#659 イグ・ノーベル賞
昨日は本当に久しぶりに雨が降りました。Google によりますと、「8月4日(1.5mmの降水)を最後に約1ヶ月(32日間)にわたって本格的な降雨がない状態が続いています。今年の8月は西日本全体で記録的な少雨と酷暑が続いており、大牟田市の8月の月間降水量はわずか2.5mm(観測史上4番目の少なさ)にとどまっています。」とあります。
たしかに街路樹や公園の植物は葉っぱがしおれており、長期間雨が降っていないことを表しています。昨日の日積算降水量は 60.5mm でした。水不足に少しは貢献したのでしょうか。一方では九州南部、特に屋久島では豪雨となっています。今年の夏は干ばつの地域と豪雨の地域の極端な二極化が起こっているようです。
また台風24号の動きが不明で、現在九州の南を南下しており、一周してまだ九州や四国方面に帰ってくると予想されています。台風自体は自走する能力はありませんので、周囲の気流の流れに依存します。本格的な台風シーズンはこれからです。接近する台風に対して厳重な注意が必要になります。
さて、昨日はイグノーベル賞の表彰式がスイスで行われました。例年はアメリカのハーバード大学で行われますが、今年は初めてアメリカ以外で授賞式がありました。このイグノーベル賞は高校の英語の教科書でも紹介されていますが、ウィキペディアでは次のように説明しています。
イグノーベル賞とは「人々を笑わせ考えさせた研究」に与えられる賞。ノーベル賞のパロディーとしてマーク・エイブラハムズが1991年に創設した。
毎年9月もしくは10月に「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」や風変わりな研究、社会的事件などを起こした10の個人やグループに対し、時には笑いと賞賛を、時には皮肉を込めて授与される。このようにインパクトのある斬新な方法によって、脚光の当たりにくい分野の地道な研究に、一般の人々の注目を集めさせ、科学の面白さを再認識させてくれるという貢献に繋がっている。カラオケやバウリンガル(どちらも平和賞)、たまごっち(経済学賞)、といった商品の発明に対して賞が贈られる場合もある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%99%E
3%83%AB%E8%B3%9E
さて今年のイグノーベル賞ですが、日本人が20年連続で受賞するという栄誉を勝ち取りました。今年の日本人の受賞を朝日新聞は次のように解説しています。
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『イグ・ノーベル賞、日本人が20年連続受賞 「鼻のかみ方」など研究』
人々を笑わせ、考えさせた研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の受賞者が3日(日本時間4日)発表され、「鼻のかみ方」を空気力学的に研究した旭川医科大(北海道)の故海野徳二・名誉教授が医学賞に決まった。日本人の受賞は20年連続。化学賞には、「ゴキブリのミルクはカロリーが牛乳の3倍」だと確認した元名古屋大教授のレオナルド・シャバスさんと、カナダ・米国籍の八木浩一郎さんらが選ばれた。
海野さんは1933年生まれ。耳鼻咽喉(いんこう)科の医師として、呼吸器疾患を予防できる鼻のかみ方を研究。「強くかむと耳に悪い」と思われがちだが、強くていいこと、片方ずつのほうが効果的なことを77年に発表した。
旭川医科大に耳鼻咽喉科の教室を立ち上げ、道北・道東地域の医療に尽力して2022年に89歳で亡くなった。今回、スイスで開かれる授賞式に参加する後任の高原幹教授は「当たり前のことを当たり前と思わず、科学的に向き合う。大変誠実で学問に真摯(しんし)な方だった」と振り返った。
https://www.asahi.com/articles/ASV931CX8V93ULLI009M.html
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ノーベル賞は人類の発展に寄与した研究に対し与えられる賞ですが、一般の人々はその研究がどのように役立っているかは理解しにくい面があります。しかし、ノーベル賞と対照的にイグノーベル賞は身近な日常生活に密接に関わり合う面白くて、ためになる賞だと思います。なお、日本人が今までに受賞した内容をまとめると次のようになります。
1992年 医学賞:
神田不二宏(資生堂研究員)ら 足の臭いの原因となる化学物質を特定
1995年 心理学賞:
渡辺茂(慶応大学教授)ら ハトを訓練してピカソとモネの絵を区別させることに成功
1996年 生物多様性賞:
岡村長之助(岡村化石研究所)1000以上の「ミニ種」の化石を発見
