#486 カエルの鳴き声がうるさい!?

 台風2号の東進とともに梅雨前線を刺激し、近畿、東海、関東地方で多くの線状降水帯が発生し、各地で洪水等の被害をもたらしました。昨年までは九州や中国地方で線状降水帯が発生しましたが、今年は入梅とともに今まで発生したことがない地域で大きな災害をもたらしました。梅雨はまだ始まったばかりです。豪雨や長雨は場所を選びません。梅雨が終わるまで厳重な注意が必要となります。
 さて、梅雨と言えばカエルの季節です。田んぼなどでカエルの合唱を聞くのは心が和みます。ところが、とんでもないニュースが飛び込んできました。「カエルの声がうるさい」というのです。この世間をあっと言わせるニュースを転載します。
----------
『「カエルの鳴き声がうるさい」田んぼの持ち主に苦情
    →「理不尽すぎる」「無茶言う人だ」驚きの声広がる』
 田んぼの近くに住む住民から、農地の所有者へ寄せられた苦情がSNS上で大きな話題になっています。ツイッターユーザーの「いもっち」さんは先日、道端に張り紙が落ちているのを見つけました。その内容がこちらです。

◇◇◇
田んぼの持ち主様へ
カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。
鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です。
騒音対策のご対応お願いします。

近隣住民より
◇◇◇

 いもっちさんは驚きのあまり写真を撮影し、自身のツイッターに「どこかから風で飛んできたヤツなんだけど世知辛い…」と投稿。SNSユーザーからは4万を超える「いいね」とともに、「えっ?」「いやいやいや無理でしょ」「理不尽すぎる」「無茶言う人だな」「カエルに鳴くなと?」などの驚きの声が上がっています。
 いもっちさんに話を聞きました。

──張り紙を読んだ瞬間、どんな気持ちに。
「幼稚園や保育園の近所に引っ越して来て『子どもの声がうるさい!』という人と同じだなと思いました。うるさいと思うのは勝手ですが、それをわざわざ管理者に訴えるのはお門違いも甚だしいと思います」
──周辺は田んぼが多い地域ですか。
「住宅地ですが、田んぼもそれなりにあり、近所にはコイン精米機も結構あります」
──投稿が拡散しています。
「そもそもはフォロワーというかリア友に『これはないよね〜』程度の気持ちで投稿しました。バズっていてビビりましたが、同じような気持ちの人が大多数で安心しました」
◇◇◇

 田んぼにいるカエルは害虫を食べてくれる存在です。もし、騒音対策としてカエルを駆除するとなると、生態系を壊すことにつながり、ひいては人間の暮らしに影響を及ぼすことにもなりかねません。皆さんは今回のクレームをどう思われますか。
https://maidonanews.jp/article/14918988
----------

 また、この記事を読んだ獣医師の方から次のような登校がありました。

----------
『獣医師「アマガエルは鳴くものです」 住民の苦情「田んぼのカエルがうるさくて眠れない」に衝撃』
 「田んぼのカエルの鳴き声がうるさくて眠れない」ーー弊サイト「まいどなニュース」が5月29日朝に配信した、田んぼにいるカエルの鳴き声に近隣住民から苦情が出たという記事に大きな反響が寄せられています。

<獣医師「人間は生物の一員。忘れてしまっているのでは…」>
 「記事を読んで衝撃でした。アマガエルは鳴くものです」。そう話すのは大阪・守口市の夜型動物病院「まねき猫ホスピタル」の院長で、Yahooニュースの公式コメンテーターも務める石井万寿美さん。
 石井さんはまいどなニュースの取材に対し、「私はいま都会に住んでいますが、以前はカエルが鳴くところにも住んでいました。カエルの声をうるさいと感じる人がいることにびっくりしました。そのうち、セミの鳴き声がうるさいから木を切れなどに発展するのかな、とも考えました」と率直な感想を述べました。
 「ネットが発達して、生の体験が少なくなっているせいか、人間が生物の一員だということを忘れてしまっているのでしょうか。生き物の恵で果物ができることも知らないので、ハチが出たら、それも駆除すればいいと思っている人もいるのかもしれません」(石井万寿美さん)
 石井さんはYahooコメントの中で、田んぼに生息するカエルについて、「田んぼはアマガエルにとって重要な産卵場所であり、アマガエルは田んぼの害虫を食べることで稲の生育を助けています。同様に、他のカエルやクモやトンボも田んぼの害虫を捕食し、田んぼの生態系において重要な存在です」と説明。
 「大量の殺虫剤や農薬を使用すると、害虫は減るかもしれませんが、同時にカエルたちやそれを餌にする生き物も減少してしまいます。田んぼからカエルが消えると、他の生き物たちも生きていけなくなるため、バランスを保つためにもカエルの存在は不可欠です。カエルがいるということは、その田んぼがあまり農薬を使用していないことになり、地域の人にとっても安全です」(Yahooコメントより引用)

 29日朝に配信した記事のタイトルは「『カエルの鳴き声がうるさい』田んぼの持ち主に苦情→『理不尽すぎる』『無茶言う人だ』驚きの声広がる」。
 あるツイッターユーザーが、地域住民から田んぼの持ち主への苦情が書かれた張り紙を見つけたという内容です。訴えには「カエルの鳴き声による騒音に毎年悩まされています。鳴き声が煩(うるさ)くて眠ることができず非常に苦痛です」などと書かれていました。
 タイトルの一部、「田んぼの持ち主」「驚きの声」はツイッターのトレンドワードにランクインし、転載されたYahooニュースのページには半日で5千件を超えるコメントがつきました。
 まいどなニュース編集部には読者から「農家の人がカエルを飼ってるわけではないのに」「自然現象に文句を言う人の気持ちが分からない」「カエルがかわいそう」「田んぼのカエルの鳴き声で初夏を感じているのに」など、多数の意見が届いています。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/b1a79820e5c398ac5da95e5b40cc1746158cca80)
----------
 自宅の周囲はすっかり住宅地になりましたが、以前は周りに田んぼがあり、夏の夜には毎晩カエルの大合唱がありました。幼い頃の私はそれを聞きながら寝入りについたものです。秋には虫の演奏が始まります。様々な虫が異なる音色で演奏します。幼い頃の私の周りは自然の音が溢れていました。今はカエルの声とともに眠ることはありませんが、カエルの声を聞くと昔の思い出が蘇ってきます。
 上記の苦情に似たものは「公園の子どもの声がうるさい」との住民の苦情で公園が閉鎖になった事例もあります。ある保育園では周囲の住民に配慮して、防音壁を設置したところもあります。このような苦情が拡大すれば、やがて「木の梢の音がうるさい。木を切り倒せ」当の苦情が出てくることでしょう。
古来の日本人は自然と共に生き、自然から多くのものを得てきました。現代の日本人はそれを忘れ、自然は人間の生活をじゃまするものと受け取っているのでしょうか。非常に嘆かわしいことです。自然から復讐される前に、今一度、自然との共生とは何かを真剣に考える時がきているようです。

2023年06月04日