#579 有明海の異変
この時期は三寒四温を繰り返しながら春らしくなっていきます。3月は天候不順な日が多く、菜種梅雨として結構雨が多い日が続きます。また天気が良い日は暖かく潮干狩りに最適で、特に有明海沿岸は多くの人々が潮干狩りに繰り出します。有明海はまさに海の生き物の宝庫です。
ところが有明海に異変が生じ始めたのが、諫早湾の干拓事業が開始された頃からです。諫早湾干拓事業の目的は、高潮や洪水、排水不良などの災害から地域を守る防災機能の強化と、大規模な農地の造成です。しかしながら諫早湾を締め切ることで、海の生態系に多くの問題が生じています。金曜日にNHKで放送された「有明海異変
危機に陥るのり漁師」(初回放送日:2025年3月14日)では次のような内容が放送されました。
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日本有数の養殖のり産地、有明海で深刻な不作が続いている。海で何が起きているのか?漁師や卸問屋の現場、研究者や農水省への取材から“宝の海”の行方を見つめる。
日本有数の養殖のり産地、有明海。中でも佐賀県は3シーズン前まで19年連続で日本一の販売枚数と販売額を誇ってきた。しかし、先月6日の入札会では、出品量は当初見込の10分の1以下、色づきが悪く、つやのないものが多かった。のり養殖を廃業する人も後を絶たない。有明海で一体何が起きているのか。20年来の調査から見えてきた海の異変のメカニズム。諫早湾干拓の影響、海底の実態…。再生の行方は?のり漁師に密着する。(https://www.nhk.jp/p/ts/9RZY9ZG1Q1/episode/te/Q2WKWV9GP2/)
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この番組の続編「拡大版 有明海異変 翻弄される“宝の海”」が来週の土曜日(3月22日)に放送されますので、興味のある方はぜひご覧ください。
有明海は海の生物にとって生命のゆりかごのような場所です。ムツゴロウやタイラギなど独特な生き物がたくさんいた海です。しかし干拓事業とともにタイラギは姿を消し、タイラギ漁はここ数年行われていません。また有明海はノリの養殖として知られてますが、このノリが不作続きで品質も低下しています。その原因として干拓事業による海流の変化が生じ、そのために筑後川を始めとする河川からの栄養分が海に行きわたらず、死の海へと変化したようです。
人間の都合により自然は変化していきます。自然を破壊することは結局様々な形で私達人間に戻ってきます。自然との共存を考えない限り、人間の生きる道はありません。自然が無くなれば人間もまた地球から姿を消すことになります。この簡単な法則を理解しない限り、人間という種は存続できないでしょう。エゴ丸出しの愚かな種族です。