#376 コーヒーとピーマン

 朝から晴天が続いています。春爛漫というより初夏の雰囲気が街中に漂っています。多くの草花も至る所で咲き乱れ、サツキが満開を迎えています。ここ数日の最高気温も25度を超え、半袖でも充分過ごせそうな季節となりました。
 さて4月の日曜日も今日が最後で、次の日曜日は5月2日です。ゴールデンウィークの真っ只中になります。しかし多くの都市で新型コロナによる非常事態宣言が発出されており、昨年のゴールデンウィークに引き続き、今年の大型連休も静かな休日となりそうです。また7月の夏祭りも各地で中止の発表がすでになされており、福岡の山笠や大牟田の大蛇山も早々に中止となりました。残念ですが、来年こそは盛大に夏祭りを開催してもらいたいものです。
 ところで本日のテーマ「コーヒーとピーマン」は多くの子どもが好まないものです。コーヒーを好む子どもはおそらく砂糖を入れて飲んでいるのではないでしょうか。苦いコーヒーをそのまま飲む子どもはおそらくいないことでしょう。私も子どもの頃はコーヒーよりもジュースを好んで飲んでいました。子どもの味覚は苦いものよりも甘いものを好みます。お菓子も塩辛い煎餅よりも甘いチョコレートやケーキを好むものです。
 同様に子どもが嫌う食べ物の代表がピーマンやニンジンです。特にピーマンのあの苦さは子どもが最も嫌う味の一つです。私も子どもの頃はピーマンやニンジンが大嫌いでした。ニンジンはカレーや煮込み料理に加えると、独特な香りや歯ざわりが消えて、それなりに美味しくなります。
 一方で、ピーマンだけは炒めてもあの独特な苦さが消えず、敬遠していたものです。しかしながら、大人になって世の中の不公平や理不尽さを体験するようになると、コーヒーもピーマンの苦味が分かるようになり、好きになってきました。
 言いかえれば、「苦み」や「渋み」は人生の深みを表しています。子どもや若い頃は人生の辛さをそれほど感じずに成長し、人生の楽しさが全面に現れ、いわゆる「甘い」日々を送りますが、社会に出て世間に揉まれるにつれて人生の悲しさや辛さをいやほど味わいます。そして「甘み」よりも「苦み」や「渋み」を好むようになります。お年寄りが渋茶を好むように、歳を取るにつれて様々な苦労を体験することで、人生に深みと味わいが出てきます。人生の甘い一面だけでなく、悲しさ、切なさ、辛さを体験することで、各人の顔にその人の生き方が如実に現れます。
 人生において様々な体験をし、色々なことを味わうことで何とも言えぬ人生の深みが出てきます。「茶の三煎」のように最初は茶の甘さを味わい、次に苦みを味わい、最後に渋みを味わうような人生を送りたいものです。

2021年04月25日