの横須賀にある本部で話を聞けることになりました。「『ロストテクノロジー』というと少し大げさかもしれませんが、現状、日本でしんかい6500と同じものを作るのが難しい状況なのは事実です」経営企画部未来戦略課の桐生健斗さん(29)が解説してくれました。
現在、文部科学省の「深海探査システム委員会」で今後の深海探査の在り方に関する議論が進んでおり、Xで話題になっていたのはそこで出た議論の一部だそうです。「今はもう、しんかい6500を作った三菱重工にもチタン製の耐圧殻を作るための設備がないそうです。また、当時製造を担った技術者もすでに引退しているため、技術者の育成も行わなければいけません」JAMSTECによると、しんかい6500の建造費用は1989年当時で約130億円ほど。「今同じものを作ろうとすれば、恐らくこの数倍はかかるのではないでしょうか」
<迫るタイムリミット>
しんかい6500が製造されたのは35年前。「これまでもしんかい6500の後継機が必要だという議論は何度も出たのですが、予算がつかずにここまで来てしまったのが現状です」と桐生さん。日本がしんかい6500を継続して運用する間も、各国では技術開発が進んでいました。
中国が1万1000メートルまで潜航できる有人調査船「奮闘者」を運用するなど、その進歩にはめざましいものがあります。後継機の開発が難しい現状、少しでも長くしんかい6500を使えるよう、大事にメンテナンスを続けて「延命」させているそうです。どのくらいの深さまで何回潜ったかによって、耐圧殻の残りの寿命は変わってくるそうです
今のペースで運用すると、しんかい6500のチタン製耐圧殻の設計上の寿命が尽きるのは2040年代ごろになるとのこと。「ただ、実際にはそれよりも早く限界がくるかもしれません。部品の調達が困難なのは耐圧殻だけではないんです」
しんかい6500を構成する部品には、専用に作られた「一点物」も少なくないうえ、それらを製造していたメーカーの撤退・生産中止が相次いでいるそうです。「老朽化が心配される部品の中には緊急時に船体の一部を切り離して浮上させる『緊急離脱ボルト』など、人命に関わるものもあります。このままだと、2040年代を待たずして運用停止に陥る可能性もあります」
<深海への熱視線とは裏腹に>
地震や海底火山の活動、海底の鉱物資源、地球温暖化など、深海調査は様々な分野の研究に活用されており、年々その需要は高まっています。その一方で、予算は決して潤沢とは言えない状況にあると桐生さんは話します。「しんかい6500の母船『よこすか』も老朽化が進んでおり、このままだと将来的に深海調査そのものが危ぶまれる可能性もあります」
高度な技術が必要でコストがかかる有人潜水調査船の代わりに、ROV(Remotely Operated Vehicle)と呼ばれる遠隔操作で動かす無人探査機や、人の手を借りずに自律して海底を調べるAUV(Autonomous
Underwater Vehicle)という無人探査機を活用すればいいという意見もあるそうです。
「無人探査機には10億円前後で市販されているものもあるため、国産の技術を育てることを諦めるのであれば、安上がりで済むという考え方もできます」
ただ、高精度な作業ができたり、直接人の目で観察できたりすることの意義は大きく、無人船は有人船の完全な代替にはならないのではないかと桐生さんは話します。
「JAMSTECではこれまでROV『かいこう』やAUV『じんべい』などの運用もしてきましたが、やはりしんかい6500のような有人船でなければできないことも多いという印象です。実際にしんかい6500に乗った研究者も、ほとんどの人が『これは無人ではできない』という感想を持たれるようです」
今回、深海調査をめぐる状況がSNSで話題になったことについて桐生さんは「現状を広く知っていただくきっかけになったのは良かったと思っています」と話しています。今行われている議論の行く末が「日本の科学研究が停滞してしまうかどうかの分水嶺」だと言います。
「深海は遠い世界のようでいて、経済や防災、環境問題などとも密接に関係しています。今後の深海調査をどうしていくのか、国民のみなさんに広く関心を持ってもらいたいと思っています」
(https://withnews.jp/article/f0240712001qq000000000000000W0ih10201qq000027102A)
----------
宇宙の領域では「はやぶさ」1,2号を始めとする宇宙開発の分野で日本は目覚ましい活躍をしています。月面着陸に向けて日本人の宇宙飛行士も参加する予定です。ところが足元も海洋分野では上記の記事のような事態が発生しています。日本周囲の海底にはレアアースなどの貴重な資源が存在しているようです。ところが数千メートル深海では「しんかい6500」のような深海調査艇がないとまったく調査できません。また海溝型大地震の調査を行うにも深海調査艇は必要です。
日本政府はこのような状況を理解しているのでしょうか。たしかに大金はかかりますが、国家の安全と科学技術の継承のために必要な技術は確保しておく必要があります。何事も失ってからは取り戻せないのです。
#542 赤いキツネと緑のタヌキ
今日は7月7日、七夕です。梅雨の中休みで真夏のような天気が続いていますので、今夜は織姫と彦星が夜空に輝いて見えることでしょう。しかし、本来の七夕は旧暦で数えますので、現代では8月上旬に当たります。たしかに新暦の7月7日は梅雨末期になりますので、毎日雨天で実際は数年に1回しか二人は会えないことになります。神様はそのような意地悪はしないでしょう。本来の七夕をご覧になりたい方は8月上旬の夜空をご覧ください。
さて、本日は東京都知事選挙の投票日となっています。従来よりも少し高い投票率となっているようです。しかしながらご存じのように今までにない奇妙な選挙です。知事候補者が56名しますが、マスコミがこぞって持ち上げているのはトップの4名です。残りの候補者は無視されています。その中で常にニュースで流れるのが共〇党支持を得ている赤いキツネと緑色をイメージとした緑のタヌキです。言い換えれば、国籍詐称と学歴詐称の闘いです。この詐称問題は両者とも否定していますが、首長としては大きな問題でしょう。それを否定するとは大したものです。
このような者が首都東京の長になるとは非常に情けなく思います。また候補者56人のうち大半はただの売名行為で、選挙活動を茶化しているとしか思えません。おまけに選挙ポスターにはほとんどヌードのようなものを掲示した候補者がいますし、選挙ポスター掲示板をビジネスにして他者に貸し出した輩もいます。
従来になかった選挙が今回の東京都知事選挙です。従来の規則では想像できないような様々な問題が今回噴出しています。これが民主主義でしょうか。ただの人気取りの衆愚政治です。これが日本の政治の現実です。「もっと真面目にやれ!」と神様の声が聞こえてきます。(「帰って来たヨッパライ」のセリフです(笑)。)
本当に情けない状況がこの国で続いています。政治家は私腹を肥やすのに一生懸命で、本当にこの国のことを考えていません。この国が衰退しているのも政治家がまともに仕事をしないからです。また極端な円安に伴い、海外で働く若者も増えています。若い女性の中には売春目的で海外に行くようです。実際日本人女性によるアメリカや韓国などでの売春行為が摘発されています。
日本人の矜持はどこへ消えたのでしょう。歴史を振り返れば一国の盛衰が見えてきます。日本の国柄は国民全員が汗水流して一生懸命働いて、富を蓄え、技術革新を成し遂げてきた歴史があります。しかし現在では享楽主義に陥り、この国の将来を憂う国士がいなくなってしまいました。
このような状況になると国の没落は一気に早まります。古代ローマ帝国や古代の唐も同様の歴史をたどりました。本当に多くの憂国の士が登場し、社会改革を進めていきませんと、この国は終了です。そうならないように今心ある人たちが頑張らないといけません。それは流血を伴う「革命」ではなく「新しい維新」の始まりになると思います。まず為政者が姿勢を正し、真面目に国政を行い、国民がもう一度真面目に働く姿勢を示すことができれば、この国は将来明るいでしょう。
#541 時の流れに
今日は6月30日です。令和6年も半年が過ぎたことになります。この半年を振り返りますと1月1日の能登半島地震。翌日の羽田の海上保安庁の航空機と日航機の衝突事故に始まり、最近では異常な物価高や円安、東京都知事の法令を無視した選挙活動など例年では考えられないほどの様々な自然現象、事故、事件がこの半年に勃発しています。
このような世の中の激しい移り変わりの中で、ただ静かに時が流れ、いつの間にか年老いていく自分に時の流れを今さら感じざるを得ません。そのような世の中を表した文章に旧約聖書コヘレトの言葉があります。
----------
コヘレトの言葉 第3章
天が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。
生るるに時があり、死ぬるに時があり、植えるに時があり、植えたものを抜くに時があり、
殺すに時があり、いやすに時があり、こわすに時があり、建てるに時があり、
泣くに時があり、笑うに時があり、悲しむに時があり、踊るに時があり、
石を投げるに時があり、石を集めるに時があり、
抱くに時があり、抱くことをやめるに時があり、
捜すに時があり、失うに時があり、保つに時があり、捨てるに時があり、
裂くに時があり、縫うに時があり、黙るに時があり、語るに時があり、
愛するに時があり、憎むに時があり、戦うに時があり、和らぐに時がある。
----------
この言葉によりますと、全てのものには始まる時期があり、そして時が流れていきます。私たちの人生も四季があり、青春・朱夏・白秋・玄冬と時が流れていきます。自分はいつまでも自分ですが、外見は年と共に変化していきます。私も鏡を見ると、鏡の前に初老の姿が映っているのに気づきます。時の流れには逆らえません。この世に生まれて去るまでに自分がしたことを問われます。それはどれだけ人に尽くしたか。迷惑をかけなかったか。そして一生けんめい生きたかが問われます。残り時間が少なくなった私にとってまだまだ成し遂げていないものがたくさんあります。そして後悔しないような生き方がこれから求められます。今日そんなことをふと考えてみました。
今、時の流れにすべてを流してしまおう
来る時のために すべてを流してしまおう
#540 偉人のことば
北海道を除いて全国的に梅雨入りしました。一方では沖縄・奄美地方は梅雨明けを宣言しました。日本列島がいかに南北に広いかを梅雨前線が如実に示しています。これからおよそ3週間全国各地で梅雨が続きますが、毎年各地で大きな水害が発生しています。今年は大きな被害が出ないように祈るばかりです。
さて、雨が一日中降りますと憂鬱な気持ちになりがちですが、そんな時は読書で時間を過ごすのが一番だと思います。最近購入した本の中で、役に立つ言葉を載せた「奇跡の絶景と運命を変えることば」(パイ・インターナショナル社)より、いくつか偉人の言葉を紹介します。この本は美しい写真を背景に偉人が残したことばと、その解説から成り立っています。
----------
今、この瞬間幸せでいましょう。
これで十分です。
その瞬間、瞬間が、私たちのもとめているもの
すべてであって、他には何もいらないのです。 (マザー・テレサ)
たとえ、いかなる逆境、悲運にあおうとも、
希望だけは失ってはならぬ。
「朝の来ない夜はない」のだから。 (吉川英治)
その時は気づかないかもしれませんが、
つらい経験をすることは、
あなたにとって
世界で最もすばらしいことなのかも
しれませんよ。 (ウォルト・ディズニー)
真の英雄とは、人生の不幸を
乗り越えていく者のことである。 (ナポレオン・ボナパルト)
人に大切なのは、自身を持つことだ。
私が孤児院にいたとき、
腹をすかせて街をうろついて
食いものをあさっていたときでさえも
自分では世界一の
大役者ぐらいのつもりで。
つまり勝ち気だったのだ。
こいつをなくしてしまったら
人はうち負かされてしまう。 (チャーリー・チャップリン)
行く手に川があったら
渡ればいいじゃないか (トーマス・エジソン)
もしも、
この世が喜びばかりなら
人は決して勇気と忍耐を
学ばないでしょう (ヘレン・ケラー)
あやまちなどというものは
存在しません。
あやまちはそこから必ず
何かを学べる恵みなのです。 (エリザベス・キューブラ・ロス)
できると思えばできる、
できないと思えばできない。
これは、ゆるぎない
絶対的な法則である。 (パブロ・ピカソ)
人生がわかるのは
逆境のときよ。 (ココ・シャネル)
----------
10編ほど紹介しましたが、この本にはまだ数多くの素晴らしい言葉が載っています。書店で一読されてください。じめじめした季節には読書が最適です。好きな本を手にしてページをめくる楽しみは最高です。現在はスマホで読むe-bookが人気ですが、紙の本はまだ捨てがたいものがあります。少しの時間でもページをめくり、心躍らせる瞬間は忘れがたいものがあります。
#539 情報格差
最高気温30度近い夏日が毎日続いています。まだ梅雨入りしていないのに、まるで梅雨明けしたかのような天気です。一方、梅雨入りしている沖縄・奄美地方では毎日大雨が続いており、平年ですと23日前後が梅雨明けとなりますので、例年ですとあと1種間ほどで沖縄に夏がやってきます。
さて、本日のテーマは「情報格差」を取り上げています。情報格差とは次のように定義しています。
----------
情報格差(じょうほうかくさ)またはデジタル・デバイド(英: digital divide)とは、インターネット等の情報通信技術(ICT)を利用できる者と利用できない者との間にもたらされる格差のこと。国内の都市と地方などの地域間の格差を指す地域間デジタル・デバイド、身体的・社会的条件から情報通信技術(ICT)
を使いこなせる者と使いこなせない者の間に生じる格差を指す個人間・集団間デジタル・デバイド、インターネット等の利用可能性から国際間に生じる国際間デジタル・デバイドがある。特に情報技術を使えていない、あるいは取り入れられる情報量が少ない人々または放送・通信のサービスを(都市部と同水準で)受けられない地域・集団を指して情報弱者と呼ぶ場合も。(ウィキペディアより)
----------
私は仕事の準備や作業をしながらテレビのニュースを見ることが多いのですが、NHKを含め、海外ニュースを見るときに困ったことが起きます。海外ニュースを音声翻訳している場合は問題ないのですが、字幕付きのニュースですと、テレビ画面を見ていないと何が話されているのか全く分からなくなります。英語のニュースであれば何とか理解できますが、英語以外のニュースではテレビ画面を見なければ(字幕を見なければ)状況が全く理解できなくなるのです。
同じ状況が視力障碍者の方にも言えると思います。目が不自由な方は音声としてニュースを理解しますが、放送が外国語となると内容が理解できなくなります。このような状況を放送局(情報提供者)がどれほど理解しているか分かりませんが。情報提供者(健常者)が理解しにくい障害のひとつと言えます。障碍者の立場として何が障害となっているかを考慮しませんと、情報提供側と受け取る側に様々な齟齬が生じます。ニュースの字幕にしても、聴覚障碍者には役立ちますが、視覚障碍者にとっては少しも役立ちません。
障碍者と一口に言いましても様々な障害があります。視覚、聴覚、味覚などの感覚が正常でない場合。また体の部位が動かないなど身体的な障害がある場合。心理的または精神的な障害がある場合など、その障害は様々です。特に今回言いたいことは、想像力を持って少し考えれば理解できることを、当然のこととして無視する、あるいは考えようとしないことが問題です。情報提供者はあくまでも「健常者」です。その「健常者」が自分が提供する情報を障害を持つ人がどのような立場で受け取っているかを考えませんと、一方的な情報提供となり、その情報を必要としている人に届きません。
またこの問題は災害などの緊急放送にも言えます。緊急放送では障碍者だけでなく、日本語を理解できない外人や海外からの観光客を含みます。NHKなどでは災害時にサブチャンネルで外国語の同時通訳を始めていますが、平時でも様々な情報を提供するなど、より細かなサービスが必要です。昨今のAI技術を利用すれば簡単に字幕や音声による情報提供は実現できます。これが本当の「おもてなし」の精神となります。今日は情報格差について述べましたが、よりよい社会をつくるために、できることから始めることが大切です。
#538 男子校消滅!
昨日九州南部が梅雨入りし、九州北部も今日は朝から断続的に雨が降っています。まもなく入梅となるでしょう。じめじめした日々がひと月続くことになります。
さて先日衝撃的なニュースが流れました。福岡県内の男子校がすべて無くなるそうです。ネットでは様々な報道がありますが、本日は読売新聞の記事を転載します。
----------
『中村学園女子中学校・高校が2026年度から共学に…男子校の「三陽」は募集停止、閉校へ』
学校法人「中村学園」(中村紘右理事長)は運営する女子校の中村学園女子中学校・高校(福岡市城南区)を2026年度から男女共学にすると発表した。校名は中村学園中学校・高校に変更される。
中村学園によると、学園の創立70周年に合わせた教育改革の一環で、多様性を受け入れることのできる教育を目指すという。5月1日現在、中・高で計994人が在籍している。
また、同じく同法人が運営する男子校の中村学園三陽中学校・高校(同市西区)については、生徒の募集を停止し、在校生の卒業を待って閉校することも発表された。同日現在の中・高の生徒数は計351人で、中学は25年度以降、高校は26年度以降の生徒募集を停止する。
県教委などによると、県内の中学校、高校の男子校は、三陽中学校・高校と、学校法人「東福岡学園」が運営する中学校、高校のみ。東福岡学園は25年度からいずれも共学にすると発表しており、三陽中学校・高校が閉校となれば、県内から男子校がなくなることになる。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20240604-OYTNT50070/
----------
少子化の影響で中学・高校に入学する生徒数が減少しています。私が教員に成り立ての頃は男子校や女子高が福岡市内に多くありました。現在では共学になった西南学院、大濠、福岡泰星高校(現上智福岡)東福岡など多くの男子校がありました。また女子高も福岡雙葉学園、筑紫女学園、福岡女学院、博多女子など多数あり、その大半が現在でも女子高として存続しています。
少子化のせいで生徒募集に悪影響を及ぼし、それが男子校を共学にさせたのでしょう。これは男子校だけでなく女子高にも大きな影響を与えます。女子校に入学する女子生徒が共学校に流れるからです。実際、筑後地区は久留米にある信愛女学院が共学となり、女子校は明光学園だけとなりました。
生徒募集の点からすれば男子校、女子校は不利な立場にありますが、男女別学の利点はまだたくさんあります。男女共学、男女別学、それぞれの利点を活かしながら切磋琢磨していくことがこの国の将来を決定することになります。目先の利益にとらわれることなく学校独自の理念を追及してもらいたいものです。
#537 トノバンは永遠に
今日は6月2日です。例年なら6月4日頃から梅雨入りになりますが、今年はまだ梅雨入りの気配がありません。天気予報もまだしばらく晴天が続くと言っていますので、今年は短い梅雨になりそうです。しかし大雨には注意が必要です。特に梅雨末期の豪雨は毎年各地で大きな災害を引き越していますので、日本中どこでも注意が必要です。
さて、トノバンという言葉を聞いて何を思い出すでしょうか。すぐある人物を思い浮かべた人はさすがです!トノバンは故加藤和彦氏の愛称です。彼が自死を選んで今年で15年になります。現在全国の映画館で彼の記録映画が上映されています。タイトルは「トノバン:音楽家加藤和彦とその時代」です。本日はこの映画を見るために福岡に行ってきました。(そのためにブログの更新が遅くなりました。)博多駅の映画館も上映していますが、上映時間が合わないので今回は警固小学校近くの
Kino Cinema に行きました。4年ほど前にできた新しい映画館です。
加藤和彦と言えば日本音楽の革命児と言われるほどの著名人です。最初に彼の名前が有名になったのがフォーククルセダーズ(俗にフォークル)が歌った「帰って来たヨッパライ」です。当時では考えられなかったアマチュアグループによる作詞作曲で、自宅録音した楽曲です。私は小学生でしたが、この歌を聴いて衝撃を受けたことを思い出します。
それまでのプロが作った歌と異なり、曲想が全く異なり、コミック風の歌を聴いたのは初めてでした。この曲をじっくり聞きますと間奏でオッヘンバックの「天国と地獄」が流れたり、エンディングでは読経の途中からビートルズの
A Hard Day's Nightが流れ、最後にはベートーベンの「エリーゼのために」で曲が終わります。今まで誰も発想しなかった曲作りをフォークルは行なっています。その中心が加藤和彦でした。
その後、彼はサディスティック・ミカ・バンドを結成して国内外で活躍し、特にイギリスでは注目を浴びることになります。また1つのジャンルにこだわることなく、様々な音楽を取り入れ、彼独自の音楽活動へ進んでいきます。
彼がなぜ自死を選んだかは定かではありませんが、親友の北山修に音楽ではやることがなくなった旨のメッセージを残しています。おそらく一種の鬱的な状況だったのでしょう。この時期を乗り越えていたら、また別の加藤和彦を見つけていたことでしょう。本当に残念です。
加藤和彦はメロディメーカー(作曲家)として特に有名ですが、私個人としては、きたやまおさむと共に作り上げた楽曲が好きです。例えば誰もが知っている「あの素晴らしい愛をもう一度」は永遠のフォークソングとして50年以上も歌い継がれています。
「歌は世につれ、世は歌につれ」と言いますが、確かに加藤和彦は日本のポップス音楽の変革を導いた一人として、日本音楽史上に残る人物だと思います。今日の映画を見て、ふと彼の音楽を考えてみました。
#536 ジャカランダ
5月も最終週となりました。沖縄・奄美地方はすでに梅雨入りとなり、今日は台風1号も発生しました。いよいよ九州も梅雨入り間近となります。また昨年同様に大雨の日々を迎えるのでしょうか。災害には十分注意したいものです。
さて、初夏の花が咲き乱れていますが、宮﨑・日南ではジャカランダまつりが6月初旬までおこなわれています。「ジャカランダ」という花は聞きなれない花ですが太平洋沿岸で春から夏にかけて咲く花です。JTBのHPでは次のように説明しています。
----------
『世界三大花木「ジャカランダ」日本で唯一!
約1,000本の青紫花南米の情熱を秘めた高貴なパープルが雅を演出』
<概要・エピソード>
中南米原産のジャカランダは、5月下旬から6月中旬にかけて青紫色の花を咲かせます。このジャカランダの群生林を見ることができるのは、日本国内では日南市南郷町だけ。およそ1,000本ものジャカランダが宮崎県総合農業試験場内の有用植物園内で「ジャカランダの森」を作っており、花が見ごろを迎えると、あたり一面がジャカランダの青紫色で染まります。
どこか神秘的な青紫色が視界いっぱいを埋める光景は、思わず息を呑むほどの美しさ。その光景を一目見ようと、花のシーズンには県内外から多くの観光客が訪れ、「道の駅」なんごうをメイン会場にジャカランダまつりが開催されるほどの人気ぶり。四方八方にのびた枝で鈴なりに咲いていた花も、6月頃になると地面に少しずつ落ちはじめ、やがて地面いっぱいに青紫色の絨毯が広がります。
<見所・お勧めポイント>
世界三大花木の一つにして「南半球の桜」とうたわれる、ジャカランダ。花盛りを迎えると、梢からあふれるほどの青紫色の花を咲かせます。その様子は色こそ違えどまさに桜のよう。気品を漂わせる青紫色の花が咲き乱れる光景は、一度見たら忘れられません。ジャカランダまつりの詳細は決定次第「観光にちなんの旅」内にて紹介予定です。
<背景>
ホウオウボク、カエンボクと並んで、世界三大花木の一つに数えられているジャカランダ。日南市では昭和39年にブラジル県人会から贈られたジャカランダの種を大事に育ててきました。ジャカランダの花が初めて咲いたのは、14年後の昭和53年。それから40年近く経った現在。毎年咲き続けるジャカランダの森は約1,000本という規模にまで成長し、花盛りの季節には多くの人々が訪れるようになりました。
https://www.jtb.co.jp/kando/detail/279.asp
----------
ジャカランダは日南市だけでなく、熱海や藤枝など太平洋岸の多くの街でジャカランダ祭りを行っているようです。福岡県では残念ながらジャカランダを見られる場所を知りませんが、ラッパ水仙のような形をした藤の花のような薄紫の花が印象的です。
オーストラリアの春は南半球のために9月から始まりますが、10月頃から花が咲き始め11月末まで満開の花がいたる所で見られ、南半球の「桜」というイメージがあります。私が住んでいたシドニーも郊外に行けば街路や公園で花が咲き乱れ、街中がまるで紫色の花で一色に染まったようになります。匂いはそれほど強くなく、可憐な花は気品があります。もしオーストラリアを訪れる機会がある人は10月以降の季節がお勧めです。満開のジャカランダをもう一度この目で見たいものです。
#535 2025年7月5日
5月も下旬となり、全国で夏日が続出しています。昨日は日田や大宰府などで30度を超える真夏日も記録しています。今年も昨年同様に高温多湿の日々が続くのか、今から懸念されるところです。体が暑さに慣れていない時期ですので、特に熱中症には充分注意しなければなりません。5月末に運動会を開催する小・中学校、高校が多いので、学校側は熱中症対策を取る必要があります。お互いに気をつけたいものです。
さて、今日の話題はネットで話題となっている「予言」です。予言と言えば1970年代に国内外で話題となった「ノストラダムスの予言」が有名です。当時高校生だった私は40歳前後で死ぬのだと本気で考えたことがあります。結局、何事も起こりませんでしたが。たしかにノストラダムスは1999年に世界が滅びるとは一言も言っていません。彼の予言は3000年以降も存在しているのですから。
世の不安な流れとともに、またぞろ新しい予言が出てきました。それは2025年7月5日にフィリピン沖で海底火山が爆発し大津波が発生。その影響で日本が数百メートルの大津波に襲われる、という内容です。この予言の出所の1つに、たつき諒という漫画家が描いた「私が見た未来」がありますが、彼女は霊夢なるものを見て、この日付が浮かんだと本の中で説明しています。また天文家のなかには同じ時期に隕石が地球に接近し、太平洋上に落下すればその周辺国に大災害を引き起こすと述べる人もいます。ネットには「2025年7月5日予言一覧」といものがありますので、興味のある方は参考にしてください。https://20250705.jp/yogen-matome/20250705/
はたして、世の中が不安定になる時期にかならず予言なるものが登場してきます。現実に即したような予言から奇想天外のものまで種々雑多で、なかには噴飯ものも存在します。例えば聖書の中の「ヨハネの黙示録」はキリスト教徒だけでなく、西洋社会に根付いている予言というよりも終末の世界を表した抽象文学と捉えることもできます。実際にこの終末世界を実現させようとしたカルトがオウム真理教でした。地下鉄でサリンを散布し,数千人を死傷させた事件は犯罪史上極めて異常な事件でした。また海外でもアメリカで発生した人民寺院のように終末を予言したカルトの集団自殺が起きています。
それではなぜこのような予言に人々は惹かれるのでしょうか。その理由の1つに将来に対する不安や、未知のものに対する恐怖心があるのでしょう。明日の運命は誰にも分かりません。まして社会情勢不安定な時代には何かにすがりたくなるものです。そこで、まことしやかな予言なるものが登場するとその真偽にかかわらず、その予言にすがりたくなる傾向があります。人の心の不安定さにつけ込み、「〇〇の霊言だ」、「〇〇を信じれば救われる」、という邪教も流行します。
このような嘘に騙されないようにするには、日々の仕事に真剣に取り組み、毎日感謝して生きることです。そして常識に基づいてその予言が根拠あるものかどうかをじっくり考えれば、それが真実かどうか判断できます。予言と言われるものの99%は嘘です。今回の2025年7月5日に何が起こるか楽しみにしましょう。必ずはずれるはずです。もし最悪で海底火山の噴火や隕石衝突が起こっても大丈夫です。大津波が日本に届くまで数時間の余裕があります。その間に近くの標高100m以上の山や高地に避難しましょう。そうすれば命だけは助かります。いずれせよ、様々な予言や邪教に惑わされないようにしましょう。
#534 母の日
今日は母の日です。早朝から1日中雨が降っています。家族の移動もバスや車に限られ、雨の中をデパートやレストランに行くのでしょうか。今日子どもたちはお母さんに何をプレゼントするのでしょうか。カーネーションでしょうか。ハンカチでしょうか。それとも子ども手製の品物でしょうか。5月第2日曜日は世界の多くの国々で母の日が祝福されます。
この母の日ですが、世界各国でその起源が異なるようです。ちなみに日本では次のように説明しています。
----------
『母の日』
母の日ギフト用にディスプレイされたカーネーションのさまざまな品種(2009年 東京銀座にて。)大日本連合婦人会が1931年(昭和6年)に結成された。その際、同組織は皇后(香淳皇后)の誕生日である3月6日(地久節)を「母の日」としたが、普及しなかった。
1937年(昭和12年)5月8日に、第1回「森永母の日大会」(森永母を讃へる会主催、母の日中央委員会協賛)が豊島園で開催され、1949年(昭和24年)ごろからアメリカに倣って5月の第2日曜日に催された。
母の日に母親が健在の場合は赤色、鬼籍に入っている場合は白色、それぞれのカーネーションを贈る習慣が広く知られる。新卒の社会人は時期的に初任給の支給と重なるので、初任給でプレゼントを購入することも多い。
5月5日のこどもの日は、国民の祝日に関する法律第2条で「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝すること」を趣旨と定む。(Wikipediaより)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%8D%E3%81%AE%E6%97%A5
----------
子どもの年齢により、母親への愛情と感謝の表現が異なります。幼い子どもは母親を神のように崇め、母親といつも過ごしています。小学校に入りますと、友人と過ごす時間が増え、母親の存在が薄れていきますが、それでも母親に対する愛情は父親のそれとは比べものにもなりません。(この点で子どもの父親に対する愛情は異なります。)10代の子どもは自立心が強くなり、母親とのスキンシップはますます少なくなり、子どもが大学進学や社会に出ますと、自宅から離れて暮らすようになり、母親を故郷から離れて思うようになります。その頃には母親はいわゆる「たらちねの母」になっています。
母親は年老いても、常に自分の子どもを幸せを考えています。こどもは一人の大人として母親と接し、子どもがいれば自分の母親がこれまでしてくれた全てのことに感謝の念が耐えません。年老いた母の人生を子どもの立場で振り返り、自分のために尽くしてくれた母親に対して深い愛情を感じます。
「親孝行したいときには親はなし」とならないように、普段から両親に対して感謝することです。しかし、いつも身近にいる両親の愛情は気づきにくいものです。親が生きているうちに、それも元気なうちに親孝行をしたいものです。両親がすでに他界した私にとって大きな後悔となっています。
#533 オーバーツーリズム
今日は「子供の日」です。今年のゴールデンウィークも残り1日となりました。大型連休終了1日前にはいつものように高速道路では長い渋滞が発生し、空港では海外からの帰省客がピークに達成します。また新型コロナ後の海外からの観光客増加に伴い、日本だけでなく海外の観光地でもオーバーツーリズム(観光公害)が激しくなっています。
長期休暇には多くの人が国内外の旅行に行きますが、その行為自体が観光地の住民を苦しめています。例えば国内で最も人気がある京都では、観光客が路線バスを占領するので、地元の人々が通勤に使用できない事案が生じています。また旅行期間中はホテルの宿泊料も値上がりするので、京都以外から来る日本人観光客にもマイナスの影響が出ています。近年このような観光公害が目立ってきていますが、次のような報道がなされています。
----------
[京都のオーバーツーリズム対策…連休中はバス増便、SNSで多言語の混雑情報表示』
最長10日間にわたるゴールデンウィークが始まった27日、京都市内の行楽地も大勢の人でにぎわった。オーバーツーリズム(観光公害)が課題となる中、市は混雑緩和策を強化している。
嵐山の渡月橋周辺は午前中から、外国人観光客や修学旅行生らでにぎわった。奈良市から訪れた女性会社員(29)は「アニメの聖地巡りが楽しみで来た。京都には多くの舞台があるので満喫したい」と話し、キャラクターグッズを手に記念写真を撮っていた。
京都市は27日~5月6日の土日祝日、JR京都駅から清水寺や祇園を結ぶ市バスの路線を増便し、特に混雑する午前中は3~4分間隔で運行。他にも臨時バスの運行や地下鉄の増発などで市バスの混雑緩和を図る。
嵐山や伏見稲荷大社、北野天満宮など市内10か所に設置しているライブカメラ映像にも、日本語、英語、中国語で混雑する日時や交通に関する情報を表示し、観光を楽しむ時間帯や場所の分散化を促す。
ほかにも、観光客にマナー順守などを呼びかけるため、「荷物を預けて手ぶら観光します」などのメッセージを掲げた人の写真をインスタグラムなどのデジタル広告に掲載。市の担当者は「SNSを活用し、市民生活と観光の調和を図りたい」としている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240427-OYT1T50176/
----------
上記は京都市の観光に関するニュースですが、国内の観光地はどこも似たような観光公害に困り果てています。例えば富士山の登山料など様々な対策が考えられていますが、観光客を減らすような対策にはなっていません。確かに政府はインバウンド政策を推進していますが、はたして観光地に暮らしている住民のことを考えているのでしょうか。安心できる暮らしを手に入れるために観光地から引っ越す住民も出ているそうです。観光地が活気を呈するのは地元の商店と宿泊施設やそれに関連する産業のみで、必ずしも地元の住民ではありません。どうすれば観光客も楽しみ、地元の人も静かな生活を維持できるようになるでしょうか。
この問題を解決するにはやはり政治の力が必要となります。国内外の環境客と観光地の住民のために何ができるかを早急に話し合い、国としての対策をできるだけ早く取ることです。そうしないと観光公害の問題はいつまでも解決できません。大気汚染や車の排気ガスなど従来の公害と異なり、病人や死者がでるわけではありませんが、観光公害への対策を取らないとボクシングのボディーブローのように国中を蝕んできます。新しい公害として素早い対策が必要となります。
#532 大谷選手とタラントンの話
昨日からゴールデンウィークが始まり、記録的な円安にもかかわらず海外旅行に行く日本人が昨年以上に増えているそうです。また国内でも多くの観光地でイベントを計画しており、多くの旅行客の注目を浴びています。ゴールデンウィークは一種の非日常的な休日として日頃できない事へ挑戦することもできます。また家で疲れを癒し、ゆっくりテレビやビデオを観ることもできます。またスポーツ観戦もいいでしょう。
スポーツ観戦といえば、メジャーリーグでの大谷選手の活躍が連日報道されており、7号ホームランが昨日報道されていました。今シーズン開幕当初は不審に喘いでいましたが、現在は絶好調を維持しています。この大谷選手の活躍を見ると聖書の中にある「タラントンの話」が思い出されます。タラントンとは英語の「才能」を意味するタレント(talent)の語源となった語です。聖書には次のような箇所に登場します。
----------
『マタイによる福音書 第25章』
(14)「天の国はまた次のようにたとえられる。ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。 (15)それぞれの力に応じて、一人には五タラントン、一人には二タラントン、もう一人には一タラントンを預けて旅に出かけた。早速、
(16)五タラントン預かった者は出て行き、それで商売をして、ほかに五タラントンをもうけた。 (17)同じように、二タラントン預かった者も、ほかに二タラントンをもうけた。
(18)しかし、一タラントン預かった者は、出て行って穴を掘り、主人の金を隠しておいた。 (19)さて、かなり日がたってから、僕たちの主人が帰って来て、彼らと清算を始めた。
(20)まず、五タラントン預かった者が進み出て、ほかの五タラントンを差し出して言った。『御主人様、五タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』(21)主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』
(22)次に、二タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、二タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに二タラントンもうけました。』
(23)主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』
(24)ところで、一タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、あなたは蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集められる厳しい方だと知っていましたので、
(25)恐ろしくなり、出かけて行って、あなたのタラントンを地の中に隠しておきました。御覧ください。これがあなたのお金です。』 (26)主人は答えた。『怠け者の悪い僕だ。わたしが蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集めることを知っていたのか。
(27)それなら、わたしの金を銀行に入れておくべきであった。そうしておけば、帰って来たとき、利息付きで返してもらえたのに。 (28)さあ、そのタラントンをこの男から取り上げて、十タラントン持っている者に与えよ。
(29)だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。 (30)この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』」
注:各数字は節を表します。例 (14)は14節の意味です。
----------
聖書に登場する「たとえ話」は難解な物語が多く、このタラントンの話も理解しにくいものです。しかし、タラントンを「才能を持った人」と解釈すると、10タラントンを持っている人は自分の才能を開花させ、それをうまく活用した人と解釈できます。反対に1タラントしか持っていない人は自分の才能を開花させるために何も努力しなかった人で、その結果主人から家を追い出されます。
大谷選手はまさに自分の才能を不断の努力により開花させた人と言えるでしょう。それは野球選手としてだけでなく、自ら手にした莫大な年俸を様々な慈善活動に投じていることからも普通の選手とは一線を画しています。一例を挙げてみますと、
-自身が試合で使用するニューバランス社製のジュニア用グラブを日本国内の小学校に約6万個寄付する
-全額負担で米留学100人招待! 小4~高3までの費用ド~ンと推定5000万円
-日本の子供達に約2,500本のマットレスを無償提供することを発表した
その他、心臓病を中心とする小児難病患者の医療費支援をはじめとする社会貢献を含め枚挙にいとまがありません。今後の大谷選手の活躍を応援するとともに、「好事魔多し」に充分気を付けていただきたいと思います。水原氏の問題だけでなく、大谷選手に関わる利害関係でさまざまな人物が近づいてくることでしょう。日本を代表する野球選手として輝かしい記録を残すとともに、偉人として足跡を残してもらいたいものです。
#531 死者が生き返る!?
穀雨にふさわしい雨が昨日から降り続いています。この雨で一気に季節は晩春から初夏へと移っていくことでしょう。来週にはゴールデンウィークが始まり、多くの人が円安にもかかわらず国内外へ出かけていくことでしょう。
さて、毎日のようにフェイク画像や映像などAIに関するニュースが世間を騒がせていますが、また違った意味でAIの魔法のような技術が公表されました。「死者と会話ができる」というのです。これは今までの生成AI技術を応用したものですが、今までと異なるのは死者を題材にしたものです。先日これに関するニュースが流れましたので掲載します。
----------
『「パパ、ママ、会いに来たよ」AIで死者を“復活”
中国で新ビジネスが論争に 「冒とく」か「心の救済」か』
世界では今、インプットされたデータから文章や画像などを自動で作り出す「生成AI」の技術が急速に進化しています。こうした中、中国では「生成AI」を使って亡くなった人を「復活」させるビジネスが登場し、論争を呼んでいます。
<「パパ、ママ、会いに来たよ」>
中国のネット上にあふれるこれらの動画。実は、すべて生成AIで「復活」した死者たちです。生前の写真や音声を元に、AIが動画を作成。
「僕はとっても会いたかったよ。元気なの?」
まるで本人がしゃべっているかのような動画ができあがります。AIが学習することで、本人そっくりの口調で会話をすることもできます。
事故で亡くなった叔父を「復活」させ、祖母と毎日、会話ができるようにした男性は「ニーズを満足させてくれるサービスだと思います」と話します。張沢偉さん(33)は去年、生成AIで死者を復活させるビジネスを始め、これまでにおよそ1000人の「死者を復活」させてきました。始めたきっかけは、友達から「お父さんを復活させてほしい」と依頼されたことでした。
<張沢偉さん>
「(AIで『復活』した父を見た)友達はとても感情的になり、涙を流しました。自分たちのやっていることは、人助けになるとわかったんです」
これは、張さん自身を再現した動画。およそ1週間で完成し、費用は4000元(約8万円)からです。事故で亡くなった子どもに、もう一度会いたい。古い写真からおじいさんを復活させてほしい。そんな願いが日々、張さんのもとには寄せられるといいます。
<コービー・ブライアントさんが流ちょうな「中国語」を・・・>
一方で、こんな問題も…「中国のファンのみなさん、こんにちは。コービー・ブライアントです」
2020年に事故で亡くなったアメリカのプロバスケットボール選手、コービー・ブライアントさん。なぜか流ちょうな中国語をしゃべっています。このように、亡くなった有名人を生成AIで勝手に復活させてしまうケースも相次ぎ、「死者への冒とく」「肖像権の侵害」といった批判があがっているのです。先ほどの張さんは、悪用されないよう本人や家族の同意をとっているとしたうえで、生成AIの可能性について次のように話します。
<生成AIで死者を「復活」 張沢偉さん>
「私は今、人々を救っていると感じます。人々に精神的な安らぎをもたらしているのです。私の夢は、普通の人がデジタルの力で『永遠に死なない』ことを実現することです」急速に進むAI技術がもたらすのは心の救済か、それとも死者への冒とくか。重い問いを投げかけています。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1123023?page=1
----------
実際の映像は上記のアドレスをクリックしてご確認ください。果たして、この死者を生き返らせる技術がもたらす意味は何でしょうか。人生は出会いと別れの繰り返しです。死を迎えないものは誰もいません。愛する人との永遠の別れを通じて人生のはかなさを痛感するものです。そしていつかは自分も死を迎えることを心の底で認識し、残りの人生を生き切る決意をします。
上記にあるように、死者と会いたい気持ちになって最新技術を屈指して死者を復活させても、所詮フェイクでしかないのです。AIの故人と出会えても本人ではありません。
今日のテーマは単なる生成AIを使った故人の復活だけでなく、人間の持つ死生観を根底から覆す内容ととなっています。あなたはAI故人に会いたいですか。
#530 ボンダイビーチ
桜の花は散ってしまいましたが、桜に代わり今度はツツジが咲き始めています。川の土手に沿って咲いている菜の花は満開です。また休耕田にレンゲの花が咲き誇っています。麦畑の麦もすくすくと成長しており、麦の穂が空に向けて力強く背伸びをしています。まもなく麦秋の季節がやってきます。
ところで昨日オーストラリアのシドニーにある繁華街の1つボンダイのショッピングセンターで無差別殺人事件が発生し、多くの死傷者が出ました。
----------
【AFP=時事】オーストラリア・シドニーの商業施設で13日午後、刃物を持った男が買い物客らを襲い、6人が死亡、生後9か月の乳児を含む数人が負傷した。事件は、大勢の買い物客でにぎわうウェストフィールド・ボンダイ・ジャンクションで起きた。ニューサウスウェールズ警察は、女性5人と男性1人が死亡したと発表した。犯人の男は駆け付けた警官に射殺された。
警察によると、40歳とみられるこの男は、以前から治安当局に把握されていた。身元は明らかにされていない。警察はテロの可能性を示唆するものはないとしており、単独での犯行とみている。
----------
オーストラリアでは無差別大量殺人事件はほとんど発生しませんが、そのことで買い物客が安心していたのでしょうか。亡くなられた方々へお悔やみ申し上げます。日本を始め世界の多くの都市で、「安全」という言葉が死語となりつつあります。
私が住んでいた頃のボンダイは商業施設というよりもシドニーで最も人気のあるビーチとして有名でした。もちろん今も一番人気のあるビーチですが、ショッピングセンターから20分ほど東の方に歩いていくとボンダイビーチに到着します。休日には家族連れで泳いだり、バーベキューをしたりして一日楽しめる場所です。観光客も多く訪れ、ビーチのそばの道路には多くのスタンドカー(屋台)が止まり、色々なものを食べることができます。
私はビーチで泳いだことはありませんが、ビーチに沿って散策コースが設置してありますので、時々暇なときに散策コースを歩いたものです。ボンダイビーチの直線距離で1キロほど南にあるブロントビーチからボンダイビーチまで1時間ほど海岸に沿って散策したものです。南半球はこれから秋に向かいますが、この季節は海風が気持ちよく吹いて爽やかな気分になれます。散策する道には様々な花が咲き乱れ、潮風を浴びて気持ちよく揺れています。一方海は大海原がどこまでも続き、ヨットや小舟が沖合に浮かび、風に吹かれて揺れています。
オーストラリアの海岸はどこに行っても素晴らしいビーチが数多く存在します。一番規模の大きいビーチはゴールドコーストですが、有名ではなくても地元の人々に愛されている小さなビーチも沢山あります。ビーチでの楽しみの1つにすぐ近く海で取れた海の幸を楽しめるところです。特に地元で人気があるのがフィッシュ・アンド・チップスで、魚のタラをフライで上げたものにフレンチフライをそなえたもので、値段も安くおなか一杯になります。公園の椅子に座って食べていると、カモメたちが寄ってきますので、鳥たちにポテトをおすそ分けをしてあげます。鳥たちは争って餌の取り合いをします。カモメたちと過ごすのどかな休日だったことを覚えています。
事件のあったボンダイのショッピングセンターにも時々足を運びました。シドニーの中心から地下鉄で10分ほどで到着します。ショッピングセンターだけでなくアーケード街には様々な店があり、色々な移民たちが土産物を売っています。いかにも移民文化が根付いている雰囲気を醸し出していました。30年ほど前のオーストラリア滞在の懐かしい思い出です。
#529 2024年問題
4月も早1週間が過ぎ、満開だった桜もすでに散り始めています。明日8日に入学式を行う学校が多いようですが、桜花も明日までぎりぎり持ちそうです。令和6年度が始まり、入社式のニュースがテレビで流れていましたが、今年は賃上げや初任給の上昇で新入社員の表情が明るいそうです。昨今の物価高の折、少しでも賃金上昇に多くの会社員は期待しています。というよりも、ここ20年以上も内部保留に注力し、社員の給与や福利厚生に目を向けなかった多くの企業に疑念を抱かざるを得ません。
さて今年度最も注目されるものの1つに2024年問題があります。この問題について様々な問題が指摘されていますが、経済問題に疎い私としては次のように理解しています。(google
「働き方改革」より引用)
日本政府は過度な時間外労働やサービス残業を防ぐために次の点を考慮した。
1.残業時間の上限に規制を設ける。(年間960時間)
2.勤務間インターバル制度を導入する。
3.時間外労働に対する割増賃金率を引き上げる。
4.年次有給休暇取得を義務化する。
5.労働時間の把握を義務化する。
6.フレックスタイム制を拡充する。
7.高度プロフェッショナル制度を新設する。
そして、テレワークやノマド、ワーケーション、フレックスタイム制といった柔軟性の高い勤務を認める会社の増加や、長時間労働の是正、有給休暇の取得義務化といった法改正への対応により、実際の働き方も日々刻々と変化している。
しかし、働き方改革を導入するには、テレワーク環境を整えるためのツールの導入や、人材の育成など環境を整えるためのコストがかかるのがデメリットだ。また次のような欠点も挙げられている。
1. 人件費やツール導入などコストが高い
2. 高度プロフェッショナル制度の乱用
3. 従業員のモチベーション低下
4.生産性・売り上げの低下
5. サービス残業や管理職の負担などの増加
また働き方改革の逆効果として、企業側の一方的な労働時間を制限するために導入したルールや制度が形骸化し、放置されることで、従業員には2つの不利益が生じる。
1つは、サービス残業が横行すること。 そしてもう1つは、労働実態に即した適正な給与が支払われない。
さらに「ジタハラ」が横行するようになる。
ジタハラとは「時間短縮ハラスメント」の略語です。 ジタハラとは、残業の削減に関する具体的な方策がないまま、会社の上層部が社員に対して「残業をせずに早く帰れ」と定時退社を強要することを指します。
ジタハラは、日本政府が近年推し進める「働き方改革」に伴って、全国各地で発生数が急増しています。
以上のように2024年問題は様々な問題点を含んでいます。この問題は流通業界だけでなく、医療関係を含み多くの分野に適応されます。特にトラック業界では運転手をやめてタクシー運転手など別の職種に変わる人が増えています。政府の意図するところは理解できますが、職種によっては改革法案が必ずしも適応できるとは限りません。現実に即した対応を求められるところです。おそらく2、3年後に修正することになりそうですが、世の中の実態に合わせた改革をすべきでしょう。そうしないと結果として日本経済の回復に大きなブレーキをかけることになります。
#528 母の故郷
今日は3月31日です。令和5年度も今日で終わり、明日から令和6年度が始まります。昨日の晴天で桜の開花が一気に進み、今週末は満開になることでしょう。地球温暖化のせいか、ここ数年は桜が散って入学式を迎えていましたが、今年は桜花が散る前に入学式を迎えることができそうです。
さて、金曜日に用事で柳川へ行ってきました。いつも福岡に行くときに柳川駅で車窓から駅の周囲の景色を見ていましたが、柳川で下車したのはおよそ40年ぶりとなります。柳川は亡き母の故郷で(正確には三橋町です。)、小学生の頃までは毎年お盆の母の里帰りの際に一緒について行ったものです。いつもは柳川駅から堀川バスに乗りますが、今回は昔の記憶を頼りに母の生まれた町を徒歩で散策しました。母の実家は島田天満宮の近くにあり、実家に行く前にいつも天満宮に参拝していましたので、今回もその道順で歩きました。
駅から徒歩40分ほどで天満宮に着きました。柳川と言えば、いたる所にお堀、つまりクリークが流れており、柳川の独特な風景を形作っています。天満宮のそばにもにクリークが流れており、それが近くの塩塚川に注いでいます。幼い頃の記憶によると天満宮の境内に閻魔様の像があり、その怒りに満ちた顔が怖かったことを覚えています。また極楽図や地獄図も境内に飾られており、今回もお目にかかれることを期待していましたが、その面影は全くありませんでした。40年も経った現在の天満宮は以前の面影はなく、少し朽ちた印象が時の流れを如実に表していました。
天満宮を後にして、はるか昔の記憶を頼りに細い道を歩いていくと、確かに母の生家がありました。私の覚えている生家は玄関を入ると土間があり、裏庭には少しの畑やあり、鶏が数羽いて、奥にはポンプ式の井戸があったことを覚えています。ここには現在母の弟さんが住んでいらっしゃいますが、今回は立ち寄らず周囲を散策しました。生家は新しく改築してあり、表札を見るまでは母の生家とは気づきませんでした。40年という時間が現在と昔の思い出をつなぐのを困難にしています。ただクリークの存在と周囲の田畑が昔も今も変わらず思い出をつないでくれています。
すこし時間がありましたので、柳川雛祭り名物の「さげもん」を見に行きました。柳川駅前の案内所で頂いたパンフレットによると、「さげもん」の由来を次のように説明しています。
----------
「さげもんの由来」
江戸末期頃より女の子が生まれると、お雛様の代わりに古着の端切れで小物を作り飾ってお祝いしたのが始まりといわれています。袋物には鶴、亀、えび、といった縁起の良い物で、一つ一つが袋物になって物を入れることができます。縁起物を吊るして初節句の女の子の幸せと健康、無病息災、良縁を願って飾る「さげもん」。親から子へ、子から孫へ受け継がれ、地域みんなで初節句を祝う風習が今なお続き、心温まる思いやりと地域の絆を大切にしています。
----------
何件か「さげもん」専門店を見て回りましたが、外人観光客も多く出入りしており、観光地柳川のイメージを強く感じました。「さげもん」の値段は様々です。大きなものでは10万円を超す「さげもん」もありました。また受注生産が基本で、初節句を迎える家からの注文で賑わうそうです。
今回は柳川市内の中心に行く機会はありませんでしたが、北原白秋の生家を含め、まだ行っていない地域にぜひ行ってみようと思います。母の生まれ育った柳川、懐かしい響きとともに幼い頃の思い出がよみがえってきます。
#527 深い闇
ここ1週間、日本だけでなくアメリカや多くの国が騒然としています。大谷選手の通訳だった水原氏の違法ギャンブルの話題です。事件の詳細は今後の展開に委ねるとして、今回の事件の原因となったのが「ギャンブル依存症」です。ここで「ギャンブル依存症」の定義を意外と知らない人が多いので、「依存症対策全国センター」のホームページから転載します。
----------
『ギャンブル依存症ってどんな病気?』
いわゆるギャンブル依存症は、1970年代後半にWHOにおいて「病的賭博」という名称で正式に病気として認められました。その後の研究によってこの病気への理解が進み、ギャンブルがやめられないメカニズムはアルコール依存症や薬物依存症と似ている点が多いことがわかってきました。このため、アルコール依存症等と同じ疾病分類(物質使用障害および行動嗜癖)に「ギャンブル障害」として位置づけられ、依存症として認められるようになりました。
<ギャンブル依存症の症状>
・ギャンブルにのめり込む
・興奮を求めて掛金が増えていく
・ギャンブルを減らそう、やめようとしてもうまくいかない
・ギャンブルをしないと落ち着かない
・負けたお金をギャンブルで取り返そうとする
・ギャンブルのことで嘘をついたり借金したりする
といった症状が特徴的です。ギャンブルをする人は誰でもギャンブル依存症になりえます。リスク因子としては、若い人、男性、ストレスへの対処がうまくない人、ギャンブルが身近にあるなどの環境要因などが指摘されています。
また、パチンコやスロットのような電子ゲーム機の場合は、機械そのものに依存させる要因があります。例えば、あと一歩で当たる場面を見ると、脳の中の高揚感を感じる部位(「報酬系」と呼ばれ、ドーパミンという物質が関係しています)の働きが活発になってギャンブルを続けたいと思わせてしまいます。また、パチンコ台やスロット台の画像や音響には、負けていても勝っているかのような錯覚をおこさせて脳内の報酬系を活発にする効果があります。
最初のうちは、このような報酬系の反応が関与してギャンブルを繰り返しますが、依存が形成されるとやめたいと思いながらもなかなかやめられない状態へと移行していきます。
ギャンブル依存症の方々は、負けが続いても最終的には勝てると確信していたり、負けた時のことはよく覚えていないのに、勝った時のことはよく覚えていたり、迷信的な行動で運をコントロールできると信じたりするように、ギャンブルに対する考え方が偏っている場合がほとんどです。従って、ギャンブル依存症の治療では、このような考え方の偏りを見直したり、金銭管理をはじめとした日常生活を変えたりすることでギャンブルをしたい気持ちを低減させたり、効果的な対処法を身につける認知行動療法と呼ばれる治療プログラムが有効です。また、ギャンブラーズ・アノニマス(GA)というギャンブル依存症の人達の自助グループが全国にあり、GAミーティングに参加することも病気からの回復の助けになります。
https://www.ncasa-japan.jp/understand/gambling/about
----------
上記にあるように、ギャンブル依存症は誰でもなりえる病気です。上記の説明にはありませんが、ゲーム依存症、スマホ依存症もこの範疇に入れることができると思います。パチンコなどは入場に年齢制限がありますので小中学生はできませんが、ゲームやスマホになると年齢制限がないので、熱中し過ぎると依存症に陥る危険性があります。課金で100万を超えた子供もいるそうです。大切な人をこのような状態にさせないために、日頃より依存症に陥る状況になっていないか注意を払う必要があります。
#526 音楽は世界共通語
3月も下旬となり今週は全ての学校で修業式を迎えます。そして2週間もすれば令和6年度を迎え、生徒たちはそれぞれ進級します。新年度はどんな年度になるのでしょうか。今から楽しみです。
さて世界共通語と言えば何を思いますか。英語ですか、それともスペイン語ですか。確かに英語やスペイン語は世界で多くの人が話していますが、人類全員ではありません。世界中の誰にも分かる言葉は音楽です。お互い言葉は分からなくても音楽は演奏を通して、または聴くことで全ての人々の心に伝わります。
今日たまたまNHKBSを見ていたのですが、久しぶりに面白いドラマを見ました。日越外交関係樹立50周年記念ドラマ「ベトナムのひびき」です。この番組についてNHKのHPでは次のように説明しています。
----------
日越外交関係樹立50周年記念ドラマ「ベトナムのひびき」
1959年、ベトナムにオーケストラが設立されました。目的は、音楽を通して、戦争や国境を超えて人の心を繋ぐことだったと考えています。
「楽団は家族なのだ」その志は、ベトナムのオーケストラに招かれ、ベトナム縦断ツアーの成功を託された日本人指揮者とベトナム人オーケストラのメンバーに伝わり、ベトナムと日本を繋ぐハーモニーが生まれて行きます。
国作りも、楽団作りも同じ、多くの異なる人間が集まり、皆で一つのタクト(指揮棒)を見つめ心を合わせることで、オーケストラが一つになり、未来の扉が開かれて行く。2024年、壮大なベトナムの風景をバックに日本とベトナムが力を合わせ、武力に揺れる世界に向けて絆の大切さを伝え、国を超えた深い“友情”と“音楽”への愛をお届けします。
https://www.nhk.jp/p/ts/8QG8N2M8KX/
----------
またHPのあらすじには「日本とベトナムの外交関係樹立50年を記念した特集ドラマ。指揮者の佐倉一男(濱田岳)はベトナムのオーケストラ再建を依頼され単身ハノイに渡る。通訳の森岡優子(比嘉愛未)とともに個性豊かなベトナムのメンバーたちと触れ合いながら、文化の壁を乗り越え一流のオーケストラを目指す。後輩指揮者の光嶋(反田恭平)や妻の美也子(MEGUMI)、息子の博音(岡﨑彪太郎)とのあつれきやすれ違いを経て佐倉が見つけたものは…」と書いてあります。確かにショパンコンクールで2位に輝いた反田さんの指揮者姿は見ものです。再放送があるかもしれませんので、お見逃しなく。
ところで、クラシック音楽だけでなく音楽には様々なジャンルがありますが、どんなジャンルにも優れたものが沢山あります。本当に素晴らしい音楽はジャンルを超えるものです。様々な音楽が調べを奏で、人の心に届きます。そして心を癒してくれます。いわゆるスタンダード・ミュージックは時代を超え永遠に残っていくものです。あなたはどんな音楽が好きですか。
#525 マンガは日本を救う
春の日差しが強くなってきました。日の出や日の入りも1時間近く伸びて、春らしい雰囲気が醸し出されています。あと10日もすれば桜も咲き始め、一気に春が進みます。
さて明日は3月11日、東日本大震災から13年目になります。先週から震災特集の番組がテレビで放送されています。確かに大災害から13年経ったことになりますが、東電福島の原発事故の修復作業まだ遅々として進まず、原発事故の悲惨さを如実に物語っています。また東北地方の復興事業も時間がかかり、いまだに多くの被災者が地元を離れています。一刻も早く地元の生活が復活するように祈るばかりです。そのためには被災者の支援だけでなく、地元の産業を復活させるような施策を国や自治体が考えて早急に実行すべきでしょう。
ところで、連続して訃報が届きました。お一人はアラレちゃんやドラゴンボールで有名な漫画家の鳥山明さんと、ちびまる子の声を担当したTARAKOさんです。特に鳥山さんは世界中に多くのファンを持ち、世界中からお悔やみの言葉が届いています。中国でもドラゴンボール中国語版が発売されており、両国の架け橋となったと中国人の読者が語っていました。
確かに個人が描いたマンガが世界中で受け入れられた一例ですが、日本のマンガやアニメは世界を席巻しています。昨今のインバウンド(海外の旅行者が日本に来ること)の理由の一つに、マンガやアニメの聖地を一目見たいという理由があります。それほど日本のマンガやアニメが親しまれているということです。鳥山さんの作品だけでなく多くの作品が世界中で読まれており、多くのファンを獲得しています。
この日本マンガ・アニメ現象を一つの国家戦略として捉えることも可能です。アメリカは似たような国家戦略としてディズニーアニメやマクナルドハンバーガーを通して自国に対してよい印象を持ってもらえるように
イメージ戦略を世界中に行っています。その一番成功した例が日本でしょう。敗戦国として終戦当時は戦勝国のアメリカに対して敵愾心を持っていましたが、イメージ戦略の結果アメリカに対して親近感を持つようになりました。
同様に日本は国家戦略ではありませんがマンガ家やアニメーターの努力のおかげで日本に対する印象が良くなり、結果としてマンガが国家戦略の要素を果たしたと言えるでしょう。このことは日本が武器を使わずに世界を魅了したと言えるでしょう。以前の日本は世界第2位の経済力を用いて世界各地に日本製品を輸出してイエローアニマルと呼ばれましたが、今の日本は経済摩擦を起こさず平和のうちに日本の魅力をマンガやアニメを通して世界に広めた好例となっています。これは日本に対して良い印象をもたらし、経済的にも国防としても日本を救うことになると思います。政府も何らかの形で漫画家やアニメーターを助成する国家戦略を構築してイメージ戦略を行なう必要があります。以前は「マンガを読むと馬鹿になる」と言われた時代がありましたが、今は「マンガやアニメは日本を救う」と言えるでしょう。
#524 新しい季節に向かって
今日は3月3日、雛祭り(ひなまつり)の日です。昔は多くの家で5段重ねの雛壇を飾っていましたが、最近ではマンションでも飾ることができるコンパクトな雛壇が流行っているそうです。まだ寒さが残りますが、いよいよ春の到来です。
さて、3月1日は多くの高校で卒業式が行われました。現在大牟田の明光学園で非常勤講師を続けていますが、今年度も高校3年生の授業を担当し、学び舎を巣立っていく卒業生の姿がまぶしく輝いて見えました。彼女たちは4月からは様々な環境で有意義な人生を歩んでいきます。
私の教師歴を振り返りますと、現役の教師としておよそ30年間福岡雙葉学園の教員を務めたことになりますが、そのうち半分以上を高校3年生を担当したことになります。また担任として、学年主任として卒業生を10回送り出しました。それぞれの学年に思い出があり、機会ある度に担当したクラスや学年の思い出が浮かんできます。クラスマッチで優勝したクラス、修学旅行に参加した学年、素晴らしい進学実績を残したクラスや学年など振り返ればすべて良き思い出です。
特に高3の担任は他学年と異なり、進路指導や学年行事など多忙の極みとなります。2学期は推薦入試のための面接指導や調査書作成のために放課後の時間を費やします。学年主任として学年行事の立案や指導に時間を取られ、夜の10時過ぎまで職員室で仕事を行った記憶があります。今振り返れば時間に追われた日々でしたが、すべて良き思い出になっています。
当塾でも高3の生徒が一人卒塾しました。昨日お母様と本人が挨拶に来塾し、しばらく談笑しました。彼は中1時から当塾で勉強を始め、4年間在籍したことになります。4月から県外の大学に進学します。彼のお姉さんも中1から5年間在籍しました。彼女は当塾の開設当時から授業に参加し、現在は東京の大学に通っています。姉弟そろって努力家でした。
現在当塾で学んでいる高2の生徒が3名いますので、来年度は様々な点で忙しい1年を過ごすことになります。3人が希望の進路に進むまで、日々粉骨砕身することになります。
教師という職業は他の職業と比べて季節感のある職業です。4月には入学式があり、遠足や体育祭が1学期に行われます。夏休みをはさんで、2学期は修学旅行や様々な学年・学校行事があります。冬には入学試験やさまざまな進路指導があり、3月は卒業式が行われます。
あとひと月もすれば4月になり、また新しい季節が始まります。どのような生徒との出会いがあるでしょうか。期待と不安交じりの気持ちで4月を迎えます。新しい季節に向かって新鮮な気持ちで4月を迎えたいと思います。
#523 ニセコバブル
2月も残りわずかとなりました。今週の金曜日は3月1日。多くの高校では卒業式を行ないます。春はもうすぐそこまで来ています。
さて、「ニセコバブル」という言葉を聞いたことがありますか。ニセコは海外からとても人気があり、特に冬は多くの外国人客でにぎわっています。ところがここに深刻な問題が発生しています。ニセコの物価高騰です。これには地元で暮らす人々も本当に困っているというニュースが先日報道されていま本日はニセコバブルに関するニュースを紹介します。
----------
『北海道ニセコでは10億円超のコンドミニアムが飛ぶように売れる! 坪単価は300万円』
今や世界に誇る高級スキーリゾート地「北海道ニセコ」だが、日本でありながら日本語が通じず、日本人がいない異様な光景が広がっている。
「不動産価格は右肩上がりで、中心部の土地は坪単価300万円といわれていますが、物件が出ればの話です。もはや売買する土地さえない状況です。開業時、1室10億円以上したホテルコンドミニアムは完売し、現在はさらに数億円上乗せされ、高値で転売されています」(地元不動産業者)
メインゲレンデ「グラン・ヒラフスキー場」と「HANAZONOスキー場」がある倶知安町の人口は約1万5000人。そのうち2000人超が外国人移住者だ。約80カ国から「出稼ぎ」にやってきた外国人労働者が、海外からの長期滞在の富裕層を接客している。
ホテルやスキー場、レンタルショップ、飲食店、不動産業者まで、街なかで見かけるのは外国人ばかり。店のメニューや看板、客への挨拶も「ニセコの公用語」の英語だ。
昨年12月、「ルイ・ヴィトン」のポップアップストアが「パークハイアット ニセコ HANAZONO」ホテル内にオープン。スキー場内を運行するモノグラムのロゴをあしらったゴンドラと、ゲレンデに設置された遊牧民の住居前で、外国人観光客がポーズを決める。
「そこで写真を撮るためにスキーウエア(上下で94万8200円)、スキー板(127万6000円)など全身ヴィトンで買い揃えた外国人もいます。彼らはウエアも板も持たず、プライベートジェットで来て現地で調達します。土日はたまに日本人を見かけますが、平日はほぼ外国人で、欧米人が6割以上を占めています。何しろホテル代がベラボーに高く、リフト1日券は7800円、かにラーメンが3800円ですから」(スキー場スタッフ)
今や世界に誇る高級スキーリゾート地「北海道ニセコ」だが、日本でありながら日本語が通じず、日本人がいない異様な光景が広がっている。
「不動産価格は右肩上がりで、中心部の土地は坪単価300万円といわれていますが、物件が出ればの話です。もはや売買する土地さえない状況です。開業時、1室10億円以上したホテルコンドミニアムは完売し、現在はさらに数億円上乗せされ、高値で転売されています」(地元不動産業者)
メインゲレンデ「グラン・ヒラフスキー場」と「HANAZONOスキー場」がある倶知安町の人口は約1万5000人。そのうち2000人超が外国人移住者だ。約80カ国から「出稼ぎ」にやってきた外国人労働者が、海外からの長期滞在の富裕層を接客している。
ホテルやスキー場、レンタルショップ、飲食店、不動産業者まで、街なかで見かけるのは外国人ばかり。店のメニューや看板、客への挨拶も「ニセコの公用語」の英語だ。
昨年12月、「ルイ・ヴィトン」のポップアップストアが「パークハイアット ニセコ HANAZONO」ホテル内にオープン。スキー場内を運行するモノグラムのロゴをあしらったゴンドラと、ゲレンデに設置された遊牧民の住居前で、外国人観光客がポーズを決める。
「そこで写真を撮るためにスキーウエア(上下で94万8200円)、スキー板(127万6000円)など全身ヴィトンで買い揃えた外国人もいます。彼らはウエアも板も持たず、プライベートジェットで来て現地で調達します。土日はたまに日本人を見かけますが、平日はほぼ外国人で、欧米人が6割以上を占めています。何しろホテル代がベラボーに高く、リフト1日券は7800円、かにラーメンが3800円ですから」(スキー場スタッフ)
ヒラフスキー場近くのコンビニは外国人客であふれ、レジ待ちの列が店外まで続く。昨シーズン、現地の飲食店の予約が数カ月先までいっぱいとなり、外食できない「夕食難民」が続出。コンビニの棚から食料品が消えた。そこで地元企業と自治体が全国の業者に呼びかけ、70台以上のキッチンカーが集結。毎晩、外国人で賑わっている。えび天3本5000円、天丼7000円、天ぷら盛り合わせを1万円で販売する店も出現した。
北海道千歳市から来た50代のキッチンカー店主がこう嘆く。「1カ月の場所代は20万円で、マンスリーアパートの家賃は月18万円です。料理の値段を高く設定したからにはそれなりの物を出さないと評判が落ちるので、札幌まで仕入れに行っています。収入が増えた分、出費もかさみます。日本人はめったに来ませんが、食べるところがなくて困っているお客さんには申し訳ないので、日本人価格として半額にしています」
ヒラフスキー場から7キロほど離れたスーパーに立ち寄ると、とんでもない事態になっていた。ワインセラーには「シャトー・ラトゥール」(17万1380円)など数万~10万円台のワインが数十本貯蔵され、別の売り場にも100種類以上のワインがズラリ。生鮮食品売り場では国産和牛500グラム1万2800円、大とろ700グラム2万1384円、生うに6万4584円で販売していた。
「毎日、超高級ワインが売れるわけではありませんが、20万円以上の買い物をする外国人客はザラです。レジを打つのも大変です」
あまりの物価の高騰と外国人のやりたい放題に日本人はニセコに寄り付かなくなったという。「エンジンをかけたまま、コンビニの駐車場に車を止めていたら外国人が勝手に乗り込んでいたとか、車を盗まれたという話を聞きます。お金があるからか我が物顔です。マナーも悪いので近づきたくないし、トラブルに巻き込まれたくありません」(地元住民)
2030年度には北海道新幹線「倶知安駅」が開業予定。これにより札幌~倶知安間が25分、東京~倶知安間は4時間40分程度で結ばれる。限られた土地は外国資本に買い占められ、インバウンドバブルはまだまだ続く。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/336382
----------
スキーリゾート地で有名なニセコですが、大変なことになっています。インバウンドを政府は勧めていますが、まさかこんなことになろうとは誰が想像したでしょうか。一杯3800円のラーメンを食べたいですか。日本人の庶民にとってまさに異常な物価高です。
たしかにインバウンドで日本経済を活気づけようとするのは理解できますが、ニセコの例にもあるように円安と海外の物価高の影響もあり、日本の観光地が外国人に買い漁られています。このままでは一等地がすべて日本の土地ではなくなってしまいます。政府はこれを望んでいるのでしょうか。早期の対応を望みたいと思います。そうしないと日本国内に裕福な外人と貧しい日本人の二極分化した社会ができることになります。それこそ日本人の貧民化が促進されることになります。果たしてこれでよいのでしょうか。日本人の一人として危惧しています。
#522 山が臭う!?
2月も中旬が過ぎ、2週間後には3月を迎えます。寒い日もありましたが、今年の冬は記録的な暖冬で終わりそうです。今日もまるで3月下旬のような気候で、2月とは思えないほどの温かさです。このまま春に突入していくのでしょうか。
春と言えば、多くの山で登山が始まります。人気の山では山小屋やトイレも常設され、普段着の感覚で登山ができます。特に富士山では山開きとともに登山道を数珠つなぎで登る登山者の姿がニュースで見られます。
さて、世界で一番高い山、エベレスト山(現地ではチョモランラと呼ばれます)はどうでしょうか・8千メートルを超える高山では気軽に泊まれるような山小屋やトイレはありません。当然ベースキャンプを始めとするテントでの寝起きとなりまうが、排泄処理はどうなっているのでしょうか。今日は少々臭い話ですが(笑)、面白い記事を見つけましたので転載します。
----------
『エベレスト、排せつ物持ち帰り義務化 汚染深刻「山が臭う」―ネパール』
【ニューデリー時事】世界最高峰エベレスト(8848メートル)の麓にあるネパールの地元自治体は、3月以降のエベレスト登山者に対し排せつ物の持ち帰りを義務付けた。近年、登山者が残したロープや酸素ボンベだけでなく排せつ物による環境汚染も大きな問題となっており、対策に乗り出した。
自治体や英BBC放送によると、登山者には排せつ物を固めてほぼ無臭化する化学物質などが入った袋を購入してもらい、ベースキャンプまでの持ち帰りを義務付ける。他のごみの持ち帰りや、キャンプでの清掃活動参加も求める。近接する8000メートル峰ローツェの登山者も対象となる。
自治体トップのミグマ・シェルパ氏はBBCに「私たちの山が臭い始めた。人の便が岩に付着しているのが見え、体調を崩す登山者がいるとの苦情を受けた。受け入れ難いし、イメージを損なう」と語った。
エベレストは気温が低く、排せつ物が分解されず長い間残るとされている。正確な統計はないが、山頂へと続く各キャンプに残された排せつ物の総量は約3トンに上るとの推定もある。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024021400652&g=int#goog_rewarded
----------
観光地ならともかく、排泄処理は場所を選びません。エベレスト山といえども例外ではありません。記事にあるように、エベレスト山のごみも問題となった時期があり、登山家野口健さんがエベレスト山のごみ収集登山を始めたときに、周囲の登山家たちから非難されたのは有名な話です。街角のごみのように誰かが捨てたごみは誰かが片付けないと、ごみの山となります。エベレスト登山が開始された当時は登山家は少なく、捨てられたごみはそれほど目立ちませんでしたが、登山が流行となった今ではエベレスト山も例外なくごみの山と化しました。誰か片付けなければ、ごみはいつまでもその場所に残ります。エベレスト山に限らず、登山する人は自分のごみは自分で持ち帰る必要があります。
ごみ問題に関してもう1つ。以外に誰も気づかない場所があります。それは地球上空の宇宙空間に浮かんでいる宇宙ゴミです。先日のH3ロケット打ち上げ成功に日本中が喜んでいますが、一度打ち上げたロケットの部品や衛星は半永久的に地球上空を回ります。大きな部品は重力のせいで次第に高度を下げ、最後は大気圏に突入して燃えてしまいますが、小さなものはいつまでも浮かんで地球上を取り巻き、それが国際宇宙ステーションや通信衛星などに衝突し様々な被害を及ぼします。とくにスターリンクのような通信衛星経由のネットシステムでは一度に何千もの通信衛星を打ち上げますので、数年後に使用済みの衛星はものすごい数のごみになります。
それらが蜘蛛の巣のように地球上空をいつまでも回転するのです。日本のベンチャー企業がこのようなスペースデブリ(宇宙ゴミ)を取り除く技術を現在開発中ですが、実現させるには数年かかります。その間にも宇宙ごみがますます増えていきます。ある日宇宙から降り注ぐごみに当たって亡くなる人のための死亡保険が登場するでしょうか(笑)。笑い話にもなりません。自分たちが捨てたごみは自分たちで回収するようなシステムを作るべきでしょう。
#521 繁殖引退犬
多くの家庭でイヌやネコなどのペットが飼われていますが、実際ペットは家族の一員として扱われています。またペットショップに行けば様々な種類のペットがおり、かわいらしい姿を見せています。ところが私たちの目に見えないところで生きている動物がいます。ペットを産む親の存在です。本日のブログは繁殖犬を取り上げたいと思います。
繁殖犬とはペットの子犬を産む親犬のことです。2019年に改正された動物愛護管理法では生出産回数は6回まで、交配時の年齢は6歳までと定められられました。しかし、繁殖を引退した犬(繁殖引退犬)の存在を知る人は少ないと思います。NHKクローズアップ現代では先日この問題を取り上げていましたので、その一部をご紹介します。
----------
『さまよう繁殖引退犬 ペット業界の“異変”を追う』
「繁殖引退犬」という言葉をご存じだろうか?ペットショップに子犬を供給するためにブリーダーが飼育してきた犬で、いま大量に手放されています。劣悪な環境で飼育してきた悪質業者の排除などを目的に2019年に動物愛護管理法が改正。犬の飼育頭数や出産できる年齢などに制限が。その結果、経営危機に直面し繁殖引退犬を手放すブリーダーが続出。犬を預かるシェルターもあふれ、山林に捨てられるケースまで…。異変の深層に迫りました。
<さまよう繁殖引退犬 ペット業界に異変!?>
桑子 真帆キャスター:
私たちが犬や猫を飼う時、多くの人がペットショップから購入します。犬や猫は、ブリーダーが繁殖させています。ブリーダーのもとには子犬だけではなく、その親である繁殖犬、そして繁殖の役割を終えた繁殖引退犬もいます。
この繁殖引退犬は、法律で原則、最期まで飼育する"終生飼養"が求められていますが、手放すしかない事態に追い込まれるブリーダーが増えているんです。なぜなのか。取材を進めると、ペットを巡って異変が起きていることが見えてきました。
<動物愛護管理法 なぜ改正されたのか>
桑子 真帆キャスター:
きょうのゲストは、獣医師で動物の福祉・愛護に携わってきた佐伯潤さんです。なぜ、こうした事態になっているのかということで、VTRにもありましたが、2019年に改正された動物愛護管理法を受けて、繁殖犬の数、それから出産回数、年齢に制限が設けられました。このあとにさまざまな問題が噴出しているわけですが、そもそもなぜこうした数値規制の改正が行われたのでしょうか。
佐伯さん(獣医師・帝京科学大学 教授):
大体2000年ぐらいを境に、今までは犬であれば番犬として外に飼っていた、猫は出入り自由で過ごしてたわけですが、そういった飼い方から、屋内で飼い主さんと一緒に過ごす犬や猫が増えてきた。
また、15歳未満の子どもの数よりもペットの数が多くなってきたという背景がありまして、ペットは家族の一員であるという意識が広がっていったんです。
ただ、その一方で繁殖業者の中には悪質な環境で繁殖犬を飼育して子どもをどんどん産ますという、いわゆる「パピーミル(子犬工場)」というような問題もたくさん出てきたり、それから経営が行き詰まって「多頭飼育崩壊」を起こすような問題というのも認められるようになってきました。
そんな中で規制となったのですが、今後、やはりこの規制がどうだったかということについては検証していく必要性はあると思います。
<ペットを守るには何が? アニマルウエルフェアとは>
桑子 真帆キャスター:
獣医師などの専門家が入り、環境を改善していくという取り組みご覧いただきましたが、こういった取り組みをどう評価されていますか。
佐伯さん:
とてもすばらしい取り組みだと思います。ペット業界の川上の部分でしっかり専門家が入っていくことは大切だと思います。ペット業界の特徴としまして、バブル期やペットブームを通じて古い体質のまま大きくなって拡大してしまった。
桑子:
古い体質というのは?
