#116 砂の上の足跡

 数日前の北部九州豪雨では多大な犠牲者が出ました。今日現在行方不明者が20名以上報告されています。依然として孤立している村落があるようです。できるだけ早い救出が望まれます。まだ梅雨末期の大雨が続きますが、まもなく梅雨が明けます。道路や水道、電気など復旧するまで被害を受けた方々はもうしばらくご辛抱ください。
 5年前の豪雨災害と比べて今回の豪雨による被害は数倍に及ぶと見込まれています。またこれまでに発生した熊本地震等の地震災害による被災者の支援もまだ続いています。この国で暮らすということは常に災害と隣り合わせを意味します。日本人は昔から自然災害と向き合ってきました。火山、地震、台風、豪雨などできるだけ被害を少なくするために、相互扶助という考えを常に意識して生活してきました。そして対処できないことに対してはすべて受け入れる諦念感を身につけてきました。
 様々な困難に直面し、絶望感に陥った時に「神も仏もあるものか!」と叫びたくなるものです。そのような方に次の詩を送ります。「あしあと」(Footprint in the Sand)というタイトルがついています。

  あしあと

ある夜、わたしは夢を見た。
わたしは、主とともに、なぎさを歩いていた。
暗い夜空に、これまでのわたしの人生が映し出された。
どの光景にも、砂の上にふたりのあしあとが残されていた。
ひとつはわたしのあしあと、もう一つは主のあしあとであった。
これまでの人生の最後の光景が映し出されたとき、
わたしは、砂の上のあしあとに目を留めた。
そこには一つのあしあとしかなかった。
わたしの人生でいちばんつらく、悲しい時だった。
このことがいつもわたしの心を乱していたので、
わたしはその悩みについて主にお尋ねした。
「主よ。わたしがあなたに従うと決心したとき、
 あなたは、すべての道において、わたしとともに歩み、
 わたしと語り合ってくださると約束されました。
 それなのに、わたしの人生のいちばんつらい時、
 ひとりのあしあとしかなかったのです。
 いちばんあなたを必要としたときに、
 あなたが、なぜ、わたしを捨てられたのか、
 わたしにはわかりません。」
主は、ささやかれた。
「わたしの大切な子よ。
 わたしは、あなたを愛している。あなたを決して捨てたりはしない。
 ましてや、苦しみや試みの時に。
 あしあとがひとつだったとき、
 わたしはあなたを背負って歩いていた。」

マーガレット・F・パワーズ
translation copyright(C)1996 by Pacific Broadcasting Association

2017年07月09日