#226 不世出のヒーロー
お彼岸の中日も過ぎ、全国各地から桜の便りが届く今日この頃です。近くの中学校の桜の花も3分咲きとなり、次の週末には満開が予想されます。今年も多くの人々が花見に出かけることでしょう。
さて21日のメージャーリーグ戦途中で大きなニュースが流れました。イチロー選手の引退を知らせるテロップが各テレビ局のTV画面に一斉に流されました。このニュースを知って東京ドームの観衆には試合途中でざわめきが起こり、イチロー選手がバッターボックスに立つごとに大歓声が沸き起こりました。イチロー選手の引退のうわさは東京ドームでの開幕戦以前からありましたが、実際日本での公式試合でイチロー選手が引退するとは夢にも思いませんでした。
野球のスーパースターと言えば王、長嶋選手の名前が思い浮かびますが、イチロー選手はこの2人に劣らず、それ以上の評価を得ることになるでしょう。また彼は将来アメリカの野球殿堂入りが確実視されています。日本で培った野球をアメリカのベースボールで実践し、多くの大記録を作った小さな大選手として人びとの記憶にいつまでも残ることでしょう。
英語の教科書にイチロー選手の逸話が載っていますので、ここに紹介します。
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ある日著者(教科書に出てくる高校時代のイチローの同級生)が眠れずに深夜に寮内をぶらつくと、一人の生徒が洗濯をしていた。声をかけるとイチローだった。理由を聞くと、イチローは次のように答えた。「練習が終わって皆が一斉に洗濯をするけれど、洗濯機の数が少なくて長時間待たなければならない。待つ時間に居残り練習をして、誰もいない午前3時頃に選択すれば時間を無駄にしなくても済む。」このことを聞き、著者は「すごい。」というより「頭がおかしい」と思った。
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このことを知ってイチローの野球に対する非凡な考えを改めて知るとともに、彼が努力の天才であることを改めて痛感しました。イチローの偉大さは21日の試合後に観客が帰り支度をせず、イチローがグラウンド内に現れることをひたすら待ち続けたことにも表れています。イチロー選手が登場すると東京ドームの観衆は全員総立ちで、イチロー選手を迎え、そして彼が姿を消すまで拍手と声援が鳴り響いていました。王、長嶋選手の場合は引退試合を行いましたが、イチロー選手の場合は実質上日本での試合が引退試合となりました。平成最後のスーパースターで、このような選手は2度と現れないでしょう。さよならイチロー、そしてご苦労様でした。
なお深夜過ぎまでおこなわれた会見の詳細は次のページで読むことができます。
https://www.yomiuri.co.jp/sports/mlb/20190322-OYT1T50249/