佐伯さん:
古くからの犬屋さんというような雰囲気ですね。あと閉鎖的な部分もありましたので、それが昨今、問題になりましたけれども、業者さんが帝王切開をしてしまうというような問題につながる体質だと思います。
桑子:
獣医師ではなく、ということですね。
佐伯さん:
そうですね。ですので、今後はVTRにありましたように専門家、獣医師をはじめとした専門家が関わっていくことで新しい知識や技術というのを入れて改善していく必要性があると思います。
そういったことがうまくいった事例として、身近なものとしては動物園の展示動物があると思います。非常に飼育環境が悪いところもあって大きな問題になっていたのですが、専門知識のある獣医師などが関与することによって、飼育環境や動物の取り扱いがかなり改善されてきています。
最近、動物園に行かれた方は感じられたと思うのですが、実際に本来、動物が暮らしていたような飼育環境を再現していたりとか、自然界で動物がとっていた行動が発現できるような、行えるような物を置いたりという、さまざまな動物福祉の視点に立った改善が行われています。今後、このようなことがペット業界のほうにも適用されれば、もっといい飼育環境になるのではないかなと思っています。
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4870/#p4870_08
----------
クローズアップは30分番組のために上記以外の内容が多く含まれます。番組全体の内容を知りたい方は上記のアドレスをクリックしてください。
ペット業界花盛りの裏で不都合なことが多々起こっています。これも人間の飽くなき欲望ゆえの悲劇です。生き物の命を利用して金儲けをする人間の愚かさの一端と思えます。人の命も動物の命も同じ命です。人間だけが自然の頂点に立っているわけではありません。様々な命の共存の上で、人間の命も存在します。例えばミツバチがいなくなれば、花の受粉ができず、それを一因として食物連鎖が崩壊します。このように自然は微妙なバランスを取りながら地球上のすべての生命を養っています。それを人間の欲望のために破壊してはならないのです。人間の我欲ゆえに現在この星は苦しんでいます。私たちが自然の恵みに感謝しなければ、自然は地震や津波、火山の噴火など自然災害を用いて地上から人間をふるい落としかかるでしょう。私たちの周りにいる小さき生き物を通して真摯に全ての命に向かい合いたいものです。
#520月面に犬がいた!?
今日は立春です。暦の上では春が始まります。確かに冬至と比べて日の入りが30分ほど長くなっていますが、まだまだ寒い日々が続きます。去り行く冬を楽しみながら本格的な春の訪れまでもう少しの辛抱です。
さて、前回のブログの続きになります。SLIMに太陽光が当たり始めて本格的な活動がようやく始まりました。ところが「月面に犬がいた」のです!信じられない話ですが本当です?それも1匹だけでなく、セントバーナード、甲斐犬、秋田犬、ブルドック、柴犬、トイプードルの5匹がいたというのです。これ、信じられますか?
実はこの犬たちはSLIMを打ち上げたJAXAの研究員たちが研究対象の岩石を区別しやすいように名付けたものです。これに関する詳細な記事を紹介します。
----------
『日本の月探査機チームが設定した「月面ドッグラン」犬たちの貢献が始まった!』
世界で初めて月面へのピンポイント着陸を成功させた、日本の月面探査機SLIM。長年にわたり、我が国の宇宙開発の最前線を取材し続けるジャーナリスト・山根一眞氏、懇親のレポート第一弾!
<月面に「ドッグラン」!?>
2024年1月20日。月面への超精密軟着陸を果たした小型月着陸実証機「SLIM(スリム)=Smart Lander for Investigating
Moon」。
トラブルに見舞われたものの探査機本体は月面(SIOLI「栞」クレーター近傍)の撮影に成功、JAXA宇宙科学研究所(ISAS、以下「宇宙研」と略)のSLIMチームは月面に「ドッグラン」を設定、そして、およそ9日後の29日午前8時4分、JAXAはX(旧twitter)で、SLIMの電力が回復、「トイプードル」観測に成功、その画像を受信したと発表した。
「馬鹿も休み休み言え」と口にしたくなるだろうが、この6種の犬たちは、ソーラー発電が途絶え休眠状態になったSLIMが目覚めたあとの、大事な引導役なのだ。盲導犬、聴導犬ならぬ「月導犬」だ。トラブルからおよそ9日目にSLIMは目覚め、「月導犬」の活躍が始まったのだ。
<月面の「岩に犬種名」そのココロとは?>
1月25日、SLIMプロジェクトマネージャ、坂井真一郎さんらは記者会見で20日のスリムの月面着陸の詳細を明かし、SLIMが撮影した写真とSLIMから分離した小型ロボットが撮影した写真を公開した。
その会見のパワポでは表示されなかったが、SLIM本体が撮影した月面写真には6つの岩が写っていて、それぞれに「犬」の名称をつけていたのだ。
・セントバーナード、甲斐犬、秋田犬、ブルドック、柴犬、トイプードル。
どうして岩に犬種名をつけたのかの説明はなかったが、きっと、こうだ。SLIMの回復後、それぞれの岩をマルチバンド分光カメラで撮影する。月の成り立ちなどを、このポイントならではの岩石を詳細に調べるのがSLIMミッションの大きな柱だからだ。
月の表面は3793万平方km、日本の面積(約37万8000平方km)の100倍だ。SLIMチームは、その月面を日本の月探査機「かぐや」(2007年)やアメリカの月探査機「LRO」などが観測した膨大な詳細画像を精密に調べ、このごくごく狭いポイントを選んでいるのだ。
そこの岩石成分を検出した詳細データを地球に送信する。その作業で混乱がないために「犬種」の設定をしたに違いない。「岩石A」「岩石B」と呼ぶより、「トイプードル!」と言った方がチームのだれもが直感でどの岩かわかるからだ。このやり方、やわらか発想の宇宙研ならではだなぁと、勝手に感心した。
2005年9月、小惑星探査機「はやぶさ」は小惑星「イトカワ」に20kmまで接近し、その写真を送ってきた。その直後、私は宇宙研の深宇宙管制室前の廊下の壁にそのプリントが張り出されたのを見たが、そのタイトルは「いとかわラッコ」。
小惑星「イトカワ」の形がラッコのようだというので、「イトカワ」の写真に眼、鼻、ヒゲ、胸に抱えた貝を書き加えてあった。このいたずらをやったのは、チームの一人、平田成さん(当時、会津大学准教授)だ。
だがそれは単なる悪戯ではなく、今後、「イトカワ」の観測を行う際に、「中央部の平坦凹みの緯度◯、軽度◯」などややこしいことを言わず「ラッコの首の下」と直感でわかりやすく伝えるための「設定」だったのだ。SLIMが撮影した月面岩石に犬の名をつけたのは、18年前の伝統技なのだ。
https://gendai.media/articles/-/123502?imp=0
----------
上記の記事はまだ続きますが(続きを読みたい方は上のアドレスをクリックしてください)、研究対象に分かりやすい名前を付けることが伝統のようです。月面や火星探査などの宇宙開発は巨額な資金を必要としますが、もし世界各地で行われている武力紛争にかけるお金を宇宙開発に利用すれば、地上での縄張り争いをすることなく人類の宇宙進出に拍車をかけることでしょう。現代の人類はお互いの不信感・恐怖心により敵愾心を発していますが、広大な宇宙に向かって人類の英知を集めれば地球以外の新しい住処を見つけることができるでしょう。それとも宇宙空間でも縄張り争いを続けるでしょうか?来たる宇宙時代に新しい人類の生き方や考え方を模索する時期が続いています。今のままでは人類はいずれ滅亡するしかありません。そこまで私たちは愚かでしょうか?
#519 驚異の逆立ち着陸
今日は1月最後の日曜日です。今年は暖冬という予報でしたが、それでも先週は警報級の寒波が到来し、被災地の能登でもかなりの積雪がありました。ここ大牟田でも3cmほどの積雪があり、最低気温は氷点下となりました。まもなく立春を迎えますが、春に向かって少しずつ季節は進んでいくようです。
ところで、日本の宇宙開発において嬉しいニュースがありました。月探索機SLIMが月面に到着しました。それも「逆立ち着陸」という誰にも真似できない見事なものでした(笑)。一流の体操選手でも鉄棒の逆立ち着地はできないでしょう(笑)。冗談はここまでにして、日本はこれで5番目に月に探査機を送り込んだことになります。私的には米・ソ連についで3番目に達成して欲しかったのですが、予算の関係もあり、また小惑星探査を行ったハヤブサ1,2号の計画もあり、日本が果たした役割は大きなものだと思います。今回のSLIMによる月面着陸は他国にない独自の方法を示しました。SLIMに関する記事を2つ掲載します。
----------
『JAXAの月探査機SLIM、月面に「逆立ち状態」でピンポイント着陸に成功』
宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))は25日、20日未明に月面着陸に成功した月探査機「SLIM(スリム)」が地球へ送信したデータの解析結果や、小型ロボットが撮影した着陸後の機体の様子を捉えた画像を公表した。画像では、月面でエンジンを上向きにして「逆立ち」した状態で着陸している機体の様子が写っている。
SLIMの撮影に成功したのは、JAXA、タカラトミー、ソニーグループ、同志社大で開発した小型ロボット「SORA(ソラ)―Q(キュー)」(重さ約250グラム)。球状から変形し、両脇の車輪で月面を走行できる設計になっている。着陸直前にSLIMから分離され、着陸した機体を撮影した。
JAXAによると、SLIMが目指していた目的地への誤差100メートル以内の「ピンポイント着陸」の実証にも成功したとみられるという。
https://www.yomiuri.co.jp/science/20240125-OYT1T50132/
----------
『日本初の月面着陸、成果続々–それでもJAXAは「63点」と辛口評価のワケ』
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月25日の記者会見で、1月20日に日本初の月面着陸に挑んだ小型月着陸実証機「SLIM」の着陸結果を報告した。
JAXAの宇宙科学研究所で所長を務める國中均氏は「世界初となるピンポイント月面軟着陸の成功を確認した」と述べた。
<エンジンを片方喪失も「超ピンポイント着陸」に成功>
今回明らかになった成果の1つは、世界初となるピンポイント着陸の成功だ。これまで各国が挑んできた月面着陸の精度は数km程度だったが、SLIMは100m以内という前代未聞の精度を目指していた。
解析の結果、SLIMは推定で目標地点から55m東に着陸した。なお、着陸精度は障害物回避の直前で評価することが適切だといい、その場合は「悪く見積もっても10m。3~4m程度の精度であった可能性が高い」とSLIMのプロジェクトマネージャーを務める坂井真一郎氏は述べた。また、画像照合航法の結果も全て正確だった。
一方で、着陸は想定通りではなかった。高度50m付近でメインエンジン2基のうち1基を喪失した。一定の冗長性を有していたことから着陸失敗とはならなかったが、想定と異なる姿勢での着陸となった。斜面に着陸するために考案された「二段階着陸技術」の実証にも失敗した。
なお、現時点では太陽光パネルに太陽光が当たっておらず、電力供給を受けられていない状況だ。現時点でSLIMの電源は切られているが、今後太陽光が西から当たるようになれば、再び電力を得て再稼働できる可能性があるという。
<月面で写真を撮影>
もう1つの成果は、月面にたたずむSLIMの姿を撮影したことだ。SLIMは着陸の直前に、搭載する子機の「LEV-1」と「LEV-2」(愛称:SORA-Q)を放出した。このうち、SORA-QがSLIMの月面の姿を撮影した。
SORA-Qは、タカラトミーがJAXA、ソニーグループ、同志社大学と共同開発した超小型の変形型月面探査ロボットだ。直径は80mm、質量250g。玩具として市販もされている。
<マルチバンド分光カメラも動作>
月面着陸後、マルチバンド分光カメラも正常に動作した。太陽光で発電できず、バッテリー駆動のために撮影時間は限られたが、予定していた333枚のうち、257枚の低解像度モノクロ画像を撮影した。
SLIMは高精度月面着陸技術の実証のほか、月のマントルに由来する「カンラン石」をマルチバンド分光カメラで分析するミッションも計画している。
なぜカンラン石を分析するのか。それは月の起源を探るためだ。月が形成された理由としては現在「ジャイアント・インパクト説」が有力視されている。同説は、約46億年前の原始地球に火星程度の原始惑星が衝突し、その際に飛び出た地球の一部が再結合して、現在の月になったという説だ。
そこで、月のマントルに由来するカンラン石の組成を分析し、その結果を地球のマントルと比較することで、ジャイアント・インパクト説を検証するというわけだ。
JAXAによると、着陸直後に撮影した画像から、6つの観測対象を定めた。今後、太陽光の向きが変わり発電可能となれば、詳細に観測できる可能性がある。
<「SLIMくんに審査員特別賞を与えたい」>
1月25日の記者会見では、1月20日の着陸直後ではわからなかった成果が続々と明かされた。1月20日には「ギリギリ合格の60点」と評していた國中氏だが、今回の成果を受けても「3点加点した63点」と辛口評価を据え置いた。加点の内訳は「LEV-1放出成功」「LEV-2放出成功」「マルチバンドカメラが正常に動作」がそれぞれ1点ずつだという。
一方の坂井氏は「ピンポイント着陸は500点をつけたい」としつつ、全体の評価については「例えが悪いが、小型の双発機がエンジンを1本失った状態でなんとか着陸に至った状態。その状態から無事に着地してくれた機長のSLIMくんに審査員特別賞を与えたい」と述べた。
<500Nスラスターの信頼性に疑問符>
SLIMの着陸時の挙動に関連して國中氏は「宇宙科学研究所で使う500Nスラスター(推進器)は良い成果が出ていない」とも述べた。SLIMはメインエンジンに500Nスラスターを2基搭載していたが、前述の通り高度50m付近で片方を喪失した。
500Nスラスターをめぐっては、宇宙科学研究所が手掛けた火星探査機「のぞみ」、それに続く金星探査機「あかつき」でも、トラブルが発生していたという。
なお、国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送を担う「こうのとり」(HTV)など、「宇宙科学研究所以外が使う500Nスラスター」は問題なく動作しているという。國中氏は「宇宙探査に用いる場合は、燃料を入れてから点火するまで半年後とか1年後といったスパンで、宇宙での待機状態が長いことが影響している可能性がある」と付け加えた。
<火星圏探査にも影響?>
前述の500Nスラスターは、JAXAの火星圏探査計画「MMX」(Martian Moons eXploration)」でも6基使用する予定だ。國中氏は、MMXに向けてスラスターの信頼性を高める必要があるとした。
JAXAが2026年の打ち上げをめざすMMXでは、火星の衛星「フォボス」に着陸し、試料を地球に持ち帰る計画だ。また、フォボスには火星への隕石衝突によって飛び出た火星の土や砂が多く堆積しているとみられており、事実上、世界初の火星サンプルリターンの達成になるとも注目されている。
https://uchubiz.com/article/clo37858/
----------
日本の宇宙開発は緒に就いたばかりです。H3Aロケットの打ち上げ失敗による開発の遅れも気になります。宇宙開発は巨額の資金が必要となり、1国では難しいものとなっています。月は誰のものでもありません。人類が協力して平和利用ができるように各国が協力して月面開発を進めてもらいたいものです。
#518 災害救援と自衛隊
能登半島地震発生から3週間が経ちますが、2次避難やライフラインの復旧が大きな課題となっています。幹線道路の復旧はかなり進んだようですが、完全な普及はまだかなりの時間がかかります。熊本地震の時もそうでしたが、完全復旧するには多大な時間と費用がかかります。地震による隆起の結果、多くの港が損害を受けた石川県は熊本以上に時間と復興経費がかかることでしょう。東日本大震災のように国民全員で支えていくような仕組みが必要となります。
ところで、大きな災害には必ず自衛隊に出動要請が出ますが、この自衛隊がどのように被災地で活動しているかは、あまりマスコミは取り上げようとしません。今回の災害で自衛隊の初動が遅い、投入する自衛隊員の数が少ない等の批判をマスコミはニュースとして取り上げましたが。自衛隊の活動は詳細に公表しません。今回の地震で自衛隊がどのような活動をしているかを説明している記事がありましたので、それを転載します。
----------
『能登半島地震「悪夢の爪痕」〈6300人派遣でわかった自衛隊のジレンマ〉』
佐竹敬久秋田県知事は1月9日、被災地への自衛隊派遣について「少し後手後手だ」と批判、SNS上でも同様の市民の声が目に付くが、果たして実態はどうなのか。防衛問題研究家の桜林美佐氏に聞いた。
自衛隊は隊員の派遣を逐次行い、9日の段階で約6300人が能登半島で支援活動を行っている。物資の輸送や行方不明者の捜索の他、炊き出しなどの食糧支援や仮設風呂での入浴支援など、その活動は多岐にわたる。特にこの季節、温かい食事や風呂を求める避難住民は多い。桜林氏が言う。
「陸上自衛隊には『野外炊具』という炊事専用車両があり、汁物や副食が付いた食事を200人分一度に作ることができます。食材は通常は自治体から提供される食材を使います。今回は自治体が機能していない所もあり、そこでは自衛隊の食材を使っているようで、予算制度上、後で費用を県や市に請求しなければならないと思います」
このことからもわかるが、本分である国防のための装備を活用し、自衛隊は災害支援においても世界有数と呼ばれるようになっているのだ。また孤立地域に物資を届けるために、30〜40キロの荷物を背負って道なき山を徒歩で越えたりするのも、そうした日頃の訓練の賜物と言えるだろう。
温かい食事を提供する一方で、当の隊員たちが食べるのは冷えたレーション(野戦食)だ。しかも現地で用を足す回数を極力減らすため、飲食量はごく少量にとどめているというから頭が下がる。しかし、そうまでしても政府と自衛隊に対する不満、批判はどうしても出てくるのが現状だ。
「まず派遣人数が比較される16年の熊本地震については、被災地である熊本に総監部や師団があったため、大人数の隊員がそこにいた、という背景があります。能登半島には分屯基地しかなく、規模感が違ってくるのは当然。主要な道路が分断されている中、自主派遣により、状況が判明するに従って、逐次投入を行っているのは適切な措置だろうと思います」(桜林氏)
「自主派遣」とはバイクやヘリを用いて偵察を行い、映像などをデータとして対策本部などに提供することを指すという。その上で、現地の受け入れ態勢などを鑑み派遣人数が決まるが、派遣待機している自衛官は現状、1万人超いるという。決して、出し惜しみしているわけではない‥‥。
「実際には、被災地での自衛隊の権限はほとんどありません。例えばガレキの除去ひとつにしても、勝手にやれば罪に問われる場合もあるんです。あくまで自衛隊は自治体のサポートです。ですので、その自治体の指令本部が地震や津波の影響で機能していなければ、『こういうことを要請してください』とリコメンドすることはあります」(桜林氏)
ただし桜林氏は、やりたくてもできないという点でジレンマもあるだろう、とも語る。「例えば地元の人に求められても、自治体からの要請がなければ、倒壊した家から物すら持ち出せませんから。心情的には、隊員たちはつらいことも多いはず。それに待機している隊員の方も、早く現地に駆けつけたい、という思いは強いと思います」
能登空港の仮復旧が整った11日時点では2万人超の被災者が避難所生活を送り、地震被害の「爪痕」の大きさを感じさせる状況が続く。輸送機も活用できるようになった自衛隊の尽力に、今後も期待したい。
https://www.asagei.com/excerpt/296730
----------
上記にありますように、自衛隊が勝手に被災地救援をすることは不可能です。災害が発生したときに警察や消防隊員がまず動き、その後自治体の長が要請して初めて自衛隊は行動できます。また被災者の救援や捜索が第一義なので、自衛隊はあくまでも被災者優先を貫きます。そのような自衛隊の活動を良く思わない輩が国内に多くいるのも事実です。これは戦後自衛隊の立場が中途半端であったことと関係します。最近では自衛隊に入隊する若者が減少している話も聞きます。国防を背負い、災害派遣も背負う自衛隊員に対して少しでも敬意を払う姿勢がこの国にできていないことは悲しい事実です。
昨今では日本周辺の国々に不穏な動きが出ています。特に北朝鮮は核魚雷の実験を行う旨の公表を行いました。核魚雷は海中で爆発させると数百メートルの放射能を含んだ津波を発生させることができる究極の核兵器と呼ばれています。そのような近隣国の不穏な動きに対して国を守ってくれるものは自衛隊しかいません。我々国民は世界の現状を理解しなければなりません。お花畑で暮らしている市民ではいけないのです。国民の生活を守るために国は何をすべきか真剣に考える時期が来ています。裏金や派閥の問題どころではないのです。ウクライナ侵攻の前にロシアによる北海道侵攻の計画が秘密裡にあったことが暴露されています。災害対策を含め日本は様々な困難を抱えています。災害だけでなく他国からの侵略も「明日は我が身」なのです。
#517 明日は我が身
能登半島地震から2週間経ちましたが、いまだに多くの地点で電気や水道が復旧していない箇所が大きあり、被災者の関連死が懸念されています。またこれまでの大地震と異なり、きわめて異常な地震だったことが分かってきました。能登半島は大地震と共に形成されたということです。今回の地震と同様の大きな地震が過去に何度も発生しており、その度に半島自体が隆起してきたことが分かっています、数千年に1回の割合で大地震が発生しており、それがたまたま今回の地震につながったようです。能登半島に住んでいる人には本当に不幸ですが、自然の力の前には人間は無力です。このような場所は日本中いたる所に存在することでしょう。
ところで本日のネット記事に気になるものがありましたので転載します。特に福岡県にお住いの方は一応注意する必要があります。
----------
『次の「M7クラス」大地震の前兆が現れている…!
日本地震予知学会がいま、もっとも心配している「港町の名前」』
新春を寿ぐはずの元日に突如襲った大地震では、死者・安否不明者が200人を超えている(1月10日時点)。同じ規模の巨大地震はどこで起きるか。地下の異常を冷静に、常時見守る研究で予測する。
地震予知学を専門とする東海大学および静岡県立大学客員教授の長尾年恭氏は、独自の解析に基づき、能登半島で近く大地震が起きるとメディアで発信していた。日本地震予知学会会長も務める長尾氏に、次に大地震が起きる地域を訊いた。
<新潟を襲う大津波>
「内陸で起きた地震としては、遡ること実に約130年前、1891年の濃尾地震(M8・0)以来の大地震となりました。マグニチュードで言えば、熊本地震('16年)の3~4倍の規模です。
振り返ってみると、'20年の暮れから、能登半島の珠洲市の近辺では群発地震が起きていました。昨年5月にはM6・5、震度6強という地震も発生していますが、この3年の間にM1以上の地震が約1万4000回も起きていたんです。
その群発地震で、割れ残り(破壊されずにまだ残っている岩盤)の存在が確認され、そこが動く可能性がありました。ですから私は、1年ほど前から能登半島内陸でM7クラスの地震を警戒していたんです」
「今回の地震では、想定していた以上に広範囲で活断層が破壊されてしまった。マグマのような何らかの流体が能登半島の地下10km~20kmに入り込んで断層同士の摩擦力が小さくなり、大きく動いたためです。
震源地を示すのに使われる×マークは単に破壊が開始された点を示すもので、M7・6ほどの規模になると百何十kmという長さの断層が破壊されます。今回は、能登半島の西端から佐渡島近くまで一挙に動きました」
<歪みが解消されなかった場所>
「地震学の常識として、破壊された断層部分ではそれまでの歪みが解消されますが、その両端にはなお歪みが残ります。
西端の歪みは'07年の能登半島地震ですでに解消されましたが、断層の東端では大きな地震はまだ発生していません。ですので、私たちがいま最も心配しているのは、断層の東端、つまり佐渡島付近で同じようなM7クラスの大地震が起きることです。
今回の地震で津波が比較的小さかったのは、断層の多くが内陸にあったからですが、佐渡島付近の海で地震が起きると大津波が発生します。日本海側最大級の港町、人口約80万人の新潟市は大きな津波の被害に襲われるでしょう」
「活断層が破壊されていない割れ残りが存在しているために、私が注目している地域は実は他にもあります。
人口約160万人を擁する福岡市です。'05年にM7・0の福岡県西方沖地震を引き起こした警固断層に、割れ残りが存在するからです。次にそこが破壊されることは多くの地震学者の共通認識になっています。
割れ残りは福岡市中心部である博多区の真下にあり、残っている断層の長さを勘案すれば、最大震度7クラスの地震が懸念されます。
ですから私は、出張などで福岡に行く人には、『格式の高い古いホテルよりも、格安なビジネスホテルでもいいから、築年数が浅いホテルに泊まるように』と忠告しているんです」
<北九州市に見られる異常>
「ところでいま、地震学でよく知られている前兆現象の一つが、地震活動の静穏化、要するに”嵐の前の静けさ”です。
地震活動が活発化している地域だけでなく、相対的にそれが低下している静穏な地域も、過去の経験則から大地震が発生する可能性が高いと考えられるのです。
静穏な状態から、地下で断層が徐々に割れてきて活発化し、大地震が起こる。つまり、活発化と静穏化どちらも、地震の前兆を示す異常な状態ということです。
私は気象庁が毎日発表している地震のデータをもとに、過去10年間の平均と比べて、最近1年間はどれほど地震活動が活発なのか、静穏なのかを解析し、それを『地下天気図』と名付けて公表しています。当然ながら、ここ最近は能登半島が非常に活発化していました」
「逆に静穏化が進んでいる地域で注目されるのは北九州市や宗像市付近です。この地域の地震活動データを追跡するなかで複数の異常が確認されており、福岡県は総じて心配です。
他に地震活動が静穏化している地域としては、山梨県・長野県付近と、鹿児島県の屋久島付近が挙げられます。
大地震は静穏化という異常現象が終わってから半年ほどの間に起こります。活発化している地域では『いつ起きるのか』は非常に判断しにくいのですが、静穏化している場合の多くはそれが解消してから起こるので、予測はしやすいと言えますね」(「週刊現代」2024年1月13・20日合併号より)
https://gendai.media/articles/-/122726?imp=0
----------
上記にありますように、福岡市、北九市、宗像市は注意しておく必要がありそうです。県内の他の地域でも福岡県には多くの活断層がありますので、一度お住いの近くに活断層があるかどうか確認しておく必要があります。(https://gbank.gsj.jp/activefault/search)
なお近くに活断層がないからと言って安心はできません。まだ発見されていない断層も数多く存在するからです。とくに海底にある断層は確認しようがなく、地震が発生したのちに確認されています。日本は地震大国です。日頃より準備しておくことに越したことはありません。明日は我が身です。
#516 波乱の年明け
今日は令和6年1月7日、七草粥の日です。七草は「セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ」の7種類の野菜を指します。最近は七草をスーパーでも販売しています。七草粥は正月の飲食で疲れた胃腸の回復に良い食べ物です。地元の小中学校は9日より3学期が始まります。寒い季節ですが、子どもたちは元気で登校することでしょう。
さて、今年は元日から大きな災害が発生しました。能登半島地震です。また二日には日航機と海上保安機が羽田空港で衝突炎上する大事故が発生しました。さらに三日には北九州の小倉で大規模火災が起こりました。元日から三日連続で災害や事件事故が続いて起こりました。今年の辰年は波乱の年明けとなりました。
特に能登半島地震は他の大地震と異なり特異な状況となっています。阪神大震災や東日本大震災、熊本地震では地震発生後に速やかな支援が行なわれましたが、今回の地震では能登半島が山間地域を通る大動脈の国道がいたる所で寸断され、災害地域まで到達できないことです。震災三日後にいくつかの市には救助隊が到着しましたが、まだ今日現在孤立している集落も多くあり、その地域の支援に支障が出ています。
その原因として挙げられているのが、他の震災地と比べて能登半島は山に囲まれ、幹線道路が狭いことが挙げられています。また海沿いの道路も土砂崩れで通行できない箇所が多くあります。今までの地震でしたら震災後に高速道路や大きな幹線道路を利用して支援物資を素早く運ぶことができましたが、山間部にある能登半島の各町は道路が寸断され、車両が通れない状況です。このことが被害者の救援を難しくしています。また電話や通信手段の不通により、現地の各町では被害状況や住民の安否確認が今でもできていない状況です。
今回の能登半島地震の教訓として、山間部や幹線道路の少ない地域で地震が発生した場合は早急な救助活動ができないというこです。換言すれば、救助が来るまでの少なくとも数日間(出来れば一週間)程度は自助が求められるということです。また災害状況を逐次知るために電池式のポータブルラジオを手元に置くことも必要です。これは停電でテレビが視聴できないための情報収集に役立ちます。また緊急事態の場合に携帯電話(スマホ)やタブレットなどが利用できないことが今回の能登半島地震で明らかになりました。これは停電のために電気やインターネットが使えないためです。また通信中継基地の損傷も原因です。当然生活に必要な飲料水や食料、簡易トイレなど日頃より準備しておく必要があります。
今回の地震で特筆すべきことは、かなりの地震で能登半島に大きな地殻変動が生じたことです。産経新聞は次のような記事を出しています。
----------
『能登半島北西部の沿岸で陸化確認 150~200m移動 隆起で津波観測が不可能な地点も』
1日に発生した能登半島地震による地殻変動について、地球観測衛星「だいち2号」の観測データを解析したところ、能登半島北西部の沿岸域の広い範囲で、隆起に伴って陸化した地域があることが分かった。国土地理院(茨城県つくば市)が発表した。隆起により、津波の観測が不可能になっている地点があることも明らかになった。
輪島市皆月(みなづき)湾では約4メートルの隆起が検出され、海岸線が海側に約200メートル移動したことがわかった。皆月湾から25キロほど北東の名舟(なふね)漁港付近では、約150メートルの移動が観測された。地震前に見られた浅瀬が陸化したとみられるという。
地盤隆起は、津波観測にも影響を及ぼしている。気象庁の津波観測地点「珠洲市長橋」は、地震直後の1日午後4時10分ころから観測データが得られなくなっている。国土地理院が撮影した空中写真から隆起によるとみられる海底の露出が確認され、観測不能となっていたことがわかった。同庁が5日発表した。
だいちの観測は、衛星から発射した電波が観測する対象物に当たって反射してくる際の電波の強さから、対象物の大きさや表面状態を捉えることができる。海はほとんど電波を反射しない。地震前後でデータを比較したところ、地震前より反射が強くなっている場所があり、海だった領域が陸化したと考えられる。
国土地理院測地部宇宙測地課の小門研亮課長は「港湾施設などの被害を把握する基礎資料として活用できる。今回の結果は暫定値だが、より精緻な値を出せるよう検討していきたい」と話した。
(https://www.sankei.com/article/20240106-SBT6W5S6HZMZRBYLFCEMCRQYAM/)
----------
今回の大地震を引き起こした断層帯は150kmあり、それがいくつかに分かれて動いたと言われています。上記の記事にあるように、4メートル隆起したとは驚きです。また地震が佐渡島方面に進んでおり、新潟や秋田方面の方々も今後充分注意する必要があります。
今年は元日から予期しない災害が発生しましたが、自然災害、特に地震には日頃から充分注意しておく必要があります。自分の命は自分で救えるように準備しておくことが肝心でそれでは今年一年身を引き締めて過ごしましょう。
#515 年末の恒例行事
2023年(令和5年)は早くも今日が最後になります。時間の経つのが早く、まだ半年余りしか経っていない感じがしますが、明日は2024年(令和6年)を迎えることになります。
さて年末は大掃除や正月の準備、あるいは帰省などで慌ただしい日々を過ごす人が多いことと思います。私はこの時期を利用してコンピュータのメインテナンスを行ないます。日々コンピュータを使用していますと、動作が遅くなり不要なファイルが溜まっていきます。そこでコンピュータの調子を元に戻すために年末・年始の休業日を利用してコンピュータのメインテナンスの時期に当てはめています。
コンピュータをお使いの方はご存じでしょうが、何らかの不具合でコンピュータが起動しなくなることが時々発生します。簡単な原因であれば、コンピュータを再起動してモニター画面に現れるメッセージに従い操作すれば大体元に戻りますが、物理的な故障に関してはお手上げです。
四年前の年末にはハードディスクがクラッシュして、中に保存していたデータを使用できなくなりました。当時データバックアップを怠っていたので、ハードディスクを修理するしたありませんでした。結局専門業者に依頼してハードディスから必要なデータを取り出してもらい、10万円ほど費用が掛かりました。それ以来大切なデータは日々保存するようにしています。
現在使用しているデスクトップコンピュータは10年ほど使用しており、部品を替えながら何とか本日まで使用しています。(このブログもこのコンピュータを使用して書いています。)ただ旧式なコンピュータのためにウィンドウ11にバージョンアップすることができません。また起動途中でストップするなど異常な状態が出ますので、万一完璧に故障した時のために今年の夏に思い切って新しいデスクトップコンピュータを購入しました。BTOのコンピュータなので、ウィンドウズのインストールから始めなければならず、暇な時期を見つけては少しずつソフトをインストールして今日にいたっています。
BTOパソコンは一般販売のパソコンと異なり、購入する際に様々なオプションをつけることができます。例えばウィンドウズやCPUの種類、ハードディスクやメモリーの容量など、自分の好みに合わせて変更することができます。少なくとも今後10年間は買い替えしなくても済むように、少し高級な最新のパソコンを購入しました。周辺機器を含めて25万円ほどかかりましたが、クリエーター用の音楽制作や映像編集などに特化しているパソコンを思い切って買いました。昨日からはそのパソコンを現在のパソコンと同様に使用するために、最終的に調整を行っています。正月はこのメインテナンスを行なうことになります。コンピュータを使用なさる皆様はご自分のデータ保存にはくれぐれもご注意ください。何かの故障でパソコンのデータが消失すれば二度と戻りません。「覆水盆に返らず」になります。
今年一年間を振り返りますとウクライナやイスラエルなど戦争や紛争に明け暮れた1年と言えると思います。また政治資金問題に見られる政治の腐敗やダイハツなどに見られる多くの企業による不正など、様々な問題が噴出しています。世界的には異常気象や大地震や火山噴火の多発など自然界の脅威が身近に迫っています。このような状況は来年も続くことになるでしょう。様々な意味で「自分の身は自分で守る」ことが必要な1年となります
それでは1年間お世話になりました。来年もよろしくお願いします。
#514 すべては1匹のネズミから
今日は12月24日クリスマスイブです。日曜日なので家族で街に出かけ、様々なプレゼントを買ったり、外食を楽しむ人が多いと思います。しかし、百年前の貧しい漫画家の前には1匹のネズミしかいませんでした。その貧しい漫画家とはディズニーランドを作ったウォルト・ディズニーです。彼に関する記事を産経新聞より転載します。
----------
『「すべては1匹のネズミから」
… ディズニー100周年 手塚治虫の「心の師」にも』
1923年の創立以来、世界のアニメ業界をリードしてきた米ウォルト・ディズニー社が今年、100周年の節目を迎えた。ウォルト・ディズニー(1901~66年)が設立した小さなアニメスタジオはこの100年で、多様なエンタメを担う世界的企業に成長。心を揺さぶられる物語やかわいらしいキャラクター、個性豊かなプリンセスの魅力で、世界中の人々に魔法をかけてきた。
<映像表現を開拓>
「すべては1匹のネズミから始まった」。創業者ウォルト・ディズニーの言葉であり、言うまでもなくミッキーマウスのことだ。
ミッキーのスクリーンデビュー作「蒸気船ウィリー」の公開は28年。音と映像がシンクロした初の短編アニメで、大きな評判を呼んだ。37年には世界初の長編カラーアニメ映画「白雪姫」が公開され、空前の大ヒットを記録。40年の「ファンタジア」では映画史上初めてステレオサウンドを使うなど、映像表現の新たな地平を開拓してきた。
アニメーション研究家の氷川竜介氏は「商業アニメの歴史はディズニー抜きで語れない」と指摘。「質の高いアニメ作りやキャラクタービジネスの手法など、今では当たり前の多くのことを先駆けて実施し、定着させた。戦後の日本のエンタメ産業にとって避けては通れない存在であり、作品やビジネスにも多大な影響を及ぼした」と評価する。
<手塚治虫の「師」>
現在、世界的人気を誇る日本の漫画とアニメの両面で偉大な足跡を残したのが手塚治虫だ。その手塚も幼い頃から同社の作品に親しみ、ウォルト・ディズニーを「心の師」と仰いだ。
「ぼくは瞬間、胸がときめき、足が震えた。ただひたすら、ファンとして、ぼくの生涯の偶像としてディズニーに憧れていた。そのかれが、ぼくの真正面でしゃべっているのだ」
64年、サンケイ新聞の特派画家として米ニューヨーク世界博を取材し、その際短く会話もした手塚。自伝『ぼくはマンガ家』で、生涯唯一となった対面を興奮交じりに振り返っている。
手塚プロダクションの松谷孝征社長は「(手塚は)さまざまな国のアニメや文化から多くを学んできた。本人は『バンビ』を80回以上、『白雪姫』は50回以上見たと書き残している。当然、作品づくりに影響を及ぼしたのでは」と語る。
日本のディズニー人気を支えてきたのが講談社だ。両社の関係は深く、戦後すぐに講談社がディズニー漫画の出版権を取得。話題作の日本公開に合わせ絵本や雑誌を刊行し、相乗効果を生み出した。「講談社のディズニー絵本」(「ディズニーゴールド絵本」として刊行中)シリーズは累計700万部超を記録。「アナと雪の女王」だけでも絵本など80冊以上を刊行した。
<輝くプリンセス>
ディズニー作品の魅力の一つが、逆境を乗り越え未来を自分自身の手で切り開くプリンセスたちの姿だ。「リトル・マーメイド」のアリエルなど人気ヒロインを描いてきた伝説的アニメーター、マーク・ヘン氏は、ディズニー作品の人気の理由を「実在しているかのような(プリンセスたちの)個性にある」と語る。
「観客の皆さんは彼女たちに共感し、涙を流し、一緒に旅をする。それぞれの個性を深く理解して描くことが、作品を不朽にする」
12月15日には100年の歴史の集大成として、最新映画「ウィッシュ」が全国公開。講談社も同社の出版物をベースにしたクイズに挑戦できる公式オンラインイベント「ディズニーファン・チャレンジ」を、来年1月15日まで実施する。
ディズニーの次の100年はどうなるのか―。ヘン氏はこう期待を寄せる。「テクノロジーはあくまで作り手が伝えたい物語をサポートするもの。魅力的な物語やキャラクターが生まれ続けること、ディズニーの伝統を受け継ぐ高品質な作品の登場を願っている」
https://www.sankei.com/article/20231128-H3JSAOTAEJICJEUG36HWTEXPWY/
----------
幼い頃、たしか「ディズニーランド」という番組が金曜日夜8時から1時間放送されていたのを思い出します。その番組中でミッキーマウスやドナルドダックなどのアニメが放送されたり、ドキュメンタリー番組が放送されていたことを覚えています。ウォルト・ディズニーに関しては彼の業績や言動に関して賛否両論がありますが、子どもに夢を与えたことに関しては偉大な人物だと言えるでしょう。いつまでも夢を与え続けるようなディズニーであってほしいものです。
Merry Christmas to You!
#513 年内入試
12月もすでに中旬となり、今週には大半の学校が2学期の終業式を迎えます。特に高校3年生は自分の進路に向かって最後の追い込みに入る時期でもあります。共通試験まで残り1か月、私立大学の一般入試もひと月半で始まります。高校3年生にとって年末年始はありません。合格通知をもらった時が正月となります。
ところが生徒数の減少に伴い、最近の大学入試に「年内入試」と呼ばれる入試が登場しています。言いかえれば、推薦入試を始めとする様々な形態の入試制度のことです。産経新聞では最近次のような記事を載せています。
----------
『拡大する「年内入試」プレゼン、小論文、検定資格…様変わりする受験力』
来年1月の大学入学共通テストに向けた受験勉強が佳境を迎える一方、近年は総合型選抜や学校推薦型選抜といった「年内入試」で早々に進路を固める生徒が増えている。私立大では入学者の6割近くを占め、将来的に全面移行を表明する国立大も現れた。ペーパーテストでは測りきれない探究力や表現力などが試され、子供たちに求められる受験力は様変わりしつつある。
世界トップレベルの研究力を目指す国際卓越研究大の認定候補となった東北大。令和5年度入試では定員の31・6%が総合型選抜で、国公立大では高い割合だ。9月、この比率を将来的にさらに引き上げ、最終的に100%とする方針を打ち出した。
東北大は平成12年度に総合型選抜にあたる「アドミッションズ・オフィス(AO)入試」を導入。担当者によると、この方式を活用した学生は一般入試の学生よりも入学後の成績が良く、リーダーシップを発揮する傾向が確認されているという。
現在は、高校時代に取り組んだスポーツや生徒会の活動報告書などの提出を求める。英語や読解力を測る筆記試験も課し、面接で学習意欲などを確認した上で合否を決める。
<私立大では半数超>
一般入試が1月以降に行われる一方、総合型選抜は9月ごろ、学校推薦型選抜は11月ごろから始まり、年内に合否判定が伝えられることから「年内入試」と呼ばれる。
文部科学省によると、令和5年度の入学者の割合は、私立大で前年度比1・2ポイント増の58・7%となり、半数以上の学生が年内入試で入学している。国公立大は同0・8ポイント増の21・3%と私立大に比べて少ないものの、総合型選抜に限ると8割が実施しており、広がりがうかがえる。
大学入試センターによると、来年1月の共通テストの出願者は約49万人。32年ぶりに50万人を下回っており、年内入試と対照的に減っている。普及の背景について、河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員は「少子化が進む中で早めに入学者を確定させたい大学側と、早く安心したい受験生のニーズが噛みあっている」と分析し、今後も拡大傾向が続くとみる。
<ユニークな課題も>
大学側が学生に求める能力も多様化している。近畿大の総合型選抜では、国際学部が英語検定試験の結果、情報学部がプログラミング技術といったように学部ごとに特色のある採点課題を設けている。こうした選考を経た学生の特徴として、国際学部学生センターの宇田政弘事務長は「海外留学に積極的だったり、就職の際に英語をよく使う企業を目指したりと、学びの目的が明確になっている」と語る。
ボランティアの活動実績、大学の授業を事前に体験してレポートを作成…。ユニークな課題も少なくない総合型選抜を目指すには、将来を見据えた長期的な視野や、収集した情報を分析して相手に分かりやすく伝える力など、ペーパーテストだけでは十分に測れない知的能力が不可欠だ。
近藤氏は「部活動や生徒会などさまざまな経験をして引き出しを増やすことが欠かせない。一方、海外経験など家庭の経済格差が影響する可能性も否定できないので、従来型の筆記試験も視野に入れ自分に最適な受験方法を選ぶのが肝心だ」と指摘している。
https://www.sankei.com/article/20231212
-RGANGOGE5VLQ3FFLDN6FUHZIUQ/photo/TYXRJKL4IZJYFFZ4B7ZTRBFZQQ/
----------
大学側とすれば、「青田買い」でできるだけ学生数を確保したいでしょうし、受験生側とすれば一般入試で進路を決めるよりも、自分の得意分野をアピールすることにより、できるだけ早めに進路を確保したいというWIN-WINの関係があります。
今の70代(いわゆる団塊の世代)は「受験戦争」という言葉があるように、最も受験競争が激しい時代でした。この頃に「四当五落」(睡眠時間が4時間ほどの勉強で合格するし、5時間以上寝ては不合格になる)という表現が登場しました。
時代と共に大学受験の性格も変わっていきます。果たして楽して大学に合格した学生が待っているのは何でしょうか。大学によっては学生の学力低下を補うために補習授業を行なっている大学があると聞きます。また4年後に待ち受けているのは就職活動です。人生何事も楽には行きません。人生の節目ごとに試されるのが人間です。「人間万時塞翁が馬」です。苦労してこそ得られる幸せもあります。
#512 「はじめてのおつかい」は児童虐待?
今年も残り3週間となりました。気分的にも何か慌ただしく感じられ、年末の大掃除や年賀状作成など、するべきことが山積し、焦りが生じます。年末に慌てて一度にすることは避けたいものです。
さて、年末年始のテレビで特集される番組の一つに「はじめてのおつかい」があります。幼い子どもが一人でお使いに行く姿を微笑ましく見守る番組ですが、この番組に出てくる子どもに対して児童虐待の疑いがかけられているようです。Forbes
Japan ではその特集記事を載せています。
----------
『「はじめてのおつかい」が海外で大反響、想定外の論争も』
日本テレビ系列で放送されている「はじめてのおつかい」。3歳から6歳程度の子どもが「おつかい」に奮闘する姿をリアルに描く、人気バラエティ番組だ。
そんな「はじめてのおつかい」が2022年より、ネットフリックスで190カ国に向けて配信され、海外で大きな反響を呼んでいる。その中には少なからず、戸惑いの声も含まれているようだ。
<「公共交通機関に幼児を置き去りにする日本のテレビ番組」>
英紙ガーディアン紙は「オールド・イナフ(「はじめてのおつかい」の英語版タイトル):公共交通機関に幼児を置き去りにする日本のテレビ番組」という見出しで番組を紹介している。決して間違っているわけではないが、なかなか刺激的な表現だ。
また米タイム誌も、”Why Old Enough Is the Show You Should Be Watching Right Now(なぜ「オールド・イナフ」は今すぐ見る必要のある番組なのか)”というタイトルのもとに、「2020年3月に番組がネットフリックスで公開されるや、驚きと喜び、そして信じられない思いと不安が米国内を駆け巡った」と書いている。
そして、東京大学大学院工学系研究科の加藤浩徳教授の「日本の道路や通りは、子どもでも安全に通行できるように設計されている。日本には元来、自立と自給自足を大切にする文化がある」という言葉も引用する。
また、ある日本人専門家に取材したニューヨークタイムズ紙も、「日本においては、子どもをお遣いに出すことは子育ての典型的な方法であり、日本文化のアプローチの象徴ともいえる」と彼の言葉を引用している。
また米タイム誌は「(「はじめてのおつかい」を巡って)アメリカでは畏敬や歓喜から不信や懸念まで、多くの言説が飛び交った。それは必然的に、子育てのスタイルや文化の違い、インフラや政策に関する議論にまで繋がった」としている。
日本ではゴールデンタイムに放送されている「癒やし系」の番組に対し、海外メディアはとてもシリアスな感覚で受け止めているようである。
<児童虐待? 違法行為?>
言うまでもなく、「はじめてのおつかい」はプロによって製作されたバラエティ番組であり、「おつかい」の経路や手順には十分なフォローが施されている。子どもたちは決して放置されているわけではない。陰に隠れた大人に、安全に「おつかい」を遂行できるよう見守られているのだ。ネットフリックスで配信されている映像の中でも、通行人に紛れるスタッフたちの奮闘ぶりを繰り返し確認することができる。
そういった安全面への万端の備えがあるにもかかわらず、海外の人々にとって「はじめてのおつかい」は非常にショッキングな番組なのだ。そこには、日本と欧米における、子どもの取り扱いに対する決定的な差異が潜んでいる。
例えば、アメリカでは子どもを一人きりにさせること自体が児童虐待であり、違法行為であると見做される。州によっては13歳の子どもに一人で外出や留守番をさせることさえも罰則の対象となるのだ。
<日本では「小学3年生以下の子どもだけでの外出NG」の法案が大バッシング>
これは日本人にとって受け入れがたい感覚だろう。日本では、子どもの「おつかい」や留守番が日常の一部に当然のように組み込まれており、実際、筆者も小学校低学年の頃には既にそうしていた記憶がある。13歳で一人きりになれないというのは、率直に言って窮屈とさえ思えてしまう。
一方、日本ではそもそも、常に子どもへ目を配るのに十分な環境が整備されていない、という家庭も少なくないはずだ。先日、埼玉県の自民党県議団が「小学3年生以下の子どものみでの外出や留守番」を禁じる埼玉県虐待禁止条例改正案を提起して激しい批判を受け、撤回に追い込まれた事例は記憶に新しい。批判内容の多くは「生活が成り立たなくなる」という切実なものだった。
価値観や法律、そして目の前の現実、それら全てに合致しているからこそ「はじめてのおつかい」は日本で長く愛されてきた。しかし一度海を越えると、それは大きなカルチャーショックを生むのである。
<「日本の治安」に大賞賛も>
ただし、子どもの扱いについて、欧米と日本の間に優劣をつけてしまうのも早計だろう。前出の米タイムス誌は「『オールド・イナフ』のような番組がアメリカで製作される可能性は極めて低い」としたうえで、「(日本でこの番組が成立しているのは)犯罪率の低さと銃規制の強さのおかげだ」と賞賛を寄せている。
つまり「アメリカでは子どもを一人きりにしなくてよい環境が整っている」と言える一方、「日本では子どもを一人きりにしてよい治安の良さがある」とも言えるのだ。
どちらも改善していくことこそが理想であるとは言え、国ごとにどのような違いがあり、何が優先されるかは歴史や文化に深く根差しているのである。国が異なれば、児童虐待のボーダーラインすらも大きく変わるのだ。グローバル社会と叫ばれて久しい現代においても、確実に。
<「かわいい子には旅をさせよ」?>
ただし、価値観は不変のものではない。「はじめてのおつかい」の放送が始まって30年以上が経過しているが、その時間の中で子どもに対する危機意識は高まっているように思われる。以前と違い、今では多くの小学生が防犯ベルやGPSつきのスマートフォンを持っており、親は、直接的ではないにせよ、子どもを「一人きり」にさせない努力を重ねるようになった。そのような流れは人々に、「3歳の子どもにおつかいを頼む」という文言から受ける印象を変化させ始めているかもしれない。
もし今、まったく新しく「かわいい子には旅をさせよ」を地で行く番組が作られれば、少なくないクレームが寄せられることは容易に想像できる。転じてそれは「はじめてのおつかい」の、長寿番組としての実績あってこその美点であると言えるだろう。
国ごとに価値観こそ違えども、根底にある想いは共通している。それは「子どもたちを危険な目に遭わせたくない」という想いだ。子どもたちが安心して暮らし、時には「おつかい」のような小さな大冒険に出て自信や達成感を得て帰ってくることができる、そんな環境を目指していきたい。
(https://forbesjapan.com/articles/detail/67279)
----------
日本では「はじめてのおつかいは」心温まる番組として受け入れられていますが、文化が異なれば「児童虐待」として受け取られかねない番組です。物騒なアメリカでは子どもを車の中に置いておくだけでも親は警察に逮捕されます。「かわいい子には旅をさせよ」は文化によって異なる意味合いを持っています。「はじめてのおつかい」はその典型的な番組です。あなたはこの番組をどう思いますか。
#511 実質的値上げ
今年もひと月足らずとなりました。今年はウクライナ戦争に始まり、イスラエルのガザ攻撃に終わる1年になりそうです。来年はどのような年になるのでしょうか。また今年も多くの品目で大幅な値上げが実施されました。この傾向は来年も続きそうです。賃金の上昇がない限り、庶民はまだまだ苦しい生活が続きます。
ところで、明白な値上げ宣言をした後で値上げするのはまだ良心的です。誰も気づかないうちにしれ~っと値上げをしている企業があります。NHKです。
NHK BSが12月よりBS1とBS3が1つになりました。つまり2チャンネルが1チャンネルに減ったのです。これに関する記事がありますので、掲載します。
----------
『BS1とBSPを凝縮した「NHK BS」が誕生 チャンネルを再編』
NHKは1日、BSのチャンネルを再編した。同日午前0時に、BS1のチャンネルを「NHK BS」に改称し、番組編成をBS1とBSプレミアム(BSP)の両チャンネルを統合した内容に変更。それに伴い、BSPでの番組放送を休止した。BSPは、来年3月末に停波する。また「BS4K」のチャンネル名も同日「BSプレミアム4K」に変更した。今回の再編は、10月の受信料値下げなどとともに行うNHKの経営のスリム化の一環。
11月30日夜~翌1日には、BS1とBSPで、名称変更の瞬間を伝える特番が同時に生放送された。日付が変わると、BSPは花火大会の映像を背景に「BSプレミアムの番組は、ただいまをもちまして、101チャンネルに移りました」などとチャンネル変更の告知画面に切り替わった。
再編により廃止される定時番組は「ほぼない」としている。再放送や単発番組で埋めていた時間帯が多かったためだという。
山名啓雄メディア総局長は11月の定例記者会見で、「新しいBSは、BS1とBSプレミアムを凝縮したテーマパーク。様々なジャンルの番組をお楽しみいただけると思う」とアピールしている。
https://www.asahi.com/articles/ASRD15G2ZRCXUCVL05G.html?iref=pc_ss_date_article
----------
上記の記事に「受信料値下げ」とありますが、NHKでは、この10月から受信料を一割値下げします。 受信料額は地上料金を含む衛星契約の場合、月額1,950円に、地上契約のみの場合は、月額1,100円となります。
今まで衛星料金と地上料金ではひと月あたり945円、料金の差がありましたが、今回の値下げにより料金の差は850円となりました。
ここで勘違いしてはならないのが、NHKは実質上値上げしているという事実です。ここで簡単な計算をしてみましょう。1個100円のリンゴを2個買いました。支払金額は200円になります。2個を1個に減らせば当然100円になります。同じ理屈がNHKにも当てはまりませんか?
値下げ前の受信料は地上波1,225円、衛星放送は2170円でした。この受信料をもとに考えますとBSは1チャンネルになりますので、2,170円÷2=1,085円となります。しかし、新受信料では1,950円支払わなければなりませんので、1,950円ー1085円=865円となり、実質865円余分に支払わなければならないことになります。この理屈おかしいですか?
今まで視聴できていた2チャンネルが1チャンネルに減った。だから1チャンネル分の受信料を払うだけで良いのではないか、という理屈が成り立ちます。NHKはチャンネル変更に合わせて、1割値下げを10月より実施していますが、私の主張を是非NHK番組「笑わない数学」で取り上げてほしいものです。またNHK受信料に関して様々な疑惑が生じています。地上波放送のみの受信料は実質なしで、衛星放送が見られる受信機を持っている家庭は衛星放送受信料を契約しなければならないなど、非情に矛盾だらけの受信料形態となっています。この矛盾を解決できる人はいないのでしょうか。今日はNHKに対する不満を述べてみました。
#510 ブラックジャックとAI
11月も最終週となり今週末は12月になります。「歳月人を待たず」といいますが、今年も残り1月余りとなります。師走になれば大掃除や年賀状の作成など、年末までにしなければならないことで忙殺されます。できるだけ出来るところから始めたいものです。
ところで、最近の話題に故手塚治虫氏の「ブラックジャック」がAIで蘇ったというニュースが流れていましたので、私もさっそく読んでみました。書店では週刊少年チャンピオン52号が売り切れていましたので、電子書籍kindleを通して読んでみました。今回のAI補助によるストーリーは次の通りです。
----------
ブラックジャックとピノコが知り合いの医者のサイボーグになっている娘を救おうとしますがうまくいきません。これまでの治療においてAIの助けを借りながら延命を繰り返してきましたが、今回は致命的な心臓の欠陥によりブラックジャックの治療がうまくいきません。またブラックジャックと同時に安楽死を推奨するキリコ医師も登場し、サイボーグの娘があやうく殺されそうになります。病気の原因を突き止めたブラックジャックはサイボーグの娘を危機から救い、ようやく命を蘇らせます。
----------
今回のブラックジャックのストーリーはAIによる作成が話題となっています。一見するとAIが作成したものと気づかずに物語を読んでしまいます。生前の手塚治虫氏が描いたものとほぼ同じ作画技術が楽しめます。しかし長男の手塚真市によるとAIによる様々な工夫を取り入れて今回の作品を登場させたようです。なおTBSの特集では次のような記事がありますので、その一部をお届けします。
----------
『AIで生まれた最新版「ブラック・ジャック」
賢くなるAIを人間はコントロールできるのか【報道1930】』
先日は50年以上前に解散したビートルズの新曲がリリースされたが、今度は漫画だ。没後34年を経てあの手塚治虫の新作が発表された。AIと人の共同作業によって完成した名作『ブラック・ジャック』40年ぶりの新作だ。完成した作品は手塚らしさが十分に感じ入られるものだった。手塚治虫の世界が蘇ることなどは喜ばしい限りだが、進歩はいつもいいことばかりではない。AIには危なさもある。
<40年ぶり“手塚治虫の”「ブラック・ジャック」ができるまで>
2023年7月。慶応大学の栗原聡教授の研究室には手塚治虫の息子でクリエーターの手塚眞さんや映画監督の林海象さん、脚本家の舘そらみさんらが集まっていた。栗原教授の研究室が何十時間もかけて手塚作品を読み込ませたAIを使って、それぞれのグループがブラック・ジャックの新作を作り上げる試みの始まりだ。まず人間が「ラブストーリー」「中東」「動物も出て来る」など、大まかなシチュエーションや条件をAIに指示すると、それに沿ったようなストーリーがすぐに画面に提示された。
今回はAIの主な役割はストーリーやキャラクターを担当し、その後人間が作画やコマ割りなどを行っていく。AIとやり取りをした舘さん。はAIとの会話の仕方によっては相手(AI)が勘違いをすることもあったという。
<脚本家 舘そらみさん>
「意外と暴走するな、というか、それこそこっちの聞き方ひとつですけど、『ああ、こう取られちゃったんだ』とか、そういう部分がかなり多いので、AIとのコミュニケーション能力を問われるみたいな感覚はすごくあります」
しかしキャラクター作成などにはコミュニケーション能力はいらないかもしれない。今回の漫画に登場する人物の作成には研究室の学生の写真をAIに読ませた。すると手塚治虫が描きそうな人物が瞬時に何種類も提示されたのだ。・・・・
<クリエーター 手塚眞さん>
「実際にAIと対峙してやり取りをしていく中で、何かAIにすごい親近感を感じてしまって、そこに個性があるかのように勘違いをしてしまう瞬間っていうのがありましたね」
今回、出来上がった新作ストーリーとして選ばれたのは映画監督の林海象さんがAIとやり取りしてできたものになった。詳しくは少年チャンピョンで確認してもらいたいが、確かに“手塚作品っぽい”ものになっている。しかし、クリエーターの手塚眞さんはAIの果てしない力は認めつつ、複雑な人間の感情の扱いは「まだ」人間の方が上だという感想を持ったという。
「感情ってすごく実は抽象的なもので、実はデータ化できないんですね。感情を表現した漫画の絵というものは学習できるんです。でもそれは学習に過ぎないから、その裏に込められている感情っていうのは、分析もできなければ解析もできないわけなんですよ。漫画にするときには演出で加えないといけない。演出はデータ化できないんですよ。ストーリーをどう演出するのか、というのは今のところ人間が考えないといけないところなんですね」・・・・
全文を読みたい方は、次のアドレスをクリックしてください。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/857201?display=1
----------
今回の作品はAIによるものだと言わなければ、故手塚治虫氏が残してくれた遺作の一つであると公言してもおかしくないくらいの出来栄えです。AIの進化と共に様々な分野で飛躍的な進歩が見られます。問題はAIに操られることなく、人類がAIの持つ可能性をいかに最大限に引き上げることができるかにかかっています。共存共栄はあくまでも私たちの良心の側にあります。
#509 87歳のジャズ歌手
ここ1週間ほど気温の上下が激しく、不安定な天気が続いています。先週の日曜日には真冬並みの気温となりましたが、そのせいか風邪をひいてしまいました。今日でちょうど1週間になります。のどの痛みや発熱は収まりましたが、体中がだるく、時々頭痛がします。完全に回復するまで数日かかると思われます。症状によっては新コロかインフルか判断できないものもありますので、皆さんも風邪には十分注意してください。
さて、前回のブログで、フォークの神様、岡林信康について書きましたが、87歳の今も現役でジャズ歌手を続けている女性が沖縄にいます。今日はその女性の記事をご紹介します。
----------
『米統治下の沖縄、「ダニー・ボーイ」歌うと米兵が涙…「すごい歌手がいる」86歳で復帰』
戦後、米統治下の沖縄で米兵を魅了した米寿のジャズシンガーがいる。今も石垣島(沖縄県石垣市)で歌い続ける 齋藤悌子(ていこ) さん(88)。ともに歩んだ最愛の夫を亡くして一時舞台を離れたが、86歳で本格的に復帰した。「声が出る限り歌いたい」。11月末からは東京や福岡を巡るツアーで伸びやかな歌声を届ける。
「あー、あー、あー」。10月中旬の早朝、石垣市内の公園から張りのある発声が聞こえてきた。齋藤さんが、少しずつ体勢を変えながら腹の底から音を発する。遠くまで響き渡る声量を保つため、ほぼ毎日続ける日課だ。「声が出なくなるのが一番こわいから、欠かさないわ」と笑う。
穀物卸問屋の三女として宮古島(同県宮古島市)に生まれた。沖縄戦当時は台湾に疎開して難を逃れ、戦後に宮古島へ戻った。海で遊ぶのが好きな活発な女の子。音楽とは無縁だったが、地元を離れて進学した那覇高(那覇市)の恩師との出会いが転機となった。
音楽の授業でその歌声を聴いた恩師は「将来は音楽の道に」と期待をかけ、クラシックの歌を教え込んだ。高校を卒業した1953年には、本土のジャズバンドが沖縄進出を機にボーカルを募集しているという話をもたらしてくれた。ジャズも英語も分からなかったが、得意の「アベ・マリア」をオーディションで披露すると、見事合格した。
バンドは在沖縄米軍基地のナイトクラブなどを回った。米兵のオーダーに応えるため、齋藤さんは必死に英語の曲を練習し、レパートリーは約400曲を数えた。つきっきりで指導してくれたリーダーが、後に夫となる
勝(まさる) さんだった。齋藤さんの力強くも透き通るような美声は観客をひきつけ、英語のファンレターも届くようになった。
「音楽の力」を感じたのが、戦地に赴く息子を案じる母親の思いと重ねられてきた「ダニー・ボーイ」だ。
基地内で歌うと、目の前で聴いていた青年が涙を流した。ベトナム戦争に向かう直前の兵士だった。若い命を奪う戦争の理不尽さに心を痛め、「戦争は絶対にいけない」との思いを込めて歌うようになった。
25歳で結婚し、勝さんの故郷・千葉市に移住して2人の子を授かった。子育てが落ち着くと、再び夫婦で歌うようになった。約30年前、勝さんがほれ込んだ石垣島に移住し、ホテルやカフェで曲を披露した。
好きな人と好きな音楽を奏でる幸せな日々。だが、還暦を前にした95年、別れは突然訪れた。勝さんにがんが見つかり、65歳で急死した。それからの齋藤さんは、「つらい思いがよみがえる」とジャズを聴かなくなった。ラジオから曲が流れてくるとすぐに消した。
約10年が過ぎた頃、立ち寄った喫茶店のBGMで流れたフルバンドによるジャズ演奏に思いがこみ上げた。「またジャズを歌いたい」。この店に通って音楽好きの若者に交じり、ウクレレを弾きながらジャズを歌い上げると、「島にすごい女性シンガーがいる」と瞬く間にうわさが広まった。
80歳を過ぎても衰えを知らない歌声に魅了され、同じく石垣島で農業を営む長女(56)が母の背中を押した。
2年前、島内にあるジャズバーのマスターに「母の歌声の音源を残したい」とアルバム製作を打診した。マスターが呼びかけると、業界関係者が関心を示し、グラミー賞受賞の編曲家デビッド・マシューズさんも参加するフルバンドでの収録が実現した。
今年2月には都内での公演も成功させた。11~12月には都内や福岡市のほか、故郷・宮古島や那覇市で公演することも決まり、精力的に活動を続けている。
音楽の力を教えてくれた「ダニー・ボーイ」を毎回のように歌う。沖縄戦の組織的戦闘が終結した6月23日の「慰霊の日」に毎年、集会などで歌ってきたが、世界中で争いが絶えない今だからこそ、気持ちを込めて聴衆に届ける。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20231113-OYTNT50010/
----------
この齋藤悌子ですが、数月ほど前にNHKのThe Lifeという番組で取り上げられ、私は偶然その番組を見ていました。番組のタイトルは「〜人生はジャズとともに
齋藤悌子87歳〜」で、80歳を過ぎた体には見えず、伸びのある声でリハーサルを行う場面は素晴らしいものでした。彼女の歌がYouTubeにありますので、検索してみてください。ちなみに、斎藤さんの活動を紹介しているユーチューブに次のものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=zgl5haNOnxs
地位や貴賎にかかわらず、何事も1つのことを一生かけて取り組んでいけることはその人の宝物であり、改めて敬意を示す対象になります。そのような人物でありたいものです。
#508 神様、健在!
11月も中旬となり、さすがに晩秋らしくなってきました。今日の最高気温は15度、明日は13度の予想が出ています。晩秋というよりも初冬の気温になります。先日まで最高気温が20度を超える日が続いていたので、一気に5度以上気温が低下することになります。徐々に気温が下がる分には体が慣れてきますので問題はありませんが、急に低下しますと体が慣れていないので、様々な不調を訴える人が増えてきます。気圧の急激な変化もそうですが、気温の急な低下や上昇にも健康が阻害されることになりますので、体調管理には十分気を付けたいところです。
今日は神様の話です。神様と言っても、宗教の神様ではありません。「フォークの神様」と呼ばれているミュージシャン「岡林信康」のことです。彼は今年77歳になます。彼は今年デビュー55周年を迎え、昨日新宮町でコンサートがあり、大牟田から「そぴあしんぐう
大ホール」まではるばる出かけていきました。
福岡市に住んでいた頃はコンサートホールまで「自転車」で出かけていましたが、どこの会場にも30分ほどで行けました。今は大牟田市から福岡市まで行くのに西鉄電車で1時間かかります。そこからサンパレスまでは歩いて30分ほどかかります。(バスの待ち時間を考慮すると、バスで行くより歩く方が早いのです。)今回の新宮町までは博多駅から新宮中央駅まで20分ほどかかり、移動時間などを含め全部で片道2時間ほどかかりました。一日がかりの大仕事になりました。
さて、休憩時間を含め2時間のステージでしたが、フォークの神様も、さすがに寄る年波には勝てず、高齢の歌手がいかにすばらしい歌声を維持するのが難しいかを目の当たりに見せつけられました。彼の若い頃には高音に伸びがあり、美しい声でしたが、往年の歌手が辿る運命のように、今は話しぶりも老人の口調で、声の衰えが目立ちます。それでも「神様」らしく、素晴らしい歌声を披露していました。会場には同世代の聴衆が集い、一見すると高齢者の集会のような雰囲気でした(笑)。彼の年齢を考慮すると最後のコンサートツアーかも知れないことを昨日の聴衆は理解していたのでしょうか。会場はほぼ満席で1曲ごとに拍手喝采を送っていました。
彼はフォークソング第1世代の代表者です。往年のミュージシャンらしく、ステージパフォーマンスは素晴らしく、芸歴55年のミュージシャンの重みを感じさせるライブでした。彼がいなければメッセージ性の強い「関西フォーク」の進化はなかったでしょう。この関西フォークには「帰ってきたヨッパライ」で有名なフォーク・クレセダーズ、高石ともや、吉田拓郎、5つの赤い風船、ジローズなどが含まれます。私が小学生の頃から親しんできたミュージシャンもいつの間にか年を取り、青春時代に聞いていた歌も今では「懐メロ」扱いとなっています。
それでも、あの頃聞いていた、口ずさんでいた歌は今でも自分の愛唱歌ですし、聞いたり、歌ったりすることで、あの頃の思い出が鮮やかによみがえって来ます。多くのミュージシャンがすでに70歳を超え、谷村新司のように他界したミュージシャンも多く、チューリックのようにすでに解散したバンドも多くありますが、音楽ファンにいつまでも在りし日の姿を見せてもらいたいものです。
#507 非情な世界
スポーツの秋らしく、秋になり駅伝やサッカーなど様々なスポーツがテレビで放送されています。特に昨日から始まったプロ野球の日本シリーズは久しぶりの関西チームである阪神とオリックスの戦いとなり、関西地区の経済効果がうなぎ上りになるそうです。
プロ野球のリーグ優勝チームや日本シリーズ優勝チームの選手には球団からご褒美の海外旅行や来年度の年俸増額など嬉しいニュースが続きます。一方で優勝球団以外の多くの球団では厳しい現実に向き合う選手もいます。戦力外通告、つまりクビです。体力や年齢を理由に「現役引退」であれば、引退する選手は所属球団や多くのファンから温かい慰労の言葉をかけてもらい、将来はコーチや監督、あるいは野球評論家としての道があります。しかし戦力外通告をもらった選手は野球をしたくても、どこにも行くところがありません。稀に引き取ってくれる球団もありますが1,2年でまた戦力外通告になる選手が大半です。そのような選手を救うためにトライアウトという再度野球選手に挑戦する制度もありますが、毎年50~60名ほど参加し、球団と正式に契約を交わす選手はわずか1~2名ほどです。いかにプロ野球が厳しい世界であるか痛感させられます。今日はそのような記事を紹介します。
----------
『ソフトバンクが大なた 今オフの戦力外が合計18選手に 椎野新、増田珠らと来季の契約結ばず』
ソフトバンクは28日、椎野新投手(28)と増田珠内野手(24)の支配下2選手と重田倫明投手(27)、早真之介外野手(21)、ドミニカ共和国出身のフランケリー・ヘラルディーノ内野手(18)の育成3選手と来季の契約を結ばないと通告したと発表した。
椎野は国士舘大から2018年にドラフト4位で入団。196センチの長身を生かし、19年には自己最多の36試合に登板し、5勝2敗、6ホールドの成績を残した。今季は11試合に登板。通算78試合、6勝4敗、8ホールド、防御率3・87。
長崎県出身の増田は横浜高から18年にドラフト3位で入団。元気いっぱいのプレースタイルで22年にはプロ初安打、初本塁打、初打点をマークした。今季も35試合に出場した。通算52試合、打率2割2厘、2本塁打、9打点。
ソフトバンクは5日に奥村、岡本、中道、中村宜、舟越、居谷の育成6選手、22日に森、嘉弥真、上林、高橋純、佐藤直、九鬼、古川の支配下7選手に来季の契約を結ばないと通告したと発表。この日発表された5選手を加え、支配下9選手、育成9選手と計18選手が戦力外通告を受けた。
https://nishispo.nishinippon.co.jp/article/798256
----------
上記にありますように、昨年まで1軍であれほど活躍した森、嘉弥真、上林各選手がクビになる事実にプロの世界の厳しさを痛感します。他球団も似たり寄ったりでしょう。実力がなければ、すぐクビになる世界。実力があれば人気や金はいくらでもついてくる。もちろん野球だけではありません。サッカーや他のプロスポーツも同じ状況です。
他人事ながら、クビになった選手のその後を心配します。大半の選手は若い頃から野球に明け暮れた日々を過ごしたことでしょう。野球を止めた後にどのような職種に就いて生活費を稼ぐことができるか、どうやって家族を養っていくのか、彼らの今後の大きな課題になります。
このことはスポーツの世界だけのことではありません。芸術の世界はさらに厳しいことでしょう。特にクラシック音楽では何かの大会で優勝するか、それに匹敵する賞を取らない限り、演奏家として大成しません。普通の演奏レベルではプロの交響楽団にも入れません。趣味で演奏するには良いのですが、プロの演奏家になるには努力だけではどうにもならない才能が必要になります。スポーツや芸術にかかわらず、プロの世界は本当にに厳しいものです。それだけにプロとして活躍している人には賞賛に値します。厳しい世界の頂点に上りつめた者だけが手にする最高の賞賛です。
#506 さらば、昴よ!
