#95 春の小川
街を吹く風はまだ冷たいですが、それでも日光は眩しく、春らしい日差しとなってきています。近くの川の土手には菜の花やレンゲの花が咲いており季節も春を迎えています。唱歌の「春の小川」のような雰囲気を醸し出しています。
「春の小川」で思い出しましたが、大牟田市にはかつて松屋デパートがありました。1937年(昭和12年)に開業した老舗のデパートですが、残念ながら2004年(平成16年)に閉店しました。建物は解体され、現在は駐車場となっています。この松屋デパートは毎日必ず11:55分と16:55分にミュージックサイレンが街中に鳴り響き、大牟田の人々に時刻を知らせていました。私の実家はデパートから離れていましたが、それでもはっきり聴くことができました。ただデパート付近で耳にすると、かなりうるさく、実際音楽というよりサイレン(警報)のような大音響でした。
このミュージックサイレンで思い出しますのは、正午の曲が「春の小川」で、夕方の曲が「埴生の宿」でした。私の家には小さな田んぼがあり、幼稚園に入園する前の幼い頃、私は田んぼのあぜ道に座って家族が田植えや稲刈りをしていたことを見ていました。近くには用水路があり、その土手には様々な花が咲いていました。正午には「春の小川」が遠くから聞こえて、家族と一緒に昼食をとったことを覚えています。幼い頃の思い出の1頁です。また夕方にはミュージックサイレンとともに家路につくよう促されたことも覚えています。あの音楽はもう聞こえませんが、今でもふと思い出す懐かしい曲です。