#427 消えたオバQ
先日藤子不二雄Ⓐさんの訃報が届きました。日本の漫画黎明期を築いた偉大な漫画家のお一人です。私はオバケのQ太郎やパーマン世代ですが、全世代に愛されているドラえもんは藤子不二雄Fさんの代表作となります。
ところでオバQに関して次のような記事を見つけましたので転載します。
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『故・藤子不二雄Ⓐさんが生前解決しきれなかった「消えたオバQ」問題』
相棒の藤子・F・不二雄さん(享年62=本名・藤本弘)の死去から25年半。日本を代表する漫画家の藤子不二雄Ⓐさん(88=本名・安孫子素雄)の訃報に追悼の声が相次いでいる。
小学校で出会ったFさんと共に1954年、故郷の富山県から上京。伝説のアパート「トキワ荘」の住人となり、「藤子不二雄」の共同ペンネームを使って二人三脚で創作活動に没頭した。64年に連載を始めた「オバケのQ太郎」が大ヒットし、人気漫画家の仲間入り。その後もⒶさんの描いた「忍者ハットリくん」「怪物くん」はアニメや実写化され、不動の地位を築いていった。
「ドラえもん」「パーマン」など主に児童漫画を描いたFさんに対し、Ⓐさんは「魔太郎がくる!!」「笑ゥせぇるすまん」といった人間の欲望や心の闇をテーマにしたブラックユーモアものを得意とした。
ちばてつや氏が「恐らく日本初のゴルフ漫画」と言う「プロゴルファー猿」や、トキワ壮の仲間と過ごした青春時代を振り返る自伝漫画「まんが道」など、あまたある名作の多くは今も単行本や文庫が販売中で、電子コミックでも読める。
Ⓐさんの訃報を機に久々に手に取る人も多いだろうが、出世作の「オバQ」を読み返すのは数年前まで不可能に近かった。
高い人気にもかかわらず、88年を最後に単行本の増刷がストップ。他の作品と異なり、文庫版や愛蔵版も出版されず、絶版状態はFさんの死去後、2009年に刊行された「藤子・F・不二雄大全集」にⒶさんと著者名併記で収録されるまで、20年以上も続いた。おかげで古本価格はかなり高騰したものだ。
「オバQは『藤子不二雄』としての2人の最後の共作で、著作権を共同で持つ作品です。ⒶさんはFさんについて『漫画の世界に引っ張ってくれた恩人』と繰り返し感謝と敬意を示していたほど、強固な友情の絆で結ばれていました。2人が版権の取り分を巡って揉めることは考えにくく、周囲の人々の感情のもつれで再版が見送られていたようです」(出版関係者)
ようやく15年に新装版「オバQ」の単行本が刊行、電子コミック化もされているが、過去3度のアニメ化作品で現在、ネット配信されているのは85年開始の第3作のみ。DVDソフト化は全作されていない。
Ⓐさんが完全に解決しきれなかった「消えたオバQ」問題──。天国で再会したFさんと共に「新しいアニメ化オバQを今の子供たちに見て欲しい」と願っているに違いない。
(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/303649)
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確かに元祖オバQの再放送は見たことがありません。上記のような著作権がらみの問題があったのでしょうね。名作に関してはできるだけ当時の作品をそのまま見たいものです。このオバQとは異なりますが、放送当時のまま決して再放送されないアニメに「トムとジェリー」があります。年配の方々はご存じと思いますが、初期の「トムとジェリー」はナレーションの面白さにあります。しかし放送当時のナレーションは人種差別に関する表現があるために、最近販売されている「トムとジェリー」のDVDは吹き替えがすべて新しいものに変わっており、放送当時の面白さが無くなっています。
このようにオバQにせよ、トムとジェリーにせよ、その作品を尊重して放送された当時のままのものを見たいものです。人の考え方や倫理基準は時代とともに変わりますが、芸術作品は発表された当時の状況を鑑みてオリジナルのものを見たり聞いたりしたいものです。