#502 降れば土砂降り

 今日は朝から快晴です。昨日は秋の彼岸の中日でした。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉がありますが厳しい残暑も徐々に収まっていくと思われます。日中の気温はまだ30度を超えますが、それでも最低気温が20度前後となり、朝夕は涼しく感じます。また夜中は虫の鳴き声が素晴らしく、もう少し虫のオーケストラが楽しめそうです。これからは夜の時間が徐々に長くなり、秋も深まっていきます。そのような季節では夜長の読書もお勧めです。
 さて、今年は特にゲリラ豪雨の出現が目立った夏ではなかったかと思います。これは特定の地域ではなく、全国各地で頻発した現象です。英語のことわざに "It never rains but it pours."がありますが、日本語訳では「降れば土砂降り」となっています。このことわざは、「不幸が重なる」、「悪いことは続いて起こる」の意味であり、日本語では「泣きっ面に蜂」が該当します。しかし今年の天気に当てはめますと、文字通り「降れば土砂降り」が正解です。ゲリラ豪雨と夕立は基本的に異なります。東洋経済オンラインに次の記事がありましたので、転載します。
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『ゲリラ豪雨」が増えているのは、なぜなのか、かつては単なる夕立だったはず』
 夏真っ盛り。うだるような暑さで、昼間に外を出ると汗が吹き出します。そして、カンカン照りかと思ったらいきなり空が暗くなり、大雨が降り出すのも夏ならでは。いわゆる「青天の霹靂(へきれき)」ともいうべきこの現象は、かつては「夕立」と呼ばれていましたが、近年では「ゲリラ豪雨」という禍々(まがまが)しい名前で呼ばれるようになってきています(ちなみに、ゲリラ豪雨という言葉は気象庁の正式な名称ではありません。正式名称は「局地的大雨」です)。
 なぜ、ゲリラ豪雨と呼ばれるようになったのか。それは、急に降ってくる大雨による災害が目につくようになってきているからではないでしょうか。

<10分で水位が背丈ほどに>
 ゲリラ豪雨の恐ろしさを実感するきっかけとなったのは、2008年の7月に発生した兵庫県神戸市の都賀川の水害でした。都賀川は、川べりに遊歩道のある、ありふれた市街地の小川です。
 ところが、上流に大雨が降ったため、水位が10分間で1.3mも急上昇し、川で遊んでいた子どもたちなど5人が流されて亡くなってしまったのです。たった10分であっという間に子どもの身長近くまで水位が上がってしまうのですから、急な大雨がいかに恐ろしいかがよくわかります。
 ほかにも、大雨が急に降ると下水道の気圧が高まってマンホールのふたがあき、冠水した道路を歩いていた歩行者が落下したり、地下街に水が流れ込んだり、アンダーパスと呼ばれる、道路が潜り込む形で交差する場所にたまった水に車がはまり込んで出られなくなったりと、急な大雨による災害は後を絶ちません。
 それにしても、こんな事例を目の当たりにすると、どうも雨の降り方が昔より激しいんじゃないか……と思う人も多いのではないかと思います。実際のところは、どうなのでしょうか。
 気象庁による過去の統計を見ると、確かに1時間降水量50mm以上と1時間降水量80mm以上の年間発生回数は、上昇傾向にありました。
 ちなみに、50mm以上の雨というのは、雨が滝のように降っており、外で傘を差してもまったく役に立たず、あたり一面が水しぶきで白っぽくなって、車の運転も危険な状態です。こんな雨が年々増えてきているということなんですね。