秋らしい天気が続いています。遠くの山々は紅葉が始まり、街路樹の銀杏は黄色く色づいています。また子守歌代わりに聞いていた夜の虫の声もいつのまにか消えてしまいました。季節は晩秋へと進んでいきます。例年よりも秋が短く感じられます。
さて本日のブログタイトルは谷村新司さんの有名な楽曲「昴」の最後の歌詞です。連日のようにバラエティ番組で報じられていますが、先日谷村新司氏が逝去されました。心よりお悔やみ申し上げます。この訃報はNHKを始め、民法のニュース番組のトップニュースとして扱われ、中国や韓国など海外のニュースでも取り上げられました。また様々な追悼番組も放送されました。特に昨日のフジテレビの「ミュージックフェア」では過去に放送された谷村さんの楽曲を編集し直し、彼の特集番組として放送しました。
谷村新司と言えば、多くの歌手に名曲をプレゼントしたことで知られています。彼の世代(70代のミュージシャン)はフォークソングの第1世代であり、この世代はマスコミを嫌い、テレビには出演しなかったことで知られています。特に吉田拓郎や井上陽水は自分たちでフォーライフレコードを設立し、自由に楽曲を制作・販売していました。1960年代後半から1970年代にかけて登場したフォークシンガー達は、従来のプロの作詞家・作曲家と一線を画し、自分の主義主張を貫いていました。そして出演時間を制限されるテレビ番組には出ませんでした。
そのような中で谷村氏はフォークソングと歌謡曲の橋渡しをした貴重な存在でした。彼の醸し出す楽曲はフォークソングのジャンルに留まらず、世間に広く受け入れられ、ミュージシャンとして、作詞作曲家として確固とした地位を築き上げました。フォークシンガ第1世代の中で彼の他に「さだまさし」や「中島みゆき」など次世代の多くのミュージシャンに多大な影響を与えたアーティストが多くいます。
インターネットやSNSを持たなかった当時の若者(現在の60代から70代)はどのようにして情報を共有していたのでしょうか。それは深夜放送を通して様々な情報を得ていました。深夜放送のパーソナリティ、つまりDJをしていたのが第1世代のフォークシンガー達です。谷村新司を始め、吉田たくろうや中島みゆきなどミュージシャンだけでなくラジオ番組のパーソナリティとして人気を博していました。また「オールナイトニッポン」や「パックインミュージック」など当時人気のあった深夜ラジオ番組が彼らの楽曲を紹介し、そこから多くのヒット曲が登場しました。かぐや姫の「神田川」が良い例です。
このように深夜放送を通して当時の若者は連帯し、投書やリクエストカードを通して若者の悩みや苦しみを共有していました。現代の若者と異なり、1つのラジオ番組を通して全国の若者が共感し、夢を語り合った古き良き時代であったと思います。そのような時代の先頭に立って若者のアイドルだった1人が谷村新司です。後年になり様々な分野で活躍した彼ですが、これからももっと活躍してもらいたかったと思います。
時代を通して輝き続けた彼は今天に戻っていきました。彼はこれからも日本のミュージシャンの活躍を見守ってくれることでしょう。「さらば、昴よ!」
#505 日本のお菓子
10月の中旬を過ぎても日中はまだ25度以上の夏日が続いていますが、道端にはコスモスなどの秋の花が咲き乱れ、すっかり秋らしくなってきました。多くの田圃では稲刈りが終わり、すでに冬支度を感じさせる気配が感じられます。
秋と言えば「スポーツの秋」、「読書の秋」と人により様々ですが、多くの人にとってはやはり「食欲の」ではないでしょうか。最近の物価高で食べ物の値段が上がっていますが、それでも旬の食べ物を食べたくなります。
また食材だけでなく、秋はお菓子も食べたくなる季節です。スーパーに行けば所狭しとお菓子が並んでいます。日本人の私たちにとって何気ない風景ですが、外国からの観光客にとり日本のお菓子は興味をそそるものとなっています。また日本のお菓子は海外へも輸出されており、世界の多くの地域で食することができます。そのような日本のお菓子ですが、海外で意外と人気になっているようです。今日は日本のお菓子に関する記事を転載します。
----------
『じつはいま海外で大人気になっている「日本のお菓子」の名前』
<食感や見た目も大切>
日本人は「食感」を「味」と同じぐらい大切にする民族だと、外国人は言います。*番組では、「口に入れるとフワッと溶けるおかき」を紹介しました。越後製菓の『ふんわり名人』です。あなたは食べたことがあるでしょうか? 開発に一〇年かかったそうです。外国人は、「味ではなく、食感を追求することがすごい」と驚きます。味に焦点を当てることはあっても、「食感」を意識して商品を開発することなどないというのです。
また、見た目や季節にこだわり、繊細な細工の「和菓子」は世界を驚かせました。和菓子の技術に魅了されて、海外から和菓子職人に弟子入りを希望する外国人が現れています。
金魚鉢の中で金魚が泳いでいるように見える和菓子や、水底の小石に見える和菓子、大輪の花のような和菓子。日本人でも、思わず、感嘆の声があがります。
簡単に量産できないので大量に輸出できないという点や、アンコの味に西洋人が馴染みがない点などから、和菓子はまだ世界でポピュラーにはなっていませんが、知れば知るほど世界は驚くのです。
<こんなお菓子が世界で大人気>
世界の多くの人が日本発と知らずに大好きなお菓子のひとつは、「チョコスティック菓子」です。代表的なものは、そう、『ポッキー』です。今や世界二〇ヵ国以上で販売されています。
『プリッツ』にチョコをコーティングしながら、持ち手の部分にだけはチョコをつけず、チョコで手が汚れない心遣いが、いかにも日本のお菓子、というものです。
日本人ならたぶんやったことがあるのは「チョコポッキーのチョコだけを食べて、プリッツにしたことがある」です。あなたはやったことがあるか? 僕はある。ついでに「『とんがりコーン』をひとつひとつ指にはめて、それから食べたことがある」です。あるか? 僕はもちろんある。
「柿の種」も、じつは今、海外で人気です。亀田製菓は、アメリカで現地法人を作って、現地生産を始めました。海外の人が味わったことのないピリ辛醬油味が受け入れられたのと、油で揚げてないことで、ヘルシーと受け止められたのです。ちなみに柿の種に入っているピーナッツには海外版では塩味がついています。アメリカでは「Kameda Crisps」という名前で売られています。亀田製菓のチップスということです。外国人が、日本に来た時に本国へのお土産としても人気になってきました。
注:番組 NHK BSの人気番組『cool japan』のこと
https://gendai.media/articles/-/112929
----------
上記の記事は、鴻上 尚史『クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン』(講談社現代新書)の内容を一部転載したものですが、NHK BS の Cool
Japan は様々な外国人が集まって日本文化を話し合う面白い番組です。今回の記事はその番組の中で日本のお菓子を話し合ったものです。この番組は日曜日の午後6時から放送されており、私も時々見ていますが、日本人が気づかない視点で日本文化を論じており、日本と海外の文化の違いがよく分かります。「日本の常識は世界の非常識」と以前よく言われていましたが、お菓子の世界でもこの事が言えます。とにかく、理屈抜きで「食欲の秋」をおいしいお菓子で楽しみましょう。
#504 過ぎたるはなお及ばざるごとし
今日は雨の1日です。前線や低気圧の影響で、深夜から降り出した雨が断続的に降り続いています。久しぶりの本降りです。そのせいで本日の最高気温が19度となっています。このまま本格的に秋になっていけば良いのですが、明日からまたしばらく夏日が続くようです。確かにここ数年間10月の中頃まで半袖で過ごしていますので、衣替えはもう少し先になることでしょう。今年も秋が短くなりそうです。
さて、親の子どもへのいじめや虐待がニュースで報道されない日はないほど連日続いています。この種の犯罪を防ぐために、児童相談所や警察などの公的な支援が必要であるという意見が多数あります。また加害者に対して厳しい指導が必要とする意見もあります。しかしながら、児童虐待を防ぐために厳しい法律による指導はどうでしょうか。現在問題になっている自治体があります。埼玉県です。埼玉県では次のような条例案を考えているようです。東京新聞から転載します。
----------
『子どもだけの留守番・外出禁止 埼玉・自民党県議団が条例案 順守困難の声も』
自民党県議団は4日、開会中の埼玉県議会9月定例会に、子どもだけでの留守番や外出を「置き去り」として禁じる県虐待禁止条例改正案を提出した。相次ぐ子どもの死亡事故を受けた提案。罰則はないが、条例案が想定する禁止行為は幅広い。他会派からは「共働きやワンオペ育児、ひとり親では守るのが困難。保護者が地域から監視されて孤立しかねない」との声も上がる。
条例は、小学3年生以下の子どもを放置しないことを保護者など成人の「養護者」に義務付け、4~6年生については努力義務とする。自民によると、学童保育の主な対象が小学3年生までのため、学年を区切った。県民に禁止行為の通報も義務付ける。
自民が9月28日の議会運営委員会で方向性を示し、上程案には県に待機児童解消などの施策を講ずるよう求める条項を入れた。共産党県議団は「養護者に過度な負担を強いかねない」と、改正案を議論する委員会での参考人質疑や公聴会の実施を求めている。
4日の質疑では、伊藤初美氏(共産)が、改正案で禁止される具体的な行為をただした。答弁した小久保憲一氏(自民)は、成人の見守りのない状態での集団下校や公園での遊びなどを例示した。
自民の田村琢実団長は同日の本会議後、改正案の狙いについて「『仕事だから、ちょっとだから留守番させてもいい』という社会慣習をどうにかしないと。虐待だという認識を高めたい」と報道陣に説明。学童保育やベビーシッターなどの需要を掘り起こし、整備拡大につなげたいと話す。施行後の経過を見て罰則を付けることも検討するとも説明した。
改正案は6日の福祉保健医療委員会で議論。13日の定例会最終日に採決の予定で、可決されれば、2024年4月1日から施行される
https://www.tokyo-np.co.jp/article/281797
----------
実際、上記の条例が施行されれば、どのような事態が発生するでしょうか。上記にあるように、共働きや、ひとり親家庭では親が常に子どもと一緒に行動するのは不可能です。条例案を提出した議員はこのような子育て実情を理解しているとは思えません。子どもは親の庇護にあるのが理想ですが、四六時中一緒にいるのは不可能です。何事もやり過ぎはいけません。このような言動にふさわしい格言があります。
「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」
(行き過ぎたことややり過ぎたことは及ばないことと同じで、正しい道には適っていない。
物事の中庸を尊ぶべきである。)
何事も法律の拡大解釈は害しかもたらしません。世の中の実情に応じた万人が納得する条例でありたいものです。
#503 サブロー~~~
今日から10月です。あれほど厳しかった残暑も、今日は穏やかな秋日となってます。これから寒暖を繰り返しながら冬へと向かうのでしょうか。今年の冬は厳冬にならないことを祈ります。
さて、プロ野球は佳境を迎えています。セリーグ・パリーグそれぞれ優勝チームが決定し、クライマックスシリーズ(CS)に進む2位、3位を決定する激しい戦いが続いています。今年は特にパリーグのCS争いが激しく、ホークスが進出するかが地元の大きな話題となっています。
プロ野球界においてこの時期には引退する選手が発表されます。先日は元ホークス(現巨人)の松田宣浩が引退を宣言しました。また元ホークス(現独立リーグの大分B-リングス)の内川聖一選手も引退を発表しました。スポーツ選手にはどうしても「引退」という二文字がつきまといます。本人が選手を続けたいと思っても、体力的についていけなくなり、また若い伸び盛りの選手との競争で敗れ去ることになります。
ところでプロ野球選手以外の、あるウグイス嬢が今年引退することになりました。「サブロー~~~」で有名になったウグイス嬢です。彼女に関する記事がありましたので転載します。
----------
『ロッテ名物アナウンス・谷保恵美さん、今季で引退へ…』
「サブローーーーー」など印象に残る選手紹介33年
プロ野球・千葉ロッテマリーンズのホームゲームで、場内アナウンスを担当してきた 谷保(たにほ) 恵美さん(57)が、今シーズン限りでマイクを置く。名前の最後を長く伸ばした発声で選手を紹介するなど、印象に残るアナウンスで約33年にわたり球場を盛り上げてきた。
谷保さんは、北海道帯広市出身。子供の頃から高校球児が集う甲子園のウグイス嬢に憧れていた。短大卒業後、自ら12球団に電話をかけて就職活動。唯一ロッテに「経理なら」と言われ、1990年に入社した。
二軍の担当枠が空いた翌91年から場内アナウンスに携わり始め、同年に一軍デビュー。約33年にわたって印象に残るアナウンスでホームゲームを盛り上げてきた。
ここ数年は毎年、辞めるタイミングを模索していた。昨シーズン中に一軍公式戦のアナウンスで通算2000試合を達成し、「やりきった気持ちがあった」。昨年のオフシーズンに球団と話し合い、今シーズンでの引退を決断した。
レギュラーシーズンのホームゲームは残り6試合。10月7日午後2時からのオリックス戦が最終戦となる。この試合で、谷保さんは通算2100試合を達成する見込みだ。チームは現在、クライマックスシリーズ出場の可能性も残している。
「最後までしっかりと大好きなZOZOマリンスタジアム(千葉市美浜区)で業務を遂行し、マイクを置きたい」と谷保さん。「残りのレギュラーシーズンだけではなく、クライマックスシリーズ、その先もあります。今年は最後まで、私の声にお付き合いいただければ」と話している。
ロッテファンの間では、「引退」を惜しむ声や感謝の声が広がっている。「サブロー選手の引退試合で、最後にいつもより長く語尾を伸ばしていたことが印象に残っている」。千葉市中央区の男性会社員(25)は思い出を語った。年に10回以上、ZOZOマリンスタジアムに足を運んでいるといい、「あのアナウンスが聞けなくなるのは寂しい」と残念がった。
川崎市幸区の男性会社員(24)は、「谷保さんのアナウンスを聞くと、マリンスタジアムに来たんだという気がした」と振り返る。千葉市中央区の男子大学生(24)は、「伸びのある声が大好きだった。リーグ優勝のアナウンスを聞けなかったのは残念だが、最後に谷保さんの声で日本一のアナウンスを聞いて見送れたら」と話していた。
https://www.yomiuri.co.jp/sports/npb/20230930-OYT1T50100/
----------
ロッテのマリンスタジアムでホークスの野球の中継があると時々試合を見ていましたが、谷保さんの美しい声は印象に残っています。特に「サブロ―~~~」の声はニュース番組でも取り上げられたほどでした。彼女のこれからの幸せを祈りたいと思います。
#502 降れば土砂降り
今日は朝から快晴です。昨日は秋の彼岸の中日でした。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが厳しい残暑も徐々に収まっていくと思われます。日中の気温はまだ30度を超えますが、それでも最低気温が20度前後となり、朝夕は涼しく感じます。また夜中は虫の鳴き声が素晴らしく、もう少し虫のオーケストラが楽しめそうです。これからは夜の時間が徐々に長くなり、秋も深まっていきます。そのような季節では夜長の読書もお勧めです。
さて、今年は特にゲリラ豪雨の出現が目立った夏ではなかったかと思います。これは特定の地域ではなく、全国各地で頻発した現象です。英語のことわざに
"It never rains but it pours."がありますが、日本語訳では「降れば土砂降り」となっています。このことわざは、「不幸が重なる」、「悪いことは続いて起こる」の意味であり、日本語では「泣きっ面に蜂」が該当します。しかし今年の天気に当てはめますと、文字通り「降れば土砂降り」が正解です。ゲリラ豪雨と夕立は基本的に異なります。東洋経済オンラインに次の記事がありましたので、転載します。
----------
『ゲリラ豪雨」が増えているのは、なぜなのか、かつては単なる夕立だったはず』
夏真っ盛り。うだるような暑さで、昼間に外を出ると汗が吹き出します。そして、カンカン照りかと思ったらいきなり空が暗くなり、大雨が降り出すのも夏ならでは。いわゆる「青天の霹靂(へきれき)」ともいうべきこの現象は、かつては「夕立」と呼ばれていましたが、近年では「ゲリラ豪雨」という禍々(まがまが)しい名前で呼ばれるようになってきています(ちなみに、ゲリラ豪雨という言葉は気象庁の正式な名称ではありません。正式名称は「局地的大雨」です)。
なぜ、ゲリラ豪雨と呼ばれるようになったのか。それは、急に降ってくる大雨による災害が目につくようになってきているからではないでしょうか。
<10分で水位が背丈ほどに>
ゲリラ豪雨の恐ろしさを実感するきっかけとなったのは、2008年の7月に発生した兵庫県神戸市の都賀川の水害でした。都賀川は、川べりに遊歩道のある、ありふれた市街地の小川です。
ところが、上流に大雨が降ったため、水位が10分間で1.3mも急上昇し、川で遊んでいた子どもたちなど5人が流されて亡くなってしまったのです。たった10分であっという間に子どもの身長近くまで水位が上がってしまうのですから、急な大雨がいかに恐ろしいかがよくわかります。
ほかにも、大雨が急に降ると下水道の気圧が高まってマンホールのふたがあき、冠水した道路を歩いていた歩行者が落下したり、地下街に水が流れ込んだり、アンダーパスと呼ばれる、道路が潜り込む形で交差する場所にたまった水に車がはまり込んで出られなくなったりと、急な大雨による災害は後を絶ちません。
それにしても、こんな事例を目の当たりにすると、どうも雨の降り方が昔より激しいんじゃないか……と思う人も多いのではないかと思います。実際のところは、どうなのでしょうか。
気象庁による過去の統計を見ると、確かに1時間降水量50mm以上と1時間降水量80mm以上の年間発生回数は、上昇傾向にありました。
ちなみに、50mm以上の雨というのは、雨が滝のように降っており、外で傘を差してもまったく役に立たず、あたり一面が水しぶきで白っぽくなって、車の運転も危険な状態です。こんな雨が年々増えてきているということなんですね。
<大雨が増えている理由は?>
なぜ、大雨が増えているのでしょうか。その理由は、気候変動やヒートアイランド現象など、複数の原因が重なって、日本の気温が上昇傾向にあることと関係があります。
そもそも、雨というのは、空気中に含まれる水が落下したものです。空気中の水蒸気が上空で冷やされて水や氷の粒になったものが雲で、雲の粒が大きくなって落下すると雨になります(雲の粒が氷の場合は、落下する途中で溶けると雨に、溶けない場合は雪になります)。
ここで、気温が高くなると、空気中に含むことのできる水蒸気の量が増えます。だから、以前よりも気温が高くなれば、ひとつの雲からより大量の雨を降らすことが可能になるのです。これが、年々大雨がひどくなっている理由だと考えられています。
ところで、「ゲリラ豪雨」はなぜ、「ゲリラ」なのでしょうか。「せめて『明日の午後3時ごろに○○市で50mmの非常に激しい雨が降ります』と予報してくれれば、その時刻に出掛ける予定を変更して、雨を避けることができるのに」と思う人も多いはずです。
実は、気象現象の規模と予報のしにくさには相関関係があります。規模の大きい現象はゆっくりやってきて、その場所に長期間滞在します。一方、規模の小さい現象は急に発生して、あっという間に去っていく傾向にあるのです。
ゲリラ豪雨をもたらすものは積乱雲と呼ばれる雲です。積乱雲とは、夏にモクモクと高く発達する入道雲や雷雲のことで、ひとつの積乱雲の大きさは数kmから十数kmです。つまり、ある場所では大雨が降っているけれど、隣駅では大雨は降っていないことも決して珍しくありません。
しかし、現在の天気予報の技術では、竜巻やゲリラ豪雨などの小さな気象現象を予測するのが難しいのです。だから、ゲリラ豪雨は「ゲリラ的」に発生してしまうように感じるわけです。
<ゲリラ豪雨を避けるためには>
ただ、予測しにくいとはいえ、予報ができないとさまざまな災害を招くことは確かです。そこで、気象庁をはじめ、さまざまな研究機関では、なんとかしてゲリラ豪雨を事前に予測し、緊急地震速報のようになるべく早く住民に通知できるよう、「ゲリラ豪雨」を死語にするべく研究を進めています。
そして、私たちにもゲリラ豪雨を避けるために活用できるツールはあります。それは、気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」です。これは、気象レーダーのデータを基にした雨の実況と短時間の降水予報です。
高解像度降水ナウキャストを見れば、現在雨がどこでどれくらいの強さで降っているのかがわかります。正方形のピクセルの一辺は250mときめ細かく、30分後までの実況と予報が5分ごとに更新される形でわかります(ただし、海岸から離れた海上と、予測時間が35分から60分までは、1kmの解像度です)。
また、下にあるいくつかのアイコンのうち、左から2番目のアイコンをクリックすると、強い雨が降っているところが黄色い枠で囲まれて表示され、30分後にはその雨の範囲がどのように変化するのかもわかります。
積乱雲は、大雨だけでなく、雷や竜巻を発生させることもありますが、これらが発生しやすいかどうかも、真ん中のアイコンをクリックするとわかります。パソコンやスマートフォンのインターネットアプリでブックマークしておけば、すぐに見られるので便利です。
また、スマートフォンのお天気アプリの中にも、この高解像度降水ナウキャストを基にした実況兼予報があります。「高解像度降水ナウキャスト」という言葉で検索すれば、対応しているアプリが出てくるので、インストールしてみましょう。スマートフォンの場合はアプリのほうが使いやすいと思います。
暗い色の雲が近づいてきたら、小まめにチェックしておくと、自分のいるところで大雨が降ってきそうかどうかはある程度わかるので、ぜひ活用してみてください。
(今井 明子 : 気象予報士・サイエンスライター)
https://toyokeizai.net/articles/-/180976
----------
気象予報士さえも予測不可能なゲリラ豪雨です。外出先でゲリラ豪雨に遭わないために、常にバッグなどに
降りたたみ傘を入れておくのをお勧めします。またゲリラ豪雨の際に突風や竜巻が発生することもありますので、日々の天気予報を充分活用しましょう。特にNHKのデータ放送「あなたの街の天気」のレーダー画面は雨雲の様子を正確に反映しています。
ゲリラ豪雨は主に夏に発生する気象現象ですが、もうしばらく30度を超す日々が続きます。気象の急激な変化には充分注意したいところです。
#501 17年連続受賞
毎年この時期に発表される面白い賞があります。それはノーベル賞のパロディとも称されるイグノーベル賞です。この賞は毎年ユニークで面白い発明をした人に対して送られる賞です。今年も日本人が受賞しており、17年連続の受賞となっています。読売新聞では今年の日本人受賞を次のように報じています。
----------
『17年連続イグ・ノーベル賞に日本の研究者、はしやストローに電流流して味覚を変える「栄養学賞」』
【ワシントン=冨山優介】ユニークで奥深い研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の今年の受賞者が14日(日本時間15日)、発表された。電流が流れるはしやストローを使って味覚を変化させる研究に取り組んだ宮下
芳明ほうめい ・明治大教授(47)と中村裕美・東京大特任准教授(37)が「栄養学賞」を共同受賞した。
イグ・ノーベル賞はノーベル賞のパロディー版で、米国の科学雑誌が主催している。日本の研究者の受賞は17年連続となった。
明治大の大学院生だった中村さんと、指導教官だった宮下さんは、受賞対象となった研究を2010年以降に本格的に始めた。電流の刺激を加えると味覚が変わることは知られていたが、食事の際にその効果を活用できるようにするため、食器に電流を流すことを思い付いた。
微弱な電流が流れるストローやはしを使って飲み物や食べ物を口に入れると、塩味が強まったり、金属の味がしたりと、味に変化が出ることを確認。味覚を変える新しい手法として、論文を11年に発表した。
宮下さんの研究室はその後、キリンホールディングスとの共同研究で、減塩食の塩味を強めるスプーンとおわんを開発した。年内にも商品化される予定だ。
宮下さんは「この12年間の大きな進展全体を評価してもらったと思う」と受賞を喜び、中村さんは「健康とおいしさを両立させる技術をさらに発展させていきたい」と意気込んだ。
(https://www.yomiuri.co.jp/science/20230915-OYT1T50161/)
----------
確かに味覚異常を持っている人に対して朗報だと思います。このように人知れず身近な研究に従事している人が報われるのがイグノーベル賞です。本家のノーベル賞は「人類のために最大の貢献をした人々に送られる賞」ですが、現実の生活と離れている側面があります。一方、イグノーベル賞は日常生活に直結した実用的なものが多くみられ、実用性ではノーベル賞よりも価値がありそうです。ちなみに過去の日本人受賞歴は次のページを参考になさってください。
https://uguisu.skr.jp/recollection/ignobel.html
個人的には世界的にヒットした「タマゴッチ」やイヌの言葉を自動翻訳した「バウリンガル」が好きです。
来年はどのような発明が受賞するでしょうか。今から楽しみです。
#500 男はつらいよ
ブログ「ひつじの独り言」がいつの間にか500回を迎えることになりました。このブログを始めたきっかけは、当塾のホームページを作成すると、連絡事項以外は基本的に書きかえる必要はなく、「死んで」しまいますので、ホームページに彩りや変化を加える意味で、このブログを始めました。原則として週1更新していますが、今日までよく続いたことと思います。基本的に一度書いたものを読み返すことはしませんので、過去に何を書いたかよく覚えていませんが、いつかブログを整理して小冊子にできればと思っています。
さて最低気温が25度を下回る日が出てきましたが、それでも日中は32度前後の夏日が続いています。この最高気温32度というのは昭和時代の最高気温で、私が子供時代だった昭和では真夏の最高気温が32度でした。当時はエアコンがなくても過ごせるような気温で、夜に窓を開けていたら、結構涼しい風が室内に入り込んできたものです。
今振り返りますと昭和時代には「古き良き時代」のものが沢山残されていました。ドキュメンタリー映画やテレビで昭和時代の風景や人々の生活様式を見ることができますが、昭和の香りを今でも手軽に触れることができるものがあります。映画「男はつらいよ」です。
「フーテンの寅」こと車寅次郎が、何かの拍子に故郷の柴又に戻ってきては、何かと大騒動を起こす人情喜劇で、毎回旅先で出会った「マドンナ」に惚れつつも失恋するか身を引くかして、成就しない。寅次郎の恋愛模様を日本各地の美しい風景を背景に描く。(ウィキペディアより)
この「男はつらいよ」は1969年から1995年まで制作されました。渥美清さんの死去により、48作目で終了しました。(再編集に追加する形式で、50作目まであります。)この映画は全国各地でロケを行っており、毎回日本の様々な風景が楽しめます。今では見られないSLが走っている風景や地方の景色、ロケ当時の現地の祭りや地元の人々の何気ない会話など、この映画を見ることで現代では姿を消した風物詩がよみがえってきます。当時の貴重な人物や風景を鮮やかに見ることができます。
この映画や「寺内貫太郎一家」のようなホームドラマ、「これが青春だ」のような青春番組では当時の家族関係や友人関係を描いています。現代ではすでに消え去った懐かしい人間関係を描いている番組です。現代のTV番組ではサスペンスものを中心に人間の心の暗闇を描く傾向にあります。昭和時代のような牧歌的な番組はどこにもありません。映画やテレビ番組はその時代の人の心を映し出します。10年後、20年後はどのような時代を迎えるでしょうか。
#499 災害は忘れた頃にやって来る
日中は30度を超える残暑の厳しい日々が続いていますが、それでも夜遅くには涼しい風が吹くようになりました。早朝には25度を下回る日も増えてきています。夜遅く耳を澄ましますと、秋の虫の音が聞こえてきます。虫の合唱とともに眠りにつく夜がやってきました。このようにして季節は少しづつ秋へ進んでいきます。
ところで今年は関東大震災から100年目ということで、例年になくNHKを始めとする各放送局が震災や防災に関する特集番組を放送しています。特にNHKによるモノクロの記録映画をカラー化する特集番組を現在見ながらこのブログを書いていますが、その映像の鮮明さには驚かされます。100年前の都市の状況や震災直後の人物の表情までカラー化することで詳しい状況が分かります。当時の人々も現代の私たちも震災に遭った状況は変わりなく、いかに自分の命を救うかが最大の課題となります。
ある研究者によると、当時の地震計から判断すると地震はマグニチュード7.9ではなく、M8.1+αでなかったかと推測しています。この大きさですと阪神大震災の30倍程度の大きさになるということです。いかに大きな地震が100年前に東京を襲ったかがわかります。
ひるがえって早晩発生するといわれている南海・東南海地震ですが、この関東大震災を上回る大きな地震を研究者は予測しています。特に「判割れ」と言われる南海または東南海地震が時をまたいで連続して発生する場合は未曽有の大惨事となり、推定で32万人の死者が出ると推定されていますが、実際死傷者がどのくらいになるか誰も分かりません。地震予知学会が以前述懐していますが、現在の科学では地震予知というものは実際不可能です。地震雲なるものを地震予知として用いる地震学者もいますが、正確な地震予知はできていません。
災害がいつ発生してもおかしくない状況を考えると、自分の命は自分で守らなくてはなりません。このことは今後発生すると予想されている南海・東南海地震、東海地震、首都直下地震だけでなく日本国内いたる所で発生する震度5以上の地震にも当てはまります。実際、私は2005年の福岡県西方沖地震(震度7)や熊本地震(震度7)を体験していますし、地震発生時の激しい揺れ(両地震とも私がいた場所では震度5+を記録)は体を動かし逃げるには難しい状況でした。まして震度6以上の揺れではまったく身動きのできない状況になると推測できます。
2度の地震体験を通して言えることは、常に避難の準備をしておくことが大切です。3日間ほどの備蓄品や地震によるガラスや物が散乱した室内を歩くためのスリッパや靴などは必需品です。最悪の状況を考えて必要なものを常備しておくことが最善の方策です。「明日は我が身」です。災害に対して常に準備をしておくことで最小限度の被害に済ませることが可能です。いつ発生するか予知できない災害(特に地震)から身を守るために、何が必要かを今一度考える時期に来ています。
#498 樋口季一郎
今日は8月最後の日曜日です。公立の小学校・中学校・県立高等学校はすでに2学期が始まっています。ひと昔前でしたら9月1日が2学期の始まりでしたが、最近では8月25日前後に2学期を始める地区が増えてきました。しかし、教室にエアコンが設置してあるとはいえ、真夏のような残暑が9月中は続きます。エアコンが設置されていない北海道では先日熱中症を危惧した学校が生児童徒を午前中で帰宅させる措置を取りました。猛暑のない北海道ですが、今年は35度を超える日々が続いています。日本列島いたる所で猛暑(残暑)が猛威をふるまっています。まだまだ体調管理が必要です。
さて、第2次世界大戦中多くのユダヤ人を救ったことで知られている杉浦千畝ですが、彼以上にユダヤ人を救った人物がいることをつい最近知りました。その人の名前は樋口季一郎といいます。杉浦は外交官でしたが、樋口は陸軍軍人です。本日は彼に関する記事をご紹介します。
----------
『陸軍中将・樋口季一郎の知られざる功績 ~ 2万人のユダヤ人を救った武士道精神』
ユダヤ人難民2万人の救出をはじめ、奇跡と呼ばれたキスカ島撤退作戦、国家の分断を防いだ占守島の戦いなど、日本近代史における数々の不滅の功績を残した樋口季一郎中将。しかし、その名は現代の日本人にはほとんど知られていません。樋口中将の孫として祖父の実像を広く発信している明治大学大学院名誉教授の樋口隆一さんと、日本の偉人・歴史の真実を子供たちに語り伝えてきた服部剛さんのお二人に、樋口中将が貫いた「正義」について、貴重なエピソードを交えて語り合っていただきました。
<東条英機を納得させた「義」の決断>
〈服部〉
「オトポール事件」は、昭和13年3月、樋口中将が満洲国に駐留する関東軍のハルビン特務機関長を務めていた時に起こりました。満洲国と国境を接するソ連のオトポール駅で、ナチス・ドイツの迫害から逃れてきたユダヤ人難民が、満洲国に入国できず立ち往生しているという深刻な情報が入ってきたんです。一説にはその数1万とも2万ともいわれます。
この地域の気温は3月でもマイナス30度、飢えと寒さで凍死者が出始めていました。事態は一刻の猶予も許されない。ハルビンのユダヤ人協会の長であるカウフマンも、「助けてほしい」と樋口中将に難民救援を依頼してきます。樋口中将は思案の末、「ユダヤ人難民を助けましょう。私が引き受けます」と言って、救出を決断します。これを聞いたカウフマンは声を上げて泣いたそうです。そして、樋口中将は、即座に南満洲鉄道の松岡洋右総裁に特別列車の運行を要請。優れた国際感覚の持ち主だった松岡も事態の重大さをすぐに理解して快諾し、13本の特別列車ですべてのユダヤ人をハルビンまで送り届けたんです。
〈樋口〉
迅速な決断と行動です。
〈服部〉
ただ、当時、日本とドイツは日独防共協定を結び、友好関係にありましたから、普通はドイツとの関係を考えて躊躇すると思うんですよ。だけど樋口中将は、「人間として正しいことは何だろうか」と考えるわけです。樋口中将はヒューマニズムの人だと言われますが、私はその根本には、武士道精神があったのだと思います。「義を見てなさざるは勇なきなり」、ここでユダヤ難民を助けなかったら、正義はどうなってしまうんだと。
〈樋口〉
武士道精神、それはあったでしょうね。ただ、あんまり大げさに言うと祖父も照れてしまうと思います。
というのも、祖父の立場を多くの人がきちんと理解していないんです。特務機関長と聞くと、地方の管理職のように思われるかもしれませんが、これは事実上、ハルビン行政の最高権力者なんです。しかも、満洲国の内政指導をする立場にもありました。要するに、日本と友好関係にあったドイツ政府の意向を忖度する満洲国の役人たちが、その多くは日本人でしたが、「ユダヤ人難民をどうしましょうか?」とお伺いに来た。それに対して決定権を持った祖父がひと言、「ドイツや日本に忖度する必要はない」と言って路線を決めた、そういうことなんです。現場の人は皆ユダヤ人難民を救いたいと思っていました。
それに祖父は若い頃、特務機関員としてウラジオストクに派遣された時、ユダヤ人の家に下宿しているんですね。そこでユダヤ人といろいろ交流して、当時のユダヤ人差別の背景なども全部知っていました。祖父の決断の背景にはそうした体験とユダヤ人に対する心情もあったのだと思います。
〈服部〉
ただ、やはり、そこでトップが救出を決断したということは大きかったと思うんです。それに「オトポール事件」の2週間後、ドイツ政府からユダヤ人救出に対する抗議が来た時の樋口中将の対応も本当にすごい。ドイツ政府の抗議を受けて、関東軍司令部は樋口中将を呼び出し、当時の東条英機参謀長(大東亜戦争開戦時の首相)が「あなたの言い分を聞かせてくれないか」と迫りました。しかし樋口中将は、「はじめにはっきり申し上げておきます。私のとった行動は間違っていないと信じています。ドイツは同盟国ですが、そのやり方がユダヤ人を死に追いやるものであるなら、それは人道上の敵です。人道に反するドイツの処置に屈するわけにはいきません。私は日本とドイツの友好を希望します。しかし、日本はドイツの属国ではありません!」
「東条参謀長! ヒトラーのお先棒をかついで弱い者いじめをすることを、正しいとお思いになりますか」
と堂々と答えたのです。
それで東条参謀長も、「よくわかった。ちゃんと筋が通っている。私からもこの問題は不問に付すように伝えておこう」と、樋口中将の言い分を認め、実際に日本政府は「当然なる人道上の配慮によって行ったものだ」とドイツ政府の抗議を一蹴。その後も、続々と押し寄せてくるユダヤ人難民に対して、満鉄は乗車賃を無料にし、後々までこの方針を踏襲しました。
https://www.chichi.co.jp/web/20220212_higuchi_kiichiro/
------------
戦前の日本人は気概のある人物が多くいました。政府の命令に背いて人道的な立場からユダヤ人を救った杉浦や、軍人でありながらユダヤ人を救った樋口は好例です。ひるがえって現在の日本の状況はどうでしょうか。命を賭して国や国民のために使命を果たしているひとがどれだけいるでしょうか。今の政治状況を見るにつけ、与党も野党も自分の利益しか考えていない状況です。これではこの国が成長できないのは当然です。このような混迷の時代において先見の明をもつ人物が出てきてほしいものです。高齢の政治家には何も期待しません。これからは若く情熱を持った真の政治家の出現が待たれます。
#497 夏休みの思い出
夏休みももうすぐ終わろうとしています。大牟田地区の公立小学校・中学校の2学期は8月24日に始まります。以前は9月1日でしたが梅雨期の大雨や台風による臨時休校が増えたせいでしょうか、近年は8月下旬に2学期を始めることにしています。ちなみに高校はいっせいに2学期を始めることはなく、各高等学校に任せられているようです。
ところで、私は毎週木曜日の夜に地元の社会福祉協議会が運営している学習支援活動にボランティアとして参加していますが、最近は中学生よりも小学生が多くなり、必要に応じて算数を教えています。前回の学習支援活動では、生徒たちが夏休みの宿題に追われており、夏休みの終わりが近づいていることを感じざるを得ませんでした。今も昔も生徒たちは夏休みの課題に追われ、夏休みが終わる頃には慌てて宿題をこなすので大忙しです。誰でもこのような経験がおありでしょう。子どもたちはたくさんの思い出とともに2学期を迎え、教室はにぎやかな歓声で始業式が始まることでしょう
小学校を卒業して、もう50年以上が経ちますが、夏休みの思い出を振り返ると一番の思い出は小学校4年生の時に実施された校内キャンプです。今では安全上考えられないと思いますが、夏休みの間に1泊2日で校内のグランドでキャンプが行われました。キャンプは昼過ぎから始まり、夕飯のために各自飯盒(はんごう)でご飯を炊き、私が参加した年はチャーハンを作りました。おかずは確か缶詰を用いて食べていたと思います。その後、夜はキャンプファイヤーを行ない、それぞれのテントで就寝したことを覚えています。翌日は朝早くからラジオ体操を行い、朝食を作って、朝食後に解散したと思います。何しろ50年以上も前の記憶ですので、どこまでが正確な思い出か分かりませんが、小学校の夏休みの一番の思い出では校内キャンプです。
反対に、嫌な思い出は早朝のラジオ体操です。今はどのように実施されているか分かりませんが、小学生だった頃、生徒たちは毎朝6時半前に校庭に集合したものです。ラジオ体操が生放送でで6時30分から始まるからです。眠いのに親からたたき起こされて、校庭に走って向かったことを今でも思い出します。子どもたちは出席カードを首から下げて、ラジオ体操が終わると列を作ってカードに印を押してもらい、帰宅します。私は小学校のすぐ近くに住んでいましたので、集合時間ギリギリに行けば間に合いましたが、遠くから通学していた友達は6時前に起床してラジオ体操の会場に来ていたはずです。当時はコンピュータゲームなどなく、みんなプールに行ったり、虫取りをしたりして毎日戸外で遊んでいたものです。今となっては夏休みに体験したことは大切な思い出となっています。皆さんの夏休みの思い出はいかがですか。
#496 3分32秒に1本
今日は8月13日、盆の入りです。お盆は、ご先祖様の霊を自宅にお迎えしてご供養する仏教行事です。今年のお盆は8月13日(日)~16日(水)の4日間ですが、地域によっては7月や9月に行う場合もあります。またこの期間中に故郷の駅では帰省する多くの人たちが見られます。
本日は当塾も休業ですので、所用で福岡まで行ってきました。博多駅構内を歩くと、ものすごい人で込み合っていました。これから故郷へ帰る人や旅行する人でごったがえしていました。特に長蛇の列ができていたのは新幹線のみどりの窓口と発券機でした。15日ごろに台風7号が近畿地方に接近・上陸する予報が出ていますので、予定変更やキャンセルのためでしょうか。ちょうどお盆の時期に台風が襲来しますので、多くの帰省客に影響するものと思われます。
ところで、旅行や帰省に利用される新幹線ですが、先日東海道新幹線が1日の運行数が471本の新記録を作ったそうです。その記事を転載します。
----------
『東海道新幹線が史上最多の1日471本を運行
最高速度285キロに統一後、3年半越しに…「のぞみ12本ダイヤ」をフル稼働』
10日、東海道新幹線が史上最多の471本を運行したことがわかりました。JR東海によりますと、10日の東海道新幹線の始発から終電までの運行本数は471本で1987年のJR東海発足以来、過去最高の本数だったということです。
これまでの最高本数はことし1月3日と2020年の8月16日の455本で、今回その数字を16本更新したことになります。午後6時から午後6時59分までの1時間のうちに東京駅を出発した新幹線(のぞみ・こだま・ひかりの合計)は17本で、3分32秒に1本、新幹線が東京駅を出発した計算です。
東海道新幹線は2020年3月に車両の更新が完了し、それまでバラバラだった最高速度が285キロに統一されました。このため1時間に12本の「のぞみ」が走る「のぞみ12本ダイヤ」が実現しました。
新型コロナの影響で利用者が激減したため本数が減らされていましたが、新型コロナの5類移行による利用者の回復とお盆の需要が重なったことにより、およそ3年半越しに「のぞみ12本ダイヤ」が最大限稼働したということです。
https://news.yahoo.co.jp/articles/24bacbcf20d4161a37d93734640506d36064e4b2
----------
東海道新幹線の時刻表を見てみますと、東京-新大阪間は5,6分に1本の割合で運行されていますが、それが3分32秒に1本の割合で運行されたことになります。まるで東京の山手線に新幹線が走るようなものです。ちなみに九州新幹線は1時間で4本程度走りますので、東海道新幹線の運行がいかに超過密であるかお分かりになると思います。
とにかく問題は台風7号です。新幹線も計画運休を予定しています。新幹線も含めて鉄道や航空機など運行変更や中止など、かなりの影響があると思われます。関西方面に出かける人は十分な用心が必要です。せっかくの休日です。大いに楽しみましょう。
#495 鎮魂の八月 - 平和宣言
【平和への誓い 全文】
「みなさんにとって『平和』とは何ですか」小学生が訴え
みなさんにとって「平和」とは何ですか。争いや戦争がないこと。差別をせず、違いを認め合うこと。悪口を言ったり、けんかをしたりせず、みんなが笑顔になれること。身近なところにも、たくさんの平和があります。
昭和20年(1945年)8月6日午前8時15分。耳をさくような爆音、肌が焼けるほどの熱。皮膚が垂れ下がり、血だらけとなって川面に浮かぶ死体。子どもの名前を呼び、「目を開けて。目を開けて。」と、叫び続ける母親。たった一発の爆弾により、一瞬にして広島のまちは破壊され、悲しみで埋め尽くされました。
「なぜ、自分は生き残ったのか。」仲間を失った私の曽祖父は、そう言って自分を責めました。原子爆弾は、生き延びた人々にも心に深い傷を負わせ、生きていくことへの苦しみを与え続けたのです。
あれから78年が経ちました。今の広島は緑豊かで笑顔あふれるまちとなりました。「生き残ってくれてありがとう。」命をつないでくれたからこそ、今、私たちは生きています。
私たちにもできることがあります。自分の思いを伝える前に、相手の気持ちを考えること。友だちのよいところを見つけること。みんなの笑顔のために自分の力を使うこと。
今、平和への思いを一つにするときです。被爆者の思いを自分事として受け止め、自分の言葉で伝えていきます。身近にある平和をつないでいくために、一人一人が行動していきます。誰もが平和だと思える未来を、広島に生きる私たちがつくっていきます。
令和5年(2023年)8月6日 こども代表
広島市立牛田小学校6年 勝岡英玲奈
広島市立五日市東小学校6年 米廣朋留
https://nordot.app/1060703950411482058
----------
鎮魂の八月となりました。今日は八月六日、広島は原爆投下から78年目となる「原爆の日」を迎えました。また八月九日は長崎に原爆を落とされた「鎮魂の日」となります。何年経とうとも、この悲惨な両日を日本人は忘れることができません。そして八月一五日は終戦記念日となります。
上記の文は本日の原爆の日に語られた小学生による「平和の誓い」です。戦争を知らない子どもたちが戦争の実相をみごとに表現し、平和とは何かを私たちに問いかけています。「戦争」とは国対国の戦いだけではなく、個人の争いごとも含みます。個人から国レベルまで全ての争いが一つの要因によって起こります。それは相手に対する「疑心暗鬼」です。言いかえれば「信頼」と正反対の「不信感」です。
私たち人間はいつになれば相手を信じ、信頼できるようになるのでしょうか。現代人にとってそれは永遠の課題です。人間が抱えている疑心暗鬼は地球を破壊するほどの大きな力を持っています。一人一人が自分の心を見つめ、邪悪な感情を捨て去らない限り、その感情はますます肥大化していきます。
口先だけで「平和、平和」と唱えるだけでなく、自らを振り返り、悪心を捨てない限り、真の平和はやって来ません。それが人類の大きな性(さが)です。八月は日本だけでなく、世界にとっても鎮魂のひと月となります。
#494 食とペットの寿命
連日35度を超える猛暑が日本国内の多くの場所で続いています。熱中症にかかる人も多く、今夏は災害級の暑い夏となってます。昨日午後2時過ぎに所用のために外出しましたが、街頭の温度計は36度を示しており、吹きつける風はまるでヘアードライヤーの風のようでした。数年前に当時日本で一番暑かった久留米市に出かけたことがありますが、その時は38度の気温で、屋外はサウナに入ったような感覚で頭がくらくらしたことを思い出します。
このような猛暑の中で人間だけでなく、動物園の動物たちや家にいるペット達も当然ながら被害を受けています。動物園によっては動物たちに氷のかたまりをプレゼントするところもあるようです。とにかくこの熱波が過ぎ去るのをひたすら待つことしかできません。
さて、ペットと言えば大半はイヌやネコを思い浮かべますが、このペットの寿命は私たちが与える食べ物に関係するということです。面白い記事を見つけましたのでご紹介します。
----------
『犬に残飯(人間の食べ残し)を与えるリスク』
犬の寿命からみたとき、人間の残り物を食べていた頃の犬の平均寿命は6歳ぐらいです。現代のドッグフードで飼育されている犬の平均寿命は14歳ぐらいですから、7歳以上も寿命が延びたことがわかります。昔は交通事故やフィラリアという病気も多く、犬が長生きしづらい環境にありました。ただそれを差し引いても、人の残飯は飼い犬の寿命を短くし、現代のドッグフードのほうが愛犬の長寿に貢献していることが容易に推定できます。では、残飯の何がいけないでしょうか。ここでは愛犬の健康を維持するために、犬に残飯を与えてしまうことでどのような問題が発生するのかについて詳しくご紹介します。
(この記事の目次)
人間の食べ残し(残飯)を犬に与えても大丈夫?
塩分は大量に与えなければ問題なし
犬にあげてはいけない食べ物を把握する
添加物に気をつける
栄養バランスが悪い
残飯を与えていたら犬の寿命が短くなる理由
欧米犬が残飯で短命になる理由
日本犬が残飯で短命になる理由
ご飯が余ってもったいない!残飯を食べさせる場合のポイント
タンパク質を補うことで残飯を食べさせることができる
与えるご飯は量に気をつける
犬種別!残飯を与える際のポイント
プードル・トイプードル
チワワ
ダックスフンド
ラブラドール・レトリーバー
日本犬(柴犬・秋田犬・甲斐犬など)
愛犬の寿命を延ばすには残飯ではなく総合栄養食を与える
ドッグフードにも良し悪しがある
おすすめの国産プレミアムドッグフード
愛犬に長生きしてほしいなら残飯は与えない
上記の中で以下の個所を転載します。全文を読みたい方は次のアドレスにアクセスしてください。
https://dogfoodschool.com/zanpan/
<日本犬が残飯で短命になる理由>
日本犬は、日本人と長く生活してきたため日本人の食生活にかなり適応しています。欧米犬(洋犬)に比べて、穀類が消化できるよう大腸が長いという特徴があります。では、腸が長い日本犬は、日本食の残り物(残飯)で長生きしていたのでしょうか。
日本犬といっても柴犬、縄文柴犬、秋田犬、甲斐犬、紀州犬などいろいろな種類がいますが、実際は洋犬ほどでないにしろ短命でした。日本でも犬は、狩猟犬として江戸時代からずっとクマ、イノシシ、鹿、タヌキ、キジ、カモなど狩りの獲物の肉や骨を大量にとり続けていました。
しかし、日本は農繁期は農業に専念していましたので、狩猟は西洋ほど盛んではなく、狩りをしない期間は穀物食でも体を維持できる構造に日本犬の大腸は進化したと考えられます。日本犬は、「農業がヒマな時期は狩りに行き、獲物の肉をお腹いっぱい食べられる」そういう生活だったわけです。ですから洋犬ほどではないにしても、穀物ばかりの残飯では栄養欠損が生じ短命になると考えられます。
<ご飯が余ってもったいない!残飯を食べさせる場合のポイント>
残飯を与えることはあまりおすすめできませんが、ちょっとした工夫をすることで余ったご飯などを与えることができるようになります。
<タンパク質を補うことで残飯を食べさせることができる>
私たち日本人の食事は穀物である炭水化物が中心です。このため、そのまま残飯だけを食べさせると犬にしてみればタンパク質不足の状態になってしまいます。これが残飯を与えると短命になる最大の理由ですので、単純にタンパク質を補ってあげれば問題は解決します。
<与えるご飯は量に気をつける>
ただし、気をつけたいのは炭水化物もタンパク質もカロリーが高いということです。きちんと量を考え与えないと簡単に肥満犬になってしまいますので、カロリーコントロールもしつつ必要なタンパク質を与えるようにしましょう。
----------
人間と同様にペットの犬にも「食と寿命の深い関係」が存在しているということでしょう。特に私たちの食生活と病気の関係は医療関係者から指摘されています。私が子供のころはイヌの寿命は平均5,6歳でした。どこの家庭もイヌの餌は残飯が中心で、現在のようなドッグフードは珍しい時代でした。ペットに合わせたフードを開発することでペットの寿命が延びたのは幸いですが、別の問題も発生しています。それは以前には見られなかったペットの高齢化です。寿命が延びたことによる四肢のまひや脳機能の低下など高齢のペットが直面する問題です。
ペットを飼うことはペットの命を最後まで見届けることが条件となります。ペットが高齢になったからと言って、人間の都合でペットを捨てることはできません。現代社会において高齢化が重要な問題であるように、ペットも今後は高齢化が大きな問題となることでしょう。高齢者に優しく、高齢のペットにも優しい社会を作り上げなければなりません。
#493 チコちゃんが叱られた!
大牟田地区は7月21日より夏休みが始まり、子どもたちはコロナ後の久しぶりに制限のない夏休みを楽しんでいます。その一方で水の事故が後を絶ちません。夏休み初日には宮若市の女子小学生3人が川で水死する痛ましい事故が起こっています。また全国的にも大人を含めて多くの人が海で亡くなっています。中には流された子どもを助けるために海で溺死したお父さんもいらっしゃいます。自然と触れ合うのは良いことですが、自然の中で自分の身は自分で守る必要があります。特に海は本来安全な場所ではありません。離岸流や急に深くなっている場所がありますので、海で泳ぐときはできるだけ大人数で周囲を見ながら異常がないかを常に確認する必要があります。
さて、毎週金曜日にNHKで放送されている「チコちゃんに叱られる」ですが、年齢にかかわらず家族で楽しめる人気のクイズ番組です。ところが先週放送された番組内容が不適切だとチコちゃんが叱られました。事の顛末は次の通りです。ヤフーニュースより転載します。
----------
『NHKの「チコちゃん」が叱られた!
「海水がしみこまない理由」を「完全におかしい」複数の専門家が指摘』
7月14日に放送されたNHK『チコちゃんに叱られる!』の放送内容について、SNSで「間違いではないか」と指摘する声が上がっている。
問題となっているのは、「水は地面にしみこむのに、なんで海の水はなくならないの?」という疑問に対する答え。チコちゃんの答えは「海底が水圧でカチカチだから」というもので、大学教授が解説をおこなった。教授は、水圧によって、地上と海底では水が岩石にしみこむスピードが違うと説明。深い海底にある岩石には高い水圧がかかることで、岩石の隙間が圧縮され、水を通しにくくなる、と解説した。
この説明に対し、《チコちゃんの「海水が染み込まないわけ」の説明は完全におかしい》と指摘したのは、京都大学大学院の成瀬元准教授。堆積学を専門とする成瀬氏は、7月18日にTwitterで《岩石の圧密は岩石自体の上載荷重が原因で、水圧はむしろ圧密を妨げている。静岩圧が静水圧を上回るから圧密が進行する。陸上の砂が大気圧で固結しないのと同じ。浅海の表層堆積物に比べて深海の軟泥は別に固結していない》と説明。《なぜ天下のNHKでこんな単純なミスが…》と嘆いている。
成瀬氏に話を聞いた。
「番組では、深海で高い水圧がかかり、岩石の隙間がなくなるという説明をされていましたが、そんなことはありません。そもそも、水中で堆積物の隙間にある水の水圧は、全方向に向かって作用しており、深海の海底でも柔らかい泥が、水圧でガチガチに固まることはありません。番組では水圧の説明で、カップ麺の容器が水圧で圧縮される場面もありましたが、あれはプラスチック容器に含まれる空気が圧縮されるため。最初から水を含んでいる深海の岩石とは、まったく関係がありません。地表で水がしみこむのは、地下水位が地表面よりも低いためです。地下水面と水位が等しくなっている河川や湖では、水はしみこみません」
また、愛知教育大学教授で、日本地質学会副会長の星博幸氏も、Twitterで《NHKプラスで先週のチコちゃんを確認した。驚いた。これは完全にダメである。出演した大学教授が完全に誤解している。制作陣はこの教授の言説を鵜呑みにし、その真偽の確認(別の専門家に確認すること)もしなかったと推測される。正しくは成瀬さん
@HajimeNaruse が仰っている通り》
《とにかく今回の番組はひどい。これは専門家がNHKにクレームをつけるべき案件である》
と指摘。ほかにも、海洋地質に詳しいという人物の《海底の堆積物は軟泥といってやわらかい泥です。それが数百万年数千万年にわたり積もる堆積物の荷重より脱水し続成作用による鉱物の沈殿で固結します。水圧は全く関係ありません》とのツイートもあった。
完全にチコちゃんが“叱られた”格好だが、NHKは、この指摘についてどう考えるのか。本誌は7月18日13時、NHKに対し見解を問うメールを送信。20日14時過ぎ、再度、NHKに連絡をしたが「事実確認中」(広報局担当者)というのみで、締め切り(7月20日16時)までに回答は得られなかった。
(https://news.yahoo.co.jp/pickup/6469901)
----------
上記の説明は専門的な解釈で、文系の私には理解できない部分があります。「チコちゃんにしかられる」は国民的人気番組でチコちゃんとゲストの掛け合いが面白く、ゲストへの質問に対する答えが奇想天外で、視聴者をびっくりさせることでも人気があります。しかし、調子に乗っていると今回のようなミスが発生します。特に科学的な専門課題は様々な仮定から生じているものがあり、専門家の意見も異なります。したがって慎重に内容を吟味する必要があります。
NHKは時々ポカをすることがあります、番組スタッフが詳細な検討をしなかったり、外部に発注したものが間違っていたりします。最近のニュースではコロナワクチンで死亡した遺族の取材をコロナウィルスで亡くなった遺族と報じるなど、重大なミスが目立ちます。「国民から受信料を取る天下のNHK」ですので、番組制作には何事も慎重であってほしいものです。
#492 夏の風物詩
昨日は福岡では祇園山笠の「追い山」が行なわれ、4年ぶりの正式な開催となりました。福岡は山笠とともに夏が始まります。大牟田では昨日と今日は「港祭り」が開催され、来週の土日はいよいよ「大蛇山祭り」が行なわれます。夏の風物詩と言えば夏祭りです。今年はコロナ禍も収まり、全国的に制限なしで多くの祭りが行なわれます。
また花火大会も夏の風物詩の代表です。この花火大会はもともと鎮魂のために行なわれたものが起源だそうです。今年も様々な災害で亡くなられた御霊のために花火大会が開催されます。
ところで、朝早くからセミが鳴いています。蝉と言えば、これも夏の風物詩の1つでしょう。今年も7月になって鳴き始めました。まだ梅雨明けしていませんが、真夏のように早朝から鳴き出します。まるで目覚まし時計のように枕もとで鳴きます。成虫はわずか1週間の命ですので、心情的には我慢もできますが、やはり頭の近くで鳴かれるとき、鳴き声の大きさは限度を超えています。
このセミですが、私たちが日ごろ耳にするのは鳴き声によってアブラゼミ、クマゼミ、ミンミンゼミ、ヒグラシ、ツクツクホーシでしょうか。どのセミがどんな鳴き方をするか区別がつきますか?詳しく判断できない方は次のサイトで聞き比べてください。
http://www.m-ecokosha.or.jp/semi/semi_koe_index.html
この中で、最近耳にしなくなったのがミンミンゼミです。以前はマンガの中に描かれるゼミは決まってミンミンゼミで、「ミーン、ミーン」と鳴き声が描かれていましたが、私はこの鳴き声を聞いたことがありません。このセミの分布について、日経新聞は次のような記事を載せています。
----------
『関西のセミ「ミンミン」鳴かない? 種類や分布に地域差』
最近、北米で17年に1度大発生する「17年ゼミ」のニュースを耳にした。捕食する鳥や動物が食べきれないほど一気に羽化する光景は圧巻。子孫を残すのに有利な生態なのだという。セミは身近ながら不思議の多い昆虫だ。そういえば日本のセミについても疑問がある。関西では「ミンミン」という鳴き声を耳にしないような……。
関西のセミはちょっと違う。東京都出身の記者(28)がそう気づいたのは子どもの頃だ。夏休みに神戸市の祖母の家に泊まると、「シャアシャア」という聞き慣れないセミの大合唱で目が覚めた。セミは「ミンミン」と鳴くものだと習ったのに……。祖母は「あれはクマゼミという別の種類だ」と教えてくれた。
ウェザーニュースは2020年、「一番よく聞くセミの鳴き声」を都道府県ごとにアンケート調査した。大阪府、兵庫県など関西ではクマゼミ、東京都、神奈川県など関東ではミンミンゼミという回答が目立った。
元来、ミンミンと鳴くミンミンゼミは比較的寒冷な東日本、クマゼミは温暖な西日本に多いという。ただ、現在では東京と大阪の気候はそれほど変わらない。それでも両者の勢力分布の傾向にあまり変化がないのはなぜだろう。
京都大学の沼田英治名誉教授は「セミの飛行距離はそれほど長くない」と指摘する。クマゼミに印をつけて飛距離を測る実験では、長く飛んだものでも1キロメートル強だった。
さらにセミは生涯のほとんどを土の中で過ごす。木などに産み付けられた卵は翌夏にふ化し、幼虫は自力で土に潜る。土の中で過ごす期間は6~8年とも。植木に紛れて運ばれることはありうるが長距離を移動することはまれで、「地域差が出る理由の一つとなっている可能性はある」と大阪市立自然史博物館の初宿成彦主任学芸員は語る。
もっとも、かつて関西で主流だったのは「アブラゼミ」だ。初宿氏によるとクマゼミがその地位を奪ったのは1980年ごろ。「都市部を中心に勢力を伸ばした」という。
クマゼミの増加は、温暖化やヒートアイランド現象とも関係があるという。気温上昇で卵のふ化の時期が早まり、梅雨に重なったことで「都市部での生存率が高まった」と語るのは大阪健康安全基盤研究所の山崎一夫主幹研究員。
都市部の公園は落ち葉などが取り除かれ腐葉土がなく、土は乾燥して硬い。クマゼミの幼虫はアブラゼミより土を掘るのがうまく、その点では優位。だが、潜るのに時間がかかればアリなどの天敵に捕まる危険も高まる。湿気で土が軟らかくなる梅雨時のふ化は、クマゼミの幼虫の生存に有利に働いたとみられる。
また、山崎氏は「クマゼミの成虫はカラスなど都会の鳥から逃げるのが上手だ」とも指摘する。セミを驚かせてどう逃げるか実験したところ、クマゼミは比較的遠くの木立まで飛ぶのに対し、アブラゼミはすぐ隣の木に移る性質があることが分かった。
アブラゼミの茶色い体は豊かな森では身を隠しやすいが、都心の並木道では違うようだ。実際、大阪市内でセミの死骸を調べたところ、アブラゼミは捕食されて羽などがバラバラになったものが9割超だったのに対し、クマゼミでは5割にとどまったという。
同じ大阪でも郊外ではアブラゼミが多い。約50年かけて森づくりを進めてきた万博記念公園(大阪府吹田市)では、2015年に園内のセミの抜け殻を採取したところ、8割がアブラゼミだった。10年の調査で大阪市内では9割超がクマゼミだったのとは対照的。クマゼミは「都市環境にうまく適応して増えた」(初宿氏)といえる。
セミの生態は分かっていないことも多いが、17年ゼミの謎の解明には日本人研究者が貢献したという。この夏、セミ博士を目指し、まずは観察してみようか。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF232HI0T20C21A5000000/
----------
上記の記事によりますと、一口にセミと言っても、かなりの地域差があるようです。ちなみに私は3年ほどオーストラリアのシドニーで過ごしましたが、セミが鳴くのを一度も聞いたことがありません。不思議に思いオーストラリアの知人に聞きますと、セミが鳴いていると鳥が食べるそうです。それでセミが鳴かない理由がが分かりました。セミもいろいろです。
#491 ChatGPTを家庭教師に!?
今週は全国的に大雨が続いており、特に週末は九州北部や中国地方で記録的な豪雨が続いています。今日も多くの地域で警報が出ていますので、豪雨への充分な警戒がさらに必要になります。梅雨明けも近づいていますので、もう少しの辛抱です。梅雨明け宣言が待ち遠しい今日この頃です。
ところで、最近のニュースに必ず顔を出す話題がChatGPTです。私自身もChatGPTには懐疑的な考え方をしていますが、このChatGPT(今後はチャットと略します)を有効に活用できると主張する人がいます。それも家庭教師として利用できるそうです。今日はその記事を転載します。
----------
『ChatGPTを家庭教師にした子の成績「驚きの結果」』
(家庭教師を雇えなかった子にも教わるチャンス)
・ChatGPTが家庭教師の役割を果たす
ChatGPTなどの生成系AIは、子供たちの学習で家庭教師の役割を果たすことができる。例えば、小学生が「78 ÷ 8はいくらで、余りはいくらか?」という問題にどのように取り組めばよいのか、という疑問に直面したとしよう。
大人であればこの問題を解くことはできるが、小学生に対してなぜその解法が正しいのかを説明するのは戸惑うだろう。しかし、これをChatGPTに問うと、非常に丁寧な答えが返ってくる(実際に試していただければ、すぐにわかる)。
こうした問題につまずいてそれ以降進むことができなくなり、数学が嫌いになってしまった子供たちは、多いだろう。わからなくても、学校の先生に個別に質問することができない。裕福な家庭の子供なら家庭教師に質問することができるが、貧しい家庭の子供たちはできない。そうした子供たちにとって、救いの神が現れたことになる。
ウェブを探せばこうした説明はどこかに存在するかもしれないが、それを見つけ出すのは容易でない。それに対して、ChatGPTは、質問に対して直接的に答えてくれる。
教育関連のオンライン雑誌Intelligent.comが6月8日に公表した調査結果は衝撃的だ(アメリカ人801人に対するLINE上での5月の調査結果)。
それによれば、高校および大学生の85%、学齢期の子を持つ親の96%が、「人間の家庭教師よりChatGPTのほうが優れている」と回答した。すでに完全にChatGPTに切り替えた高校生・大学生は、回答者の39%だ。親は30%に上る。切り替えによって成績が向上したと回答した割合は95%だった。
切り替えた科目では、数学が最も多く、外国語やハードサイエンス(化学や生物学)が続く。無料でいつでも利用できるという点は、確かに圧倒的な競争力といえるだろう。
勉強といえば学校で行うものというのが多くの人の考え方だが、昔からそうであったわけではない。ヨーロッパの伝統的な社会では、貴族社会における教育は学校ではなく、個別のチューターによって行われていた。
チューター制度は、イギリスのオックスフォードやケンブリッジなどの大学に引き継がれている。学生は、わからないことをチューターに相談する。理解度は個人によって異なるため、個別の指導が好ましいことは間違いない。また、アメリカの大学院ではTA(教員助手)という制度が広く展開されている。
チューター制度の問題点はコストがかかることだが、ChatGPTがそれを解決した。
・学校を置き換えるのではなく、家庭教師を置き換える
学校は、単に知識を学ぶだけでなく、集団生活を経験し、友人を作るために極めて重要な役割を果たしている。したがって、現代社会において、学校がまったくなくなってしまうようなことは考えられない。
しかし、知識習得の相当部分が、ChatGPTによるチューターによって置き換えられる事態は、十分にあり得ることだ。
つまり、ChatGPTは教育過程そのものを置き換えるのではなく、それを補完するものとして存在し得る。これまでの学校教育の良さはそのままにし、これまでチューターが行っていた家庭教師の役割を果たし得るのではないだろうか。
あるいは、これまでチューターが利用できなかった人に対して、チューターの役割を果たすことがあるだろう。社会人の場合には、こうしたケースが多いだろう。
ChatGPTによる学習の最も大きな特徴は柔軟性だ。いつでも学習を行うことができる。朝早くでも、真夜中であっても構わない。また、学習内容を自由に変更することも可能だ。理解できないことがあれば、質問の仕方を変えて理解するまで説明を求めることができる。数学や統計学などのハードサイエンスにおいては、このような学習が可能であることは大きな利点だ。
貧困のために進学できない子供たちは、開発途上国には依然として多い。これらの子供たちが自ら独学によって学ぶ可能性が広がることは、非常に重要な意味をもつだろう。
先進国でも丁寧な教育サービスを受けることのできぬ子供たちが多数存在している。これまでは裕福な家庭の子供たちのみが利用できた個別指導が、貧しい家庭の子供たちにも無償で利用できるのは、極めて重要な変化だ。こうしたサービスが利用可能となり、貧富の差が縮小することが期待される。
「ChatGPTを家庭教師として用いるのは、必ずしも学齢期の学生に限られたことではない。ChatGPTは、社会人の勉強においても、家庭教師の役割を担っていくだろう。外国語やプログラミングの勉強には、すぐにでも使うことができる。
・回答が正確になれば、試験制度にも影響
ただし、現在のChatGPTでは、幻覚(ハルシネーション)による誤りがある。そのため、ChatGPTの回答を完全に信頼するわけにはいかない。しかし、将来は技術の進歩によって正確性が増すだろう。
現在でも、特定のデータベースにAPI接続し、正確な回答のみを得ることが可能だ。すでに、GPT-4を統合した学習支援サービスが登場している。例えば、語学学習アプリのDuolingoや、教育プラットフォームのKhan
Academy、さらにはLINEのAI先生【体験版】など。東洋大学は、5月9日にAI利用教育システム「AI-MOP」の開発・導入を発表した。
近い将来に、さまざまな学習用アプリが登場すると予想される。特に、入学試験や資格試験のためのアプリが増えるだろう。
小学生の勉強や社会人の学習などといった広い区分けでなく、資格試験に特化した学習アプリが数多く登場するだろう。また、学校の受験に関しても、各大学や中学校に特化したアプリが現れることが予想される。
これによって、学習塾や予備校、社会人向けの教育講座などは大きな影響を受けるだろう。そうしたサービスを提供してきた個人や機関にとっては、存亡にかかわる問題となる。家庭教師は、多くの学生にとって重要な収入源であり、それがChatGPTによって代替されてしまうことは、深刻な課題となる。
それだけではない。資格試験そのものの必要性も再考されるだろう。ChatGPTに聞けば容易にわかることなら、誰でもできるわけであり、資格を持つ人だけができるということではなくなるからだ。
さらに、学校の入学試験や就職試験も、根本的な変革を迫られるだろう。実際、学生の就職活動において重要な役割を果たすエントリーシートを30秒で作成するサービスが登場し、企業は選考方法を変えざるを得ないだろうとされている。
(https://toyokeizai.net/articles/-/684319)
----------
上記の記事にありますように、チャットがより正確に情報を集めることができ、適切な助言をすることができれば、新しい教育システムが登場するかもしれません。学業成績の向上は集団で現況するよりも、その子どもに適した指導方法で行なうほうが確実に向上します。そのための家庭教師であり、塾の個別指導でしょうが、それらの指導方法に格差が大きすぎるのも事実です。良い意味において、今後のチャット開発に大いに期待します。
#490 宇宙の謎を解くユークリッド
今日は朝から曇り空ですが、昨日までの降雨はすさまじく、大牟田では300ミリを超える豪雨となりました。また明日から梅雨前線が北上していくようです。北部九州の梅雨明けは7月18日頃ですので、あと2週間は梅雨末期の豪雨に厳重な注意が必要です。
さて7月7日は七夕ですが、この日は旧暦の7月7日を指します。梅雨の末期に満天の夜空は望めません。旧暦の7月7日では今日の8月上旬に当たりますので満天の下で織姫と彦星はめでたく再会できるという話です。昔の人々は夜空を見上げてロマンチックな想像をしたものです。
それでは、現代の宇宙に関するロマンチックな話題は何でしょうか。それは宇宙の起源を探すことです。その謎を解明するために新しい宇宙望遠鏡が打ち上げられました。毎日新聞より関連する記事を転載します。
----------
『宇宙望遠鏡「ユークリッド」打ち上げ 「暗黒エネルギー」の謎に迫る』
欧州宇宙機関(ESA)は1日、新開発の宇宙望遠鏡「ユークリッド」を米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げた。100億光年先まで広がる最大20億個の銀河の地図を作り、物理学の最大の謎といわれる「暗黒エネルギー」の性質に迫るのが目的だ。
宇宙は138億年前の誕生から膨張を続けてきた。その勢いは物が引き合う重力の影響で次第に緩やかになるはずだが、なぜか数十億年前から加速している。その原因は、重力とは逆に物を反発させ合う暗黒エネルギー。このエネルギーは宇宙の70%を構成する。他の25%は光を吸収も反射もしない正体不明の暗黒物質、星々を構成する原子など通常の物質は5%だけだ。
ユークリッドは高さ4・7メートル、幅3・7メートルで重さ2トン。銀河の位置や形を見る可視光カメラと、距離を知るための赤外線観測装置を搭載する。暗黒物質があると重力によって背後の銀河がゆがんで見える現象を観測し、銀河だけでなく暗黒物質の分布も調べる。こうして精密な立体地図ができれば、宇宙の構造ができる過程に暗黒エネルギーがどう関与したかが分かってくる可能性がある。
(https://mainichi.jp/articles/20230702/k00/00m/030/005000c)
----------
宇宙空間にはハッブル宇宙望遠鏡など数台が活躍していますが、この度「ユークリッド」が新しく加わることになりました。上記の記事にありますように、この望遠鏡は「ダークマター」と呼ばれる暗黒物質を調査する目的で観測が行なわれます。それにより宇宙が拡大し続けるのか、それとも収縮へと向かうのかが予測できます。宇宙に興味がない人は「それがどうした。その高額な予算を別の世の中に役立つものに使うべきだ。」と思うことでしょう。確かに宇宙探査は世の中を幸せにするために何の役にも立ちません。
しかし夢があります。人類がかつて夢見てきた宇宙の成り立ちや起源の一端が分かるかもしれないのです。そこから「人間とは何か」、「宇宙と人類との関係」、「宇宙を作り出した創造主」などの理解が進むかもしれません。人類史に新たな1ページを付け加えることができるのです。人類があと1,000年生き残るとして1,000年後の未来人が21世を振り返るとき、どう思うでしょうか。私たちが中世時代をを暗黒時代を呼んだように、戦争ばかりしてきた21世紀の地球人の考え方を理解できないでしょう。「ユークリッド」がどのような成果をもたらしてくれるか楽しみです。
#489 ウミガメ放流会は無駄?
気象庁によりますと、本日沖縄地方が梅雨明けとなりました。今後は九州を始めとする本土が本格的な梅雨の後半を迎えることになります。大雨の災害に対する充分な備えをする必要があります。
さて、梅雨明けした夏の沖縄と言えば、何をイメージするでしょうか。青い空と海や白い砂浜でしょうか。あるいは水中散歩でしょうか。美しい海中で出会う熱帯魚やウミガメでしょうか。
ところで、ウミガメが産卵のために浜に上陸し、卵を産みますが、ウミガメ保護のためにその卵を人工的にふ化させ、ウミガメの赤ちゃん海へ帰す「ウミガメ放流会」が各地で行われています。あくまでもウミガメ保護のためです。ところが、このウミガメ放流会が無意味であるというのです。どういうことでしょうか。毎日新聞より転載します。
----------
『ウミガメ放流会、やめて 日中の放流「ほぼ死ぬ運命」研究会会長が訴え』
大きくなって帰っておいで――。こんな書き出しで盛んに新聞記事にされた、子どもたちによる日中の「ウミガメ放流会」への疑問が、関係者の間で高まっている。「日中に放流してもほぼ死ぬ運命。やめた方がいい」。奄美海洋生物研究会の興克樹会長(52)は、5月25日にあった鹿児島県とウミガメが産卵する沿岸の32市町村の県ウミガメ保護対策連絡協議会で訴えた。ふ化したカメの生き延びる可能性が大きく低下するためという。
興会長によると、卵からふ化したウミガメは24時間以内に沖まで出ないと、体力を失って生き残れない。自然状態では真夜中などに浜から一目散に泳ぎ出す。それが、日中まで待って放流すると、その段階で何時間もロスしているうえ、日中は魚や鳥の活動時間帯に当たり、大半が餌食になるという。
卵が波にさらわれないように移設することにも慎重論が出ている。ふ化率が著しく下がるためといい、日本ウミガメ協議会の「保護ハンドブック」には「移設は他に保護する手立てがない場合にのみ選択されるべきだ」と書かれている。
放流会への疑問の高まりにつれ、実施する自治体も減っているとみられるが、それでも5月25日の連絡協議会では3市1町が放流会を予定すると報告。報告しなかったものの実施予定の市もあった。
奄美市は2023年度から取りやめた。担当者は「代わりにウミガメ観察会を開き、なぜ放流会が望ましくないか伝えることで、子どもたちにより考えを深めてもらえるようにしたい」と話した。
「実施する」と報告した自治体も、毎日新聞の取材に対し、「日中がだめな理由は納得できた」「よかれと思っていたが、初めて問題点を知った」などと回答。改善を検討する考えを示した。
興会長は「相談を受ければ、やめるように伝え、それが難しければせめて夜間に放流するようお願いしてきた。真に保護につながるかどうかを考えて判断してほしい」と話している。
(https://mainichi.jp/articles/20230625/k00/00m/040/032000c)
----------
善意で行っている「ウミガメ放流会」ですが、自然のおきては厳しく、自然の生き物に人工的に手を加えることは自然界にとってためにならないという事でしょうか。厳しいようですが、自然の法則(適者生存の法則)に従うしかありません。私たち人類もこの星に住まわせてもらっている一種族です。この星が人類を必要としないと判断すれば、自然災害や伝染病などをを用いて迅速に人類をふるい落としにかかるでしょう。そうならないように、私たちは他の生物との共存共栄を図り、他の生命体や地球の破滅のためではなく、その進化・発展のために科学技術を利用しなけれななりません。それこそが人類が将来生き残る道でもあります。
#488 スカイネット到来?
梅雨の晴れ間で、今日は朝から晴れています。数日前には30度を記録した大牟田でしたが、今日はそれほど高温にならないようです。しかし梅雨本番はこれからです。豪雨や洪水に充分注意する必要があります。
さて、最近特に何かと話題に登場するのが生成AIです。この件に関して肯定する人から否定する人まで様々な意見が世の中に飛び交っています。先日東京都の教育委員会が各学校に「生徒がAIを使用して読書感想文などの課題をしないように」通達しました。また国内の大学では、ChatGPT利用の基準を示したり、注意喚起を行うところも出てきています。このような状況下でCNNが次のような記事を出しました。
----------
『「AIが5~10年以内に人類を破滅させる可能性」、CEOの42%が予想』
ニューヨーク(CNN Business) 人工知能(AI)がそれほど遠くない未来にもたらし得る人類存亡の脅威について、企業経営者の多くが真剣に危惧している実態が、米イエール大学の意識調査で明らかになった。
調査はこのほど開かれたオンラインイベントのイエールCEO(最高経営責任者)サミットで、119人のCEOを対象に実施。うち42%が、AIは今から5~10年以内に人類を破滅させる潜在的可能性があると回答した。
この調査にはウォルマートのダグ・マクミリオン氏やコカ・コーラのジェームズ・クインシー氏をはじめ、ゼロックスやズームなどのIT企業や医薬品、メディア、製造業など様々な業界のCEOが協力している。
<AIの危険性をめぐっては大きく意見が分かれた。>
AIが人類を破滅させる可能性について、CEOの34%は「10年以内」、8%は「5年以内」に起こり得ると回答。一方で、その可能性はなく「心配していない」とするCEOは58%に上った。
AIが惨事を引き起こす可能性については「誇張されすぎ」とみるCEOが42%だったのに対し、「誇張ではない」としたCEOは58%だった。
一方、AIの潜在的チャンスについて「誇張されすぎ」とする意見は13%にとどまり、「誇張ではない」が87%を占めている。
AIが変革させる可能性がある業界は、ヘルスケアの48%を筆頭に、プロフェッショナルサービス/ITが35%、メディア/デジタルが11%だった。
(https://www.cnn.co.jp/tech/35205269.html)
----------
このようなニュースが流れたときに、私はふと「スカイネット」のことを思い出していました。スカイネットとはアーノルド・シュワルツェネッガーが主演した映画「ターミネーター」に登場した、人類の敵である自我を持つ人工知能のことです。「ターミネーター」シリーズを見た人はお分かりと思いますが、インターネットで繋がれた世界が、スカイネットと呼ばれる人工知能によって支配され、人類に対して敵対姿勢を取り、ターミネーターのいる未来では人類滅亡を図っています。
映画の詳細は実際に映画を見ていただくことにして、私が危惧していることは、ChatGPTを始めとする生成AIの進化があまりにも早すぎることです。その学習スピードに人類はついて行くことができません。現在ではChatGPTはネット上にある膨大な情報を用いて文章や画像、映像までも秒単位で作成します。またディープラーニングと呼ばれる学習では、まるで人間が学習しているように多くの分野で学習し、自らの知識にすることができます。
人間のような感情や創造性、知性をAIは獲得できないと言う専門家もいますが、AIも今後は独自の感情や知性を持つと私は思っています。人間の感情や創造性、知性とは、結局今まで蓄積した物事の取捨選択の結果でしかなく、膨大な量の情報を有するAIであれば、人間のような判断が可能です。否、人間の判断を超えた神に近い判断ができるでしょうか。欠点の多い人間の判断よりも、正確無比なAIの判断を信じる人が増えていけば、将来「AI教」のようなAIを「神」とする宗教が登場するのでしょうか。
このような人類の未来を分断するような時世に今日の私たちは生きています。確かに生成AIは大変便利な道具ですが、使い方を間違えると人類を滅亡させるような怪物に育てることも可能です。人類がAIを利用し新しい世界観を身につけ、科学技術をさらに発展させるか、あるいはAIによる人類滅亡を引き起こすようなことを人類が模索し始めるかは今の私たちにかかっています。
#487 世界一の経済大国だった江戸時代
本日は少し遅いブログ投稿になります。書籍を購入するために福岡市に行ってきました。JR九州の時刻が変更になり、いつも利用していた快速が無くなってしまいました。今日は西鉄電車を利用し、薬院で地下鉄に乗り換えて博多駅の丸善まで足を延ばしました。天神で地下鉄に乗り換えるよりも時間が節約でき、運賃も安くなります。結局、いつものことですが、書籍購入に2,3万円使う羽目になりました。でも私の好きな葉祥明の特集雑誌が買えて幸せな気分になりました(笑)。
ところで、皆さんは「江戸時代」と言えば、どのようなイメージをお持ちでしょうか。徳川幕府、水戸黄門、などの時代劇のイメージがあります。しかし、世界史規模で江戸時代を捉えたものはあまり多くないと思います。あくまでも「内向きの日本史」として江戸時代を見ているからでしょう。ところが世界的な規模で江戸時代を研究している記事がありましたので、ご紹介します。
----------
『本当に強かった日本 江戸時代、実は欧州諸国以上の「経済大国」だった
GDPは日本の154億ドルに対し英国107億ドル、オランダ40億ドル…米国は5億ドル』
日本史や世界史を見ても、日本が世界でどのような位置を占めていたかということは、なかなか出てこない。大航海時代、日本の戦国時代には、西洋と日本との交易が盛んになる。
英国の歴史学者、チャールズ・マクファーレン(1799―1858年)の著書『日本1852』によると、「年間300トンにもなる金、銀、銅がポルトガル人に持ち出されている。あふれる金銀でマカオの町は、ソロモン王時代のエルサレムの様相」というほどの繁栄を見せた。
つまり、マカオの繁栄は、日本と中国の間の貿易によりマカオにもたらされた日本の金銀によっていたのである。戦国から江戸初期にかけての日本は、中国の絹織物などを豊富な金銀で輸入しており、ポルトガルなどの商人は、明と日本の貿易の仲介をすることで巨大な富を築いていた。
同書によると、オランダ東インド会社のバタヴィア総督の1744年の資料に「日本からの金銀の持ち出しは年間84万英ポンド(83万両)にも上り、1680年に金の持ち出しが禁止されるまでに数千万英ポンドに相当する金が持ち出されている。
ポルトガル人は、1年で58万英ポンドに相当する銀を持ち出していた」と記されている。高品質の銅のインゴットは、オランダ商人の主要な購入品目の一つとなっており、銅の輸出は1800年以降まで続いている。日本からの金銀の流出は、元禄から徳川吉宗の時代にかけて、中国輸入品目の多くが国産化されることにより減少する。
OECD(経済協力開発機構)の「The World Economy Historical Statistics」というリポートでは、戦国時代や江戸時代の世界各国のGDP(国内総生産)が推計されている。
1701年というと、忠臣蔵の「松の廊下の刃傷」が起こった年で、元禄の繁栄の最中であるが、この1700年の日本と欧米各国のGDPを比較すると、日本は154億ドル、英国は107億ドル、オランダは40億ドル、スペインは75億ドル、ポルトガルは16億ドル、移民まもない米国は5億ドルとなっている。
つまり、この頃の欧米各国の経済規模は、元禄日本より小さかったわけである。この時に日本よりGDPが大きかったのは、康熙・雍正帝時代の強い中国、アウランジィーブ皇帝の強国インド、ベルサイユを建設した絶頂期のフランスだけである。
江戸日本の経済力は、吉宗の頃までは、欧州諸国よりも大きかった。江戸幕府前半時代は、武力、経済力ともに欧州諸国を上回っていたわけで、これが平穏な国際関係の基礎であったといえよう。
幕末も近づく1820年には、日本は207億ドル、英国は362億ドル、オランダは43億ドル、スペインは123億ドル、ポルトガルは30億ドル、独立後30年の米国は125億ドルと推定されている。
欧州では、1800年頃から産業革命が各国に浸透し始め、英国、ドイツなどは、急速に経済成長し、日本のGDPを追い越すようになる。
しかし、1820年の文政江戸文化が爛熟(らんじゅく)する徳川家斉の治世の頃でも、日本の経済力は欧州各国に比較し見劣りするものではなかった。黒船30年前には、米国経済より日本経済の方が大きかったのである。
英国経済の原動力だった英国東インド会社は、単なる貿易会社ではなく国王から交戦権を特許され、軍隊を持つ会社であった。1698年にコルカタ周辺3村の徴税権を買い取り拠点をつくると、その軍事力でベンガル24郡の徴税権を戦い取る。
ムガール帝国末期の皇帝は末期の室町将軍家のようで、インドは戦国時代のごとく乱れ、英国東インド会社は戦国大名のようにインドを統一していく。1858年、ムガール最後の皇帝の軍を破り廃位させると、英国王は東インド会社から統治権を取り上げて直接統治する。英領インドは150年かけて完成された民間会社の作品なのである。
(https://www.zakzak.co.jp/article/20230610-L2JCCRQK3VL6DMGTBZC3I4QPW4/)
----------
やはり「黄金の国ジパング」は事実でした。日本史と世界史は近世まで何か別次元のように進行して行きますが、上記の記事のように世界史的に俯瞰してみると、日本の国力が見えてきます。世界史では欧州や米国の国力が大きく扱われますが、日本の江戸時代も負けてはいなかったということになります。「恐るべし江戸時代」です。
#486 カエルの鳴き声がうるさい!?
