#532 大谷選手とタラントンの話

 昨日からゴールデンウィークが始まり、記録的な円安にもかかわらず海外旅行に行く日本人が昨年以上に増えているそうです。また国内でも多くの観光地でイベントを計画しており、多くの旅行客の注目を浴びています。ゴールデンウィークは一種の非日常的な休日として日頃できない事へ挑戦することもできます。また家で疲れを癒し、ゆっくりテレビやビデオを観ることもできます。またスポーツ観戦もいいでしょう。
 スポーツ観戦といえば、メジャーリーグでの大谷選手の活躍が連日報道されており、7号ホームランが昨日報道されていました。今シーズン開幕当初は不審に喘いでいましたが、現在は絶好調を維持しています。この大谷選手の活躍を見ると聖書の中にある「タラントンの話」が思い出されます。タラントンとは英語の「才能」を意味するタレント(talent)の語源となった語です。聖書には次のような箇所に登場します。
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『マタイによる福音書 第25章』
(14)「天の国はまた次のようにたとえられる。ある人が旅行に出かけるとき、僕たちを呼んで、自分の財産を預けた。 (15)それぞれの力に応じて、一人には五タラントン、一人には二タラントン、もう一人には一タラントンを預けて旅に出かけた。早速、 (16)五タラントン預かった者は出て行き、それで商売をして、ほかに五タラントンをもうけた。 (17)同じように、二タラントン預かった者も、ほかに二タラントンをもうけた。 (18)しかし、一タラントン預かった者は、出て行って穴を掘り、主人の金を隠しておいた。 (19)さて、かなり日がたってから、僕たちの主人が帰って来て、彼らと清算を始めた。 (20)まず、五タラントン預かった者が進み出て、ほかの五タラントンを差し出して言った。『御主人様、五タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに五タラントンもうけました。』(21)主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』 (22)次に、二タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、二タラントンお預けになりましたが、御覧ください。ほかに二タラントンもうけました。』 (23)主人は言った。『忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。』 (24)ところで、一タラントン預かった者も進み出て言った。『御主人様、あなたは蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集められる厳しい方だと知っていましたので、 (25)恐ろしくなり、出かけて行って、あなたのタラントンを地の中に隠しておきました。御覧ください。これがあなたのお金です。』 (26)主人は答えた。『怠け者の悪い僕だ。わたしが蒔かない所から刈り取り、散らさない所からかき集めることを知っていたのか。 (27)それなら、わたしの金を銀行に入れておくべきであった。そうしておけば、帰って来たとき、利息付きで返してもらえたのに。 (28)さあ、そのタラントンをこの男から取り上げて、十タラントン持っている者に与えよ。 (29)だれでも持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる。 (30)この役に立たない僕を外の暗闇に追い出せ。そこで泣きわめいて歯ぎしりするだろう。』」
注:各数字は節を表します。例 (14)は14節の意味です。
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 聖書に登場する「たとえ話」は難解な物語が多く、このタラントンの話も理解しにくいものです。しかし、タラントンを「才能を持った人」と解釈すると、10タラントンを持っている人は自分の才能を開花させ、それをうまく活用した人と解釈できます。反対に1タラントしか持っていない人は自分の才能を開花させるために何も努力しなかった人で、その結果主人から家を追い出されます。
 大谷選手はまさに自分の才能を不断の努力により開花させた人と言えるでしょう。それは野球選手としてだけでなく、自ら手にした莫大な年俸を様々な慈善活動に投じていることからも普通の選手とは一線を画しています。一例を挙げてみますと、

-自身が試合で使用するニューバランス社製のジュニア用グラブを日本国内の小学校に約6万個寄付する
-全額負担で米留学100人招待! 小4~高3までの費用ド~ンと推定5000万円
-日本の子供達に約2,500本のマットレスを無償提供することを発表した

その他、心臓病を中心とする小児難病患者の医療費支援をはじめとする社会貢献を含め枚挙にいとまがありません。今後の大谷選手の活躍を応援するとともに、「好事魔多し」に充分気を付けていただきたいと思います。水原氏の問題だけでなく、大谷選手に関わる利害関係でさまざまな人物が近づいてくることでしょう。日本を代表する野球選手として輝かしい記録を残すとともに、偉人として足跡を残してもらいたいものです。

2024年04月28日