#431 グリーン葬?

 ゴールデンウィークも今日で終わり、明日から平常の生活に戻ります。今年のゴールデンウィークはコロナ規制も無くなり、全国的に様々な場所で休日を満喫した人々のニュースが流れていました。また海外で休日を過ごした人も前年度に比べ飛躍的に増え、航空業界は久しぶりに嬉しい悲鳴となりました。やはりウィズ・コロナで経済を回せば、様々な業界が活気づきます。改めて経済活動の重要性を肌で感じたところです。
 さて、埋葬に関して先日面白い話題を見つけました。欧米は宗教の影響で今でも土葬が中心です。日本でも以前は土葬していましたが、埋葬する場所や環境問題等から火葬が行われています。さらに、近年では散骨や樹木葬など故人の遺言で埋葬方針を決める遺族の方も増えています。
 ここで、ユニークな埋葬がアメリカで始まりました。「グリーン葬」と呼ばれる埋葬方式です。それではこの記事に関するニュースを転載します。
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『亡きがらを堆肥化する「グリーン葬」 米国で注目』
【5月7日 AFP】シンディ・アームストロング(Cindy Armstrong)さんは米西部の丘にたたずみ、木立のそばの一画を見つめていた。その土には今は亡き息子、アンドリュー(Andrew Armstrong)さんの亡きがらが含まれている。
 米国では家族を埋葬する際に、環境への負荷が少ない方法を選択する人が増えつつある。アームストロングさんもその一人だ。
 アンドリューさんは生前、「テラメーション」と呼ばれる方法での埋葬を強く望んでいた。ワシントン州は2019年、ひつぎを使った埋葬や火葬の代わりに、遺体を土に返す埋葬方法を米国の州として初めて合法化した。
 「最初はなぜという思いでした」とアームストロングさん。「今、埋葬を終えてみて心から賛成できるようになりました。私自身もテラメーションを選ぶつもりです」
 昨年、がんのために36歳で死去したアンドリューさんの遺体は堆肥化され、他の数十人分と一緒にシアトル(Seattle)郊外ケント(Kent)の丘で安息の眠りに就いている。
 米国で毎年数千人が選んでいる「グリーン葬」は、薬品による遺体の防腐処理や、コンクリートや金属などカーボンフットプリント(温室効果ガス排出量をCO2に換算した数値)が多い物質の使用を避けることができる。
 草木が根を張りつつある緑豊かな丘の中腹で、アームストロングさんは「息子は自然に返りたがったのです」と語った。
 この土地を所有しているのは新興企業リターンホーム(Return Home)で、同社は7か月前に近隣のオーバーン(Auburn)で事業を開始して以来、40件のテラメーションを実施している。

■「より良い死に方」
 同社の創業者でトップを務めるマイカ・トルーマン(Micah Truman)氏は「ここに葬られた人々は、より良い死に方を私たちに教えてくれているように感じます」と語る。
 倉庫ほどの大きさの部屋棚には、「ベッセル(船の意)」と呼ばれる金属製コンテナが並んでいる。コンテナの中に入れられた遺体は60日間、密封状態で分解過程を経る。
 明るい照明がついた部屋には、アップテンポの曲が流れている。この60日の間に訪れた遺族は、亡き人の人生を祝福する曲を選ぶことができる。
 ベッセルの中の遺体には防腐処理は施されていない。遺族には花や堆肥化可能な思い出の品を添えてもらう。さらに分解過程を促進するために、わらなど遺体の体重の約3倍の有機物が加えられる。その結果、出来上がる100キロ以上の堆肥は、見た目も感触も普通の腐葉土と変わらない。
 環境配慮型の埋葬を推進するNPO「グリーンベリアルカウンシル(Green Burial Council)」のエドワード・ビクスビー(Edward Bixby)会長は、世界各地で遺体の堆肥化を選択する人が増えていると語る。「基本的にわれわれは生まれてきた土に返る、ちりはちりに戻るということです」
 リターンホームで遺体の堆肥化にかかる費用は5000ドル(約65万円)で火葬とほぼ同じだが、従来の葬儀を行えばこの2~3倍の費用がかかる。
「グリーン」埋葬は、死そのものに対する自然な向き合い方だ。遺族は、遺体の埋葬準備に関わること、そして故人がこれからも生き続ける生命の一部になるのを見ることができる。
「愛する人が亡くなっても、いつでも思いをはせることはできるのです。ただ触れることができなくなっただけです」とビクスビー氏は語った。
(https://www.afpbb.com/articles/-/3403565
*なお動画をご覧になりたい方は上記のページにアクセスしてください。
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 遺体を土に帰すために、日本を除いて多くの地域で土葬が行われていますが、この遺体を「土に帰す」新しい方法として「グリーン葬」が登場したようです。遺体が完全に土に帰り、肥料として自然環境に貢献できる点で、今後注目を浴びそうな埋葬方式だと思います。
 ただし宗教や文化の違いによりどれほど普及していくかは不明ですが、人口が減少し始めた日本では墓守不在が増えており、いずれは無縁墓が急増していくと思われます。そのような状況下で自分の死後の墓守や墓参を懸念している人はグリーン葬をすることで、墓を建てる必要が無くなり、また遠隔地に住んでいる遺族の方々は墓参を気にせずに各自の家で祈りを捧げることができます。おそらく新しい形式の死者の弔い方として今後注目を引きそうな気がします。

2022年05月08日