#509 87歳のジャズ歌手

 ここ1週間ほど気温の上下が激しく、不安定な天気が続いています。先週の日曜日には真冬並みの気温となりましたが、そのせいか風邪をひいてしまいました。今日でちょうど1週間になります。のどの痛みや発熱は収まりましたが、体中がだるく、時々頭痛がします。完全に回復するまで数日かかると思われます。症状によっては新コロかインフルか判断できないものもありますので、皆さんも風邪には十分注意してください。
 さて、前回のブログで、フォークの神様、岡林信康について書きましたが、87歳の今も現役でジャズ歌手を続けている女性が沖縄にいます。今日はその女性の記事をご紹介します。
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『米統治下の沖縄、「ダニー・ボーイ」歌うと米兵が涙…「すごい歌手がいる」86歳で復帰』
 戦後、米統治下の沖縄で米兵を魅了した米寿のジャズシンガーがいる。今も石垣島(沖縄県石垣市)で歌い続ける 齋藤悌子(ていこ) さん(88)。ともに歩んだ最愛の夫を亡くして一時舞台を離れたが、86歳で本格的に復帰した。「声が出る限り歌いたい」。11月末からは東京や福岡を巡るツアーで伸びやかな歌声を届ける。
 「あー、あー、あー」。10月中旬の早朝、石垣市内の公園から張りのある発声が聞こえてきた。齋藤さんが、少しずつ体勢を変えながら腹の底から音を発する。遠くまで響き渡る声量を保つため、ほぼ毎日続ける日課だ。「声が出なくなるのが一番こわいから、欠かさないわ」と笑う。
 穀物卸問屋の三女として宮古島(同県宮古島市)に生まれた。沖縄戦当時は台湾に疎開して難を逃れ、戦後に宮古島へ戻った。海で遊ぶのが好きな活発な女の子。音楽とは無縁だったが、地元を離れて進学した那覇高(那覇市)の恩師との出会いが転機となった。
 音楽の授業でその歌声を聴いた恩師は「将来は音楽の道に」と期待をかけ、クラシックの歌を教え込んだ。高校を卒業した1953年には、本土のジャズバンドが沖縄進出を機にボーカルを募集しているという話をもたらしてくれた。ジャズも英語も分からなかったが、得意の「アベ・マリア」をオーディションで披露すると、見事合格した。
 バンドは在沖縄米軍基地のナイトクラブなどを回った。米兵のオーダーに応えるため、齋藤さんは必死に英語の曲を練習し、レパートリーは約400曲を数えた。つきっきりで指導してくれたリーダーが、後に夫となる 勝(まさる) さんだった。齋藤さんの力強くも透き通るような美声は観客をひきつけ、英語のファンレターも届くようになった。
 「音楽の力」を感じたのが、戦地に赴く息子を案じる母親の思いと重ねられてきた「ダニー・ボーイ」だ。
基地内で歌うと、目の前で聴いていた青年が涙を流した。ベトナム戦争に向かう直前の兵士だった。若い命を奪う戦争の理不尽さに心を痛め、「戦争は絶対にいけない」との思いを込めて歌うようになった。
 25歳で結婚し、勝さんの故郷・千葉市に移住して2人の子を授かった。子育てが落ち着くと、再び夫婦で歌うようになった。約30年前、勝さんがほれ込んだ石垣島に移住し、ホテルやカフェで曲を披露した。
 好きな人と好きな音楽を奏でる幸せな日々。だが、還暦を前にした95年、別れは突然訪れた。勝さんにがんが見つかり、65歳で急死した。それからの齋藤さんは、「つらい思いがよみがえる」とジャズを聴かなくなった。ラジオから曲が流れてくるとすぐに消した。
 約10年が過ぎた頃、立ち寄った喫茶店のBGMで流れたフルバンドによるジャズ演奏に思いがこみ上げた。「またジャズを歌いたい」。この店に通って音楽好きの若者に交じり、ウクレレを弾きながらジャズを歌い上げると、「島にすごい女性シンガーがいる」と瞬く間にうわさが広まった。
 80歳を過ぎても衰えを知らない歌声に魅了され、同じく石垣島で農業を営む長女(56)が母の背中を押した。
 2年前、島内にあるジャズバーのマスターに「母の歌声の音源を残したい」とアルバム製作を打診した。マスターが呼びかけると、業界関係者が関心を示し、グラミー賞受賞の編曲家デビッド・マシューズさんも参加するフルバンドでの収録が実現した。
 今年2月には都内での公演も成功させた。11~12月には都内や福岡市のほか、故郷・宮古島や那覇市で公演することも決まり、精力的に活動を続けている。
 音楽の力を教えてくれた「ダニー・ボーイ」を毎回のように歌う。沖縄戦の組織的戦闘が終結した6月23日の「慰霊の日」に毎年、集会などで歌ってきたが、世界中で争いが絶えない今だからこそ、気持ちを込めて聴衆に届ける。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20231113-OYTNT50010/
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 この齋藤悌子ですが、数月ほど前にNHKのThe Lifeという番組で取り上げられ、私は偶然その番組を見ていました。番組のタイトルは「〜人生はジャズとともに 齋藤悌子87歳〜」で、80歳を過ぎた体には見えず、伸びのある声でリハーサルを行う場面は素晴らしいものでした。彼女の歌がYouTubeにありますので、検索してみてください。ちなみに、斎藤さんの活動を紹介しているユーチューブに次のものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=zgl5haNOnxs

地位や貴賎にかかわらず、何事も1つのことを一生かけて取り組んでいけることはその人の宝物であり、改めて敬意を示す対象になります。そのような人物でありたいものです。

2023年11月19日