#469 スポーツと商業主義

 ここ数日間は梅雨末期のような豪雨が続いていました。筑後地方には線状降水帯も発生し、梅雨前線や台風の影響による大雨のため、筑後地区で家屋被害などが拡大する恐れがあるとして、県は26日、柳川市、うきは市、みやま市、広川町に25日付で災害救助法を適用したと発表しました。今後は梅雨の後半に向けて雨の降り方が懸念されます。梅雨時の天候急変はどこでもあり得るので、豪雨や洪水に対して身を守るために充分な注意が必要です。
 さてサッカー・ワールドカップ2026が開催されています。日本代表チームは昨日のスウェーデン戦で引き分け、決勝トーナメントに進出しました。次はワールドカップ常連のブラジルとの戦いになります。日本の本当の実力が試される一戦になります。試合開始は火曜日の午前2時ですので、徹夜での観戦になりそうです。
 ところで今大会から前後半の途中で給水タイムがそれぞれ3分間設けられました。理由として暑さ対策ということですが、はたして試合を途中で中断する給水タイムが必要でしょうか。本日はこれに関する記事を紹介します。

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『サッカーW杯の「3分間の給水タイム」、なぜ今大会から始まった? サッカーが「お金」に変わる仕組み』
 サッカーのワールドカップを観ていると、前後半それぞれの途中で、試合が3分ほど止まる場面があります。選手が水を飲む「給水タイム」です。解説をしていた元日本代表の本田圭佑さんが、中継のなかで「これ、なんすか?」と口にしたほど、目新しいものでした。目的の一つは、選手への配慮。けれど、その裏には、もうひとつの狙いが隠れています。この小さな"中断"に、スポーツビジネスの今が詰まっているのです。ひとつの試合が、どうやって細かく切り売りされているのか。その仕組みについて、リサーチャーのcomugiが解説します。

<突然始まった、3分間の給水タイム>
 この給水タイム、正式には「ハイドレーションブレイク」と呼ばれます。前半と後半、それぞれ22分ごろに3分間、試合を止めて選手が水を飲む。これが、今大会の全104試合で、初めて義務づけられました。
 目的の一つは、選手の体を守ることです。今大会は、開催国の一つがアメリカで、暑い時間帯の試合もあります。直接のきっかけになったのは、昨年アメリカで開かれたクラブワールドカップでした。このとき、厳しい暑さのなかで、選手やコーチ、ファンから不安の声が上がりました。その反省を受けて、今大会から暑さ対策として導入された、というわけです。なお、1994年のアメリカ大会も猛暑が問題になりましたが、今回の直接の引き金は、あくまで昨年のクラブワールドカップです。
 実際、医学の専門家からは「3分では短くて、5、6分ほしい」という声も出ています。「選手のため」という面は、確かにあるのです。ところが、この3分間には、まったく別のもうひとつの顔があります。

<その「試合が止まる時間」が、まるごとCM枠になる>
 その顔とは、広告です。試合が止まる3分間が、まるごとコマーシャルの枠に変わるのです。仕組みを、もう少し細かく見てみましょう。報道によると、中継する放送局は、給水ブレイクが始まって20秒ほど経ったところでCMを流し始めて、試合が再開する30秒前までに画面を戻す、という流れになっているそうです。これで、1回あたり最大2分10秒ほどの、新しいCM枠が生まれます。給水ブレイクは、前半と後半に1回ずつ、1試合で2回。それが全104試合ですから、試合が止まる時間だけで、合計10時間分を超える。その止まった時間の多くが、まるごと広告に使える枠に変わっている計算になります。
 しかも、その広告枠の値段がすごいのです。アメリカの報道によると、この時間に流す30秒のCMが、グループステージの序盤の試合でも約20万ドル、日本円で約3000万円。アメリカ代表が出る注目の試合になると、約75万ドル、1億円を超える、という単価だそうです。選手を守るという目的と、広告枠を増やすという狙いが、同じひとつの仕組みのなかに同居しているのです。

<サッカーを、アメフトのような「クォーター型」に作り変える>
 では、なぜわざわざ、こんなふうに試合を止める時間をつくるのでしょうか。考えてみると、サッカーには、もともとアメフトや野球のような「自然な中断」が、ほとんどありません。90分、流れるように試合が進みます。これは、観るぶんには魅力なのですが、広告を売りたい側からすると、CMを差し込むすきまがない、ということでもあります。
 だからこそ、給水という名目で、計画的に試合を止める時間をつくって、そこを広告として売る。これは、見方を変えると、流れっぱなしだったサッカーの試合を、アメリカの人気スポーツのように、いくつもの「区切り」がある競技に作り変えている、とも言えます。たとえば、バスケットボールのNBAは、1試合を4つの「クォーター」に分けます。アメフトも、同じく4クォーター制。試合がこまめに止まって、その止まったところに、CMをどんどんはさんで稼ぐ。流れの止まらないサッカーを、その「クォーター型」のスポーツに、じわじわ近づけている、というわけです。これが、いかにもアメリカらしいやり方なのです。

