#522 山が臭う!?
2月も中旬が過ぎ、2週間後には3月を迎えます。寒い日もありましたが、今年の冬は記録的な暖冬で終わりそうです。今日もまるで3月下旬のような気候で、2月とは思えないほどの温かさです。このまま春に突入していくのでしょうか。
春と言えば、多くの山で登山が始まります。人気の山では山小屋やトイレも常設され、普段着の感覚で登山ができます。特に富士山では山開きとともに登山道を数珠つなぎで登る登山者の姿がニュースで見られます。
さて、世界で一番高い山、エベレスト山(現地ではチョモランラと呼ばれます)はどうでしょうか・8千メートルを超える高山では気軽に泊まれるような山小屋やトイレはありません。当然ベースキャンプを始めとするテントでの寝起きとなりまうが、排泄処理はどうなっているのでしょうか。今日は少々臭い話ですが(笑)、面白い記事を見つけましたので転載します。
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『エベレスト、排せつ物持ち帰り義務化 汚染深刻「山が臭う」―ネパール』
【ニューデリー時事】世界最高峰エベレスト(8848メートル)の麓にあるネパールの地元自治体は、3月以降のエベレスト登山者に対し排せつ物の持ち帰りを義務付けた。近年、登山者が残したロープや酸素ボンベだけでなく排せつ物による環境汚染も大きな問題となっており、対策に乗り出した。
自治体や英BBC放送によると、登山者には排せつ物を固めてほぼ無臭化する化学物質などが入った袋を購入してもらい、ベースキャンプまでの持ち帰りを義務付ける。他のごみの持ち帰りや、キャンプでの清掃活動参加も求める。近接する8000メートル峰ローツェの登山者も対象となる。
自治体トップのミグマ・シェルパ氏はBBCに「私たちの山が臭い始めた。人の便が岩に付着しているのが見え、体調を崩す登山者がいるとの苦情を受けた。受け入れ難いし、イメージを損なう」と語った。
エベレストは気温が低く、排せつ物が分解されず長い間残るとされている。正確な統計はないが、山頂へと続く各キャンプに残された排せつ物の総量は約3トンに上るとの推定もある。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024021400652&g=int#goog_rewarded
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観光地ならともかく、排泄処理は場所を選びません。エベレスト山といえども例外ではありません。記事にあるように、エベレスト山のごみも問題となった時期があり、登山家野口健さんがエベレスト山のごみ収集登山を始めたときに、周囲の登山家たちから非難されたのは有名な話です。街角のごみのように誰かが捨てたごみは誰かが片付けないと、ごみの山となります。エベレスト登山が開始された当時は登山家は少なく、捨てられたごみはそれほど目立ちませんでしたが、登山が流行となった今ではエベレスト山も例外なくごみの山と化しました。誰か片付けなければ、ごみはいつまでもその場所に残ります。エベレスト山に限らず、登山する人は自分のごみは自分で持ち帰る必要があります。
ごみ問題に関してもう1つ。以外に誰も気づかない場所があります。それは地球上空の宇宙空間に浮かんでいる宇宙ゴミです。先日のH3ロケット打ち上げ成功に日本中が喜んでいますが、一度打ち上げたロケットの部品や衛星は半永久的に地球上空を回ります。大きな部品は重力のせいで次第に高度を下げ、最後は大気圏に突入して燃えてしまいますが、小さなものはいつまでも浮かんで地球上を取り巻き、それが国際宇宙ステーションや通信衛星などに衝突し様々な被害を及ぼします。とくにスターリンクのような通信衛星経由のネットシステムでは一度に何千もの通信衛星を打ち上げますので、数年後に使用済みの衛星はものすごい数のごみになります。
それらが蜘蛛の巣のように地球上空をいつまでも回転するのです。日本のベンチャー企業がこのようなスペースデブリ(宇宙ゴミ)を取り除く技術を現在開発中ですが、実現させるには数年かかります。その間にも宇宙ごみがますます増えていきます。ある日宇宙から降り注ぐごみに当たって亡くなる人のための死亡保険が登場するでしょうか(笑)。笑い話にもなりません。自分たちが捨てたごみは自分たちで回収するようなシステムを作るべきでしょう。