#442 和の心(1)

 昨日と今日は太牟田大蛇山夏祭りで、会場の本町多くの数台の大蛇山が集まっています。3年ぶりの開催となりますが、新型コロナBA5の猛威により、さらに感染が懸念されている中での開催になります。昨日の時点で福岡県は新規感染者が1万2千人を超え、太牟田では291人が確認されています。個人的な推測では、福岡県の感染者が1万人を超えたのは福岡市の祇園山笠や県内各地の夏祭りで、多くの人が集まったことが一因と考えられます。太牟田では先週末に港まつりが行われ、それを契機に急増しているとみられます。例年と異なりかなり制限された中で行われる今年の大蛇山祭りですが、今後どれほどの感染者が出るか、非情に心配しているところです。
 さて、ヘンリー・S・ストークスというイギリス人をご存じでしょうか。1964年に来日し、フィナンシャル・タイムズやザ・タイムズなどの東京支局長をを歴任し、日本に50年以上暮らして日本人以上に日本文化に親しんでいる親日家です。彼は日本文化論に関する多数の書籍を出していますが、日本人からすると何気ないしぐさや行動が欧米人からすると尊敬に値すると評しています。今日はその中から、「和の心」について彼の説明を引用したいと思います。
----------
『「和」の「心」こそ、日本の最大の長所』
 文化が、ある国や民族が培った固有な精神生活から発するものであるのに対して、文明は、より便利な道具や手法を使うことによって、民族や、国や、地域を超えて、世界にひろがってゆくものである。
 日本は数千年以上もの長きにわたって、独自の文化を育ててきた。
 日本文化のあり方には、これから世界が学ぶべきところが、大いにある。
 西洋に限らず、人類が戦争のない平和な世界を構築して、共存してゆくために、世界は日本のさまざまな長所を認めて、取り入れてゆくべきだと思う。
 日本をよく知るほどに、これから世界に「日本文化の時代」というべきものを、招き寄せたいものと、願っている。
 これは私だけではない。いま、多くの日本に住む心ある外国人が、日本国民の心に触れて、世界が日本を手本にして、日本人の生き方から学ぶべきであると、思うようになっている。
 このような「和」による社会は、中国にも、東南アジア、インド、中東、アフリカからヨーロッパにいたるまで、どこにも存在してこなかった。
 なかでも、今日の世界は、西洋列強が築き上げた文明によって、とくにアメリカから発した享楽と大量消費を賛美する物欲の文化によって、毒されているといわねばならない。
 もちろん、いうまでもなく欧米世界には優れているところが、たくさんある。他の地域の文化にも、それぞれ長所があるのは、いうまでもない。
 もし、西洋に学ぶべきものがなかったとしたら、今日、欧米諸国が世界の主要国とはなっていなかったことだろう。西洋は近代科学技術を編み出すことによって、人類に未曽有の物質的な豊かさや、医療などの長足の進歩をもたらして、人類の福祉を増進することに、大きく貢献してきた。
 私は東京オリンピックの年から五十年余も、日本をジャーナリズム活動の本拠として暮らしてきたから、日本について実体験がある。
 一九六四年に、日本にはじめてやってきてから、イギリスに一時戻っても、アメリカを訪れることがあっても、取材のためにアジアを巡っても、常にその国を日本と比較してきたから毎日が日本との新鮮な出会いであってきた。そこから学んだことを、いまのうちに語っておかなければならないと、思っている。
 日本で生活していると、日本人にとっては、ごくなにげないことであっても、外国人にとって驚くようなことが、たくさんある。外国人の眼は、日本人が日本を再発見するうえでも、きっと役に立つと思う。
 円安も手伝って、大勢の外国人観光客が日本の各地を訪れるようになっているが、日本人の「おもてなし」に触れて、多くの者が自分の国や、外国とまったく異なった空間に身を置いていることに気づく。
 この「おもてなし」は、計算ずくではなく、心のなかから発するものだ。
 私は多くの外国人が、日本文化の素晴らしさに気づくことによって、日本から多くを学ぶかたわら、日本人も日本に特有な文化を大切な宝物として守り、未来へつなげていってほしいと願っている。……
(祥伝社新書: ヘンリー・S・ストークス 英国人記者が見た「世界に比類なき日本文化」より抜粋)
----------
次回のブログに続きます。

2022年07月24日