台風2号の東進とともに梅雨前線を刺激し、近畿、東海、関東地方で多くの線状降水帯が発生し、各地で洪水等の被害をもたらしました。昨年までは九州や中国地方で線状降水帯が発生しましたが、今年は入梅とともに今まで発生したことがない地域で大きな災害をもたらしました。梅雨はまだ始まったばかりです。豪雨や長雨は場所を選びません。梅雨が終わるまで厳重な注意が必要となります。
さて、梅雨と言えばカエルの季節です。田んぼなどでカエルの合唱を聞くのは心が和みます。ところが、とんでもないニュースが飛び込んできました。「カエルの声がうるさい」というのです。この世間をあっと言わせるニュースを転載します。
----------
『「カエルの鳴き声がうるさい」田んぼの持ち主に苦情
→「理不尽すぎる」「無茶言う人だ」驚きの声広がる』
田んぼの近くに住む住民から、農地の所有者へ寄せられた苦情がSNS上で大きな話題になっています。ツイッターユーザーの「いもっち」さんは先日、道端に張り紙が落ちているのを見つけました。その内容がこちらです。
◇◇◇
田んぼの持ち主様へ
カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。
鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。
騒音対策のご対応お願いします。
近隣住民より
◇◇◇
いもっちさんは驚きのあまり写真を撮影し、自身のツイッターに「どこかから風で飛んできたヤツなんだけど世知辛い…」と投稿。SNSユーザーからは4万を超える「いいね」とともに、「えっ?」「いやいやいや無理でしょ」「理不尽すぎる」「無茶言う人だな」「カエルに鳴くなと?」などの驚きの声が上がっています。
いもっちさんに話を聞きました。
──張り紙を読んだ瞬間、どんな気持ちに。
「幼稚園や保育園の近所に引っ越して来て『子どもの声がうるさい!』という人と同じだなと思いました。うるさいと思うのは勝手ですが、それをわざわざ管理者に訴えるのはお門違いも甚だしいと思います」
──周辺は田んぼが多い地域ですか。
「住宅地ですが、田んぼもそれなりにあり、近所にはコイン精米機も結構あります」
──投稿が拡散しています。
「そもそもはフォロワーというかリア友に『これはないよね〜』程度の気持ちで投稿しました。バズっていてビビりましたが、同じような気持ちの人が大多数で安心しました」
◇◇◇
田んぼにいるカエルは害虫を食べてくれる存在です。もし、騒音対策としてカエルを駆除するとなると、生態系を壊すことにつながり、ひいては人間の暮らしに影響を及ぼすことにもなりかねません。皆さんは今回のクレームをどう思われますか。
(https://maidonanews.jp/article/14918988)
----------
また、この記事を読んだ獣医師の方から次のような登校がありました。
----------
『獣医師「アマガエルは鳴くものです」 住民の苦情「田んぼのカエルがうるさくて眠れない」に衝撃』
「田んぼのカエルの鳴き声がうるさくて眠れない」ーー弊サイト「まいどなニュース」が5月29日朝に配信した、田んぼにいるカエルの鳴き声に近隣住民から苦情が出たという記事に大きな反響が寄せられています。
<獣医師「人間は生物の一員。忘れてしまっているのでは…」>
「記事を読んで衝撃でした。アマガエルは鳴くものです」。そう話すのは大阪・守口市の夜型動物病院「まねき猫ホスピタル」の院長で、Yahooニュースの公式コメンテーターも務める石井万寿美さん。
石井さんはまいどなニュースの取材に対し、「私はいま都会に住んでいますが、以前はカエルが鳴くところにも住んでいました。カエルの声をうるさいと感じる人がいることにびっくりしました。そのうち、セミの鳴き声がうるさいから木を切れなどに発展するのかな、とも考えました」と率直な感想を述べました。
「ネットが発達して、生の体験が少なくなっているせいか、人間が生物の一員だということを忘れてしまっているのでしょうか。生き物の恵で果物ができることも知らないので、ハチが出たら、それも駆除すればいいと思っている人もいるのかもしれません」(石井万寿美さん)
石井さんはYahooコメントの中で、田んぼに生息するカエルについて、「田んぼはアマガエルにとって重要な産卵場所であり、アマガエルは田んぼの害虫を食べることで稲の生育を助けています。同様に、他のカエルやクモやトンボも田んぼの害虫を捕食し、田んぼの生態系において重要な存在です」と説明。
「大量の殺虫剤や農薬を使用すると、害虫は減るかもしれませんが、同時にカエルたちやそれを餌にする生き物も減少してしまいます。田んぼからカエルが消えると、他の生き物たちも生きていけなくなるため、バランスを保つためにもカエルの存在は不可欠です。カエルがいるということは、その田んぼがあまり農薬を使用していないことになり、地域の人にとっても安全です」(Yahooコメントより引用)
29日朝に配信した記事のタイトルは「『カエルの鳴き声がうるさい』田んぼの持ち主に苦情→『理不尽すぎる』『無茶言う人だ』驚きの声広がる」。
あるツイッターユーザーが、地域住民から田んぼの持ち主への苦情が書かれた張り紙を見つけたという内容です。訴えには「カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です」などと書かれていました。
タイトルの一部、「田んぼの持ち主」「驚きの声」はツイッターのトレンドワードにランクインし、転載されたYahooニュースのページには半日で5千件を超えるコメントがつきました。
まいどなニュース編集部には読者から「農家の人がカエルを飼ってるわけではないのに」「自然現象に文句を言う人の気持ちが分からない」「カエルがかわいそう」「田んぼのカエルの鳴き声で初夏を感じているのに」など、多数の意見が届いています。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/b1a79820e5c398ac5da95e5b40cc1746158cca80)
----------
自宅の周囲はすっかり住宅地になりましたが、以前は周りに田んぼがあり、夏の夜には毎晩カエルの大合唱がありました。幼い頃の私はそれを聞きながら寝入りについたものです。秋には虫の演奏が始まります。様々な虫が異なる音色で演奏します。幼い頃の私の周りは自然の音が溢れていました。今はカエルの声とともに眠ることはありませんが、カエルの声を聞くと昔の思い出が蘇ってきます。
上記の苦情に似たものは「公園の子どもの声がうるさい」との住民の苦情で公園が閉鎖になった事例もあります。ある保育園では周囲の住民に配慮して、防音壁を設置したところもあります。このような苦情が拡大すれば、やがて「木の梢の音がうるさい。木を切り倒せ」当の苦情が出てくることでしょう。
古来の日本人は自然と共に生き、自然から多くのものを得てきました。現代の日本人はそれを忘れ、自然は人間の生活をじゃまするものと受け取っているのでしょうか。非常に嘆かわしいことです。自然から復讐される前に、今一度、自然との共生とは何かを真剣に考える時がきているようです。
#485 カンガルー受難の時代
大型台風2号が近づいています。この時期に日本に接近するのは珍しいですが、ひょっとしたら週末には九州に接近するかもしれません。その場合、早めの対策が必要となります。また前線が停滞する予報が出ていますので、近いうちに入梅宣言が出されるかもしれません。天気の急変に気をつけたいところです。
ところで南半球のオーストラリアの話です。オーストラリアと言えば、コアラ、カンガルー(小型カンガルーはワラビーと言います)が有名ですが、近年どちらも受難の時代が続いています。昨年は山火事の影響で数千頭のコアラが焼死しました。動きが遅いので、山火事が発生すると多くのコアラが犠牲になります。一方カンガルーは足が速いので、山火事からは比較的逃げやすいのですが、ここに困った事態が発生しています。カンガルーに関する記事を見つけましたので、転載します。
----------
『カンガルー、餓死対策で大量殺処分を』
オーストラリアの生態学者らが、カンガルーの増加を放置すれば「壊滅的」な数の個体が餓死する可能性があるとして、カンガルー産業全体で大規模な殺処分を行うことを提案している。(写真はカンガルーの群れ。豪ニューサウスウェールズ州で)
カンガルーの個体数は増減のサイクルを繰り返し、餌が豊富な雨期には数千万頭に膨れ上がる。しかし、生態学者のキャサリン・モズビー氏は、餌がなくなれば餓死による大量死が起きると警告する。
同氏によると前回の干ばつでは、飢えたカンガルーが公衆トイレのトイレットペーパーを食べたり路上で倒れたりした。推定80~90%が死んだ地域もあったという。
こうした運命からカンガルーを救う最も思いやりのある方法は、銃で撃ち殺すことだとモズビー氏は主張する。
オーストラリアでカンガルーは保護されているが、最もよく見掛ける種は絶滅の危機にはなく、政府の許可があればほとんどの地区で撃ち殺すことができる。その結果、年間500万頭が食肉やペットフード、皮革産業などで利用されている。
オーストラリア・カンガルー産業協会のデニス・キング氏によると、2000年代初めの干ばつでカンガルーの個体数は3000万頭以下まで減ったが、今は再び増加傾向にあり、このままでは6000万頭まで回復するのも時間の問題だという。
豪動物愛護団体アニマルズ・オーストラリアは、オーストラリア固有の動物であるカンガルーが「商業的利益のために殺されている」と非難している。
だが、カンガルー管理の第一人者であるジョージ・ウィルソン氏は、殺処分して利用することを「倫理に反するという意見もあるが、餓死させることこそ倫理に反する」とAFPに語った。「残酷なのはそういう事態に対して何もしないことだ」
(https://www.jiji.com/jc/article?k=20230526044519a&g=afp)
----------
上記にも書いてありますように、シドニー市内の土産物店ではカンガルーの毛皮の敷物や小物製品を売っています。またスーパーマーケットに行けば、カンガルーの肉も販売しています。カンガルーが増加するのは自然の摂理と思いますが、その数を人間が人為的に調整するのはいかがなものでしょうか。自然界の生き物は自ら生息数を調整します。例えば急激に増えると集団自殺するレミングが挙げられます。カンガルーもおそらく自然の摂理が働いて、何らかの形で数が調整できるのではないかと思います。わざわざ人間がしゃしゃり出て生息数を調整することでもないと思います。もちろん人間を襲ったりすれば話は別ですが。
このように自然界にはその種の適正個体数が存在します。特定の種が増えすぎますと、その天敵が現れたり、何らかの理由で病気にかかったり、集団自殺のような行動に走ったりします。ただしこの法則に当てはまらない種が1つ存在します。それは人間です。人間だけが唯一科学技術や医学の進歩とともに数を急激に増やしてきました。そして現在80億を突破しました。
しかし、そのような人間にも人口増加のピークが見えてきたようです。専門家によれば、日本だけでなく先進諸国の出生数が減少し始めています。最大人口の中国が人為的な政策も影響し人口減少に転じており、総人口はインドに抜かれています。また隣国である韓国の出生率は0.7未満となっています。
この現象をどのように考えるかは人により異なりますが、地球の生命体である種の人間だけが唯一例外であるとは言い難いでしょう。もし人間が知恵を出して意図的に人口抑制をしなければ、新コロのような、さらに致死率の高い病気が猛威を振るって人口を減らすか、大規模な戦争が起こり、人口が半減するような事態が発生するかもしれません。このような予測は誰でも考えられます。
今後5年、10年で、世界は大きく変貌して行くことでしょうが、私たちが知恵を出し合い、懸命に希望ある将来を描きませんと悲惨な未来が待つことになります。将来の子供たちにこの星を残してあげるために、行動するのはです。
#484 デジタルドラッグ
今週末は久しぶりの晴天に恵まれました。昨日は必要な本を探しに隣接する荒尾市のグリーンランド近くにあるYouMeタウン内の紀伊国屋書店まで自転車で行ってきました。当塾から自転車で50分ほどかかりますが、サイクリング気分で時々出かけます。バスでも行けますが、グリーンランドから歩いて10分以上かかり、バスの待ち時間を考慮すると時間的にはそれほど変わりません。1,2か月に1回程度気分転換に出かけることにしています。福岡市のジュンク堂や紀伊国屋、丸善と比較して圧倒的に書籍数は少ないですが、紀伊国屋荒尾店は英語の書籍に関して大牟田近郊で一番種類や在庫が多く、大牟田市内で入手できないような本が購入できます。
さて、前回のブログでスマホ中毒に関して述べましたが、その内容が気になっていましたので、著者の川島隆太氏の本(「スマホ依存が脳を傷つける」宝島新書)早速を入手して、彼の主張する意見を考えてみました。この本の前書きに次の一節が記されています。
----------
私は脳学者して、さまざまな装置を使って人間の脳活動を測定し、可視化することで、社会に役立つ情報を発信する活動を活動を長年行なってきました。とくに子どもたちの脳がよりよく発達するためには、何が必要かといった研究に力を入れてきました。
しかし、近年研究の中で子どもたちの脳の発達が「あきらかにおかしい」と思える結果が数多く確認されるようになりました。
私たちが最初にそのことに気づいたのは、東北大学加齢医学研究所と仙台市教育委員会が共同で行っている「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」での追跡調査からです。そこで10年間子どもたちの生活習慣と脳の発達を調べて結果、スマホやタブレットをたくさん使う子供たちの学力が妙に低く、また脳の発達に遅れが出ていることがわかりました。
この衝撃的な結果から、私たちはなんとしてでも、子どもたちの脳を守らなければならないという思いを抱き、スマホなどのデジタル機器、オンラインによる学習やコミュニケーションのリスクについて、複数の書籍や講演などを通して警鐘を鳴らしてきました。(同書p2-3)
----------
上記のように著者の危惧が本書のいたる所で見られます。それらを引用するには莫大な量になりますので、目次のみ引用します。
「スマホ依存が脳を傷つける」川島隆太著(宝島新書)
第1章:世の中に蔓延するスマホ中毒
スマホに生活を乗っ取られていませんか
デジタルデトックスには相当強い意思が必要
大人の発達障害、ADHDの増加もスマホのせい
第2章:スマホが脳に及ぼす悪影響
スマホ漬けで人間の脳は猿になる
スマホは脳の報酬系回路を刺激し続ける
オンラインコミュニケーションには心がない
スマホを使いこなしても脳力は上がらない
第3章:とくに子どもの脳が危ない
デジタル生活では子どもの脳は育たない
スマホが子どもたちの脳を破壊している
こんなスマホ習慣は今すぐやめさせなさい
第4章:スマホ依存がもたらす心身の不調
誰もが依存してしまう怖さ
原因不明の心身の不調はスマホを疑え
スマホが生活習慣病・認知症を増やす
第5章:壊れた脳をどう再生していくか
「脳が壊れる」とはどういうことか
人間の脳が持つ素晴らしい能力
壊れた脳は何歳からでも再生できる
アメリカで始まった4週間強制プログラム
第6章:川島流、スマホ依存からの離脱方法
脱スマホをどう始めるか
ステップ1 スマホ漬けの生活に気づく
ステップ2 脱スマホルールをつくる
ステップ3 積極的に脳を使う活動を増やす
第7章:リアルな交流や趣味で脳を元気に
リアルなコミュニケーションが脳を元気にする
趣味でワーキングメモリーを鍛える
体を動かして脳を活性化する
デフォルトモードオンでひらめく脳をつくる
第8章:スマホのここが気になる!Q&A
----------
スマホ・リスクについて関心がある方には必読の1冊と思います。個人的な経験として、ワープロを使いだすと漢字を忘れる傾向が出てきます。このことは大脳皮質があまり働いていないことと関係があります。前回のブログでも述べましたが、ChatGPTやAIに頼り過ぎると、人間の脳は退化することになります。そして支配する者(スマホやプログラムを作る者)と支配される者(一般大衆)の間に深い格差が生じることになります。大衆は刺激を求め、それに邁進し、物事を深く考えなくなります。換言すれば、刹那的な生き方を求めることになります。人間的な生き方を希求する人にとり、人間らしい生き方とは何かを、今一度考える時期に来ています。ちなみに、本日のブログタイトル「デジタルドラッグ」とはデジタル機器に中毒(ドラッグ)になっていることを意味します。第2のルネサンス(人間復興)を起こすのは今です。
#483 スマホ中毒
4月末から3週間ほど週末毎に雨天が続きましたが、やっと本日晴天となりました。そこで午前中は当塾の庭の草取りを行ない、大型ビニール袋3つの分量となりました。油断しますとすぐ雑草が茂ります。冬には枯れてしまいますので、しばらく草取りしなくてもいいのですが、これからは草取りを怠りますと、すぐに雑草林が生じてしまいます。毎年ながら、うんざりする仕事ができてしまいます。晩秋になるまで自然との闘いがしばらく続きます。
さて、最近何かと話題になる携帯電話・スマホですが、様々な意味で社会に大きな影響を与えています。スマホに関する書籍が10冊以上も出されています。そのような中で、実際どのような影響があるのか具体的に述べている記事がありましたので、かなりの長文ですが、本日はそれを転載します。
----------
『「節約」どころか時間をドブに捨てている…動画を倍速で見る人の脳に起きている「スマホ中毒」の恐怖』
<スマホはほどほどでやめられないようにつくられている>
スマホなどのデジタル機器は、生活を補助する道具として長時間使いすぎないようコントロールして利用するならば、大きな問題は起こらないでしょう。しかし、なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとしで、やりすぎによってさまざまな弊害が起こるのです。
「じゃあ、ほどほどでやめればいいのね」と思うかもしれませんが、スマホやタブレットのやっかいなところは、ほどほどにできないようにつくられていることです。
たとえば、ちょっとスマホで調べものをしようと思ったとき、目的の検索が終わったらすぐにスマホの電源をオフにできますか?
検索している途中で、気になる動画や別の記事を見つける。そこにLINEのメッセージが飛び込んでくる。そうなると、新しい通知にどんどん気持ちが引き込まれていきませんか?
そしてあげくの果てには、最初に何を検索していたのかも忘れているでしょう。
<利用しているようでスマホに「利用されている」>
みなさんは、動画すら、真剣に1本ずっと見続けることができなくなっていることにお気づきでしょうか。YouTubeのような動画共有プラットフォームは、ひとつの動画を見ているあいだもワザと気が散るようにできています。
なぜなら、コロコロいろいろなところに飛んでもらったほうが、新しい広告がバンバン上がって、チャリンチャリンとお金が入るしくみになっているからです。要するに、ひとつの動画を長時間視聴されてもお金にならないので、気が散って依存しやすいように、みごとにつくられているというわけです。
スマホを見ている人は、その都度、自分の意思で情報を選択していると思っているかもしれません。しかし、じつは「中の人」に操られている状態なのです。
<現代人の集中力を削ぐ「スイッチング」>
自分の意思とは関係なく、見ている画面がコロコロ変わり、何かひとつに集中しようとしても、情報の割り込みが入り、注意が別のものにいってしまう。このような行為をくり返し、ひとつのことに集中する時間が極端に短くなる状態を、心理学の世界では「スイッチング」と呼んでいます。
スイッチングをくり返し行っていると、注意力が散漫になり、集中力がどんどん短くなることがあきらかになっています。
このことは、じつはスマホが登場するずっと前から指摘されていました。
大きなきっかけは、1995年にWindows95という、容易にインターネットに接続できる機能を備えたパソコンOSが登場し、メールの着信などがリアルタイムで通知されるようになったことです。ほどなくして、パソコンで調べものやレポート作成をするアメリカの大学生のあいだで、本来やるべき作業を中断し、別のことを始めてしまうという現象が起こり始めました。
その後、2000年代にFacebook、TwitterなどのSNSが登場すると、情報の割り込みはさらに加速し、学生たちの集中力低下が問題視されるようになりました。
そこから、アメリカの大学生たちに対する観察研究が始まり、パソコンで宿題をしながらFacebookを使っている学生たちは、学業成績が下がり、睡眠障害やうつの症状が出やすいということも報告されています。
<スマホを持つだけであらゆる能力がダダ下がりする>
つまり、スイッチングによる悪影響はもう20年以上前から言われていることなのです。明確な悪影響が指摘されているにもかかわらず、デジタル機器は排除されず、よりコンパクトなスマホやタブレット端末に進化して、私たちの生活に浸透し、生活必需品として君臨してしまいました。
その結果、人の行動がどう変わったかといえば、スマホなどを持っているだけで、いろいろな能力がダダ下がりするようになりました。
じつは画面を見なくても、スマホを持っているだけで気が散り「成績が下がる」「集中できない」「読解力が落ちる」という心理学的なデータが明確にあります。
女性の場合はあまりないかもしれませんが、男性はよくスマホをズボンのポケットに入れておくことがあります。そうすると、着信が入っていないにもかかわらずブルブルっと震えたような感覚が起こる人がいます。これは、幻想振動症候群(ファントム・バイブレーション症候群)と呼ばれていますが、そんな錯覚が起こるほど、スマホの通知に脳が過敏になっているのです。
<「パブロフの犬」と化したスマホ依存患者>
なぜ人は、スマホの通知にここまで敏感に反応し、のめり込んでしまうのでしょうか。それは、LINEなどのインスタントメッセンジャーやSNSがコミュニケーションツールであり、人の気持ちを惹きつけやすく、麻薬的な中毒性、依存性が起こりやすいところに起因します。
LINEなどでやりとりされる文章は、非常に短く、ときに絵文字やスタンプのみという場合もあります。それゆえ、短時間に多くのやりとりがくり返され、通知が届く回数も多くなります。その行動を続けた結果「通知が来たら見る」という反射ができてしまうのです。
反射ができると、メッセージなどの内容にかかわらず、通知が来るだけで反応するようになります。やがて、通知が来ないときも「いつ来るかな?」と期待して集中力が散漫になります。
ロシアの生理学者、イワン・パブロフが、犬にエサを与える直前にブザーを聞かせることをくり返し行ったところ、やがて犬は音を聞いただけで唾液を垂らすようになったという実験の話を聞いたことがある人も多いと思います。
いわゆる「パブロフの犬」と呼ばれる「条件反射」の実験ですね。それと同じ反射のメカニズムが、みなさんの脳内にできてしまっているということです。
<スマホの通知でもドーパミンが放出される>
しかも、この反射は予測がはずれたときに、より強化される場合があります。たとえば、「どうせ広告の通知だろう」と思ってスマホを見たら、恋人や片思いの相手からのメッセージだったといった場合です。これは、非常にうれしいし、ドキドキするでしょう。
このように期待していなかったよいことが起こると、脳の深い部分にある報酬系回路が強く刺激され、ドーパミンが放出されます。
ドーパミンは快楽や幸福感をもたらす神経伝達物質です。人がイキイキと意欲的に生活するうえで欠かせないホルモンのひとつですが、大量放出によって依存症を引き起こす場合もあるのです。
たとえば、競馬やパチンコなどのギャンブルで大当たりを出すと、大量のドーパミンが放出され、快楽を感じます。そして、またこの喜びを味わいたいという気持ちから、どんどんギャンブルにハマりギャンブル依存症になるといった具合です。
ほかにもドーパミンを活発にする作用があるものとして、アルコールや薬物があげられます。そしてスマホも、これらと同じメカニズムで依存症を引き起こすのです。
<カナダ人の成人の2割は「金魚と同じ集中力」>
常に通知が気になり、ソワソワしていたら、生活面でいろいろなパフォーマンスが落ちるであろうことは容易に想像できるでしょう。
とくに、スマホにかかわればかかわるほど、集中力はどんどん落ちていきます。
みなさんは、「スマホを見ているときは集中している」と思っているかもしれませんね。しかし、スマホを見ながらも、結局はアプリのスイッチングを頻繁に行っており、まったく集中できていないのです。
カナダのマイクロソフトが2015年に調査した結果によれば、カナダ人の成人のうち2割が、わずか10秒しか集中できず、「金魚などと同レベルの集中力」であることがあきらかになりました。マイクロソフトは、そのおもな原因をICT(情報通信技術)やソーシャルメディアの活用によるものと結論づけました。
しかしこれは「ICTやソーシャルメディアと適度な距離を置こう」といった啓発のために発表されたものではありません。恐ろしいことに、マーケティング戦略向けのプロモーションに使用されたデータなのです。要するに、「現代人は集中力がないので、ネット広告は10秒以内でつくりましょう」と企業などに指南しているわけです。まったく「不都合な真実」と言わざるを得ません。
気が散って集中力がなくなると、ひとつのことにじっくり取り組む忍耐力がなくなります。その結果、学校の授業や人の話をじっと聞いていられないといった行動があらわれます。
<「倍速で動画を見る人」は等速で見るだけの集中力がない>
最近は、時間の節約と称して動画の倍速視聴をされる方もいるようですが、じつはこれも集中力が衰えているサインです。
「等速ではダラダラして見ていられない」「倍速のほうが集中できる」という人は、倍速にしないと集中できないほど、集中力が落ちていると思ってください。
心理学的にみると、動画を倍速で見るという行為自体には大きな問題は起こりません。ただし、見たコンテンツはほぼ記憶に残らず、倍速で見るくらいなら見ないで別のことをしたほうがましです。要は、時間の節約ではなく、時間の無駄です。
新型コロナウイルス感染症の流行以降、大学でもビデオ講義が増えました。それを倍速で見ている学生もいると聞くと、やるせない気持ちになります。それで「効率よく勉強している」とでも思っているのでしょうか?
また、最近は「本の要約動画」なども流行っているようですね。しかし、本を読まずに、要約した動画を見るなんてことも、胸を張って言わないほうがいいでしょう。「活字を読むのがつらい。でも動画やテレビなら見られる」って、それは2歳、3歳の幼児と同じということですよ。
( 川島 隆太(かわしま・りゅうた) 東北大学加齢医学研究所教授)
https://president.jp/articles/-/69035
----------
上記の記事が事実であるとすれば、スマホを持つ人は十分注意する必要があります。確かにバスや電車の中でスマホをいじる人の多さに驚かされます。また歩きスマホなど注意散漫で歩く人も散見されます。スマホは便利な道具ですが、老若男女に関わらず心を完全に占領されるような害悪もあります。それを認識してスマホを利用したいものです。えっ、私ですか?私はまだガラケーです(笑)!
$482 Take Time
今日は5月7日、ゴールデンウィーク最終日です。今年の5月連休は5連休または9連休を多くの人が楽しみました。コロナ終了に伴い、国内外を問わず多くの人が旅行を楽しんだようです。中には3年ぶりに帰省し、田舎の生活を親しんだ方もいます。しかし、今年の連休は毎日雨天で、行楽地に出かけた人は雨対策が必要だったことでしょう。ここ大牟田でも4日から雨が降り始め、昨日からは断続的に大雨が降り続いています。皮肉にも明日からしばらく晴天が続くようですが、せめて数日間は連休中に晴れて欲しかったと思います。
いよいよ明日からまた忙しい日常生活が始まります。7月まで祝祭日がありませんので、およそ2か月間梅雨を挟んで普段の日常生活が続きます。ストレスを溜めないように、適度にリラックスしながら仕事に勉強に頑張りましょう。
さて、今日のブログ・タイトルですが、「Take Time」 とは私がずいぶん以前に福岡雙葉学園の母体である「幼きイエス」修道会のシスターから頂いた詩篇のタイトルです。当塾の教室の壁に飾っているのですが、時々何気なく目にしています。ところがその詩篇を昨日じっくりと読み直してみますと、そこに真理が隠されているのに気づかされましたので、ここにご紹介します。
----------
Take Time 時間をかけなさい
Take time to think, 時間をかけて考えなさい
it is the source of power. それは力の源(みなもと)である
Take time to play, 時間をかけて楽しみなさい
it is the secret of perpetual youth. それは永遠の若さの秘訣である
Take time to read, 時間をかけて本を読みなさい
it is the foundation of knowledge. それは知識の基(もと)である。
Take to to pray, 時間をかけて祈りなさい
it is the greatest power on earth. それは地上における最大の力である
Take time to love and be loved, 時間をかけて愛し、愛されなさい
it is the sacrament of life. それは人生の秘跡(恩恵)である
Take time to be friendly, 時間をかけて人に優しくしなさい
it is the road to happiness. それは幸福への道である
Take time to laugh, 時間をかけて笑いなさい
it is the music of the soul. それは心の音楽である
Take time to give, 時間をかけて人に与えなさい
it is too short a day to be selfish. それは一日は短すぎて、さもしくなれないことである
Take time to work, 時間をかけて働きなさい
it is the price of success. それは成功への代償である
Take time to do charity, 時間をかけて慈善活動をしなさい
it is the key to heaven それは天国への鍵である
(日本語訳は拙訳です)
----------
上記の詩篇の出典をネットで調べてみましたが、作者不詳とあります。おそらく誰か(何か)の祈りの言葉を参照したものと考えられます。私たちは日常生活をあまりにも慌ただしく過ごし、まるでロボットのように単調に毎日を繰り返します。気づいた時にはすでに遅く、人生の黄昏に一人佇んでいます。そうならないように、一度立ち止まり、今までの人生を時間をかけて振り返り、今後の生き方を考えるのも一考でしょう。
全く同じ人生はありません。各自にふさわしい人生を私たちは歩んでいるのです。雨の一日にふと考えてみました。
#481 週休3日制
昨日からゴールデンウィークが始まり、5月1日、2日を休みますと9連休になります。またコロナが落ち着きを見せており、行楽地はコロナ前の賑わいを見せています。さらに海外からの観光客も増えており、特に東京の宿泊施設は予約が取れない状況が続いています。旅行業界にとって嬉しいことですが、オーバーツーリング(観光客の増えすぎ)の懸念もあります。観光客の異常な増加もそこで暮らしている地元の人々にとっては考えものです。
ところで、最近話題になっているのは「週休3日制」の導入です。ひと昔の日本では考えられなかったことですが、公務員を中心に真剣に導入を考慮しているようです。その一因として人口の減少により、自治体や民間企業で必要な人員の採用不足があるようです。そのような状況下で1年前の記事ですがDIAMOND
online に面白い記事がありましたので、かなりの長文ですが転載します。
----------
『週休3日制が定着したら「損する人」も、得する人との運命を分けるものは?』
<「週休3日制」で日本の生活は良くなるのか?>
4月18日にパナソニックホールディングスが、2022年度内に週休3日制の試験導入を開始すると発表しました。欧州企業では導入が目立つ週休3日制ですが、いよいよ日本でも本格的に取り入れられることになるのでしょうか。
すでに日本の大手企業では昨年、みずほフィナンシャルグループが週休3~4日の社員制度を導入したほか、複数の大企業でも導入の動きがあります。一方で「試験的」や「業務によって」といった制限がある企業が多く、企業内のすべての職場が週休3日になるイメージがまだ湧かないという意見もあります。
海外の事例を見ると、週休3日制を本格導入するやり方には2通りあるようです。一つは1日の労働時間が同じで単純に週4日勤務になる方式で、要するにフルタイム勤務では週40時間から32時間に業務時間が減る形です。
もう一つが、1日の労働時間を10時間に増やしたうえで週休3日にするケースです。8時間労働で週5日働く場合と、10時間労働で週4日働く場合のどちらも、1週間の労働時間は変わらず40時間になります。さて、週休3日制の導入と聞くと、一般的に次の三つの心配が頭をよぎるようです。
(1)そもそも、そんな働き方が自分の職場で成立するのか?
(2)仕事が今よりも大変になるのではないか?
(3)週休3日になることで、収入が今よりも減るのではないか?
週休3日制が導入されると、わたしたちの生活は今よりも良くなるのでしょうか? それとも、上記の不安が現実化する悪夢が待っているのでしょうか? 今回はそのことについて考察してみたいと思います。
ちなみに先に私の見立てをお伝えしておくと、一部の懸念は悪い方に現実化すると思いますが、日本人にとっては良い結果になることも多いのがこの週休3日制だと考えます。
<週休3日制で追い詰められるのは部下ではなく、実は上司>
さて私が知っている欧州の会社の場合、週休3日制で週40時間労働に切り替えたことで、朝7時に勤務開始時間が早まって退社時刻はこれまでと変わらない形になりました。この方式だと、冬の場合まだ周囲が暗いうちから社内会議が始まることになります。しかし、やってみた本人から見ると、一日10時間勤務自体はそれほど負担ではないと言います。
私が聞いた話をまとめると、これまでと勤務時間は変わらない。ただ全体的に生産性は良くなったというのです。
理由は二つあって、一つは週末に子どもや家族、友人などと過ごせる日が1日増えたことで精神面のゆとりができたことと、会社全体で無駄な仕事を減らす方向に力学が働くことになったからだといいます。
前者は分かります。後者について補足すると、要するに週4日で業務を終わらせなければならない状況から、残業のマージン(余地)のようなものが減ったそうです。そのため、一人一人が生産性をより強く意識するようになったということらしいです。
この話は、1番目の「そもそもうちの職場でそんな働き方が成立するか?」という疑問への答えにもなっています。
無駄な会議が多く、だらだらと働く人が多い職場。そのうえ、上司が部下が残業を断れないのを前提に仕事を振って、「明日の朝までにこの資料仕上げておいて」みたいに無茶な指示を出す職場なら、週休3日制など一見導入できないかもしれないと最初は思うでしょう。
しかし、週休3日制を会社が導入すると決めると、実は追い詰められるのは上司の側です。「少ない時間で同じ量の業務をどのように終わらせるか」を考えなければいけないのは上司だからです。すると、無駄な会議を続けていたり、手戻りが起きたりするような無茶な指示をなるべく出さないようにしなければいけなくなる。
結果的にそれが働き方改革を促す圧力になるという点で、「そもそも週休3日なんて成立しない」と思える会社でも制度を変える意味は出てくるようです。
<日本人は世界と比べて長く働き、生産性が低い>
このように週休3日制を働き方改革と一体で捉えると、そもそもの問題点も見えてきます。OECDが公表している先進国同士の労働時間の横比較(2020年調査)を見ると、日本人男性の1週間の労働時間は53時間と他の国よりも飛び抜けて多いことが分かります。
冒頭で「1日8時間で5日間働くと週40時間労働」という話をしましたが、先進国はおおむね、この水準よりも少ない労働時間に収まっています。アメリカが週37時間、ドイツが週34時間、フランスが週27時間という具合です。
ちなみに、「なぜ男性の労働時間で比較するの?」という疑問が湧くかもしれません。実はわが国では男女の間で労働環境に大きな差があります。統計を取ると女性のパート比率が非常に高く、そのうえ税法や社会保障制度に起因する「103万円の壁」や「130万円の壁」が存在するせいで、女性の労働時間が欧米よりもずっと短くなるのです。
そのことで結果として、男女平均を取るとOECD加盟国間の横比較でもそれほど恥ずかしい数字にならなくなるというからくりがあるので、男性だけの労働時間を比較しないと日本のフルタイム従業員の労働環境の実態が見えてこないのです。
そして、週当たりの労働時間の逆数をとると、今度は加盟国間の生産性の違いが見えてきます。アメリカは日本よりも労働生産性が1.4倍高い、ドイツは1.6倍高い、フランスは1.9倍高いということが数字から見えるのです。仕事に勤勉なドイツ人が日本よりも1.6倍生産性が高いという数字に、日本人は大いに反省すべきでしょう。
<日本が週休3日制に踏み切るには「外圧」が必要>
このOECDの横比較から、日本企業は生産性を上げる余地がまだかなりあるということが分かります。背景として、日本にはそもそも無駄な会議や無駄な仕事に問題意識を持たない社会文化があります。さらに、デジタルに疎い経営者や管理職が多いという実態もある。これらを打破するには、制度そのものを変えていかなければならないという制約があります。だからこそ、状況を変えるには外圧が有効です。
コロナ禍で日本企業が一斉にリモートワークを導入できたのはこの外圧で、もしコロナがなければ今でもほとんどの企業では管理職が、「zoom会議? だめだめそんなもの。会議は会議室でやるものだ」と主張していたことでしょう。日本政府や経団連のような組織が「週休3日制に踏み切る」と圧力をかければ、各企業も真剣に週休3日が成立できるように頭をひねらなければならなくなります。週休3日制が外圧になれば、日本の職場は変わらざるをえないのです。
<のんびり働いていた企業は仕事内容が厳しくなる>
さて、ここまでは良いことばかりですが、不安も残ります。そしてそれらの不安の一部は現実化するでしょう。
まず2番目の懸念ですが、これまでのんびりと仕事ができていた企業では、生産性が上がることで仕事の内容が厳しくなる可能性があります。
古い話なのでできれば笑い話として聞いていただきたいのですが、1987年にJRが誕生した当時、JRの社員の方が、「いやあ大変です。国鉄時代の3倍も働いていますよ」とおっしゃっていました。しかし、コンサルが調べてみたら、民営化後も私鉄とは生産性が倍違っていた。本当は6倍忙しくなる余地があったのに、大組織の内部にいるとそれに気づかないものです。
週休3日制導入の裏の効果が生産性向上であるとすれば、当然、業務が効率化していく方向に力が働きます。会議の出席者数は本来必要な人だけに減るでしょうし、無駄な書類は作らないようになるわけです。
それは会社にとっては良いことなのですが、実はこれまで無駄な会議で発言もせずに座っていることが許されていた人は、「会議に出ずに他の仕事をちゃんとしろ」と命令されることになるわけで、当然仕事は以前よりもきつくなります。つまり、組織全体で「なんとか週4日間働いて家に帰ろう」とする未来では、当然のように今よりも仕事の密度は上がるのです。
<週休3日制で「収入減の未来」がやってくるかもしれない理由>
もうひとつの懸念が「週休3日制だと収入が減るのではないか?」というものですが、これも実は懸念通りの未来がやってくる可能性があります。そもそもの世界経済の大問題として、AIが進化することでDXが進み、人間のすべき仕事が減少していくという未来予測が存在します。
これは経済学的には、ある会社での仕事は減るだろうけれども、イノベーションが起きることで別の産業が勃興してそちらで新しい仕事が生まれると説明されます。しかしそれを労働という側面で見れば、既存の勤務先では仕事が減るので、他の副業を見つけなければいけない未来がやってくることを意味します。
日本の労働法規では、一度雇用した正社員はクビにすることができません。多くの大企業が中高年の社員をリストラしたほうが利益は上がると分かっていても、会社が傾かない限りはそこに踏み込めないのは法律の壁があるからです。
ところが、勤務時間を減らすだけなら実質的なリストラ効果が生まれる可能性があります。これまで週40時間働いていた正社員の勤務時間の定義を、週32時間に変更することで給与水準を20%カットできる可能性が出てくるわけです。
このあたりの議論はこの先、どのような法律にすべきかが国会でも議論されていくことでしょう。ただ企業の競争力ということを考えると、この問題についてはある程度、大企業側の要望を社会は受け入れざるをえないのではないでしょうか。
最後に、一部の日本人にとっては都合が悪い話をして終わりましょう。実はOECDの労働時間比較には、家事にどれだけ時間を費やしているのかの横比較も存在しています。日本人男性の場合、会社で勤務する時間が長すぎる関係で、先進国の比較で見ると圧倒的に家事を手伝っていない傾向が見られます。
もし週休3日制が定着すると、もうそんなことは許されないでしょう。「家事は家族で分担する仕事」という、当たり前の未来も到来する。それが週休3日制の日本社会に対する一番の貢献になるのかもしれません。
(https://diamond.jp/articles/-/302449)
----------
日本人にとって「週休3日制」は「働くとは何か」という命題を提起させる内容です。欧米社会では「労働」は生活費を稼ぐための手段であり、「労働時間は短く、収入は多く」が当然です。しかし従来の日本人は「仕事を通して自己研磨する」という考えがあり、ただ収入を得るだけでなく、仕事を通して自分を磨く意味合いがあります。
そこに日本人の勤勉な性格が表れていますが、日本が欧米社会のようにバカンス中心の世の中になれば、今以上に生産性が低下し、ますます先進諸国から取り残されて、さらに貧困国になり下がってしまうでしょう。
果たして「週休3日制」が日本社会にふさわしいか否かは私たちにとって大きな課題となるでしょう。政府もリスキリング(副業のための技能を身につけること)を提唱し始めていますが、「週休3日制」への布石だと考えざるを得ません。企業側も副業を認めることで、「週休3日制」を導入しながら、従業員の賃金を抑制できるので、一石二鳥となるのではと危惧します。「週休3日制」がこの国に必要か否かは国民全体のコンセンサス(同意)が必要となることでしょう。
#480 ¥に注意しましょう
四月も下旬となり、快適な日々が続いています。ほんの数日前までは真夏のような気温が続いていましたが、ようやくこの季節らしい爽やかな気候となってきました。各地で様々な春の花々が咲き乱れ、特に藤の満開が人々の関心を呼んでいます。
さて、とんでもない案件が生じています。私もよく通販で本や生活必要品を購入しますが、当然代金は日本円で払います。ところが、この日本円¥が誤解を招いているのです。最近生じた¥の誤解に次のようなものがあります。
----------
『その「¥」表示は本当に日本円?国民生活センターが注意喚起』
買い物をする時に通販サイトを利用する機会は増えています。しかし、トラブルも……。国民生活センターは4月19日、「その『¥』表示は本当に日本円の表示ですか?-通貨をよく確認しないと約20倍の価格になってしまうため要注意!!」と発表。公式Twitterでも注意喚起を行っています。
<日本円、中華人民元ともに通貨記号が「¥」>
国民生活センターの発表によると、欧文の文字を美しく書く技法であるカリグラフィーのガイドブックなどを「Calli-Calli」という通販サイトで、「『¥』表示を見てクレジットカード決済で申し込んだところ、日本円(JPY)ではなく中国人民元(CNY)で決済。「約20倍の価格で購入したことになっていた」という相談が複数寄せられているそうです。
そこで問題の通販サイトを国民生活センターが確認したところ、「消費者が画像共有SNS上の広告を見て、通販サイトで申し込みを完了するまで」の画面では、「¥」表示が中国人民元(CNY)であるとの注意書きなどは確認できなかったといいます。この通販サイトは日本語で表示されているため、「日本の消費者が『¥』表示を日本円(JPY)であると誤認して申し込んでしまう」と結論づけています。
<問題点は4つ>
国民生活センターが挙げる今回の問題点は4つ。まずは「『¥』表示が中国人民元(CNY)であることがわかりにくい」。次に「消費者が契約の取消しを主張しても販売業者から返信が無く、代金も返金されない」こと。「通販サイトに販売業者の名称や住所、電話番号などが表示されていない」ため、「当該販売業者と連絡が取れない」ことが挙げられています。
<カード会社に相談も>
消費者へのアドバイスとしては、「『¥』表示が日本円(JPY)なのか、中国人民元(CNY)なのか、通販サイトを隅々まで確認する」こと。そして、「販売業者との交渉による解決が困難な場合はクレジットカード会社に相談する」ことを紹介しています。
最後に「不安に思った場合や、トラブルが生じた場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等へ相談しましょう」と呼びかけています。公式Twitterでは「困った時は、消費者ホットライン『188』に電話!」と紹介しています。
<「calli-calli」のサイトを検索してみた>
実際のところどういう表記がされているのか、編集部のパソコンで検索してみました。するとパソコンに入れていたセキュリティソフトの警告が表示され、検索結果の一覧では「このウェブサイトは危険です」の表記。そして検索結果を開いてみると、「お待ちください。このウェブサイトは危険です これはフィッシングサイトです。機密情報(パスワード、クレジットカード番号など)を盗もうとする偽サイトです。サイトを完全に回避することをおすすめします」というより強い警告表示が。
すでにセキュリティソフト側では対策しているようなので、記者が使用しているソフトに限らず対策ソフトを導入している人には同じように警告が出る可能性があります。なお、さらに調べたところ問題のサイトはすでに消えているもよう。
消えているのだから一安心、と言いたいところですがこの手のサイトは「消えては誕生」を繰り返すもの。違う名前で新たにできる可能性が高く、引き続きのさらなる警戒が必要です。
(https://otakei.otakuma.net/archives/2023042006.html)
----------
ここまで巧妙な罠が仕掛けてあるとは困ったものです。特にメルカリなどのサイトで購入する場合には充分注意する必要があります。また通販で代金を払ったにもかかわらず商品が送ってこなかったり、表示とは全く異なるものが送ってきたりする案件も生じています。確かにネット通販は便利ですが、その利用は慎重に行なう必要があります。「オレオレ詐欺」のように悪い輩は次々悪知恵を絞って新たな罠を仕掛けてきます。充分注意しなければなりません。
#479 大谷翔平への公開状
プロ野球の開幕が始まり2週間ほど経ちましたが、地元ソフトバンクホークスはしっかり首位をキープしています。昨年度は最終戦で優勝を逃しましたが、今年こそはリーグ優勝を果たしてもらいたいものです。またアメリカでもWBCで大活躍した大谷翔平選手が投打に活躍しています。今年はFAのうわさですでに話題沸騰しています。そんな中、ラブレターとも言えるような公開状がレッドソックスから出されました。大谷選手はこの手紙にどう対処するのでしょうか。
----------
『レッドソックス担当記者が大谷翔平に異例の公開レター「ボストンの子供たちを笑顔にしてください」』
ボストングローブ紙のピーター・エイブラハム記者が15日(日本時間16日)エンゼルスの大谷翔平宛てに「ボストンの環境は完ぺきで、もう一人の二刀流を迎え入れる準備ができている。FAになったらぜひレッドソックスに来て、子供たちを笑顔にしてください」と異例の公開状を送っている。
公開状/OPEN LETTERとは、多くの第三者に読まれることを意図した手紙だ。「親愛なる翔平へ」に始まり、現在ボストン滞在中の大谷に「ボストンでの週末を楽しんでください。4月の天候は良く、東海岸のアナハイムです。あなたはオフにフリーエージェントの資格を得ますが、ボストンはホームと呼ぶのに素晴らしい場所。想像してみてください、フェンウェイパークで大谷翔平がプレーする。最高の野球場に最高の野球選手です」と続けた。
レッドソックスは大谷が高校を卒業する12年も、メジャーに移籍する17年も熱心に勧誘したが、獲得できなかった。「あなたが目を通したかどうかはわかりませんが、(17年)レッドソックスは代理人を通して二刀流としての育成プランを詳細に記した計画書を送り、レッドソックス時代二刀流だったベーブ・ルースと比較しています。ヤンキースはルースに投げさせませんでした。先日、アレックス・コーラ監督はあなたをどう起用するかを書いたEメールを(6年経った)今でもキープしていると話していました。それくらいコーラ監督はあなたを使ってみたいと思っていた。あなたのWBC決勝戦での活躍にも印象付けられています。“世界中のすべてのアスリートに敬意を表した上で、大谷翔平こそが最高のアスリートだ。彼のやっていることはすごい”と話していました」
加えて、大谷の「勝ちたい」という願望にも訴えかける。「レッドソックスは2018年以降世界一になっていません。ボストンのスポーツファンにとっては苦しい干ばつです。4歳の子供は優勝したシーズンにはまだ生まれていなかった。かわいそうな子供たちについて考えてあげてください。彼らには優勝パレードが必要。あなたは彼らを笑顔にできます」。そしてお金。ハイム・ブルーム編成本部長はザンダー・ボガーツなど高給の選手を引き留められなかったことで、地元ファンの袋叩きにあっているが。「お金はあります。ブルーム編成本部長が高給の選手を外していったおかげで、24年シーズンはぜいたく税の基準額まで1億ドルも余裕があります。好きなだけ取ってください。あなたの努力のたまものです」とした。最後は「記者会見で空港での迎えが必要ならお知らせください」と結んでいる。
(https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/04/16/kiji/20230416s00001007148000c.html)
----------
大谷選手ほど日米ともに毎日話題に上る選手はいないでしょう。確かにイチロー選手は偉大な選手でしたが、大谷選手は二刀流で、ベーブ・ルースさえも成し遂げなかった業績をすでに達成しています。(1918年ベーブ・ルース(当時レッドソックス)以来104年ぶりの2桁勝利&2桁本塁打に到達。さらに“本塁打と奪三振”では、ルースも寄せ付けない前人未踏の記録をマークした。)
そのような大谷選手がラブレターと言えるような公開状をもらったことは野球選手冥利に尽きるといっても過言ではないでしょう。彼がどのような記録を立てて今シーズンを終えるかによって、果たして何球団が大谷選手のFAを受け入れてくれるか今年の一大事です。願わくは体を十分いたわり、ベストの状態でいろいろな記録を打ち立て、最高の状態で今シーズンを終えてもらいたいと思います。様々な意味で彼は日本の誇りです。
#478 高木ブー
1970年代から90年代にかけて国民的人気のあったドリフターズですが、「8時だよ全員集合」や「ドリフの大爆笑」は今でもBS放送やスカパーなどで放送されています。特に「全員集合」では視聴率が50%を超えるお化け番組となり、当時一世を風靡しました。マンネリ化と言われつつも、多くの伝説を作ったコミック・バンドです。メンバーが次々に他界し、今では加藤茶と高木ブーのみが存命しています。その高木ブーさんが今年90歳を迎えました。ドリフターズ時代では演技が下手だとか、セリフが少ないとかマイナスのイメージが多かったのですが、彼がいなければドリフターズのイメージは半減したことでしょう。その高木ブーさんが最近次のようなコメントを語っていますのでご紹介します。
----------
『高木ブーが語る「90歳の野望」と「ドリフ第5の男への誇り」』
ザ・ドリフターズ歴59年、ウクレレ歴75年、雷様歴38年……。2023年3月に90歳を迎えた高木ブーは、今も現役のウクレレ奏者&コメディアンとして大活躍している。画集や自叙伝が続けて発売されるなど、ますます元気いっぱいのブーさんに「90歳の野望」を聞いた。(聞き手・石原壮一郎)
──卒寿おめでとうございます。90歳になったお気持ちは?
気がついたらいつの間にかなってた感じかな。90歳になっても、ステージでウクレレを弾いたりテレビでコントをできたりしているのはありがたいよね。不健康そうに見えるかもしれないけど、2ヵ月ごとに受けてる健康診断では、いつもお医者さんに「どの数値も素晴らしいです」とホメてもらってます。ホント、どういうことなのかな。
ただ、なる前は89歳も90歳もたいして変わらないだろうと思ってたんだけど、そこはちょっと違ってた。「よし、またここからがんばるぞ」っていう初心に帰るみたいな感覚があった。といっても、ことさら肩に力が入るわけじゃなくて、今までと同じように、自分にできることを無理せずやっていくだけなんだけどね。
──ザ・ドリフターズは加藤茶さんと2人になりました。
寂しいけど、こればっかりはしょうがない。加藤とも「俺たちががんばらなきゃな」と話してるんだけど、ドリフの魅力やコントの文化を伝えていくのは、自分たちの役割だと思ってます。ただ、加藤と僕の後ろには、長さん、荒井さん、志村、仲本の4人がついてくれている。今も一緒にやってるつもりなんだよね。
仲本がいなくなったあと、とうとう雷様も終わりかなと思ってたら、加藤が「雷様は続けたほうがいい。俺も手伝うから」って言ってくれた。お正月の特番『ドリフに大挑戦』では、ハゲヅラをして丸眼鏡をかけた青い雷様になってくれた。嬉しかったな。僕が雷様を大事にしているのを見てくれてたんだね。
──ドリフに入る前から、ミュージシャンとして長く活躍なさっていた。
活躍って言うと大げさだけど、高校時代からウクレレに夢中になって、大学生活もバンド一色で、そのままプロになっちゃった。「高木智之とハロナ・セレナ―ダス」っていうバンドを結成して、毎日のように関東の米軍キャンプを回ってました。立川の米軍の飛行場から軍用機に乗って、台湾やフィリピン、返還前の沖縄の米軍キャンプを回る「ワールドツアー」にも何度か行ったな。よく揺れたし椅子も硬くて、お尻が痛かったのを覚えてる。
その後、音楽の流行りに合わせて新しいバンドを結成したり、ジェリー藤尾さんのバンドに入ったり。20代は試行錯誤の連続だった。でも楽しかったな。ちなみに、ジェリーさんのバンドにオーディションを受けて入ってきたのが、仲本興喜(仲本工事)です。
──『8時だョ!全員集合』のコントでは、失礼ながら「なにもしない人」という印象でしたが、ご自身としての思いは?
ハハハ。そうだよね。でも僕は「ウケないことが高木ブーの存在意義」だったと思ってます。ドリフの最大の武器であり特徴は「5人いる」ということ。たとえば探検隊のコントで、隊長に言われてロープにつかまりながら川を越える場面でも、僕がどうにかうまくいって、仲本があっさり成功する。そのあとで加藤や志村がヘンなことをしたり失敗したりするから、大きな笑いになる。違う個性の5人がいるから立体的な話になるんだよね。
最初から加藤や志村が出てきて失敗しても、きっとあんまり面白くない。逆に、僕や仲本がヘンにウケるようなことをしたら、そのあとで加藤や志村がウケても、コント全体の面白さとしてはイマイチになっちゃう。高木ブーはウケちゃいけない。
「なにもしない人」というのも、僕にとってはホメ言葉です。さっきの探検隊の話だと、意外に難しいのが、自分が先に川を渡り終えた後にどうしているか。ただ突っ立ってちゃダメだし、目立つのはもっとダメ。たとえば志村が川に落っこちたら、ちゃんと驚いたリアクションを取る。でも、けっしてお客さんの目を自分に向けさせちゃいけない。
今でも覚えてるのが、長さんと藤山寛美さんの「松竹新喜劇」を見に行ったときのこと。隣りに座った長さんに「いいか、ブーたん、主役ばっかり見てるんじゃないぞ。見なきゃいけないのは、脇の役者がどういう動きをしてるかだ」と言われた。僕はドリフでは「第5の男」だけど、その役割に誇りを持ってます。
──80代後半からますます活躍の幅が広がっている。いくつになっても元気で、長く仕事を続けることができている秘訣は?
どうなのかな、自分ではよくわからないけど、のし上がってやるという野心とかがなくて、流れに身を任せてきたのがよかったのかもしれない。子どものころからだけど、目標を決めて突き進んでいくというよりは、楽しそうなことに飛びついたり、誰かに「いっしょにやろう」と声をかけられてついていったりということの連続だった。
人生は、思い通りにいくわけじゃない。僕も子どもの頃は空襲で家が燃えて何もかも失ったし、大人になってからも最愛の妻の喜代子さんを58歳の若さで亡くした。ドリフのメンバーとの悲しい別れもあった。だけど、そのときの自分にできることをしながら、前を向いて歩いて行くしかないんだよね。そうすれば何かに出会えるし何かが始まる。
──今年の2月にはハワイのフェスで演奏し、3月には2冊目の画集『高木ブー画集RETURNS ドリフターズよ永遠に』、つい先ごろは自叙伝『アロハ
90歳の僕 ゆっくり、のんびり生きましょう』も発売された。90代に向けての野望は?
僕の夢は、100歳まで現役を続けること。ウクレレ奏者としては、サザンの関口和之君や荻野目洋子ちゃんや野村義男君たちと一緒にやってる「1933ウクレレオールスターズ」の活動に、引き続き力を入れていきたい。去年は関口君に『パパの手』っていう久々の新曲も作ってもらったしね。
ドリフの高木ブーとしては、加藤とふたりで力を合わせて、若い人たちに「ドリフ」をどんどん伝えていきたい。画集も自叙伝も、僕がどうのじゃなくて、たくさんの人がドリフのことを思い出してくれたらいいなと思って出した。親御さんと読んで、テレビの前でドリフを見て一緒に笑っていた頃を思い出してもらえたら最高に嬉しい。
そうだ、孫のコタロウの結婚式でお祝いの歌を演奏するっていう夢もある。この春から大学生だから、僕が100歳まで元気ならあり得なくはないよね。なんてことを考えながら、これからもゆらゆらと流されていきます。90代の高木ブーも、よろしくお願いします。
(https://www.news-postseven.com/archives/20230409_1857729.html?DETAIL)
----------
高木ブーさんによると、欲がないのが長生きの秘訣だそうです。日本の芸能史上、「8時だよ全員集合」のような大道具・小道具に満ちた舞台設定は莫大な経費が掛かり、現在では無理です。当時でもワンステージで費用が200万から500万円かかったと言われています。CGがなかった当時はすべて生放送で、ステージを車が走り回ったり、滝の場面で水が天井から噴き出したりするシーンは特筆すべきものでした。
ドリフターズに興味がある方は「ドリフターズとその時代」(笹山敬輔:文春新書)の一読をお勧めします。ドリフターズの結成から解散までをその時代とともに詳しく解説しています。最近の芸能人は大半が小粒で、学芸会のような小芸で大衆受けを狙うものばかりです。ドリフターズのような偉大なコミック・グループはもう二度と登場しないでしょう。
#477 新年度スタート!
令和5年度が始まりました。昨日は福岡大学の入学式が行われ、4千人以上の新入生が保護者ととも入学式に参加するニュースが流れてました。西南学院大学は3日、九州大学は5日に入学式が行われます。また多くの小・中・高校では7日が始業式になっているようです。各学校ではもうすぐ生徒たちの活気が戻ってきます。文科省によりますと、4月1日より学校内ではマスクを外すように各学校に通達していますので、多くの生徒たちが久しぶりにマスクなしで授業を受けることになりそうです。
当塾でも嬉しいニュースがあります。高1から3年間当塾に通っていた塾生が1浪の末に熊本大学に合格しました。1年間の努力の結果が見事に結実しました。また高2の夏から当塾で学んでいた女子生徒がいますが、彼女は大学生になっても当塾でTOEICを勉強していましたが、得点が800点を超えるほどになりました。彼女は通算5年半ほど当塾で過ごしたことになりますが、就職も無事に公務員職に合格し、4月3日に社会人としての一歩を踏み出します。二人の塾生の前途を心より祝福したいと思います。
さて、嬉しいニュースばかりではありません。これまでも多くの品目で値上がりが実施されてきましたが、4月1日よりさらに数千項目の商品で値上がりが実施されました。確かにスーパーなどでは乳製品やインスタント製品を中心に、従来よりも20円~30円ほどの高い価格となっています。例えばブルガリアヨーグルト1カップは100円ほどでしたが、現在180円ほどの価格になっています。一般の会社員は春闘の結果、多少給与が上がるようですが、中小企業や零細企業では昇給を決断している企業は半数ほどしかないようです。物価が実質値上がりしている状況下では賃金上昇でも実質マイナスとなり、まして年金生活者は生活状況が低下する結果となっています。
私個人としても今春の物価上昇は確かに響いています。昼食はコンビニで買ったり、時間があれば定食を食べたりしています。以前でしたら1000円でおつりがもらえていましたが、現在は1000円を超える昼食代となっています。例えばうどん定食を注文しますと、昨年では800円ほどでしたが、今年は1000を超える価格となっています。またコンビニでサンドウィッチや調理パンを2,3個買えば1000円近く支払うことになります。まともに普通の食事を取れば1000円を軽く超えることになります。
このような物価高はいつまで続くのでしょうか。直接・間接的な要因となっているものにウクライナ戦争がありますが、当分収まりそうにもありません。それどころかドイツやイギリスのウクライナへの戦車供給決定とロシアによるベラルーシへの戦術核配備決定により、戦況はヨーロッパ全域を巻き込んだ第3次世界大戦勃発へと進んでいます。また日本周辺の状況も似たような危機が迫っています。台湾有事や北朝鮮の核配備など国の安全保障に関わる様々な危惧が眼前に山積しています。
春は様々な面で出発する意味合いがありますが、国内外の様々な問題が山積している状況が一歩でも良い方向へ進むことを願っている今日この頃です。
#476 B5消滅!!!
3月もすでに下旬となり、桜の花も咲き誇っています。昨夜の雨で桜花がいっそう美しく見えます。当塾近くの延命公園の桜の名所では3年ぶりに夜遅くまで公園の灯が点灯し、夜桜を鑑賞することができます。今年の桜はあと一週間ほど楽しめそうです。
三月下旬といえば、新学期の準備で新入生は制服や教科書の準備で忙しくなる頃です。私もこの時期にはクリアーファイルを数冊購入して、一年間使用した教材資料を整理していますが、最近とんでもない事実が判明しました。
いつもは近くのホームセンターでクリアーファイルを購入していますが、最近B5サイズのクリアーファイルが店頭に出ていません。大牟田市内の文房具店を何件か回りましたが、B5サイズがまったくありません。そこで昨日所用で福岡市に出かけ、天神のインキューブに立ち寄りましたが、そこも在庫がありませんでした。そこで店員さんに理由を聞くと、意外な事実が判明し、唖然としました。
その店員さんの説明では、B5サイズのクリアーファイルは製造メーカーがもう製造していないそうです。その理由は多くの家庭にコンピュータと印刷のためにプリンターが普及しており、印刷用にA4のプリンタ用紙が普及しており、保存するために同サイズのクリアーファイルが普及しているそうです。したがってB5サイズでプリントアウトする家庭が減少しており、それとともにB5サイズのクリアーファイルが店頭から姿を消してしまったそうです。
個人的には授業でB4サイズのコピー用紙を使用しており、二つ折りにすればB5サイズになりますので、B5のクリアーファイルが最適な大きさになり便利なのですが、これからはA4サイズで保存しなければならなくなります。もちろん「大は小を兼ねる」ということでA4サイズを使用すれば済むことですが、少々大きなサイズとなり価格も高くなります。諸般の理由によりB5サイズが無くなるのは残念でが、これも時代の流れでしょうか。
ちなみにB5サイズのコピー用紙はもちろん健在です。B4サイズと共にさまざまな場面で使用されています。しかしながらB5用紙にも最近暗雲が出てきています。当塾を含め、ほとんどの学校では保護者に通知を出す際にA4サイズの用紙を使用しています。B5よりも一回り大きく、その分多くの文を使用することができます。国や地方自治体が出す正式な文章はすべてAサイズで統一していますので、いずれ学校でもA4、A3サイズが普及していくことでしょう。ただし、小中学生が持っているノートはB5、A4サイズが多いようです。
国内ではAサイズ(A判)とBサイズ(B判)が混在していますが、ネットで調べると次のような歴史があることが分かりました。
----------
『A判の由来』
もともとはA判の提案者と言われているドイツの科学者、ヴィルヘルム・オストヴァルトが1911年に提案した「1cm×√2cm(1:√2)を基本としこれを倍々にしていく紙の寸法」がA判の始まりです。
この寸法は長辺を二等分にしても1:√2の比率が変わらないという特徴を持っており、書籍の製本等に使われていましたが、やがて新たなる規格に取って代わられることになります。
A判の提案者と言われているオストヴァルトにはウォルター・ポルストマンという助手がいました。彼は1912~1914までオストヴァルトの助手として働き、1915からは戦争に徴兵されたり、博士号を取得したりと紆余曲折あった後、1920年にドイツ工業標準化委員会(現在のドイツ規格協会)の従業員になります。
そして1922年、ポルストマンはオストヴァルトの提案した寸法を基に「DIN476」という規格を作成。これは紙を対象とした841mm×1189mm(A0)を基本とするA判規格のことで、この規格は時を経て今日でも世界中で使われる国際規格となります。
時は巡って1947年、スイスで「ISO(国際標準化機構)」が設立されます。これは、国際的な取引を円滑にするために「モノやサービスの基準を世界中で同じレベルにしよう」と設立された機構で、身近なところではネジやクレジットカードのサイズ等がISO規格として国際的に統一化されています。そんなISOでは1975年に紙に関する規格を規定しました。その名も「ISO216」。こうしてオストヴァルトの提案した寸法は今や私たちが日常で目にするA判として国際規格となったのです!
『B判の由来』
B判の始まりは美濃紙(美濃和紙)にあると言われています。
美濃紙とは、美濃国(現在の岐阜県南部)で作られていた紙の総称で、美濃国は最も古くからの和紙の名産地とされており大宝時代の「正倉院文書」の戸籍謄本は、現存する中で最古の和紙とされています。しかし、この時代の紙の大きさは作り手により様々で決まった規格があるわけではありませんでした……。
大宝時代から約9世紀後の江戸時代。この時代になると、徐々に美濃紙の大きさが統一されていきます。この頃、美濃紙はその質の良さから幕府御用達の和紙として広まり、町人層の需要拡大も相まって大量生産されるようになっており、特に町人層には障子紙として使われることが多く、この障子紙の規格が273mm×395mmの「美濃判」として広がったのです。
明治維新により江戸時代が終わり、外国との交流がより盛んになった明治時代には日本でも洋紙が使われ始め、日本の印刷様式に合った用紙として、美濃半紙の約8倍の大きさの「大八つ判」という紙が出回るようになります。これはイギリスから輸入した「クラウン判」が基になった用紙で、そのサイズは1091mm×788mm
現在使われいるB1サイズ(1030mm×728mm)にかなり近いサイズとなっており、このあたりから世界標準のB判にかなり近づき始めます。(途中省略)
日本国業規格統一調査会が設置されてから25年後の昭和21年(1946年)第二次世界大戦が終戦した翌年であるこの年に、現在も日本の規格を管理している日本工業標準調査会(JISC)が経済産業省に設置されます。
この調査会は現在でも使われいる日本工業規格(JIS)を制定しており終戦間もないこの時期は、日本技術の
古い標準化制度を一新する転機となり、その一環として1951年には紙の規格が制定されました。その名も、「JIS P 0138 紙加工仕上寸法」。というわけで、大宝時代からおよそ13世紀の時を経て、ようやく現在日本で使われているB判が誕生したのです!
(https://www.sokupuri.jp/archives/3573)
----------
たかが用紙の大きさの違いですが、A判よりもB判が古い歴史を持っているのが興味深いです。どちらの判も用途に応じていつまでも混在してもらいたいものです。
#475 食べたいですか、コオロギ!?
福岡管区気象台は昨日桜の開花宣言をしましたが、当塾の近くにある延命公園の桜はまだ開花していないようです。ここ数日最高気温が低いせいか、まだ蕾(つぼみ)の状態でいます。川沿いに咲いている菜の花はすでに満開です。桜花もそろそろ開花しても良い頃だと思います。
さて最近世界的に賑わっている話題が「昆虫食」です。賛成・反対を含め様々な議論が世界中でニュースとなっています。昨年は「昆虫食」と名付けた自動販売機がニュースとなり、食用の様々な昆虫が売られていました。そのような中で、興味深いニュースを見つけましたのでご紹介します。
----------
『食糧難対策で推奨の昆虫食、SNSになぜ蔓延「陰謀論」』
コオロギをはじめとした昆虫食が議論を呼んでいる。きっかけは四国の高校での昼食。食用コオロギの粉末を使った食材を希望者に提供したところ「生徒を殺す気か」などのクレームが相次いだ。騒動は同様の商品を販売する企業にも飛び火。昆虫食が推奨されることへの違和感が抗議に発展したとみられるが、インターネットの交流サイト(SNS)を見ると、不可解な投稿も目につく。<コオロギ食で人口削減>―。一体、何が起きているのだろうか。
「コオロギを生徒に食べさせたのは本当か」「生徒の体調が心配だ」。今年2月、徳島県立小松島西高校(同県小松島市)にこんな問い合わせが殺到した。
事の発端は昨年11月にさかのぼる。調理師を目指す同校食物科の生徒が、食用コオロギの粉末を使ったコロッケを手作りし、昼食として希望する生徒に提供。国連の持続可能な開発目標(SDGs)への理解促進が目的で、事前に生徒や保護者に説明、地元メディアにも好意的に取り上げられていた。
だが、3カ月近くが経過してから突然、電話での問い合わせが殺到。県教育委員会によると、県外からのものが多かったとみられ、「保護者からは1件もなかった」(担当者)という。
問い合わせは、コオロギの粉末を提供した徳島大発のベンチャー企業「グリラス」(鳴門市)に波及した。ただ、目立ったのは昆虫食への一般的な嫌悪感ではなく、過激な主張だった。「コオロギには発がん性がある」「食べたら死ぬのに」
騒動はその後、他の企業や組織にも広がった。SNSで名指しされたのは、コオロギ粉末を練りこんだパンや洋菓子を手がける企業、粉末を使った機内食を提供する航空会社など。SNSで「不買運動」を呼びかける人もいる。
アジアやアフリカ、南米などで食文化の一つとして定着している「昆虫食」が改めて注目されたのは2013年。国連の食糧農業機関(FAO)が人口増加や食糧不足対策として推奨する報告書を公表したのがきっかけだ。家畜に比べ、昆虫は少量のエサで養殖でき、環境への負荷が低い。
だがSNSで「コオロギ」と検索すると、<コオロギ食の目的は新たな人口削減計画だ>といった投稿も目立つ。<国は6兆円の税金を使い有害な昆虫食を推進している>などといった陰謀論も拡散している。
農林水産省によると、同省は先端技術を使って食材を人工的に生み出す「フードテック」の関連企業などを支援した実績はあるが、昆虫食に特化したものではない。各年度の予算を合計しても、流布されている金額には届かないという。
なぜ、昆虫食はネットでこうもたたかれるのか。国際大グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授(ネットメディア論)が指摘するのが、昆虫食と陰謀論の「相性の良さ」だ。
山口氏によると、未知でセンセーショナル、ショッキングな情報ほど、陰謀論との親和性が高い。拡散している投稿の中には、新型コロナワクチンに関する陰謀論と酷似したものもあった。
ただ、国内では昆虫食への抵抗感は小さくないのも事実だ。約1千人を対象としたホットペッパーグルメ外食総研の調査(昨年11月)では、約9割が昆虫食を「避ける」と回答している。普及には利点の周知に加え、安全性の確保が必須だが、山口氏は「嫌悪感から陰謀論にたどり着く人もいる」と指摘。「それぞれの思想は自由だが、業務妨害などの行為には厳正なる対処が必要だ」と述べた。
(昆虫食)
人口爆発などで世界的な食料不足の懸念が高まる中、打開策の一つとして注目されている。国連の食糧農業機関(FAO)は2013年の報告書で、少なくとも20億人が伝統食として昆虫を食べていると推定。日本でも長野県などで採取したイナゴなどを食べる伝統がある。次世代の食料源として食用昆虫の活用を模索する動きが広がり始めており、大企業も参入を進めている。日本能率協会総合研究所は、世界の市場規模は19年度の約70億円から25年度には1千億円に達すると予測している。
(https://www.sankei.com/article/20230318-J5GYHFBTBRLP5A3BYDONCKXWA4/)
----------
確かに日本でもイナゴを食べたりする地方の独特な食文化がありますが、あくまでも特異な食習慣だと思います。また東南アジアで昆虫を売買する特集番組を以前テレビで見たことがありますが、お世辞にも心地よいものではありませんでした。
世界中の食糧不足は穀物地帯であるウクライナでの紛争による穀物の輸出減や、気候変動による食糧生産地の作物不良によるものが大きいと思います。また肉牛を始めとする穀物肥料の増大や食物油を主体とするバイオ燃料の普及にも一因があると思われます。私たちの大切な食料を食料以外のものに使用することを止めなければ、いつまでも食料不足は無くなりません。
世界は現在昆虫を食べなければならないほど食糧危機に直面しているわけではありません。特に日本は食料自給率が40%を切っていますが、耕作可能な農地は国内のいたる所にあります。日本政府は昆虫食を勧めるよりも今ある耕作地を利用して農産物の増大に努めた方が将来の食糧危機に対応できるはずです。農地を保護することで、自然環境を守ることに繋がり、究極的には国土保全に繋がります。また「日本ブランド」で穀物を輸出すれば外貨を稼ぐこともできます。
農林水産省はできるだけ早く将来の食糧危機に対応できるように抜本的な対策を取るべきです。それでも食料が不足するような事態になれば「昆虫食」もあり得ます。あなたは食べたいですか、コオロギを!
#474 猫は液体である?
