#581 有朋自遠方来、 不亦樂乎

 「有朋自遠方来、 不亦樂乎」(朋あり遠方より来たる、また楽しからずや)は高校の漢文の時間で学ぶ有名な文ですが、先日20年ぶりにニュージーランドでホームステイの際にお世話になった御夫妻と滞在先の福岡でお会いし、夕食を共に過ごしました。20年という月日がまるで昨日のように思われました。まさに「朋あり遠方より来たる、また楽しからずや」の感です。
 実は20年前に在職していた福岡雙葉中学・高校の生徒およそ10名をニュージーランドのオークランドに引率しました。生徒たちはそれぞれホームステイファミリーの家で1週間を過ごしました。平日の午前中は姉妹校のカーメルカレッジで現地の生徒と過ごし、午後はオークランド市内見学や水族館などを訪れました。また有名な温泉地のロトルアに日帰りの旅行に行ったこともあります。
 引率の私とSr.佐無田もホームステイ先でお世話になりました。その時に私がお世話になったのが今回来福されたファウラー御夫妻です。あれから20年の月日が経ってしまいましたが、話をするうちにお世話になった昔のことがまるで走馬灯のようによみがえってきました。ホームステイ期間は日本では春休みでしたが、ニュージーランドは南半球にありますので、初秋に当たります。落ち葉が散り始め、紅葉が進んでいたことを思い出します。ホームステイ先はオークランド市内から北におよそ20キロほど離れたノース・ショアという地区でした。大きなショッピングセンターがありますが、周囲は住宅地の静かな環境で、学校の近くに大きな湖があったのを思えています。生徒が授業を受けている午前中は校舎の屋上から景色を眺めたり、周囲を散歩したりしていました。またSr.佐無田は現地の生徒たちに空き時間に書道を教えたりしてていました。
 またカーメルカレッジの先生方が私たちを歓迎してくださり、夕食会を開いてくださいました。もちろん英語で話されましたが、彼らの持つ雰囲気は日本人のような感覚を受けました。私は3年間オーストラリアで過ごしましたが、オーストラリア人は概して何でもeasy-going(のん気)で細かなことを気にしません。良くも悪くも繊細さに欠けるところがあります。ニュージーランド人は日本と同じ島国だからでしょうか、日本人のように些細なことも気にかけてくれて、不思議に気が通じ合う部分が多かったような気がします。
 このような思い出をふり返りながら、楽しく2時間過ごすことができました。もちろん夕食は鮨と天ぷらの食べ放題コースを設定しました。御夫妻ともに「今日の食事は今までの中で一番思い出に残る食事です。」と賞賛してくださいました。
 今回は残念ながら柳川を訪れる機会がありませんでしたが、次回来福されるときはぜひともご招待したいと思っております。御主人は毎年来たいとおっしゃるほど福岡が大好きになりました。「東京は人ごみだらけでせわしいけれど、福岡は東京都異なる文化があって面白いです。」仰っていました。確かに地方は都会と異なり独自の文化を持っています。九州一の大都会である福岡ですが、まだ昔ながらの伝統が街のいたる所にあり、独特な文化的香りをまだ残しています。御夫妻は4月3日に帰国されますが、心に残る楽しい思い出を持ち帰って欲しいと思っています。

2025年03月30日