<決勝には史上初のハーフタイムショー 試合を「魅せる興行」に>
 試合が止まる時間を商品にする発想は、ハーフタイムにも及んでいます。今大会の決勝戦では、ワールドカップの歴史上はじめて、ハーフタイムショーが行われます。出演するのは、マドンナ、シャキーラ、それからBTS。これは、アメリカのアメフトの祭典、スーパーボウルでおなじみの演出です。
 ただ、サッカーの現場からは、戸惑いの声も出ています。報道によると、ショーの設営と撤去まで含めると、ハーフタイムが25分から30分まで延びるかもしれない、というのです。そうなると、選手のコンディションや試合の流れにどう響くのか、中継する側も心配している、という話です。
 それでもやるのは、サッカーの試合を、ただの試合ではなく、「魅せる興行」、エンターテインメントのショーに仕立てることで、サッカーファン以外の人まで呼び込めるからです。試合を、丸ごとひとつの興行として設計し直す。これも、アメリカらしい考え方なのです。

<チケット、二次流通、接待まで 「ひとつの試合」が分解されて売られる>
 ここまで、試合が止まる時間の話をしてきましたが、視野を広げてみると、ワールドカップでは、ひとつの試合が、いたるところで細かく分解されて売られています。
まず、チケットです。今大会では、需要に応じて値段が動く「変動価格(バリアブルプライシング)」が、ワールドカップで初めて導入されました。航空券やホテルと同じ考え方です。なお、よく使われる「ダイナミックプライシング」という呼び方を、FIFA自身は使いません。値段が自動で変わるわけではない、として「変動価格」と説明しています。決勝戦のチケットは、いちばん高い正規の席で、最終的に約3万3000ドル、日本円にすると約500万円まで引き上げられました。前回のカタール大会の最高額が約1600ドルだったので、なんと約20倍です。
 その二次流通市場も、商売に取り込まれています。FIFAはチケットの転売を禁止せず、自分たちで公式の二次流通サイトを用意して、取引のたびに、売った人と買った人の両方から、それぞれ15%の手数料を取ります。さらに、観戦に飲食や専用ラウンジを付けた高額な「ホスピタリティ」というパッケージもあり、いちばん高いものは約1100万円。これは、観戦が「個人の娯楽」から「企業の接待」へと変わってきていることの表れです。そして、この流れは日本にも来ていて、国立競技場には2026年4月、企業向けの最上級の観戦エリアができました。

<ワールドカップは、いまの資本主義の「ショーケース」>
 座席、止まる時間、ハーフタイム、二次流通、接待。こうやって並べてみると、ひとつの試合を、たくさんの部品に分解して、それぞれを別々の商品として売っていることが見えてきます。90分の試合を観るというより、半日がかりの、丸ごとの体験を売る。そうやって、お客さん1人あたりから落ちるお金を、最大にしていく。これが、アメリカ流のスポーツビジネスなのです。
 こうした切り売りが、これほど加速しているのはなぜでしょうか。背景にあるのは、大会そのものの大型化です。今大会から、出場国が32から48に、試合数も64から104へと、大きく増えました。規模が大きくなれば、動くお金も膨らみます。FIFAが今のサイクルで手にする放映権料だけでも、約6800億円。賭け金が大きくなったぶん、一つひとつの試合から少しでも多く回収しよう、という力が働くわけです。
 そして、こうした変化の多くは、開催国のひとつであるアメリカが磨いてきた手法です。1試合を、座席や、中断時間や、データにまで切り分けて、お金に変えていく。今回のワールドカップは、いまの資本主義の最前線を、これ以上ないほど分かりやすく見せてくれる「ショーケース」になっているのだと思います。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2747670?display=1
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 さすがアメリカです。ゲームをスポーツ化したe-スポーツを始め、何でも金銭に変えてしまいます。純粋にスポーツを楽しみたい人にとって上記の記事が正しいければ「怒髪天を衝く」心境になります。金権主義のシンボルとしてオリンピックが挙げられますが、オリンピックは以前は平和主義ととアマチュア象徴のスポーツでした。それが選手をプロ化し、高額な放送権料とともに金儲け主義に変えたのは84年のロサンジェルス大会からと記憶しています。それ以来オリンピックは肥大化し、それと共に多額の裏金や収賄事件を引き起こし、オリンピック委員が何人も辞任しています。
 また3月におこなわれたのワールドベースボール・クラシック(WBC)も日本ではNHKや民間放送局で放送されずに、有料のネット中継で視聴するようになりました。まさにスポーツ観戦は金持ちのためのイベントとなっています。
 スポーツのプロ化は選手にとって決して悪いことではありません。自分の好きなスポーツに人生を賭け、努力次第で一流のプロ選手となり、その結果大金を賭けぐことができます。しかしスポーツ観戦を純粋に楽みたい人にとって一部の人しか楽しめないスポーツ観戦の有料化は考えものです。スポーツは万人のためのものであって欲しいと思います。

2026年06月27日