3月になって急に暖かな日が続いています。気象庁は今年の桜の開花は例年よりも1週間ほど早くなると予想しています。福岡では今秋にも開花するようです。開花1週間ほどで満開を迎えますので、公立小学校、中学校の20日の終業式には満開となることでしょう。以前は入学式の季節に満開を迎えていた桜ですが、温暖化のせいでしょうか、最近は葉桜が新入生を出迎えています。
さて、本日は奇妙な説をご紹介します。「ネコは液体である」という奇妙な科学的論説です。最近テレビでこれに関するコマーシャルが登場していますので、見た方もいらっしゃるでしょう。この不可思議な科学的説明は2017年にイグ・ノーベル賞を受賞しました。関連する記事が次のように説明しています。
----------
『イグ・ノーベル物理学賞「猫は固体と液体になれるか?」の研究が受賞
液体が容器に合わせ形を変える性質に着目』
ばかばかしくも考えさせられる研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」2017年版が9月14日(米国時間)に発表され、物理学賞が「猫は固体と液体両方になれるか?(Can
a Cat Be Both a Solid and a Liquid?)」の研究に贈られました。
受賞したのは仏パリ・ディドロ大学のアントン・ファーダンさん。授賞式のスピーチでアントンさんは、「インターネット上で“猫は液体か?”という問いを見かけたのが研究のきっかけ。一般的に液体は容器に合わせて形を変えるものと認識されていますが、猫写真を見る限り、猫は液体の定義に一致しています」と指摘。論文に使われた参考写真には、ガラス容器ににゅるりと入り込んだ猫たちが。写真が会場内で映し出されると、来場者の笑いを誘っていました。
研究はレオロジー(流動学)に基いて行われており、物質の流動性を表す「デボラ数」などを用いた真面目なもの。……ですが、イグ・ノーベル賞の授賞式ではスピーチ時間は60秒と定められており、規定の時間を過ぎると8歳の女の子“ミス・スウィーティー・プー”に「もう飽きたわ!」と終了を急かされるのが通例となっています。アントンさんは受賞の喜びを伝え終え、研究の詳細を説明しようとしたところであえなくミス・スウィーティー・プーの妨害にあい、スピーチの終了を余儀なくされました。
論文全文はレオロジー学会(The Society of Rheology)公式サイト上で公開中です。また授賞式の様子はYouTubeで確認することができます。
(https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1709/15/news083.html)
----------
学者らしいネコに関する珍妙な解釈です。ちなみにイグ・ノーベル賞ですが、「人々を笑わせ考えさせた研究に与えられる賞。ノーベル賞のパロディーとしてマーク・エイブラハムズ(英語版)が1991年に創設した。」とウィキペディアは説明しています。日本人は毎年のようにこの賞を受賞しており、「タマゴッチ」や「バウリンガル」に関する論文で受賞している学者もいます。
「ネコは液体」のCMは次のページでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=Ro9OzKZxQ8A
#473 砂の上の足跡(あしあと)
ある晩、男が夢をみていた。
夢の中で彼は、神と並んで浜辺を歩いているのだった。
そして空の向こうには、彼のこれまでの人生が映し出されては消えていった。
どの場面でも、砂の上にはふたりの足跡が残されていた。
ひとつは彼自身のもの、もうひとつは神のものだった。
人生のつい先ほどの場面が目の前から消えていくと、彼はふりかえり、砂の上の足跡を眺めた。
すると彼の人生の道程には、ひとりの足跡しか残っていない場所が、いくつもあるのだった。しかもそれは、彼の人生の中でも、特につらく、悲しいときに起きているのだった。
すっかり悩んでしまった彼は、神にそのことをたずねてみた。
「神よ、私があなたに従って生きると決めたとき、あなたはずっと私とともに歩いてくださるとおっしゃられた。しかし、私の人生のもっとも困難なときには、いつもひとりの足跡しか残っていないではありませんか。私が一番にあなたを必要としたときに、なぜあなたは私を見捨てられたのですか」
神は答えられた。
「わが子よ。 私の大切な子供よ。 私はあなたを愛している。 私はあなたを見捨てはしない。あなたの試練と苦しみのときに、ひとりの足跡しか残されていないのは、その時はわたしがあなたを背負って歩いていたのだ」(作者不詳)
----------
上記の文は「砂の上の足跡」として有名な詩歌です。実は3月1日に行われた明光学園高等学校の卒業式で諸田校長先生が式辞のなかで引用されたものです。久しぶりにこの詩文を聞きました。キリスト教徒の間ではとても有名な詩文だからです。特に感動的な場面は文中に登場する男が「最も困難な時になぜ側にいてくれなかったのか」と神様に詰問したときに、神様は「私があなたを背負って歩いてあげたでないか」と答える場面です。
人は誰でも自分一人で生きていると思っています。そして苦しい時や悲しい時に、なぜ自分だけが悲惨な状況に置かれているか原因を考えもせずに、自分以外の周囲の人を恨んだり、罵倒したりしがちです。しかし苦しい時に悲しい時に誰かが見つめています。そして隣に寄り添ってくれています。たとえそれが自分の愛する周囲の人々でなくても、誰かが(あるいは何かが)そっと見つめてくれています。宗教的にはそれを「神」とか「仏」とか呼んでいますが、万人の心の中に神は住んでいるという人もいます。
平安末期の歌人で有名な西行は伊勢の神宮にお参りして、
「なにごとのおはしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」
(どなたさまがいらっしゃるのかよくはわかりませんが、おそれ多くてありがたくて、ただただ涙があふれ出て止まりません)と詠んでいます。
宗教心あるいは信仰心は神・仏・大自然と向かい合い、素直に心を向けることで生じます。そこには感謝の気持ちしか存在しません。人間の欲心に満ちた祈りは悪霊や魔神に通じるものです。様々な宗教問題がマスコミを騒がせていますか、本当の宗教とは何かを考えさせられる昨今です。
#472 生きる
『十二月二十五日、粉雪の夜』
小学六年生の冬、二学期の終業式も近い日だった。放課後に、担任の女性の先生に「職員室まで来るように」と小声で言われた。いつかは必ず呼び出しがあると覚悟していた。体が小刻みに震えて止まらなかった。
気になるのは友人の目だが、誰にも見つからずに職員室のドアを開けることができた。職員室は独特な雰囲気と異様な圧があり、それだけで怖気づいた。先生は軽く手を挙げて私を招いた。私は先生の顔色をうかがった。
先生の机には、私の「給食費、学級費」の新しい集金袋が置いてある。滞納の件だ。私の心配は的中した。父の仕事と家の事情をいろいろ聞かれた。何も答えたくない。我が家には貧乏神様が長期滞在し、あらゆる実権を握っていた。
とにかく黙っていた。長い時間に感じられた。まるで音のない世界にいるように、私の耳は自然とふさがれていた。いつのまにか目が潤んでいた。先生は私の肩に手を置いて、「お母さんに言って、集金袋にお金を入れてもらいなさい」と、周囲の同僚に気づかいながらおっしゃった。できない返事だ。
この学校に転校して十カ月、「滞納」は四度目。母に滞納の集金袋を差し出す勇気はいつもなかった。一番つらいのは、お金の話で母のやさしい顔が陰ることだった。
学校が苦痛だった。先生からいつ「滞納」の催促を受けるか、毎日その不安ばかりで登校した。集金袋は学校と家とを何度も往復した。公園で、ずっと思い悩んだ。
「これ、ください!」
十二月二十五日。決して記憶から消えない日。職員室で集金袋を先生から手渡されて、三~四日経過していた。それは、フィルムに焼きついたように鮮明な映像で残っている。
狸小路商店街は、札幌で有名な繁華街だ。この街で夜、父の仕事を手伝っていた。その六丁目角が、わが「店」だ。リヤカーの上にベニヤ板を広げ、古本を山のように並べただけの貧相な露天商。通行人は店に目もくれない。年の瀬に、古本を手にする人はまれだ。
粉雪が街のネオンにきらめき、間断なく降り続いては本の上に飛散する。ほうきで掃除をしていたそのとき、ふと肩口から声がした。雪の夜にはめずらしい客の声だ。
「これ、ください!」振り向けばマフラーで顔を覆った女の人がいて、古本二冊の価格を無視し、過分すぎるお金を急ぎ目配せして、私の手にしっかりと握らせた。その瞬間、声の主は先生であると知った。
驚愕して、言葉が出なかった。知られたくない仕事を見られた。逃げ出したい。しかし体は縛られたように動かない―――。
「がんばるのよ、あきられてはダメ、絶対に!」と先生は耳元で囁き、雑踏の中に姿を消した。後ろ姿を呆然と見送った。先生はどこで私のことを知ったのだろう。夢を見ていたのだろうか……。
我に返ると「自分を見てくれている人がここにいる!」という歓喜に満ちあふれた。熱い血が全身に走り、えもいわれぬ温かさを覚えた。熱意ある先生の言葉に、心が揺らいだ。純白の粉雪の夜は、天使からの贈り物だった。
受けた恩の深さと後悔
父は道内の炭鉱で六年で三度もの倒産に遭い、一家で札幌に出てきた。それからの仕事の多くは貧乏神様のせいで失敗した。家族六人の生活を支えるため、長男の私は仕事の手伝いを始めた。最後の賭けが古本屋だった。
先生から渡されたお金は3千円。給食費、学級費の半年分にも相当する大変な額だ。その夜、先生には長い御礼の手紙をつづった。厚意を甘んじて受け入れるしか方法はない。「必ずお返しします。それまではお貸しください」と一心で書き記した。感謝しかなかった。
その後、横浜に移住した。中学三年生の終わりになって、先生に御礼の手紙とともに大金を郵送した。お金は新聞配達で稼いだ。三年もかかった。だが、約束を守れたことに大きな安堵を覚え、再開の日を楽しみにした。
その一週間後、郵便物は返却された。予想もしなかった。男文字の手紙で、先生は昨年、悪性の癌で亡くなったことが知らされた。ご主人からだった。最後に「妻の意思として、お金はご返却します」とあった。受けた恩の深さと、間に合わなかった時間の重さに呆然とした。北国の空に向かい、ひたすら掌を合わせてお詫びした。今も残る大きな後悔……。
*
札幌は四十年ぶりだった。狸小路商店街も足は向かった。やっと往時の「店」の面影の場所を探し出した。あの日の思い出にひたっていると、突然「がんばっている?」と後方からなつかしい声が聞こえた。思わず振り向くと、恩師の笑顔が、雑踏の中にくっきりと浮かんでいる。気づけば、その人波を懸命に追いかけていた。「先生!」と何度も叫びながら。
(PHP No898 三月号より転載)
----------
上記の文はPHP三月号に載った「生きる477話 第64回PHP受賞作」です。著者の臼木巍(うすき たかし)氏は御年77歳ですので、昭和20年の生まれと思われます、小学6年生時は昭和32年。日本が高度経済成長時代を迎える10年ほど前になります。国民の大半がまだ貧しかった当時、授業料を払えない子供が少なくなかった頃の話です。古き良き時代の心温まるお話です。
さて、今週の水曜日、3月1日は全国の多くの高校で卒業式が行われます。春の訪れとともに、この日を境に卒業生は進学や就職へと、それぞれの道を歩み出します。卒業生に上に多くの恵みと幸福が与えられますように、心から祈りたいと思います。
「頑張れ、卒業生!」
# 471 猫バンバン
昨夜は夜半過ぎから強い風が吹き、気象台は春一番を宣言しました。春一番は、立春から春分の間に吹く、初めての強い南寄りの風のことです。昨夜(18日)からきょう(19日)未明にかけて、低気圧が発達しながら日本海を東北東へ進みました。このため、九州北部地方では南よりの風が強まり、気温が高くなりました。明日からまた寒気が強まるようですが、2月も下旬になり最後の寒気になって欲しいものです。
さて、今日の話題はネコです。最近よく耳にする言葉が「猫バンバン」です。最初この言葉を耳にしたとき何のことだか見当がつきませんでした。私は車を所有していませんので経験がありませんが、この「猫バンバン」は車と関係があります。ウィキペディアによりますと、次のように説明しています。
----------
『猫バンバン』
寒い時期になると、猫が止まっている自動車のエンジンルームやタイヤの間などに入り込んでしまうことがある。これは、狭く安全で、かつ暖かい場所を好む猫の習性によるものである。また夏場であっても、自動車の下は日陰になり涼しく快適なため、やはり猫が入り込むことがある。
ドライバーがそれに気づかず、そのままエンジンをかけて発車してしまうことで、隠れている猫は危険にさらされ、命を落とす事故も少なからず発生している。
日産自動車によれば、2014年の冬に「猫などの動物が入り込んでいる場合があるので、フードなどを叩いてみましょう」という旨の内容をSNSに投稿したころ大きな反響があり、2015年11月19日に「#猫バンバン」というハッシュタグを用いて投稿。2016年1月より正式にプロジェクトとして展開されている。
同社が行ったアンケート調査では、猫バンバンを行ったところ、7人にひとりが実際に猫が隠れていたと回答している。
JAFによれば、ボンネットを叩く音により猫を逃がすことは効果的であるが、怖がってさらに奥へと入り込んでしまう個体もいるため、ボンネットを開けて目視で確認することも有効である。また動物保護団体「Clover」は、周囲に人がいて猫バンバンが恥ずかしい場合や急いでいる場合は、代替として自動車のドアを強く閉め直すことを提案している。
猫以外では鳥類がエンジンルーム内に巣を作ることがあり、気付かずに走行し発煙に至った事例が報告されている。
----------
確かに猫の習性として狭い場所や隙間などに入り込んで休むことが知られています。しかし車のボンネットの中に入り込むことは普通考えないでしょう。車のオーナーは車を動かす前にボンネットを「バンバン」叩く習慣を身につけたほうがよいと思います。そうすれば街中いたるところで「バンバン」とい音が聞こえて楽しくなります(笑)。
また「ねこ鍋」という言葉もあります。これは牛丼チェーン店の「牛鍋定食」の新しいメニューではありません(笑)。猫が土鍋のような狭いところに入り込んでしまうことを意味します。ウィキペディアでも次のように説明しています。
----------
『ねこ鍋』
『ねこ鍋』(ねこなべ)とは、土鍋の中で身を丸くして眠る猫の様子を撮影した動画コンテンツ。岩手県で農業を営む、ハンドル「エレファント」を名乗る女性により、動画投稿サイト「ニコニコ動画」に2007年8月に投稿された。再生回数は同年10月1日までに55万回以上を数え、DVDや写真集としても発売された。
鉢の替わりに使用していた数個の土鍋を、片付けようと床に並べて置いておいたところ、飼い猫の子猫たちが次々に入り込み中で眠ってしまい、エレファントがこれを撮影して「ニコニコ動画」に投稿した。当初「猫をむりやり土鍋に入れたのでは」と虐待を疑うユーザもおり、猫が自発的に入っていく様子を撮影した動画『ねこ鍋〜補足〜』も後に公開された(そもそも無理やりに入れられれば自分で出て行く)。猫は基本的に狭い場所を好むとされ、現象自体は特別なものではない。ねこ鍋の動画が投稿される以前にも空き箱などに収まる猫の映像が雑誌やネットなどに投稿されるケースがあった。土鍋はおおむね、子猫1匹が丸まってちょうど収まる大きさのもので、各々が自分に合った大きさの土鍋を見つけて収まっていく様子や、既に他の子猫が寝ている土鍋に割り込んだり折り重なったりする様子、寝返りを打った際に土鍋から転げ出してしまう様子などが撮影されている。動画には、他の成猫がやってくる様子も写っているが、土鍋のサイズが小さいのか中には入らない。
これらの猫のうち4匹の子猫は、2007年6月に河原に捨てられていたところを、エレファントが拾い育て始めたものである。この4匹を撮影し、名前を募る動画を「ニコニコ動画」に投稿したところ「可愛い」などのコメントが多数寄せられた。名前が決まった後も猫たちの成長記録としてエレファントはいくつかの動画を投稿しており、『ねこ鍋』はその中のひとつである。
土鍋への猫の入る匹数によって、1匹入るのを「並盛り」、2匹は「大盛り」、3匹は「特盛り」、4匹は「激盛り」(または「もり盛り」)と表現した。
『ねこ鍋』は2007年8月26日にNHK『未来観測 つながるテレビ@ヒューマン』にて話題として取り上げられたのを皮切りに、新聞・週刊誌などのメディアへも露出するようになった。2007年10月17日には「ニコニコ動画」を運営するニワンゴの関連会社、ドワンゴ・エージー・エンタテインメントよりDVD『ねこ鍋』が発売され、その後公式写真集が講談社より、ブログ本が二見書房から発売された。更にはテーマ曲も制作され、『ニコぬこ猫』というタイトルで2008年1月23日に発売された。
----------
「猫バンバン」も「ねこ鍋」もかなり前から流行している言葉なのですね。少しも気づきませんでした。ちなみに「お猫様」という言葉もあります。これは15年以上生きている猫のことを言います。15年以上生きていると猫に霊能力が身につき、飼い主を危機から救ってくれるそうです。事の真偽は別にして、ネコは「この家の人たちは、餌をくれるし、愛してくれるし、気持ちのいい暖かいすみかを提供してくれるし、可愛がってくれるし、よく世話をしてくれる・・・。自分は神に違いない!と思うそうです(笑)。
#470 レジェンド引退
前回のブログでも述べましたが、昼間の時間が徐々に長くなってきており、午後6時過ぎまで明るい日々が続いています。このまま春になってもらいたいと願っていますが、今週は再び寒波が来るようです。冬将軍も簡単には去ってくれないということでしょうか。
さて、「レジェンド」と言われる車いすテニス男子の国枝慎吾氏が引退を宣言しました。彼の業績は素晴らしく、世界ランキング1位での引退となります。彼は車いすテニスを世界に広め、1つの種目として世の中に浸透させたことに大いに貢献しました。ジジドットコムは次のような記事を載せています。(部分的に転載)
---------
『車いすテニス「世界1位」で引退の国枝慎吾 関係者の声でたどる足跡』
世界に誇る日本のトッププレーヤー、車いすテニス男子の国枝慎吾(38)=ユニクロ=が現役生活に幕を下ろした。パラリンピックでシングルス、ダブルス合わせて4個の金メダルを獲得し、四大大会では単複計50勝。輝かしい成績を残し、世界ランキング1位のまま1月22日に引退を表明した。自身のツイッターで「もう十分やり切ったという感情が高まり、決意した」などとつづると、昨年引退したロジャー・フェデラー(スイス)がすぐにSNSで反応。「信じられないようなキャリアだ」と、その実績をたたえた。関わりのあった人たちも、称賛とねぎらいの言葉を並べた。
結果的に現役ラストシーズンとなった22年には、金字塔を打ち立てた。7月のウィンブルドン選手権シングルスで初優勝。テニスの四大大会のうち、ウィンブルドンでは16年にようやく車いす部門のシングルスが行われるようになった。07年に全豪オープン、全仏オープン、全米オープンを制してから、この3大会で何度も優勝。そして昨年のウィンブルドンで、車いす男子初の「生涯グランドスラム(四大大会全制覇)」を達成した。同時に、パラリンピックと四大大会を全て制する「生涯ゴールデンスラム」も成し遂げた。
男子テニスの四大大会で通算20勝を挙げたフェデラーは、折に触れて国枝に敬意を表してきた。引退表明に対するSNSでは「あなたのプレーや、素晴らしい足跡を残していく姿を見られたのは光栄」と称賛。そのフェデラーが昨年9月、41歳で引退を明らかにした際、国枝も即座にツイッターを更新して「フェデラー選手がいたから、こんなにもテニスが好きになった」と記した。
(https://www.jiji.com/jc/v8?id=202302kuniedashingoretire)
----------
上記の記事にあるように、全盛期のフェデラー選手に日本人記者が彼の強い原因をインタビューしたときに、彼は「日本には国枝慎吾という素晴らしいプレイヤーがいるではないですか。彼にはかないません」という趣旨の返事をした記憶があります。分かる人にはわかる国枝選手の偉大さです。
スポーツ選手ほど自分の引退を決めるのに難しい職業はありません。一般の会社員では退職年齢が定まっていますので、定年まであと何年と把握できますが、スポーツ選手は自己の体力の衰えや、他の選手との競り合いで自分が必要とされるか否かで引退が決まります。本人が引退したくなくても、チームから必要とされなければ強制的に引退となります。スポーツの種目により現役の寿命は異なりますが、大半のスポーツでは30代で引退する選手が多いと思われます。その先の人生は様々で、解説者やコーチで生活できる人はごくわずかです。残りの人は生活するために次の職を見つけなければなりません。
このように激しい競争を勝ち抜いてプロになった一流の選手でも、いつかは終わりを迎えることになります。「短くとも美しく燃え」ではありませんが、アスリートは一生を凝縮した期間につぎ込むような生き方です。言いかえれば「燃え尽きた人生」を生きる人々です。私たちは彼らのそのような生き方に感動し、尊敬します。
#469 二十四節気
暦の上では立春を過ぎましたが、まだまだ寒い日々が続きます。それでも日差しは春に向かって少しずつ強くなってきています。実際、小寒(1月6日)頃の日の出が7時22分、立春(2月4日)7時13分となっており、10分ほど早くなっています。また、日没は冬至(12月22日)が17時15分でしたが、春分では17時52分となっており、40分以上も昼間の時間が長くなっています。これから三寒四温を繰り返しながら春へと近づいていくことでしょう。
日本人は古来より自然と共生する形で暮らしてきました。その中で自然から学び、自然を利用する形で日常生活を営んできました。特に現在でも農業は旧暦を参考にして種まきや、田植えなど大切な時期を判断し、行われています。このように現在ではあまり意識しない季節感ですが、従来の日本人の生活感を表しているのが二十四節気です。「日本人のしきたり」(青春新書)によると次のように説明しています。
----------
『二十四節気』
われわれは寒い冬から春を迎えてホッとしたり、暑い夏にひと雨ほしくなるなど、日ごろの生活は春夏秋冬の季節の影響を大きく受けています。
日本では、国民の祝日となっている春分と秋分、さらに夏至と冬至のほかにも、立春、立秋、大寒などの季節を表す言葉がしばしば使われていますが、これらはすべて二十四節気にもとづいています。
二十四節気は中国の戦国時代に考案されました。太陰暦による季節のズレを正し、春夏秋冬の季節を正しく示すため、一年を十二の「中気」と十二の「節気」に分類し、それらに季節を表す名前がつけられたのです。日本では江戸時代の暦から採用されています。
しかし、二十四節気は、中国の気候にもとづいて名づけられたものなので、日本の気候と会わない名称や時期もあります。そこで、それを補うため、二十四節気のほかに、土用、八十八夜、入梅、半夏生、二百十日など、「雑節」(ざっせつ)と呼ばれる季節の区分けを取り入れたのが日本の旧暦です。
----------
この「日本人のしきたり」には他に多くの日本人が生活の中に取り入れてきた自然観や年中行事のしきたりなど、何となく知っているようで知らない多くの言葉が説明してあります。日本人の心の琴線に触れたい人にお勧めの一冊です。
季節はまもなく晩冬から早春へと移り変わっていきます。梅の開花の便りも聞こえてきました。北国の雪も名残り雪となって行くことでしょう。春はもうすぐそこまで来ています。
#468 クマヒラ
1月24日の大寒波襲来以来、強弱を繰り返しながら最強寒波が日本列島に居座り続けています。各地で様々な被害をもたらしていますが、ここ大牟田でも水道管の破裂や漏水等で、水が出なくなる地域が発生しました。7年前は自宅のある市南部で断水しましたが、今回は市東部で断水等が発生しました。
24日(火曜日)は私が利用している西鉄倉永駅で昼間に氷点下1度を記録し、昼間なのにつららができていました。その日の晩には当塾の横を走っている国道208号線が完璧に凍結してしまい、車はほとんど走っていませんでしたが、走行している車両は極端な徐行運転をしていました。歩道は数センチの雪で覆われ、私も転倒しないように自転車を押しながら自宅へ帰りました。翌25日は大牟田市内の小・中学校がすべて臨時休校になり、周囲の高校も休校や始業時間を遅らせるなどの措置が取られました。ここ大牟田でも道路が凍結するのは数年に1回ありますが、これほど強い寒波が長く続くのは珍しいと思います。
さて、ブログ#285でも触れていますが、今年も株式クマヒラ様からささやかな小冊子が届きました。私が毎年楽しみにしている「抜萃(ばっすい)のつづり」です。今年で82回目の配布になるそうです。この小冊子の添書きに次のような一文があります。
----------
拝啓
時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、毎年寄贈させていただいております「抜萃のつづり その八十二」が出来上がりましたので、お送りいたします。
「抜萃のつづり」は社会への感謝、謝恩の思いから昭和六年に創刊。著者、新聞、出版各社のご理解を得て、戦中・戦後の混乱期を除き、毎年刊行し、百か国の日本大使館や総領事館、全国の各種団体、企業、個人に四十五万部を無料配布させていただいております。
今年も本日、全国いっせいに配布いたします。広くご高覧賜れば幸いに存じます。なにとぞよろしくお願い申し上げます。
末筆ですが、皆様のご健勝、ご発展をお祈り申し上げます。
敬具
令和五年一月二十五日(創業百二十五周年記念日)
株式会社クマヒラ・ホールディングス
会長 熊平 雅人
----------
この「抜萃のつづり」は上記にありますように、国内外に無料配布されており、この一年間の新聞や雑誌記事、機関誌などの多くの記事に社員の方々が目を通し、珠玉の名文を収集した小冊子です。著名な作者のエッセイだけでなく、市井の方の記事も含まれています。換言すれば、多くの新聞や雑誌に目を通さずに、この冊子を読むだけで世の中の出来事を一読することができます。もちろん政治記事等はありませんが、日本人がこの一年間を通して何を考えたか、どのように世の中が進んだか理解できます。
多くの企業が何らかの形で社会貢献を行っていますが、日本国民を啓蒙するような種類の社会貢献はあまりありません。クマヒラはこの点で昭和六年より今年に至るまでこの小冊子を通して世相を伝えてきました。いつまでも続いてほしい活動です。
追記:
「抜萃のつづり」を希望する方は、クマヒラ各営業所にご確認ください。冊子を配布していただけると思います。
#467 日中の架け橋
「日本に行くなら、帰って来なくていいわよ。」
3年前、日本に留学したい思いを母に伝えた私は、こう怒られてしまった。その時の私はただ黙って泣くことしかできなかった。感情に任せて言った言葉だとすぐにわかったけれど、日本に留学したいと言っただけでそんなに怒られるのかと驚いた。母の世代以上の中国人の間に、日本人に対する壁が未だに存在していることを深く感じた。
人々はいつもメディアに認識を左右される。しかしメディアの情報は一方的で、偏見が多いと私は思う。「実際に日本人と接したことがなく、日本人の本当の考えをわかっているわけでもないのに、勝手にレッテルを貼るなんて嫌だ」。その時、一生をかけてやりたいことを見つけた。それは、日中の架け橋になることだ。
小さい頃からずっと日本の文化に触れ、日本のことが大好きだったから、日本人の方もきっと優しくしてくれると勝手に想像していた。このような気持ちを持って、私はインターネットで日本人の友達を作った。その中で一番仲が良いのは、日中オンライン交流イベントで知り合った人だった。毎日電話したり、メッセージを送ったりして、私たちの視野はインターネットを通じてどんどん広がっていった。
食事を始める前に母の手料理の写真を撮ると「またあの日本人に送るの」と時々聞かれた。「褒められたよ」と伝えると、母も笑って喜んでくれた。このように、日本人の友達のことは私を通じて少しずつ母にも知ってもらった。友達の話は母との会話の中にも時々出てきた。母の日本人に対する親近感が少し増したかなと思うと思わずにやにやしてしまうほど嬉しくなった。
残念なことに、2019年の末に、新型コロナウィルスが中国で発生した。日本に留学する長年の夢も叶わず、そのまま中国の大学に入るしかなかった。悔しくて、悲しくて、どんどん元気がなくなって、勉強する気もなくなった。そして、日本人の友達と連絡を取ることもなくなっていった。
ある日、母は珍しく、自分から日本人の友達のことを話した。「あの日本人の友達、最近どう?全然話しないね」「えっ、どうしたの」「いや、日本でも最近コロナが出たそうだから」。母の心配そうな顔に少し驚かされた。母が友達のことを心配するなんて、全然考えた事もなかった。そして、母に言われたこともあり、チャットアプリを開いたら、このようなメッセージが届いていた。
「周さん、最近どう?メッセージが全然来なくて、ちょっと心配。コロナのせいで、日本に留学することができなくなっちゃったね。でも周さんなら絶対いつか日本に来られるって信じてるよ。僕たちが初めて知り合った時のこと、覚えてる?最初は日本人は嫌われてるかもって心配してたんだけど、君は『友達になりたい』って言ってくれたよね。本当に嬉しかったよ。誕生日の時、わざわざ歌を歌って、絵を描いてくれて、本当に感動した。その時すぐに家族に伝えたよ、『僕、中国人の友達から誕生日プレゼントをもらったよ』って……」
何十回もとり直した歌、インターネットで調べながら一生懸命書いた絵。当時の思いがよみがえって涙が落ちた。その時初めてわかった。純粋な気持ちを持ち、お互いの文化を尊重し、誠実に付き合えば、きっと真に相手を思いやる気持ちが生まれてくるのだと。
今年2022年は日中国交正常化50周年だ。私は日本語で中国について紹介する動画を作ったり、交流イベントで日本人と交流したりして、日中の架け橋になるために自分でできることに、より一層熱意を持って取り組んでいる。そのような活動を積み重ねて理解を深めていけたら、両国民の親近感はきっと徐々に高まっていくと信じている。私は今後も日中民間交流を活発にし、さらなる努力を厭わず日中の架け橋になるべく尽力していきたい。
■執筆者:周美彤(広東理工学院)「一生をかけてやりたいこと」
(https://www.recordchina.co.jp/b908027-s10-c30-d0052.html)
----------
上記の作文は日中交流研究所主催する第18回「中国人の日本語作文コンクール」の受賞作品の1つです。執筆者の周さんの日本への憧れや愛情が伝わってきます。将来は日中の架け橋として尽力する旨の内容が書かれています。中国では若者を中心に日本マンガやアニメを幼い頃から見ており、現在の日本文化に対して肯定的に見る人が多いようです。これに対して高齢者の中国人は日中戦争の記憶が残っており、日本の悪いイメージを今でも持っている人がたくさんいます。
また中国政府も日本に対する政策の一環として国民にテレビやマスコミを通じて日本に対するマイナスのイメージを流してます。中国本土では衛星放送でNHKを見ることができますが、中国政府に不本意な内容のニュースが流れ始めますと、いつもテレビ画面が黒くなり、国民にニュースを見せないように操作します。
それでも若い世代はネットを通して日本の今の姿をリアルタイムで見ているようです。このような若者が増えて将来日本と中国の架け橋となってくれることを期待したいと思います。もちろん日本の若者たちも同様です。現在、中国と日本の外交は正常な状態ではありませんが、武力による威嚇ではなく、日中の架け橋となる若者たちとの交流を通して少しでも早く本当の文化交流ができる日を待ち望んでいます。
#466 古代コンクリート
正月から晴天続きで、しばらく乾燥状態が続いていましたが、週末から雨が断続的に降り始め、季節は暖冬から厳冬へ再び向かい始めています。また共通テストも本日で終わり、大学受験生は本格的な入試シーズンへ突入していきます。20日には筑後地区で高校先願入試が行われ、高校入試も本格化してきます。新コロが再び拡大している状況で人生の節目を迎えている受験生はまず健康第一で、自分の目標に向かって最後の頑張りをしてもらいたいものです。
さて、最近面白い記事を目にしました。「古代コンクリート」という言葉を聞いたことがありますか。古代ローマ時代で使用されたコンクリートのことです。現代建築で使用されている鉄筋コンクリートは耐用年数が100年余りと言われていますが、古代ローマのコンクリートを使用した建築物は2000年経った今も壊れることなく頑丈に立っています。「古代」と「現代」のコンクリートはいったい何が違うのでしょうか。ネットに面白い記事がありますので、それを転載します。
----------
『古代ローマ時代のコンクリートは、今も強度を増していた──その驚くべき理由が解明される』
コンクリートは、年月が経つにつれてもろくなるのが普通だ。だが、古代ローマ時代に作られた岸壁のコンクリートは、時間が経てば経つほど強度を増していた。その驚きの理由が、米研究チームによって解明された。
古代ローマ帝国が滅亡したのは1,500年以上も前のことだ。だが、この時代に作られたコンクリートは、現在も十分強度がある。例えば、ローマにあるパンテオンは無筋コンクリートでできた世界最大のドームといわれているが、約2,000年経った今も強度を保っている。これは現代のコンクリートでは考えられないことだ(現在のコンクリートの寿命は、50年から100年程度とされる)。なぜ、ここまで古代ローマのコンクリートが強いのか。その謎が解明されつつある。
古代ローマ時代のコンクリートは、火山灰、石灰、火山岩、海水を混ぜ合わせて作られている。このうち、重要な役割を果たしているのが、最後の材料である海水だ。この珍しい材料の組み合わせのおかげで、1,000年以上の時間をかけてコンクリート内で新しい鉱物が形成され、ますます強度を増しているらしい。
その秘密を解明するため、米エネルギー省のローレンス・バークレー国立研究所の研究チームは、古代ローマ時代に作られた岸壁や防波堤のコンクリートを採取して、X線マイクロ解析を行った。
『American Mineralogist』誌オンライン版に2017年7月3日付けで掲載された研究成果によると、解析の結果、コンクリートの中にアルミナ質のトバモライト結晶が含まれていることがわかった。この層状鉱物が、長い時間をかけてコンクリートの強度を高めるのに重要な役割を果たしているという。この鉱物は、海水と石灰と火山灰が混ざり合って熱が発生することによって生成される。
この研究を率いたユタ大学の地質学者マリー・ジャクソンは、「古代ローマ人は、海水と化学反応を起こして成長する岩のようなコンクリートをつくり出しました」と言う。また、この構造物に打ち寄せる海水が第2期の鉱物の成長を引き起こし、コンクリート全体の強度をさらに高めたことも、解析から明らかになった。
鉱物粒子を分析した結果、コンクリート全体でトバモライト結晶が成長していることが確認された。しかも、この成長はたいてい、フィリップサイトと呼ばれる別の結晶の成長と同時に起こっているという。こうした新しい鉱物は、火山灰が海水によって溶解したときに形成される。長い時間をかけて海水が火山灰を溶かすにつれて、コンクリートはどんどん強度を増していったのだ。
これに対し、現代のコンクリートは、いったん固められた後にその構造が変化するようにはつくられていない。そのため、鉱物によって成長する古代ローマ時代のコンクリートと違い、私たちが今日利用しているコンクリートは、なんらかの化学反応が起こると、裂けたり割れたりしてしまう。とりわけ、海水は現在の防波堤にとって脅威となっている。補強鋼が錆び、その周りのコンクリートが腐食してしまうからだ。
古代ローマ人は、幸運にも理想的な岩壁を作成することができた。そこでジャクソンは、現代科学の力を借りてこのコンクリート混合物を再現したいと考えている。
※古代ローマで使われていたコンクリート(ローマン・コンクリート)の研究をもとに、コンクリートの結晶に「螺旋転位」と呼ばれる“欠陥”を意図的につくると強度が2倍に高まるという研究結果も発表されている。なお、米軍は通常のコンクリートよりはるかに強度があり耐久性もあるスーパー・コンクリート(ジオポリマー)の研究を進めているが、大ピラミッドの石も同種の技術で作られていたという説もある
(https://wired.jp/2017/07/30/roman-concrete/)
----------
上記の説明が正しいとすれば、現代建築は古代ローマの建築よりも劣っていることになります。あるいは経済性を優先するあまり、故意に100年前後の耐久性にしたとも考えられますが、真実は分かりません。しかし、多くの高層ビルで現代コンクリートが使用されている現状では、いつかは建て替えなければならない時期が来ることでしょう。日本でも多くのコンクリート建設物の耐久性が課題となっており、特に橋梁の架け替えが問題となっています。
これは日常で使用する家庭用品も例外ではありません。私が使用していた電気ケトルは購入して5年で壊れました。ネットで調べてみると、多くの製品が5年で故障するように設計されているそうです。長期間使用するように作ることも可能でしょうが、そうすると製品が売れなくなるので、使用期限を早めに設定しているようです。現代文明では大量消費を基本としていますので、長持ちする製品は敬遠されるのでしょう。残念なことです。
#465 あなただけの人生をどう生きるか
今日は真冬なのにまるで春のような暖かい日差しが部屋に降り注いでいます。今週は高温特別注意報が出されており、春のような気温になるようです。明日は成人の日ですが、最高気温が15度を超えると予想されています。成人の日には晴着を着る新成人のために晴天を期待しますが、今冬は厳冬と予想されており、事実、北国では大雪で被害も出ています。しかしながら、この高温では雪崩などの別の心配をする必要が出てきます。ヨーロッパではまったく雪が降らず、各地のスキー場では人工雪で急場をしのいでいます。南ヨーロッパでは海水浴をするニュースが流れていました。何事も中庸が大切です。
さて、シスター渡辺和子さんが2016年12月30日に帰天されて昨年末ですでに6年になります。シスター渡辺についてはこのブログ(#82)ですでに述べましたが、シスターは多くの著作を残されており、シスターの考え方、生き方をその著作を通して知ることができます。今日はその中の一冊「あなただけの人生をどう生きるか」(ちくまプリマー新書)より、いくつか名言をご紹介します。この本は新しく大学生になった若者たちへの呼びかけとして書かれたものです。
----------
「皆さんに求められるものは、授けられる知識に能動的に働きかけて、
知識を知恵に、すなわち自分にとって価値あるものにしてゆくことです。」
「求めよ、さらば与えられん。探せ、さらば見出さん。叩け、さらば戸は開かれん。
という聖書の言葉のように、自主性を持った人として大学生活を送りましょう。」
「真理に対し、善に対し、美に対して、
すなおな自由人になること、
それが大学で行われる授業の目的です。」
「理解されるよりも理解すること、慰められるよりも慰めること、
愛されるよりも愛することの喜びを
知る人になっていただきたいと思います。」
「自分なりに、考えて、選んで、
その選んだことに対して責任を取っていく、
人格としての生き方というものは、人間にしか許されないものです。」
「今日からは、自分が世の中で、どういう位置を占めているか、
自分の役割はなんだろうか、と考えるロール志向の生活に移ってほしい。」
「自分の思うとおりの人生はありません。
にもかかわらず、人間には、輝くことのむずかしい条件のもとで
輝くことのできる自由が与えられています。」
「もし、あなたが期待したほほえみが得られなかったら、
不愉快になる代わりに、あなたの方から、ほほえみかけてごらんなさい。」
「どこにいらしても、どうか置かれた場で美しく咲いてください」
----------
シスター渡辺は長い間ノートルダム女子大学で理事長を務め、多くの女子大学生と交流を深めてこられました。上記の言葉は新入生に送られた言葉のほんの一部です。詳しい内容を知りたい方は是非一読ください。
明日は大牟田市で成人式が行われますが、当塾を卒業した5名が参加します。なつかしい塾生達の笑顔が今でも思い出されます。
#464 謹賀新年
新年あけましておめでとうございます。令和5年、2023年の幕開けです。今年はどんな年になるのでしょうか。年頭に当たり、皆様のご健康と幸せを祈る一年とさせていただきます。
さて、一年間幸せが続きますように、と言いたいところですが、どうも甘いことばかりを考えてもいられないようです。例えば、新コロが強弱を繰り返しながら今年でコロナ禍が3年続くことになります。日本でも現在第8波が国内で猛威を繰り広げています。
その発生源とされている中国では昨年末にゼロコロナ政策が放棄された結果、イギリスBBCによる情報では先月1か月間だけですでに2億人以上が感染したと報じられています。NHKや民放のニュースでは火葬場に遺体を運ぶ並ぶ霊柩車が並んでいます。また各病院では患者が院内に入れずに、道路に並んで点滴を打つ姿が報道されています。また治療する医者も点滴を打ちながら患者の診察に当たっています。
中国政府は情報を統制管理していますので、中国国内の真相は分かりませんが、私たちが知らないところで異常な状況が生じていることをこれらのニュースが示しています。岸田政府はこの状況を考慮して、先月30日より中国からの旅行者に対し、国内の各空港でコロナ検査を実施しており、ヨーロッパでもイギリスやフランスなど、中国人に対して日本と同様な措置を行っています。中国政府はこれらの対策に対し、人権侵害と反論していますが、空虚な反論にすぎません。
次は昨年から継続しているロシア・ウクライナ戦争です。ロシアは断続的にウクライナの各都市にミサイルやドローン攻撃を行なっています。ドローンはイラン製であるとの報道もなされています。このウクライナ戦争がいつまで続くのか予想不可能です。プーチンは自らの野望のためにロシア国民を巻き込み、徹底的に攻撃しようと目論んでいます。またウクライナも徹底抗戦を唱えています。西側諸国もウクライナへ支援を続けており、ロシアは支援国に対し、核攻撃使用をちらつかせて恫喝しています。実際核を使用するか分かりませんが、ロシアは切羽詰まった状態で核を使用することもあり得ます。それは核戦争の端緒となる可能性が高くなることでしょう。
中国の台湾侵攻も懸念の1つです。習近平は自分が毛沢東のように神格されたいために、台湾占領を公言しており、遅くとも7年以内に実行すると言っています。ロシアの動き次第では予想以上に早く台湾侵攻を始めるかもしれません。日本にとり、台湾侵攻は有事であり、アメリカと日本が台湾防衛のためにどのような動きをするかで、最悪の場合に紛争が東アジア戦争へと拡大していくでしょう。それと同時期に北朝鮮の動きも気になるところです。北朝鮮と中国は今でも軍事同盟を標榜しており、中国の動きを支援するために何らかの軍事行動を、特に日本に対して行う可能性があります。金正恩は核兵器保有の急激な増加を公言しており、近い将来大きな脅威になると言えるでしょう。
元旦から暗いニュースばかり書きましたが、2023年は明るい未来へ向かうか、暗い未来へ向かうかの大きな岐路となることでしょう。紙面の都合上ここでは述べませんが、国内では昨年に続き今年も多くの分野で物価が急上昇するでしょう。国民の給与が多少上昇しても、物価の上昇を補うだけの昇給となるでしょうか。また年金生活者はより少ない年金で生活しなければならず、昨年よりも厳しい生活状況が続きます。国内では他に様々な問題が山積しています。そのような国内・世界情勢の中でいかに生きるかが今年の大きなテーマとなります。
未来は白紙です。私たちの日々の思いや行動が未来の道筋を創ります。少しでも良い世の中になるように頑張って生きて行きたいものです。今年も一年どうぞよろしくお願いいたします。
#463 クリスマス
一ドルと、八七セント。それで全部。しかも小銭だらけでした。
野菜や肉や缶詰を買うたびごとに、恥ずかしいほど値切りに値切って、一枚二枚と貯めた小銭です。デラは三回数え直しました。一ドルと八七セント。明日はクリスマスなのに。
どう考えたって、今のデラにできるのは、すり切れた小さなソファに倒れこんで泣き出すことくらいです。ですからデラは、ソファに倒れこんで泣き出しました。
ああ、人生は、大泣きと、すすり泣きと、微笑みとで出来ているんだ、それで一番多いのは、すすり泣きなんだ。デラはそんなことを考えました。
この家の主婦であるデラが落ち着くのを待つ間に(今は大泣きの段階ですが、これからだんだん次の段階に移りますからね)、家について紹介しましょう。
家具付きアパートで、家賃は週八ドル。口にできないほどひどい、という訳ではありませんが、もし「アパート」という言葉で呼ばれていなかったら、住人は浮浪者と間違われて警官に追い払われていたかもしれません。
玄関の下には、どこからも手紙の来ない郵便受けと、誰の指でも鳴らせない呼び鈴。それと、「ミスター・ジェームズ・デリンガム・ヤング」という名札が貼ってありました。
その名前の持ち主が週三〇ドル稼いでいた黄金時代には、「デリンガム」の名札もそよ風に吹かれて元気に暴れていました。ところが今、収入は二〇ドルに減り、「デリンガム」もぼやけてきて、「デリンガムはちょっと長すぎるんじゃないか、もっとつつましく控えめに、『D』の一文字だけでいいんじゃないか」と文字たちが真剣に話し合っているようでした。
それでも、ジェームズ・デリンガム・ヤング氏が二階の部屋に帰ってくると、先ほど紹介した「デラ」ことジェームズ・デリンガム・ヤング夫人が出迎えて、夫を「ジム」と呼びながら、しっかりハグするのでした。素晴らしいことです。
さて、デラは泣きやむと、化粧を直しました。そして窓ぎわに立って、灰色の裏庭にある灰色のフェンスの上を灰色の猫が歩いていくのを、ぼんやり眺めました。
明日はクリスマスなのに、ジムにプレゼントを買うお金はたったの一ドル八七セント。何ヶ月も必死で節約してきたのに、こんな結果だなんて。
週二〇ドルでは何もできません。支出は予想以上でした。そういうものです。ジムにプレゼントを買うのに、たった一ドル八七セント。大切なジムなのに。
どんな素敵なものをプレゼントしようかと計画を練った時間は、彼女にとってとても幸せなものでした。何か、素晴らしくて、貴重で、品があって、ジムが持つのにふさわしいものを贈りたかったのです。
部屋の窓と窓の間には、姿見がありました。週八ドルのアパートにありそうな程度の鏡です。縦長の断片になった像を素早く見て、自分の全身を把握できるのは、よほど細くてすばしこい人だけでしょう。でもデラはスレンダーだったので、その技を身につけていました。
デラは急に、窓のほうから向きを変え、鏡の前に立ちました。その眼はきらきら輝いていましたが、顔は二〇秒間まっ青でした。彼女は手早く髪をほどいて下ろし、まっすぐ垂らしました。
ジェームズ・デリンガム・ヤング家には、大いに誇れる持ち物が二つありました。
一つは、ジムの金の懐中時計。おじいさんから代々受け継がれたものです。
もう一つは、デラの髪の毛でした。
もしもシバの女王がお隣に住んでいたとして、ある日デラが髪を乾かすために窓から外に垂らしたら、それだけで女王陛下の宝石も財宝も価値がなくなってしまうでしょう。もしもソロモン王がアパートの管理人で、宝物を地下室に詰め込んであったとしても、ジムがそこを通りかかって時計を出すのを見たら、王様は自分のひげを引っ張って悔しがるでしょう。
さて、デラの美しい髪は、栗色の滝のように輝き、波のようにうねって、彼女のまわりに垂れていました。それはデラのひざまで届く長さで、まるで着物のようでした。
デラは少しいらいらした様子で、すばやく髪をまとめました。
そしていったん動きを止め、一分間、ためらっていましたが、やがて一滴、二滴と涙がこぼれ、すり切れた赤いカーペットを濡らしました。
それからデラは、くたびれた茶色のジャケットを着て、くたびれた茶色の帽子をかぶりました。スカートをひるがえし、眼には涙の鮮やかなきらめきを浮かべたまま、ドアから出て、通りへと階段を降りました。
彼女が立ち止まった所には、看板が掲げられていました。
『マダム・ソフロニーの店/ヘアグッズ各種取扱』。
デラは階段を駆けのぼり、息を切らしながらも、心を落ち着かせました。マダムは、色白で体が大きく、冷ややかで、とても「ソフロニー」という感じではありません。
「私の髪を、買ってもらえますか?」デラはたずねました。
「買いますよ」マダムは答えます。「帽子を取って、ちょっと見せてみなさいな」
茶色の滝が、さらさらと揺れ落ちました。
「二〇ドル」マダムは、慣れた手つきで髪を持ち上げながら言いました。
「すぐに下さい」デラは言いました。
ああ、それからの二時間は、薔薇色の翼に乗って軽やかに過ぎていきました。いえ、そんな使い古しのたとえは忘れて下さい。デラは、ジムへのプレゼントを探してお店をまわっていました。
ついに、デラは見つけました。
間違いなく、他の誰でもないジムのために作られたものでした。デラはあらゆる店をくまなく見てまわりましたが、どのお店にもそんな素晴らしいものは無かったのです。
それは、プラチナの時計チェーンでした。
デザインはシンプルで洗練されていて、見せかけの装飾など無く、もの自体に価値があることがはっきり分かりました。良いものとはそうあるべきでしょう。チェーンはあの時計にふさわしいものでした。デラはそれを見たとたん、これはジムのものでなければいけない、と確信したのでした。
そのチェーンはジムに似ていました。落ち着いているけれど、価値がある。その表現は、どちらにも当てはまります。
チェーンは二一ドルでしたから、デラは残りの七八セントを持って、急いで家に帰りました。時計にこのチェーンをつければ、ジムは誰の前でも堂々と時間を気にかけることができるでしょう。時計は立派でしたが、チェーンではなく革ひもをつけていたので、ジムはこっそりと時計を見ることがあったのです。
家に着いた時にはデラの興奮は少し落ち着いていて、代わりに慎重さと理性が働き出しました。ヘアアイロンを出してガスに点火し、自分の愛に寛大さをプラスしたことで生まれたダメージを、回復する作業を始めます。こういうのはいつでも大変な仕事なのですよ、本当に。大仕事です。
四〇分もたつと、デラの頭は小さく巻いたカールで覆われました。まるで、ずる休みの男子小学生みたいな頭です。デラは鏡に映った自分を、長い時間、注意深く、鑑定師みたいに眺めました。
「ジムが驚いて私を殺さなければの話だけど」デラは独り言を言いました。「見てすぐに、コニーアイランドのショーに出てくるコーラスガールみたいだって言われるかな。だって、何ができたっていうの? たった一ドル八七セントで、何ができたの?」
夜七時には、コーヒーが用意できて、フライパンはストーブの上に載り、ばら肉を焼く準備もできました。
ジムは決して遅れませんでした。デラは、時計チェーンを二重に巻いて手に握り、いつもジムが入ってくるドアの近くのテーブルの、はしっこに座りました。それからすぐに、ジムが階段を上る足音が聞こえると、デラは一瞬青くなりました。ふだんからちょっとしたことでも口の中でお祈りを唱える癖があったデラは、こうささやきました。「お願い、神様。今の私もかわいいって、ジムに思わせて下さい」。
ドアが開き、ジムが中に入り、ドアが閉まりました。ジムはやせていて、真面目な表情に見えました。まだ二二歳なのに、かわいそうな人。彼は家庭を背負っているのです。新しいコートが必要だし、手袋もしていません。
中に入ったジムは、そこで立ち止まりました。獲物の鳥の匂いに気づいた猟犬のように、じっとしていました。ジムの眼はデラに釘付けになって、その眼はデラには読み取れない表情をしていたので、デラは怖くなりました。それは、怒りでもなく、驚きでもなく、非難でもなく、恐れでもなく、デラが覚悟していたどんな感情とも違うものでした。
ジムは、その奇妙な表情を浮かべた顔で、じっと彼女を見つめていました。
デラはテーブルから離れて、ジムのそばに行きました。
「ジム、ねえ」デラは泣いていました。「そんなふうに見ないで。髪は切って、売ってしまったの。プレゼントなしでクリスマスを過ごすなんてできないから。また伸びるもの、怒らないよね? それしかなかったの。私の髪はすごく早く伸びるし。『メリークリスマス』って言って。ジム、楽しく過ごそう? まだジムは、私のプレゼントが、どんなに素敵なものか、――どんなにきれいで、素敵なものか、分からないでしょう?」
「髪を、切っちゃったの?」ジムはぎこちなく聞きました。一生懸命考えても、この明らかな事実を飲み込めないようでした。
「切って、売ったの」デラは言いました。「でも、前と同じように、私のこと好きでいて。髪がなくても、私は私でしょう?」
ジムは何か探すように部屋を見回しました。
「髪がもう無いって言うの?」ジムは、間の抜けた口調で言いました。
「探さなくてもいいの」デラは言いました。「売っちゃったの。本当なの。売ったから、なくなったの。ねえ、クリスマス・イブだよ。許して、ジムのためにしたことだから。神様は私たちの頭の毛までもみな数えて下さっているって、聖書にはあるけど」デラは急に、真面目な優しい声になって続けました。「でも私からジムへの愛の深さは、誰にも測れない。ジム、肉を火にかけてもいい?」
ぼうっとしていたジムは、すぐにハッとして、愛するデラを抱きしめました。
ここで十秒間だけ、別のテーマの些細な話について、ちょっと慎重に考えてみましょう。週に八ドルと、年に百万ドル、その違いは何でしょうか。
数学者とか、口が上手い人は、間違った答えを出すでしょう。福音書の「東方より来たりし三賢者」は、価値ある贈り物を持ってきましたが、その中にも解答はありませんでした。
この謎めいた話には、後ほど光が当たることになるでしょう。
ジムはコートのポケットから包みを取り出して、テーブルの上に置きました。
「デラ、勘違いしないで。」ジムは言いました。「髪形を変えたとか、顔を剃ったとか、シャンプーをしたとか、そんなことでぼくのデラを嫌いになんかならない。ただ、その包みを開ければ、ぼくがどうしてさっきあんなに戸惑ったのか、デラにも分かるよ」
白い指がもどかしげに、ひもを切って包装紙を開きました。そして喜びの叫びが上がり、次の瞬間には、ああ! その喜びはすぐに、ヒステリックな嘆きと涙へと変わったのです。主人は、あらゆる方法でデラを慰めなければいけなくなりました。
包みの中身は、「くし」でした。頭の横と後ろから髪に挿せる飾りぐしのセットで、デラはそれをブロードウェイのショーウィンドウで見てからずっと憧れていたのです。宝石のふち取りがついた、本物のベッコウ製の美しいくし。売ってしまった美しい髪に挿すにはぴったりの色合いでした。
高価なものだと知っていましたから、デラは今まで、自分のものにしたいなどとは思いもせず、ただただ憧れていたのです。それが今、彼女のものになりました。でも、憧れの飾りぐしが輝くはずのふさふさとした髪は、もう無いのでした。
しかし、デラはそのくしを抱きしめました。そしてようやく、うるんだ眼を上げて、微笑みながら言いました。「ジム、私の髪は、すごく早く伸びるの!」
それからデラは、やけどした猫のように飛び上がって叫びました。「あっ!」
ジムはまだ、デラからの美しいプレゼントを見ていないのです。デラは手を広げて、ジムにそれを差し出しました。プラチナの鈍い光は、熱心に輝くデラの魂を反射してきらめいているようでした。
「素敵でしょう、ジム? 街中を探して見つけたの。一日に何十回も時間を見たくなりそう。時計を貸してよ。どんなふうになるか見たいから」
ジムはそれには従わず、ソファに腰を下ろして、頭の後ろに両手を回しながら微笑みました。
「ねえ、デラ」彼は言います。「クリスマス・プレゼントは、しばらくしまっておこうよ。いますぐ使うにはもったいない。時計は売っちゃったんだ、くしを買うためにね。さあ、肉を火にかけて」
東方の三賢者は、ご存知の通り、賢い人たちでした。すばらしく賢い人たちでした。桶の中に寝かされた、生まれたばかりのイエスのために贈り物を持ってきたのです。これが、世界で初めてのクリスマス・プレゼントでした。贈る人が立派ですから、贈り物も立派でした。もしかすると、プレゼントがだぶったときには、別のものと交換できるサービスも用意していたかもしれません。
ここまで私は、アパート暮らしの愚かな子羊たちの平凡な物語を、つたないながらご紹介してきました。二人は浅はかにも、家にあった最高の宝物を、それぞれ失ってしまったのでした。
しかし、現代の賢者である皆さんに、最後にこう言わせてください。贈り物をするあらゆる人たちの中で、この二人は、もっとも賢い二人なのです。贈り物をあげたりもらったりする皆さん!
この二人のような人間こそが、もっとも立派な人たちなのです。世界中のどこでだって同じです。
彼らは、賢者なのです。
賢者の贈り物(The Gift of the Magi)
オー・ヘンリ O. Henry 作 (石波杏訳)
(http://www13.plala.or.jp/nami/index.html)より転載
----------
今日はクリスマスイブです。世界の多くの人々がクリスマス・イブを祝います。街に出かけて食事をしたり、パーティを開いたりして楽しみます。「賢者の贈り物」は貧しい夫婦の愛情のこもった物語で、この時期には必ず読まれる短編です。オー・ヘンリーは私の好きな作家ですが、他にも多くの傑作を残しいます。
明日はクリスマス。キリスト教徒は教会に出かけ、ミサに参加します。日本でも多くのミッションスクールでは冬休み前に講堂などで生徒・職員全員でミサを捧げます。クリスマスは「キリストのミサ」という意味です。
ウクライナ紛争やコロナ惨禍、物価高などにより暗い世相が続いていますが、来年は明るい年が来ますように祈りたいものです。人の心に平安を。世界に平和が訪れますように祈りたいと思います。
いつもより1日早いですが、今年のブログは今日で終わりです。次の日曜日は1月1日になります。時間があれば元旦に新年のブログを載せたいと思います。今年も1年お世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。
#462 ブックサンタ
今年も残り2週間となりました。昨日からの寒波で今日の最高気温は4度に止まっています。クリスマス寒波という表現がありますが、天気予報では今度の週末も雪の予報となっています。
ところで今度の土曜日はクリスマスイブ、日曜日はクリスマスに当たり、多くの家族やカップルが街に出かけて、クリスマスを楽しむことでしょう。しかしながら、昨今の物価高で外食や子どものためのプレゼントを買う余裕がない家庭が増えています。少なくとも幼い子どもたちに絵本でも買ってやりたいと思っている多くの親御さんがいらっしゃると思いますが、家計的にもなかなか余裕がない方が多いようです。
さて、ブックサンタという言葉をご存じでしょうか。書店で絵本を購入して、それを関連のNPOに依頼して、貧しい家庭の子どもたちにクリスマスの贈り物としてその本を届ける活動です。先日NHKのニュースで特集していましたが、私は初めてこの活動のことを知りました。その内容の一部を次に転載します。
----------
「ママ、生きてて良かったね」1冊の絵本が運ぶクリスマス
「ママ、生きてて良かったね」
去年のクリスマス、ふだん言葉数の少ない小学生の息子に言われて驚いた母親。思わずこぼれそうになった涙をこらえて答えました。
「そうだよ、生きていれば良いことってあるんだよ」
リレーのバトンのように1冊の絵本が届くとき、贈られる側にも、贈る側にも笑顔が生まれる。ことしの冬の、それぞれの物語です。
<「誰かのため」のサンタクロース>
冷え込み始めた12月上旬、友人と書店を訪れたのは都内で生花店を営む山岡まりさん(55)。“サンタクロース”になって、ことしで6年目になります。山岡さんが「ブックサンタ」という取り組みを聞いたのは5年前のこと。「あなたも誰かのサンタクロース」を合言葉に、クリスマスに自分が選んだ絵本を経済的に困窮する家庭などの子どもたちに贈ろうと、NPO法人が始めたものでした。
取り組みに参加する書店で絵本や児童書を購入すると、各地の拠点に送られます。その後、応募があった家庭の子どもたちの年齢などに応じて選書されたのち、支援団体やボランティアのサンタクロースによって届けられる仕組みです。
(山岡まりさん)
「楽しく本を読んでほしいなって。絵本を読んでいる間に暗いことってあまり考えないと思うので、そういう時間だけでもプレゼントになるんじゃないかなと思います。誰かはわからないけど誰かのためにプレゼントを贈るというのは、私にとってもすごく大事な行事になっています」
生花店を営んで17年目になりますが、コロナ禍で厳しい時間を過ごしてきました。
取引先の飲食店が営業できなくなり、人が集まって花を贈る機会も減り、売り上げは3割ほど減少。そこに物価高による仕入れ値の高騰が追い打ちをかけました。それでもことしは正月とお盆に、久しぶりに高齢の両親と会うことができたといいます。
(山岡まりさん)
「人に会う機会が増えたからこそ、また何か人にしてあげたいという気持ちが高まりました。こんな世の中ですし、コロナ禍で私自身も翻弄されたここ数年ですが、それはみんなにも起きていることで。やっぱり大事なことって、こういうあったかい気持ちだったりするのかなと思います」
<「クリスマスなんて…」を変えたくて>
このプロジェクトを始めたのはNPO法人「チャリティーサンタ」の代表、清輔夏輝さんです(38)。子どもを社会全体で支えるための活動をしてきた中で、困窮する家庭から「クリスマスなんて来なければいいのに」という声を多く聞いたことがきっかけでした。
(NPO法人「チャリティーサンタ」代表 清輔夏輝さん)
「クリスマスの準備ができず、ケーキもない、プレゼントもない、ツリーもない、ただの普通の1日でしかないという家庭があることが年々わかってきた。子どもの気持ちに立って考えると、学校や保育園、幼稚園で『きのう何もらった』『サンタさん、どうだった』と話が出た時に、何も言えずに下を向いてる子どもたちがいるというのは、何とかしたいと考えました」
最初は800冊から始まりましたが、去年はおよそ3万5000冊に。参加書店も58店から6年目の今年は779店舗に増え、初めて47都道府県すべてに広がりました。一方で、ことしは長引くコロナ禍の影響に加えて物価高も響き、家庭から寄せられる声は、去年以上に切実さが増しているといいます。
収入が上がらないけど、物価は上がり普段の生活品や食費でギリギリになっていて、プレゼントの用意をしてあげられる余裕がない」「娘が生まれてからクリスマスプレゼントを用意出来た事がありません。サンタクロースという存在は知っていますが自分の所には来ないと思っています」「事情を理解して我慢をしすぎてしまう健気な7歳の娘にとびきりのサプライズを贈りたいです」
(NPO法人「チャリティーサンタ」代表 清輔夏輝さん)
「社会は結構大変な状況にあって、それはどの家庭も一緒だと思いますが、クリスマスはどんな子どもたちも楽しみにして笑顔で迎えられる日にしたいと願っています。いろんな方たちの思いがあって届くので、まさに本というプレゼントを通じて“思いのバトン”が続いていくと感じています」
<「ママ、生きてて良かったね」>
そんな思いに支えられている親子がいます。11歳の息子と3歳の娘と3人で暮らす、やすこさん(37)。契約社員として働いていますが、コロナ禍で仕事が減り、収入が減少。さらに物価高も加わり、児童扶養手当をもらっても生活は厳しく、家賃を支払うと数万円しか残らない月もあるといいます。
(やすこさん)
「光熱費も最近あがってしまっているので、本当に厳しく切羽詰まっています。息子はお肉が大好きですがあまり買えないので、ごはんにふりかけをかけたり食パンを1枚、夜に食べたりしていることもあります。本を買うぐらいだったら食費に、となってしまう。生きるために」
砂糖をかけて焼いたトーストをケーキの代わりにした去年のクリスマス。子どもたちがとびっきりの笑顔を見せたのは、ブックサンタのサンタクロースが絵本を届けに来てくれたときのことでした。
(やすこさん)
「本当に目がキラキラして。長男が本をもらった時に最初に言った言葉が『ママ、生きてて良かったね』という言葉だったんです。びっくりして、それぐらい何か思い詰めていたんだなって。『そうだよ、生きていれば良いことってあるんだよ』と答えたんですけど、生きる源みたいな感じだったので、あーすごいなあって思いました」
「サンタさんってホントにいるんだね」そういって喜んだ子どもたち。翌日、学校や保育園でも「プレゼントもらったよ」「サンタさん来たんだよ」と話していたといいます。その後も、サンタさんの話はことあるごとに家族の話題にのぼり、もらった絵本は何度も何度も繰り返し読みました。去年以上に厳しい状況で、誕生日もプレゼントを用意できなかった今年、もしまたサンタさんが来てくれたなら…願うような気持ちで応募したといいます。
(やすこさん)
「用意して下さった皆さんの思いが詰まっているのをひしひし感じます。子どもたちの笑顔が私の中で一番の生きがいで、本をもらったときの顔は、本当だったら動画で撮って記録したいくらいでした。あの笑顔がまた見たいです」
(やすこさん)
「用意して下さった皆さんの思いが詰まっているのをひしひし感じます。子どもたちの笑顔が私の中で一番の生きがいで、本をもらったときの顔は、本当だったら動画で撮って記録したいくらいでした。あの笑顔がまた見たいです」
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221216/k10013917171000.html)
----------
この特集記事はまだ続きますが、興味のある方は上記のアドレスをクリックしてください。写真付きの全文がお読みいただけます。私も昨日近くの書店に出かけて絵本を数冊購入して、ささやかなブックサンタになりました。どこかの家庭の子どもたちに購入した絵本が届くことでしょう。その子たちの嬉しそうな笑顔を想像すると、私もほんのり幸せを感じることができます。Merry Christmas to You!
追記:
ブックサンタの詳細な情報は次のアドレスをクリックしてください。
https://booksanta.charity-santa.com/
#461 未だ見ぬ景色へ
サッカーワールドカップも準決勝のチームがすでに出そろい、来週の日曜日深夜には決勝戦が行われます。日本チームは決勝トーナメント1回戦でクロアチアにPK戦で敗れましたが、そのクロアチアは準々決勝でも強豪ブラジルを再びPKで破り、準決勝ではアルゼンチンと戦うことになります。
今大会ではPKによる勝敗が多いように感じられます。特に試合終盤になって同点に追いつき、延長戦でも勝敗がつかず、PK戦で強豪が敗れる波乱が続いています。そう考えますと、日本がPK戦で敗れたことは、勝負運が無かったと言えるのでしょう。
さて、今後日本チームがベスト8以上に進むには何が必要なのでしょうか。森安監督はテレビインタビューでしみじみと語っています。「日本チームが今以上に強くなるためには選手一人ひとりの力を向上させるとともに、チーム全体の実力を向上させる必要があります。」現場を指揮してきた監督らしい言葉です。
確かにサムライジャパンはこれまで以上に海外で活躍している選手が増え、海外の各チームで堂々とプレーしています。しかし、これだけでは何かが足らないのです。例えばメッシやロナウド、ネイマールに匹敵するようなスーパースターはまだ日本にはいません。チームを引っ張っていけるほどのスーパースターがこれからの日本には必要です。また試合戦術として日本は守備力を中心としたチーム力を養成し、速攻で得点を取る戦術を主として用いてきましたが、準々決勝の試合を見ていますと、守備に徹したチームはありません。守備にも攻撃にも臨機応変に戦術を変えていけるような本物の実力を持ったチームを創り上げることが、ワールドカップで優勝できるチームと言えるでしょう。日本サッカー協会は2050年までに優勝できるようにチームを作りたいと言っていますが、選手個人の実力をさらに磨き、日本人らしい戦術を考え、その両輪がうまく回った時に優勝への道程が見えてくるものと思います。
さて、他のスポーツではどうでしょうか。日本プロ野球が誕生した経緯は、1934年11月ベーブ・ルースら米大リーグ選抜チームが全日本チーム等と16戦を行い、全勝しました。12月には、この全日本チームを中心として大日本東京野球倶楽部(現在の読売ジャイアンツ)が誕生しました。
そして1936年には東京巨人、大阪タイガース、名古屋、東京セネタース、阪急、大東京、名古屋金鯱の7球団により日本職業野球連盟創立、プロ野球のリーグ戦がスタートしました。プロ野球は90年ほどの長い歴史があります。その結果アメリカ野球と肩を並べるほどの実力を身につけ、イチロー選手や大谷選手のような大リーグで堂々と活躍できる選手が登場しています。
一方、日本サッカーのプロ化は1993年に始まったに過ぎません。日本サッカーが日本プロ野球と同じくらい長く歴史を刻めば、それなりの輝かしい歴史を作ることになるでしょう。何事も訓練と経験の賜物です。ヨーロッパや南米のプロサッカーは長い歴史を持っています。サッカーは歴史でありその国のスポーツ文化でもあります。サムライジャパンの今後の成長を見守りながら、少しでも早くワールドカップでベスト8以上に進める日が来ることを楽しみに待ちましょう。
#460 1ミリの勝利
季節はすでに冬に変わり、今年も残りひと月となりました。12月になり急に寒さが増して、最低気温が10度を下回る日が出ています。先月までは気温が平年を上回る日々が続いていましたので、それだけ寒さが身に沁みます。
さて、ブラボー!ブラボー!ブラボー!です。サムライジャパンがまたやってくれました。強豪スペイン相手に2‐1の勝利を手にし、決勝トーナメントに進みました。試合が金曜日早朝4時にキックオフでしたが、国内の大勢の人が寝ないで、または早起きして応援していました。私も4時過ぎに起きて前半を応援しましたが、残念ながら1失点されて前半を終えましたので、試合後半はスペインが守りに入り、敗戦が濃厚だろうと思って、一度布団に入り眠ろうと思いました。
しかし試合経過が気になり30分後に再びテレビをつけると2‐1で日本が試合をリードしていました。一瞬我が目を疑いましたが、確かに日本がリードしていました。その後何度も日本チームは危機を迎えましたが、それをみごとに乗り切り、歴史的な勝利を収めました。
勝因は三苫選手のボールを諦めずに追いかけた1ミリの勝利だと言われています。スポーツの種目によって定義が異なりますが、サッカーではボールの中心がラインを超えても、ボールの端が1ミリでもラインにかかっていれば「イン」扱いとなります。今回から導入されたVARの写真でもボールがラインにギリギリかかっています。最後まで諦めない日本チームが劇的な勝利を勝ち取ったと言えるでしょう。
次は決勝トーナメントでクロアチアと対戦しますが、さらに苦戦が続くことでしょう。決勝トーナメントに進むチームはどこの国であっても実力があり、どの試合も激戦が予想されるからです。
どのスポーツでも言えることですが、相手のペースで試合をすることは避けなければなりません。たとえ格下の選手やチームであっても、相手のペースで試合を行うと逆転され、負けにつながることが多いのです。私は20年ほどテニス部の顧問をしていましたが、時々生徒たちがシード選手に勝利することがありました。その時は生徒たちがシード選手を相手に自分たちのペースで試合を進め、それが最終的に勝利につながりました。また逆のことも有り得ます。格下相手に負けるときには、必ず相手のペースで試合が行われ、いつの間にか負けていました。
次の試合でサムライジャパンはどのような試合運びをするでしょうか。とにかく相手の試合運びに乗らないことです。ドイツ戦やスペイン戦のように、自分たちのペースで試合を進め、少ない機会を確実に決めて、勝利してもらいたいと思います。日本人の特性である協調性と組織的な戦いで新しい景色を私たちに見せてもらいたいものです。
頑張れニッポン!
#459 悲劇から歓喜へ
11月もすでに最終週となり、晩秋から初冬へ季節は移り変わっていきます。週末には寒気が予想されており、本格的な寒い季節がもうすぐやって来ます。そして1年の納めとなる師走が始まります。今年も残り1か月あまりとなっています。
さて、冬の寒さを吹き飛ばすくらい日本国中が沸いています。そうです!サッカー日本チームの大躍進です。ドイツ戦に2-1で逆転勝利して以来、連日新聞やニュース、テレビ番組で優勝したような熱気で報道合戦が繰り広げられています。サッカーファンでなくても毎日サムライジャパンの話題を口にする日々が続いています。そして今日予選の最大の山場となるコスタリカ戦が本日午後7時から始まります。
1993年の「ドーハの悲劇」から早や29年でドイツに勝利した日本サッカーは着実に実力をつけてきました。このドーハの悲劇とは、「1993年10月28日にカタールの首都・ドーハのアルアリ・スタジアムで行われたサッカーの国際試合で、日本代表対イラク代表戦の日本における通称です。1994年アメリカワールドカップ・アジア地区最終予選の最終節で行われたこの試合は、第4戦終了時点で日本は勝ち点・勝率においてグループ1位となり、初のワールドカップ本戦出場に王手をかけており、ほぼ確定的と思われていました。そんな中、最終第5節において、試合終了間際まで2-1でリードしていながらロスタイムにイラク代表に同点ゴールを入れられ失点したこと、引き分けでありながら勝点が同じ韓国に得失点差で敗れて「グループ3位」となって予選敗退してしまったことから、日本サッカー史において伝説的な出来事として扱われるようになりました。
なお、日本がワールドカップ本選出場を果たすのは、1997年11月16日、『1998 FIFAワールドカップ』フランス大会になります。このアジア最終予選のアジア第3代表決定戦をイラン代表と戦い、勝利を収めたことによりFIFAワールドカップ本戦初出場を決めたことから、『ジョホールバルの歓喜』と呼称されました。(ウィキペディアより)
私も当時この試合をテレビ観戦しており、ワールドカップに初出場できるものと確信していた際にゴールを決められ、奈落の底に落とされた気がしました。1998年のフランス大会で初めてワールドカップに出場した日本はグループリーグでなかなか勝利に結びつかずに世界との実力の差を感じたものでした。それから四半世紀が経ち、多くの日本選手が海外へ進出し、活躍している昨今です。そんな中でドイツに勝利したのは単なる奇跡ではなく、ある意味では日本サッカーの進歩だと言えるでしょう。
「サッカーは文化だ」と、よく言われますが、確かに試合運びやボールに対する執着心など国により地域により微妙な差が出てきます。この態度を「文化」という言葉で言い表すのは面白いと思います。たとえば日本サッカーはあまり反則やずるいプレーをしない傾向にありますが、南米や他の地域では堂々と行われます。特にシュミレーション行為(反則・違反行為を相手にされたふりをすることです。シミュレーションとは悪いことのように思いますが、実際にプレーをしてみると危険なタックルには身体が勝手に反応して避けることもあり、シミュレーションとの見極めは難しいものです。)を堂々と行います。
今回のワールドカップではオフサイドなどの行為をAIを用いて厳しく監視しています。また選手交代も通常3名から5名に変更しており、この点では日本人選手にとって有利になっていると思われます。
また、「文化」と言えば、ワールドカップで名物になっているものが試合終了後の日本人の清掃活動です。観客席だけでなく選手ロッカールームの片付けなど日本人独特な美意識が毎回世界の注目を浴びています。これこそが日本が世界に誇れる「文化」です。
さあ、コスタリカ戦が近づいてきました。日本サッカーが花開く時です。日本国民全員が一丸となって応援する時です。選手には悔いのない戦いをして頂きたいものです。
頑張れ日本!
#458 ニーバーの祈り
ラインホールド・ニーバー "The Serenity Prayer"
「ニーバーの祈り」
神よ
変えることのできるものについて
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては
それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。
そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを
識別する知恵を与えたまえ。
「ニーバーの祈り」は、アメリカの神学者であり牧師でもあったラインホールド・ニーバーが、1943年の夏、マサチューセッツ州西部の小さな教会で説教したときにした祈りの言葉だと言われています。しかし、この祈りの作者は18世紀の神学者フリードリッヒ・クリストーフ・エーディンガーだという説や14世紀の一兵士の祈りであったという説、古代アラビアから伝わってきた祈りだという説もあります。また、上の英文とは異なる祈りや、付加された祈りがあるものなどがあり、実際にはその作者はわかっていません。しかし、どのような文にせよ、神の知恵を知り、心の静けさと幸福を得る祈りとして、参考になると思います。
(https://hannah5.exblog.jp/2633255/)
----------
上記の「ニーバーの祈り」は様々な所で引用される言葉です。昨日は期末試験の問題を作成しながらNHKのEテレを見ていました。午後2時から「心の時代」の再放送があり、女性漫画家の高浜寛(かん)さんの特集でした。彼女のマンガは日本よりも海外、特にフランスでとても人気があり、「ニュクスの角灯(ランタン)」は2018年に第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞受賞、2019年にリーヴル・パリ(フランス語版)レコメンド作品、2020年に第24回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞するなど、秀作として知られているそうです。
番組の中で高浜氏は連載中の2016年に熊本地震に被災したこと、アルコール依存症と闘病してきたことなどを語り、その中で「ニーバーの祈り」を引用していました。彼女は、「他人は変えられない。変えられるのは自分です。」と意味深に語っていました。彼女艱難苦難の人生をふり返って口から出た珠玉の言葉として、心に響きました。
ちなみに、この「ニーバーの祈り」は福岡雙葉学園の理事長であったシスター金森が年頭の挨拶や学園の研修会等で、引用されたことを覚えています。世の中には自分の力では変えることのできない多くの事柄があります。特に対人的な問題には、相手を非難したり、自分の主張を押し付けたりしがちですが、それでは人間関係がうまく行きません。そういう時には一度立ち止まって、無理やり相手を変えようとするのではなく、自分を変えることによって物事が前に進むことがあります。
すべての争いの根源は相手の気持ちを考えず、自分の意思を押し通そうとする偏狭な精神にあります。個人の争いもしかり、国家間の紛争もしかりです。相手が何を望んでいるかを冷静に考え判断し、お互いの一致点を見出す努力が必要となります。それが世の中を平和に導く有効な手段となります。世の中がギスギスしている今、「ニーバーの祈り」は、まさに必要な祈りであり、賢明な思考です。
#457 世界で一番正直な国
久しぶりの雨でした。昨晩遅くから降り始め、早朝まで続いた3週間ぶりの雨でした。確かに秋は他の季節と比べて雨の少ない季節ですが、ここまで晴天が続くのは珍しいことだと思います。昨日は気温が25度を超えましたが、湿度が低く、爽やかな一日でした。久しぶりに荒尾ユメタウンにある紀伊国屋書店まで自転車で行って来ました。当塾から片道50分ほどかかりますが、湿度が低いために汗をかくこともなく、さわやかなサイクリング気分でした。周りの田圃は稲刈りがすべて終わり、来年の田植えの時期まで少しの眠りにつきます。炭鉱が盛んだった私が子どもの頃は太牟田・荒尾は炭鉱の町として繁栄していました。今はその面影もなく、炭鉱跡地がひっそりと佇んでいます。
さて、ネット・サーフィンをしていましたら面白いYouTube記事を見つけました。「世界で一番正直な国はどこか」を調べるために財布を故意に落として、財布が戻ってくるか、という実験です。
その内容は、海外のユーチューバーの方で、「街中で財布を落とすと日本人はどう反応するか」を試した方がおり、財布には5000円を入れておきます。50回落として、なんと50回すべてそれを拾った人が本人に届けるという結果でした。しかもほとんどの日本人は、拾ったあと皆小走りで。中には重いキャリーバッグを引っ張っていた女性もいましたが、彼女もその荷物を引きづりながら、走って本人に届けていました。
日本人は世界でも誠実な国民性で知られていますが、この実験はその一端を示しているかもしれません。ただ、財布が道端に落ちていた場合に、その財布が落とし主に届くかは別問題です。海外では届く可能性は遥かに低く、落としたものは帰ってこないのが常識ですが、この場合にも外国人の観光客が落とした貴重品などが滞在場所に届けられ、大変驚いた等の意見がたくさんあります。
ただし、この日本人の誠実さを利用し、オレオレ詐欺などの犯罪に付け込まれているのが悲しい現実です。騙されないように時と場合により猜疑心を持つ必要もあります。
外国人が驚いた日本「世界一正直な国」
#456 明光学園創立70周年
爽やかな秋の日々が続いています。「食欲の秋」であるかのように、様々な秋のおいしい食べ物がスーパーの棚に所狭しと並んでおり、食欲をそそります。ただし、食欲にまかせて食べ過ぎますと、「天高く馬肥える秋」となりますので、充分な注意が必要です(笑)。
さて、昨日(11/5)私が非常勤講師をしている明光学園が今年創立70周年を迎え、その感謝ミサと講演会が開催されました。明光学園のホームページによりますと、明光学園は、五大陸36ヶ国にあるカノッサ修道女会(本部ローマ)が設立した日本で最初の学校です。
全世界に約160の姉妹校があります。1952年、まだ世の中が第2次世界大戦後の混沌とした状況にあり、女子教育がなおざりにされていた時代に「有明の地の光のごとき存在であるように」との願いを込めて大牟田の地に設立されたのが。「明光」の名の由来となっています。最近では男子校や女子校の共学化が福岡県内でも進んでおり、筑後地区では明光学園が唯一の女子校となっています。
昨日講堂に中高生や、教職員、学園関係者が集まり、感謝ミサが行われました。その後、「女子教育の大切さ」という演題で講演会が行われました。講師は田瀬和夫氏。この方は国連のUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で緒方貞子氏の下で10年ほど働いた方です。近年では世界的にSDGS(持続可能な開発目標)が声高に叫ばれていますが、このSDGSを達成するためには女子教育が必要であると氏は説明します。例えば、発展途上国の貧困から抜け出すために女の子に教育を与えると、彼女たちは手に職を身につけ、自立し、それが社会や国の発展につながる、と力説されています。翻って、女の子に教育を与えない現在の環境では人身売買で他国に売られたり、強制労働をさせられたりして、奴隷のよう扱われ、命を落としたり、自立した人生を歩むことができません。
日本のような先進国では想像できませんが、貧困がありふれた社会では、子どもたちがゴミ捨て山から使えるものを探して生活費を稼いだり、腐った食べ物を探して、その日の食事を取っています。このような状況は東南アジア、中南米など、世界中に多く存在し、子どもに対する人権が奪われています。田瀬和夫氏はこのような状況を打破するための企業(SDGパートナーズ)を設立し、活動している方です。
生徒たちは真剣に講演会を聞いていました。いずれは大人になり、社会に出ていく彼女たちにとり、まだ日本社会は男性優位の社会です。様々な差別や偏見と戦って行かなければなりません。今日の創立記念ミサと講演会は彼女たちにとって大変役立ったことでしょう。
明光学園HP:https://welcome.meiko.ed.jp/
SDGパートナーズ: http://sdgpartners.jp/
#455 笑点に女性大喜利回答者誕生か?
秋らしい日が続いています。朝晩は気温が10度近くまで下がりますが、日中は20度を超える気温になり、湿度も低いので、遠くの山々が鮮やかに姿を見せています。紅葉まではまだ時間がかかりそうですが、スーパーマーケットの果物や惣菜コーナーには秋の食べ物が並べられ、「食欲の秋」を満喫できます。
さて今日は芸能の話題を一つ。毎週日曜日の夕方に放送されている人気番組「笑点」ですが、私は毎週欠かさず楽しみにしている番組の一つです。円楽師匠の死去により、その座が空席となっています。毎回様々な落語家がその席に座り、名(迷)回答を繰り広げています。おそらく日本テレビは後継者を探していることでしょうが、ある女性落語家に今スポットが当たっています。本日のブログはこの女性落語家を紹介します。
----------
『「笑点」史上初の女性大喜利回答者として大注目!ーー落語家・蝶花楼桃花「“女”なことはプラマイゼロ!」』
今年の3月に真打昇進後、7月には過去最速で主任(トリ)を務めた落語界のホープ。ルックスと実力を兼ね備える彼女はどうやって現在の地位まで上り詰めたのか。
うまい、かわいい、華があると三拍子そろった “寄席のプリンセス” は2022年3月、真打に昇進。蝶花楼桃花(ちょうかろうももか)という美しい高座名で活動していくことになった。前座名は春風亭ぽっぽ、二ツ目時代は春風亭ぴっかり☆。
「師匠の春風亭小朝から、『破裂音は耳に残る』と教えられていたのでまたパ行の名前かとも思っていたんですが、さらに素敵な名前をいただきました。真打はお披露目もあるので、師匠に一門全員が呼ばれたんです。高座名が何になるかは1ミリも知らずに行ったら『では、ぴっかり☆の新しい名前を発表します』って。師匠が『デレレレレレ』って口でドラムロールしながら一文字ずつ出していくという(笑)。蝶、花……蝶花楼だー! って頭の中で思いました。まさかの!
