#131 遺贈という考えについて

 遺贈(いぞう)という言葉をご存知でしょうか。人生最後の社会貢献として様々な場所に自分の財産を寄付し、自分の生きた証を残す活動です。先日NHKのクローズアップ現代で遺贈について特集番組が放送されていました。この番組によると自分の家族への遺産だけでなく、社会貢献の1つとして遺贈を考えている人が増えているそうです。特に家族のいない独居生活をしている人の中には、自分の死後に国に財産を取られるよりも何らかの形で自分の生きた証を残す意味でも社会福祉団体等に寄付している人がいるそうです。
 ただし遺贈をする際にいくつか留意する点があります。1つは「家族の同意ができているか」という点です。つまり家族と話し合い、遺言書の形で自分の意思を明確に示すことです。これがないと自分の死去後に遺族間で醜い遺産争いが生じる可能性があります。次に「自分の意思を汲んでくれる団体が遺贈に相応しいかどうか」ということがあります。「オレオレ詐欺」ならぬ「遺贈詐欺」が流行るかもしれません。対象となる団体(介護や福祉団体など)を一度自分の目で確かめた方が良いでしょう。NHKによると遺贈の流れは次のようになるそうです。 遺贈先を決める → 遺言書を作成する → 死去 → 遺贈
 遺贈に関して無料で相談できる窓口もあるそうです(いぞう寄付の窓口 日本レガシーギフト協会)。また全国各地で遺贈セミナーが催されています。出生率が下がっている現代の日本では老後を子供に見てもらうことができない高齢者が今後も増えていくことと予想されます。終活の一端として、また自分の人生の集大成として、遺贈という考えは確かに理にかなっていると思います。遺贈という形で少しでも世の中に役に立つ社会貢献は素晴らしい慈悲心の現れです。

2017年09月10日