#644 共生クライシス
沖縄・奄美地方はすでに入梅となりましたが、九州はまだ初夏の清々しい天気が続いています。日中の気温は30度を超える日がありますが、朝夕はまだ涼しく、過ごしやすい日々が続いています。九州地方の入梅はもう少し先になりそうです。
さて日本を訪問する外国人は年々増加の一途をたどり、インバウンド経済も好調のようです。また日本で働く外国人も増えて、様々な分野で外国人の人口が増加しています。日本の人口が減少し続けている対応策として、外国人労働者を受け入れていくことは必須課題となっています。
しかしながら、外国人労働者の増加に伴い、彼らと日本人の間の軋轢が大きくなっているのを事実です。いわゆる「共生クライシス」が日本各地で発生しています。その代表例がクルド人が多く暮らしている川口市です。西日本新聞では現在「共生クラシス」の特集を取り上げていますが、本日はその一部をご紹介します。
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『共生クライシス』
私たちの社会が追い求めてきたはずの「共生」が危機にひんしている。焦点となっているのが、増え続ける外国人への対応。労働力不足にあえぐ地域が支えられている現状がある一方、日々の生活や観光地でのトラブル、海外資本による不動産取得を巡る不安も広がる。街頭でもウェブ上でも政治の世界でも、虚実が混在する極端な声や排外主義的な意見が飛び交うのは日常の光景となった。社会の分断を防ぐには、どうすればいいのか。九州の現場から考える。
<「リトルアジア」福岡市・吉塚の駅周辺にごみ散乱 善意頼みの秩序>
夜明け前、福岡県庁に近い福岡市博多区のJR吉塚駅周辺は、日中とは違う「顔」を見せる。午前4時、駅東口のロータリー。到着したマイクロバスから、アジア系の男女約20人が続々と降りてきた。ここは、物流業者や食品工場への送迎拠点。時給が高い深夜のアルバイトを終え、その表情には疲れと解放感がにじむ。
弁当工場で夜勤をこなしたネパール人の大学生ら男性3人組は、駅東口の公園のベンチに陣取った。「仕事終わりの息抜き」だという。コンビニで買った菓子を食べながら、おしゃべりが続く。寝静まった街に異国の言葉が響く。
数十分後、3人は菓子袋とペットボトルを入れたポリ袋をベンチの脇に置いて帰ろうとした。声をかけるとネパール人男性(21)は「放置していない。袋に入れて片付けた」。心外そうな顔で立ち去った。
見渡すと、確かに袋に入れているだけましだとも思えた。遊具の脇にビールの空き缶やペットボトル、たばこの吸い殻、カップ麺の容器が散乱していた。通行人によると、30分ほど前に外国人風の男性4、5人が酒盛りをしていたという。
街の「リトルアジア」化が進む。周辺は、郊外に移転した九州大箱崎キャンパスの元学生街。JR博多駅や天神の繁華街まで2、3キロの立地の割に賃料が安い。低価格帯が売りのスーパーも近い。そこに外国人向けの日本語学校が集まる。
吉塚に住む外国人の割合は今年3月末時点で8・5%。博多区全体の5・8%、市全体の3・6%と比べると、差は歴然としている。ただし、未明に見かける外国人は、博多区外の居住者も少なくないようだ。
午前5時過ぎまでに、駅東口に着いたバスは10台を超えた。そのたびに数人から十数人が降り、一部は特定の路地に入っていく。駅から200メートル。10部屋足らずのアパートの駐輪場に、50台以上の自転車がひしめいていた。
壁には多言語で「部外者の駐輪禁止」との張り紙があった。注意を促すと、同市東区のネパール人女性は「いけないこと? 知らなかった」。同市南区のネパール人女性は「家が遠いから乗ってきた。みんなやってるよ」。そう言い残し、ペダルを踏み込んだ。
午前6時前、駅周辺は再び静けさを取り戻す。留学生たちの帰宅後、無断駐輪の自転車は消えた。散らかっていた公園のごみも、いつの間にか消えていた。夜明け前のモラル崩壊に気付く人は少ない。
深夜アルバイトの留学生の退勤ラッシュが落ち着く午前5時過ぎ。福岡市博多区のJR吉塚駅東口の公園で、近くの宮森徹さん(73)はため息をついた。「またこんなに散らかして」。散乱したカップ麺の容器や吸い殻を拾い集め、持参したごみ袋に入れていく。