って感じでしたね」
七代目馬楽が2019年に亡くなってから誰も名乗っていなかった蝶花楼は、落語界の亭号のひとつ。小朝師匠の大師匠(師匠の師匠)である林家彦六が五代目蝶花楼馬楽を名乗った時期があり、一門には縁のある名前なのだ。
「蝶花楼とはなんて素敵なところを見つけてくれたんだろうと思いました。すごく嬉しかったですね。大きな名跡であるうえに女性が継いだことがないですし、字面がきれいじゃないですか。さすが師匠って思いましたね」
■宝塚に憧れる少女が突然落語の世界に
いまや注目の噺家として大活躍の桃花師匠だが、もともとは舞台女優に憧れていた。
「幼稚園に移動ミュージカルが来まして、それを観て舞台に立ちたいと言いだしたのが最初。小学生で宝塚歌劇団にハマって……涼風真世さんが好きで、ファンクラブにも入ってました。宝塚に入りたかったんですけど、私、すごいちびっ子なのでとても無理だと挫折して。それで尚美ミュージックカレッジ専門学校を出て、演劇倶楽部『座』に研究生として入ったんです」
「座」は日本語を美しく語ること、日本の伝統的身体表現(落語・歌舞伎・狂言・日本舞踊)に力を入れている育成所。そこで、桃花師匠は天啓を受けることになる。
「ある日、鈴々舎馬桜師匠が講義に来て『いろんな伝統芸能を観たほうがいいよ』って。それで寄席に行き始めたんです。たくさんの伝統芸能を観たんですけど、落語がいちばん自由だなって思いました」
寄席に通ってさまざまな師匠の噺を聴き、多くの本を読んだ。そして、春風亭小朝師匠へ入門をめざすことになる。
「小朝の弟子になりたいと思ったのは、師匠の落語が大好きっていうのはもちろんですが、なんでも受け入れてくれる柔軟な考えができる方だと感じていたので。自分が女として落語をやっていくことを考えたとき、師匠みたいな噺家になりたいと思ったんですよね」
最初は落とされるつもりで小朝師匠のところへ行ったという。「何回か断わられて、『親連れてこい』とかね……そういう弟子入りの儀式みたいなものがあるのだろうなと思っていました。とにかく一回断わられに行こうと、いろいろ調べて府中の独演会の昼夜の間に乗り込んでいったんです。いきなり楽屋へ行って『弟子入りしたいんです』って言ったら『弟子入りっ!?』『師匠、弟子入りで女のコが来てますー!』みたいな。
それでも一所懸命に気持ちを伝えたら、マネージャーさんに『このコ、採るよー』って師匠が言ったんです。えっ、採ってもらえるの? と思っていたら『明日から来なさい』と言われ、翌日に横浜の独演会に行きました。そこで『君、ぽっぽって名前になったから』『ありがとうございます!』となったんです。そのときからいきなりバーンと落語家人生が始まっちゃいました」
■修行の日々に染みた厳しさと優しさ
そこから1年弱が見習い、そのあとの前座としての毎日。あわせて5年の修行の日々。
「前座は全員そうですけど、自分の時間は1秒もないです。365日寄席か師匠の家に行く。師匠のおつかいをしたり、カバン持ちをしながら、合間には稽古もつけてもらいましたし、ほかの師匠のところに出稽古にも行きました。菓子折りを持って『お願いします』ってお伺いして、教えていただく。
たとえば、いきなり(立川)志らく師匠のところに行って『小朝のところのぽっぽと申します。噺を教えてください』ってお願いしたり。すると『君、誰?』みたいな顔をしながら、ホントはすごく優しくてちゃんと教えてくださる。落語ってそんな世界なんです」
<入門5年で二ツ目に昇進、春風亭ぴっかり☆となる>
「名前に☆がついて(笑)。そのときもいきなり『君、ぴっかり☆だから』って。二ツ目になると師匠の名前から一文字をもらったりすることが多いんです。私も師匠の文字が欲しかったので、少し抵抗したんですよ。でも皆さんがすぐに覚えてくださるので、結局『ぴっかり☆』も大好きな名前になりました」
■緊張していないふりをしていた『笑点』
真打昇進以降、多忙な桃花師匠。そのなかでも世間にインパクトを与えたのは、今年9月4日の『笑点』(日本テレビ系)への出演だろう。
「『堂々としていたよ』と言われますが、本当は緊張していないふりをするのに手いっぱいでした。やっぱりあの舞台に立たないとわからない独特な空気感がありましたね。歳の近い宮ちゃん(桂宮治師匠)にはかなりニヤニヤされましたが、あのメンバーのなかでレギュラーをやっていることをあらためて尊敬しました」
注目された大きな要因は『笑点』史上初の “女性” 大喜利回答者であること。 “女性落語家” と呼ばれることを本人はどう考えているのだろうか。
「全然なんにも気にしてないです。気を遣っていただいて “女性” ってつけない方もいらっしゃいますが、お気持ちだけありがたくいただくことにしています。私をちゃんと認めてくださる方の言葉なら、なんと呼んでいただいても嫌ではありません。女性であることで、損することもあるんですけど、そのぶん得することもあるから、プラマイゼロかなと思っていますね」
<階段を着実に上り続ける彼女に、今後の目標なども聞いてみた>
「独演会を中心にいろいろなことをやりたいですね。ミュージカルだって、お話が来たらやりますよ! 来ないと思うけど(笑)。あとは寄席に託児所を設けるとか、見やすい環境を整えられればなと。寄席って長時間なんですよ。さすがに4時間は長いし、ハードルが高い。どうしたら女性や若い方が見やすくなるのかを考えた取り組みはしていきたいですし、広く愛される落語界にできたらいいなと思っています」
<ちなみに独身の桃花師匠。さらにおめでたい話などは?>
「結婚ねえ……。最近興味がなくなってきちゃって(笑)。二ツ目の最初のころは、本気で結婚しようと思っていて、モテようとしていた時期があったんですけど、この歳になるともういいかなって。まあ今は落語で手いっぱいですけど、頑張ってるといい話があるかもしれないですよね」
蝶花楼桃花(ちょうかろうももか)
二ツ目時代に「浅草芸能大賞」新人賞受賞。「NHK新人落語大賞」では3度にわたり決勝進出。11月1日なかのZERO(東京)、11月7日今池ガスホール(名古屋)、12月19日ABCホール(大阪)で真打昇進披露公演を開催
(https://smart-flash.jp/entame/207442)
----------
どの芸の道も厳しい修業がありますが、特に話芸には師匠について長年修業を続けても大成しない弟子がたくさんいます。もし蝶花楼桃花さんが笑点の正式な回答者になられたら心から応援したいと思います。
#454 偉人のことば(2)
今日は朝から快晴で、吹く風は涼しいのですか、気温が日中25度まで上昇し、まるで真夏が戻って来たような一日でした。さて前回に続いて今回のブログも「偉人のことば」を紹介したいと思います。
----------
「成功とは失敗に失敗を重ねても情熱を失わないことだ」ウィンストン・チャーチル
20世紀最高のリーダーとして誉れ高いチャーチルは、実のところ落ちこぼれ人生を歩んできた人。中高時代は学業不振の「できそこない」、後に演説の名手となるものの長い間吃音に悩み、首相に就任するまでには失敗も多く、罷免されたこともありました。しかしナチスドイツの猛威を警戒していた彼は諦めるわけにはいかなかった。政界から追われた時期も、大量の読書をし、人に会い、知性を磨いた。その努力こそが第二次大で英国を勝利に導いたのです。情熱を失わない限り、成功の道は開けています。
----------
「涙とともにパンを食べたものでなければ、人生の味は分からない」ゲーテ
うれしいことや、楽しいことばっかりだったらいいのに……。辛いことがあると、そんなふうに思うものです。しかし、人は過去に辛いこと、苦しいことがあってはじめて幸せを知ることができます。生まれてからずっと楽しかったら、「楽しいこと」を感じ取れないでしょう。苦しみがあるから、楽しみがあり、うれしさがあるのです。幸福と不幸は表裏一体、コインの裏表のようなもの。深い辛さや、苦しみを知っているほど、大きな幸福を味わうことができるのです。
----------
「自分がみにくいアヒルだと思っていたころは、こんなたくさんの幸せがあるなんて思っても見なかった」アンデルセン
「みにくいアヒルの子」は、作者アンデルセン自身がみにくいアヒルの子と同様に、周りに対して劣等感を抱き苦しんだ姿を重ね合わせた物語。人と自分が異なる存在であることは当然です。しかし、自分が劣等感に苛まれていると、苦しくてそれに気づくことができません。この物語は、劣等感はそもそも持つ必要がないことと、人との違いを受け入れることの来説差を教えてくれます。
----------
「うつむいたままでは、虹は見つけられない」チャップリン
チャーリー・チャップリンの両親はミュージックホール歌手でしたが、彼が1歳の時に離婚。彼は声が出なくなった母親の代わりに5歳から舞台に立ちます。母親が精神を病み、孤児院へ送られると、生活を支えるために床屋、印刷工、ガラス職人などあらゆる職に就きながら、俳優の勉強をしました。これはどん底生活から這い上がり、稀代の喜劇役者になった彼らしい言葉です。悲しいからといって泣いてばかりでは、美しい景色もかすんでしまいます。少し休んだら、顔を上げて前に進みましょう。必ず新しい希望に出会えるはず。
(「美しい絶景と勇気のことば」パイインターナショナル社より抜粋)
----------
いかがでしたか。偉人のことばには、その人が生きた深い人生訓があります。もちろん有名無名にかかわらず、人の生きた轍そのものが人生訓となり、偉人のことばとなります。あなたはどんなことばを人に伝えたいですか。
#453 偉人のことば(1)
この時期に近くの通りを歩きますと、甘酸っぱい、ほのかな香りが漂っています。モクセイの花の香りです。毎年この香りを嗅ぐと、そこら中に秋らしさを覚えます。そしてモクセイの香りが消えますと、季節は晩秋へ向かい始めます。
さて、今日は古今東西の偉人たちが残した言葉に触れてみたいと思います。様々な分野における名を遺した偉人たちの言葉です。
----------
『人生は一番美しい童話である』アンデルセン
美しくも悲しい童話を数多く残したアンデルセン。彼の物語と同様、現実の人生は美しいことばかりではありません。苦しみや悲しみ、心が折れそうな試練を受けることがあります。でも、なんの試練もない人生があるとしたら、それは本当に幸せでしょうか?誰の人生にも雨風があるからこそ、やがてあなただけの「美しい童話」になります。もし今、不幸に見える出来事に遭遇しているとしても、ハッピーエンドに向かう途中ととらえてみると、新たな扉が開くでしょう。
----------
『心が暗ければ出会うものすべて災いとなり、心が太陽のように明るければ出会うものすべてが幸いとなる』空海
何かハプニングがあったとき、それを災難と思うか、面白いと思うか、すべてはあなたの心の感じ方が決めています。不安や心配が心を支配していると感じたら、身の回りに感謝できるものを探してみましょう。出会う人やものすべてに「ありがとう」の気持ちで接してみることです。すると、この言葉にあるように「心を太陽のように明るくする」ことができます。幸せだから明るいのではなく、明るくしているから幸せなのです。心の在り方が先、現実は後からついてきます。
----------
『みんなが考えているより、ずっとたくさんの幸福があるのに、たいていの人はそれを見つけられない』メーテルリンク
メーテルリンクの代表作「青い鳥」の中で、貧しい木こりの子チルチルとミチルが魔法使いのおばあさんに頼まれ、幸福になれるという「青い鳥」探しに出かけます。しかし、どの国へ行っても、「青い鳥」は見つかりません。やがて二人が目を覚ますと、青い鳥は目の前の鳥かごの中に……。「幸せを手に入れることは難しい」と思っていませんか?幸せはすでに手にしているものの中にしか感じることはできません。健康・食事・家族・友達自然……ごく身の回りにある幸福を数えてみましょう。すでに手にしている多くの幸せに気づくはずです。
----------
『やさしい言葉は、たとえかんたんな言葉でも、ずっとずっと心にこだまする』マザー・テレサ
あなたは誰かから言われて、忘れられない言葉はありますか?この言葉にある「やさしい言葉」とは「相手のことを大切に思う気持ち」入った言葉ではないでしょうか。落ち込んでいる時、前向きになる言葉をもらうと、確かに救われた気持ちになるものです。でも、厳しい内容の言葉をもらったとしても、その言葉の裏に相手も真心を感じれば、あなたの心にこだまのように響くでしょう。自分からも意識して周りの人にやさしい言葉をかけて行きましょう。知らず知らずのうちに誰かの助けになるかもしれません。
----------
上記の言葉は「心が元気になる美しい絶景と勇気のことば」(パイ・インターナショナル)に含まれる言葉の一部です。言葉の背景には美しい風景写真があります。写真集としても楽しめる1冊です。次回のブログもこのテーマを続けます。こうご期待!
#452 働かないアリは何をする?
今日は3連休の中日ですが、午後から小雨が降り出しました。秋雨というには暖かい雨となっています。今日の雨を境に秋が深まっていくと予想できますが、最高気温はまだ20度を超すほど暖かく、もう少し半袖で過ごしやすい日々が続きそうです。
さて、「アリとキリギリス」に出てくるアリは働き者で有名ですが、中には「働かないアリ」も一定の割合で存在することは知られています。それでは、このアリたちは何をしているのでしょうか?今日はこの話題に関する記事を紹介します。
----------
『2割の働かないアリ、無駄な存在ではなかった…
…ある程度いる方がコロニーやや長く存続』
寓話ぐうわ 「アリとキリギリス」で働き者として描かれるアリ。しかし、集団の中には、鈍すぎて仕事に気がつかない働きアリが交じっているという。働かないアリが無駄な存在かというと、そうでもない。
北海道大の長谷川英祐准教授(進化生物学)が日本全国にいる「シワクシケアリ」を観察したところ、全体の2割程度の働きアリで仕事をしているそぶりが見られなかった。さらに、コンピューターを使って、働きアリが一斉に働くコロニー(集団)と、働かないアリが一定程度いるコロニーを仮想して比較すると、働かないアリがいる方が、やや長く存続することがわかったという。
一斉に働くと短期的には仕事の効率はいいが、やがて皆疲れて動けなくなる。卵の世話など中断できない仕事が滞って、コロニー全体の維持に影響する。働かないアリがいれば、疲れて休んでいるアリに代わって働ける。長谷川さんは、働かないアリは緊急事態に出動する「待機要員」と推測、「目先の効率だけを追い求めすぎると、その集団は早く滅ぶ」と指摘する。
<無駄の進化 生物多様性支える>
無駄は、自然界での様々な生き物の共存に一役買っている。東北大の近藤倫生教授(生態学)らの研究によると、生き物の多くは、種の繁栄にはつながらない見た目や機能を進化させるためにエネルギーを無駄に割いている。例えば、ひときわきらびやかな羽を持つオスのクジャク。美しい羽は、メスに選ばれて子孫を残しやすくする反面、目立ちすぎて天敵に狙われやすいなどのデメリットにもなる。
他の生き物たちとの生存競争を勝ち抜くのに有利な特徴ではなく、クジャクという種の全体からみると、繁栄にはつながらない。鳥たちがさえずる歌や求愛ダンス、オスのシカの角なども、種の繁栄にとっては無駄な機能なのだという。
だが、生物多様性という観点でみれば、逆に大切な進化となる。これらの進化にエネルギーが注がれることで、他の生き物を根絶やしにする強い種が登場しにくくなる。その結果、弱い種も生き残れるといい、近藤さんは「無駄の進化が生物多様性を支えている」と強調する。
<仕事は7割で>
アリやクジャクなどの生態をひもといてみても、無駄には、様々な意味があるようだ。「目的でとらえ直せば、多くのことは無駄ではなくなる」。「無駄学」の著書もある東京大先端科学技術研究センターの西成活裕教授が解説してくれた。
一例を挙げると、本の目的を「情報をできるだけ多く伝えるもの」と考えれば、四隅の余白は無駄なものだ。しかし、「知的活動を助けるもの」だと定義すると、書き込みもできる余白は無駄ではなく、むしろ欠かせないものとなる。
西成さんが提唱するのは、7割くらいの力やメンバーで取り組み、予定の間にはゆとりを設けるという仕事術だ。仮に病欠などが相次いだとしても、残り3割のメンバーでカバーできる。この3割は短期的には無駄に見えても、長期的な計画を立てたり、詰まってしまった予定を解消したりするのに使える。
西成さんは「何が起きるのか予測できないのが現代だ。いざという時に対応できるようにゆとりを持っておいた方が強い。そのゆとりが普段は無駄に見えてしまうだけだ」と話している。
(https://www.yomiuri.co.jp/science/20221008-OYT1T50222/)
----------
大局的に見ると、自然界には一切の無駄は存在しないようです。例えば、里山の雑草はあくまでも人間が雑草だと思っているだけで、自然界の立場で考えると、雑草はそれぞれ特定の働きをし、虫たちに宿を提供し、里山の保水や気温の調節にも役立っています。禅の教えにもありますように「自然には一切の無駄はない」ということになります。
ひるがえって、人間社会はどうでしょうか。自然界の同じ法則が当てはまることと思いますが、「働かないアリ」のように「窓際族の社員たち」は危機にある会社を救うことになるのでしょうか?倒産の危機に瀕した所属団体とって「窓際族アリ」は救世主となることができるでしょうか?答えは「……?」です。
#451 絶版大国
季節は進み、もう10月になりました。この時期にいつも感じることですが、今年もあと3か月になりました。10月らしく日中は残暑が厳しい日が続きますが、朝晩はすっかり涼しくなっています。そろそろ衣替えをしても良い時期になりました。
さて、この数か月で国内外の要人、著名人が相次いで亡くなりました。安部元首相、ゴルバチョフ元書記長、エリザベス女王、そして落語の6代目円楽、プロレスのアントニオ猪木さんが先日亡くなりました。円楽さんは笑点の主要メンバーとして活躍しました。猪木さんはプロレスの大スターとして活躍しました。お二人に衷心よりお悔やみ申し上げます。
ところで、日本は活字大国と言えます。街の書店には多くの雑誌や本が並び、最近ではスーパーマーケットやコンビニの一角に書籍コーナーがあり、必要なものはある程度購入できます。ところが活字大国の日本では書籍に関して悲惨な結果が待っているのです。つまり扱われる書籍は数年たつとすぐに絶版になります。この現状を説明している記事を見つけましたので、一部転載します。
----------
『「絶版大国」と電子書籍』
以前から、日本は「絶版大国」だなと感じています。どういう意味かというと、出版された本がしばらくすると絶版、ないしは永遠の品切れになってしまって、なかなか入手できない国、という意味です。英語の本ならば20年前、30年前に出版された本でも、通販大手のアマゾンで新品を購入可能なことが多い一方、日本の本はすぐに絶版や品切れになってしまうと感じています。
東京・神田神保町の古書店街は絶版本・品切れ本も数多く取りそろえていて大好きな場所です。ぶらぶら歩いていて思わぬ本に出合うという楽しさがあります。ただ、求める1冊の本を探すとなると、砂漠に落としたコンタクトレンズを探すように、なかなか困難です。
<アマゾンにできた古本市場「マーケットプレイス」、しかし……>
近年、日本の「絶版大国」の状況が少し改善された動きがありました。アマゾンに「マーケットプレイス」ができたことです。ご存じの通り、マーケットプレイスとは、アマゾンの持つ通信販売プラットフォームを、中小の事業者にも開放するものです。全国の中小の古本屋さんがアマゾンのサイトで古本を売るようになりました。これによって、絶版や品切れになった本でも、自宅に居ながらにしてマーケットプレイスで検索して、全国のいろいろな古本店から、古本を手に入れることができるようになったのです。
これは一定の進歩でした。進歩なのですが、やはり「絶版大国」日本の現状は、それほど好転していないなと感じることがしばしばでした。なぜなら、マーケットプレイスで、とんでもない高値で売られている古本が多いからです。
<定価2800円の本が軒並み1万円以上!>
今年7月にある本を買おうと思いました。具体的な書名は控えますが、2004年5月に、定価「税別2800円」で出版された本です。アマゾンや色々なサイトで調べてみると、とうに「品切れ」になっていました。マーケットプレイスに出ている古本を見てみると、数冊ありましたが全部1万円以上の値がついています。どうしようかと数日迷った揚げ句に、やはりどうしても読みたくて、いちばん安いものを1万457円で購入しました。
もしも新品本が出版社から出ていたら、3080円(2800円+税)で買えた本なのに、傷んで状態の悪い古本を、定価の3倍の値段で購入せざるを得なかったわけで、やっぱり「絶版大国」の弊害は、いまだに残っているのです。買いたいのにマーケットプレイスで1万円以上、時には2万数千円の値がついていて、購入をあきらめた本がたくさんあります。マーケットプレイスの、あの古本の値付けは一体なんなのだ、と思います。
<「最後の希望」は電子書籍、紙で出版されていた古典も電子化?>
この「絶版大国」の弊害を一気に解決するのが、たぶん電子書籍だろうと、常日頃思っていました。電子書籍ならデータさえ失わなければ品切れにならず、いつまでも定価で購入できるからです。ただし、すでに一度、紙の書籍として過去に出版した本を、改めて電子書籍にして出版するというのは出版社としても難しそうなので、「絶版大国」の
終しゅう焉えん には、この先、何十年もかかるだろうな、と考えていました。これから電子書籍が普及して、20年、30年前に出版された本が電子書籍で手軽に手に入るという時代は、つまり20年、30年後にならないとやって来ないわけですから。
ところが、うれしいことに、そうではない可能性も出てきたのです。例を一つあげましょう。平凡社に「東洋文庫」があります。日本を含むアジア各国の古典、名著、基礎文献を集めた貴重なシリーズで、私も十数冊持っています。5年前に、東洋文庫の一冊「屍鬼二十五話 インド伝奇集」(ソーマデーヴァ著、上村勝彦訳)を、アマゾンのマーケットプレイスで古本として買いました。定価は2600円(税別)と本には表記されていましたが、その古本を4605円で購入しました。
「日本霊異記」そして最近、アマゾン・サイトで本を見ていて、ぎょっと驚きました。「日本霊異記」などなど東洋文庫の多くが、アマゾンのキンドル版、つまり電子書籍として売られていたからです。かつて購入した「屍鬼二十五話」の値段を調べてみると、キンドル版がなんと1540円でした。……
(https://www.yomiuri.co.jp/life/digilife/column/20220926-OYT1T50133/2/)
----------
個人的にはアマゾンなどで簡単に書籍を入手できるのは助かりますが、必要な時に買わないとすぐ絶版扱いになります。特に専門分野を扱っている書物は出版部数も少なく、増版は不可能です。古本屋で探しても滅多に手に入りません。このような状況下を考慮すると、日本は出版大国でありながら、書籍を大切にしない傾向があります。たとえ電子書籍化されたとしても、扱うジャンルはたくさん売れそうなものばかりです。本当に必要な本は費用がかかっても、その時に購入しておく必要があります。
#450 10年ぶりの再会
2週間ぶりのブログになります。実は先週の17日土曜日に東京で旧友S君に再会しましたので、日曜日のブログの更新ができませんでした。私が利用しているHPはネット上で更新ができません。したがって久しぶりの更新となります。
S君と私はシドニー大学付属の英語学校で1995年に知り合い、それ以来親交を続けています。10年前に私がシドニーへ行って彼と再会し、それ以来の出会いとなります。当日は酒を酌み交わしながら、お互い10年間の出来事や生活の様子などを語り、話は尽きませんでした。私は大学卒業後に帰国しましたが、彼はオーストラリアに移住することを決心し、それ以来20年以上シドニーで暮らしています。
シドニーでの暮らしぶりを尋ねると、物価高により、生活が厳しくなっているそうです。将来は物価が安いサウスオーストラリア州都のアデレードへの移住も考えていると話していました。またオーストラリアは世界中の情報が集まる国で、日本の置かれている状況を憂慮していました。いわゆる日本人はお花畑に住んでいて、世界の状況が分かっていない。日本は現実に即した外交を行うべきだ、と語っていました。夜も更けて、また近いうちに再会することを約束して別れました。
予定では19日月曜日に福岡に戻るつもりでしたが、台風14号のせいで羽田は全便欠航となりましたので、1日延泊し、翌日火曜日に戻りました。18日と19日は自由行動にしていたのですが、台風の影響で東京は火曜日の午前中まで大雨で、新宿駅の漏水の様子はテレビのニュースでも流されたくらいです。本当にものすごい土砂降りでした。ホテルの窓から外を見ていますと、100mほど離れている隣のビルが降雨の激しさで見えなくなるほどです。ビルが見えなくなるほどの大雨は今まで経験したことがありません。
2連休はできるだけ雨に濡れないように書店で過ごしました。日曜日は東京駅近くの八重洲ブックセンターで午前中を過ごしました。この書店は来年の3月でビル移転のために閉店する予定です。ここは他の書店と違い、客の興味を惹きつける店内の配置を工夫しています。たとえば各階に著名人のサイン本を置いたり、エスカレータ付近に話題作や写真展を設置したりしており、ついそれらを見たくなります。また専門書も豊富に取り揃えてあり、各階じっくり時間をかけて見て回ることができます。来年3月以降どこに移転するか、まだ発表されていませんが、ブックセンターならではの雰囲気を残してもらいたいものです。
午後は東京丸の内にある丸善本店で過ごしました。丸善と言えば日本一の洋書在庫数で有名です。4階ワンフロア―を洋書や洋書関係の資料が占めています。丸善で他店にない特筆すべきものとして、3階奥に手塚治虫の直筆コーナーを設置しています。彼の多くの作品集と共に手塚治虫の「鉄腕アトム」や「火の鳥」、「ブラックジャック」など作者直筆の作品の一部が展示されており、作者の息遣いを眼にすることができます。丸善も日本になくてはならない大型書店です。
月曜日には池袋のジュンク堂まで足を延ばしました。この書店は9階建てビルで、様々なジャンルの書籍や資料を扱っています。この書店だけで半日過ごせます。他の書店との差別化の1つとして、この書店は全国の地方出版物を扱っています。つまり北海道から沖縄までの地方出版社が発行している書籍を置いています。特筆に値するものです。
今回は都合で神保町の古書街には行けませんでしたが、また東京に行く機会があればぜひ行きたい街の一つです。
また19日夜はイギリスのエリザネス女王の国葬がテレビでも中継されました。私はテレビだけでなく、YouTubeでも国葬を夜半過ぎまで見ていました。イギリスと言えば私が初めて海外に行った国であり、ホームステイを含め数回訪れた国です。イギリス=エリザベス女王のイメージしか浮かびませんので女王の死去は本当に残念でなりません。チャールズ3世のイギリスが何処へ向かうか、世界中が注目しています。
#449 英国の薔薇、散る!
最高気温が30度を超す残暑がまだまだ続いていますが、それでも朝夕は過ごしやすい涼しさが戻ってきました。このまま秋になってもらいたい気がします。
さて、ご存じのようにイギリスのエリザベス女王が8日逝去されました。96歳の高齢でしたが、亡くなられる直前まで新首相の任命を行うなど、精力的な活動を行う姿に生涯を国のために捧げた英国魂を見た気がします。この訃報に接し世界中から哀悼の意が寄せられています。イギリス王室と縁の深い日本の皇室の代表として天皇陛下が深い悲しみの気持ちと心よりの哀悼の意を表されました。
エリザベス女王は日本が先の大戦で敗北し、連合国から国土の4分割案と皇室の廃止が提案された時に反対されたと言われています。真偽は定かではありませんが、終戦当時の日本の憂い、日本国の安寧や皇室の存続を祈られたのは日本国民として感謝すべきことです。
エリザベス女王逝去後に長男のチャールズ皇太子がチャールズ3世となり、新しいイギリスが始まりますが、多くの点で変更が生じるようです。これに関する記事を転載します。
----------
『エリザベス女王死去で変更続々 国歌、紙幣、硬貨、憲法も』
英国ではエリザベス女王の死去とチャールズ3世国王の即位に伴って、国歌の歌詞や紙幣、硬貨のデザインなど、さまざまなものが変わる。
英国の各メディアによると、一番わかりやすい例が、国歌「ゴッド・セーブ・ザ・クイーン」だ。歌詞の「クイーン」が「キング」に書き換えられる。ただ、国民が数世代にわたり慣れ親しんできた歌であるだけに、「人々が新しいバージョンを堂々と歌えるようになるまでには時間がかかりそうだ」(ガーディアン紙)との見方がある。
紙幣、硬貨も変わる。現在、英国内では、エリザベス女王の肖像が描かれた銀行券約45億枚が流通しており、総額は800億ポンドに上る。英政府はこれをチャールズ3世国王の肖像画を描いた銀行券に置き換える予定だが、最低2年間の期間が必要とみられている。英中央銀行は「女王の肖像が描かれた現行の紙幣は引き続き法定通貨である」とする声明を発表した。硬貨については、これまで王位継承によって一気に変更されたことはなく、時間をかけて置き換えられることになりそうだ。
このほか警察署や海軍などで使用されているエリザベス女王の肖像が描かれた旗や、国会議員の宣誓の文言なども変更される見通しだ。
またエリザベス女王は旧植民地諸国を中心とした連合体・英連邦(コモンウェルス)の元首でもあった。エリザベス女王の地位が憲法で定められている国では憲法の変更が必要となる。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/160d6f607b221774eb6d272ddb613f529b4
3a2d4)
----------
日本では考えられない事ですが、国王の肖像画を紙幣などに使用していると、イギリスのような大きな変更が生じることになります。イギリスは新しい国王の下にどのような国造りをおこなうのでしょうか。かつての大英帝国が今後どのように変貌を遂げていくか世界は見守っています。
追記:
週末は所要のために留守しますので、次の日曜日のブログ更新は休みます。
#448 ゴルバチョフの功罪
大型台風11号が沖縄近海を北上しています。現在は時速15キロ程度の速さですが、火曜日の午前中には九州北部に最接近すると予想されています。火曜日は多くの小中高等学校で休校になると思われます。
しかし、適度の大きさの台風は陸上では作物の害虫を吹き飛ばしたり、海では海水をかき混ぜることにより、熱くなり過ぎた海水の温度を適度な水温まで引き下げ、海を常態化させます。物事には様々な面がありますが、何事も中庸が大切だということです。
さて、ペレストロイカを行ったゴルバチョフが死去し、本日葬儀が行われました。ソ連最後の書記長に相応しくない葬儀のようでした。読売新聞では次のように報じています。
----------
『ゴルバチョフ氏葬儀・告別式、「国葬」ではなく静かな別れ…
米英独は駐露大使が参列』
8月30日に91歳で亡くなったミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領の葬儀・告別式が3日、モスクワ中心部で営まれた。ソ連最後の最高指導者として東西冷戦を終結に導いた偉業にもかかわらず「国葬」ではなく、プーチン露大統領も公務を理由に欠席した。
タス通信によると、ハンガリーのビクトル・オルバン首相が参列したが、米英やドイツは駐露大使にとどまった。ロシアによるウクライナ侵略も影を落とす静かな別れとなった。
露大統領府に近い労働組合会館「円柱の間」での告別式は大統領府儀典局が支援し、国葬に準じる形で行われた。露国内ではゴルバチョフ氏が1991年のソ連崩壊をもたらした張本人との批判が根強いことを反映したとみられる。露国営テレビもほぼ通常どおりの放送だった。
ゴルバチョフ氏はモスクワ市内のノボデビチ墓地で、99年に死去したライサ夫人の隣に埋葬された。墓地にはソ連の後継国家ロシアのエリツィン初代大統領ら著名人も埋葬されている。2007年に死去したエリツィン氏は、国葬だった。
(https://www.yomiuri.co.jp/world/20220903-OYT1T50212/)
----------
ゴルバチョフ氏の評価はロシア国民の中で分かれるようです。ソビエト連邦を崩壊させた張本人として嫌うロシア人もいれば、国に自由をもたらした人物として評価するロシア人もいます。もしウクライナ戦争が起こっていなければ、東西冷戦を終結させ、東側の政治体制を変革させ、ソ連の多くの衛星国を独立させた功績により、ゴルバチョフ氏は国際的に評価され、国葬になっていたことでしょう。
時とともに時代は常に変化していきます。5年後、10年後に世界はどのような変化を迎えているでしょうか。未来は誰にも分かりません。ひとつだけ言えるのは未来は突然現れるのではなく、日々の変化の集大成だということです。つまり、今日の世界の人々の言動が明日の世界を創造し、未来の世界を形成することになります。明るい未来が登場するかどうかは、すべて私たちの考えや言動の結果だということです。よりよい未来を創るためには現在の私たち一人ひとりが努力する必要があります。
#447 ヘアドの勧め
8月も最終週となり、2学期がすでに始まっている高校もあります。以前は9月1日が2学期の始まりでしたが、最近は様々な理由により早めに2学期が始まる傾向にあります。今日も子どもたちは今夏休みの宿題に追われていることでしょう。
さて、全国に小児ガン等の治療に特化した子ども病院があります。そこでは病気に罹っている子どもたちのために様々な便宜が整えられています。その中のひとつにヘアドネーション(ヘアド)の活動があります。ヘアドとは小児ガンの治療等で髪の毛が無くなった子どもたちのために人毛のかつら(ウィグ)を寄付しようという活動で、同じ同世代の子どもたちが自分の長い毛を切ってもらい、それを毛のない子どもにウィグをプレゼントする活動です。先日ヘアドに関する記事がありましたので、転載します。
----------
「髪の寄付」広まる 悩む子どもにウィッグ提供―団体「理想は活動いらない社会」
病気で頭髪が抜けるなどの悩みを抱える子どもたちに贈るウィッグ(かつら)を作るため、髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」が広がりを見せている。善意で協力する人も多いが、ウィッグの提供などを行う団体の代表は、「目指すのは活動が必要とされない社会」と語る。
ヘアドネーションは1990年代に米国で広まり、日本では2009年9月に専門のNPO法人「ジャパンヘアドネーション&チャリティー」(JHD&C、大阪市)が設立された。寄付を希望する人は、所定の条件で切った髪を同法人に送付する。一つのウィッグを作るのに30~50人分必要で、海外工場でのトリートメント処理などを経て完成品となり、希望する18歳以下の子どもたちに無償で提供される。
同法人によると、当初はほとんど知られていなかったが、15年に俳優の柴咲コウさんが長い髪を切って寄付したことで知名度が急上昇した。それまで1日に15件ほどだった寄付は、15年後半には50件ほどに増加。近年は多い時期だと約500件、平均すると300件ほど送られてくるという。
ウィッグを受け取った子どもや保護者からは「気軽に外出できるようになった」「周囲の目が気にならなくなった」などの声が寄せられているという。JHD&C代表理事の渡辺貴一さん(51)は、「困っている人にとっては救いであり、わらにもすがる思いで申し込む人もいる」と話す。
寄付が増えることに対し、渡辺さんは複雑な思いも持っているという。「ウィッグを必要とする人が減らないということは、髪のない人が『多数派』の髪がある人に合わせ続けているということだ」と指摘。「髪がある状態が普通」という社会の意識を変える必要があるとし、「髪を寄付する際は、『良いことをした』で終わらず、こうした問題にも目を向けてほしい」と話した。
(https://www.jiji.com/jc/article?k=2022082000304&g=soc)
----------
福岡市にも子ども病院がありますが、そこに入院している子供たちのために小学生の男児が2年近く髪を伸ばした後でヘアドするために断髪した様子がニュースで流れていました。ヘアド用の髪は30センチほどの長さにならないと利用できないのでその男児は断髪する前は女の子のような顔つきでしたが断髪後にはすっきりした男の子になっていました。
このように病気のために無毛になった子どもたちを助けるために、ヘアドに協力する人々が増えています。自分ができる範囲で他人のために何かをすることは素晴らしいことです。微力でも、他人のために役に立つ人間になりたいものです。
#446 九州分裂!?
残暑厳しい日々が続いていますが、さすがに夜は涼しげな風が吹き始めました。また秋虫の声が響き始めています。ところで昨晩の豪雨はすさまじいものがありました。わずか数時間の大雨でしたが、夜半過ぎに九州管内いたるところで大雨警報が発令されました。また屋久島でも午前中短時間大雨警報が出されるなど、大気の不安定な状態が続いています。「降れば土砂降り」という諺がありますが、今夏は日本のいたるところで大雨に見舞われる状況となっています。
さて話題は変わりますが、NHKのブラタモリでも話題になりましたが、将来九州が分裂する話を聞いたことがあると思います。近未来の出来事ではありませんが、大分から島原まで続いている
別府島原地溝帯を境目にして九州が分かれる可能性がある、ということです。関連の記事を転載します。
----------
『「日本沈没」は始まっている:(2) マントルの流れで九州が分裂』
日本列島は重いマントルの上に浮いている。だからこの列島全体が沈没することはない。しかし中部地方で本州が2つの島に分かれ始めている。さらに九州の一部でも沈没が始まっているようだ。
日本列島はかつてアジア大陸の一部だった。しかし今から約2500万年前に大陸の断裂が始まり、その後分裂した日本列島はほぼ現在の位置まで移動した。そして列島と大陸の間は沈没して日本海となった。
実は今、このような大変動が九州で起きようとしている。
<引き裂かれる九州>
九州の地殻変動をGPSで見てみよう(図左)。南九州が北九州に対して顕著に南へと移動していることが分かる。そしてその境には、地盤が溝のように落ち込んだ「地溝帯」が形成されている。別府湾から島原半島まで続く「別府-島原地溝帯」だ。そしてこの地溝帯は、年間1cm程度の速さで広がっている。つまり、九州は真っ二つに引き裂かれているのだ。
このまま九州断裂が進行すると、やがてこの地帯には瀬戸内海と有明海から海が入り込んで沈没し、海峡となるだろう。そして九州島は完全に2つの島に分裂する。
別府-島原地溝帯の西端である島原半島の沖合の海底には、「沖縄トラフ」と呼ばれる海底の凹地がある(図左)。沖縄トラフは琉球列島に沿って大陸側(海溝の反対側)の海底にある断裂帯で、尖閣諸島周辺から北東方向へ約1000kmにわたって延びる。数百万年前に始まった海底の断裂は次第に北へと進展しているようだ。そのうちこの沖縄トラフと別府-島原地溝帯はつながり、さらに九州島の分裂を加速する可能性もある。
<九州分裂のメカニズム>
なぜ九州は南北に分断されようとしているのか?その謎を解く鍵は、九州北西部で約800万年前から始まった火山活動にあるようだ。
九州は、火山大国日本でも最も火山が密集する場所だ(図左)。ほとんどの活火山はいわゆる成層火山であり、フィリピン海プレートの沈み込みによって造られた。一方で九州北西部には、約800万年前から広大な溶岩台地を形成するような大規模な火山活動が起きていた。この火山活動は、地球の深部おそらく600km程度の深さに起源を持つマントル上昇流が引き起こした(図)。五島列島の活火山である福江火山群も、この上昇流に関連して形成されたものであろう。
このマントル上昇流は地殻の底まで達すると周囲へと広がっていく。やがてこのマントルの流れは、沈み込むフィリピン海プレートによって冷やされてできた「剛体コーナー」を押すようになる(図右)。この力によって上盤プレートは引き延ばされて九州で断裂が生じたと考えられる。
この九州分裂のシナリオは、日本列島がアジア大陸から分離・移動し日本海が誕生したのとよく似ている。
<分裂帯は地震の巣>
九州が2つの島に分裂するのはおそらく100万年くらい先のことだろう。だからと言って安心してはいけない。これだけの地殻変動が今も起きているのだから、活断層が密集し地震が頻発するのは当然のことといえよう。2016年の熊本地震では、M3.0以上地震の多くが別府-島原地溝帯の中で起きた。
あらためて、私たちは世界一の変動帯そして地震大国に暮らしていることをしっかりと心得ておく必要がある。地震から逃れることはできないが、この試練を甘んじて受け入れるのではなく、被害を最小限に抑えていち早く日常を取り戻すことができるように、国や地域、そして個人ができる備えをしておきたいものだ。
(https://news.yahoo.co.jp/byline/tatsumiyoshiyuki/20211213-00272286)
なお、掲載記事の図表ならびに「日本沈没は始まっている(1)」の記事に関心がある方は次のページを参考にされてください。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tatsumiyoshiyuki/20211212-00272187
----------
九州は地震というよりも火山大国です。桜島や阿蘇山、島原の普賢岳など多くの火山が存在します。鬼界カルデラは鹿児島県南方およそ50kmの硫黄島と竹島を含むカルデラですがおよそ7000年前に大噴火し、九州一面火砕流や火山灰におおわれ、当時住んでいた縄文人は滅亡したと言われています。
自然災害には人類はなす術もありません。私たち人類は地球という星に住まわせていただいている意識を常に持ち、地球に感謝して暮らしていかなければなりません。
#445 盂蘭盆会
暦の上では立秋を過ぎましたが、残暑厳しい日々が続いています。九州地方は35度前後の日々が続いていますが、北海道や東北地方・北陸地方は例年にない大雨で大きな災害が出ています。同じ国内で北と南では相反した天気が存在する奇妙な状況が今年の夏発生しています。今週後半の天気予報では全国各地で長雨による災害も予想されていますので、充分な注意が必要です。
さて今日14日はお盆の中日ですが、お盆休暇で里帰りしていた人々の帰郷が今日ピークを迎えているそうです。コロナ禍での久しぶりの里帰りで心身ともにリフレッシュできたことと思います。
この「お盆」ですが、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と呼ばれます。この起源は様々な説がありますが、ウィキペディアでは次のように説明しています。
----------
盂蘭盆の行事は中国の民俗信仰と祖先祭祀を背景に仏教的な追福の思想が加わって成立した儀礼・習俗である。旧暦7月15日は、仏教では安居が開ける日である「解夏」にあたり、道教では三元の中元にあたる。仏教僧の夏安居の終わる旧暦7月15日に僧侶を癒すために施食を行うとともに、父母や七世の父母の供養を行うことで延命長寿や餓鬼の苦しみから逃れるといった功徳が得られると説く。一方、道教の中元節とは、宇宙を主るとされる天地水の三官のうち、地官を祀って、遊魂などの魂を救済し災厄を除くというもので、仏教の盂蘭盆とほぼ同時期に中元節の原型が形作られた。
本来的には安居の終った日に人々が衆僧に飲食などの供養をした行事が転じて、祖先の霊を供養し、さらに餓鬼に施す行法(施餓鬼)となっていき、それに、儒教の孝の倫理の影響を受けて成立した、目連尊者の亡母の救いのための衆僧供養という伝説が付加されたと考えられている。
----------
このお盆の期間中に故人となった親兄弟や親類を偲んで墓参したり、親戚一同が集まり食事会をしたりしますが、それに加えて個人的には今までお世話になっためったに会わない存命中の恩師や恩人、ペットや壊れた愛玩物に対しても年に一度は思い出す時期だと思います。例えば連絡が途絶えて久しい旧友や長い間愛用して壊れてしまった時計など。日頃会えない人や手元にない思い出の品を意識するのも時には必要だと思います。
明日15日は終戦記念日です。今日の平和は先の大戦で亡くなった300万人以上の日本国民の犠牲の上にあります。この平和がこれからも続くか否かは現在の私たちの努力にかかっています。平和を維持するには何が必要かを一人ひとりが考えることが必要です。そのことが先の大戦で亡くなった人々に対して心からの追悼になります。
#444 人を呪わば穴二つ
毎年8月、日本は鎮魂の月となっています。77年前の8月に日本はその後の国運を換えるほどの国難に遭いました。6日の広島、9日の長崎原爆投下、ならびにソ連の参戦、そして15日の終戦と大きな出来事が立て続けに起こった月です。毎年8月15日の平和への願いは今でも各地で続いています。
さて「人を呪わば穴二つ」とはよく言われる格言ですが、私たちが発する悪口もこの格言に当てはまるようです。悪口の多い人ほど不幸になることが「東洋経済ON
LINE」の記事に載っていましたので転載します。。
----------
『よく悪口を言う人ほど「不幸になる」科学的根拠』
今年5月(注:2020年)、恋愛リアリティー番組『テラスハウス』に出演中だった女子プロレスラーの木村花さんが自殺しました。ネット上での過激な誹謗中傷が原因と言われています。この事件以後、今まで野放し状態であったネット上の誹謗中傷に対して、もっと厳しく取り締まるべきだという声が増えています。
なぜ人は、悪口、誹謗中傷が好きなのでしょうか? 明らかに相手に精神的なダメージを与える行為なのに、どうしてやめられないのでしょうか?
<「悪口を言う人」の心理>
アメリカの心理学者であるレオン・フェスティンガーの言葉にもあるように、人間はついつい他人と自分を比較してしまう生き物です。
とくに日本人の場合、集団での和を乱さないためにも、他人の顔色をうかがう、他人の行動や言葉に目を光らせ、自分と比べるなどの傾向が強いと言えます。
コロナウイルスの流行に伴ってあらわれた「自粛警察」と呼ばれる人たちも、自分は自粛のルールを守っているのに、それを守ろうとしない奴がいるという怒りが行動の元になっている。つまり、「他人と比較してしまう心理」が原因にあるわけです。
人間は、他人と自分を比べたときに自分が優れていると「優越感」を抱きます。その逆に、自分が劣っていると感じたときに「劣等感」を抱きます。
劣等感は強烈なネガティブ感情なので、それを何とか払拭したいという衝動にかられる。それを、悪口や誹謗中傷という形で発露したくなるのです。
悪口や誹謗中傷を言うことで、相手をおとしめることができます。自分対相手との比較において、相手を引きずり下ろすことによって、自分の価値を相対的に高めることができる。それによって、内なる劣等感を緩和しようという心理が働いてしまうのです。
最近「自己肯定感」という言葉をよく耳にしますが、自己肯定感が低い人ほど自分に自信が持てません。そういう人は、自分対相手との比較において、自分が劣っていると感じやすい傾向があります。だから、実は自己肯定感の低い人ほど悪口を言う傾向にあるのです。
自己肯定感が高い人は、自分の考えや行動に自信を持てます。他人にとやかく言われても、その考えや行動はゆらぎません。相手と自分をいちいち比較することもなければ、悪口を言うこともないのです。
ここまで理解できると、もしあなたの周りに悪口好きな人がいたとしても、「自己肯定感が低いとっても残念な人」なんだなと上手に聞き流すことができるはずです。
<悪口は「依存症」である>
一方で、悪口が好きな人はなぜそれをやめられないか? それは「悪口は依存症である」と考えると、非常に腑に落ちます。
誰かの悪口を言うと、やる気や快楽に関与するホルモン「ドーパミン」が放出されます。ドーパミンが出ると楽しい気分になります。だから、悪口を言うことは基本的に楽しいことなのです。
しかし、ドーパミンはよくばりな脳内物質でもあり、一度放出されると「より大きな刺激」を求めるようになります。つまり、悪口の回数を増やしたり、より過激な悪口を言わないと、新たにドーパミンが出ず、楽しい気分になれなくなってしまうのです。
結果、悪口を言うことが癖になって、なかなかそれを改善しづらい状態に陥ります。悪口を言えば言うほど深みにはまってしまう。これはアルコール依存症や、薬物依存症と同じ原理です。かくして「悪口は依存症」と言っても、遜色ないのです。
多くの人は、悪口は「ストレス発散になる」と思っているでしょうが、実際は逆です。悪口はストレスを増やします。最悪の場合、脳を傷つけ、寿命を縮める危険性もあります。
東フィンランド大学の研究によると、世間や他人に対する皮肉・批判度の高い人は認知症のリスクが3倍、死亡率が1.4倍も高い結果となりました。批判的な傾向が高ければ高いほど、死亡率は高まる傾向にあったそうです。
また、悪口を言うと、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されます。コルチゾールというのは、ストレスを感じたときに放出されるホルモン。先ほどドーパミンが放出されると言ったので快楽を得ていると思いきや、悪口を言っているときは同時にストレスも感じているのです。
心理学の法則で「返報性の法則」というのがあります。人は誰かに親切にされたとき、「その親切をお返ししないといけない」という気持ちが湧き上がる心理です。
「好意の返報性」を上手に使うと、あなたの信頼度を高め、人間関係を深めることが可能です。しかし、残念なことに世の中の多くの人は、「悪意の返報性」を使っています。
ネガティブな感情に対しては、人はネガティブな感情を返したくなるものです。「倍返しだ!」とやり返してしまうのが、正に「悪意の返報性」。そして人に悪口を言うと、やはり「悪意の返報性」で悪いものが帰ってくるのです。
「本人がいないから悪口を言っても大丈夫」と思っていても、あなたは「よく悪口を言う人」と周りにネガティブな印象を植え付けてしまいます。いつ自分に矛先が向かうかわからないので、周りの人たちは悪口を言う人を心から信頼しないでしょう。
<悪口から卒業する唯一の方法>
健康を害し、信頼を失う悪口をやめるにはどうしたらいいでしょうか? いちばんの近道は「自分を褒める」ことです。悪口を言う人は、自己肯定感が低い人。つまり、自己肯定感が高まれば、悪口は自然と減っていきます。
気に入らない相手をおとしめるのではなく、自分を高めることによって、相手と自分のギャップを埋めればいいのです。自分のささいな成功を独り言でいいので、褒めてみる。褒めるのが無理なら、ネガティブをポジティブに置き換えるだけでもいいでしょう。
例えば、同期入社のAくんが自分より先に昇進した場合。「たいした能力もないのに、先に昇進しやがって!」(ネガティブ)と言いたいところを「俺も頑張って、すぐに追いつくぞ」(ポジティブ)と言い換えたり。
自分の中でポジティブな言動を積み上げることで、自己肯定感が高まり、怒りや嫉妬、不充足感が満たされ、ネガティブな感情を抑えることができます。結果、悪口や誹謗中傷から卒業できるわけです。
(https://toyokeizai.net/articles/-/366140)
----------
日常的に不満を抱えている人は他人に対して、また自分に対して色々な不平不満を言いがちです。しかし上記の記事が述べているように、悪口は究極的に自分を不幸にしていくものです。特に怒りが伴う悪口は「怒りは心身を焼き尽くす」とお釈迦様も厳く戒めています。感情にかられて口から出た不平不満は争いの基となり、結局は自分の身を焦がします。感情に激化しない中庸な心を持ちたいものです。
#443 和の心(2)
7月も今日で終わり、明日から8月が始まります。ここ数日は台風のせいで、すっきりしない天気が続いていますが、明日からは夏らしい晴天が予想されています。また酷暑がしばらく続くようです。熱中症や新コロには充分な注意が必要です。
さて前回の「和の心」の続きになります。ストークス氏は続けて語りかけています。
----------
『なぜ欧米人にとって、日本は理解しにくいのか』
日本は先の大戦に敗れて、アメリカ軍による占領を受けるまで、他民族や異文化による占領、支配を蒙(こうむ)ることがなかった。
日本はいつの時代であれ、長い歴史の中で異文化を上手に取り入れ、日本に適するように、きわめて独自なものに作り替えて、日本文化として熟成させてきた。
欧米人にとって、日本人の「心」はあまりにも異質であるために、容易に理解することができない。
日本民族は異なるものを、二律背反的な対立構造でとらえなかった。大きく「和の心」をもって共存させ、全体の調和を保つことによって、独自の文化を織りなしてきた。
西洋文明は対立構造の上に、成り立ってきた。つねに白黒をはっきりさせ、神と悪魔の戦いのような世界観によって、築かれてきた。
イスラム文明も同様に、アッラーか、悪魔(サタン)かという二者択一を迫る。欧米人の思考は、二律背反なのだ。それに対して、日本人はできるだけ対立を避けようするから、欧米人にとって曖昧(ファジー)だ。
たまに、日本人も「白黒をはっきりさせましょう」ということがあるが、欧米人はつねに、相手にイエスかノーか、二者択一で答えることを、求める。
日本語は最後まで聞かないと、いったい肯定しているのか、否定しているのか、分からないことが多い。肯定している意見を言っているのかと思ったら、最後に「ということは、ない」とつけ加える。
土壇場になって、肯定と否定が逆転するなど、英語などのヨーロッパ諸語では、ありえない。それでも、最後に肯定か、否定が明確にされればよいほうで、日本語では、しばしば最後まで話を聞いても、いったい、肯定なのか、否定なのか、煙に巻くような話し方をすることもある。
欧米人はそれを不誠実だ、誤魔化そうとしていると、受け取ってしまう。そこで、日本人は狡(ずる)いとか、信用できないと言って、批判する。
聖書の世界に生きる欧米人は、「神か、悪魔か」「天使か、悪魔か」という極端な二者択一を迫られるなかを生きてきた。もちろん、自分の側が神か、天使だと思い込んでいるから、対立する相手を「悪魔」とみなして撃退するように、攻撃する。
論理的に説明がつかずに論破されると、自分が悪魔になってしまうから、必死だ。神はつねに勝利し、天使は「ウソをつかない」原則があるから、躍起になって、ディベートする。
それに対して、日本人は禅問答のようだ。「善でもあり、悪でもある」と、一方が100パーセント正しく、他方が100パーセント間違っているという極論を避ける。もちろん、これは敵をつくらない、よい方法でもある。
「ファジー」理論という概念も、ゼロか一(いち)か、オンかオフか、イエスかノーかという二者択一ではなく、「不明瞭」、つまり「どちらでもない」「分からない」とい第三の選択肢をもとにしている。欧米人がこうした思考訓練を始めたのは、二者択一が対立を生み、戦争をも誘発してきたという、過去に対する反省があろう。
そのうえ、日本人が「和」を重んじるために、寡黙であることも、欧米人には「狡いから、愚かだから」とか、「はじめから主張に怪しげな根拠しかない」「口を開く前から言い負かされているために、物を言わないのだ」と受け取られてしまう。中国人やインド人やアラブの人々も真っ当な人なら饒舌(じょうぜつ)でなければならない。
それと反対に、日本ではお喋りな男は、無教養であるとか、軽々しいとか、野卑だと思われて、見下される。日本人の場合は、外の世界の人々よりも、もっと洗練されていて、お互いに相手を察し合う、「和の文化」だからだ。
日本には、「以心伝心」とか、「空気を読む」という方法がある。はじめから、同じ「心」を分かち合っているから、できることだ。自己を主張するのではなく、相手の立場に立って、相手の思いを「察する」のだ。譲り合いは、日本人にとって人間関係の基本である。きわめて日本的なものだ。
(ヘンリー・S・ストークス:
「英国人記者が見た世界に比類なき日本文化 祥伝社新書 より抜粋」)
----------
ストークス氏は英国人記者として50年以上も日本に滞在し、日本と諸外国を行き来しながら日本と日本人を客観的に見つめてきた人物です。彼の言葉には説得力があり、我々日本人が気づいていなかった言動を「他者の観点」から鋭く追及しています。新しい「日本人論」、「日本文化論」として彼の著書を読めば今まで見えてこなかった「日本」の姿が見えてきます。日本論・日本人論に興味がある方は彼の著書をぜひお読みください。
#442 和の心(1)
昨日と今日は太牟田大蛇山夏祭りで、会場の本町多くの数台の大蛇山が集まっています。3年ぶりの開催となりますが、新型コロナBA5の猛威により、さらに感染が懸念されている中での開催になります。昨日の時点で福岡県は新規感染者が1万2千人を超え、太牟田では291人が確認されています。個人的な推測では、福岡県の感染者が1万人を超えたのは福岡市の祇園山笠や県内各地の夏祭りで、多くの人が集まったことが一因と考えられます。太牟田では先週末に港まつりが行われ、それを契機に急増しているとみられます。例年と異なりかなり制限された中で行われる今年の大蛇山祭りですが、今後どれほどの感染者が出るか、非情に心配しているところです。
さて、ヘンリー・S・ストークスというイギリス人をご存じでしょうか。1964年に来日し、フィナンシャル・タイムズやザ・タイムズなどの東京支局長をを歴任し、日本に50年以上暮らして日本人以上に日本文化に親しんでいる親日家です。彼は日本文化論に関する多数の書籍を出していますが、日本人からすると何気ないしぐさや行動が欧米人からすると尊敬に値すると評しています。今日はその中から、「和の心」について彼の説明を引用したいと思います。
----------
『「和」の「心」こそ、日本の最大の長所』
文化が、ある国や民族が培った固有な精神生活から発するものであるのに対して、文明は、より便利な道具や手法を使うことによって、民族や、国や、地域を超えて、世界にひろがってゆくものである。
日本は数千年以上もの長きにわたって、独自の文化を育ててきた。
日本文化のあり方には、これから世界が学ぶべきところが、大いにある。
西洋に限らず、人類が戦争のない平和な世界を構築して、共存してゆくために、世界は日本のさまざまな長所を認めて、取り入れてゆくべきだと思う。
日本をよく知るほどに、これから世界に「日本文化の時代」というべきものを、招き寄せたいものと、願っている。
これは私だけではない。いま、多くの日本に住む心ある外国人が、日本国民の心に触れて、世界が日本を手本にして、日本人の生き方から学ぶべきであると、思うようになっている。
このような「和」による社会は、中国にも、東南アジア、インド、中東、アフリカからヨーロッパにいたるまで、どこにも存在してこなかった。
なかでも、今日の世界は、西洋列強が築き上げた文明によって、とくにアメリカから発した享楽と大量消費を賛美する物欲の文化によって、毒されているといわねばならない。
もちろん、いうまでもなく欧米世界には優れているところが、たくさんある。他の地域の文化にも、それぞれ長所があるのは、いうまでもない。
もし、西洋に学ぶべきものがなかったとしたら、今日、欧米諸国が世界の主要国とはなっていなかったことだろう。西洋は近代科学技術を編み出すことによって、人類に未曽有の物質的な豊かさや、医療などの長足の進歩をもたらして、人類の福祉を増進することに、大きく貢献してきた。
私は東京オリンピックの年から五十年余も、日本をジャーナリズム活動の本拠として暮らしてきたから、日本について実体験がある。
一九六四年に、日本にはじめてやってきてから、イギリスに一時戻っても、アメリカを訪れることがあっても、取材のためにアジアを巡っても、常にその国を日本と比較してきたから毎日が日本との新鮮な出会いであってきた。そこから学んだことを、いまのうちに語っておかなければならないと、思っている。
日本で生活していると、日本人にとっては、ごくなにげないことであっても、外国人にとって驚くようなことが、たくさんある。外国人の眼は、日本人が日本を再発見するうえでも、きっと役に立つと思う。
円安も手伝って、大勢の外国人観光客が日本の各地を訪れるようになっているが、日本人の「おもてなし」に触れて、多くの者が自分の国や、外国とまったく異なった空間に身を置いていることに気づく。
この「おもてなし」は、計算ずくではなく、心のなかから発するものだ。
私は多くの外国人が、日本文化の素晴らしさに気づくことによって、日本から多くを学ぶかたわら、日本人も日本に特有な文化を大切な宝物として守り、未来へつなげていってほしいと願っている。……
(祥伝社新書: ヘンリー・S・ストークス 英国人記者が見た「世界に比類なき日本文化」より抜粋)
----------
次回のブログに続きます。
#441 世界は見ていた
安部元首相の暗殺から1週間が経ちますが、マスコミは連日犯人の家庭環境や宗教とのつながり等を報道しています。ただ不思議に思うのは、この事件の背後に黒幕は存在しないのだろうか、という疑念です。換言すれば、ただの単独犯なのか、それとも単独犯に見せかけた国内外の暗殺集団が背後にいないかどうか。何はケネディ大統領の暗殺にも似たものがあるような気がします。これは今後の警察の調査にまかせることになります。7/12日付のFNNプライムオンラインでは、次のような報道がされました。
----------
林外相は閣議後の記者会見で、これまで259の国や地域、機関から1700件以上寄せられていることを明らかにしました。林外相は「多数のメッセージが寄せられていることを受けて、改めて外交に残された大きな足跡を感じている」と語たりました。
また、林外相は「安倍元首相は地球儀を俯瞰する外交を実践し、多大なる功績を残された。積極的な首脳外交を展開し、各国地域と良好な関係を築かれた」と述べた上で、哀悼の意を表しました。(https://www.fnn.jp/articles/-/388062)
--------
儀礼的な要素がありますが、それでも259の国や地域からの弔辞は今まで聞いたことがありません。それほど安部元首相が世界を飛び回り、日本と各国の信頼の架け橋となっていた証左と思われます。
それでは世界中の人々は安部氏に対してどのような感情を抱いていたのでしょうか。時々引用しています「【海外の反応】パンドラの憂鬱」から少し引用してみます。
----------
『海外「自分は日本人じゃないのに…」安部元総理の最後のお別れの光景に世界が涙』
今月8日に逝去された安倍晋三元総理の告別式が12日、東京・港区の増上寺で営まれました。告別式には岸田総理の他、森元総理や福田元総理など、約1000人が参列し、麻生元総理が弔辞を述べています。
告別式では、喪主を務めた昭恵夫人が、「政治家としてやり残した事はたくさんあったと思うが、種をいっぱいまいているので、それが芽吹く事でしょう」とあいさつ。安倍元総理に頬ずりをし、しばらく別れを惜しむ場面もあったそうです。出棺の際には、歩道に溢れるほどの人が集まり、感謝の言葉とともに、拍手で送り出していました。
安倍元総理を乗せた車は最後のお別れとして、永田町の自民党本部や、総理官邸、国会議事堂に。その後、都内の斎場に入り、荼毘に付されました。
最後のお別れの様子は多くのメディアが報じており、FNN(フジニュースネットワーク)は、一連の様子をまとめた動画をYouTubeに投稿しているのですが、タイトルなどは全て日本語のみにかかわらず、映像は海外のネット上でも拡散されており、1万を超えるコメントのうち半分近くが、外国からのメッセージになっています。寄せられていた反応をまとめましたので、ごらんください。
■ この取り返しのつかない、そして早すぎる喪失を悼みます。
アベさんのご家族、ご友人、日本国民、
そしてアベさんを愛する友好国の人々に、
心からの哀悼の意を表したいと思います。 +493 ブラジル
■ 偉大な日本の首相だった。
祖国のために素晴らしい事をしてきた。
彼のような政治家は非常に稀だ。 +872 ロシア
■ あれだけの国民が集まった。
その事からもアベ元首相がいかに愛されていたのかが伝わってくる。
今はゆっくり休んでください。 +73 ウクライナ
■ ニュースを観たときは衝撃を受けたよ……。
そして日本国民が僕と同じように、
嘆き悲しんでる姿を見て心を揺さぶられた。
これだけ愛された人なんだ。
きっと天国でも、永遠に幸せに暮らすよ……。 +23 ベトナム
■ これだけ深く悲しまれているのは当然。
アベ元首相は自分の国のためだけではなく、
地域、そして世界のために動いた人だったのだから。
ドミニカ共和国の議員として、
心からのご冥福をお祈りいたします。 +86 ドミニカ共和国
■ "サウジアラビア王国の市民はとても悲しいです、
私は強い日本を共有します、私は悲しみと悲しみを感じます、、
彼の両親、妻と家族への私の哀悼の意"(原文ママ)。 +4 サウジアラビア
■ ミスター・アベを失ってしまった日本のために祈ります。
偉大なリーダーであり、私たちの真の友人でした。
あなたがこの世界から旅立ってしまった事を、
世界中の人たちが寂しく思う事でしょう。 +383 アメリカ
■ お悔やみ申し上げます。
こんな別れは悲し過ぎる!! +1287 カザフスタン
■ 表現する言葉が見つからない。
私は4年間日本で暮らしていて、
その期間に接した日本の人々はみんな素敵で大好きだった。
アベさんは特にパンデミック禍の対応が、
信じられないくらいに素晴らしかったと思います。
悲しくて悲しくて仕方がない😭 +83 ネパール
■ 偉大なリーダーがその政権下で善政を行うと、
国民から惜しまれて旅立つ事になる。
その事がありありと分かる光景だ。
心からのお悔やみを申し上げます。 +510 カナダ
■ ミスター・アベ、ゆっくりお眠りください。
ぼくらをサポートしていただき、ありがとうございました。
ガーナ国民はあなたの貢献を絶対に忘れません。 +5 ガーナ
■ アベ元首相、どうか安らかに。
日本と、日本の文化と、日本国民が大好きだ。
日本は偉大な国。
世界最高の自動車もあなた方が造りだす。 +4 スイス
■ インドと日本の関係を次のレベルへと導いてくれた。
私たちインド国民、特にこの国の若者たちは、
インドと日本がアジア太平洋地域、
そして世界の民主主義の聖火ランナーとなるために、
アベ元首相が私たちに遺してくれた遺産を常に思い出し、
大切に、喜んで受け継いでいく事でしょう。
ミスター・アベ・シンゾウ。
改めて、あなたは偉大な友人です。 +2059 インド
■ 世界で最も優しい国民である日本人、
アベさんのご家族、愛する人々、同僚、そして国家に対し、
深い哀悼の意を表したいと思います。
日本に滞在した日々の事を絶対に忘れないでしょう。
心の芯に、真の平和を持つ人で溢れていた。 +919 オーストラリア
(http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-4258.html)
----------
弔意のメッセージはまだまだ続きますが、全文は上記のリンクをクリックしてください。(なおメッセージ横の「+の数字」は賛同する数を示します。)
国内各地に記帳の場所が設けられ、多くの人たちが長い列を作り、記帳する場面がニュースで流れていました。また出棺時には沿道に溢れるばかりの人々が列を作り、安部元首相に別れの挨拶をしていました。その中には10代や20代の若い人たちの姿が目立ち、政治色に染まってない彼らの姿に日本の明るい将来を見た感じがしました。
それに比べて赤化教育を受けた60代、70代の年配者は安倍総理の真実を見ようとせず、安部氏逝去後も様々な批判を繰り返しています。物事の真実を見抜けないかわいそうな世代です。
私蜂は世の中で起きている事象の表面を見るだけでなく、その裏側に何があるのかを深く考える必要があります。決して付和雷同的に踊らされるのではなく、物事の本質を考えなければなりません。
#440 哀悼の意
本日は参院選の投票日です。私たち国民一人ひとりが国政に対して意思を示す唯一の場です。棄権せずに多くの人々が自分の意思を示して次の日本の舵取りに影響を与えてもらいたいと思います。
ところで、金曜日に世界を震撼させた暴挙が発生しました。ご存じのように安部元首相の暗殺です。私がこの一報に接したのは仕事を終えて帰宅した午後4時過ぎのことでした。何気なくテレビのスイッチを入れると、どの放送局も一斉にこの事件を報道していました。そして午後5時過ぎに下安倍首相の逝去が速報で流れました。
まったく残念という他ありません。事件の報道番組の映像でしか判断できませんが、安部氏が演説を行っている時に周囲のSPや警官が彼の後ろを全く警戒していません。一発目の弾丸が発射された時にも安部氏を守ろうとする行動を誰も取っていませんでした。この場面を見て思い出されるのは、かつてレーガン大統領が暗殺未遂事件に遭遇した時に、周囲のSP達が犯人と大統領の間に入り込み、大統領の命を救った場面です。残念ながらSPの一人は射殺されています。
奈良県警も自分たちのミスを認めていますが、重要人物の警護には細心の注意払い、最善をつくすべきです。特に安部氏は政界の指南役として今後の活躍を期待されていた人物です。謹んで哀悼の意を表したいと思います。
安部氏に関しては政権後半に森友問題などで批判されていましたが、彼ほど日本や世界のために世界中を飛び回って根回し外交した政治家はいないでしょう。特に安部氏はトランプ氏と懇意にしていましたので、各国の首脳がトランプ氏と会談をする前に安部氏に会談がうまくいくようにアドバイスを求めた逸話が残っています。
安部氏が言っていたように外交は国防の第一義です。国を守るためにいかに他国との協調路線を行い、争いを防ぐためにお互い意見交換をするかは長期政権の人物しかできません。かつて毎年のように首相が代わっていた日本は顔のない国として世界に認識されていました。「金は出すが汗はかかない国」として湾岸戦争時には貢献した国として日本の名前は出ませんでした。当時日本は自衛隊を派遣し、海上の機雷撤去等に活動し、連合国に多大に寄与したにも関わらず、一言もお礼の言葉がありませんでした。それは日本の首脳の存在が薄かったからです。
安部氏は政治家一家に生まれ、外交の重要性をを幼い頃から学んでいたのでしょう。「外交なしには国の防衛なし」、「国の防衛なしには国民の命を守れない」。このような意識が強かったと思います。安部氏について様々な意見がありますが、国を守るという姿勢は他の政党や政治家には見られないほど真摯な姿勢が見られたと思います。
世界中の主な首脳から弔意の言葉が届けられています。それほど彼の外交姿勢は素晴らしかった言えます。彼亡き後に日本丸は何処へ進んで行くのでしょか。
#439 ここまで進んだホームドア
前回のブログで梅雨明けを予想しましたが、確かにその通りになりました。各地で猛暑日が続出し、東京では昨日の時点で9日連続の猛暑日となっています。例年の梅雨末期の豪雨は避けられましたが、今度は干ばつや水不足が懸念されます。特に梅雨時期が極端に短かったので、実際多くの作物に影響が出ています。米作農家の話では今年度の米穀高は3割減になるそうです。またナスなどの野菜にも水不足による大きな影響が出始めています。天気も社会活動も「中庸」が一番です。極端な偏りは負の影響しか与えません。
さて、最近では駅ホームからの転落防止のために都会を中心にホームドアの設置が進んでいます。確かに転落防止には効果がありますが、設置費用に多額の費用がかかり、車両の種類によりドアの数が異なるので、設置不可能な駅もあるそうです。そのような状況下で車両のドア数に応じてドアの位置が移動する「未来のホームドア」と呼べるようなものが登場しました。そのニュースを以下に転載します。
----------
『未来駅“うめきた”に世界初の最先端『ホームドア』案内を表示…車両に合わせて動く』
来年春に開業予定の「うめきた(大阪)地下駅」。まだ仮の名前ですが、開業後は今は大阪駅に止まらない特急「はるか(関空方面)」や特急「くろしお(和歌山方面)」などが停車予定です。JR西日本によりますと世界初の技術を採用した最先端の駅になるということです。一体どのようなものなのでしょうか。
ホームからの転落や列車との接触を防ぐために鉄道各社が導入を進めてきたホームドア。多くの駅で導入が進み、すっかり見慣れたものになりましたが、6月27日に公開されたのは最先端の『フルスクリーンホームドア』と呼ばれるもの。開発中のうめきた新駅に導入される予定です。
フルスクリーンホームドアは、各車両のドアの位置に合わせて開くもので、安全でスムーズな乗り降りが可能になります。ディスプレイには、開閉時の注意喚起だけでなく、乗車位置や電車の案内も表示されるので、目的の電車に迷わず乗車できます。JR西日本によりますと、フルスクリーンホームドアと呼ばれる方式であらゆる車両のドアに対応できるのは、世界初だということです。
JR大阪駅の北側・通称「うめきた」の地下に建設中の新駅。完成すれば大阪駅と改札内の通路で結ばれ、あわせて大阪駅として運用されます。駅構内のサービスはデジタルを駆使した最先端のものを目指しているのです。
ほかにもスマホで目的地を登録すると自分のためだけの案内が案内板に表示されるシステムも。新駅の中でも迷うことなくスムーズに移動できそうです。
(JR西日本・イノベーション本部 小森一担当課長)
「ここにしかないものですので、未来の駅としてすごいものがついているなとか、これは便利だなとか、わかりやすいねとか、そういうお声をいただければ開発した甲斐があるなと」
これらのシステムが導入される「うめきた新駅」の開業は来年春の予定です。
(https://www.mbs.jp/news/kansainews/20220627/GE00044487.shtml)
----------
ホームドアも「ついにここまで来たか」の感があります。日本らしい世界に誇れるホームドアです。大阪は元々「進取の気性」に富んでおり、歩くエスカレーターも1970年の大阪万博で登場し、大阪が発祥の地でした。東京にはない人間味のある大阪で、このような未来のホームドアが登場した理由が分かるような気がします。訪日外国人がまた驚嘆し、世界中のニュースになることでしょう。科学技術は戦争ではなく、平和のために使用して欲しいものです。
#438 未知との遭遇
梅雨末期の気象のせいか、昨日まで3日連続で朝の通勤通学時間帯に雨が土砂降りで、落雷も発生するなど、ものすごい気象状況が続きました。特に昨日の朝は風が強く、まるで台風のような強風が豪雨とともに吹いていました。特に8時台は落雷も発生しました。
さて、昨日は土曜日でしたが、明光学園がオープンスクールを実施したために、時間割変更で授業をすることになりました。降車駅の倉永駅で突然風雨が強くなり、歩ける状態ではなかったので、しばらく駅舎で様子を見ていますと、突然近くに落雷しました。その瞬間は目の前が真っ白になり、直後に雷鳴がとどろきました。すると電車が来ないのに警報が鳴り遮断機が降り始め、自動改札機のボタンが点滅し始めました。おそらく駅の電源トランスに強い電流が流れ、誤作動を引き起こしたのでしょう。この状態が数分間続き元に戻りましたが、めったに味わえない貴重な体験をいました。まるで映画「未知との遭遇」でUFOが接近すると踏切の警報が鳴った場面とそっくりでした。一歩間違えば雷に打たれていたかも知れませんでした。雷鳴が聞こえてきたら充分注意する必要があります。
ところで今年は梅雨明けが異常にに早くなりそうです。日本気象協会は次のように予想しています。
----------
『2022年梅雨明け予想 異例に早い6月下旬か 猛暑による熱中症と水不足に警戒を』
日本気象協会が、本日24日(金)に発表した「2022年梅雨明け予想」によりますと、今年の梅雨明けは、異例の早さで九州南部~東北南部にかけて「6月下旬」の予想です。最も早い梅雨明けとなる所も多くなるでしょう。東北北部は7月中旬の予想です。
<2022年梅雨明け予想>
日本気象協会の「2022年梅雨明け予想」によりますと、今年の梅雨明けは、異例の早さで、九州南部~東北南部にかけて「6月下旬」の予想です。最も早い梅雨明けになる所も多くなりそうです。東北北部は7月中旬の予想です。
この先は、太平洋高気圧の北への張り出しが強まり、平年より早く九州~本州を高気圧が覆うと予想されます。そのため九州南部~東北南部は、6月下旬に「梅雨明け」の予想です。6月下旬に梅雨明けとなると異例の早さで、最も早い梅雨明けとなる所もあるでしょう。
『6月下旬に梅雨明けとなると』
九州南部 2番目に早い(これまでの最早は1955/6/24頃、6月は2回目)
九州北部 最も早い梅雨明け(6月は初)
四国 最も早い梅雨明け(6月は初)
中国 最も早い梅雨明け(6月は初)
近畿 最も早い梅雨明け(6月は初)
東海 2番目に早い(これまでの最早は1963/6/22頃、6月は2回目)
関東甲信 最も早い梅雨明けの可能性(これまでの最早は2018/6/29頃、6月は2回目)
北陸 最も早い梅雨明け(6月は初)
東北南部 最も早い梅雨明け(6月は初)
<梅雨明けのあとは危険な暑さに警戒>
きょう24日(金)も、気温が35℃以上の猛暑日が多数観測されるなど、暑くなっていますが、梅雨明けのあとも暑さに警戒してください。きのう23日(木)に気象庁より発表された、1か月予報でも、来月後半にかけて、気温は高め傾向が続く予想です。梅雨が早く明けると、暑い時期が長くなる恐れもあります。こまめな水分補給や屋内では適切に冷房を使用するなど、熱中症には十分に注意してください。関東甲信などでは、梅雨入り後、平年より降水量が少なくなっています。水不足にも注意してください。
(https://tenki.jp/forecaster/y_maki/2022/06/24/18034.html)
----------
天気予報によりますと明日からしばらく晴天が続きそうです。今年は異常に梅雨明けが早くなりそうです。気象庁は数日中には梅雨明け宣言をするかもしれません。熱中症には充分ご注意ください。
#437 絵本専門店
ここ数日梅雨の中休みが続いていますが、天気予報によれば明日から本格的な梅雨になるようです。毎年梅雨明けが7月20日前後になりますので、およそ1か月続くことになります。しとしと降る雨は歓迎ですが、ここ数年は毎年異常なほどの豪雨が降り続き、全国各地で大きな被害をもたらしています。気象庁は降水線状帯の予報を今年度から始めましましたが、的中率はわずか25%足らずだそうです。しかし局地的に大雨を降らす線状降水帯は予想できるだけでも有難いものです。大雨予報を知ることで災害を防止できます。
さて、雨が降る日は家で読書をする人が多いと思いますが、大人も子どもも一緒に楽しめるのが絵本です。先ほど亡くなったエリック・カールの「はらぺこあおむし」は世界的なベストセラーとなっていますし、親は子どもの年齢に応じて様々な絵本を与え、一緒に楽しんでいます。
そんな中、先日NHKの「ドキュメント72Hours」で面白い絵本専門店を紹介していました。ドキュメント72Hoursは私もよく観る番組ですが、今回紹介された書店は絵本を中心に子ども用の本を揃えた「ブックハウスカフェ」という書店で東京の神田・神保町の古書街の一角にあります。世界中の人気のある絵本はもちろん様々なジャンルの絵本が豊富に揃えてあります。
他の児童書店と唯一異なるのは、この店はは閉店後にカウンターバーに変身することです。仕事帰りのサラリーマンがこの店に立ち寄り、アルコールを飲みながら店主の女性が絵本を読み聞かせます。数十年ぶりに絵本を読んでもらった大人たちは、みんな一堂に感慨深い思い出を語っていました。幼い頃に親や祖父母から読んでもらった絵本の内容を今でも覚えている人が意外と多く、幼いころの読書体験が大人になった今でも影響していることが示されています。
私も幼い頃に親から絵本を含めてたくさん本を買ってもらいましたが、書名までは覚えていません。しかし学生の頃読んだ「百万回生きた猫」は今でも覚えています。
EhonNaviページからこの本の見どころを紹介します。
----------
『100万回生きたねこ』 作・絵 佐野洋子
そのねこは、100万回も死んで、100万回も生きたのです。ある時は船のりのねこ、ある時はサーカスの手品つかいのねこ、どろぼうやおばあさん、小さな女の子のねこにもなりました。彼らはみんなねこを可愛がり、ねこが死ぬと泣きます。でも、ねこは1回も泣きませんでした。
ねこは飼い主なんか嫌いだし、死ぬのなんて平気。自分のことが大好きだから、誰のねこでもない、のらねこになったのを喜んだのです。
何度も生き死にを繰り返したという驚きの話にふさわしく、堂々とした立ち居振る舞いと、立派なひげ。そして美しい緑色の目が強く印象に残る彼の風貌。ただの一度も悲しんだことのなかったその人生、でも決して悔いている様にも見えません。
ところがそんなねこの生き方を大きく変貌させる出来事が起こるのです。それは白く美しいねことの出会いで……。
絵本の中で何度も語られる「100万回生きた」ねこのそれぞれの人生。どれも物語があり、簡単に通り過ぎることが出来ないくらい想像が膨らんでいきます。それでも最後の物語が全く違うのは、彼が知らなかった感情を知ってしまうから。大きな真実に気づいてしまうから。それは一体、幸せなことだったのでしょうか。
その全く穏やかで豊かになったねこの表情を、読者は自由に読み解きながら、好きなように解釈していく、そんな楽しみがこの絵本にはあります。読み終わった時に何を思うのか。その時浮かんできた「自分の言葉」、大切に残していってくださいね。
https://www.ehonnavi.net/ehon/94/100%E4%B8%87%E5%9B%9E%
----------
このブックハウスカフェをテーマにしたドキュメント72HoursはNHKBS1で6月22日(水)午後5:00-5:30に放送されますので、興味のある方はぜひ視聴してください。東京に行く機会があればぜひ行ってみたい場所です。
絵本は子どもだけのものではありません。大人も充分楽しめる本です。絵本を楽しめない大人は何か大切なものを失っているかもしれません。雨の日にはゆっくりお気に入りの絵本を楽しみましょう。
#436 気象病
今日は朝から晴天ですが、昨日は午前中まで雨が降り続き、気象庁は九州地方に梅雨入り宣言を出しました。いよいよ梅雨の始まりです。毎年のように九州北部は梅雨時に大雨や洪水に見舞われ、ここ太牟田でも昨年は内水氾濫で2人の死者が出ました。今年はすでに梅雨に入っている沖縄や関東、東北地方で大雨が続いており、大荒れの天気が続いています。雷雨や雹(ひょう)など近年の梅雨は極端な気候の変化が見られますので、特に梅雨末期の大雨には注意が必要です。
さて、気象病という言葉が最近ニュースなどで取り上げられるようになりました。気圧や天気の変化に身体は異常に反応する症例ですが、面白記事を見つけましたので、転載します。
----------
『梅雨に多い「気象病」、気圧変化による不調はアプリで“予測”』
梅雨が始まると、急な気圧や気温の変化によって、体調を崩す人が少なくない。その症状は、頭痛やめまい、倦怠(けんたい)感などさまざま。このような不調は「気象病」とも呼ばれ、近年、認知が広がりつつある。そんな中、気圧の変化を知ることで体調管理に役立てるアプリが重宝されている。天気予報を見るように、事前に起こりうる体調不良を確認できることから、利用者が増えているという。
「曇りや雨の日は、眠気や頭がモヤモヤするような頭痛に襲われることがあります。でも、病院に行くほどでもなかったんです。最近になって、それが気圧に左右されているとわかり、少し気持ちが楽になりました」
こう話すのは、片頭痛持ちの30代女性。夫も同じタイミングで頭痛を訴えていた。「気象病」というのがあることを知り、自分たちの不調が気圧の影響を受けているかもしれないと思ったという。
気圧などの変化で不調をきたし、病院を訪れる人は少なくない。愛知医科大学客員教授の佐藤純医師は、天気による体調の悪化や寒暖差による不調を「天気痛」と命名し、同大学病院で「天気痛・気象病外来」を開設して患者の治療にあたっている。
「体調を崩す3要素である気圧・温度・湿度が、耳の奥にある内耳や自律神経に作用することで、体調不良を引き起こします。特に気圧の影響が大きい。もともと高気圧で晴れている時は、体の活動性を上げる交感神経が優位になりますが、低気圧で曇りや雨の時は、休息モードの副交感神経が優位になります。しかし、現代人は運動不足や生活リズムの乱れにより自律神経の働きが弱くなっていて、天候の変化にうまく対応できなくなってしまうことがあります」
不調を感じる「時点」にも注意したい。上空が低気圧に覆われて天気が悪くなる前、つまり、気圧変動が起きている時の方が人は体にストレスを感じやすいという。症状として表れるのは、頭痛やめまい、倦怠感、関節痛、ぜんそく、うつ病などさまざまで個人差がある。佐藤医師の「天気痛・気象病外来」には片頭痛の患者が多いという。
「いわゆる『古傷が痛む』という症状の人は、外来にはあまり来ません。患者に多い症状は頭痛で、深刻な例には、仕事を辞めてしまう人や、学校に行けなくなる子どももいます。雨が降るだけで、日常生活に支障が出るほど体調不良になるというのは、周囲の理解を得られにくいため、患者本人と家族は苦しい思いをすることがあります」
女性患者のなかには、PMS(月経前症候群)と気象の乱れが重なった時に、体調が普段より悪くなるという人も少なくないという。
<気圧の変化を視覚化>
気圧は肌感覚や目で見てわかるものではない。気圧の変化などを視覚化して、これから起きる体調不良を予測したスマホのアプリがある。
気象情報会社「ウェザーニューズ」は、「天気痛予報」を配信している。大きな気圧の変化のみならず、微小な気圧変動(微気圧変動)や、毎日決まった時間に起きる「大気潮汐(たいきちょうせき)」による気圧の変動幅まで、3つの要素から予測できる1週間分の“天気痛予報”を出している。
「微気圧変動は台風シーズンの秋に起こりやすくなります。フィリピン海沖など遠くで発生した台風から、波紋のように伝わってくる微小な気圧変動でさえ、影響を受けて頭痛を引き起こす人もいます」(ウェザーニュース広報)
ウェザーニュースのアプリのダウンロード数は3000万を超える。「天気痛予報」はそのコンテンツのひとつだが、同社によると、不調の警戒日を知らせる「天気痛アラーム」機能の登録者は20万人を超える。これは、花粉症の人向けの「花粉対策アラーム」と肩を並べる数だという。
「『天気痛アラーム』を始めたのが2020年6月だったのですが、そこから登録者が右肩上がりに増えている状況です」(ウェザーニュース広報)
顧客関係管理(CRM)事業を展開する「ベルシステム24」は、気圧変動による体調不良が起こりやすい時間帯を予測する「頭痛ーる」というアプリを提供している。利用者の86%が女性で、20~30代が6割を占める。
(https://diamond.jp/articles/-/304424)
----------
私も時々片頭痛がしますが、元来鈍感ですので気象病なのか判断できません(笑)!とにかく体調不良の場合は気象が関係することもあると認識しておくべきでしょう。その日の体調と気象をメモしておけば、何らかの関連性が把握でき、体調管理に役立つかもしれません。
#435 荒尾市立図書館
今日は朝から本降りの雨が降り続いています。季節はもう6月、もうすぐ梅雨入り宣言が出る頃です。関東ではここ数日間雹(ひよう)による被害が続出しており、作物への被害が懸念されています。
さて昨日は朝から一日中晴天で、買い物ついでに荒尾図書館へ行ってきました。荒尾まではグリーンランド行きのバスが一番便利ですが、グリーンランドに遊びに行くお客さんでバスが込み合いますので、私はひたすら自転車で行くことにしています。当塾から50分ほどかかりますが、サイクリングついでに途中寄り道をして景色を楽しながら進みます。
荒尾図書館は荒尾シティモールの中にあります。今年の4月にリニューアルオープンしました。太牟田市立図書館の1.5倍ほどの広さがあり、ゆったりした雰囲気のつくりとなっています。また紀伊国屋書店も新しく隣接し、運営管理を委託されています。紀伊国屋書店のHPで次のようなページがあります。
----------
『2022年4月1日 熊本県荒尾市に荒尾市立図書館と紀伊國屋書店あらおシティモール店がグランドオープン』
株式会社紀伊國屋書店(代表取締役会長兼社長 高井 昌史)は、2020年11月に熊本県の荒尾市及び荒尾シティプラン株式会社と締結した「荒尾市立図書館の質の向上とあらおシティモールの活性化に関する協定」に基づいてプロジェクトを進めて参りましたが、この度、4月1日に荒尾市立図書館と紀伊國屋書店あらおシティモール店がグランドオープンいたします。
コミック・児童書・学習参考書を中心にビジネス書、実用書、CD・DVD等々、幅広いジャンルの商品を品揃えいたします。隣接区画に開館する荒尾市立図書館とともに、そして皆様とともに、歩んで参ります。図書館・カフェと隣接した立地を生かし、本の魅力を多くのお客様に伝え、最新の情報・話題の商品を提案いたします。
荒尾市立図書館は本格的なデジタルライブラリーを備えた市立図書館として、あらおシティモールに床面積約3,300㎡(約1,000坪)、蔵書冊数約10万5千冊、電子図書館7000点、座席数約250席にて移転し、オープンいたします。指定管理者として紀伊國屋書店が運営・管理を受託しています。
----------
図書館の写真や詳細は詳細はhttps://mirai.kinokuniya.co.jp/2022/03/31912/にアクセスしてください。素晴らしい雰囲気の図書館を眺めることができます。
この荒尾市立図書館は荒尾市以外の大牟田市を含む近隣の市町村も利用できますので近隣の方々はシティモールで買物のついでにぜひ立ち寄ってください。
また先月から「ありあけ圏域電子図書館」も始まりました。この電子図書館は大牟田市、柳川市、みやま市、長洲町に在住している人利用できる図書館です。自分のコンピュータやスマホからアクセスすることができます。現在8000タイトル以上の書籍が登録されています。
これからも様々なタイプの図書館が登場してきますが、無料で借りることができる公立図書館は知識の宝庫です。大人も子供も大いに地元の図書館を利用したいものです。
#434 荒尾競馬閉鎖
地方競馬と言えば、小倉、佐賀と並んで荒尾にもかつて競馬場がありました。2011年に廃止され、場外売り場が残されていましたが、それも今日移転されて廃止となりました。地元の競馬ファンに取っては懐かしい競馬場です。この荒尾競馬に関する記事を転載します。
----------
『学校サボって観戦、落ちこぼれ馬の覚醒…
荒尾競馬跡地29日閉鎖、最後の食堂「寂しい」』
場外馬券発売所として活用していた荒尾競馬場跡地(熊本県荒尾市)の旧スタンドが、発売所の移転新築に伴い29日で閉鎖される。場内に唯一残っていた食堂「朝日屋」もこの日で閉店。今秋から施設全体の解体が始まる。元馬主でもある食堂経営者の池田政照さん(84)=福岡県大牟田市=は「思い出が染みついた場所が無くなるのは、寂しくてたまらない」と惜別の念を募らせる。
荒尾競馬場の開設は1928年。池田さんは幼少時、祖父に手を引かれて訪れ初めてレースを見た。たちまち馬のとりこになり、「大きくなったら馬を飼う」と祖父に誓ったという。
競馬場は戦時中に一時中断したものの46年に再開。石炭増産の国策でいち早く復旧した三池炭鉱の労働者らでにぎわった。55年から、荒尾市と県の一部事務組合による公営になった。
池田さんによると、当時レース開催日には花火が上がったという。高校時代、花火の音が聞こえると、そわそわしたという池田さん。「競馬好きの同級生と、学校をサボって何度、競馬場に通ったことか」と笑う。上京した大学時代も、中央競馬などに通い詰めた。
帰郷してからは、塗装会社やガソリンスタンドの経営を始めた。その先に見ていたのは、馬を飼うという幼年期からの夢。所得要件をクリアし、30代でついに馬主登録を果たした。
池田さんの所有馬は通算約20頭。中でも忘れられないのは「ダンディジョイフル号」。中央競馬から移籍し、鳴かず飛ばずだったが「養い方次第で走る」と確信して買い取った。仕事の合間、競馬場の厩舎(きゅうしゃ)に足しげく通った。「朝日屋」の壁には、98年の優勝写真が飾られている。愛馬と並ぶ池田さんは誇らしげだ。
しかし前年の97年、三池炭鉱が閉山。得意客を失った荒尾競馬場はその後、赤字が続き、2011年12月、約14億円の累積赤字を残して廃止された。
当時、競馬場には10軒の食堂があった。池田さんが04年に高齢の前経営者から引き継いだ朝日屋もその一つ。競馬場の廃止で一斉に閉店したが、池田さんは「馬を近くに感じたい」と存続を決めた。
馬券発売所の客が訪れる食堂には、その日の出馬表や予想を掲示。15年間勤める石丸フサエさん(73)、智美さん(53)親子が作るちゃんぽんや焼きそば、験担ぎのカツ丼やカツカレーが人気だった。年配の常連たちは池田さんとの競馬談議を楽しみに来店した。
29日の営業が終われば、人生の大半を過ごした「競馬場」ともお別れ。「いよいよこの日が来た。しばらくは何も手に付きそうにない」。池田さんの目が潤んだ。
(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/930995/)
----------
荒尾競馬の跡地に建って、広い競馬場を眺めますと、かつての賑わいが目に浮かびます。私は競馬の趣味はありませんが、それでも所要で競馬場の前を通り過ぎるとき歓声が轟いていたことを思い出します。競馬場の広いトラックの向こうに視線を向けますとラムサール条約に登録されている荒尾干潟が有明海に広がっています。その向こう側には雲仙の普賢岳がそびえています。悠久の自然の姿は変わりませんが、人の作った物はいつしか朽ちていきます。
#433 消費者物価指数急上昇
ウクライナ戦争は世界中に様々な悪影響を与えています。外務省のデータによりますとウクライナの小麦生産高は世界7位で、戦争のために現在輸出可能な量は1/10にすぎないということです。また4位のアメリカや6位のカナダでは天候不良のために作付けさえもできない状態が続いています。このような状況でWFP国連世界食糧計画(国連WFP)は次のように懸念しています。
----------
「私たちの最大の関心事のひとつは収穫です。ウクライナでは供給システムが困難に陥っており、食料が不足しています。紛争が続けば、世界的な食料危機が発生するでしょう。これほど悪いタイミングはないでしょう。アフガニスタン、エチオピア、シリア、イエメンなどの国々では、食料価格が過去最高値に達しています。食料不安に陥る人びとの数は急増しています。戦争以前からニーズは利用可能な資源を上回っていました。そして今は、食料の購入と輸送にかかるコストがより高くなったのです。」
(https://ja.wfp.org/stories/ukurainazhanzhengnongdekazhanchangni
shijiedenajiehenoyingxiangniduisuruxuannian)
----------
また消費者物価指数も急激に上昇し、2.1%を示しています。国民の給与が上がり、お金がうまく循環すればよいのですが、現実は部下だけ上昇し、国民の生活は苦しい状態が続いています。そして昨日の西日本新聞に衝撃的な記事が載っていましたので、転載します。
----------
『病院に行けず 制服も買えず 光熱費と食費高騰、困窮家庭を直撃』
4月の全国消費者物価指数は、前年同月より2・1%伸びた。新型コロナウイルス禍で疲弊する困窮家庭に、エネルギーや食料品といった物価の高騰が追い打ちをかける。ロシアのウクライナ侵攻が長引く中、年内は物価の上昇が続くとの見方が広がっている。
福岡県の40代女性は、夫と子ども5人の家族7人で暮らす。最近の光熱費は、ガス2万3千円、電気2万円…。請求書を見て「節約しているのに厳しい」とため息をつく。水道料金以外は毎月値上がりが続き、支払いは滞りがち。供給を止められることもある。
女性の家計は困窮している。コロナ禍で、夫は建設作業員の日雇いの仕事が減った。女性は昨年8月に福祉関係の職場を辞め、希望の転職先が見つからない。コロナ禍前は夫婦の手取り収入が月25万円程度あったが、今は11万円程度。失業保険や児童手当を足しても、19万円程度にとどまる。
そこに襲いかかるのが世界的なインフレだ。光熱費は、昨年秋ごろから本格的に上昇した。コロナ禍から世界経済が急激に回復し、原油などエネルギー相場が上がった。今年2月以降は、ロシアのウクライナ侵攻や円安の進行が重なり、価格上昇を一段と加速させた。女性が切り詰められるのは食費ぐらいだが、エネルギーだけでなく穀物や食料などの輸入価格も高騰した。
食料品の値上げが相次ぎ、女性は3月から、生活困窮世帯の支援団体に頼るようになった。米などの食材を月1回もらうが、1週間で尽きる。食費は月に約2万円が上限で、もやしや豆腐など安い食材しか買えなくなった。子どもを優先して食事を抜く日も多く、商店を回ってパンの切れ端などをもらうこともある。
家族が病気になっても病院に行けず、春に中学と高校に入った子どもの制服やバッグを買えなかった。「物の値上がりが落ち着く気配がない。どうやって暮らせばいいのか」と訴える。
みずほリサーチ&テクノロジーズが物価高の影響を4月に試算したところ、年収に対する光熱費や食料品などの負担率は、年収1千万円以上の世帯は0・5%の増加だったが、年収300万円未満は2・1%増え、約4倍の開きがあった。
酒井才介上席主任エコノミストは「光熱費や食費は生活に欠かせないため、低所得者ほど負担が大きくなる。娯楽費を切り詰めるだけでは足りず、教育費を削る家庭も出てくる。教育格差が拡大し、貧困の連鎖につながる恐れがある」と指摘する。
(https://www.nishinippon.co.jp/item/n/926591/)
----------
確かにスーパーマーケットに行くと全体的に商品の価格が高くなっています。年金世代や生活保護者など低所得者は物価上昇によりますます生活が困窮することでしょう。今、政治の力が必要とされる時です。政党の目前の利益に左右されることなく、国民のために大ナタを振るってもらいたいと思います。
#432 三省堂、また会う日まで
今日は5月15日、沖縄復帰の日です。本土復帰から50年経ちますが、米軍基地問題など問題が山積しており、国際情勢も反映して本来の沖縄に戻るにはまさまだ時間がかかりそうです。
さて、東京の老舗書店の1つである三省堂ビルが建て替えのために取り壊されることになりました。読売新聞では次のように報じています。
----------
『三省堂の神保町本店が一時閉店、社長「本にしおりを挟むのと同じです」』
本の街「神保町」を象徴する存在として親しまれてきた東京都千代田区の三省堂書店神保町本店が8日、建て替えのため一時閉店した。ビルの老朽化が進んだことなどが理由という。建て替え中は近くの仮店舗で営業し、2025年に新店舗での開業を予定している。
1981年にオープンした現在の店舗は、6階まで売り場があり、約140万冊を扱っていた。同新宿区の紀伊国屋書店新宿本店などと並び、都内の大型書店の先駆けだった。本の街らしく、文芸や人文書などの書籍に詳しい店員が多かった。近年は話題の新刊を塔のように積み上げて売る「タワー積み」などが名物となっていた。
元店員の女性(57)は、「村上春樹さんの『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は発売のとき、タワー積みをして1日2000冊が売れました」と懐かしんだ。
「お店で働く前の学生時代から訪れた思い出の店でした。本の好きなお客さんが多く、こんなことを知らないのかと怒られることもありました」という。
閉店後の午後8時半から正面入り口で行われたセレモニーで、三省堂書店の亀井崇雄社長(46)は「一時閉店をさせていただきますが、これは本にしおりを挟むのと同じようにまた物語を再開するのに必要なステップです。我々はこの時代の大転換期に第二の創業のつもりで次世代の新しい書店を目指す挑戦をすることにいたしました」とあいさつした。一時閉店後は、6月1日から近くの仮店舗で営業を行う。
(https://www.yomiuri.co.jp/culture/20220508-OYT1T50096/)
----------
以前は東京で教員研修会があったり、本の買い出しで年に1,2回上京する度に、決まって最初に行く書店が三省堂でした。JRお茶の水駅から歩いて坂を下り、小川町交差点近くにこの書店があります。店内の各階を散策しながら、面白そうな本を見つけると手にしてページをめくり、早速購入したものです。この三省堂から西へ進むと神保町の古書店街が広がっています。世界最大の古書街です。全部で百数十件ほどの古本屋が並んでおり、ぶらぶら歩きながら気に入った店に入り、書棚に視線を移したものです。
東京には他に多くの大型書店が立ち並んでします。この数年間は東京へ行く機会はありませんが、三省堂に続いて、新宿の紀伊国屋書店本館、池袋のジュンク堂本店、東京駅にある丸善本店、それに八重洲ブックセンターには必ず足を運びます。これらの書店で入手できない本はどこへ行っても手に入りません。
最近はアマゾンで購入することが多くなりましたが、やはり本は自ら手に取り、ページをめくって内容を確認した後に購入するものだと思います。デジタル時代でもあり、電子書籍も人気がありますが、書籍のような気がしません。やはり両手に本の重さを感じながら一字一句目を通していくのが読書の醍醐味だと思います。もし、東京へ行かれる方があれば、ぜひこれらの書店に立ち寄ってください。本の世界が広がります。
#431 グリーン葬?
