#292 泣き面にバッタ(蜂)!?

 世界中で猛威を振るっている新型コロナウィルスですが、厄災の中心がヨーロッパからアメリカへと移動し始めており、アメリカでは感染者が8万人を超えてしまいました。特にニューヨーク州はそのうちの半数を占めるそうです。一方では新型コロナに勝利を宣言した中国は感染が始まったのは武漢でありながら、感染源はアメリカであり自国でないと高らかに宣言しています。いわゆる情報戦を展開している始末です。
 しかし中国に別の大きな脅威が迫っていることを中国政府は知っているのでしょうか。私が数日前にこの情報を見た時にフェイクニュースではないかと疑いましたが、複数のメディアがネットで話題にしていますので、まんざら嘘でもないようです。もちろん日本のマスコミはまだ報道していません。Newsweekの日本語ネット版から引用します。

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『新型肺炎で泣き面の中国を今度はバッタが襲う』
<新型コロナウイルス制圧を宣言した中国だが、間もなく到来するバッタの大群「蝗害(こうがい)」への備えはあるのか>
 武漢発の新型肺炎を基本的に制圧した、と宣言した中国に新しい脅威が襲い掛かろうとしている。バッタの襲来だ。
 中国の古い文献では「蝗害(こうがい)」と呼び、「黄害」すなわち黄河の氾濫による被害と同じくらいの脅威だ、と歴史的に認識されてきた。黄河の氾濫は歴代王朝の交代を促したから、蝗害も無視できない。中国は今やまさに「泣き面にバッタ」という局面に立たされている。
 今回大量発生したサバクトビバッタはコロナウイルスとほぼ同時に増え始め、最初はアフリカ東部のケニアやエチオピアとその周辺で群れを成した。その総数は3600億~4000億匹と推算されているが、人間の知力で数えること自体が不可能に近い。
 彼らは40×60キロの広さで覆うような陣形をつくり、ゆっくりではあるが、いかなる力にも阻止されない勢いで東方へと突き進んだ。「出アフリカ」を果たし、2月にはパキスタンとインド北西部に到達。マケドニアを出発してインダス河流域に到達したアレクサンダー大王に負けないくらいの恐怖をもたらした。パキスタン政府は軍用機で農薬を散布するなどして対応に出たが、一敗地にまみれた。
 パキスタンとインドを「征服」したバッタの大群は目下、天山山脈に沿って東進し続け、シルクロードを「バッタロード」に塗り替えつつ、間もなく中国国境を侵犯する勢いを見せている。新型ウイルスを相手に「人民の『戦疫』」に勝利した習近平(シー・チンピン)政権は、次の「バッタ戦役」に備えることができるか否かが問われそうだ。
 実は筆者は1992年の晩春から初夏にかけて、パミール高原の東部・中国新疆ウイグル自治区の北西部で「蝗害」を体験している。日本のトヨタ・ランドクルーザーに乗って草原を走っていたとき、車外からまるで砂利道を疾駆しているような音が耳に入ってくる。それは砂利ではなく、バッタをひいた音だ。それが一日中、延々と続くので、好奇心はやがて恐怖に変わってくる。
 バッタは最初に新芽を出したばかりの草原を占拠し、居座る。若草を食い尽くされた家畜は痩せ細って死に、遊牧民のモンゴル人やカザフ人は途方に暮れていた。やがて作物が成長するにつれて、バッタは草原部から畑や水田地域に移っていく。すると、今度はオアシスの農耕民が被害を受ける。当の中国政府は「蝗害」を天災と見なし、何一つ有効な策を講じていなかった。いや、そもそも古代から有効策は発見されていなかったのだが。
 モンゴル草原生まれの筆者は子供の頃から、「中華民国18年(1929年)のバッタ襲来」の話を長老たちに聞かされていた。蝗害の後、モンゴル高原と接する中国北部は大飢饉に襲われ、死者数は1000万人に上った、と推定されている。大飢饉であふれ出した中国人難民はそのままモンゴル草原に進入して定住し、先住民であるモンゴル人の人口を凌駕するようになった。「バッタの襲来が中国人難民を生み、モンゴルの亡国をもたらした」と、遊牧民は理解している。
 蝗害を食い止める唯一の方法――それは、バッタを食べてしまうことかもしれない。農作物と牧草で丸々と太り、タンパク質の塊のようなバッタは栄養価が高い。まるで彼らに復讐するかのように、中国人は古くから好んで食べてきた。
 しかし武漢発の新型肺炎が猛威を振るうようになってから、中国は野生動物の食用をやめるよう呼び掛けている。今回のサバクトビバッタは毒を持っているともいわれる。4000億匹の大量のバッタを食べ切れるのは14億人の中国人だけだが......。
(https://www.newsweekjapan.jp/youkaiei/2020/03/post-53_1.php)
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 アフリカでは数年おきに大量のバッタが発生し、農作地を荒らし回る姿がニュースなどで報道されますが、このバッタがはるばる中国まで侵入していくとは恐るべきです。過去において数回発生しているのは事実ですので、今回も大きな被害を及ぼすことになりそうです。このバッタ群が東シナ海や朝鮮半島を通って日本まで来ることは有り得そうもないですが、しばらくは注視すべきニュースです。特に中国だけでなく、バッタの被害を受けや国々の食料自給に関して大きな被害をもたらすと危惧されます。まさに「泣き面に蜂」ならぬ「泣き面にバッタ」です。
 ところで、東京都ならびに関東各県は今週末に外出自粛をを要請していますが、はたして1400万人の都民にそれができるでしょうか。極論を言えば鉄道やバスなどの交通機関を運休し、デパートなどの店舗を閉鎖すれば可能でしょうが、それができない状況では実質上不可能でしょう。とはいえ、東京都がオーバーシュート(感染爆発)すれば、東京のみならず日本国内全体の政治や経済に大きな影響をあたえることになります。東京都民の善意に期待して見守りたいと思います。

2020年03月27日