<大雨が増えている理由は?>
 なぜ、大雨が増えているのでしょうか。その理由は、気候変動やヒートアイランド現象など、複数の原因が重なって、日本の気温が上昇傾向にあることと関係があります。
 そもそも、雨というのは、空気中に含まれる水が落下したものです。空気中の水蒸気が上空で冷やされて水や氷の粒になったものが雲で、雲の粒が大きくなって落下すると雨になります(雲の粒が氷の場合は、落下する途中で溶けると雨に、溶けない場合は雪になります)。
 ここで、気温が高くなると、空気中に含むことのできる水蒸気の量が増えます。だから、以前よりも気温が高くなれば、ひとつの雲からより大量の雨を降らすことが可能になるのです。これが、年々大雨がひどくなっている理由だと考えられています。
 ところで、「ゲリラ豪雨」はなぜ、「ゲリラ」なのでしょうか。「せめて『明日の午後3時ごろに○○市で50mmの非常に激しい雨が降ります』と予報してくれれば、その時刻に出掛ける予定を変更して、雨を避けることができるのに」と思う人も多いはずです。
 実は、気象現象の規模と予報のしにくさには相関関係があります。規模の大きい現象はゆっくりやってきて、その場所に長期間滞在します。一方、規模の小さい現象は急に発生して、あっという間に去っていく傾向にあるのです。
 ゲリラ豪雨をもたらすものは積乱雲と呼ばれる雲です。積乱雲とは、夏にモクモクと高く発達する入道雲や雷雲のことで、ひとつの積乱雲の大きさは数kmから十数kmです。つまり、ある場所では大雨が降っているけれど、隣駅では大雨は降っていないことも決して珍しくありません。
 しかし、現在の天気予報の技術では、竜巻やゲリラ豪雨などの小さな気象現象を予測するのが難しいのです。だから、ゲリラ豪雨は「ゲリラ的」に発生してしまうように感じるわけです。

<ゲリラ豪雨を避けるためには>
 ただ、予測しにくいとはいえ、予報ができないとさまざまな災害を招くことは確かです。そこで、気象庁をはじめ、さまざまな研究機関では、なんとかしてゲリラ豪雨を事前に予測し、緊急地震速報のようになるべく早く住民に通知できるよう、「ゲリラ豪雨」を死語にするべく研究を進めています。
 そして、私たちにもゲリラ豪雨を避けるために活用できるツールはあります。それは、気象庁の「高解像度降水ナウキャスト」です。これは、気象レーダーのデータを基にした雨の実況と短時間の降水予報です。
 高解像度降水ナウキャストを見れば、現在雨がどこでどれくらいの強さで降っているのかがわかります。正方形のピクセルの一辺は250mときめ細かく、30分後までの実況と予報が5分ごとに更新される形でわかります(ただし、海岸から離れた海上と、予測時間が35分から60分までは、1kmの解像度です)。
 また、下にあるいくつかのアイコンのうち、左から2番目のアイコンをクリックすると、強い雨が降っているところが黄色い枠で囲まれて表示され、30分後にはその雨の範囲がどのように変化するのかもわかります。
 積乱雲は、大雨だけでなく、雷や竜巻を発生させることもありますが、これらが発生しやすいかどうかも、真ん中のアイコンをクリックするとわかります。パソコンやスマートフォンのインターネットアプリでブックマークしておけば、すぐに見られるので便利です。
 また、スマートフォンのお天気アプリの中にも、この高解像度降水ナウキャストを基にした実況兼予報があります。「高解像度降水ナウキャスト」という言葉で検索すれば、対応しているアプリが出てくるので、インストールしてみましょう。スマートフォンの場合はアプリのほうが使いやすいと思います。
 暗い色の雲が近づいてきたら、小まめにチェックしておくと、自分のいるところで大雨が降ってきそうかどうかはある程度わかるので、ぜひ活用してみてください。
(今井 明子 : 気象予報士・サイエンスライター)
https://toyokeizai.net/articles/-/180976
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 気象予報士さえも予測不可能なゲリラ豪雨です。外出先でゲリラ豪雨に遭わないために、常にバッグなどに
降りたたみ傘を入れておくのをお勧めします。またゲリラ豪雨の際に突風や竜巻が発生することもありますので、日々の天気予報を充分活用しましょう。特にNHKのデータ放送「あなたの街の天気」のレーダー画面は雨雲の様子を正確に反映しています。
 ゲリラ豪雨は主に夏に発生する気象現象ですが、もうしばらく30度を超す日々が続きます。気象の急激な変化には充分注意したいところです。

2023年09月24日