#183 絵本作家の役割
昨日は九州北部が梅雨の集中豪雨のために北九州市や長崎の壱岐などに洪水警報が出されましたが、今日は一転して梅雨明けのような晴天が朝から続いています。関東地方はすでに梅雨明けし、厳しい暑さが続いています。関東地方が6月中に梅雨明けするのは観測史上初めてということで、本格的な夏の到来とともに水不足が心配されます。また新しく発生した台風の進路も気にかかります。現在沖縄に接近していますが、明日以降九州に近づきますので、期末試験を実施している学校では試験日の変更などが懸念されます。
実は私も本日は朝から期末試験の問題を作成していました。何とか試験問題が出来上がりましたが、試験の時期にはいつも原稿の提出期限が迫った作家のような気分で問題作成に取りかかります。調子がいい時にはすぐに問題が完成するのですが、調子が悪いと(気分が乗らないと)あれこれと考え時間だけが過ぎ去ります。何度も見直して加筆修正しますが、満足のいくものにはならず、ため息ばかりが出てきます。
さて試験問題を作成しながらテレビを見ていましたら、NHKの「プロフェショナル仕事の流儀」で今年5月に亡くなられた、かこさとし氏の特集を再放送していました。NHKのHPによると『「からすのパンやさん」など数々の名作を生み出した絵本作家・かこさとしさんが、5月2日、亡くなりました。私たちは3月から1か月間、創作の現場を取材しました。死期が迫っていることは、ご自身もご家族も悟っていました。「生きた証しを遺(のこ)せるなら…」と、かこさんは取材に応じてくださいました。これは“追悼番組”ではありません。最後まで、絵本作家として生きた一人のプロフェッショナルの記録です。』と述べています。私も仕事の手を止め、しばし番組を見ながら、かこ氏の最後のお姿や重病にもかかわらず仕事に打ち込むその姿勢にプロとしての姿勢を改めて学ばせていただきました。
どの仕事もそうですが、初めから天職というものはありません。自分が始めた仕事を通して様々なことを学び、職場や仕事先の人間関係を通して人生や生き方を学びます。その延長が天職となります。様々な職業がある中で、子どもたちに夢を与える素敵な仕事の一つが絵本作家ではないかと思います。かこ氏関連の記事を朝日新聞のページから引用します。
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1926年、現在の福井県越前市に生まれ、東大工学部を卒業。終戦後、昭和電工に勤める傍ら、休日を使って医療や教育などに困難を抱えた人々を支援する「セツルメント活動」に力を注いだ。軍国少年だった自らへの悔いが背景にあったという。戦災にあった地域の子どもに見せていた自作の紙芝居が、福音館書店の編集者だった松居直さんの目にとまり、59年に絵本「だむのおじさんたち」でデビューした。
「かわ」「海」「地球」など、子どもの好奇心を引き出す科学絵本も数多く手がけた。専門家に取材して最新の知見を盛り込みつつ、語りかけるような文章に加え、挿絵や図版を多くして理解を助けるよう心を配った。ラオスやベトナム、オマーン、中国などで識字活動や障害児教育にも取り組んだ。紙芝居や一般書を含めた作品は700点を超える。
約29万点の資料をもとにまとめた「伝承遊び考」全4巻の完成などが評価され、08年に菊池寛賞を受賞。13年に「からすのパンやさん」の続編4冊、「どろぼうがっこう」の続編2冊、14年には「だるまちゃん」シリーズの新作や半生を語った「未来のだるまちゃんへ」を出版するなど、最近まで盛んな創作意欲を見せていた。 (https://www.asahi.com/articles/ASL574GBLL57UCLV00K.html)
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まだ文字が読めない子どもにとって絵本は様々な夢や情報がつまった宝物です。絵本を通していろいろなことを知ることができます。かこさんは絵本だけでなく大人も理解するのが難しい内容の科学を子ども達にも理解できるように、分かり易い図表を用いて分かりやすく説明した方でした。「絵本は子どもだけのもの」と大人は思いがちですが、大人も楽しむことができるのが本当の絵本です。絵本は子ども達に夢を与え、その知的好奇心を刺激して、彼らに将来の生き方にも通じるような考え方の土台を作る手助けをしてくれます。かこ氏のご冥福をお祈りします。