#490 宇宙の謎を解くユークリッド
今日は朝から曇り空ですが、昨日までの降雨はすさまじく、大牟田では300ミリを超える豪雨となりました。また明日から梅雨前線が北上していくようです。北部九州の梅雨明けは7月18日頃ですので、あと2週間は梅雨末期の豪雨に厳重な注意が必要です。
さて7月7日は七夕ですが、この日は旧暦の7月7日を指します。梅雨の末期に満天の夜空は望めません。旧暦の7月7日では今日の8月上旬に当たりますので満天の下で織姫と彦星はめでたく再会できるという話です。昔の人々は夜空を見上げてロマンチックな想像をしたものです。
それでは、現代の宇宙に関するロマンチックな話題は何でしょうか。それは宇宙の起源を探すことです。その謎を解明するために新しい宇宙望遠鏡が打ち上げられました。毎日新聞より関連する記事を転載します。
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『宇宙望遠鏡「ユークリッド」打ち上げ 「暗黒エネルギー」の謎に迫る』
欧州宇宙機関(ESA)は1日、新開発の宇宙望遠鏡「ユークリッド」を米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地から打ち上げた。100億光年先まで広がる最大20億個の銀河の地図を作り、物理学の最大の謎といわれる「暗黒エネルギー」の性質に迫るのが目的だ。
宇宙は138億年前の誕生から膨張を続けてきた。その勢いは物が引き合う重力の影響で次第に緩やかになるはずだが、なぜか数十億年前から加速している。その原因は、重力とは逆に物を反発させ合う暗黒エネルギー。このエネルギーは宇宙の70%を構成する。他の25%は光を吸収も反射もしない正体不明の暗黒物質、星々を構成する原子など通常の物質は5%だけだ。
ユークリッドは高さ4・7メートル、幅3・7メートルで重さ2トン。銀河の位置や形を見る可視光カメラと、距離を知るための赤外線観測装置を搭載する。暗黒物質があると重力によって背後の銀河がゆがんで見える現象を観測し、銀河だけでなく暗黒物質の分布も調べる。こうして精密な立体地図ができれば、宇宙の構造ができる過程に暗黒エネルギーがどう関与したかが分かってくる可能性がある。
(https://mainichi.jp/articles/20230702/k00/00m/030/005000c)
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宇宙空間にはハッブル宇宙望遠鏡など数台が活躍していますが、この度「ユークリッド」が新しく加わることになりました。上記の記事にありますように、この望遠鏡は「ダークマター」と呼ばれる暗黒物質を調査する目的で観測が行なわれます。それにより宇宙が拡大し続けるのか、それとも収縮へと向かうのかが予測できます。宇宙に興味がない人は「それがどうした。その高額な予算を別の世の中に役立つものに使うべきだ。」と思うことでしょう。確かに宇宙探査は世の中を幸せにするために何の役にも立ちません。
しかし夢があります。人類がかつて夢見てきた宇宙の成り立ちや起源の一端が分かるかもしれないのです。そこから「人間とは何か」、「宇宙と人類との関係」、「宇宙を作り出した創造主」などの理解が進むかもしれません。人類史に新たな1ページを付け加えることができるのです。人類があと1,000年生き残るとして1,000年後の未来人が21世を振り返るとき、どう思うでしょうか。私たちが中世時代をを暗黒時代を呼んだように、戦争ばかりしてきた21世紀の地球人の考え方を理解できないでしょう。「ユークリッド」がどのような成果をもたらしてくれるか楽しみです。