#320 「大蛇山」希望の光に

 8月も下旬に入り、今日はいつもより涼しい風が吹いています。午前中は温度計が久しぶりに29度の温度を示していました。あれほどうるさく鳴いていたセミも、役目を終えて亡骸が道端にころがっており、残暑の香りがほのかに漂っています。来週は8月の終わりを迎え、過ぎゆく夏が惜しまれるこの頃です。
 さて、今年の夏はまさに異常続きでした。博多の山笠を始めとする日本中の夏祭りが新型コロナのせいで中止となり、大牟田の大蛇山夏祭りも来年まで延期となりました。市民の間に残念な気持ちが蔓延しています。元来「祭り」は病気退散の意味を持ち、防疫をするためにも神様に祈って行われてきたものです。本来なら祭りを通してコロナを退散させる気を発することができるのですが、現代では「祭り」の真の意味を理解せずに、「密」を避けるために祭りを中止したのは本当に残念です。
 このような残念な状況を打破するために、市内の神社の氏子の方が「ミニ大蛇山」を制作している記事がありましたので、それを転載します。
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『「大蛇山」希望の光に 大牟田の氏子2人が制作』
 新型コロナウイルスの影響で来年に開催延期となった大牟田市の夏祭り「おおむた『大蛇山』まつり」の山車を、同市大正町の三区八剣神社の氏子2人が制作している。「7月の水害からの復興、疫病退散の希望の光になってほしい」との思いが込められており、希望する市内の学校などを近く訪問し、お披露目する計画だ。
 取り組んでいるのは、山車「大蛇山」の制作に十数年携わっている人形師の阿津坂剛秀さん(50)と竹田共秀さん(49)。4月にまつりの延期が決まった後、2人に「大蛇山が見られず寂しい」「就職や進学で地元を離れ、最後の大蛇山だったかもしれない」などの声が寄せられたことを受け、同市大正町の倉庫で6月から制作を始めた。
 大蛇山は、木製の山車に竹や和紙で頭や尻尾などを作り、大蛇のようにかたどられる。実際の大きさは、長さ約10メートル、高さ約5メートル、重さ約3トンだが、今回の山車は実物の3分の2程度。今夏用に切り出していた竹やわらなどを使い、通常は20人ほどで作る工程を2人だけで連日、2時間を費やし、迫力ある頭部(長さ、高さともに約2・5メートル)を作り上げた。現在は、色塗りなど仕上げ作業に追われている。
 完成後は、申し込みがあった幼稚園や小学校、高齢者福祉施設などを訪れ、自由に触ってもらい、太鼓や笛などのおはやしも体験してもらうことにしている。
 2人は「まつりの延期に加え、豪雨による甚大な被害も出た。少しでも、まつりの雰囲気を味わってほしい」と話している。
(https://www.yomiuri.co.jp/local/fukuoka/news/20200820-OYTNT50079/)
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 各市町村には長らく続いている地元の祭りがあります。なかには祭りの起源が奈良・平安時代まで遡るものをあります。その氏子たちが祭りを継承し、その地区の文化的伝統をつないでいます。大牟田にも大蛇山があり、毎年多くの市民で賑わっています。来年こそは勇ましい大蛇山の雄姿を見たいものです。

2020年08月23日