#158 誰のためのオリンピック?

 今日は朝から快晴で正午の気温も10度近くあり、霞がかかったような早春の空が広がっています。あれほど厳しい冬がまるで過ぎ去ったかのような陽気です。すでに2月の下旬になりますので、このまま温かな春になればと思っています。
 さて平昌オリンピックも後半に入りましたが、昨日の男子フィギュアスケートは圧巻でした。怪我から復帰した羽生選手は見事金メダル、また宇野選手は銀メダルを獲得し、会場に初めて国歌「君が代」が流れました。2人ともこれまでの努力が見事に報われた瞬間でした。「努力は報われる」を地で行った2人です。またカーリングを始め多くの種目で日本選手が頑張っています。彼らにも大いに声援を送りたいと思います。
 ところで、今回の平昌オリンピックを始め、最近のオリンピックは誰のためのものか首を傾げる状況が続いています。言いかえればオリンピックは元来参加する選手のための競技会であるはずですが、巨大な利権が複雑に絡み合い、オリンピック組織委員を含め、それに群がる私欲の集まりと化しています。変則的な競技時間の設定など、欧米社会の視聴時間に設定して競技を行っていますので、完全に選手の体調やコンディションを無視したものとなっています。例えば男子ノーマルジャンプは夜遅く行われ、強風も吹き、たびたび競技が延期されました。けっきょく表彰式は午前零時過ぎに行われ、観客はほとんどいない状態でした。これではメダルを獲得した選手に失礼です。
 話によるとアメリカのあるTV放送局がオリンピックの放送権を獲得し、その意向が強く働いているそうです。これは2020年の東京オリンピックにも影響するとのことで、おそらく今回同様に参加選手にとり過酷な競技の設定時間となるでしょう。また東京オリンピックは6月の下旬に始まります。国際オリンピック委員会は日本の梅雨の時期がどのような状況か知らないのでしょう。高温多湿の時期に競技をすることは選手の能力以上に運が左右します。観衆のためのオリンピックに成り下がった状態は古代ローマで行われた猛獣と戦う戦士を彷彿させます。猛獣と戦い、敗れた戦士は別の戦士と取り替わります。猛獣に勝った戦士は観衆から賛美をもらいます。同様に今のオリンピック参加選手は残念ながらオリンピック委員会やTV局にとり消耗品でしかないのです。
 前回の1964年の東京オリンピックは参加選手にとり競技しやすい時期で、最高の実力が発揮できる10月でした。今回の日本オリンピック委員会は開催地獲得のために、組織委員会に日本の6月の気候について強く言えなかったのでしょうか。いずれにしても不可解です。前回のブログでも述べましたが、ロサンゼルス大会以降は金満オリンピックが続いており、利権獲得のために莫大な金銭が飛び交っています。オリンピック組織委員会メンバーの収賄事件も後を絶ちません。嘆かわしい限りです。これでは「一民間団体」であるオリンピック委員会に代わり、利権が絡まない国際連合などの国際団体が運営する競技会に移行するような運動を起こさない限り、早晩現在のオリンピックは継続できなくなるでしょう。せめて2020年の東京オリンピックでは本来のオリンピックの目的を果たせることができるような大会にしてもらいたいと思います。

2018年02月18日