#531 死者が生き返る!?

 穀雨にふさわしい雨が昨日から降り続いています。この雨で一気に季節は晩春から初夏へと移っていくことでしょう。来週にはゴールデンウィークが始まり、多くの人が円安にもかかわらず国内外へ出かけていくことでしょう。
 さて、毎日のようにフェイク画像や映像などAIに関するニュースが世間を騒がせていますが、また違った意味でAIの魔法のような技術が公表されました。「死者と会話ができる」というのです。これは今までの生成AI技術を応用したものですが、今までと異なるのは死者を題材にしたものです。先日これに関するニュースが流れましたので掲載します。
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『「パパ、ママ、会いに来たよ」AIで死者を“復活”
       中国で新ビジネスが論争に 「冒とく」か「心の救済」か』
 世界では今、インプットされたデータから文章や画像などを自動で作り出す「生成AI」の技術が急速に進化しています。こうした中、中国では「生成AI」を使って亡くなった人を「復活」させるビジネスが登場し、論争を呼んでいます。

<「パパ、ママ、会いに来たよ」>
 中国のネット上にあふれるこれらの動画。実は、すべて生成AIで「復活」した死者たちです。生前の写真や音声を元に、AIが動画を作成。
 「僕はとっても会いたかったよ。元気なの?」
 まるで本人がしゃべっているかのような動画ができあがります。AIが学習することで、本人そっくりの口調で会話をすることもできます。
 事故で亡くなった叔父を「復活」させ、祖母と毎日、会話ができるようにした男性は「ニーズを満足させてくれるサービスだと思います」と話します。張沢偉さん(33)は去年、生成AIで死者を復活させるビジネスを始め、これまでにおよそ1000人の「死者を復活」させてきました。始めたきっかけは、友達から「お父さんを復活させてほしい」と依頼されたことでした。

<張沢偉さん>
「(AIで『復活』した父を見た)友達はとても感情的になり、涙を流しました。自分たちのやっていることは、人助けになるとわかったんです」
 これは、張さん自身を再現した動画。およそ1週間で完成し、費用は4000元(約8万円)からです。事故で亡くなった子どもに、もう一度会いたい。古い写真からおじいさんを復活させてほしい。そんな願いが日々、張さんのもとには寄せられるといいます。

<コービー・ブライアントさんが流ちょうな「中国語」を・・・>
 一方で、こんな問題も…「中国のファンのみなさん、こんにちは。コービー・ブライアントです」
 2020年に事故で亡くなったアメリカのプロバスケットボール選手、コービー・ブライアントさん。なぜか流ちょうな中国語をしゃべっています。このように、亡くなった有名人を生成AIで勝手に復活させてしまうケースも相次ぎ、「死者への冒とく」「肖像権の侵害」といった批判があがっているのです。先ほどの張さんは、悪用されないよう本人や家族の同意をとっているとしたうえで、生成AIの可能性について次のように話します。

<生成AIで死者を「復活」 張沢偉さん>
 「私は今、人々を救っていると感じます。人々に精神的な安らぎをもたらしているのです。私の夢は、普通の人がデジタルの力で『永遠に死なない』ことを実現することです」急速に進むAI技術がもたらすのは心の救済か、それとも死者への冒とくか。重い問いを投げかけています。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1123023?page=1
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 実際の映像は上記のアドレスをクリックしてご確認ください。果たして、この死者を生き返らせる技術がもたらす意味は何でしょうか。人生は出会いと別れの繰り返しです。死を迎えないものは誰もいません。愛する人との永遠の別れを通じて人生のはかなさを痛感するものです。そしていつかは自分も死を迎えることを心の底で認識し、残りの人生を生き切る決意をします。
 上記にあるように、死者と会いたい気持ちになって最新技術を屈指して死者を復活させても、所詮フェイクでしかないのです。AIの故人と出会えても本人ではありません。
 今日のテーマは単なる生成AIを使った故人の復活だけでなく、人間の持つ死生観を根底から覆す内容ととなっています。あなたはAI故人に会いたいですか。

2024年04月21日