1997年 生物学賞:
柳生隆視(関西医科大学講師)ら ガムをかんでいる時、ガムの味で脳波がどう変わるか研究
1997年 経済学賞:
真坂亜紀(バンダイ)、横井昭裕(ウィズ) 「たまごっち」を開発
1999年 化学賞:
牧野武(セーフティ探偵社社長)夫のパンツに吹きかけると浮気を発見できるスプレーを開発
2002年 平和賞:
佐藤慶太(タカラ社長)、鈴木松美(日本音響研究所所長)、小暮規夫(獣医師)犬語翻訳機「バウリンガル」を開発
2003年 化学賞:
広瀬幸雄(金沢大学教授) ハトに嫌われた銅像の化学的考察
2004年 平和賞:
井上大佑(会社経営) カラオケを発明
2005年 生物学賞:
早坂洋司(オーストラリアワイン研究所)カエルがストレスを感じる時に出す特有の臭いカタログ化
2005年 栄養学賞:
ドクター・中松(中松義郎、発明家)34年間自分の食事を写真に撮り、脳の働きや体調へ影響を分析
2007年 化学賞:
山本麻由(国立国際医療センターの元研究員) 牛ふんからバニラの香り成分「バニリン」抽出
2008年 認知科学賞:
中垣俊之(北海道大学准教授)ら 単細胞生物の真正粘菌が迷路の最短経路を見つけるとを発見
2009年 生物学賞:
田口文章(北里大学名誉教授)パンダのふんに含まれる細菌で台所の生ごみを90%削減
2010年 交通計画賞:
中垣俊之(公立はこだて未来大学教授)ら 鉄道などのインフラ整備に真正粘菌の「知恵」が役立つことを研究
2011年 化学賞:
今井真(滋賀医科大学講師)ら ワサビの匂いの気体で聴覚障害者に知らせる火災警報装置開発
2012年 音響賞:
栗原一貴(産業技術総合研究所研究員)、塚田浩二(科学技術振興機構研究員)おしゃべりを続ける人を邪魔する装置「スピーチ・ジャマー」開発
2013年 医学賞:
新見正則(帝京大学准教授)ら 心臓移植したマウスにオペラ『椿姫』を聴かせると、生存期間が延びたとの研究
2013年 化学賞:
今井真介(ハウス食品研究主幹)ら タマネギの催涙成分をつくる酵素を発見
2014年 物理学賞:
馬渕清資(北里大学教授)ら バナナの皮の滑りやすさを証明
2015年 医学賞:
木俣肇(クリニック院長) キスで皮膚のアレルギー反応が低減することを実証
2016年 知覚賞:
東山篤規(立命館大学教授)ら「股のぞき」をすると、距離を正確につかみにくいことを証明
2017年 生物学賞:
吉沢和徳(北海道大学准教授)、上村佳孝(慶応大学准教授) ブラジルに生息する昆虫雌に、雄のような形状の性器があることを発見
2018年 医学教育賞:
堀内朗(昭和伊南総合病院消化器病センター長) 座位で自身の大腸内視鏡検査を行い苦痛が少ないことを実証
2019年 化学賞:
渡部茂(明海大学教授)ら 5歳児の唾液のサンプルを集め、分泌量を調査
2020年 音響賞:
西村剛(京都大学霊長類研究所准教授)ヘリウムガスでワニのうなり声も高くなることを発見
2021年 動力学賞:
村上久(京都工芸繊維大学助教)、西成活裕(東京大学教授)、西山雄大(長岡技術科学大学講師)「歩きスマホ」の危険性を実証
2022年 工学賞:
松崎元(千葉工業大学教授)ら 円柱形の取っ手を何本の指を使って回すかについて研究
2023年 栄養学賞:
宮下芳明(明治大学教授)、中村裕美(東京大学特任准教授) 電気を通した箸やストローで飲食物の味を変えることを提案
2024年 生理学賞:武部貴則(東京医科歯科大学教授)ら 哺乳類が肛門から呼吸できることを発見
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h02134/
なお、昨年のイグノーベル賞は『「牛をシマウマ模様にすると、ハエが減る?」(牛をシマウマ模様に塗って吸血害虫を防ぐ)小島知紀、農研機構、京都大学、愛知県農業総合試験場 牛にシマウマのような縞模様を塗ることで、吸血性の害虫を効果的に防げることを実証した。』という内容で受賞しています。なお日本人の歴代受賞内容の詳細は次のページで確認できます。
Ig Nobel Japan Archive (https://ignobel-archive.jp/)
上記の受賞内容一覧を見ますと、まさにイグノーベル賞は日本人にふさわしい賞だと思います。日本は「オタク文化」を享受する精神があり、世間に役立つかどうかにかかわらず、一心不乱に研究を続ける「オタク」がたくさんいます。学術分野にかかわらず、芸術や音楽など、多種多様にわたり専門を極める人がたくさんいます。そのような文化を持つ日本にはイグノーベル賞を受賞する可能性を持っている研究者がたくさんいます。今後も日本人研究者が世間をあっと言わせる内容で受賞すると思います。日本人の優れた特色の1つです。