ゴールデンウィークも今日で終わり、明日から平常の生活に戻ります。今年のゴールデンウィークはコロナ規制も無くなり、全国的に様々な場所で休日を満喫した人々のニュースが流れていました。また海外で休日を過ごした人も前年度に比べ飛躍的に増え、航空業界は久しぶりに嬉しい悲鳴となりました。やはりウィズ・コロナで経済を回せば、様々な業界が活気づきます。改めて経済活動の重要性を肌で感じたところです。
さて、埋葬に関して先日面白い話題を見つけました。欧米は宗教の影響で今でも土葬が中心です。日本でも以前は土葬していましたが、埋葬する場所や環境問題等から火葬が行われています。さらに、近年では散骨や樹木葬など故人の遺言で埋葬方針を決める遺族の方も増えています。
ここで、ユニークな埋葬がアメリカで始まりました。「グリーン葬」と呼ばれる埋葬方式です。それではこの記事に関するニュースを転載します。
----------
『亡きがらを堆肥化する「グリーン葬」 米国で注目』
【5月7日 AFP】シンディ・アームストロング(Cindy Armstrong)さんは米西部の丘にたたずみ、木立のそばの一画を見つめていた。その土には今は亡き息子、アンドリュー(Andrew
Armstrong)さんの亡きがらが含まれている。
米国では家族を埋葬する際に、環境への負荷が少ない方法を選択する人が増えつつある。アームストロングさんもその一人だ。
アンドリューさんは生前、「テラメーション」と呼ばれる方法での埋葬を強く望んでいた。ワシントン州は2019年、ひつぎを使った埋葬や火葬の代わりに、遺体を土に返す埋葬方法を米国の州として初めて合法化した。
「最初はなぜという思いでした」とアームストロングさん。「今、埋葬を終えてみて心から賛成できるようになりました。私自身もテラメーションを選ぶつもりです」
昨年、がんのために36歳で死去したアンドリューさんの遺体は堆肥化され、他の数十人分と一緒にシアトル(Seattle)郊外ケント(Kent)の丘で安息の眠りに就いている。
米国で毎年数千人が選んでいる「グリーン葬」は、薬品による遺体の防腐処理や、コンクリートや金属などカーボンフットプリント(温室効果ガス排出量をCO2に換算した数値)が多い物質の使用を避けることができる。
草木が根を張りつつある緑豊かな丘の中腹で、アームストロングさんは「息子は自然に返りたがったのです」と語った。
この土地を所有しているのは新興企業リターンホーム(Return Home)で、同社は7か月前に近隣のオーバーン(Auburn)で事業を開始して以来、40件のテラメーションを実施している。
■「より良い死に方」
同社の創業者でトップを務めるマイカ・トルーマン(Micah Truman)氏は「ここに葬られた人々は、より良い死に方を私たちに教えてくれているように感じます」と語る。
倉庫ほどの大きさの部屋棚には、「ベッセル(船の意)」と呼ばれる金属製コンテナが並んでいる。コンテナの中に入れられた遺体は60日間、密封状態で分解過程を経る。
明るい照明がついた部屋には、アップテンポの曲が流れている。この60日の間に訪れた遺族は、亡き人の人生を祝福する曲を選ぶことができる。
ベッセルの中の遺体には防腐処理は施されていない。遺族には花や堆肥化可能な思い出の品を添えてもらう。さらに分解過程を促進するために、わらなど遺体の体重の約3倍の有機物が加えられる。その結果、出来上がる100キロ以上の堆肥は、見た目も感触も普通の腐葉土と変わらない。
環境配慮型の埋葬を推進するNPO「グリーンベリアルカウンシル(Green Burial Council)」のエドワード・ビクスビー(Edward
Bixby)会長は、世界各地で遺体の堆肥化を選択する人が増えていると語る。「基本的にわれわれは生まれてきた土に返る、ちりはちりに戻るということです」
リターンホームで遺体の堆肥化にかかる費用は5000ドル(約65万円)で火葬とほぼ同じだが、従来の葬儀を行えばこの2~3倍の費用がかかる。
「グリーン」埋葬は、死そのものに対する自然な向き合い方だ。遺族は、遺体の埋葬準備に関わること、そして故人がこれからも生き続ける生命の一部になるのを見ることができる。
「愛する人が亡くなっても、いつでも思いをはせることはできるのです。ただ触れることができなくなっただけです」とビクスビー氏は語った。
(https://www.afpbb.com/articles/-/3403565
*なお動画をご覧になりたい方は上記のページにアクセスしてください。
----------
遺体を土に帰すために、日本を除いて多くの地域で土葬が行われていますが、この遺体を「土に帰す」新しい方法として「グリーン葬」が登場したようです。遺体が完全に土に帰り、肥料として自然環境に貢献できる点で、今後注目を浴びそうな埋葬方式だと思います。
ただし宗教や文化の違いによりどれほど普及していくかは不明ですが、人口が減少し始めた日本では墓守不在が増えており、いずれは無縁墓が急増していくと思われます。そのような状況下で自分の死後の墓守や墓参を懸念している人はグリーン葬をすることで、墓を建てる必要が無くなり、また遠隔地に住んでいる遺族の方々は墓参を気にせずに各自の家で祈りを捧げることができます。おそらく新しい形式の死者の弔い方として今後注目を引きそうな気がします。
#430 絶対に関わってはいけない人物
今日は5月1日です。「初夏」の季語が使われる月です。また本日はメーデーや日本赤十字社創立記念日です。木々を見ながら新緑が深緑へと変化していく季節感があります。
さて、世の中には絶対関わってはいけない種類の人間がいます。もちろん暴力団など反社会的な人物は言うまでもなく、以外に私たちが気づかない人物が周囲にいます。先日このことに関する面白い記事を見つけましたので転載します。
----------
『【現役僧侶が教える】絶対に関わってはいけない「4種類の人」の特徴とは?』
わたしたちがいま生きているのは「ストレス社会」とも呼ばれる、精神的に疲労が溜まりやすい時代だ。気持ちが沈みがちな人も多いのではないだろうか。人間関係や仕事、お金や健康など、悩みの種を挙げはじめたらきりがないが、むやみにストレスを溜め込んでしまうと心身に不調をきたしてしまう。
そこで、精神的負担を軽減するために参考になるのが、仏教の視点から人生の様々なストレスや悩みへの対処法を語るYouTubeチャンネルが人気の、現役僧侶・大愚元勝の初の著書『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社刊)だ。SNSでは「心が洗われた」「人生の歩み方を学んだ」といった感想が相次いでいる。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、友人として絶対に付き合ってはいけない「4種類の人」をご紹介する。
<絶対に避けるべき「4種類の人」とは?>
人間は、必ず、他人の影響を受けています。だからこそ、「誰と付き合うか」が重要です。お釈迦様は、「次の4種類の人は敵であって、友に似たものにすぎない、と知るべきである」と述べ、「危険な道を避けるように、敵を遠く避けなさい」と教えています。
「4種類の敵」とは、
1)何ものでも取っていく人
・人に与えるときは少ないのに、自分が受け取るときは、できるだけ多く得ようとする人
・自分の利益のみ追及する人
2)言葉だけの人
・「あのときは、ああしてあげた」と、過去のことを恩に着せて友情を装う人
・「今度、こうしてあげるから」と、未来のことに関して友情を装う人
・なすべきことが迫ってくると、「都合が悪い」と言い出す人
3)甘言を語る人(甘言:口当たりのよい言葉)
・目の前ではお世辞を言い、裏では陰口をたたく人
・うわべだけはうまい言葉を語って、中身がともなっていない人
4)遊蕩の仲間(遊蕩:ギャンブル、お酒などに溺れること)
・飲酒、ギャンブルに明け暮れている人
のことです。
<真の友人といえる「4種類の人」とは?>
一方で、お釈迦様は、「次の4種類の友人は、心のこもった友であると知るべきである」と述べています。「4種類の友人」とは、
1)助けてくれる友
・元気がないときに、守ってくれる人
・正常な判断ができなくなったときに、正しい行動に向かわせる人
2)苦しいときも楽しいときも一様に友である人
・窮地に陥っているときに、見捨てない人
・辛いときにも一緒にいてくれる人
3)自分のためを思って話してくれる友
・悪い道に入らないように忠告したり、大切な情報を教えてくれる人
4)同情してくれる友
・落ち目になったときに心配してくれ、上り調子のときには一緒に喜んでくれる人
・人から悪口を言われたときに、弁護してくれる人
お釈迦様は、このような「4種類の友人」こそ「親友」であると説き、「真心を持って交流しなさい」と説いています。
心が弱っているとき、心が欲しているとき、心が憤っているときには、悪友が寄って来やすいものです。人間関係の苦しみを手放すには、「どのような人と付き合い、どのような人と付き合わないか」の基準を持つこと。
その基準となるのが、お釈迦様の教えにある「4種類の敵」と「4種類の友人」なのです。
<苦しみはあなたの心の「SOS」>
あなたは今、何かしらの苦しみを胸中に抱えていらっしゃるのではないでしょうか。ひょっとしたら、あなたではなく、あなたの大切な人が「苦しみ」を抱えていらっしゃるのかもしれません。
苦しみは、あなたの肉体や精神を傷つけ、あなたの心身の力を失わせ、あなたから貴重な時間を奪っていきます。それは一見とても不幸なことに思えるでしょう。けれども別の見方をすれば、「苦しみ」はあなたの潜在意識が発するSOSでもあるといえるのです。
たとえば、さまざまな病気が、私たちが知らず知らずのうちに積み重ねてきた、望ましくない生活習慣に対して発せられる体からのSOS(警鐘)であるように、あなたの「苦しみ」は、あなたが知らず知らずのうちに積み重ねてきた「生き方」に対してのSOSなのです。
<日々の積み重ねが「苦しみ」や「幸福」をもたらす>
「生きる」とは、心で思ったことを言葉に表し、行動に表すことです。日々「何を思い、何を話し、何を行うのか」その積み重ねが、「苦しみ」という結果をもたらすし、また「幸福」という結果ももたらします。
病気になりやすい生活習慣もあれば、病気になりにくい生活習慣もある。同様に「苦しみ」を生み出しやすい生き方もあれば、「苦しみ」を離れて生きる生き方もある。ぜひ、この本を読んでそのことに気づき、新たな一歩を踏み出していただきたいと思います。(本稿は、『苦しみの手放し方』より一部を抜粋・編集したものです)
(ダイヤモンド・オンライン https://diamond.jp/articles/-/302150)
----------
さすがにお釈迦さまの人を見る力は素晴らしいものがります。人間の心を見つめ究極的に悟りに至った仏陀の偉大さには心より感服します。仏陀の知恵は2500年経った現代でも充分通用する人生哲学です。
私は寝る前に時々仏教伝道協会が発行している仏教聖典(様々な経典から抜粋したもの)を開きますが、どのページを開いても仏陀の神髄が輝いています。まさに心のオアシスと言えます。
一日置いてゴールデンウィーク後半が始まります。新コロウィルスを忘れて、久しぶりの観光も結構ですが、充分な時間がある時に今一度自分の心を見直して古今東西の名著を開き、偉大な教えに触れることも休日の過ごし方です。日頃のストレスで心が疲労しています。休日を楽しく過ごして、心を今一度リフレッシュしましょう。
#429 生まれる国を間違えた
月日の経つのは早いもので、今週は4月の最終週となり、来週は5月を迎えます。慌ただしく始まった新年度・新学期ですがもうすぐゴールデンウィークが始まります。時間の加速度がますます速くなり、あっという間に真夏を迎えそうです(笑)!
さてこのブログでは時々「パンドラの憂鬱」より面白い記事を転載していますが、先日興味ある日本と欧米の異文化に関する違いを述べている記事がありましたので、転載します。
----------
『海外「生まれる国を間違えた」北欧の空手家が語る日本人と欧米人の決定的な違いが話題に』
今回は、空手に関する動画などを各種SNSに投稿し、空手に関する書籍も数冊著しているスウェーデン出身の空手家、ジェジー・エンカンプさんが発信したメッセージからで、日本と欧米の空手家の違いを以下のように説明しています。
「欧米人は質問が好き!?
僕たちはしばしば、あまりにも早く答えを知りたがる。
だけど日本では真逆だ……。
通常欧米の生徒は、動きを実践する前に、
『何を、何故、どのように』やるのか知ろうとする。
そうしないと意欲が湧かないんだ。
だけど日本の生徒は、練習を積む事で答えを見つける事を推奨される。
これが『質問による学習』と『実践による学習』の違いだ。
先生の役割は、生徒の質問に答えるのではなく、
自己発見に導いていく事なのではないだろうか」
少なくともエンカンプさんは、長年空手の研鑽を積んだ上で、日本のやり方が正解だと考えているようですが、コメント欄には各国の人々から様々な意見が寄せられていました。その一部をご紹介しますので、ごらんください。
■ 本当にその通り!
まずはやって体で覚えるしかないんだ! +3 オーストラリア
■ そう、僕もまず体を動かしてみるというやり方。
結局はそれがベストなんだと思ってる。 ブラジル
■ 学習には「文脈」が必要だからね。
アイキドウの練習で、ある技を何度も繰り返してると、
ふとした時に体が何かを掴む瞬間があるんだ。
僕が受け持っている外科の生徒たちには、
「見るまでは見えない」と教えている。
彼らがそのことを理解した時になって初めて、
「それでは勉強を始めよう」と言ってるよ。 +11 アメリカ
■ 俺としては、なぜその練習をやるのかを、
事前に理解してた方が習得が早くなると思う。
武道の領域で日本の方がレベルが高いのは、
説明の不足を補えるだけの高い教養が、
多くの生徒に備わっているからなのでは? +2 カナダ
■ これはよく分かる。
多くの欧米人は時期尚早と言えるタイミングで質問する。
とは言え、説明が不十分な先生も多いよね。 アメリカ
■ 言ってる事は間違ってないんだけど、
最近のカラテ道場は若い生徒さんが増えてるからね。
日本みたいなやり方だと上手く行かないんだよ……。
「つまらない」「楽しくない」
「基礎ばかりで派手な技が学べない」……。
それで諦めて辞めちゃうんだ……😥 +11 アメリカ
■ 日本の場合は、ゴールよりも道のりを楽しむ事を学べる。 イギリス
■ うん、これはかなりクールな指摘だと思う。 +2 ブラジル
■ 日本人の物事に対するアプローチは深いね。
彼らの姿勢は、日々の訓練を単なる訓練ではなく、
1つの長い道へと変化させるんだ。 アメリカ
(http://kaigainohannoublog.blog55.fc2.com/blog-entry-4154.html)
----------
確かに、上記の欧米人たちが指摘している通り、日本の「道」のつく武道(剣道や柔道、弓道など)や茶道、生け花などの伝統文化では師匠が弟子に理屈で説明しません。ひたすら型を覚えることから始めます。それも何年も繰り返し練習させて、身体で覚えさせる方法を取ります。また禅宗の座禅を体験したい外国人がたくさんいますが、禅の理屈ではなく、ひたすら座ることで禅の何かを掴んでいきます。
このように欧米文化と日本文化の根本的な違いのひとつに言葉によるコミュニケーションの方法が全く異なることです。とにかく欧米人は言葉で理解することがコミュニケーションの基礎なので、お互いに何か言葉で伝えないと意思が伝わらないと思いますが、日本では言葉で語らずとも相手のしぐさや態度で相手の様子が分かります。
ただし、外交関係では沈黙してはいけません。くどいほど繰り返し相手に対してこちらの意図を明確に説明しないと、誤解されたり揚げ足を取られたりします。国際交渉の場面では言葉を使った交渉が一番です。日本人らしい交渉術が必ずしも成功するとは限りません。異文化間コミュニケーションの知識が必要となる由縁です。
#428 さだまさし70歳に
春爛漫の季節となり、いたる所で花々が咲いています。最高気温も20度を越える日が続き、半袖で過ごしてもよい気候です。
さて、先日歌手のさだまさし氏が70際になりました。フォークソング世代の代表として様々な場面で大活躍されています。それに関連する記事がありましたので、その一部を引用します。
----------
<4月10日は、70歳の誕生日>
きょう4月10日は、さだ自身の誕生日で、70歳を迎えた。今年は彼にとって1972年に吉田政美(当時・正美)とフォークデュオ「グレープ」を結成してから(レコードデビューは翌年だが)50年の節目でもある。
その音楽の原点は3歳から始めたバイオリンで、軽音楽に転じてからはギターを弾くようになる。それだけに、本来はサウンド志向で、グレープでデビューした頃は歌詞なんてついていればいい、あくまでメロディを聴かせるんだと思っていたという。そもそも歌うようになったのも、グレープの初ライブを前に、ボーカルを吉田政美と押し付け合ったあげく、じゃんけんをして負けたからにすぎない。
<「北の国から」誕生のきっかけは…>
そんなさだにとって、歌詞はなくメロディラインをハミングなどで歌うインストゥルメンタルの「北の国から」はまさに面目躍如といえる。言わずと知れた倉本聰脚本の同名ドラマのテーマ曲だ。放送開始の前年の1980年暮れ、札幌でのコンサートの翌日に倉本の家へ招かれ、ドラマの最初の2回分のビデオを見せられると、その場で音楽を依頼された。何度も映像を見て考えた末、ようやくメロディができてギターを弾いたが、言葉が出てこず「ああー」とメロディラインを歌ったところ、倉本からOKが出たという。《言葉がなくても歌は成立するんだなぁ、と勉強になりました。言葉があったら飽きられていたかもしれない、とも思います》とさだはのちに語ってい。
もちろん、さだの曲には、物語の形をとった歌詞で印象に残るものも多い。初めてこの形式を取り入れたのは、グレープの2ndシングル「精霊流し」(1974年)だった。彼の故郷・長崎の精霊流しでは、新盆の家が船をつくり、親類や友人が集まって故人の霊魂を流す。前年に同い年のいとこが海の事故で亡くなったことや、地元の恩人である実業家・作家の宮﨑康平の強い勧めもあって、この行事を歌うことになった。そのために物語のディテールをまずつくり、初めて身を削るようにして詞を書き上げたという。
<「軟弱」「右翼的」という批判もあった>
「精霊流し」はヒットし、日本レコード大賞の作詩賞も受賞する。しかし、それからというもの詞ばかりがあれこれ論評されるようになり、彼を悩ませることにもなった。ソロになってからの最初のヒット曲「雨やどり」(1977年)では、軒下で雨やどりしていた女性がたまたま出会った男性と恋に落ち、プロポーズされるまでを掌編小説のように歌い、人気を博すも“軟弱”と批判もされた。
その後もさだの曲をめぐって世間ではたびたび賛否分かれて議論が持ち上がる。男性から結婚する女性への要求を並べ立てて歌にした「関白宣言」(1979年)には、“女性蔑視”だの“熱烈な夫婦愛の表現”だのさまざまな声が上がり、社会現象にまでなった。日露戦争を描いた映画『二百三高地』の主題歌としてつくられた「防人の詩」(1980年)では、映画のイメージもあいまって“軟弱”から一転“好戦的な右翼”とのレッテルを文化人などから貼られる。
しかし、命の尊さを歌ったつもりだった彼にはそうした反応は心外であった。あまりに音楽とは違うところで批判されることにショックも受けた。「これが伝わらないところでやっていてもしょうがない」と、歌手をやめようとさえ思ったという。そこで向かったのが中国だった。鄧小平による改革開放路線が始まったばかりの1980年、大河・長江を源流へとたどりながら各地の人々や歴史を描くドキュメンタリー映画『長江』を撮影し、翌年公開する。
<映画はヒットしたが、多額の借金が…>
映画自体はヒットし約5億円の配給収入があった。だが、それ以上に製作費がかさみ、さだは莫大な借金を抱えることになる。その総額は金利も入れると35億円におよんだという。借金を返済し、スタッフに給与を支払うためにも懸命に働くしかなかった。そのために以前から年間100回程度行っていたコンサートが、一時は160回ほどにも増えた。
のちに当時を振り返り、ノイローゼになる暇もなく、《返すにはどうしたらいいんだろうと思うと、自転車操業で働くしかない。でも、お客さんがたくさんコンサートに来てくれた。お客さんが借金を返してくれたんです》と語っている(※3)。もちろん、客を呼ぶために、さだのほうからもトークで爆笑をとるなどサービスを惜しまなかった。もともと彼のコンサートは歌よりもトークが長いと評判だった。
返済に追われる一方で、1987年には広島に原爆が落とされた8月6日に同じく被爆地である長崎から平和を祈る野外コンサート「夏・長崎から」をスタートさせている。広島とくらべて長崎はアピールが弱いとの思いから始めたもので、入場料は無料のため毎回少なからぬ赤字を出しながらも、2006年まで20年続いた。
<「素人でいつづけることが大切」>
郷里ではまた、1995年に「ナガサキピーススフィア・貝の火運動」がさだの呼びかけで発足し、全国各地のボランティアと連携しながら平和の大切さを訴える活動を行っている。2003年には同運動のなかで寄せられた寄付をもとに「ナガサキピースミュージアム」も建設された。こうした一連の活動についてさだは次のように語っている。
《戦争や平和、あるいは環境の問題にしても、素人でいつづけることが大切じゃないかな。歌手である僕の役割は、それぞれの問題の入り口を示すことだと思っています。〈玄関思想〉と勝手に言っているんですが、僕の歌を聴いて、何かを感じてくれればいいんです。(文春オンラインより)
(https://bunshun.jp/articles/-/53419)
----------
現在のJ-Popの先駆けとなったフォーク世代で、今でも現役として活躍しているミュージシャンはそれほど多くありません。その代表がさだまさし氏です。彼の作品には家族や人生について数多くの作品があり、他のミュージシャンと違う才能が溢れています。いつまでも活躍してもらいたいミュージシャンの一人です。
#427 消えたオバQ
先日藤子不二雄Ⓐさんの訃報が届きました。日本の漫画黎明期を築いた偉大な漫画家のお一人です。私はオバケのQ太郎やパーマン世代ですが、全世代に愛されているドラえもんは藤子不二雄Fさんの代表作となります。
ところでオバQに関して次のような記事を見つけましたので転載します。
----------
『故・藤子不二雄Ⓐさんが生前解決しきれなかった「消えたオバQ」問題』
相棒の藤子・F・不二雄さん(享年62=本名・藤本弘)の死去から25年半。日本を代表する漫画家の藤子不二雄Ⓐさん(88=本名・安孫子素雄)の訃報に追悼の声が相次いでいる。
小学校で出会ったFさんと共に1954年、故郷の富山県から上京。伝説のアパート「トキワ荘」の住人となり、「藤子不二雄」の共同ペンネームを使って二人三脚で創作活動に没頭した。64年に連載を始めた「オバケのQ太郎」が大ヒットし、人気漫画家の仲間入り。その後もⒶさんの描いた「忍者ハットリくん」「怪物くん」はアニメや実写化され、不動の地位を築いていった。
「ドラえもん」「パーマン」など主に児童漫画を描いたFさんに対し、Ⓐさんは「魔太郎がくる!!」「笑ゥせぇるすまん」といった人間の欲望や心の闇をテーマにしたブラックユーモアものを得意とした。
ちばてつや氏が「恐らく日本初のゴルフ漫画」と言う「プロゴルファー猿」や、トキワ壮の仲間と過ごした青春時代を振り返る自伝漫画「まんが道」など、あまたある名作の多くは今も単行本や文庫が販売中で、電子コミックでも読める。
Ⓐさんの訃報を機に久々に手に取る人も多いだろうが、出世作の「オバQ」を読み返すのは数年前まで不可能に近かった。
高い人気にもかかわらず、88年を最後に単行本の増刷がストップ。他の作品と異なり、文庫版や愛蔵版も出版されず、絶版状態はFさんの死去後、2009年に刊行された「藤子・F・不二雄大全集」にⒶさんと著者名併記で収録されるまで、20年以上も続いた。おかげで古本価格はかなり高騰したものだ。
「オバQは『藤子不二雄』としての2人の最後の共作で、著作権を共同で持つ作品です。ⒶさんはFさんについて『漫画の世界に引っ張ってくれた恩人』と繰り返し感謝と敬意を示していたほど、強固な友情の絆で結ばれていました。2人が版権の取り分を巡って揉めることは考えにくく、周囲の人々の感情のもつれで再版が見送られていたようです」(出版関係者)
ようやく15年に新装版「オバQ」の単行本が刊行、電子コミック化もされているが、過去3度のアニメ化作品で現在、ネット配信されているのは85年開始の第3作のみ。DVDソフト化は全作されていない。
Ⓐさんが完全に解決しきれなかった「消えたオバQ」問題──。天国で再会したFさんと共に「新しいアニメ化オバQを今の子供たちに見て欲しい」と願っているに違いない。
(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/303649)
----------
確かに元祖オバQの再放送は見たことがありません。上記のような著作権がらみの問題があったのでしょうね。名作に関してはできるだけ当時の作品をそのまま見たいものです。このオバQとは異なりますが、放送当時のまま決して再放送されないアニメに「トムとジェリー」があります。年配の方々はご存じと思いますが、初期の「トムとジェリー」はナレーションの面白さにあります。しかし放送当時のナレーションは人種差別に関する表現があるために、最近販売されている「トムとジェリー」のDVDは吹き替えがすべて新しいものに変わっており、放送当時の面白さが無くなっています。
このようにオバQにせよ、トムとジェリーにせよ、その作品を尊重して放送された当時のままのものを見たいものです。人の考え方や倫理基準は時代とともに変わりますが、芸術作品は発表された当時の状況を鑑みてオリジナルのものを見たり聞いたりしたいものです。
#426 中国が南シナ海を欲しがる理由
平成4年度が始まりました。今年度は4月1日に多くの企業で対面による入社式が行われました。また多くの大学で入学式が行われました。昨年はほとんど全ての入社式・入学式がオンラインで行われましたが、今年度は同じコロナ禍でも明るい雰囲気に満ちているようです。しかし徐々に感染者が増えていますので、同じ過ちを繰り返さないように、これ以上感染が広がらない対策や自助努力が必要となることでしょう。
さて、前回のブログは「13歳からの地政学」の記事を引用しましたが、面白かったので早速ネットで購入して読んでみました。その中で気になった内容をまとめてみたいと思います。まず最初の章になぜアメリカが世界一の大国であるか、面白い説明をしています。簡単にまとめると次のようになります。
・世界の貿易はほとんどが海を経由し、海を支配するアメリカが世界の仕切り役になっている。このためアメリカのドルが世界中の貿易の大半で使われている。
・アメリカは自国通貨で外国からの物を買うことができるので、豊かになっている。
・世界のほとんどのデータは海底を経由し、海の支配は情報を押えることにつながる。
・情報はたくさん集めても、分析して使えなければ、持っていないのに等しい。
・経済成長の度合いは人口と技術の伸びによって決まる。
上記は現在のアメリカの状況を表しています。国際決済は大半がアメリカドルなので、アメリカが世界の経済を牛耳っています。またインターネット情報はすべてがアメリカ経由で世界につながっていますので、アメリカは簡単に盗聴やデータを盗むことができます。
次になぜ中国があれほど南シナ海に固執するかを、筆者の独特な視点で説明しています。
・核兵器は①原子力潜水艦②海中からミサイルを発射する能力③深くて安全な海、の3つを揃えて初めて最強のアイテムになる。
・中国は③である南シナ海を支配し、アメリカと対等になることを目指している。
・遠くの国と仲良くして近くの国の脅威に対応する「遠交近攻」は地政学の王道である。
・日本がアメリカと同盟を組んで、中国に対する立場を強めようとするのも、「遠交近攻」の一環である。
私は中国が南シナ海の領土を主張しているのは単に領土拡張かと思っていましたが、著者によると実は各ミサイルを搭載した潜水艦を隠しておく場所を確保するためのようです。東シナ海などの中国の領海は海底が浅いために潜水艦が空から容易に見つかります。南シナ海は1000mを超える深海のために、空から探査するのは不可能です。著者が指摘しているように核ミサイルの本当の怖さは陸上でなく、深海に潜んでいるミサイルとなります。
陸上のミサイルはたとえ移動式でも、軍事衛星により正確にミサイルの場所を特定し攻撃破壊することができますが、水中のミサイルは基本的に不可能です。また深海を極秘に進み敵国の領海に入って核ミサイルを発射すれば短時間で目標に到達することが可能で、先制攻撃が威力を発揮します。例えば、北朝鮮が陸上からミサイルを発射すれば警戒警報を出すことは可能ですが、北朝鮮が現在開発している核搭載のミサイルを積んだ潜水艦が就航すれば日本にとり大きな脅威となります。
また「遠交近攻」は中国や韓国が日本に対して何でも文句を言う「いちゃもん外交」で、いかに日本が間違っているかを世界に発信しています。特に、韓国が世界中に慰安婦像を設置しているのは、日本の立場を悪くする「遠交近攻」の一例となります。
「13歳からの地政学」には他に少数民族問題やアフリカの貧困など興味深い内容が沢山ありますので、御一読を勧めます。
#425 領土拡大の心理
今日は朝から快晴の一日です。気象庁は本日福岡県の桜が満開したと報じました。コロナ禍で桜の下での宴会はできませんが、それでも花を愛でる気持ちは誰でも抑えられません。近くの公園や道端に咲いている桜花を目で楽しみたいものです。このように日本では戦火の音も聞こえずに平和な日々を過ごすことができますが、ヨーロッパでは連日のロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて各国の首脳が集まり、その対策に追われています。
一方なぜロシアは今回ウクライナに侵攻したのでしょうか。その理由の1つにロシアが抱えている心理状態にあるようです。次の記事はロシアや中国など自国の周囲が他国に囲まれている国の心理状態をうまく説明しています。かなりの長文になりますが、ご一読ください。
----------
『「ウクライナ戦争」が起こる知られざる深い事情
国際政治記者がストーリーでわかりやすく解説』
ロシアによるウクライナへの侵攻は世界を揺るがし、ガソリンや食べ物の価格を通じて日本にも大きな影響をもたらしている。ウクライナのクリミア半島のロシアによる併合も現地で取材してきた元モスクワ特派員の田中孝幸氏が上梓した『13歳からの地政学』は、高校生の大樹と中学生の杏の兄妹と、年齢不詳の古物商「カイゾク」との会話で地政学について学べる1冊だ。今回は、ウクライナの戦争のような事態がなぜ起こるのか、本書から一部抜粋のうえ再編集して紹介する。
<なぜ領土を求め続けるのか>
大樹:素朴な疑問なのですが、ロシアも中国もとても大きな国なのに、なぜそんなところの領土にこだわるのでしょうか? 国同士の境目は、管理ができないくらい寒くて、人もいないんですよね? なぜそんな土地を取り合うのでしょうか?
カイゾク:ふむ、ちょっとくらいの領土なんて、こだわらなくてもいいんじゃないかということだな。しかし、実際にはそういう考えにはならない。国が大きければその分、さらに大きくしたいと思うものだ
そこでカイゾクは、1本足の地球儀を少しずらして、デスクの真ん中に白い紙を1枚置いた。そしてそこに赤のサインペンで小さな丸を描いてから、2人に聞いた。
カイゾク:仮にこの赤い丸を自分の領土としよう。周りはほかの国に囲まれている。そして自分の領土を守るために、周りの国も攻め取って自分のものにする
カイゾクは赤い丸の外側に、大きな赤い丸を描いた。
カイゾク:こうすれば、中の丸い部分は安全になる。でも、新たに取った部分は外に面しているからまだ安全ではない。せっかく大変な苦労をして、自分の国のたくさんの兵士の命を犠牲にして攻め取った部分だろうから、なんとしても取られたくないと思うのは自然だ。さあ、どうすればいいだろうか?
大樹:やっぱりさらに外側の国も自分のものにしなければいけない、と思うのでしょうか?
カイゾク:そうだな。自分を守るために、それに今までの苦労を無駄にしないために、さらに周りの土地をどんどん取っていこうと思うようになる。自分のものにできなくても、自分の言いなりになる子分にしようと思うようになる。しまいには、この紙全体を真っ赤に変えようとするだろう
カイゾクはさらに大きな赤い丸を次々に描き足した。
大樹:それって北方領土も同じでしょうか? だからロシアは、あんな小さな島なのに、日本に還そうとしないんですか?
カイゾク:ああ、それもまったく同じだ
<なぜ隣同士仲良くできないのか?>
杏:ちょっと待ってよ! 取るとか攻めるとかの前に、周りの国と仲良くすればいいんじゃないの? 隣同士は仲良くしたほうがいいんでしょう?
杏は赤い丸が描かれた紙を手でたたいた。
カイゾク:杏さん、その通りだ。だがこちらが仲良くしようとしても、相手がこちらと仲良くしたくないかもしれない、相手がこの土地を取りたいと思っているかもしれないと疑心暗鬼になるわけだ。陸続きになっているとほかの国から攻められやすいので、なおさらだ
カイゾクは、紙の右上の隅に黒ペンで小さな丸を描いた。
カイゾク:しかし、この黒い丸の国の人々には、このどんどん大きくなる赤い丸はどのように見えるだろうか?
大樹:恐ろしいです。自分のところまで来るんじゃないかって
カイゾク:そうだろう。本人は自分を守るためだけにやっているつもりでも、周りの国からは攻撃的で危険なやつだと見られるようになる。ロシアがクリミア半島を奪ったり、中国が南シナ海の島々を取ろうとしたりしている動きには、こういう心理が働いている
杏:守るためにずっと戦ってなきゃいけないなんて悲しいね。そういうところとはどうしたら仲良くなれるのかな?
カイゾク:それはお互い信用する関係、つまり信頼関係を築くことだ。だが信頼関係を持ち続けることは案外難しい。例えば隣同士の国でちょっとでも戦いが起きて人が死ぬと、信頼関係はかなりのダメージを受ける。普通、国は攻められればそれに抵抗して、争いになるものだ。すると、攻めたほうは『やっぱりやつらは敵だったんだ』と思って、その争いはひどくなる。たとえ隣の国が、今のままの状態で平和を保とうとしていても、そういう記憶が人々の中に残っている限り、その後も争いが起きやすくなる
杏:平和な世界って、口で言うのは簡単だけど結構難しいのね
カイゾク:その通りだ。中国とソ連、どちらも第2次大戦で侵略されて、1000万人をはるかに超える死者を出した。死者数で言うと、日本の4倍以上だ。だから、ほかの国をそんなに信頼していない。そして自分の安全は自分で守ろうとする。そのために、周りの国とうまくやっていけない傾向がある。こういう外国に向かって強く出る国は内部に大きな問題を抱えていて、それから人々の関心をそらそうとしていることもある
杏:内部の問題?
カイゾク:そうだ。それは大陸にある陸続きの大きな国の、共通の問題でもある
<国民の「反戦」声が届かない理由>
杏:でも私たち普通の人が、侵攻をやめて、とか思っていてもどうしようもないのかな? 国には逆らえないから
大樹:いや、選挙がありますよね? そういう国民の声を合法的に政府に届けるには、選挙でそういうことをしない政治家を選べばいいんじゃないでしょうか
カイゾク:大樹くん、その通りだよ。だが中国のリーダーを選ぶ方法は、日本の選挙とは違う。基本的に、国民が投票でリーダーを選んでいないんだよ
杏:えっ、そうなの? 日本はよくやってるよね、選挙。良さそうだなと思う人に投票して、その人がやっぱりあんまり良くなかったら、次の選挙の時は投票しなければいいんでしょ?
カイゾク:ああ、日本はそうだな。杏さんが言った、国民が選挙で代表者を選ぶ仕組みが、民主主義というものだ。自分が選んだ政府であれば、納得感があるだろう。では民主主義でない国では、そのリーダーに納得できない場合、国民はどうするだろうか?
大樹:えっと、たしかフランス革命では、王様を殺して、民主主義になったんですよね
カイゾク:そう。王様も王妃もその取り巻きの貴族たちもギロチンで殺された。つまり、リーダーを暴力で物理的に消したということだ。選挙がある国では、負けるということは権力を失うということだけだが、選挙のない国では、負けるのは往々にして死を意味する。民主主義の利点は、暴動やギロチンがなくてもリーダーを代えられるということにつきる
大樹:じゃあ、中国はその仕組みがないので、下手をすると国民に殺されると、えらい人たちは思っているのでしょうか?
カイゾク:それは間違いない。だから生き延びるために必死だ
杏:じゃあその民主主義にすればいいじゃない、中国もさ
カイゾク:しかし、実は世界には民主主義をちゃんとできている国というのは、そんなに多くない。そして必ずしも民主主義でなくても、国民を納得させることはできる。大樹くん、毛沢東はどうやって選ばれたリーダーだい?
大樹:今の中国を作った人だよ。どうやって選ばれたかは、えっと、建国の父だから、初めからリーダーというか
カイゾク:ふむ、毛沢東は、戦争を勝ち抜いて国を立ち上げたリーダーだ。その圧倒的な実績で、トップであることを国民に納得させたんだな
杏:ふぅん、その人の後は?
大樹:鄧小平ですよね?
カイゾク:そうだ。鄧小平は政治家だが、戦争で大きな功績をあげた軍人でもあった。そして鄧小平はその後のトップに江沢民、胡錦濤の2人を指名した。この2人はこれも戦争の実績のあった鄧小平から選ばれたということで、国民を納得させてきた。それに、鄧小平から後の時代に国はどんどん豊かになっていった
杏:カリスマってやつだね
カイゾク:戦争で勝てば、国民にリーダーであることを納得させやすくなるわけだ。最近でも、小さな戦争で勝って、カリスマを得ようとしているリーダーたちがいる。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナのクリミア半島を奪って、自分の人気を急上昇させた。中国のリーダーが台湾を攻め取ろうとしているのも、同じ理由だとわしは思っている
杏:そんな理由で戦争するなんて、なんかひどいね
カイゾク:そうだな。そして、中国で近年リーダーになった人は、戦争に勝ち抜いたわけでもないし、そういうリーダーたちから直接選ばれたわけではない。国民にとってなぜトップとして認めないといけないのか、それまでのリーダーたちよりもわかりづらい人だ
<記者に銃を向ける国>
カイゾク:それに民主主義をうたっている国でも、選挙でインチキをやる国もある。政府に反対する人を殺したり、牢屋に入れたりして、自分に都合のいいような結果にするんだ。例えばロシアでは、選挙の前に反対派をいろんな手を使っておさえこんで、立候補できなくするというケースが多く聞かれる
杏:そんなことしたら選挙の意味ないじゃん!
カイゾク:その通りだ。だが実際、そうやって高い地位にとどまり続けているリーダーは世界では結構多い
大樹:でもそんな方法で選ばれた人を、周りの国はリーダーとして認められるのでしょうか? 国と国が仲良くするには、信頼関係が大事なのに
カイゾク:そう、そういうリーダーたちもまさにその不安を感じているだろう。だから、都合の悪いことはできるだけ世界の目から隠そうとする。外部に知られなければ、どんな悪いことをしても世界の国々から厳しい目で見られたりしないからだ
大樹:あ、それでさっき言っていた情報管理が必要になるわけですね
カイゾク:ああ、一般市民が、国がひどい状態であることを世界に伝えるのを防ぐために、SNSとかインターネットを自由に使えないように厳しく制限する。そして情報管理のやり方には、もう1つ、ジャーナリストたちにあまり仕事をさせないようにすることもある
杏:ジャーナリストって新聞とかテレビとか?
カイゾク:そうだ。こういう場合、国民の不満を押しつぶしていることなど、都合の悪いことを世界中に伝えようとする記者たちは、政府の敵になる。そういう国々では、常に記者の通話は盗み聞きされるし、ひどい時は牢屋に入れられたり殺されたりする
大樹:そんなこと、本当にできるんですか?
カイゾク:これは実際に起こっていることだ。でも、いくら徹底的に情報を管理しても、ひどいことを隠し続けるのには限界がある。全部ではなくても、一部はばれることになる。そうなると、隠そうとしていること自体も批判されるようになる。いずれにしても、記者に銃を向けるような国は、それよりずっと前に自分の国民に銃を向けているわけだ。そして、記者を殺すような国に未来はない、とわしは思っている
(東洋経済ON LINE https://toyokeizai.net/articles/-/540181)
----------
上記の文に出てくる「杏」の発想には多くの日本人が、特に国会議員が共感するのではないでしょうか。しかし世界には私たち全く違う考え方をする集団がいます。この国の平和を維持するために今強力な外交が必要となります。ロシアは日本政府の経済対策を受けて北方領土で軍事演習を行っています。また驚愕すべき情報としてアイヌ民族に対してロシア人と同じ祖先を共有し、アイヌ民族を保護する姿勢を打ち出しています。これはウクライナ侵攻前の状況に酷似しています。北海道占領を以前から唱えているロシアの動きを注視する必要があります。
9条があれば平和を守れると公言する政党がいますが、「敵が攻めてきたら何もせずに両手を上げて降伏すべきだ」という考えは日本でしか通用しません。この国の平和を保つためには何が必要か、一人ひとりが(特に国会議員が)考える時が来ています。
#424 新しい季節に向かって
昨日(19日)当塾で今年度最後の授業が終わりました。明日から27日まで年度末の休業を取り、1年間使用した問題集や資料を整理します。28日から授業を再開しますが、実質的には昨日が今年度最後の授業となりました。
3月は別れの季節と言われます。今年度は中学3年生が4名、高校3年生が1人、大学生が1人の8名が当塾で学びましたが、大学生を除いて全員が当塾を卒業しました。中学生の何人かはまた来年度も当塾で学ぶ予定ですが、それぞれの進学先で4月から新しい季節を迎えます。
今年で40年ほど教員として生徒と共に過ごしたことになりますが、この教職という職業は季節感のある職業だと思います。桜の花とともに新学期が始まり、体育祭や文化祭を通して生徒たちと交流し、1学期が過ぎていきます。夏休みには課外授業や部活動、生徒個人の活動等を通して、生徒の個性を伸ばしていきます。2学期は学力向上や様々な学内外の活動のために慌ただしく時間が過ぎていきます。冬休みをはさんで3学期は将来の進路を考え、生徒たちは自分に適した進路を選びます。そして、また桜の季節を迎えます。
中学生も、高校生も勉学に部活動に一生懸命取り組む貴重な時間過ごします。10代は「疾風怒濤の時代」と言われますが、確かに勉学に悩み、友情に悩み、将来の進路に悩み、様々な出来事に一生懸命対応しなければなりません。この時期に努力を怠ると自分の希望する進路を塞ぐことになります。多くの挫折を経験しながら、この青春時代の努力に応じて自分の将来が開けてきます。すでに体験した大人から見れば、たわいもない出来事かもしれませんが、彼ら若者には何事も未体験のものばかりです。
勉強の意味は自分自身を知ることにあります。「自分がどの分野に向いているのか」、「何に興味があるのか」、「将来の夢を実現させるために、どうすればよいか」等を時間をかけて考える時期でもあります。中学・高校時代は自分の可能性を見つける時期です。この時期をどのように過ごすかで後の長い人生が決まります。今年卒業した全国の生徒たちが有意義な人生を歩めるように心からエールを送ります。
#423 ロシアとウクライナ
ロシアがウクライナに侵攻してから、連日トップニュースで各テレビ局が報道しています。様々な専門家が番組に出演して軍事から経済の影響まで幅広く論じていますが、ウクライナとロシアの歴史的関係があまり述べられていないのは残念です。この2か国の今までのつながりが理解できなくてはこの戦争の真実が見えてこないからです。本日はその歴史的な流れに沿って説明しているサイトから転載します。2月21日の公開ですので多少、時間的なズレはありますが、両国の歴史観を知るには充分です。
----------
ロシアとウクライナの間には大きな歴史上の認識の違いがあり、それが現代まで様々な紛争に結びついている側面があります。
ロシアとウクライナの祖ともいうべき国は、9世紀ごろにヴァリャーグと呼ばれた北欧のバイキングが立てたルーシという国です。
やがてこの国の中でキエフが有力となり、世界史ではキエフ大公国なんて呼ばれたりします。(テストではそう呼ばれますが正式国名はルーシのままですし、別に大公とかいませんでしたが)しかしキエフ大公国は13世紀にモンゴルに滅ぼされ、その支配下となってしまいます。
さてそこまではロシアもウクライナも同じ認識なのですが、問題はその後です。
間も無くタタールのくびきと言われたモンゴルの支配が衰え、独立した東スラブ人の国々は我こそはあの輝かしいキエフ大公国の後継者であると主張します。
その一つが現在のロシアの直系のご先祖様モスクワ大公国。
もう一つが現在のウクライナにあったハールィチ・ヴォルィーニ大公国です。
そしてここで大きな認識の差が生まれます。ロシア人からすればルーシはモスクワ大公国が引き継いだと考えます。だからロシア人にとってキエフのあるウクライナは同じルーシ発祥の地であり、日本人で言えば京都のような印象を持っています。
一方ウクライナ人はハールィチ・ヴォルィーニ大公国こそがルーシの正統後継者であり、この時点でウクライナは独立したのだと考えるのです。
その後の歴史は非常に面倒なので省きますが、プーチン大統領が経済的にはどう考えても割の合わないウクライナへの軍事的干渉を辞めないのは、ルーシの統一を熱望するロシア人の歴史認識(しかしウクライナはそれを望まない)が根底にあると私は考えています。
(大山 敬義)株式会社バトンズ CEO
----------
今週の展開は、ミサイルや空爆で始まりますが、ここに至るまでには、原因としての歴史があります。
ウクライナは、何百年もの間、ロシアの統治下に入ったり、独立したりを繰り返してきました。朝鮮半島と中国のような関係ともいえます。
最初にウクライナがロシアの支配下に入ったのは18世紀です。それまでのウクライナは、リトアニア、ポーランド、トルコとロシアが奪い合う地域でした。
クリミア半島周辺には、クリミア汗国という、モンゴルの末裔のムスリムの国がありましたが、1783年にロシアに滅ぼされました。この子孫が、今のウクライナの少数民族、クリミア・タタール人です。
その後、19世紀を通して、ロシア帝国によるウクライナのロシア化が進められ、ロシア語が普及されました。
1917年のロシア革命で、ロシア帝国が倒れたのを契機に、ウクライナ人たちは独立を宣言しました。しかし、ソ連の侵攻を受け、1921年まで続いたソ連・ウクライナ戦争(ウクライナ独立戦争)の後、ソ連に組み込まれました。
その後、1920年代から30年代にかけて、ホロドモールと呼ばれる大量餓死の時代が来ます。豊かな穀倉地帯であるウクライナは、食糧難と財政難で極めて不安定であった初期のソ連で、収奪の対象となりました。穀物や家畜が社会主義の名によって接収され、外貨獲得のために輸出もされました。餓死者は、少なくとも400万人、1000万人にのぼったという説もあります。
1941年、ドイツがソ連に侵攻してきたのに呼応して、一部のウクライナ人はドイツ軍に呼応して、ソ連への反乱を起こしました。第2次世界大戦は、最終的にソ連が勝利し、ウクライナ人やタタール人は強制移住させられ、彼らの農地がロシア人に与えられたりしました。
ウクライナが独立を得たのは、1991年、ソ連が崩壊した結果です。ここに至るまでの歴史は、ウクライナ人がロシアの支配を嫌悪するには十分すぎるのですが、ロシア人は加害者としての自覚が非常に希薄です。
ロシア人の圧倒的多数は、ウクライナ人を何百万人も餓死させたことなど知りもしません。ロシアの一部になるのがなぜそんなに嫌なのか、まったく不思議だ、くらいが、世論の大勢でしょう。ロシア帝国の頃からそうでしたが、虐げられる人々への理解と共感の完全な欠如が、世界最大の版図になるまで領土を拡大するのを可能にさせました。
(塩崎 悠輝 )静岡県立大学国際関係学部 准教授
(https://newspicks.com/movie-series/14?movieId=1886)
----------
いかがでしたか。この両国に限らずヨーロッパ各国は複雑な歴史を抱えています。例えば第2次世界大戦ではドイツやイタリアが他のヨーロッパ諸国と戦いましたが、今はEUのトップとしてドイツは君臨しています。また隣に面した各国は歴史を通して常に敵対する関係が続いています。イギリスとフランスなど枚挙にいとまがありません。
次回のブログではロシアに対してもう一つの見方をご紹介します。お楽しみに!
#422 琵琶湖は呼吸している
3月を迎え、春めいた日差しが降り注いでいますが、今日は寒の戻りで寒い一日となっています。
さて、毎日ニュースではウクライナ情勢が伝えられており、ロシアの侵略が止まりそうにもありません。この話題については次回のブログで述べてみようと思います。今回は面白い話題を提供します。琵琶湖と言えば日本で一番大きい湖ですが、何と呼吸をしているそうです。産経新聞の記事を転載します。
----------
『「琵琶湖の深呼吸」今年も確認 2年連続』
滋賀県は1日、琵琶湖で酸素を多く含んだ表層の水が湖底の水と混ざり合う「全層循環」が昨年に続き観測されたと発表した。湖底に酸素を供給する役割を果たすことから「琵琶湖の深呼吸」とも呼ばれる。平成30~令和元年度には温暖化で観測されず、生態系への影響が懸念される事態となった。
全層循環は例年1月下旬から2月にかけて観測される現象で、表層の水が十分に冷やされることで比重が大きくなり、下層の水と混ざりあう。
琵琶湖で最も深いとされる北部の高島市沖合で先月下旬に行われた水質調査では、水深90メートルの湖底と表層の酸素濃度がほぼ同一となり、十分に混ざりあっていることが確認された。
水中ロボットを使った調査では、水深90メートル地点で固有種のイサザやホンモロコの生息を確認した。
(https://www.sankei.com/article/20220201-YFKE4ZB455LPDKZJF6E4E6MQTU/)
----------
琵琶湖も自然の一部です。動物と同じように呼吸して湖の環境を整え、住んでいる魚たちに新鮮な酸素や栄養を与えるのでしょう。
ところで、不思議に思われるかもしれませんが、琵琶湖は長い時間をかけて現在の位置に移動してきたことをご存じでしょうか。最初は三重県付近で琵琶湖が形成されたそうです。それが長い年月をかけて移動し、現在の滋賀県にたどり着いたそうです。その記事をご紹介します。
----------
『「2cm」 琵琶湖が毎年移動している距離』
日本で一番大きな湖といえば琵琶湖ですが、毎年少しずつ北に移動しているということはご存知でしょうか?
移動距離は2cmほどだそうですので、目に見えて実感するのは難しいそうですが、これが長い期間を考えると大きな移動になります。
滋賀県にある琵琶湖ですが、400万年ほど前には今の三重県伊賀市あたりにあったと言われています。そして、琵琶湖はこのまま少しずつ北に移動していくと100万年後には、日本海にくっついて湖自体が消滅する可能性があるのだそうです。残念ながら今を生きている私たちがそれを見ることはできませんが、100年足らずの人間の一生とは全く異なる長い時間で動いている自然界については改めてその壮大さを感じます。
一般的に湖の寿命は数千年から数万年と言われているそうで、数百万年という歴史を持つ琵琶湖は世界でも有数の長寿の湖だそうです。世界最長寿国の日本に世界的長寿の湖もあるというのは何とも興味深い事実ですし、外国人観光客を呼び込めるような観光開発ができると面白いのではないかと思います。
(https://tokyomarketingblog.com/2cm-biwako-move)
----------
「本当かなあ?」と言いたいところですが、歴史的事実です。これも自然の不思議と言えるでしょう。琵琶湖に関わらず、地球的規模で見れば、伊豆半島は元々太平洋にあったものがフィリピンプレートに乗り、日本列島に到着しています。また将来ハワイは日本列島に接近すると言われています。自然の景色はいつまでも変わらないと思いがちですが、悠久の時を経て姿を変えていきます。それに比べると人間の一生は朝露のごとしです。喜怒哀楽で日々を過ごしていますと、人生はあっという間に過ぎ去ってしまいます。
#421 明日は我が身?
