#590 朝三暮四

 今日は6月1日です。気象庁は6月・7月・8月を夏と定義していますが、最近では5月から10月まで夏日が続きますので、実質上一年のうち半年が夏と思ってもおかしくない状況が続いています。これも地球温暖化の影響でしょうか?九州北部はまだ入梅していませんが、まだ梅雨らしき天候にはなっていません。明日、明後日の雨天予想を除き、1週間程度は晴天が続くと予想されていますので、速くて入梅は来週以降になりそうです。
 さて「朝三暮四」という言葉があります。三国(三省堂国語辞典)で調べていると次のような説明があります。

「朝三暮四」見かけの違いだけで、ごまかしても、結果はおなじであることのたとえ
(由来)えさの量に不満をもつサルが朝と夕方で量が反対になったら満足したという、中国の故事から

この故事のような状況が昨今の世間のように思われます。いわゆる備蓄米騒動です。現農林大臣が声高に随意契約を宣言したとたん、備蓄米が2,000円程度で売られ始めました。現在の4,500円程度の新米と比較すると古米は確かに半額程度になります。
 ここで確認しておきたいのは、24年度産は新米扱いとなりますので、23年産の備蓄米を古米、22年度産の備蓄米を古古米、21年度産の備蓄米を古古古米と言うそうです。ちなみに「古米」の定義をネットで検索しますと次のような説明が出てきます。
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古米とは、その年の新米ではなく、前年に収穫されたお米のことです。一般的に、収穫から1年以上経過したお米を指します。新米に比べて水分量が少なく、炊き上がりの食感や風味は新米と比べて変化している場合がありますが、保存状態が良ければ美味しく食べられます。
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ここで面白い資料があります。お米5キロの値段の推移です。過去10年間では次のように推移しています。(データ量が多いので、ここでは各年12月の価格を参照します。詳細は下記のHPを参照してください。)

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『お米5kgの価格推移過去10年間全国平均』
 お米5kg1袋の値段を全国のスーパーで価格調査した結果、2025年4月の平均価格は4,543円であった。2015年1月~2025年4月(過去124年間の期間で全国内のスーパーでお米5kgが最も高かった年月は2025年4月で4,543円、逆に最もお米5kgが安かった年月は2015年8月で1,799円となっている。全国エリアでお米5kgの最高値期(2025年4月)と最安値期(2015年8月)との価格差は2744.5061円となっています。お米5kg1袋の2015年1月~2025年4月までの価格推移とグラフは下記をご覧ください。出典元:総務省統計局 小売物価統計調査統計調査時期:2025年4月調査内容:全国/国内産/精米/単一原料米(産地/品種及び産年が同一のもの)/袋入り(5kg入り)/コシヒカリを除く関連情報

2025年04月 4,543円 新米
2024年12月 3,679円 新米
2023年12月 2,164年 古米
2022年12月 2,044円 古古米
2021年12月 2,007円 古古古米
2020年12月 2,141円 古古古古米
2019年12月 2,171円 古古古古古米
2018年12月 2,162円 古古古古古古米
2017年12月 2,114円 古古古古古古古米
2016年12月 2,001円 古古古古古古古古米
2015年12月 1,868円 古古古古古古古古古米
(注:各年の右にある古米等の名称は私が付けたものです)
https://www.jpmarket-conditions.com/1002/
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 上記の一覧表にあるように、古米、古古米、古古古米のスーパーでの販売価格は当時2,000円程度です。それを現大臣はいかにも自分の大手柄のように「備蓄米の価格が2,000円程度で買えます!」と豪語していますが、当時の販売価格が安かったのです。
 おそらく当時の農水省はもっと安い価格で備蓄米を購入しているはずです。したがって今回農水省が備蓄米を放出しても、政府自体が大損する事にはなっていないのです。このからくりに気づかないと、私たちは騙されてしまいます。私たちは本当に故事のサルのように「朝三暮四」になってしまいます。問題の核心は今年度の新米の価格がどこまで安くなるかです。現大臣は秋になって今年の新米の米価にどのような弁明をするでしょうか。彼の政治力が見ものです。

2025年06月01日