#537 トノバンは永遠に

 今日は6月2日です。例年なら6月4日頃から梅雨入りになりますが、今年はまだ梅雨入りの気配がありません。天気予報もまだしばらく晴天が続くと言っていますので、今年は短い梅雨になりそうです。しかし大雨には注意が必要です。特に梅雨末期の豪雨は毎年各地で大きな災害を引き越していますので、日本中どこでも注意が必要です。
 さて、トノバンという言葉を聞いて何を思い出すでしょうか。すぐある人物を思い浮かべた人はさすがです!トノバンは故加藤和彦氏の愛称です。彼が自死を選んで今年で15年になります。現在全国の映画館で彼の記録映画が上映されています。タイトルは「トノバン:音楽家加藤和彦とその時代」です。本日はこの映画を見るために福岡に行ってきました。(そのためにブログの更新が遅くなりました。)博多駅の映画館も上映していますが、上映時間が合わないので今回は警固小学校近くの Kino Cinema に行きました。4年ほど前にできた新しい映画館です。
 加藤和彦と言えば日本音楽の革命児と言われるほどの著名人です。最初に彼の名前が有名になったのがフォーククルセダーズ(俗にフォークル)が歌った「帰って来たヨッパライ」です。当時では考えられなかったアマチュアグループによる作詞作曲で、自宅録音した楽曲です。私は小学生でしたが、この歌を聴いて衝撃を受けたことを思い出します。
 それまでのプロが作った歌と異なり、曲想が全く異なり、コミック風の歌を聴いたのは初めてでした。この曲をじっくり聞きますと間奏でオッヘンバックの「天国と地獄」が流れたり、エンディングでは読経の途中からビートルズの A Hard Day's Nightが流れ、最後にはベートーベンの「エリーゼのために」で曲が終わります。今まで誰も発想しなかった曲作りをフォークルは行なっています。その中心が加藤和彦でした。
 その後、彼はサディスティック・ミカ・バンドを結成して国内外で活躍し、特にイギリスでは注目を浴びることになります。また1つのジャンルにこだわることなく、様々な音楽を取り入れ、彼独自の音楽活動へ進んでいきます。
 彼がなぜ自死を選んだかは定かではありませんが、親友の北山修に音楽ではやることがなくなった旨のメッセージを残しています。おそらく一種の鬱的な状況だったのでしょう。この時期を乗り越えていたら、また別の加藤和彦を見つけていたことでしょう。本当に残念です。
 加藤和彦はメロディメーカー(作曲家)として特に有名ですが、私個人としては、きたやまおさむと共に作り上げた楽曲が好きです。例えば誰もが知っている「あの素晴らしい愛をもう一度」は永遠のフォークソングとして50年以上も歌い継がれています。
 「歌は世につれ、世は歌につれ」と言いますが、確かに加藤和彦は日本のポップス音楽の変革を導いた一人として、日本音楽史上に残る人物だと思います。今日の映画を見て、ふと彼の音楽を考えてみました。

2024年06月02日