#232 ももかの花が咲いたよ
今日4月14日は熊本地震が発生して3年目になります。震度7の大地震が続けて発生した珍しい地震です。最初の地震は14日の午後6時25分頃だったと記憶しています。2005年3月20日に福岡西方沖地震(M7.0、最大震度6弱)を体験していた私は当塾の室内で同様の揺れを感じ、大きな被害が発生したのではないかと危惧しました。そして2日後の深夜1時半前に就寝しようとした時に2度目の大地震が発生しました。部屋にあるタンスが大きく揺れたのを覚えています。その夜はその後発生した多くの余震で一睡もできませんでした。夜が明けてニュースで熊本地方を中心に大きな被害が発生していることが分かりました。今まで大地震の記録がなく、安全と思われていた熊本地方に大地震が起こり、改めて大地震はどこにでも起こりうると痛感しました。
さて、熊本地震に関する記事が本日の西日本新聞のネット版に感涙する記事が載っていましたのでご紹介します。改めて地震で亡くなられた方々にご冥福をお祈りいたします。
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『庭の桃に亡き娘重ね 益城町・橋村さん「ももか、お帰り」「いのち」の詩、胸に前へ』
(https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/502502/)
淡いピンク色の花が初めて咲いた。3月末、熊本県益城町の自宅の庭で、桃の枝を見つめる橋村りかさん(46)の胸に、昨年9月に亡くなった長女のももかさん(享年17)への思いがあふれた。「ももかの花が、咲いたよ」。自宅を購入した15年前、庭に植わっていた桃の老木。伐採した切り株から3年前、思いがけず新芽を出し、今年初めて花を付けた。まるで娘が帰ってきたかのようだった。
夫婦と子ども3人の5人家族。脳性まひのももかさんは、ほとんど体を動かせなかった。気管を切開していて話すこともできず、表情と足の動きがコミュニケーションの手段だった。
2016年4月16日未明、熊本地震の本震が発生。突然の大きな横揺れに、介護ベッドが大きく揺すぶられた。夫がももかさんを抱きかかえ、家族みんなで外へ飛び出した。話せない娘は青ざめて、ずっと震えていた。自宅は全壊した。
約3カ月の避難所生活を終え、仮設住宅に入居。春に松橋支援学校高等部(同県宇城市)に入学したももかさんが、わずかに動く右手でペンを持ち、筆談を覚えたのは、このころだった。
じしんはこわい/じしんはこわい/はやくおわるといいな(略)
最初に書いたのが、地震。初めて娘の「言葉」に触れた感慨と同時に、それまで吐き出せなかった恐怖を思い、胸が詰まった。
その年の11月、30分ほど仮設の自宅を留守にして戻ると、娘は顔色をなくし、呼吸をしていなかった。胸の鼓動も止まっている。命に関わる発作は、幼いころから何度も繰り返していた。救急車を呼び、必死で心臓マッサージをした。
3日間の入院後、仮設に戻った娘は手紙のような詩を書いた。タイトルは「いのち」。
いのちはたいせつ/いのちはだいじ(略)/おかあさん/いのちをくれて/ありがとう/みんなありがとう
「私はももかの母だけど、中身はこの子が育ててくれている」
仮設団地での生活は、地域の人たちと一緒で心強くはあったが、狭い室内では車いすが使えず、不自由を強いられた。ようやく自宅の修繕が終わった昨年7月、わが家に戻ってきて、娘は安心した顔をしていた。
2カ月後の9月16日。眠ったまま逝った。泣いて、泣いて、放心した。
小中学校の友人たちが写真を飾ったボードを届けてくれた。意志が強く、学校が大好きで、いつもみんなに囲まれていた。今年3月の卒業式では同級生が遺影を持ち、卒業証書を受け取ってくれた。
桃の季節に生まれ、百の香りを放つ花のような魅力的な人にと願いを込めて名付けた「ももか」。あらためて、名前のような娘だったと感じた。
巡り合わせだろうか。地震の年に現れたひこばえが、娘を失った悲しみの庭に花を咲かせた。背を押されている気がする。「怖かった地震からもう3年だね。いのちはたいせつ。一日一日を大切に生きていくからね」
=2019/04/14付 西日本新聞朝刊=
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亡くなられたももかさん以外に多くの人が死傷されています。仮設住宅で多くの人々がまだ生活されています。地震や大雨などの自然災害は「対岸の火事」ではなく、「明日は我が身」です。活断層が発見されていない地域でも、「発見されていない」だけで自分の身の回りに存在すると想定しておいた方がよいと思います。実際数日前の新聞記事で、柳川市周辺やや佐賀県南部に活断層が存在すると伝えていました。また久留米市から浮羽市にかけて存在する水縄(みのう)断層帯は、福岡県の南部に位置する活断層帯です。この断層帯は記録によりますと679年(天武7年)の筑紫地震であった可能性があります。
このように私たち現代人が知らない活断層が日本全国に無数にあります。自然災害は常に自分に降りかかることを想定し、日頃より災害に対処する姿勢が必要です。