活動を始めて約20年。今のように公園が荒れ始めたのは、コロナ禍が収束した2023年ごろからだという。飲食や宴会をする外国人に、ごみを放置しないよう指導したこともある。だが、反発され、「日本語分からない」としらを切られ、諦めた。「けんかになるし、見て見ぬふりですよ」
博多区役所は事態を把握し、昨年、日本語と英語でごみの持ち帰りを促す看板を掲げた。その看板の前にもごみが放置されていた。「状況を見た区職員から『きれいじゃないですか』と言われたことがある。私たちが片付けた後に来て。『9時5時』勤務じゃ分からん」。不満はくすぶる。
この日は、30分足らずで45リットル入りの袋2枚分のごみを集めた。「今はまだ朝が寒く、宴会をする人は少ない。夏になるとごみはもっと増える」。宮森さんによると、酒瓶が割れ、ガラス片が散乱していることもある。所属する公園愛護会に市は年3万6千円の報償金を払う。日常的にごみ拾いをするのは6人。受け取るのは1人月額500円だ。
ルール違反は外国人に限らない。公園での読書が日課で、1年前からごみ拾いに参加する近くの辻󠄀元和夫さん(74)は「日本人もひどい」と証言する。「確かに外国人が目立つ。けど、拾っている目の前でごみを捨てる日本人もいる」
一方、ごみを持ち帰るネパール人グループや、定期的にごみ拾いをするベトナム人グループもいる。辻󠄀元さんは「安易に排外主義につなげるのは良くない」といさめる。
留学生の急増は、吉塚だけの特殊事情ではない。国は留学生の受け入れをこの10年でほぼ倍増させた。昨年6月末時点で43万5千人に達し、9割をアジア系が占める。これに伴い、全国で日本語学校などの留学ビジネスが拡大している。
アジア系の留学生の多くは、学費と生活費を週28時間までのアルバイトで賄う。日本語を習得し、大学や専門学校を出た後は在留資格を得て就職する。人手不足の企業は彼らを雇い、利益を上げる。日本経済を支える半面、母国とは異なる文化や慣習になじむまでは「副反応」も起こす。
留学生を雇う弁当工場は取材に「日々、注意喚起をしている」と答えた。その指導が有効ならば、こうはならない。市内の日本語学校経営の男性は「ルール違反の常態化は、学校も企業も行政も管理責任を果たせていないことを意味する」と自戒を込める。
責任の空白が放置されている。しわ寄せは地域に丸投げされている。地域の善意がそっぽを向いた途端、公園はごみであふれる。その時、「秩序ある共生社会」のもろさが白日の下にさらされる。
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「郷に入っては郷に従え」(When in Rome, do as the Romans do)という諺があります。その土地で暮らすには、その土地の規則に従え、という意味です。一般論として、外国人が少ない場合はそれほど影響はないのですが、外国人の数が増えるにつれて、彼らの独自の文化と暮らしている地域の文化と間に摩擦が生じ、様々なトラブルが生じます。現在のヨーロッパ諸国では移民を入れすぎたために大きな移民問題が生じており、国によっては移民排斥を唱える政党もあります。
日本では移民問題に対して現在それほど大きな問題は生じていませんが、移民の増加に伴い様々な問題が考えられます。移民を入れる際に国や地方自治体等は移民に日本社会での生活の仕方、日本人の考え方、日本社会のルール等を具体的かつ詳細に伝えるべきです。また彼らが住まいを借りる際に不動産屋は英語や彼らの言葉でごみの捨て方やアパートでの暮らし方を説明するパンフレット等を配布し、具体的に説明すべきです。そうしないと文化の違いにより暮らし始める移民と以前から住んでいる日本人との間に必ず摩擦が生じます。
お互い異文化を理解し、互いの類似点や相違点を把握し、その上で共生することが大切です。問題が生じた場合に、何が問題なのかを説明する必要があります。これは個人の問題というよりも地域社会の問題として市町村などの地方自治体は責任もってこの問題に対処する必要があります。その意味で、英語や中国語。韓国語などを使える通訳者の育成が急務です。日本政府も移民との共生社会を築くためには様々なコミュニケーションの手段を考えるべきでしょう。いたずらに移民の数を増やせば済む問題ではありません。