月末になり、長く居座っていた寒気もようやく去り、今日は春らしい気候となりました。明後日3月1日は多くの高校で卒業式が行われます。新卒の生徒たちに4月から新しい人生が待っています。「幸ある人生あれ」と、心からエールを送りたいと思います。
さて恐れていたことが現実となりました。ロシアによるウクライナ侵攻です。連日マスコミが詳しい情報を伝えていますので、お分かりと思いますが、これは国際法に完全に違反する重大な侵略行為です。欧米各国はそれぞれの思惑があり、なかなか足並みが揃わず、現状ではロシアに対して強力な対抗手段を取れない状態が続いています。また「アメリカは軍の派遣を行使しない」とバイデン大統領が公言したこともロシアの軍事進攻のきっかけとともなっているようです。
事の真相はさておき、個人的にさらに懸念していることは中国共産党の動きです。現在起きているロシアの「力による」行動を正当化すれば、中国は早晩台湾に侵攻することでしょう。すでに秒読みになっているかもしれません。事実ロシアがウクライナに侵攻を開始した日に中国の戦闘機9機が台湾海峡を通過し領海侵入を行っています。
中国は数年以内に台湾侵攻を行うことを宣言をしており、台湾と同時に尖閣諸島にも侵入を開始するかもしれません。「お花畑に住んでいる」日本人にとり、ウクライナ問題は他人事ではないのです。果たして何人の日本人が現在の日本の状況を理解しているでしょうか。北方領土は終戦直前にロシアが千島・樺太に侵攻し、それ以来北方4島は旧ソ連ロシアの支配下にあります。また竹島は韓国の初代大統領李承晩が1952年に「李承晩ライン」を一方的に宣言し、それ以来韓国の実質管理下に置かれています。さらに尖閣諸島は連日のように中国による領海侵犯が行われています。つまり外交的な話し合いではいずれも解決できない状況です。実質的に日本の領土の一部が占領されている状況と言えるでしょう。
ウクライナ問題は日本にとって対岸の火事ではないのです。軍事力による「力の行使」がこの世で一番強力な武器であるとロシアは世界に知らしめました。この前近代的な考え方が広がれば世界はまた戦火の絶えない暗黒時代へ戻ることになます。少なくとも自国は自国民が守る姿勢が無ければいつでも侵略されることを今回のロシアが如実に示しています。
#420 オリンピックで示された文化的相違
2月も下旬となりましたが、連日最高気温が10度未満の1月のような寒気が続いています。今年の冬は例年にないほどの寒さでした。しかし、それでも梅の花や水仙が満開で、春の息吹を感じさせてくれます。
さて、北京オリンピックは今日で閉会式を迎えますが、これほどオリンピックに対して様々な異論が出たオリンピックはないでしょう。まずスキー場を設営するために元々自然保護地区であった会場を意図的に変更し、雪の少ない北京に人工雪でスキー場を設営したのは自然破壊の愚挙でありました。またウィグル人問題やチベット問題などをうやむやにしてオリンピックを開催させたことは、平和の象徴としての五輪の終焉を如実に表しています。
前回のブログでもお伝えしましたが、スキージャンプでの失格疑惑において、日本と欧米の対応の差は文化的違いを物語っています。文化的相違の卑近な例として挙げられるのが日米の母親の態度です。一例として、母子がクマに襲われそうになった時に日本人の母親は子どもを守るために、子どもに覆いかぶさりクマには背中を見せますが、アメリカの母親は自分の背後に子供を置き、クマに立ち向かおうとします。
このようにある出来事に対して振る舞う行為が文化的相違として今回のスキージャンプでも見られました。日本チームの関係者は高梨選手の失格に対してIOCには強く抗議せずに、意見書を提出したと聞いています。逆に失格となった国々の関係者は今回の異常な検査に対して一斉に抗議の声をあげています。この場合日本人であれば日本人関係者が取った行動は「潔し」と受け取るのではないでしょうか。
しかし、国際的な立場で考慮すると、今回の抗議しない日本の立場は「不正を認めた」という印象を国際社会に与えています。日本人の潔い態度は必ずしも国際社会で認められるとは限らないのです。それよりも、失格となった選手の国のオリンピック委員会と手を組んでIOCに強く抗議する態度が国際的に正しい見方とされます。
このように色々な場面で文化的な相違が出ますが、国際社会で事を起こすときには、文化的な相違を超えた一致協力が必要になります。日本から遠いウクライナですが、日本の協力の仕方で、今後東アジアに同様な紛争事態が生じた時に各国の対応が決まります。日本が立つ位置により国際社会での日本の役割が問われます。そのような非情に重要な時期に日本が置かれていることを自覚しなければなりません。
#419 疑惑五輪
北京オリンピックも後半に入り、様々な種目で日本人選手が活躍しています。その一方で選手や判定の仕方に関する疑惑も数多く存在しています。オリンピックは4年に1度の世界最大のスポーツイベントであり、選手たちはオリンピックに人生を賭して臨みます。そのような状況下で不正行為や判定ミスは決してあってはならないことです。
しかし、今回の五輪では多くの疑惑が存在しているようです。ご存じのようにスキージャンプ混合団体における高梨沙良選手を含む5人の選手が「スーツの規定違反」で失格となり、以前とは異なるスーツの測定方法に大きな疑惑が生じています。またスケート・ショートトラックにおける不可解な順位判定や失格の判定、ロシアの女子フィギュアスケート選手のドーピング問題など枚挙にいとまがありますせん。本日の産経新聞ネット版では、このような状況を的確に説明しています。
----------
『ドーピング、疑惑判定…トラブル相次ぐ北京五輪』
北京冬季五輪で各国代表選手らによる熱戦が繰り広げられる中、競技のルールや判定をめぐるトラブルが噴出している。フィギュアスケートでは金メダル候補にドーピング問題が浮上し、スキージャンプでは有力選手が相次いで失格する異例の事態に陥った。他にも疑惑の判定などが出ており、複数の競技で論争を呼ぶような展開となっている。
大会中盤となった現在、最も注目を集める事件はロシア・オリンピック委員会(ROC)として出場するカミラ・ワリエワ(15)のドーピング問題だ。フィギュア女子シングル金メダル候補で、7日の団体でROC優勝に貢献。だが8日、昨年12月にロシアで開かれた大会でのドーピング検査で陽性反応が出たことが報告された。
8日の団体表彰式は異例の延期となり、国際オリンピック委員会(IOC)は閉幕後にずれ込む可能性に言及したが、ロシアの検査機関はワリエワへの資格停止処分をわずか1日で解除。処分解除を疑問視するIOCなどがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する事態となった。CASは12日、裁定が出るのは14日午後と発表。裁定の中身次第では15日からの個人戦出場も危うく、団体の金メダルも取り消されかねない。
一方、出場規定をめぐり世界的な論争に発展しているのがスキージャンプだ。混合団体で日本の高梨沙羅(25)ら4カ国5人の女子選手が1、2本目の飛躍後の検査で、「スーツの規定違反」で失格となった。同じスーツで出た個人戦では問題になっておらず、各国メディアは「あり得ない判定」「ばかげたルール」と疑問を呈する。
全日本スキー連盟も検査方法に関する文書を国際スキー連盟(FIS)に出す方針で、関係各国も問題提起の構えを見せる。欧州メディアはFISが来季に向け、規定変更を検討していると報じるなど、最高峰の大会である五輪でのトラブルは異例の状況だ。
ショートトラックでは中国に有利な判定を下したとの疑惑が出た。7日の男子1000メートル準決勝で、上位でゴールした韓国選手2人がビデオ判定でレーン変更違反で失格となり、中国の2選手が決勝進出。決勝でも1位のハンガリー選手がゴール後に失格、中国選手が金、銀メダルとなった。
ある韓国紙は「史上最悪の五輪だ」と批判。韓国選手団も記者会見で「不当な判定」と訴え、IOCと国際スケート連盟(ISU)に抗議文を送り、CASに提訴する方針を示した。
一方、河北省張家口市で開かれたバイアスロンでは、風が強く複数の選手が「鼻に凍傷ができた」「凍え死ぬ」とSNSに不満を投稿。規定では「氷点下20度以下ならレースを中止する」とされるが、スイスなどの関係者は「体感温度は氷点下30度以下だった」と異常な寒さを指摘している。
(https://www.sankei.com/article/20220213-IDOGJK4A2FIGRIDGEE2MDXQ7
ZQ/?outputType=theme_beijing2022)
----------
今回のオリンピックは選手のための五輪ではなく、国威発揚を狙った中国共産党と利益追求を目指したIOCの意図が明らかになっています。一流の選手と一流の審判員が集まる五輪に不正や疑惑が存在してはなりません。今回の五輪はまさに「疑惑五輪」です。
しかしながら、このような疑惑は国内でも生じています。高校野球選抜大会の予選で、準優勝した高校が選抜大会に出場できない事態となっています。東海地区の「2枠」の2校目に、昨秋の東海大会で準優勝した聖隷クリストファー(静岡)ではなく、ベスト4で敗退した大垣日大(岐阜)が選ばれたことを巡り、疑念の声が今も相次いでいます。常識的に考えれば、地区大会で優勝した優勝校と、準優勝校が代表として選抜大会に出場しますが、今回の代表校選定として次のようなことが判明しています
----------
……ところが、東海大会で優勝した日大三島(静岡)に続く2枠目は、ベスト4に終わった大垣日大(岐阜)に決まった。その理由を、東海地区の選考委員長を務めた鬼嶋一司氏は「個人能力の差」「投手力の差」「甲子園で勝てるチームかどうか」とした。同じ説明を、塚原の前でもできるのだろうか。聖隷の関係者からすれば、チームの和で決勝まで勝ち上がった聖隷の選手を否定されたような選考理由だった。……
(https://www.news-postseven.com/archives/20220213_
1726062.html?DETAIL)
----------
事の真相ははっきりしませんが、上記が選抜の理由であれば、わざわざ地区予選をする必要がありません。個人的に能力のある選手を集めている学校を代表校にすれば済みます。なぜこのような判定になるのか、理解に苦しみます。これも一言で言うと「疑惑甲子園」です。日本高野連は今回の不祥事?に関して、万人が納得するような説明をすべきです。
#418 奇妙な一致
暦の上では立春を過ぎましたが、春は名ばかりで、まだまだ寒い日々が続きます。それでも街角の梅も花をつけ、早春賦のような雰囲気が漂っています。
さて、新コロ禍の中で北京冬季オリンピックが始まりました。選手たちはバブル方式で競技会場と宿泊施設の往復のみ許可されています。また競技会場は無観客で、あらかじめ許可された者のみが入場可という厳戒の下に開催されています。
ところで、多くの政府機関が選手や大会関係者に呼びかけていることがあります。それは情報の漏洩を避けるために個人の携帯を使用せずに、別途最低限度の連絡をするための携帯を持参するように呼びかけています。これは異常です。監視カメラ台数世界一の中国では個人情報の抜き取りは日常茶飯で、少しでも挙動不審な態度を示せば、警察に補導されます。香港問題で世界から非難を浴びている中でのオリンピックです。海外のマスコミもすべて行動制限が行われています。今回の五輪を一言で表せば「監視オリンピック」です。
この北京冬季オリンピックには奇妙な一致が見られます。それは第2次世界大戦前に開催されたベルリンオリンピックが行われた世界情勢です。簡単にベルリンオリンピックの状況を述べてみます。(ウィキペディア(Wikipedia)より抜粋)
<ベルリンオリンピック>
(実施時期)
1936年1936年8月1日から8月16日まで、ドイツのベルリンで行われたオリンピック競技大会であった。
(主催者)
ヒトラーがオリンピックの開催を決めた後は、オリンピックを「アーリア民族の優秀性と自分自身の権力を世界中に見せつける絶好の機会」と位置づけた。
(当時の人種差別)
ベルリンでの開催決定後にドイツの政権を握ったナチス党が、ドイツ国民の支持の下にユダヤ人迫害政策を進めて行ったことや、反政府活動家に対する人権抑圧を行っていることを受けて、ユダヤ人が多いイギリスやアメリカ、そして開催地の地位を争ったスペインなどが、開催権の返上やボイコットを行う動きを見せていた。
(第2次世界大戦前の最後の大海)
この大会の3年後、1939年9月にドイツによるポーランド侵攻を機に第二次世界大戦が勃発し第12回東京大会と第13回ロンドン大会が中止されたため、この大会が大戦前最後の大会となってしまった。
<北京冬季オリンピック>
(実施期間)
2022年2月4日から2月20日まで(競技により開会式前の種目もある)
(主催者)
北京市と中華人民共和国であるが、実質的に現代のナチス党である中国共産党が支配している。人民オリンピックと謳い、漢民族の優秀性と中国の国威発揚を世界に見せつけるために絶好の位置付けと考えている。
(現在の中国をめぐる状況)
中国はチベットやウィグルを侵略して、その民衆を虐待・殺害し、人権を蹂躙している。今回の冬季オリンピックに対し欧米の主な国々は外交的ボイコットを行っている。これはナチスドイツがユダヤ人を迫害した状況に似ている。
(今後の世界情勢)
中国は97年の香港返還後にイギリスとの1国2制度の約束を破り、香港市民に対し中国共産党の意図をくむ行政を行い、香港市民に対し人権を蹂躙している。さらに台湾に対し軍事行動も厭わぬ発言を繰り返している。またロシアは現在ウクライナ問題を抱えており、ウクライナ侵攻の準備をしている。
中国やロシアは世界からの非難を避けるために、オリンピック期間中は軍事行動を控えると思われるが、オリンピック終了後に具体的な行動に出る可能性が高い。従って良識ある世界の人々は両国が侵略行為を行わないように注意して世界情勢を見守る必要があり、世界の民主主義国家は団結して両国が軍事行動に出ることを阻止しなければ、第3次世界大戦への序章となるだろう。
以上が私が夢想したベルリン五輪と北京冬季五輪の奇妙な一致です。オリンピック後の世界情勢を注視する必要性を感じます。このことが現実にならないことを強く望みます。
#417 危険!ただ今自己虫増殖中
大学入学共通テストも何とか無事に終わり、早くも入試シーズンに突入しました。太牟田地区の高校先願入試は1月21日に実施され、当塾から1名受験し、無事に合格しました。また筑後地区の私立高校前期入試は2月2日に予定されており、当塾から中学3年生3名が受験します。さらに大学受験において、現在高校3年生が受験に向けて最後の追い込みを行っています。高校入試、大学入試に関わらず人生を決める入学試験は日々の努力の総決算です。コロナ禍の受験になりますが、体調に注意して悔いのないように頑張ってもらいたいと思います。
ところで、新コロよりもはるかにおそろしい出来事が世の中で急速に増殖中です。いわゆる自己虫(自己中)です。先日発生した「埼玉県・ふじみ野市で起きた立てこもり事件」で、散弾銃で撃たれて人質となった医師が死亡、他の医療関係者も負傷を負いました。21年12月17日、大阪・北新地で谷本盛雄容疑者が放火殺人事件を起こし、クリニックの医師を始め多数の方が犠牲になりました。さらに19年7月に発生し36名が焼死した京都アニメーション放火事件など枚挙にいとまがありません。
これらの凄惨な殺人事件に共通するものは「自分さえよければ他人の生命を奪ってもかまわない」という自分中心の考えです。「あおり運転」やオレオレ詐欺など「特殊詐欺」などの事件も同じ範疇に入ります。自分のことしか考えないのです。自分の利益しか考えない人間。人生がうまくいかないことで他人を巻き添えにして一緒に死のうとする卑怯者。
今までは世間の常識が通用し、ある程度抑えられていたマイナスの感情が自己中心的な人間が増えるにつれて感情を爆発させる人間が急増しています。21年10月に発生した京王線放火・刃物刺傷事件はその最たるものでしょう。つい数か月前に発生した事件ですが、それを忘れるほどの凶悪事件が次々に発生している昨今です。
それではこのような凄惨な事件から身を守る方法がないのでしょうか。残念ながら無いと言わざるをえません。人の多い大きなショッピングセンターでも殺傷事件は生じます。実際、20年8月に福岡ドームに隣接した「MARK
IS 福岡ももち」で、15歳の少年が女性を刺殺し、警官に取り押さえられました。人通りが多い目立つ場所でも簡単に殺傷事件が発生する昨今です。
日本社会は安全だと以前は思われていましたが、日本社会はもう安全ではなくなりました。自分の命は自分で守る時代が到来したことを上記の事件が如実に示しています。自分の命は他人任せにするのではなく、突然発生する自然災害に対しても不可抗力の人災に対しても、私たちは意識的に身を守る手段を取る必要があります。
#416 郵便局よ、お前もか!
新コロ禍での不景気の中、様々な値上げや改革が行われています。その中にはやむを得ないものも含まれますが、給料が上がらない状況での様々な値上げは家計に直接響きます。特に食料品や生活必需品には各地で悲鳴が上がっています。
ここにきて、別の意味で値上げともいえる事案が生じました。1月17日より開始された郵便局(正確にはゆうちょ銀行)の硬貨手数料の導入です。郵貯側には硬貨の手数料を取る正当な理由がありますが、子ども相手に小銭を扱う駄菓子屋や募金活動を行う慈善団体などには大打撃です。NHKではこのニュースを次のように報じています。かなり長い記事ですが、そのまま転載します。
----------
『ゆうちょ銀行 硬貨での預け入れや振り込みに手数料 きょうから』
ゆうちょ銀行では、17日から硬貨で預け入れをする際などに枚数に応じて手数料がかかるようになりました。利用者からは理解を示す声がある一方、困惑する声も聞かれました。
ゆうちょ銀行では、17日から硬貨で預け入れや振り込みをする際、枚数に応じて手数料がかかるようになりました。窓口では硬貨の種類にかかわらず50枚までは無料ですが、
▽51枚から100枚までは550円
▽101枚から500枚までは825円
▽501枚から1000枚までは1100円で
これより多い場合は500枚増えるごとに550円加算されます。またATMで預け入れをする場合は、硬貨の種類にかかわらず1枚から手数料がかかります。
▽1枚から25枚までは110円
▽26枚から50枚までは220円
▽51枚から100枚までは330円です。
硬貨の取り扱い手数料は低金利で収益環境が悪化していることもあり大手銀行や地方銀行でも導入が相次いでいて、ゆうちょ銀行では硬貨の利用が年々増えコストが膨らんでいたことから導入を決めたとしています。
最近はキャッシュレス決済も広がっていますが、硬貨の決済が多い商店や、さい銭を扱う寺や神社などでは影響が出そうです。また駅や空港など郵便局やゆうちょ銀行の店舗以外の場所にある自社のATMの利用についても、平日の夜間や休日に限って17日から手数料が必要になりました。
手数料について利用者の男性は「ほかの金融機関も手数料が必要だからしかたがない」と話していました。
一方、郵便局をよく利用しているという80代の女性は「ゆうちょ銀行は自分のお財布代わりに使っているが、手数料が必要になると使いにくくなります」と話していました。
<募金活動で硬貨を取り扱う団体からは戸惑いの声>
募金活動で硬貨を取り扱う団体からは、戸惑いの声があがっています。
このうち盲導犬の育成を行う日本盲導犬協会では、運営費の多くを企業や個人からの寄付と募金でまかなっていて、全国およそ1万8000か所の商店などに募金箱を設置しています。
集まった募金は、商店などの協力者が年に一度、郵便局の窓口から協会に振り込んでいて、総額は年間1億5000万円に上ります。
募金は、1円や5円といった硬貨が多いことから、手数料が募金額の1割から2割ほどになるおそれがあり、協会では善意で集まった募金が目減りしてしまうと危惧しています。また、協会には、手数料の導入に伴い、複数の協力者から「手数料を取られるなら、募金箱の設置をとりやめたい」という相談が寄せられたということです。
こうした声を受けて、協会では、協力者に対して募金の一部を手数料に充てるよう連絡するとともに、手数料なしで募金を取り扱ってもらえるよう、ほかの金融機関に要請することにしています。
日本盲導犬協会の横江湧真さんは「1円や10円の積み重ねで成り立っている事業なので、募金してくれた方の善意の輪に対して、硬貨だからという理由で一律に手数料を引かれてしまうのは非常に残念です」と話していました。
<駄菓子店の店主「手数料負担すると経営には痛手」>
手数料の導入は硬貨を使った決済が多い小規模な商店で影響が出そうです。東京 江戸川区にある駄菓子店は、あめやガムなど主に100円未満の菓子を販売していて、夕方になると小銭を持った子どもたちでにぎわっています。
消費税込みの価格で販売しているため、客から受け取る代金やお釣りは1円や5円、10円硬貨が多く、これまで店では売り上げ金をゆうちょ銀行の口座に毎日、入金して管理していました。
しかし、17日から導入された手数料には困惑しています。客1人の1回当たりの支払い、いわゆる客単価の平均は200円ほどで、利益も多くないため、手数料を負担すると経営には痛手になるといいます。
また、キャッシュレス決済についても、スマートフォンを持っていない子どもが多いうえ、決済事業者に支払う手数料負担もあり、導入は難しいと感じています。
「駄菓子屋はるちゃん」の店主、内田春江さんは「子どもたちは1円玉や5円玉で支払うので、すぐに硬貨がたまってしまいます。キャッシュレス決済も難しく、困っています」と話していました。
<なぜ手数料?>
ゆうちょ銀行が、手数料の導入を決めた理由のひとつには、硬貨の枚数を数える専用機器の維持コストが膨らんでいたことがあります。ゆうちょ銀行では、店舗の窓口で硬貨の預け入れや振り込みを受け付けると「オートキャッシャー」と呼ばれる専用の機器で、硬貨の種類ごとに枚数を数え、合計金額を計算します。
ATMにも同じような機能を持つ機器があります。ただ、古くなった硬貨が、変形していたり汚れがついていたりした場合、機器が故障しやすくなります。
そして、ここ最近は、故障が急激に増えていたということです。銀行では、ほかの金融機関で硬貨の取り扱い手数料の導入が相次ぐ中、これまで無料だったゆうちょ銀行に硬貨を持ち込む顧客が増えたことや、新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増える中、自宅でためていた「小銭貯金」を預け入れる顧客が相次いだことで機器を動かす回数が増え、故障が多くなったとみています。
故障した機器の修理費に加え、持ち込まれた硬貨の輸送や保管にもコストがかさむようになり、負担は年間数億円にのぼっていたということです。
一方、ゆうちょ銀行は、大規模災害の被災者に対する義援金は手数料の対象外にする方針です。
ただ、今後は義援金や寄付金ごとに、事情を考慮して扱いを判断するということで、個別に問い合わせに応じるとしています。
(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220117/k10013434661000.html)
----------
民間銀行は経営悪化のために様々な手数料を設けていますが、まさか郵便局も民間銀行に続くとは……せめて小銭を扱う業者や慈善団体には従来通りの対応をして貰いたいものです。シェークスピアの小説に出てくる有名な「ブルータスよ、お前もか」のセリフをもじって、郵便局にこのように言いたいと思います。
「郵便局よ、おまえもか!」
#415 大自然の驚異
昨日のトンガ火山大噴火により今日の深夜に日本の太平洋岸に津波警報・注意報が出されました。火山噴火による津波はきわめて珍しく、そのせいか気象庁は津波が到着した後に警報を出す失態を演じました。気象庁によりますと地震に因る津波は10万通りのシミュレーションを基に警報を出すことができるが、今回の火山による津波は例がないということで、警報発令が遅れたと説明していました。
この火山の噴火による津波は太平洋沿岸諸国に届き、最大1m数10㎝の高さになった地域があります。不思議なことに噴火に近い地域よりも日本やペルーなど火山から遠い国により高い津波が到着したことです。今日は大学入試共通テストの2日目ですが、津波警報などで試験を延期した大学もあるようです。朝日新聞は今回の噴火を次のように報じています。
----------
『トンガの海底噴火、噴煙は半径260キロに広がる 「大量の軽石も」』
南太平洋のトンガ諸島で発生した大規模な海底火山の噴火について、防災科学技術研究所火山研究推進センターの中田節也センター長(火山地質学)は「噴煙が最大2万メートル(20キロ)近く、半径260キロにも広がっており、1991年のフィリピン・ピナトゥボ火山の噴火と似ている。噴火規模を0~8で示す火山爆発指数(VEI)も同じ6程度の可能性がある」と指摘した。
ピナトゥボ火山の噴火では、噴出物が成層圏に大量に放出され、太陽の光が遮られて世界的に気温が下がった。2年後には記録的な冷夏となり、日本では米が大凶作となってタイ米を緊急輸入する事態になった。
ただ、ピナトゥボ山は北半球だったのに対し、今回の噴火は南半球で起きた。今後の影響については「現状ではまだ分からない。より詳しい解析が必要で、しばらく状況を注視する必要がある」とした。
ただ、噴火の規模が極めて大きいため、周辺にまき散らされた軽石の被害が心配されるという。「やはり海底火山が噴火した小笠原諸島の福徳岡ノ場と同じように、大量の軽石による被害が出る可能性がある。噴出量は福徳岡ノ場よりはるかに多く、広範囲に被害が出るだろう」と話した。
(https://www.asahi.com/articles/ASQ1H75PSQ1HULBJ00C.html)
----------
上記の記事にあるように、ピナトゥボ火山の噴火により、冷夏となりタイ米を緊急に輸入しましたが、あまりの不味さのために、様々な料理専門家がタイ米の料理の仕方をテレビで説明していたことを思い出しました。
実際、今回の噴火が世界にどのような影響を与えるか現時点では分かりませんが、食料自給率が極端に低い日本にとって近い将来悪影響が出そうです。また特に九州には様々な活火山が集中しており、その活動にも注目しておく必要があります。大自然の驚異は人智を超えており、自然災害にはなす術もありません。
#414 鏡開きとお年玉
今日は成人の日です。多くの地域で成人式が開催される予定ですが、新コロの急速な感染拡大に伴い、中止や延期をする自治体もあります。オミクロン株は他の株に比べて重篤になりにくいデータがでていますが、これまでにない強い感染力を示しています。そのような状況下で、あくまでも個人の行動自粛が求められます。
さて明日1月11日は鏡開きとなっています。地方により鏡開きを行う日が異なりますが、多くの地方では11日となっているようです。先日NHKで鏡開きに関する興味深い話をしていました。その内容を簡単にご紹介します
----------
<鏡開きの意味>
鏡開きの意味は、鏡餅を開いて年神様の恩恵をいただき、力を授かることです。鏡開きでは刃物は使用しません。これは、その昔刃物を使ってお餅を切ることが武士にとっての切腹を連想させたから、神様の依り代であったお持ちに刃物を向けるのは縁起でもないからといった理由が挙げられます。このため鏡開きではお餅を「切る」「割る」とは言わずに、「開く」という表現が使われるようになったと言われています。
さらに日数が経過し、固くなった鏡餅を食べることで歯固めと言って、丈夫な歯で長生きしようという意味もあります。
<鏡開きのやり方>
鏡開きには年神様の依り代として飾ってあった鏡餅を下げて、木槌や手で開きます。これは昔の武家の慣わしで刃物は切腹を連想させるから、また神様の依り代だった鏡餅に刃物を入れてはいけないからといった理由からです。
開いた鏡餅はさらに手で食べやすいサイズに分けます。この時、細かくなった欠片も捨てないように気を付けましょう。最後に開いた鏡餅を余さずいただいて、鏡開きは終了です。(https://lovegreen.net/lifestyle-interior/p279712/)
----------
上記の記事には載っていませんが、鏡餅の由来は神社の御神体である鏡に由来するそうです。鏡に似せて餅を丸い形にして、年神様を祀ったことから丸い餅を鏡餅というようになったそうです。
次に「お年玉」ですが、今ではすっかり子供たちにお小遣いをあげる様式に変わってしまいましたが、元来はそうではありませんでした。ウィキペウィアによりますと、次のように説明しています。
----------
お年玉の語源は、正月に歳神(年神)を迎えるために供えられた、丸い鏡餅(=歳神(年神)の霊魂が宿った依り代、歳神(年神)の象徴)が、家長によって子供に分け与えられ、その餅が「御歳魂(おとしだま)」と呼ばれたことから、とする説がある。つまり、その年を、1年間を、生きるために必要な、歳神(年神)の霊魂=生命を、子供に分け与えることで、(強い生命力には、魔=災厄を退ける力がある)、子供の無事な成長を願う、宗教的な意味がある。また、これを年のありがたい賜物(たまもの)であるとして「年賜(としだま)」と呼ばれたことから、とする説もある。なお、「トシ」は「稲や稲の実り」を意味する語でもあり、歳神(年神)は豊穣神でもある。
お年玉の習慣は中世にまでさかのぼり、主として武士は太刀を、町人は扇を、医者は丸薬を贈った。現代のように現金を渡すのが一般的になったのは、昭和30年代(1955年
- )以降だとされている。これは、経済成長とともに農村社会が解体され都市生活者となり、稲(米)や餅を作らなくなった代わりだともされている。
また、昔は正月に子供に玩具を与えており、お金は玩具の代わり=玩具代だとする説もある。または、この場合、お金が鏡餅と同じ意味・機能を果たしているとも考えられる。例えるなら、稲(餅米)が昨年の収入、鏡餅が家産の集合体、お年玉(=砕いた鏡餅の断片)が家産からの財産分与、ということになる。
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%8A%E5%B9%B4%E7%8E%89)
----------
来年から子供たちには本来の意味のお年玉として丸いお餅を1個渡しましょう。親御さんは経済的に助かりますが、子供たちからの大ブーイングが聞こえてくることでしょう(笑)。
鏡開きにしても、お年玉にしても本来の意味を知っている人は多くないでしょう。この国に昔からある何気ない日常言葉や行事の中にこの国の文化の奥深さを歴史の重みを感じることができます。
#413 新年のご挨拶
本日は1月4日、多くの企業にとって仕事初めの日です。しかしながら、当塾は昨日から授業を行っています。例年は12月30日から1月3日を年末年始休業日としていますが、この間に2回授業を受けない生徒がいましたので、昨夜授業をしました。今年度は塾生の大半が受験生ですので、悠長にしていられません。教える側も必然的に受験生にならざるをえません。1月15・16日が大学入試共通試験、1月21日が私立高校専願入試、2月2日が私立高校前期入試となっていますので、このひと月が勝負になります。
さらに高校3年生は共通試験が終われば私大・国公立2次試験に向けて受験対策をする必要があり、中学3年生は私立高校入試後に県立高校入試に向かって残り1か月を頑張ることになります。
さて、今年2022年は個人的には記念すべき年になります。この「2022」という数字は実は私の大学時代の学籍番号なのです。同じ数字が並んでいましたので覚えやすく、今でも口からすらすらと出てきます。今年一年間何か良いことがありそうな、です!(笑)
それでは今年一年間学習塾二コラをよろしくお願いいたします。
#412 普通の幸せ
2021年(令和3年)も今日で終わります。今年もコロナに始まり、コロナで終わった一年でした。文科省の指示により小規模の塾・予備校は運営を継続できましたので、当塾は幸い授業を休まずに運営できました。塾生たちもほとんど休まず、元気に授業に参加してくれました。
一方、世間に目を向けますと、コロナの影響で多くの業種に不況の波が押し寄せています。特に航空業界では需要の激減により多くの客室乗務員が出向となり、中には神社の巫女さんになっている女性がニュースで報道されていました。また旅行業界、特に多くの旅館が閉鎖になったことは言うまでもありません。また非正規社員を中心に多くの失業者が今でも出ており、生活の基盤が失われたのは悲しい現実です。
他国と比べて、現在の日本はコロナ感染が一応落ち着いていますが、それでも世界的なオミクロン株の流行や、年末年始の人出の多さに伴い、いつ大規模な流行につながるか分かりません。コロナ禍の現状に油断せず、できるだけ人込みを避けるような工夫は今でも必要です。オミクロン株が国内で流行するかどうかは一人ひとりの自覚にかかっています。
このようにコロナ禍が続く今年一年間をふり返ってみますと、多くの人々が気づいたことがあります。それは「普通の幸せがいかに大切か」ということです。普通に働ける仕事がある。勉強ができる学校がある。家族皆が元気である。自由に移動や旅行ができる。これらはコロナ前には誰もがあまり意識しなかったことです。
多くの人が普通に生活し、不平不満を漏らし、自分以外の外に幸せを求める傾向があったのですが、コロナ禍で生活が一変し、今まで暮らしてきた普通の生活がいかに幸せで貴重な時間だったかをようやく世の中の人々は気づき始めました。これは不幸中の幸いと言わざるをえません。コロナの発生起源については様々な憶測が乱れ飛んでいますが、一つだけ言えることは「このコロナ禍で人類は何を学んだか」ということです。その答えの一つが「普通の幸せ」です。
日本のヘレンケラーと呼ばれた故中村久子さんの「こころの手足」という本の中に次のような詩があります。
ある ある ある
さわやかな秋の朝
「タオル取ってちょうだい」
「おーい」と答える良人がある
「ハーイ」という娘がおる
歯をみがく
義歯の取り外し かおを洗う
短いけれど指のない
まるいつよい手が何でもしてくれる
断端に骨のない やわらかい腕もある
何でもしてくれる 短い手もある
ある ある ある
みんなある
さわやかな秋の朝
今年もいろいろありました。来る年が皆様にとって、幸せな年となりますように心から祈念します。
#411 今日はクリスマス
今日は12月25日、クリスマスの日です。昨日はクリスマスイブで、日本国内では新コロの影響も少なく、全国各地で賑わったイブとなりました。特に都会ではクリスマスのイルミネーションが輝き、クリスマスの雰囲気を高めています。
ところで、クリスマスの本当の意味を分かっている人がどれほどいるでしょうか。この私も幼い頃はケーキが食べられる日と思っていました(笑)。日本にはキリスト教信者が少ないせいか、25日は平日と変わらない日を過ごしますが、キリスト教が国教となっている国々では今日は休日で、多くの人が教会でお祈りしたり、家族で静かに過ごします。
それでは、イエス・キリストは本当に12月25日の深夜に馬小屋で誕生したのでしょうか?また、本当のクリスマスとは何でしょうか?先日、明光学園のシスターから頂いた冊子を引用して、クリスマスの真の意味を考えたいと思います。
----------
『クリスマスの豆知識」』「希望のクリスマス」(ドン・ボスコ社)より
英語の Christmas の語源はラテン語の「クリストス・ミサ」です。「救世主キリスト
Christ のミサ聖餐式(mass)」のことで、キリスト降誕を祝うミサのこと。
キリストの誕生が12月25日に定められたのは、4世紀半ば、コンスタンテヌス帝統治下のローマ。12月に冬至を迎えるローマでは、冬至を経て太陽の光がよみがえるということで、12月25日は太陽神の祭日だった。そこで「キリストは正義の太陽」と考えるキリスト教徒たちがこの日をキリストの降誕祭として祝うようになった。ちなみに、キリストの誕生日が12月25日と確定できる記述は聖書にない。
イエスがベツレヘムで誕生されたとき、星の光に導かれ、「占星術の学者たちが東の方から」(マタイ2・1)やってきた。聖書には人数も名前も明記されていないが、彼らが三つの贈り物を献げたことから「三人」、「タルシシュや島々の王が献げ物をシェバやセバの王が貢ぎ物を納めますように」(詩編72・10)という旧約の預言から「賢王」
「博士」といわれ、842年ごろラヴェンナの修道院長アグネルスによって書かれた歴史書からメルキオル、バルタザル、カスパルという名前が伝わるようになった。
クリスマスプレゼントの始まりといわれる三博士の贈り物は……
・乳香
乳香樹かた採られる白色の樹脂。香水や薬品として用いられた。神性の象徴
・没薬
香りのよさから珍重された非情に高価な樹脂。古来死者の防腐処理に使用されたことから、将来の受難と復活の象徴
・黄金
太陽に結びつき、神の現存、その輝きを示す装飾として契約の櫃(ひつ)などの祭具に用いられ、メシアを象徴する金属。王権の象徴
----------
以上が冊子の中にあるクリスマスの説明ですが、キリストの生誕日びついて私は若い頃に調べたことがあります。一説としてイエスが誕生した2000年前から同じような生活を営んでいる遊牧の民ベドウィン族がいますが、彼らでも冬にはとても寒く遊牧活動ができないそうです。まして外気温度に近い馬小屋で出産するのは不可能だ、という記述を読んだことがあります。したがってキリストはおそらく3月末か4月初めに誕生したのではないか、という説が有力のようです。少なくとも12月25日ではないようです。
はるか2000年以上も前の出来事ですので、正確な日にちは分かりませんがヨーロッパの風習と相まってキリストの誕生日が定められたのでしょう。
いずれにしても今日はクリスマス。 Merry Christmas to You!
#410 葉っぱが世界を救う!?
今年も残すところ2週間足らずとなりました。大学入試共通テスト(来年の1月16,17日実施)まで1か月足らずの時期となりました。受験生は最後の追い込みに必死となっています。今年もコロナ禍での入試になりそうですが、受験生は健康に留意して難関をみごと乗り越えて欲しいものです。
さて、先日テレビ東京 (テレQ)の「ガイアの夜明け」で面白い特集をやっていました。私は途中からしか観ていないので、詳しい内容は分かりませんが。葉っぱを使ってワクチンができるそうです。これをネットで検索してみると、次のような内容がありましたので転載します。
----------
『タバコの葉を使ったインフルエンザワクチンの新しい作り方』
<ワクチンとは何か>
多くの人は誤解しています。インフルエンザワクチンは、感染を予防するためのものではありません。悪化を予防するためのものです。そもそもワクチンとは、病原ウイルスを死滅もしくは力を弱めたものです。それを体内へ入れることにより、自己免疫でウイルスに対する抗体を作る!本物の敵が来る前に練習しておくようなものです。そのため抗体の作り方に失敗すると、ワクチンに入っているウイルスで発症するリスクもあります。だからでもありますが、ワクチンを接種することによる副作用が稀ではないのです。
<これまでの作り方>
新しい作り方と言われても、これまでの作り方はどうだったのでしょうか。そもそもウイルスは、自分単独で仲間を増やすことができません。この点が細菌類など他の生物との違いでもあります。ではウイルスはどうやって増えているのか?まず他の生きた細胞に入り込みます。その細胞内にある材料を利用して、新しいウイルスを作ります。そして細胞から出て、新たな細胞を探す!この繰り返しで倍々に増えていきます。なおワクチン製造に際しては、この細胞として主に鶏卵が用いられています。鶏卵が使われる理由は、入手しやすい材料である。また栄養分が豊富な点も重要です。とはいえ1個の卵からは1人分のワクチンしかできません。ワクチンの緊急的な大量増産が難しい理由がここにあるのです。
<新しい作り方のメリット>
新しいワクチン製造法のメリットはどこにあるのでしょうか。
1.製造期間が短縮される
第一のメリットは、製造期間が短縮されることです。つまり鶏卵を使った従来の方法では、約6カ月かかりました。また昆虫を使った製造方法もあります。それでも3カ月かかりました。しかし今回のタバコ葉を使った方法では、1カ月で済むようです。これならば新しい型のウイルスが出現しても、直ぐに対応できます。パンデミックが起きそうな際にも、緊急措置が取れるのです。なおインフルエンザ以外のウイルスでも研究中だとか。可能性はどんどん広がります。
2.卵アレルギーの心配がない
卵アレルギーの人は少なからずいるようです。食品アレルギーの1/3を占めるそうです。この人たちはワクチンを打てませんでした。つまり製造に際して鶏卵を使っていたからです。これが従来法の難点でもありました。とはいえ今度はタバコの葉を使います。卵アレルギーの心配がありません。昨今はアレルギー患者が増えています。そういう意味でも早く実用化して欲しい製造方法です。ただしタバコアレルギーはないのか。調べておく必要はあるでしょう。
3.感染の恐れがない
ワクチンの問題点として、接種時に感染してしまうことがあります。つまり予防のために打ったワクチンで、病気を発症する事例が稀ではないのです。とはいえワクチンの原理は、接種することにより一時的な発症を促します。そういう意味では、間違いではないのです。これも誤解してはいけません。例えばコレラのワクチンでも、接種後に微熱が出ることがあります。しかし体調不良だったり体力が衰えていると?それで重篤化することもあります。なお今回作られるワクチンは、後述するようにウイルスを含んでいるわけではありません。そのため私たちの感染リスクが下がります。これも大きなメリットです。
<ウイルスを作るわけではない>
今回開発した手法が画期的な点は、ウイルス自体は作らないことです。詳しい内容は不明ですが、ウイルスへの抵抗力を付けるために必要な成分を作る!ワクチンとは言いますが、厳密には予防薬と言えるのでしょう。タバコは生長が早く葉も大きいですね。
かつ比較的簡単に栽培できます。いずれにしても成功することを祈りたいですね。
(https://www.inc-reliance.jp/life/34400)
----------
世界中で使用されている新型コロナワクチンは「遺伝子組み換え技術」を用いたワクチンですが、大々的な治験を行わずに接種しているために、多くの副作用を引き起こしています。ワクチン未接種者よりもワクチン接種者に多くの健康被害が出ている現状です。はたして、この体に優しい「葉っぱワクチンは」世界を救うことになるのでしょうか。一日も早い実用化が待たれるところです。
#409 マスターズ甲子園
師走とはよく言ったもので、学校の先生方は現在2学期の成績処理で大忙しの日々が続いています。私も今日一日現在非常勤講師として教えている生徒たちの成績処理に追われました。教員は授業や生徒指導などで日常的に忙しいのですが、学期末は特に成績処理や生徒・保護者面談の準備などで多忙な日々を過ごします。学期末の行事が終了するまで気が抜けません。
さて、「マスターズ甲子園」という言葉を聞いたことがありますか。先日たまたまニュースを見ていましたら、このマスターズ甲子園の特集を放送していましたので、つい最後まで観てしまいました。ウィキペディアではマスターズ甲子園のことを次のように説明しています。
----------
『マスターズ甲子園』
マスターズ甲子園(マスターズこうしえん)とは、高校野球にかつて出場した元高校球児たちが阪神甲子園球場を舞台に世代を超えたOBチームを結成し、野球を通しての同窓会を行い、それを生涯スポーツとし発展させて、また次世代の子供たちに野球の素晴らしさを伝えていくことを目的に2004年から毎年開催しているスポーツ大会である。別名「秋の甲子園」。
2004年の第1回大会は1日間だけの開催だったがそれを2005年以後は2日間開催として大会を全国規模に拡大することを目指し、更に2007年以降はそれを定着させるために3日間開催の実現を目指していたが、2019年現在、2日間開催である。ただし、試合数は2020年から1日4試合から1日5試合に増加させる予定。
<それを実現させるための方針>
「1人でも多く、1チームでも多く」を目指し将来的な全国全都道府県からの出場実現を目指した大会日程の調整、プログラムの調整を図る。
また高校野球全国大会の出場の有無、プロ・アマ経験などのキャリアなどを一切問わず、同じ高校野球同窓生として甲子園に再び出場できる機会を提供する。
大会の運営は自己負担を原則とし、参加者からの会費(参加料)を基本にスポンサーからの支援を仰いで継続的な大会実施を目指す。
----------
マスターズ甲子園は2004年から開催されていたのですね。全然知りませんでした。元高校生の選手たちの試合ですので、一種の同窓会のようなものでしょうか。大会の詳細はマスターズ甲子園HPをご覧ください。
この「甲子園」とつく全国大会がたくさん開催されています。例えば「マンガ甲子園」、「書道甲子園」などが特に有名です。若者たちが「甲子園」めざして日々練習を重ねる姿は素晴らしいものです。たとえ「甲子園」に出場する機会に恵まれていなくても、その日々の努力は称賛に値します。
若い時には打算なく何かに打ち込むことができます。たとえその夢が実現しなくても後の人生に実りのある体験となって活かされます。年齢問わずに何かに打ち込むものを持っている人は幸いです。それに夢中になることで日々の嫌なことは忘れます。あなた自身の「甲子園」は何でしょうか。
#408 神田川、逝く
すでに師走を迎え、今年もひと月足らずとなりました。ついこの前正月を祝ったばかりでしたが、もう1年が瞬く間に過ぎてしまいました。本当に月日の経つのは早いものです。
さて、先月22日に「神田川」の作詞をした喜多條忠さんが逝去されました。「神田川」は南こうせつさんの率いる「かぐや姫」のベストヒット曲ですが、喜多條さんはデビュー作として「マキシ―のために」の歌詞も書いています。読売新聞には次のような記事が載りました。(読売新聞からの転載です。)
----------
『名曲「神田川」の作詞家・喜多條忠さん死去、74歳…南こうせつさん「大事な戦友失った」』
「神田川」など多くの作品を生み出した作詞家、喜多條忠(きたじょう・まこと)さんが11月22日、肺がんで死去した。74歳だった。告別式は近親者で行った。喪主は妻、輝美さん。
大阪府出身。早稲田大学入学後、学生運動に飛び込み、大学は中退。放送作家をしていた時、南こうせつさん率いるフォークグループ「かぐや姫」に詞を提供。「神田川」「赤ちょうちん」「妹」を大ヒットさせた。特に、「
貴方あなた は もう忘れたかしら」と歌い出す「神田川」(1973年)は、自身の学生時代の体験をもとに、3畳一間の下宿で 同棲どうせい する男女のささやかな暮らしを描き、共感を呼んだ。「小さな
石鹸せっけん カタカタ鳴った」という映像を喚起させる一節もあり、名作として歌い継がれている。
青春のほろ苦さを表現したフォーク、恋愛の機微を描いたポップス、日本情緒に彩られた演歌と、その作風は多彩で、幅広い世代から支持された。ほかの代表曲に、キャンディーズ「やさしい悪魔」「暑中お見舞い申し上げます」、梓みちよ「メランコリー」、柏原芳恵(当時・よしえ)「ハロー・グッバイ」、山内恵介「スポットライト」など。小説も執筆していた。日本レコード大賞作詩賞などを受賞。2014年から20年まで日本作詩家協会会長を務めた。
<南こうせつさんのコメント>
「神田川」などを作曲し、歌った南こうせつさんがコメントを発表した。
喜多條さんの体調不良は知っていましたが、こんなに早く亡くなるとは思っていませんでした。奥様からの留守電で訃報を知って驚いています。
最後に喜多條さんにお会いしたのは、今年の11月5日。御自宅に伺って、ベッドの上に仰向けのままの喜多條さんと、時に手を握りながら1時間くらい話をしました。「二人でもう一度いい歌を作ろうよ、神田川の次は三途の川じゃないからね」と冗談を言ったり昔話をしながら、喜多條さんは涙を浮かべて微笑んでいました。
お互いまだ学生だった頃、喜多條さんは文化放送の新人の放送作家、僕はペーペーのミュージシャンでした。文化放送の近くの喫茶店で二人が意気投合して、いつかきっと青山にでっかいビルを建ててみんなで夢を語れる自由なお城を作ろうよ!と語り合ったのがつい昨日のことのようです。
また一人大事な戦友を失い、寂しい気持ちでいっぱいです。僕はこれからもギターを抱えて歌っていくからずっと空から見守っていてください。
さようなら喜多條忠!
(https://www.yomiuri.co.jp/culture/20211130-OYT1T50248/)
----------
この「神田川」の誕生秘話として次のような話があります。喜多條さんが「神田川」の詩を創り、電話でその詩を南こうせつさんに伝えたところ、こうせつさんは歌詞を書きとりながら自然とメロディーが浮かんできたそうです。歌詞のもつ不思議な力なのでしょうか。世代を超えて今でも歌い継がれている名曲です。
かぐや姫は「神田川」の他に、「赤ちょうちん」、「妹」、「22才の別れ」、「なごり雪」など今でも痛い継がれている多くの歌があります。
なお、生命の永遠の尊さを歌った音楽作品「千の風になって」の訳詩と作曲などで知られた芥川賞作家の新井満(あらい・まん、本名・みつる)さんが3日、
誤嚥 性肺炎で死去されました。お二人のご冥福を心よりお祈りします。
#407 JAXA、月へ!
北日本ではこの時期に珍しい大雪で様々な支障が生じているようです。九州でも最低気温が5度前後の日々が続いています。いよいよ本格的な冬の訪れです。新コロのオミクロン株という変種が世界的に流行し始めています。日本のコロナは現状では落ち着きを見せていますが、いつ何時オミクロン株が暴威を振るうかもしれません。インフルエンザの流行と相まって、今年の冬は充分な注意が必要です。
さて、先日のニュースで、日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)の新しいミッションが発表されました。「日本初の月面着陸」のニュースです。
----------
『日本初の月面着陸へ超小型探査機打ち上げ JAXA』
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は25日、来年2月以降に、米航空宇宙局(NASA)が開発中の月に向かう次世代宇宙船「オリオン」の無人試験飛行に合わせ、超小型探査機を2基打ち上げると発表した。月探査に向けた調査や技術実証などが目的で、1基は日本の探査機としては初の月面着陸にも挑戦する。
2基は「OMOTENASHI(オモテナシ)」と「EQUULEUS(エクレウス)」で、JAXAと東京大が共同開発。縦20センチ、横30センチ、高さ10センチ程度の超小型探査機で、オリオンを打ち上げるNASAの新型ロケット「SLS」に相乗りし、打ち上げ後は独自に月に向かう。
オモテナシは、固体ロケットを搭載し軌道制御しながら月への着陸を目指す探査機で、将来の有人探査に備えて飛行中に地球から月周辺までの放射線の計測も行う。エクレウスは、太陽や月の重力を利用し、物流の拠点となる「宇宙港」の設置が検討されている月の裏側の地点まで効率的に到達することを目指す。月面に降ってくる隕石(いんせき)の大きさや頻度なども調べる。
JAXAが開発した月周回衛星「かぐや」や、現在開発中の日本初の無人月面着陸機「SLIM」(スリム)などの中・大型探査機と比べ、超小型探査機は大幅なコスト削減が可能となり、民間や大学などに探査の間口を広げることも期待できる。JAXAは「超小型探査機による新たなミッションの創出、技術開発実証を行っていきたい」としている。
(https://www.sankei.com/article/20211125-4WAPEZ34I5MTNJL6GZEHT
QUHVA/)
----------
JAXAといえば「はやぶさ1」、「はやぶさ2」で小惑星を探査し、その表面の岩石を地球に持ち帰ったことで知られています。また月面探査として「かぐや」が月面のハイビジョン映像を撮影したことでも知られています。今回はアメリカと共同して月面探査に乗り出すようです。はるか彼方の小惑星まで探査衛星を往復させた日本の科学技術は卓越しています。その技術を持ってすれば、月面調査などたやすいことと思います。
人類は月を拠点として、将来火星や他の惑星へ移住者を送り出すことになるのでしょう。現在の科学技術では遠い将来のことになりますが、現在のおもちゃのようなロケットではなく、SF映画に登場するような高性能の宇宙船を開発して数世紀後には宇宙探査や移住する星を見つけることでしょう。SF映画はそのような人類の姿を描いています。ただし、あくまでも現在のコロナパンデミックを乗り越え、人口爆発を抑え、人間の感情や理性をコントロールできるようになったあかつきのことです。
人類の更なる進歩や廃退は現状の課題をいかに解決するかにかかっています。私たちの子孫が豊かに暮らせるように、現在地球上にいる私たちが生態系破壊などの様々な問題を解決しなければなりません。明るい将来が来るか否かは私たち一人ひとりにかかっています。宇宙時代の到来はその後です。
#406 大牟田がロケ地に!?
11月も下旬になり朝晩は寒くなっていきました。明日は寒冷前線が九州を通過し、その後日中の最高気温が13度前後の真冬並みの気候になるようです。本格的に冬の季節が近づくころになりました。
さて、2016年に大牟田市を描いた映画「命スケッチ」が公開されましたが、それに続く映画のロケ地に再び大牟田が選ばれました。18日付の読売新聞電子版に関連の記事が出ていましたので、以下に転載したいと思います。
----------
『元炭鉱町親子描く映画「向田理髪店」 大牟田で来月撮影へ』
寂れた元炭鉱町で困難にぶつかりながらも、前を向く親子などを描く映画「向田理髪店」の撮影が、12月に大牟田市を中心に行われることが決まった。メガホンを取る森岡利行監督(61)は「都会や地方、どこで暮らしても頑張れば温かな気持ちになれる、そんな作品にしたい」と意気込んでいる。
映画の原作は、直木賞作家・奥田英朗さんの作品で、かつて炭鉱で栄えたものの、過疎に悩む北海道の架空の街を題材とした同名の小説「向田理髪店」。
森岡監督は「ツレがうつになりまして。」や「子猫の涙」など、様々なドラマや映画の脚本、監督を務めた。奥田さんの原作映画「純平、考え直せ」で監督を務めた後、「向田理髪店も映画化したい」と構想を練ってきたという。
「福岡のエンターテインメントを盛り上げてほしい」という県内の自身の支援者の願いもあり、舞台を北海道から九州に移してロケ地を探した。そんな中、昨年5月に訪れた大牟田市では、旧三池炭鉱施設や自然などに触れ、「小説の中のリアルを感じることができた」という。
映画「向田理髪店」は、都会の広告代理店勤務を辞め、九州のかつての炭鉱町で理髪店を営む男性が主人公。自身と同じように東京から理髪店の跡を継ぐと地元に戻った息子との人間模様などを、宮原坑や三池港、有明海などの風景とともに、コメディータッチで描く。
大牟田市内を中心に、12月上旬から約2週間撮影を行い、来年の秋~冬頃に全国公開予定。出演する俳優は調整中だが、「著名なキャストになる」(映画製作会社)という。
今月15日には市役所で、森岡監督や撮影を支援する大牟田商工会議所青年部の田中達憲会長(46)らが記者会見。森岡監督は「大牟田には自分が手がけた映画にはない風景がある。温かな作品に仕上げたい」と意気込みを語った。
田中会長は「 閉塞へいそく 感が漂う大牟田のPRとともに、撮影を通じて、市民が明るい気持ちになってもらえるよう、(撮影の)すべてに協力したい」と話した。
(https://www.yomiuri.co.jp/local/fukuoka/news/20211117-OYTNT50087/)
----------
私は小説「向田理髪店」をまだ読んでいませんので、この機会に読んでみようと思います。どのような映画になるか楽しみです。「命スケッチ」では当塾のすぐ近くにある大牟田市動物園(通称、延命動物園)を舞台にした動物や人間ドラマが描かれており、映画のいたる場面に大牟田市の様々な風景が描かれていました。今度の映画撮影に大牟田市がどのように関わっていくか知りませんが、太牟田のPRになると思います。
私が子供だった大牟田市は人口が22万人を超える国内有数の炭都で、街中がたいへん賑やかで、子供たちの歓声が溢れていました。私が大人になるにつれて、炭鉱が無くなり、街も次第に廃れていき、現在は人口11万人をかろうじて維持する地方都市になってしまいました。昔は三池港を中心とした大きな工場群が並んで、炭鉱や港は24時間体制で石炭の積み出しを行っていました。今はその面影もなく、三川抗は炭鉱の遺構を残して静かにたたずんでいます。また三池港の周囲にはだだっ広い空き地だけが残り、当時の面影はまったくありません。以前破産を財政破綻危惧する都市として北海道の夕張、九州の大牟田と言われた時期がありましたが、どちらもかつては国内最大の炭都です。この街の昔の繁栄を知っている者として隔世の感があります。
#405 落ち葉の絨毯
あなたが首をかしげて見ていた
あの銀杏はもうすっかり黄色
落ち葉はあなたの足跡消して
私に何も残さない
(♪「眼を閉じて」かぐや姫)
季節はすでに晩秋となり、街はすっかり落ち葉の季節になりました。銀杏のある並木道は黄色い落ち葉の絨毯にすっかりおおわれて、去り行く秋の装いに彩りを添えています。北国からはすでに雪の便りが届き、今年の冬は例年にない寒い季節の予感がしています
最近は季節の境目がはっきりしない年が増えてきましたが、それでも他国と違って日本は春夏秋冬の四季が明確に分かれており、それぞれの季節に応じた衣食や生活様式があります。日本は衣食を通して季節感を味わえる国だと思います。特に秋は紅葉を求めて海外から旅行客が押し寄せ、京都は毎日どこへ行っても混雑状態です。さすがにコロナ禍で外国人客はほとんどいませんが、週末は国内から集まった観光客で清水寺や嵐山は特に人気があります。また国内の観光地もコロナの急減に伴い、ようやく観光客が戻ってきました。このままコロナが落ち着いてくれれば、観光地に活気が戻り、経済の循環も始まることでしょう。
私が以前滞在していたオーストラリアでは四季に当たる季節がなく、なんとなく暖かくなり、真夏を迎え、そして何となく涼しくなり、冬を迎える3シーズンとなっています。もちろん住む場所にもよりますが、私が暮らしたシドニーでは真夏は日本のような湿度の高いじめじめした夏ではなく、湿度のないカラッとした真夏で、外を歩いても汗が噴き出ることはありません。ただし紫外線が強いので、少し外出してもすぐに日焼けします。また地元の人たちは真昼には海で泳ぎません。紫外線が強すぎて皮膚がんの発症など害が多すぎるからです。泳ぐときには昼間を避けて朝または夕方に泳ぎます。またTシャツで泳ぐ人が多く見られます。
またシドニーの冬はそれほど寒くなく、日本の11月下旬のような季節感です。朝はさすがに最低気温が10度を下回り、ヒーターを使用しますが、昼には20度近くまで気温が上がり、コートなしで過ごせる感覚です。雪が降ることはなく、年に1,2回あられが降った時もありました。
このようにオーストラリアあまり季節感がない国です。もちろんケアンズやダーウィンのような熱帯地域では冬がなく、メルボルンやタスマニアのような南極に近い街は寒さがより厳しくなります。国土が大きいので気候差も大きくなります。
気象庁は先日南半球でラニーニャ現象が発生したと見られると発表しています。「例えば、2020年夏から2021年春にかけてもラニーニャ現象が発生。2020年~2021年の冬は、一時的に強い寒気が流れこんだ影響で、富山市では35年ぶりに積雪が1メートルに達するなど、記録的な大雪となりました。この冬も西日本を中心に寒気が流れ込む予想がでているため、注意が必要です。」(https://tenki.jp/forecaster/deskpart/
2021/11/10/14805.htmlより)
今年はどんな冬になるでしょうか。石油の値上がりに伴い、暖房に必要な灯油などの油も高止まりとなっています。特に暖房が必要なビニールハウスの作物には例年の1,5倍の燃料費がかかっているようです。コロナ禍で経済が下火になっている時期に燃料費の高騰が懸念されます。春が来るまでしばらく寒い季節を辛抱することになります。
#404 創立7周年を迎えました
朝から爽やかな秋晴れの快晴が続いています。車窓から見る田畑は稲刈りがすでに終わり、来春まで静かな眠りについています。秋の日はつるべ落としと言いますが、さすがに日の暮れも早まり、今日の大牟田の日没はは17時23分となっています。
さて、2015年11月4日に当塾が開塾して以来、早いもので7年目を迎えました。この間当塾に来る生徒が絶えることなく、毎年10名前後の塾生が学んでいます。今年は現在中学3年生が4名、高校3年生が1名、大学生が1名在籍しています。中学生と高校生は来春当塾を卒業していきますが、次にどんな生徒が来てくれるのでしょうか。新しい生徒との出会いを楽しみにしています。学習塾二コラの活動はまだまだ続きます。
ところで個人的なことになりますが、昨日福岡雙葉学園同窓会による追悼ミサが浄水通教会で行われました。過去1年間でお亡くなりになられた旧職員や同窓生のための御ミサです。私が雙葉学園に奉職した時から公私共々大変お世話になりました森邦蔵先生が今年の3月に帰天されましたので、今年の追悼ミサは特に違ったものとなりました。
森先生は英語科の大先輩として当時新任教師であった私に様々なことを教えて下さり、いつも叱咤激励してくださいました。また教頭先生として重責を担いながら、職員や生徒たちに慈愛の眼差しを絶えず向けられて学校運営に当たられました。そのお姿はまさに人格者でいらっしゃいました。職場から帰る方向が同じでしたので、時々週末は西新の居酒屋で盃を交わしながら、遅くまで談笑を交わした沢山の思い出があります。
私が学習塾二コラを設立する旨を報告するためにご自宅に訪問しましたが、その帰りに近くの居酒屋で杯を交わしたのが最後になりました。コロナ禍でしばらくご無沙汰していましたが、まさかこんなに早くお別れするとは夢にも思っておりませんでした。私がいつか帰天した時に、森先生や人生の諸先輩方に胸を張って報告できるように、現在の仕事を頑張りたいと思っています。森先生大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。
#403 伝説の心医
今日で10月も終わり、明日から11月(霜月)を迎えます。さすがに朝晩は気温が下がり、扱う水も冷たくなりました。あれほど暑かった10月も終わりを告げます。今年もかすかに漂う木犀の香りを楽しみながら、残り少ない秋を感じながら過ごしたいと思います。
さて、「ホジュン・伝説の心医」がテレQで毎朝再放送されています。数年前にBS東京で放送されていたものを見ましたが、久しぶりに見ると、このドラマの秀逸さを改めて感じます。私は普段テレビでドラマを見ませんが、この番組だけは特別です。ドラマのストーリーやその内容に魅了されます。このドラマの魅力の一つに毎回様々な人間模様やどんでん返しの顛末が盛り込まれ、次に何が起こるのか視聴者に期待させ、飽きさせないことにあると思います。
翻って、日本のドラマ、特にNHKの大河ドラマは登場人物の細かな表情や背景を詳細に描きますが、毎回の盛り上がりに欠け、見ていて退屈になり、最後まで見る気になりません。(意見には個人差があります!)人気の韓流ドラマにはいたる所に視聴者をとりこにする仕掛けがあり、それが日本女性を惹きつけている理由かもしれません。このホジュンは韓国で視聴率63%を記録したMBC放送局のドラマです。
この「心医」とは名誉や金銭を求めず常に患者に寄り添い、患者のために全生涯を捧げる医師のことです。古今を通して医学に志す者の根底には人を救う「慈悲心」がありますが、最近では医学や医療技術の進歩により、医者の中には分析されたデーターをコンピュータ画面で確認するだけで、患者に病状を細かく尋ねようとしない医者もいます。患者個人により病状が異なり、詳しい問診をせずに患者にあった適切な治療ができるわけがありません。医者と患者の間には人間味のあるコミュニケーションが必要です。それができるか否かが名医とやぶ医者の違いだと思います。
コロナ禍で世界中の医療従事者は日々コロナ患者に対応して激務をこなしています。まさに「医は仁術」です。そのような医療従事者に「ホジュン」はぜひ視聴して頂きたい番組の一つです。
#402 阿蘇山噴火
10月も残り1週間となりました。10月の前半は30度を超える真夏のような日々が続いていましたが、後半になると急速に気温が下がり、秋を飛ばして初冬のような日々が続いています。北国では初雪の便りが届き、東京でも12月のような気候が続いています。本当に今年の天気は春先から例年に比べると何かおかしい状況が今日まで続いています。遅ればせながら今日の晴れ間を利用して衣替えをおこない、冬支度を整えました。
さて、先日20日午前に阿蘇山の中岳第1火口が噴火しました。幸いに死傷者は出ませんでしたが、この噴火にともなって、火砕流が火口より1km以上に達し、噴火警戒レベルを3に上げ、入山規制を発表しています。気象庁によりますと、水蒸気噴火とみられており、マグマ噴火には至っていない様子です。
阿蘇山は世界有数のカルデラ噴火をおこした火山です。その火砕流は福岡県の北部まで届いたと言われています。特に九州の火山活動は激しいものがあり、桜島、霧島、雲仙岳を始めとする火山が九州を貫いています。また九州南方の口永良部島や諏訪之瀬島の火山活動も活発であり、気象庁はこれらの火山活動を注視しています。
つい2,3日前に沖縄の海岸に多量の軽石が漂着しました。この軽石は東京から南へ約1300キロ離れた小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」で8月に発生した噴火による軽石がはるばる沖縄まで漂流していったものと推察しています。またこの軽石による船舶被害が発生しました。
----------
23日午後6時5分頃、沖縄県糸満市の喜屋武岬から南に約55キロの海上で、中城海上保安部の巡視艇しまぐも(約100トン)が軽石を吸い込み、エンジントラブルで航行不能となった。射撃訓練中で、同じ訓練をしていた別の巡視船に約3時間半後に引航された。乗員9人にけがはなかった。
沖縄周辺では、海底火山から噴き出したとみられる軽石が漂流しており、同保安部は付近を航行する船舶に注意を呼びかけている。
(https://www.yomiuri.co.jp/national/20211024-OYT1T50067/)
----------
日本は毎年のように地震や水害などの自然災害に見舞われますが、火山の噴火も忘れてはならない災害です。特に九州・沖縄地方は多くの火山に囲まれており、噴火の兆候が現れたら充分な注意が必要となります。
日本という国は地球の地殻を形成する大きなプレートに囲まれており、プレートの移動やせめぎ合いにより地震や火山が発生します。日本列島の形成時期には多くの大地震や大噴火が発生し、現在のような列島の姿になっています。その過程でできたフォッサマグナや中央構造線は今でも動いており、その様子は衛星写真ではっきりと目にすることができます。
そのような動きの激しい大地に住んでいる私たちです。古代より日本人は厳しい自然と共存してきました。そして荒ぶる自然に感謝の念を捧げてきました。私たちはこれからも自然を克服するのではなく、共存する姿勢で生き続けなければなりません。これが神道がこの国に生まれた由縁です。この大地で生きる限り、自然に感謝と敬意を示す必要があります。日本人の根本的な生き方がここにあります。
#401 親に反対された結婚がたどる結末?
昨晩の寒冷前線の南下に伴い今年一番の寒気が日本列島に入ってきました。今朝は最低気温が15.4度を記録し今秋一番の冷え込みとなりました。いよいよ秋本番の到来となり、衣替えを急ぐ必要があります。先週までは30度を超える日が毎日続いていましたが、来週からは20度前後の最高気温になりそうです。今年の秋は極端に短くなりそうです。
さて世の中を長らく騒がせていた話題にようやく終止符が打たれます。26日に秋篠宮真子様と小室さんの結婚記者会見が行われる予定で、この件には様々な賛成・反対意見があり、皇室の存在にも危機感が忍び寄っています。今回の件の本質は一体何だったのでしょうか。考えられることの1つに、「はたして周りに祝福されない結婚が幸せかどうか」の一言につきます。先日興味深い記事を見つけましたのでご紹介します。
----------
『眞子さまは、小室圭さんと結婚して本当に幸せになれるのか…「親に反対された結婚」がたどる結末は?』
<眞子さまと小室圭さん、結婚へ>
約4年に渡って注目されてきた秋篠宮家の眞子さま(29歳)と小室圭さん(29歳)の話がここへきて進展。とうとう結婚が決まったということで話題を集めています。
正式な発表はまだとはいえ、納采の儀などをはじめとするいわゆる結婚式はおこなわず、婚姻届を提出した後はニューヨークで暮らすことになるとのこと。いろいろと取りざたされながらも最終的に「NYで事実婚」という結末には、疑問を感じる人も多いのではないでしょうか。
個人的な意見ではありますが私は、今回のことは、小室さんはもっと前の段階で眞子さまとのお付き合いを辞退すべき案件だったと思っています。望まれていた「多くの国民が結婚を祝福する状況」をつくろうという努力もせず、自分と母親の弁明に追われたものの失敗に終わっただけで、結局は強引に結婚に持ち込んだ、というのが世間の見方ではないでしょうか。
一方、眞子さまとしては、おそらく、「はじめて好きになった相手と、どうしても結ばれたい」という気持ちを優先させた一連の行動だったのでしょう。いろいろなことを犠牲にし、味方であった人たちを敵にまわしてまでも小室さんと結婚をしたかった。そこにあるのはもはや「愛情」ではなく、「意地」や「執着」としか思えません。ところが残念ながら、意地や執着でもぎとったその先にあるのは、必ずしも幸せとは限らないのが現実なのです。
<親に反対された結婚は、長続きしにくい⁉>
一般的にも、意地や執着が“負のエネルギー源”となって、強引に結婚にいたるケースはあります。身近な例でいえば、「親の反対」にあって結婚するケースです。
自分の親や、相手の親から猛反対されると、なぜかそのことを原動力に「何がなんでも結婚しなければ」と思い込むタイプの人たちがいます。『ロミオとジュリエット』の物語のように、反対されればされるほど、「私たちの恋愛や結婚には特別な価値があるに違いない」と信じて疑わず、お互いの想いを募らせることになります。
ところが、親が反対する恋愛や結婚には、必ず問題を含んでいるものです。子どものことを誰よりも身近で見て、理解している親には、子どもに対する愛情から「ウチの子が幸せになれない理由」を本能的に嗅ぎ取っているケースも多いのです。仕事やお金といった条件面はもちろん、本人や家族に対する思いやりなど感情面にいたるまで、わが子が将来、困難におちいったり失敗したりする姿を想像できるのが親というものでしょう。
< 「意地」や「執着」は、離婚を招くもと>
私が経験した相談事例においても、離婚にいたった夫婦の一定数は「もともと親に反対されて結婚した」と打ち明けます。「自分たちの力で結婚してみせる」という意地や、「結婚相手はこの人以外に考えられない」という執着が親の反対を乗り越えていった結果、結婚して数年たってから「想像していた結婚生活と違う……」「こんなはずじゃなかった……」という違和感が生じます。
意地や執着による結婚は、二人が結婚できたことで目的は達成されます。目的が達成されれば、その後、永続的に愛情を育んでいくためのエネルギー源もなくなります。そこではじめて冷静になり、「親があんなに反対していたのは、私のことを心配してくれていたからなんだ」と気づくようになるのです。
もちろん、そこであらためて自分の本当の幸せを考えるのも悪いことではありません。自分の人生で幸せになろうとすることに、「手遅れ」はないからです。
ただ、「してやったり」という気持ちで“押し切り婚”を決行するよりは、愛してくれるすべての人に祝福されて「ありがとう」という気持ちで結婚するほうが、幸せへの近道であることはたしかでしょう。
(https://allabout.co.jp/gm/gc/489630/)
----------
あくまでも一般論ですが、結婚を目的とした交際は長続きしません。結婚は二人の人生の始まりだからです。毎日一緒にいることで情熱も冷め、お互いを冷静に見ることができるようになり、欠点も目立つようになります。そこから本当の愛が始まるのです。愛は情熱でなく忍耐です。お互いどれほど忍耐できるかが結婚のカギとなります。
#400 ウィルスは自壊する!?
10月も上旬が終わろうとしていますが、日中は30度を超える残暑が毎日続いています。天気予報ではあと1週間ほど厳しい残暑が続くそうです。体調の管理に気をつけたいものです。
さて、ここひと月ほどで新型ウィルスの感染者数が急激に減少しています。これはワクチン接種が進んだこともありますが、それだけでは明確な理由とはなりません。専門家も首をかしげるばかりです。政府が今度の選挙のために故意に感染者数をコントロールしている旨の陰謀論を主張する者もいますが、ここで新しい仮説が登場しています。ウィルスが自壊するというものです。言葉自体分かりにくいものですが、次のような説明があります。
----------
『東京都のコロナ新規感染者数 7-9月が「6.9倍と急増→24分の1へと急減」した理由』
「今年の夏に新規感染者が急増した理由は、緊急事態宣言・まん延防止等重点措置疲れで、感染症対策の気の緩みから人流が増えてマスクの着用や3密回避の行動などがおろそかになった、などといわれてきました。しかし、それだけで7倍近い新規感染者増になるとは考えにくい。そもそも通常のコロナウイルスによる風邪は、冬と夏に流行します。今回はその季節性の要因に加えて従来株よりも感染力が強いデルタ株が出現したからでしょう」
では、その後に新型コロナの新規感染者数が急に減少したのはなぜか?人流が減ったからではない。都が公表している「東京都内における繁華街の混雑状況および滞在人口(人出)の増減状況」を見ると、お盆の時期を除き、8月以降の東京、新宿、渋谷、品川、立川などのターミナル駅の15時での人出は大きく減っていない。銀座、六本木、池袋など21時での繁華街も同じだ。
ワクチンのおかげなのか?都の資料によると新規感染者数が減少に向かう8月13日時点での2回接種完了者は60代62.2%、70代81.8%、80代以上81.7%。確かに感染・重症化リスクの高い高齢者のワクチン接種は進んでいたが、全体で見ると27.9%。集団免疫が獲得される状況でもなかった。つまり、新規感染者数激減は、ワクチンだけによるものでもなさそうだ。新規感染者数の激減も、急増と同じくウイルス変異にその原因があったのかもしれない。
<新型コロナウイルスが自壊を始めた?>
「そこで注目されているのがドイツの生物物理学者で1967年のノーベル化学賞受賞のマンフレート・アイゲン博士が71年に発表した『エラーカタストロフの限界』という考え方です」
ウイルスは増殖する際にコピーミスが起き、変異株が出現する。その中には増殖の速いタイプのウイルスが生まれ、急速に感染拡大していく。ところが、増殖が速ければそれだけコピーミスも増える。結果、ある一定の閾値を超えると、今度はそのウイルスの生存に必要な遺伝子までも壊してしまい、ウイルスが自壊する、という考え方だ。
アイゲン博士は生物の進化に必要な自己複製に関する数理モデルを解析。複製に際してエラーが起きた際の振る舞いなどについて研究しており、エラー率と進化ダイナミクス(動態)を考察していた。
つまり7月以降にデルタ株が急速に感染拡大したのは、デルタ株の複製時のコピーミスが増えて変異が蓄積して高い複製能力を獲得したからで、8月半ばにはコピーミスが「エラーカタストロフの限界」を超えたためウイルスの自壊が始まり、急激に感染が減少したのではないか、というのだ。
「この考え通りなら、今後何もしなくても新型コロナウイルスが収束するじゃないか、と楽観する人がいるかもしれません。しかし、これは単なる仮説のひとつに過ぎません。冬にはデルタ株に代わる別の厄介な変異株が流行するかもしれず油断は大敵です」
いま大事なことは第6波への備えをしつつ、“生物進化のダイナミズムの前ではいまの人間の科学の力は微力であって、いくら頑張ってもこれを完全にコントロールすることなどできない”と知ること。できるだけの感染予防を実践したあとは、明るく生きていくよう努めることではないのか。
----------
上記の仮説に関して、たまたまBS-TBSの報道1930(21/9/21放送)を見ていましたら東大名誉教授の児玉龍彦先生が分かりやすく説明されていましたので、興味のある方は次のアドレスにアクセスしてください。
https://youtu.be/TmGfDgds88M
素人なりに考えてみますと、自然界には急激に増加した種は暴走を始め、その種が滅亡するまで続きます。レミングの集団暴走や、バッタの異常発生など多くの例があります。種の大小に関わらず、発生した種がコントロールか聞かないほどに急激に増えた場合に自然界のバランス(ホメオスタシスと言います)が働いて異常な種を何らかの方法で滅ぼします。今回のウィルス急減に関しても仮説の一つとして考えられるのではないかと推測します。ただし、日本以外の国や地域に当てはまるかどうかは不明です。今後の調査が必要になります。
とにかく、感染者数が減り、次のコロナ禍が始まるまでに充分な準備をする必要があります。緊急宣言が無くなったからといって、ウィルスが滅亡したわけではありません。変異を繰り返し、人類が免疫を確保するまでこの戦いは続きます。自分の健康は自分で守る必要があります。
#399 祝!大牟田市動物園80周年
新型コロナ緊急事態宣言解除により、多くの人々が観光地へと繰り出しています。今まで外出を控えていた人たちも、近くの公園や催し会場へと家族連れで出かけています。
そのような中で10月1日に大牟田市動物園が80周年を迎えました。映画「いのちスケッチ」の舞台になった動物園です。この動物園はこんもりとした片平山の中腹に位置し、当塾から歩いて5分ほどの所にありますが、今朝ここに来る前に動物園に行く多くの家族に出会いました。今日は休みなので一日中動物園は多くの親子連れで賑わうようです。ここで「広報おおむた」より動物園のあゆみを転載します。
昭和16年10月 「延命動物園」として開園
昭和31年4月 大牟田産業科学大博物館の開催に合わせて整備され、
名称も「大牟田市動物園」へ
平成4年4月 リニューアル。敷地面積が2倍ほど拡大し、現在のキリン舎の
整備が進む
平成18年4月 市営から指定管理者制度へ
平成25年9月 2代目ゾウのハナコ死亡
平成27年3月 園内に動物病院が完成
平成28年3月 雌キリン「プリン」来園
平成28年12月 NPO法人ZOOネットワーク主催「エンリッチメント大賞2016」受賞
大牟田市動物園の特筆すべき点は「ハズバンダリートレーニング」といわれるものです。これは動物の心身の健康管理など飼育上必要な行動を動物たちに協力してもらいながら行うトレーニングです。このおかげで、定期的な検査による病気の早期発見や効率的な治療を行うことが可能になりました。大牟田市動物園では、多くの動物において実施しており、ライオンやトラ、マンドリル、エミューなどの動物において無麻酔採血を国内で初めて成功させるなどの成果が、全国から注目されています。(広報より)
また、動物園園長のの椎原春一さんは、「飼育されていても動物たちが必要な行動をできるように、環境エンリッチメントに取り組み、同時に裏方だった飼育員が表に出て、お客様に自分たちの取り組みが伝わるようにガイドを始めました。…(中略)…80年の歴史の中で、動物を取り巻く環境も接し方もずいぶん変わったと思います。お客さまには、動物がどうすれば幸せになれるかを考えることをきっかけとして、自分自身の幸せも考えてもらえる動物園であり続けたいです。」
ここは県南部では唯一の動物園です。お近くにお越しの際には、ぜひお立ち寄りください。動物園HPは次の通りです。https://omutacityzoo.org/
#398 ...の秋
秋らしい快晴が続いています。秋と言えば「・・・の秋」が思い浮かびます。スポーツの秋、食欲の秋、読書の秋など、その人の好みに応じて様々な秋が存在します。あなたは今年どの秋を過ごしますか。
秋の夜長と言えば、「読書の秋」がすぐに思い浮かびますが、仕事や勉強で忙しい日々を多くの人は過ごしており、読書の時間をなかなか確保できないようですが、就寝前の少しの時間を利用して読書したいものです。寝る前に難しい本を読むと頭がますます冴えてきますので、寝つきの良くなる内容の本が最適です。特にお勧めは老若男女にかかわらず、昔読んだ童話や少年少女向きの本です。童話というと大人の読み物ではないという人もいますが、子どもだった時の素直な気持ちを思い出すには昔読んだ本が良いと思います。
私が好きな童話作家は小川未明です。小川未明を知らない人が多いと思いますが、日本の童話の黎明期に活躍した作家です。今では彼の作品は単なる童話というよりもお店が読んで楽しめる「古典文学」の香りがします。今日は彼の作品の中で、最も知られている作品の1つをを紹介します。
----------
『牛女』
ある村に、脊の高い、大きな女がありました。あまり大きいので、くびを垂れて歩きました。その女は、おしでありました。性質は、いたってやさしく、涙もろくて、よく、一人の子供をかわいがりました。
女は、いつも黒いような着物をきていました。ただ子供と二人ぎりでありました。まだ年のいかない子供の手を引いて、道を歩いているのを、村の人はよく見たのであります。そして、大女でやさしいところから、だれがいったものか「牛女」と名づけたのであります。
村の子供らは、この女が通ると、「牛女」が通ったといって、珍らしいものでも見るように、みんなして、後についていって、いろいろのことをいいはやしましたけれど、女はおしで、耳が聞きこえませんから、黙まって、いつものように下を向いて、のそりのそりと歩いてゆくようすが、いかにもかわいそうであったのであります。
牛女は、自分の子供をかわいがることは、一通りでありませんでした。自分が不具者だということも、子供が、不具者の子だから、みんなにばかにされるのだろうということも、父親がないから、ほかにだれも子供を育ててくれるものがないということも、よく知っていました。
それですから、いっそう子供に対たいする不憫がましたとみえて、子供をかわいがったのであります。
子供は男の子で、母親を慕したいました。そして、母親のゆくところへは、どこへでもついてゆきました。
牛女は、大女で、力も、またほかの人たちよりは、幾倍もありましたうえに、性質が、やさしくあったから、人々は、牛女に力仕事を頼たのみました。たきぎをしょったり、石を運んだり、また、荷物をかつがしたり、いろいろのことを頼みました。牛女は、よく働きました。そして、その金で二人は、その日、その日を暮らしていました。
こんなに大きくて、力の強い牛女も、病気になりました。どんなものでも、病気にかからないものはないでありましょう。しかも、牛女の病気は、なかなか重かったのであります。そして働くこともできなくなりました。
牛女は、自分は死ぬのでないかと思いました。もし、自分が死ぬようなことがあったなら、子供をだれが見てくれようと思いました。そう思うと、たとえ死んでも死にきれない。自分の霊魂は、なにかに化けてきても、きっと子供の行ゆく末を見守ろうと思いました。牛女の大きなやさしい目の中から、大粒の涙が、ぽとりぽとりと流れたのであります。
しかし、運命には牛女も、しかたがなかったとみえます。病気が重くなって、とうとう牛女は死んでしまいました。
村の人々は、牛女をかわいそうに思いました。どんなに置いていった子供のことに心を取られたろうと、だれしも深く察して、牛女をあわれまぬものはなかったのであります。
人々は寄より集まって、牛女の葬式を出して、墓地にうずめてやりました。そして、後に残った子供を、みんながめんどうを見て育だててやることになりました。
子供は、ここの家から、かしこの家へというふうに移り変わって、だんだん月日とともに大きくなっていったのであります。しかし、うれしいこと、また、悲しいことがあるにつけて、子供は死んだ母親を恋しく思いました。
村には、春がき、夏がき、秋となり、冬となりました。子供は、だんだん死んだ母親をなつかしく思い、恋しく思うばかりでありました。
ある冬の日のこと、子供は、村はずれに立って、かなたの国境の山々をながめていますと、大おおきな山の半腹に、母の姿がはっきりと、真白な雪の上に黒く浮き出だして見えたのであります。これを見ると、子供はびっくりしました。けれど、このことを口に出してだれにもいいませんでした。
子供は、母親が恋しくなると、村はずれに立って、かなたの山を見みました。すると、天気のいい晴れた日には、いつでも母親の黒い姿をありありと見ることができたのです。ちょうど母親は、黙って、じっとこちらを見つめて、我が子の身の上を見守っているように思われたのでありました。
子供は、口に出して、そのことをいいませんでしたけれど、いつか村人は、ついにこれを見つけました。
「西の山に、牛女が現われた。」と、いいふらしました。そして、みんな外に出て、西の山をながめたのであります。
「きっと、子供のことを思って、あの山に現われたのだろう。」と、みんなは口々にいいました。子供らは、天気のいい晩方には、西の国境の山の方を見て、
「牛女! 牛女!」と、口々にいって、その話でもちきったのです。
ところが、いつしか春がきて、雪が消えかかると、牛女の姿もだんだんうすくなっていって、まったく雪が消えてしまう春の半ばごろになると、牛女の姿は見られなくなってしまったのです。
しかし、冬となって、雪が山に積もり里に降るころになると、西の山に、またしても、ありありと牛女の黒い姿が現われました。村の人々や子供らは冬の間、牛女のうわさでもちきりました。そして、牛女の残していった子供は、恋しい母親の姿を、毎日のように村はずれに立ってながめたのであります。
「牛女が、また西の山に現われた。あんなに子供の身の上を心配している。かわいそうなものだ。」と、村人はいって、その子供のめんどうをよく見てやったのす。
やがて春がきて、暖かになると、牛女の姿は、その雪とともに消えてしまったのでありました。
こうして、くる年も、くる年も、西の山に牛女の黒い姿は現われました。そのうちに、子供は大きくなったものですから、この村から程近い、町のある商家へ、奉公させられることになったのであります。
子供は、町にいってからも、西の山を見て恋しい母親の姿をながめました。村の人々は、その子供がいなくなってからも、雪が降って、西